以下では、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下の説明に限定されず、その形態および詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。また、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
また、本明細書等において結晶面および方向はミラー指数で示す。結晶面および方向の表記は、結晶学上、数字に上付きのバーを付すが、本明細書等では出願表記の制約上、数字の上にバーを付す代わりに、数字の前に-(マイナス符号)を付して表現する場合がある。また、結晶内の方向を示す個別方位は[ ]で、等価な方向すべてを示す集合方位は< >で、結晶面を示す個別面は( )で、等価な対称性を有する集合面は{ }でそれぞれ表現する。
本明細書等において、偏析とは、複数の元素(例えばA,B,C)からなる固体において、ある元素(例えばB)が空間的に不均一に分布する現象をいう。
本明細書等において、活物質等の粒子の表層部とは例えば、表面から50nm以内、より好ましくは35nm以内、さらに好ましくは20nm以内の領域であることが好ましい。ひびおよびクラックにより生じた面も表面といってよい。また表層部より深い領域を、内部という。
本明細書等において、リチウムと遷移金属を含む複合酸化物が有する層状岩塩型の結晶構造とは、陽イオンと陰イオンが交互に配列する岩塩型のイオン配列を有し、遷移金属とリチウムが規則配列して二次元平面を形成するため、リチウムの二次元的拡散が可能である結晶構造をいう。なお陽イオンまたは陰イオンの欠損等の欠陥があってもよい。また、層状岩塩型結晶構造は、厳密に言えば、岩塩型結晶の格子が歪んだ構造となっている場合がある。
また本明細書等において、岩塩型の結晶構造とは、陽イオンと陰イオンが交互に配列している構造をいう。なお陽イオンまたは陰イオンの欠損があってもよい。
また本明細書等において、リチウムと遷移金属を含む複合酸化物が有するO3’型の結晶構造とは、空間群R-3mの結晶構造であり、スピネル型結晶構造ではないものの、コバルト、マグネシウム等のイオンが酸素6配位位置を占め、陽イオンの配列がスピネル型と似た対称性を有する結晶構造をいう。なお、O3’型の結晶構造は、リチウムなどの軽元素が酸素4配位位置を占める場合があり、この場合もイオンの配列がスピネル型と似た対称性を有する。
またO3’型の結晶構造は、層間にランダムにLiを有するもののCdCl2型の結晶構造に類似する結晶構造であるということもできる。このCdCl2型に類似した結晶構造は、ニッケル酸リチウムを充電深度0.94まで充電したとき(Li0.06NiO2)の結晶構造と近いが、単純に純粋なコバルト酸リチウム、またはコバルトを多く含む層状岩塩型の正極活物質では通常この結晶構造を取らないことが知られている。
層状岩塩型結晶、および岩塩型結晶の陰イオンは立方最密充填構造(面心立方格子構造)をとる。O3’型の結晶構造も、陰イオンは立方最密充填構造をとると推定される。これらが接するとき、陰イオンにより構成される立方最密充填構造の向きが揃う結晶面が存在する。ただし、層状岩塩型結晶およびO3’型の結晶構造の空間群はR-3mであり、岩塩型結晶の空間群Fm-3m(一般的な岩塩型結晶の空間群)とは異なるため、上記の条件を満たす結晶面のミラー指数は層状岩塩型結晶およびO3’型の結晶構造と、岩塩型結晶では異なる。本明細書では、層状岩塩型結晶、O3’型の結晶構造、および岩塩型結晶において、陰イオンにより構成される立方最密充填構造の向きが揃うとき、結晶の配向が概略一致する、と言う場合がある。
二つの領域の結晶の配向が概略一致することは、TEM(透過電子顕微鏡)像、STEM(走査透過電子顕微鏡)像、HAADF-STEM(高角散乱環状暗視野走査透過電子顕微鏡)像、およびABF-STEM(環状明視野走査透過電子顕微鏡)像等から判断することができる。X線回折(XRD)、電子線回折、および中性子線回折等も判断の材料にすることができる。TEM像等では、陽イオンと陰イオンの配列が、明線と暗線の繰り返しとして観察できる。層状岩塩型結晶と岩塩型結晶において立方最密充填構造の向きが揃うと、結晶間で、明線と暗線の繰り返しのなす角度が5度以下、より好ましくは2.5度以下である様子が観察できる。なお、TEM像等では酸素、フッ素をはじめとする軽元素は明確に観察できない場合があるが、その場合は金属元素の配列で配向の一致を判断することができる。
また本明細書等において、正極活物質の理論容量とは、正極活物質が有する挿入脱離可能なリチウムが全て脱離した場合の電気量をいう。例えばLiCoO2の理論容量は274mAh/g、LiNiO2の理論容量は274mAh/g、LiMn2O4の理論容量は148mAh/gである。
また本明細書等において、挿入脱離可能なリチウムが全て挿入されているときの充電深度を0、正極活物質が有する挿入脱離可能なリチウムが全て脱離したときの充電深度を1ということとする。
また本明細書等において、充電とは、電池内において正極から負極にリチウムイオンを移動させ、外部回路において正極から負極に電子を移動させることをいう。正極活物質については、リチウムイオンを離脱させることを充電という。また充電深度が0.7以上0.9以下の正極活物質を、高電圧で充電された正極活物質と呼ぶ場合がある。
同様に、放電とは、電池内において負極から正極にリチウムイオンを移動させ、外部回路において負極から正極に電子を移動させることをいう。正極活物質については、リチウムイオンを挿入することを放電という。また充電深度が0.06以下の正極活物質、または高電圧で充電された状態から充電容量の90%以上の容量を放電した正極活物質を、十分に放電された正極活物質ということとする。
また本明細書等において、非平衡な相変化とは、物理量の非線形変化を起こす現象をいうこととする。例えば容量(Q)を電圧(V)で微分(dQ/dV)することで得られるdQ/dV曲線におけるピークの前後では、非平衡な相変化が起き、結晶構造が大きく変わっていると考えられる。
二次電池は例えば正極および負極を有する。正極を構成する材料として、正極活物質がある。正極活物質は例えば、充放電の容量に寄与する反応を行う物質である。なお、正極活物質は、その一部に、充放電の容量に寄与しない物質を含んでもよい。
本明細書等において、本発明の一態様の正極活物質は、正極材料、あるいは二次電池用正極材、等と表現される場合がある。また本明細書等において、本発明の一態様の正極活物質は、化合物を有することが好ましい。また本明細書等において、本発明の一態様の正極活物質は、組成物を有することが好ましい。また本明細書等において、本発明の一態様の正極活物質は、複合体を有することが好ましい。
放電レートとは、電池容量に対する放電時の電流の相対的な比率であり、単位Cで表される。定格容量X(Ah)の電池において、1C相当の電流は、X(A)である。2X(A)の電流で放電させた場合は、2Cで放電させたといい、X/5(A)の電流で放電させた場合は、0.2Cで放電させたという。また、充電レートも同様であり、2X(A)の電流で充電させた場合は、2Cで充電させたといい、X/5(A)の電流で充電させた場合は、0.2Cで充電させたという。
定電流充電とは例えば、充電レートを一定として充電を行う方法を指す。定電圧充電とは例えば、充電が上限電圧に達したら、電圧を一定とし、充電を行う方法を指す。定電流放電とは例えば、放電レートを一定として放電を行う方法を指す。
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様の負極、負極活物質、および負極活物質の作製方法について述べる。
<負極>
図1Aは、本発明の一態様の負極の断面の一例を示す。本発明の一態様の負極は、集電体550上に負極活物質561、グラフェン554、アセチレンブラック553を有する負極活物質層を形成している。
本発明の一態様の活物質は表層部にフッ素を有することが好ましい。
二次電池においては、電極と電解質との反応に代表される不可逆反応により、充放電効率が低下する場合がある。充放電効率の低下は特に初回の充放電において顕著に生じる場合がある。
本発明の一態様の負極活物質は表層部にハロゲンを有することにより、充放電効率の低下を抑制することができる。本発明の一態様の負極活物質が表層部にハロゲンを有することにより、活物質表面における電解質との反応が抑制されると考えられる。また、本発明の一態様の負極活物質は、ハロゲンを含む領域により、表面の少なくとも一部が覆われている場合がある。該領域は例えば、膜状であってもよい。
表層部とは例えば、表面から50nm以内、より好ましくは35nm以内、さらに好ましくは20nm以内の領域であることが好ましい。また表層部より深い領域を内部という。
本発明の一態様の負極活物質が表層部にハロゲンを有することにより、二次電池において、高い充放電レートにおいても優れた特性を実現することができる。よって、充放電速度を高めることができる。負極活物質が内部に黒鉛を有し、表層部にハロゲンを有する場合において、黒鉛の層間にハロゲン、あるいはハロゲン化合物が挿入される場合がある。層間にハロゲン、あるいはハロゲン化合物が挿入されることにより、黒鉛の表面、あるいは表面近傍において層間距離が広がり、層間へのキャリアイオンの挿入脱離がしやすくなることにより、二次電池において、高い充放電レートにおいて優れた特性を実現できる可能性がある。黒鉛の層間距離は、XRD、透過電子顕微鏡による観察、またはEDX(エネルギー分散型X線分析法)等を用いて分析を行うことができる。
また、本発明の一態様の負極活物質が表層部にハロゲンを有することにより、電解液においてキャリアイオンに溶媒和した溶媒が、負極活物質表面において脱離しやすくなる可能性がある。キャリアイオンに溶媒和した溶媒が脱離しやすくなることにより、二次電池において、高い充放電レートにおいて優れた特性を実現できる可能性がある。
本発明の一態様の負極活物質は、ハロゲンとして特にフッ素を有することが好ましい。
フッ素は電気陰性度が大きく、負極活物質が表層部にフッ素を有することにより、負極活物質の表面において、キャリアイオンに溶媒和した溶媒を脱離しやすくする効果を有する可能性がある。
<導電剤>
図1Aに示す負極において、グラフェン554およびアセチレンブラック553は導電剤として機能することが好ましい。また、グラフェン554、アセチレンブラック553等の導電剤が、活物質として機能してもよい。ここでグラフェン554として、グラフェンおよびグラフェン化合物を用いることができる。グラフェン化合物の詳細については後述する。
図1Aには負極がグラフェン554およびアセチレンブラック553を有する例を示すが、いずれか一方のみを有してもよい。また、負極は導電剤として、様々な材料を用いることができる。
導電剤として、炭素材料、金属材料、または導電性セラミックス材料等を用いることができる。また、導電剤として繊維状の材料を用いてもよい。活物質層の総量に対する導電剤の含有量は、1wt%以上10wt%以下が好ましく、1wt%以上5wt%以下がより好ましい。
導電剤により、活物質層中に電気伝導のネットワークを形成することができる。導電剤により、負極活物質同士の電気伝導の経路を維持することができる。活物質層中に導電剤を添加することにより、高い電気伝導性を有する活物質層を実現することができる。
導電剤として、グラフェン化合物を用いることができる。また、導電剤として、天然黒鉛、メソカーボンマイクロビーズ等の人造黒鉛、炭素繊維などを用いることができる。
炭素繊維としては、例えばメソフェーズピッチ系炭素繊維、等方性ピッチ系炭素繊維等の炭素繊維を用いることができる。また炭素繊維として、カーボンナノファイバーおよびカーボンナノチューブなどから選ばれる一以上を用いることができる。カーボンナノチューブは、例えば気相成長法などで作製することができる。また、導電剤として、例えばカーボンブラック(アセチレンブラック(AB)など)、グラファイト(黒鉛)粒子、グラフェン、フラーレンなどの炭素材料を用いることができる。また、例えば、銅、ニッケル、アルミニウム、銀および金などの金属粉末、金属繊維、並びに導電性セラミックス材料等から選ばれる一以上を用いることができる。
[グラフェン化合物]
本明細書等においてグラフェン化合物とは、グラフェン、多層グラフェン、マルチグラフェン、酸化グラフェン、多層酸化グラフェン、マルチ酸化グラフェン、還元された酸化グラフェン、還元された多層酸化グラフェン、還元されたマルチ酸化グラフェン、グラフェン量子ドット等を含む。また、グラフェン化合物とは、炭素を有し、平板状、シート状等の形状を有し、炭素6員環で形成された二次元的構造を有するものをいう。該炭素6員環で形成された二次元的構造は炭素シートといってもよい。グラフェン化合物は官能基を有してもよい。また、グラフェン化合物は屈曲した形状を有することが好ましい。また、グラフェン化合物は丸まってカーボンナノファイバーのようになっていてもよい。
導電剤として、上記に述べた材料を組み合わせて用いることができる。
本明細書等において酸化グラフェンとは、炭素と、酸素を有し、シート状の形状を有し、官能基、特にエポキシ基、カルボキシ基またはヒドロキシ基を有するものをいう。
本明細書等において還元された酸化グラフェンとは、炭素と、酸素を有し、シート状の形状を有し、炭素6員環で形成された二次元的構造を有するものをいう。炭素シートといってもよい。還元された酸化グラフェンは1枚でも機能するが、複数枚が積層されていてもよい。還元された酸化グラフェンは、炭素の濃度が80atomic%より大きく、酸素の濃度が2atomic%以上15atomic%以下である部分を有することが好ましい。このような炭素濃度および酸素濃度とすることで、少量でも導電性の高い導電剤として機能することができる。また還元された酸化グラフェンは、ラマンスペクトルにおけるGバンドとDバンドの強度比G/Dが1以上であることが好ましい。このような強度比で還元された酸化グラフェンは、少量でも導電性の高い導電剤として機能することができる。
活物質層の縦断面においては、活物質層の内部領域において概略均一にシート状のグラフェン化合物が分散する。複数のグラフェン化合物は、複数の粒状の負極活物質を一部覆うように、あるいは複数の粒状の負極活物質の表面上に張り付くように形成されているため、複数のグラフェン化合物同士は互いに面接触している。
ここで、複数のグラフェン化合物同士が結合することにより、網目状のグラフェン化合物シート(以下グラフェン化合物ネットまたはグラフェンネットと呼ぶ)を形成することができる。活物質をグラフェンネットが被覆する場合に、グラフェンネットは活物質同士を結合するバインダとしても機能することができる。よって、バインダの量を少なくすることができる、または使用しないことができるため、電極体積および電極重量に占める活物質の比率を向上させることができる。すなわち、二次電池の充放電容量を増加させることができる。
ここで、グラフェン化合物として酸化グラフェンを用い、活物質と混合して活物質層となる層を形成後、還元することが好ましい。つまり完成後の活物質層は還元された酸グラフェンを有することが好ましい。グラフェン化合物の形成に、極性溶媒中での分散性が極めて高い酸化グラフェンを用いることにより、グラフェン化合物を活物質層の内部領域において概略均一に分散させることができる。均一に分散した酸化グラフェンを含有する分散媒から溶媒を揮発除去し、酸化グラフェンを還元するため、活物質層に残留するグラフェン化合物は部分的に重なり合い、互いに面接触する程度に分散していることで三次元的な導電パスを形成することができる。なお、酸化グラフェンの還元は、例えば熱処理により行ってもよいし、還元剤を用いて行ってもよい。
図1Cには活物質とグラフェン化合物の模式図を示す。活物質と点接触するアセチレンブラック等の粒状の導電剤と異なり、グラフェン化合物は接触抵抗の低い面接触を可能とするものであるから、通常の導電剤よりも少量で粒状の負極活物質とグラフェン化合物との電気伝導性を向上させることができる。よって、負極活物質の活物質層における比率を増加させることができる。これにより、二次電池の放電容量を増加させることができる。
また、予め、スプレードライ装置を用いることで、活物質の表面全体を覆って導電剤であるグラフェン化合物を被膜として形成し、さらに活物質同士間にグラフェン化合物で導電パスを形成することもできる。
またグラフェン化合物と共に、グラフェン化合物を形成する際に用いる材料を混合して活物質層に用いてもよい。例えばグラフェン化合物を形成する際の触媒として用いる粒子を、グラフェン化合物と共に混合してもよい。グラフェン化合物を形成する際の触媒としては例えば、酸化ケイ素(SiO2、SiOx(x<2))、酸化アルミニウム、鉄、ニッケル、ルテニウム、イリジウム、プラチナ、銅、またはゲルマニウム等を有する粒子が挙げられる。該粒子はD50(メディアン径ともいう。)が1μm以下であると好ましく、100nm以下であることがより好ましい。
[フッ素修飾された導電剤]
ここで、本発明の一態様の負極において、導電剤はフッ素により修飾されることが好ましい。例えば、導電剤として、上記に述べた導電剤へフッ素修飾した材料を用いることができる。
導電剤へのフッ素修飾は例えば、フッ素を有するガスによる処理あるいは加熱処理、フッ素を有するガス雰囲気中におけるプラズマ処理等により行うことができる。フッ素を有するガスとして例えば、フッ素ガス、フッ化メタン(CF4)等の低級フッ素炭化水素ガスなどを用いることができる。
あるいは、導電剤へのフッ素修飾として例えば、フッ酸、四フッ化ホウ素酸、六フッ化リン酸等を有する溶液、またはフッ素含有エーテル化合物を含む溶液、等に浸漬してもよい。
導電剤へのフッ素修飾を行うことにより、導電剤の構造が安定し、二次電池の充放電過程において、副反応が抑制されることが期待される。副反応の抑制により充放電効率を向上させることができる。また、充放電の繰り返しに伴う容量の低下を抑制することができる。よって、本発明の一態様の負極において、フッ素修飾された導電剤を用いることにより、優れた二次電池を実現することができる。
導電剤の構造が安定化することにより、導電特性が安定化し、高い出力特性を実現できる場合がある。
<二次電池の構成要素>
また、本発明の一態様の二次電池の構成要素としては、フッ素含有材料を用いることが好ましい。例えば、本発明の一態様の正極は、フッ素含有正極活物質を有することが好ましい。詳細は後述するが、本発明の一態様の正極活物質は、フッ素を有する。フッ素を有する該正極活物質は、充電における構造が安定であり、高い充電電圧において繰り返し充電を行うことができる。充電電圧を高めることにより、二次電池のエネルギー密度を高めることができる。
本発明の一態様の正極において、フッ素を有する該正極活物質と、上記で述べたフッ素修飾された導電剤とを組み合わせて用いることにより、二次電池において、高いエネルギー密度、高い出力特性、長寿命の実現という相乗効果を得ることができる。
フッ素含有材料は安定であり、二次電池の構成要素として用いることにより、特性の安定化、および長寿命等を実現することができる。よって、セパレータ、電解質、または外装体に用いることが好ましい。セパレータ、電解質、および外装体について、詳細は後述する。
<負極の構成の一例>
本発明の一態様の負極として、活物質には高容量材料を用い、導電剤としてはグラフェンまたはグラフェン化合物を組み合わせて用いることにより、高い容量と、高い出力特性と、を有する二次電池の実現という相乗効果を得ることができる。
高容量材料として例えば、後に述べる様々な負極活物質を用いることができる。ここでは一例として、負極活物質としてシリコン、スズ、ガリウム、アルミニウム、ゲルマニウム、鉛、アンチモン、ビスマス、銀、亜鉛、カドミウム、およびインジウムから選ばれる一以上の元素を有する金属、材料または化合物を用いる。これらの材料を用いることにより、二次電池の容量を高めることができる。例えばシリコンは理論容量が4200mAh/gと飛躍的に大きく、高容量の二次電池を実現することができる。
シリコンを有する材料として例えば、SiOx(xは好ましくは2より小さく、より好ましくは0.5以上1.6以下)で表される材料を用いることができる。
シリコンを有する材料として例えば、一つの粒子内に複数の結晶粒を有する形態を用いることができる。例えば、一つの粒子内に、シリコンの結晶粒を一または複数有する形態を用いることができる。また、該一つの粒子は、シリコンの結晶粒の周囲に酸化シリコンを有してもよい。また、該酸化シリコンは非晶質であってもよい。
また、シリコンを有する化合物として例えば、Li2SiO3およびLi4SiO4を用いることができる。Li2SiO3およびLi4SiO4はそれぞれ結晶性を有してもよく、非晶質であってもよい。
導電剤としてフッ素により終端されたグラフェンを用いる。図1Bには、フッ素により終端されるグラフェンの模式図を示す。ここではグラフェンがフッ素により終端される例を示すが、グラフェンがフッ素を有する官能基により終端されてもよい。また、グラフェンは、フッ素、およびフッ素を有する官能基に加えて、カルボニル基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、およびエーテル基等の官能基を有してもよい。
フッ素修飾された導電剤は優れた導電性を有する。高容量材料を用いた電極においては、より大きな電流密度において充電および放電が行われる。優れた導電性を有する導電剤を用いることにより、高容量材料を用いた電極においても、高い出力特性を実現することができる。
<作製方法の一例>
本発明の一態様の負極活物質は例えば、二次電池の反応に寄与することができる第1の材料と、第2の材料としてハロゲンを有する化合物と、を混合し、加熱処理を行うことにより作製することができる。
第2の材料に加えて、第3の材料として、第2の材料との共融反応を生じる材料を混合してもよい。また、共融反応による共融点は、第2の材料の融点および第3の材料の融点の少なくとも一方と比較して、低いことが好ましい。共融反応により融点が低下することにより、加熱処理の際に第1の材料の表面に第2の材料および第3の材料が覆いやすくなり、被覆性を高めることができる場合がある。
また、第2の材料および第3の材料として、二次電池の反応においてそのイオンがキャリアイオンとして機能する金属を有する材料を用いることにより、負極活物質に該金属が含まれる場合に、キャリアイオンとして充放電に寄与できる場合がある。
第3の材料としては例えば、酸素および炭素を有する材料を用いることができる。酸素および炭素を有する材料として例えば、炭酸塩を用いることができる。あるいは酸素および炭素を有する材料として例えば、有機化合物を用いることができる。
あるいは第3の材料として、水酸化物を用いてもよい。
炭酸塩、水酸化物等は安価で安全性が高い材料が多く、好ましい。また炭酸塩、水酸化物等は、ハロゲンを有する材料との共融点が生じる場合があり、好ましい。
なお、以下に説明する負極活物質が電極において導電性を高める効果を有してもよい。また、負極活物質が導電性を高める効果を有する場合には、負極活物質において、電池反応におけるキャリアイオンと負極活物質との反応量が小さくても構わない場合がある。
また、以下に説明する負極活物質の作製方法を、導電剤の作製方法に適用してもよい。例えば、導電剤としてのグラフェンへのフッ素修飾として、以下に説明する図3のフローにおいて、第1の材料801をグラフェンとし、ステップS31乃至ステップS53を行い、導電性材料として、フッ素の修飾されたグラフェンを得ることができる。
第2の材料および第3の材料について、より具体的な一例を述べる。第2の材料としてフッ化リチウムを用いる場合、第1の材料と混合し、加熱を行う際、フッ化リチウムが第1の材料の表面を被覆せず、フッ化リチウムのみで凝集してしまう場合がある。このような場合には、第3の材料としてフッ化リチウムと共融反応が生じる材料を用いることにより、第1の材料の表面への被覆性が向上する場合がある。
フッ化リチウムとの共融反応が生じる第3の材料の一例として、炭酸リチウムについて説明する。
図2はLiFとLi2CO3の比率および温度の関係を示す相図である。図2はFACT Salt Phase Diagramsのデータを引用した。図2に示す通り、LiFの融点はおよそ850℃であるが、Li2CO3を混合することにより融点を下げることができる。よって例えば同じ加熱温度において、LiFのみを用いる場合に比べて、LiFとLi2CO3を混合して用いる方が、溶解しやすく、第1の材料の表面における被覆性を向上させることができる。また、加熱における温度を下げることができる。
また、共融反応を用いることにより、第1の材料の表面との親和性を高めることができる。例えば、第1の材料として黒鉛を用いる場合に、黒鉛の表面において、C-H結合により構成される領域は例えば、フッ素との親和性が低い場合がある。LiFとLi2CO3の共融反応により、黒鉛の表面と、フッ素を有する材料との親和性が向上し、表面への被覆性を向上させることができる。
また図2より、図2に示す点Pにおいて、LiFとLi2CO3のモル量の合計に対するLiFのモル量[LiF/(Li2CO3+LiF)]がおよそ0.48であり、融点が最も低くなる。すなわち、LiFとLi2CO3のモル比をLiF:Li2CO3=a1:(1-a1)とすると、a1を0.48近傍とすることにより融点を最も低くすることができる。点Pの温度Tはおよそ615℃である。
なお、a1を0.48よりも大きい値とすることにより、フッ素含有量がより高い材料で第1の材料の表面を被覆することができる。よってa1は例えば0.2より大きな値が好ましく、0.3以上がより好ましい。しかしながらフッ素含有量が高すぎると、融点の上昇により被覆性が悪くなる場合がある。a1は例えば、0.9より小さい値が好ましく、0.8以下がより好ましい。
図3に示すフロー図を用いて、本発明の一態様の負極活物質の作製方法の一例について説明する。
ステップS21において第1の材料801を準備する。
第1の材料801として、二次電池のキャリアイオンとの反応が可能な材料、キャリアイオンの挿入および脱離が可能な材料、キャリアイオンとなる金属との合金化反応が可能な材料、キャリアイオンとなる金属の溶解および析出が可能な材料等を用いることが好ましい。
二次電池のキャリアイオンとして例えば、リチウムイオン、ナトリウムイオン、およびカリウムイオンなどのアルカリ金属イオン、並びにカルシウムイオン、ストロンチウムイオン、バリウムイオン、ベリリウムイオン、およびマグネシウムイオンなどのアルカリ土類金属イオンを用いることができる。
第1の材料801として例えば、黒鉛、易黒鉛化性炭素、難黒鉛化性炭素、カーボンナノチューブ、カーボンブラックおよびグラフェンなどの炭素材料を用いることができる。
また、第1の材料801として例えば、シリコン、スズ、ガリウム、アルミニウム、ゲルマニウム、鉛、アンチモン、ビスマス、銀、亜鉛、カドミウム、およびインジウムから選ばれる一以上の元素を有する金属、材料または化合物を用いることができる。
また、シリコンに不純物元素としてリン、ヒ素、ホウ素、アルミニウム、またはガリウム等を添加し、低抵抗化してもよい。
シリコンを有する材料として例えば、SiOx(xは好ましくは2より小さく、より好ましくは0.5以上1.6以下)で表される材料を用いることができる。
シリコンを有する材料として例えば、一つの粒子内に複数の結晶粒を有する形態を用いることができる。例えば、一つの粒子内に、シリコンの結晶粒を一または複数有する形態を用いることができる。また、該一つの粒子は、シリコンの結晶粒の周囲に酸化シリコンを有してもよい。また、該酸化シリコンは非晶質であってもよい。
また、シリコンを有する化合物として例えば、Li2SiO3およびLi4SiO4を用いることができる。Li2SiO3およびLi4SiO4はそれぞれ結晶性を有してもよく、非晶質であってもよい。
シリコンを有する化合物の分析は、NMR、XRD、またはラマン分光等を用いて行うことができる。
また、第1の材料801として例えば、チタン、ニオブ、タングステンおよびモリブデンから選ばれる一以上の元素を有する酸化物を用いることができる。
第1の材料801として上記に示す金属、材料、化合物等を複数組み合わせて用いることができる。
第1の材料801の加熱を行う場合、該加熱の際に、雰囲気中の酸素との反応が生じ、表面に酸化膜が形成される場合がある。本発明の一態様の負極活物質の作製においては、後述するステップS51において、ハロゲンを有する材料802と、酸素および炭素を有する材料803の共融反応を生じさせることにより、低い温度で加熱を行うことができるため、表面における酸化反応等を抑制することができる。
また、第1の材料801として炭素材料を用いる場合には、加熱の際に、該炭素材料と雰囲気中の酸素との反応により二酸化炭素が発生し、第1の材料801の重量の減少、および第1の材料801の表面へのダメージ等が発生する懸念がある。本発明の一態様の負極活物質の作製においては低い温度で加熱を行うことができるため、第1の材料として炭素材料を用いる場合においても、重量減少、および表面ダメージ等を抑制することができる。
ここでは第1の材料801として、黒鉛を準備する。黒鉛として、鱗片状黒鉛、球状化天然黒鉛、およびMCMB等を用いることができる。また、黒鉛は表面に低結晶の炭素材料が被覆されていてもよい。
ステップS22において第2の材料として、ハロゲンを有する材料802を準備する。ハロゲンを有する材料802として、金属A1を有するハロゲン化合物を用いることができる。金属A1として例えば、リチウム、マグネシウム、アルミニウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、バリウム、ランタン、セリウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、亜鉛、ジルコニウム、チタン、バナジウムおよびニオブから選ばれる一以上を用いることができる。ハロゲン化合物として例えば、フッ化物または塩化物を用いることができる。ハロゲンを有する材料802が有するハロゲンを元素Zと表す。
ここでは例としてフッ化リチウムを準備する。
ステップS23において第3の材料として、酸素および炭素を有する材料803を準備する。酸素および炭素を有する材料803として例えば、金属A2を有する炭酸塩を用いることができる。金属A2として例えば、リチウム、マグネシウム、アルミニウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、バリウム、ランタン、セリウム、クロム、マンガン、鉄、コバルトおよびニッケルから選ばれる一以上を用いることができる。
ここでは例として炭酸リチウムを準備する。
次にステップS31において、第1の材料801と、ハロゲンを有する材料802と、酸素および炭素を有する材料803と、を混合し、ステップ32において混合物を回収し、ステップS33において混合物804を得る。
ハロゲンを有する材料802と、酸素および炭素を有する材料803と、は、(ハロゲンを有する材料802):(酸素および炭素を有する材料803)=a1:(1-a1)[単位はmol]の比率で混合することが好ましく、a1は好ましくは0.2より大きく0.9より小さく、より好ましくは0.3以上0.8以下である。
また、第1の材料801と、ハロゲンを有する材料802と、は、(第1の材料801):(ハロゲンを有する材料802)=1:b1[単位はmol]の比率で混合することが好ましく、b1は好ましくは0.001以上0.2以下である。
次にステップS51において、混合物804の加熱を行う。
加熱を還元雰囲気下で行うことにより、第1の材料801の表面の酸化、および第1の材料801と酸素との反応を抑制することができるため、好ましい。還元雰囲気としては、例えば、窒素雰囲気、希ガス雰囲気であればよい。また、窒素および希ガスのうち、2種類以上のガスを混合して用いてもよい。また、加熱は減圧下で行ってもよい。
ハロゲンを有する材料802の融点をM2[℃]と表す場合において、加熱の温度は例えば(M2-550)[K]より高く(M2+50)[K]より低いことが好ましく、(M2-400)[℃]以上(M2)[℃]以下であることがより好ましい。
また、化合物は、タンマン温度以上の温度において、固相拡散が生じやすくなる。タンマン温度は例えば、酸化物であれば融点の0.757倍である。よって例えば、加熱の温度は共融点の0.757倍以上、あるいはその近傍の温度より高い温度であることが好ましい。
また、ハロゲンを有する材料の代表例として、フッ化リチウムにおいては、融点以上で蒸発量が急激に上昇する。よって例えば、加熱の温度はハロゲンを有する材料の融点以下であることが好ましい。
ハロゲンを有する材料802と、酸素および炭素を有する材料803と、の共融点をM23[K]と表す場合において、加熱の温度は例えば(M23×0.7)[K]より高く(M2+50)[K]より低いことが好ましく、(M23×0.75)[K]以上(M2+20)[K]以下であることが好ましく、(M23×0.75)[K]以上(M2+20)[K]以下であることが好ましく、M23[K]より高く(M2+10)[K]より低いことが好ましく、(M23×0.8)[K]以上M2[K]以下であることがより好ましく、(M23)[K]以上M2[K]以下であることがより好ましい。
ハロゲンを有する材料802としてフッ化リチウム、酸素および炭素を有する材料803として炭酸リチウムを用いる場合には、加熱の温度は例えば、350℃より大きく900℃より小さいことが好ましく、390℃以上850℃以下がより好ましく、520℃以上910℃以下がさらに好ましく、570℃以上860℃以下がさらに好ましく、610℃以上860℃以下がさらに好ましい。
加熱時間は例えば、1時間以上60時間以下が好ましく、3時間以上20時間以下がより好ましい。
加熱を行うことにより、第1の材料801の表層部に、元素Z、酸素、炭素、金属A1および金属A2の一以上が拡散される場合がある。第1の材料801がこれらの元素を有することにより、第1の材料801において、キャリアイオンの挿入脱離がしやすくなる場合がある。また、キャリアイオンの脱溶媒和がしやすくなる場合がある。あるいは、キャリアイオンの挿入脱離を繰り返し行うことによる第1の材料801の結晶構造の崩れを抑制できる場合がある。
次にステップS52において、加熱された混合物を回収し、ステップS53において、負極活物質805を得る。
以上に示すステップにより、本発明の一態様の負極活物質を得ることができる。
次に、本発明の一態様の負極および負極活物質について説明する。
本発明の一態様の負極は、負極活物質層を有する。負極活物質層は、負極活物質を有する。また負極活物質層は、導電剤、バインダ等を有してもよい。負極活物質層が電解質を有していてもよい。負極活物質層が電解質を有することにより、負極活物質層のキャリアイオンを拡散させやすくすることができる。電解質は、負極活物質層を形成するためのスラリーに混合し、該スラリーを負極集電体に塗布することにより、負極活物質層に含ませることができる。あるいは、スラリーを負極集電体に塗布して乾燥を行った後、電解質を有する溶液に、負極を浸漬させることにより、負極活物質層に電解質を含ませることができる。
また本発明の一態様の負極は、負極集電体を有することが好ましく、負極集電体上に負極活物質層が設けられることが好ましい。
<負極活物質>
図4A、図4B、図4Cおよび図4Dは負極活物質400の断面の一例を示す。
負極活物質400において、加工によって断面を露出させることにより、断面の観察および分析を行うことができる。
図4Aに示す負極活物質400は領域401と領域402を有する。領域402は領域401の外側に位置する。また領域402は領域401の表面と接することが好ましい。
領域402の少なくとも一部は、負極活物質400の表面を含むことが好ましい。
領域401は例えば、負極活物質400の内部を含む領域である。
領域401は、先に述べた第1の材料801を有する。領域402は、先に述べた、ハロゲンを有する材料802と、酸素および炭素を有する材料803と、を用いて形成される領域である。領域402は例えば元素Z、酸素、炭素、金属A1および金属A2を有する。元素Zは例えばフッ素、または塩素等である。なお、領域402は元素Z、酸素、炭素、金属A1および金属A2のうち一部の元素を含まない場合がある。あるいは領域402において元素Z、酸素、炭素、金属A1および金属A2のうち一部の元素の濃度が低く分析により検出されない場合がある。
領域402を負極活物質400の表層部等と呼ぶ場合がある。
負極活物質400は、一つの粒子、複数の粒子の集合体、および薄膜等の様々な形態を有することができる。
領域401が第1の材料801の粒子であってもよい。あるいは領域401が第1の材料801の複数の粒子の集合体であってもよい。あるいは領域401が第1の材料801の薄膜であってもよい。
領域402が粒子の一部であってもよい。例えば領域402が粒子の表層部であってもよい。あるいは領域402が薄膜の一部であってもよい。例えば領域402が薄膜の上層部であってもよい。
領域402は粒子の表面に形成される被覆層であってもよい。
また、領域402は、第1の材料801を構成する元素と元素Zとの結合を有する領域であってもよい。例えば、領域402、あるいは領域401と領域402の界面において、第1の材料801の表面が元素Z、あるいは元素Zを有する官能基により修飾されてもよい。よって、本発明の一態様の負極活物質において、第1の材料801を構成する元素と、元素Zとの結合が観測される場合がある。例として、第1の材料801が黒鉛であり、元素Zがフッ素である場合には例えば、C-F結合が観測される場合がある。また例として、第1の材料801がシリコンを有し、元素Zがフッ素である場合には例えばSi-F結合が観測される場合がある。
例えば、第1の材料801として黒鉛を用いる場合において、領域401は黒鉛の粒子であり、領域402が該黒鉛の粒子の被覆層である。あるいは例えば、第1の材料801として黒鉛を用いる場合において、領域401は黒鉛の粒子の内部を含む領域であり、領域402は該黒鉛粒子の表層部である。
領域402は例えば、元素Zと炭素の結合を有する。また領域402は例えば、元素Zと金属A1の結合を有する。また領域402は例えば、炭酸基を有する。
X線光電子分光(X-ray Photoelectron Spectroscopy:XPS)により負極活物質400の分析を行う場合、元素Zが検出されることが好ましく、元素Zは1atomic%以上の濃度において検出されることが好ましい。このとき、元素Zの濃度は例えば、炭素、酸素、金属A1、金属A2および元素Zの濃度の合計を100%として算出することができる。あるいはこれらの元素の濃度に窒素の濃度を加えた値を100%として算出してもよい。また、元素Zの濃度は例えば、60atomic%以下、あるいは例えば30atomic%以下である。
XPSにより負極活物質400の分析を行う場合、元素Zと炭素との結合に起因するピークが検出されることが好ましい。また、元素Zと金属A1との結合に起因するピークが検出されてもよい。
元素Zがフッ素、金属A1がリチウムの場合、XPSのF1sスペクトルにおいて、炭素-フッ素の結合を示唆するピーク(以下、ピークF2)は688eV近傍、例えば686.5eVより高く689.5eVより低いエネルギー範囲にピーク位置が観測され、リチウム-フッ素の結合を示唆するピーク(以下、ピークF1)は685eV近傍、例えば683.5eVより高く686.5eVより低いエネルギー範囲にピーク位置が観測される。またピークF2の強度はピークF1の強度の0.1倍より大きく10倍より小さいことが好ましく、例えば0.3倍以上3倍以下である。
XPSにより負極活物質400の分析を行う場合、炭酸塩、あるいは炭酸基に相当するピークが見られることが好ましい。XPSのC1sスペクトルにおいて、炭酸塩、あるいは炭酸基に相当するピークは、290eV近傍、例えば288.5eVより高く291.5eVより低いエネルギー範囲にピーク位置が観測される。
図4Bに示す例においては、領域401は、領域402に覆われない領域を有する。また図4Cに示す例においては、領域401の表面において凹んだ領域を覆う領域402は、厚さが厚くなっている。
図4Dに示す負極活物質400では、領域401が領域401aおよび領域401bを有する。領域401aは領域401の内部を含む領域であり、領域401bは領域401aの外側に位置する。また領域401bは領域402と接することが好ましい。
領域401bは領域401の表層部である。
領域401bは、領域402が有する元素Z、酸素、炭素、金属A1および金属A2の一以上の元素を有する。また、領域401bにおいて、領域402が有する元素Z、酸素、炭素、金属A1、および金属A2等の元素は、表面、または表面近傍から、内部へ向かって濃度が徐々に減少する濃度勾配を有してもよい。
領域401bが有する元素Zの濃度は、領域401aが有する元素Zの濃度より高い。また領域401bが有する元素Zの濃度は、領域402が有する元素Zの濃度より低いことが好ましい。
領域401bが有する酸素の濃度は、領域401aが有する酸素の濃度より高い場合がある。また領域401bが有する酸素の濃度は、領域402が有する酸素の濃度より低い場合がある。
本発明の一態様の負極活物質を、走査型電子顕微鏡を用いてエネルギー分散型X線分析法により測定する場合において、元素Zが検出されることが好ましい。また、元素Zの濃度は例えば、元素Zと酸素の濃度の合計を100atomic%として、10atomic%以上70atomic%以下であることが好ましい。
領域402は例えば厚さが50nm以下、より好ましくは1nm以上35nm以下、さらに好ましくは5nm以上20nm以下の領域を有する。
領域401bは例えば厚さが50nm以下、より好ましくは1nm以上35nm以下、さらに好ましくは5nm以上20nm以下の領域を有する。
元素Zとしてフッ素、金属A1および金属A2としてリチウムを用いる場合、領域401に対して、領域402は、フッ化リチウムを有する領域に被覆される領域と、炭酸リチウムを有する領域に被覆される領域と、を有してもよい。また、領域402はリチウムの挿入および脱離を阻害しないため、二次電池の出力特性等が低減することなく、優れた二次電池を実現することができる。
<フッ素修飾された黒鉛>
黒鉛へのフッ素修飾を行った構造について、第一原理計算を用いて安定化エネルギーを算出した。
原子緩和計算は、第一原理電子状態計算パッケージVASP(Vienna ab initio Simulation Package)を用いた。汎関数として、GGA+U(DFT-D2)を用い、擬ポテンシャルとしてPAWを用いた。カットオフエネルギーを600eVとした。総原子数は、C(炭素)原子144個、H(水素)原子32個、F(フッ素)原子32個、Li(リチウム)原子24個とした。k-pointsを1×1×1とした。計算の内容として、格子と原子位置を定積条件により最適化した。
下記の式により表される安定化エネルギーΔEの計算を行った。
ここで、Etotal(C144H32-xFxLiy)は黒鉛にF原子置換、Li原子を導入したモデルのエネルギーであり、Etotal(H)はH原子1個のエネルギーであり、Etotal(F)はF原子1個のエネルギーであり、Etotal(Li)はLi原子1個のエネルギーであり、Etotal(C144H32)は黒鉛のエネルギーである。xは黒鉛のH原子をF原子に置換した数、yは黒鉛へ導入したLi原子の数である。
図5には、置換するF原子の数を変化させた場合の黒鉛の面間隔dを示す。なお、Li原子の導入は行っていない。
図5の横軸はF濃度を表し、濃度が50%の場合には16個のH原子をF原子で置換、濃度が100%の場合には32個、すなわち全てのH原子をF原子で置換したことを示す。
F濃度が50%まで増加しても、面間隔dは安定する傾向がみられた。一方、F濃度が50%を超えると、面間隔dが増加し、結晶構造が不安定になることが示唆される。導入されるF原子の密度が高くなり、F原子同士の反発により、不安定になると考えられる。
図6はF濃度が0%、図7にはF濃度が50%、図8にはF濃度が100%において、計算により求められた黒鉛の構造を示す。F原子は黒鉛の端面において、H原子に置換される。F濃度が高くなるのに伴い、黒鉛のグラフェン層が歪む様子がみられ、F原子同士が反発する様子もみられる。
図9には、F濃度が0%、50%および100%において、Li原子を導入した場合の安定化エネルギーΔEの変化を示す。
Li濃度の増加に伴い、安定化エネルギーΔEは顕著に減少し、安定化することが示唆された。
黒鉛へのフッ素修飾を行う場合において、適度なフッ素の添加は、結晶構造への影響が小さく、結晶性も良好に保たれることが示唆された。
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明の一態様の正極活物質について説明する。
正極活物質としてたとえばオリビン型の結晶構造、層状岩塩型の結晶構造、およびスピネル型の結晶構造を有する複合酸化物等がある。例えば、LiFePO4、LiFeO2、LiNiO2、LiMn2O4、V2O5、Cr2O5、およびMnO2等の化合物があげられる。
また、正極活物質としてLiMn2O4等のマンガンを含むスピネル型の結晶構造を有するリチウム含有材料に、ニッケル酸リチウム(LiNiO2またはLiNi1-xMxO2(0<x<1)(M=Co、Al等))を混合すると好ましい。該構成とすることによって、二次電池の特性を向上させることができる。
また、正極活物質として、組成式LiaMnbMcOdで表すことができるリチウムマンガン複合酸化物を用いることができる。ここで、元素Mは、リチウム以外、かつ、マンガン以外から選ばれた金属元素、または、シリコンまたはリンを用いることが好ましく、ニッケルであることがさらに好ましい。また、リチウムマンガン複合酸化物の粒子全体を測定する場合、放電時に0<a/(b+c)<2、かつc>0、かつ0.26≦(b+c)/d<0.5を満たすことが好ましい。なお、リチウムマンガン複合酸化物の粒子全体の金属、シリコン、またはリン等の組成は、例えばICP-MS(誘導結合プラズマ質量分析計)を用いて測定することができる。またリチウムマンガン複合酸化物の粒子全体の酸素の割合は、例えばEDXを用いて測定することが可能である。また、ICP-MS分析と併用して、融解ガス分析、XAFS(X線吸収微細構造)分析の価数評価を用いることで求めることができる。なお、リチウムマンガン複合酸化物とは、少なくともリチウムとマンガンとを含む酸化物をいい、クロム、コバルト、アルミニウム、ニッケル、鉄、マグネシウム、モリブデン、亜鉛、インジウム、ガリウム、銅、チタン、ニオブ、シリコン、およびリンなどからなる群から選ばれる少なくとも一種の元素を含んでいてもよい。
<コバルト含有材料の作製方法の例>
次に、図10を用いて、正極活物質として適用可能な材料の一態様であるLiMO2の作製方法の一例について説明する。金属Mとして例えばマンガン、コバルト、およびニッケルのうち少なくとも一を用いることができる。また、金属Mは上記で挙げた金属に加えてさらに、金属Xを含むことができる。また、金属Mの置換位置に特に限定はない。以下では金属XがMgであるコバルト含有材料を例にして説明する。なお、本発明の一態様の正極活物質は、LiMO2で表されるリチウム複合酸化物の結晶構造を有するが、その組成はLi:M:O=1:1:2には限定されない。
まず、ステップS11において、複合酸化物811として、リチウム、遷移金属および酸素を有する複合酸化物を用いる。ここで、遷移金属としてコバルトを含む一以上を用いることが好ましい。
リチウム、遷移金属および酸素を有する複合酸化物は、リチウム源および遷移金属源を酸素雰囲気下で加熱することで合成することができる。遷移金属源としては、リチウムとともに空間群R-3mに属する層状岩塩型の複合酸化物を形成しうる金属を用いることが好ましい。たとえばマンガン、コバルト、およびニッケルのうち少なくとも一を用いることができる。また、これらの遷移金属に加えてアルミニウムを用いてもよい。つまり遷移金属源としてコバルト源のみを用いてもよいし、ニッケル源のみを用いてもよいし、コバルト源とマンガン源の2種、またはコバルト源とニッケル源の2種を用いてもよいし、コバルト源、マンガン源、およびニッケル源の3種を用いてもよい。さらに、これらの金属源に加えて、アルミニウム源を用いてもよい。このときの加熱温度は、後述するステップS17よりも高い温度で行うことが好ましい。たとえば1000℃で行うことができる。本加熱工程を焼成と呼ぶ場合がある。
あらかじめ合成されたリチウム、遷移金属および酸素を有する複合酸化物を用いる場合、不純物の少ないものを用いることが好ましい。本明細書等では、リチウム、遷移金属および酸素を有する複合酸化物、コバルト含有材料および正極活物質について主成分をリチウム、コバルト、ニッケル、マンガン、アルミニウムおよび酸素とし、上記主成分以外の元素を不純物とする。例えばグロー放電質量分析法(GD-MS)で分析したとき、不純物濃度があわせて10,000ppmw(parts per million weight)以下であることが好ましく、5000ppmw以下がより好ましい。特に、チタン等の遷移金属およびヒ素の不純物濃度があわせて3000ppmw以下であることが好ましく、1500ppmw以下であることがより好ましい。
例えば、あらかじめ合成されたコバルト酸リチウムとして、日本化学工業株式会社製のコバルト酸リチウム粒子(商品名:セルシードC-10N)を用いることができる。これは平均粒子径(D50)が約12μmであり、グロー放電質量分析法による不純物分析において、マグネシウム濃度およびフッ素濃度が50ppmw以下、カルシウム濃度、アルミニウム濃度およびシリコン濃度が100ppmw以下、ニッケル濃度が150ppmw以下、硫黄濃度が500ppmw以下、ヒ素濃度が1100ppmw以下、その他のリチウム、コバルトおよび酸素以外の元素濃度が150ppmw以下である、コバルト酸リチウムである。
ステップS11の複合酸化物811は欠陥およびひずみの少ない層状岩塩型の結晶構造を有することが好ましい。そのため、不純物の少ない複合酸化物であることが好ましい。リチウム、遷移金属および酸素を有する複合酸化物に不純物が多く含まれると、欠陥またはひずみの多い結晶構造となる可能性が高い。
また、ステップS12において、フッ化物812を用意する。フッ化物812としては、フッ化リチウム(LiF)、フッ化マグネシウム(MgF2)、フッ化アルミニウム(AlF3)、フッ化チタン(TiF4)、フッ化コバルト(CoF2、CoF3)、フッ化ニッケル(NiF2)、フッ化ジルコニウム(ZrF4)、フッ化バナジウム(VF5)、フッ化マンガン(MnF2)、フッ化鉄(FeF3)、フッ化クロム(CrF3)、フッ化ニオブ(NbF5)、フッ化亜鉛(ZnF2)、フッ化カルシウム(CaF2)、フッ化ナトリウム(NaF)、フッ化カリウム(KF)、フッ化バリウム(BaF2)、フッ化セリウム(CeF2)、フッ化ランタン(LaF3)、および六フッ化アルミニウムナトリウム(Na3AlF6)等を用いることができる。フッ化物812はフッ素源として機能するものであればよい。そのためフッ化物812に代えて、またはその一部として、たとえばフッ素(F2)、フッ化炭素(CF4)、フッ化硫黄(SF2、SF4、SF6、S2F10)、フッ化酸素(OF2、O2F2、O3F2、O4F2、O2F)等を用い、雰囲気中に混合してもよい。
フッ化物812が金属Xを有する化合物である場合には、後述する化合物813(金属Xを有する化合物)と兼ねることができる。
フッ化物812として本実施の形態では、フッ化リチウム(LiF)を用意する。LiFはLiCoO2と共通のカチオンを有するため好ましい。またLiFは融点が848℃と比較的低く、後述する加熱工程で溶融しやすいため好ましい。
また、フッ化物812としてLiFを用いる場合には、ステップS13として、フッ化物812に加えて、化合物813(金属Xを有する化合物)を用意することが好ましい。化合物813は金属Xを有する化合物である。ステップS13において、化合物813を用意する。化合物813として、金属Xのフッ化物、酸化物、または水酸化物等を用いることができ、特にフッ化物を用いることが好ましい。
金属Xとしてマグネシウムを用いる場合には、化合物813としてMgF2等を用いることができる。マグネシウムは、高濃度にコバルト含有材料の表面近傍に配することができる。
またフッ化物812および化合物813に加えて、コバルト以外、かつ、金属X以外の金属を有する材料を混合してもよい。コバルト以外、かつ、金属X以外の金属を有する材料として例えばニッケル源、マンガン源、アルミニウム源、鉄源、バナジウム源、クロム源、ニオブ源、およびチタン源等のうち少なくとも一を混合することができる。例えば各金属の水酸化物、フッ化物、または酸化物等を微粉化して混合することが好ましい。微粉化は、たとえば湿式で行うことができる。
また、ステップS11、ステップS12およびステップS13の順番は自由に組み合わせてもよい。
次いで、ステップS14として、ステップS11、ステップS12およびステップS13で用意した材料を混合および粉砕する。混合は乾式または湿式で行うことができるが、湿式はより小さく粉砕することができるため好ましい。湿式で行う場合は、溶媒を用意する。溶媒としてはアセトン等のケトン、エタノールおよびイソプロパノール等のアルコール、エーテル、ジオキサン、アセトニトリル、およびN-メチル-2-ピロリドン(NMP)等を用いることができる。リチウムと反応が起こりにくい、非プロトン性溶媒を用いることがより好ましい。本実施の形態では、アセトンを用いることとする。
混合には例えばボールミル、およびビーズミル等を用いることができる。ボールミルを用いる場合は、例えばメディアとしてジルコニアボールを用いることが好ましい。この混合および粉砕工程を十分に行い、混合物814となる粉体を微粉化することが好ましい。
次に、ステップS15において上記で混合、粉砕した材料を回収し、ステップS16において混合物814を得る。
混合物814は、例えばD50が600nm以上20μm以下であることが好ましく、1μm以上10μm以下であることがより好ましい。
混合物814が溶融する温度以上であるとより好ましい。また、加熱する温度はLiCoO2の分解温度(1130℃)以下であることが好ましい。
フッ化物812としてLiFを用い、蓋をしてS17の加熱を行うことでサイクル特性などが良好なコバルト含有材料808を作製できる。また、フッ化物812として、LiFおよびMgF2を用いると、LiFとMgF2の共融点は742℃付近であるため、S17の加熱温度を742℃以上とするとLiCoO2との反応が促進し、LiMO2が生成すると考えられる。
また、LiF、MgF2およびLiCoO2は820℃付近に示差走査熱量測定(DSC測定)による吸熱ピークが観測される。よって、加熱温度としては、742℃以上が好ましく、820℃以上がより好ましい。
よって、加熱温度としては、742℃以上1130℃以下が好ましく、742℃以上1000℃以下がより好ましい。また、820℃以上1130℃以下が好ましく、820℃以上1000℃以下がより好ましい。
また、本実施の形態において、フッ化物であるLiFが融剤として機能すると考えられる。よって、加熱炉内部の容積が容器の容積に比べ大きく、酸素よりも軽いため、LiFが揮発し、混合物814中のLiFが減少するとLiMO2の生成が抑制されてしまうことが予想される。よって、LiFの揮発を抑制しつつ、加熱する必要がある。
そこで、LiFを含む雰囲気下で混合物814を加熱すること、すなわち、加熱炉内のLiFの分圧が高い状態で混合物814を加熱することによって、混合物814中のLiFの揮発を抑制する。共融混合物を形成するフッ化物(LiFまたはMgF)を用いて蓋をして加熱することで、加熱温度をLiCoO2の分解温度(1130℃)以下、具体的には742℃以上1000℃以下にまで低温化でき、LiMO2の生成を効率よく進行させることができる。そのため、特性が良好なコバルト含有材料を作製でき、さらにアニール時間も短縮することができる。
S17における加熱方法の一例を図11に示す。
図11に示す加熱炉120は加熱炉内空間102、熱板104、ヒーター部106および断熱材108を有する。容器116に蓋118を配してアニールするとより好ましい。該構成とすることによって、容器116および蓋118で構成される空間119内をフッ化物を含む雰囲気にすることができる。加熱中は、空間119内のガス化されたフッ化物の濃度が一定または低減しないように蓋をすることで状態を維持すると、粒子表面近傍にフッ素およびマグネシウムを含ませることができる。空間119は加熱炉内空間102よりも容積が小さいため、少量のフッ化物が揮発することで、フッ化物を含む雰囲気とすることができる。すなわち、混合物814に含まれるフッ化物の量を大きく損なうことなく反応系をフッ化物を含む雰囲気にすることができる。そのため、効率よくLiMO2を生成させることができる。また、蓋118を用いることによって簡便かつ安価にフッ化物を含む雰囲気下で混合物814を加熱することができる。
ここで、本発明の一態様によって作製されるLiMO2中のCo(コバルト)の価数はおおむね3価であることが好ましい。コバルトは2価および3価をとり得る。そのため、コバルトの還元を抑制するために、加熱炉内空間102の雰囲気は酸素を含むと好ましく、加熱炉内空間102の雰囲気中の窒素に対する酸素の比が大気雰囲気以上であるとより好ましく、加熱炉内空間102の雰囲気における酸素濃度は大気雰囲気以上であるとさらに好ましい。よって、加熱炉内空間に酸素を含む雰囲気を導入する必要がある。ただし、近くにマグネシウム原子が存在するコバルト原子については2価である方が安定である可能性があるため、全てのコバルト原子が3価でなくてもよい。
そこで、本発明の一態様では、加熱を行う前に、加熱炉内空間102を、酸素を含む雰囲気にする工程および混合物814を入れた容器116を加熱炉内空間102に設置する工程を行う。該工程の順序とすることで、混合物814を酸素およびフッ化物を含む雰囲気下で加熱することができる。また、加熱中は加熱炉内空間102を密閉し、ガスが外部に運ばれないようにすることが好ましい。例えば、加熱中はガスをフローしないで行うと好ましい。
加熱炉内空間102を、酸素を含む雰囲気にする方法は特に制限はないが、一例として加熱炉内空間102を排気した後、酸素ガスまたは乾燥空気等酸素を含む気体を導入する方法、および酸素ガスまた乾燥空気等酸素を含む気体を一定時間流入する方法が挙げられる。中でも、加熱炉内空間102を排気した後、酸素ガスを導入する(酸素置換)を行うと好ましい。なお、加熱炉内空間102の大気を、酸素を含む雰囲気とみなしても構わない。
容器116に蓋118を配し、酸素を含む雰囲気としてから加熱すると、容器116に配した蓋118の隙間から適度な量の酸素が容器116内に入り、かつフッ化物を適度な量、容器116内に留めることができる。
また、容器116および蓋118の内壁に付着したフッ化物等が、加熱により再飛翔して混合物814に付着する可能性もある。
上記ステップS17の加熱は、適切な温度および時間で行うことが好ましい。適切な温度および時間は、ステップS11の複合酸化物811の粒子の大きさおよび組成等の条件により変化する。粒子が小さい場合は、大きい場合よりも低い温度または短い時間がより好ましい場合がある。S17の加熱後に蓋をとる工程を有する。
例えばステップS11の粒子の平均粒子径(D50)が12μm程度の場合、加熱時間は例えば3時間以上が好ましく、10時間以上がより好ましい。
一方、ステップS11の粒子の平均粒子径(D50)が5μm程度の場合、加熱時間は例えば1時間以上10時間以下が好ましく、2時間程度がより好ましい。
加熱後の降温時間は、例えば10時間以上50時間以下とすることが好ましい。
次に、ステップS18において上記で加熱した材料を回収し、ステップS19においてコバルト含有材料808を得る。
[正極活物質の構造]
コバルト酸リチウム(LiCoO2)などの層状岩塩型の結晶構造を有する材料は、放電容量が高く、二次電池の正極活物質として優れることが知られている。層状岩塩型の結晶構造を有する材料として例えば、LiMO2で表される複合酸化物が挙げられる。金属Mは上記で挙げた金属を含む。また、金属Mは上記で挙げた金属に加えてさらに、上記で挙げた金属Xを含むことができる。
遷移金属化合物におけるヤーン・テラー効果は、遷移金属のd軌道の電子の数により、その効果の強さが異なることが知られている。
ニッケルを有する化合物においては、ヤーン・テラー効果により歪みが生じやすい場合がある。よって、LiNiO2において高電圧における充放電を行った場合、歪みに起因する結晶構造の崩れが生じる懸念がある。LiCoO2においてはヤーン・テラー効果の影響が小さいことが示唆され、高電圧における充放電の耐性がより優れる場合があり好ましい。
図12および図13を用いて、正極活物質について説明する。
本発明の一態様で作製される正極活物質は、高電圧の充放電の繰り返しにおいて、CoO2層のずれを小さくすることができる。さらに、体積の変化を小さくすることができる。よって、該化合物は、優れたサイクル特性を実現することができる。また、該化合物は、高電圧の充電状態において安定な結晶構造を取り得る。よって、該化合物は、高電圧の充電状態を保持した場合において、ショートが生じづらい場合がある。そのような場合には安全性がより向上するため、好ましい。
該化合物では、十分に放電された状態と、高電圧で充電された状態における、結晶構造の変化および同数の遷移金属原子あたりで比較した場合の体積の差が小さい。
また、本発明の一態様の正極活物質はリチウムと、上記で挙げた金属Mと、酸素と、チタンと、を有する。また、本発明の一態様の正極活物質は、フッ素および塩素等のハロゲンを有することが好ましい。
本発明の一態様の正極活物質は、粒子状の形態を有することが好ましい。本発明の一態様の正極活物質が粒子状の形態を有する場合には、粒子の表層部のチタンの濃度は、内部のチタンの濃度よりも高い。また、該表層部のマグネシウムの濃度は、内部のマグネシウムの濃度よりも高い。また、本発明の一態様の正極活物質の表層部はさらに、表面から内部に向かって10nm以内、あるいは5nm以内、あるいは3nm以内であり、マグネシウムの濃度が特に高い、第1の領域を有してもよい。また例えば、該第1の領域におけるチタンに対するマグネシウム濃度の比(Mg/Ti)は、表層部において該第1の領域よりも内部に位置する領域における、チタンに対するマグネシウム濃度の比(Mg/Ti)よりも高い場合がある。
なお、表層部、内部、および表層部における第1の領域等のそれぞれの領域において、金属M、チタン等の元素の濃度は例えば、勾配を有する。すなわち例えば、それぞれの領域の境界において、各元素の濃度が急峻に変化せず、勾配を有して変化する。ここで金属Mとしてコバルトおよびマグネシウムに加えて例えばアルミニウムおよびニッケル等を用いることができる。このような場合にはアルミニウムおよびニッケルはそれぞれ、表層部、内部、および表層部における第1の領域等のそれぞれの領域において例えば、濃度勾配を有する。
本発明の一態様の正極活物質は、第1の領域を有する。本発明の一態様の正極活物質が粒子状の形態を有する場合には、第1の領域は、該表層部よりも内側の領域を含むことが好ましい。また、該表層部の少なくとも一部が第1の領域に含まれてもよい。第1の領域は、層状岩塩型構造で表されることが好ましく、該領域は空間群R-3mで表される。第1の領域は、リチウムおよび金属Mを有する領域である。第1の領域の充放電前後の結晶構造の一例を、図12に示す。また、本発明の一態様の正極活物質の表層部は、以下の図12等に説明する層状岩塩型構造で表される領域に加えて、あるいは替えて、チタン、マグネシウムおよび酸素を有し、層状岩塩型構造と異なる構造で表される結晶を有してもよい。例えば、チタン、マグネシウムおよび酸素を有し、スピネル構造で表される結晶を有してもよい。
図12の充電深度0(放電状態)の結晶構造は、図13と同じR-3m(O3)である。一方、第1の領域は、十分に充電された充電深度の場合、H1-3型結晶構造とは異なる構造の結晶を有する。本構造は、空間群R-3mであり、スピネル型結晶構造ではないものの、コバルト、マグネシウム等のイオンが酸素6配位位置を占め、陽イオンの配列がスピネル型と似た対称性を有する。また、本構造のCoO2層の対称性はO3型と同じである。よって、本構造を本明細書等ではO3’型結晶構造、または擬スピネル型の結晶構造と呼ぶ。なお、図12に示されているO3’型結晶構造の図では、いずれのリチウムサイトにも約20%の確率でリチウムが存在しうるとしているが、これに限らない。特定の一部のリチウムサイトにのみ存在していてもよい。また、O3型結晶構造およびO3’型結晶構造のいずれの場合も、CoO2層の間、つまりリチウムサイトに、希薄にマグネシウムが存在することが好ましい。また、酸素サイトに、ランダムかつ希薄に、フッ素等のハロゲンが存在してもよい。
なお、O3’型結晶構造では、リチウムなどの軽元素は酸素4配位位置を占める場合があり、この場合もイオンの配列がスピネル型と似た対称性を有する。
またO3’型結晶構造は、層間にランダムにLiを有するもののCdCl2型の結晶構造に類似する結晶構造であるということもできる。このCdCl2型に類似した結晶構造は、ニッケル酸リチウムを充電深度0.94まで充電したとき(Li0.06NiO2)の結晶構造と近いが、純粋なコバルト酸リチウム、またはコバルトを多く含む層状岩塩型の正極活物質では通常この結晶構造を取らないことが知られている。
層状岩塩型結晶、および岩塩型結晶の陰イオンは立方最密充填構造(面心立方格子構造)をとる。O3’型結晶構造も、陰イオンは立方最密充填構造をとると推定される。これらが接するとき、陰イオンにより構成される立方最密充填構造の向きが揃う結晶面が存在する。ただし、層状岩塩型結晶およびO3’型結晶構造の空間群はR-3mであり、岩塩型結晶の空間群Fm-3m(一般的な岩塩型結晶の空間群)およびFd-3m(最も単純な対称性を有する岩塩型結晶の空間群)とは異なるため、上記の条件を満たす結晶面のミラー指数は層状岩塩型結晶およびO3’型結晶構造と、岩塩型結晶では異なる。本明細書では、層状岩塩型結晶、O3’型結晶構造、および岩塩型結晶において、陰イオンにより構成される立方最密充填構造の向きが揃うとき、結晶の配向が概略一致する、と言う場合がある。
第1の領域では、高電圧で充電し多くのリチウムが離脱したときの、結晶構造の変化が、後述する比較例よりも抑制されている。例えば、図12中に点線で示すように、これらの結晶構造ではCoO2層のずれがほとんどない。
より詳細に説明すれば、第1の領域は、充電電圧が高い場合にも構造の安定性が高い。例えば、図13においてはリチウム金属の電位を基準として4.6V程度の電圧ではH1-3型結晶構造となってしまうが、本発明の一態様の正極活物質は当該4.6V程度の充電電圧においても、R-3m(O3)の結晶構造を保持できる。さらに高い充電電圧、例えばリチウム金属の電位を基準として4.65V乃至4.7V程度の電圧においても、本発明の一態様の正極活物質はO3’型結晶構造を取り得る。さらに充電電圧を4.7Vより高めると、本発明の一態様の正極活物質はようやく、H1-3型結晶が観測される場合がある。また、充電電圧がより低い場合(例えば充電電圧がリチウム金属の電位を基準として4.5V以上4.6V未満でも)、本発明の一態様の正極活物質はO3’型結晶構造を取り得る場合がある。
なお、二次電池において例えば負極活物質として黒鉛を用いる場合には、上記よりも黒鉛の電位の分だけ二次電池の電圧が低下する。黒鉛の電位はリチウム金属の電位を基準として0.05V乃至0.2V程度である。そのため例えば負極活物質に黒鉛を用いた二次電池の電圧が4.3V以上4.5V以下においても本発明の一態様の正極活物質はR-3m(O3)の結晶構造を保持でき、さらに充電電圧を高めた領域、例えば二次電池の電圧が4.5Vを超えて4.6V以下においてもO3’型結晶構造を取り得る領域が存在する。さらには、充電電圧がより低い場合、例えば二次電池の電圧が4.2V以上4.3V未満でも、本発明の一態様の正極活物質はO3’型結晶構造を取り得る場合がある。
そのため、第1の領域おいては、高電圧で充放電を繰り返しても結晶構造が崩れにくい。
また本発明の一態様の正極活物質では、充電深度0のO3型結晶構造と、充電深度0.8のO3’型結晶構造のユニットセルあたりの体積の差は2.5%以下、より詳細には2.2%以下である。
なおO3’型結晶構造は、ユニットセルにおけるコバルトと酸素の座標を、Co(0,0,0.5)、O(0,0,x)、0.20≦x≦0.25の範囲内で示すことができる。
CoO2層間、つまりリチウムサイトにランダムかつ希薄に存在するマグネシウムは、高電圧で充電した時に、CoO2層のずれを抑制する効果がある。そのためCoO2層間にマグネシウムが存在すると、O3’型結晶構造になりやすい。
しかしながら、加熱処理の温度が高すぎると、カチオンミキシングが生じてマグネシウムがコバルトサイトに入る可能性が高まる。コバルトサイトに存在するマグネシウムは、高電圧充電時においてR-3mの構造を保つ効果が小さい場合がある。さらに、加熱処理の温度が高すぎると、コバルトが還元されて2価になってしまう、リチウムが蒸散するなどの悪影響も懸念される。
そこで、マグネシウムを粒子全体に分布させるための加熱処理よりも前に、コバルト酸リチウムにフッ化物等のハロゲン化合物を加えておくことが好ましい。ハロゲン化合物を加えることでコバルト酸リチウムの融点降下が起こる。融点降下させることで、カチオンミキシングが生じにくい温度で、マグネシウムを粒子全体に分布させることが容易となる。さらにフッ化物が存在すれば、電解液が分解して生じたフッ酸に対する耐食性が向上することが期待できる。
なお、マグネシウム濃度を所望の値以上に高くすると、結晶構造の安定化への効果が小さくなってしまう場合がある。マグネシウムが、リチウムサイトに加えて、コバルトサイトにも入るようになるためと考えられる。本発明の一態様によって作製された正極活物質が有するマグネシウムの原子数は、コバルトの原子数の0.001倍以上0.1倍以下が好ましく、0.01倍より大きく0.04倍未満がより好ましく、0.02倍程度がさらに好ましい。ここで示すマグネシウムの濃度は例えば、ICP-MS等を用いて正極活物質の粒子全体の元素分析を行った値であってもよいし、正極活物質の作製の過程における原料の配合の値に基づいてもよい。
本発明の一態様の正極活物質が有するニッケルの原子数は、コバルトの原子数の7.5%以下が好ましく、0.05%以上4%以下が好ましく、0.1%以上2%以下がより好ましい。ここで示すニッケルの濃度は例えば、ICP-MS等を用いて正極活物質の粒子全体の元素分析を行った値であってもよいし、正極活物質の作製の過程における原料の配合の値に基づいてもよい。
<粒径>
本発明の一態様の正極活物質の粒径は、大きすぎるとリチウムの拡散が難しくなる、集電体に塗工したときに活物質層の表面が粗くなりすぎる等の問題がある。一方、小さすぎると、集電体への塗工時に活物質層を担持しにくくなる、電解液との反応が過剰に進む等の問題点も生じる。そのため、平均粒子径(D50)が、1μm以上100μm以下が好ましく、2μm以上40μm以下であることがより好ましく、5μm以上30μm以下がさらに好ましい。
<分析方法>
ある正極活物質が、高電圧で充電されたときO3’型結晶構造を示す否かは、高電圧で充電された正極を、XRD、電子線回折、中性子線回折、電子スピン共鳴(ESR)、核磁気共鳴(NMR)等を用いて解析することで判断できる。特にXRDは、正極活物質が有するコバルト等の遷移金属の対称性を高分解能で解析できる、結晶性の高さおよび結晶の配向性を比較できる、格子の周期性歪みおよび結晶子サイズの解析ができる、二次電池を解体して得た正極をそのまま測定しても十分な精度を得られる等の点で好ましい。
本発明の一態様の正極活物質は、これまで述べたように高電圧で充電した状態と放電状態とで結晶構造の変化が少ないことが特徴である。高電圧で充電した状態で、放電状態との変化が大きな結晶構造が50wt%以上を占める材料は、高電圧の充放電に耐えられないため好ましくない。そして不純物元素を添加するだけでは目的の結晶構造をとらない場合があることに注意が必要である。例えばマグネシウムおよびフッ素を有するコバルト酸リチウムという点で共通していても、高電圧で充電した状態でO3’型結晶構造が60wt%以上になる場合と、H1-3型結晶構造が50wt%以上を占める場合と、がある。また、所定の電圧では、O3’型結晶構造がほぼ100wt%になり、さらに当該所定の電圧をあげるとH1-3型結晶構造が生じる場合もある。そのため、本発明の一態様の正極活物質はXRD等により結晶構造が分析されると好ましい。XRD等の測定と組み合わせて用いることにより、さらに詳細に分析を行うことができる。
ただし、高電圧で充電した状態または放電状態の正極活物質は、大気に触れると結晶構造の変化を起こす場合がある。例えばO3’型結晶構造からH1-3型結晶構造に変化する場合がある。そのため、サンプルはすべてアルゴンを含む雰囲気等の不活性雰囲気下でハンドリングすることが好ましい。
図13に示す正極活物質は、金属Xが添加されないコバルト酸リチウム(LiCoO2)である。図13に示すコバルト酸リチウムは、充電深度によって結晶構造が変化する。
図13に示すように、充電深度0(放電状態)であるコバルト酸リチウムは、空間群R-3mの結晶構造を有する領域を有し、ユニットセル中にCoO2層が3層存在する。そのためこの結晶構造を、O3型結晶構造と呼ぶ場合がある。なお、CoO2層とはコバルトに酸素が6配位した8面体構造が、稜共有の状態で平面に連続した構造をいうこととする。
また充電深度1のときは、空間群P-3m1の結晶構造を有し、ユニットセル中にCoO2層が1層存在する。そのためこの結晶構造を、O1型結晶構造と呼ぶ場合がある。
また充電深度が0.8程度のときのコバルト酸リチウムは、空間群R-3mの結晶構造を有する。この構造は、P-3m1(O1)のようなCoO2の構造と、R-3m(O3)のようなLiCoO2の構造と、が交互に積層された構造ともいえる。そのためこの結晶構造を、H1-3型結晶構造と呼ぶ場合がある。なお、実際にはH1-3型結晶構造は、ユニットセルあたりのコバルト原子の数が他の構造の2倍となっている。しかし図13をはじめ本明細書では、他の構造と比較しやすくするためH1-3型結晶構造のc軸をユニットセルの1/2にした図で示すこととする。
H1-3型結晶構造は一例として、ユニットセルにおけるコバルトと酸素の座標を、Co(0、0、0.42150±0.00016)、O1(0、0、0.27671±0.00045)、O2(0、0、0.11535±0.00045)と表すことができる。O1およびO2はそれぞれ酸素原子である。このようにH1-3型結晶構造は、1つのコバルトおよび2つの酸素を用いたユニットセルにより表される。一方、本発明の一態様のO3’型結晶構造は好ましくは、1つのコバルトおよび1つの酸素を用いたユニットセルにより表される。これは、O3’型結晶構造の場合とH1-3型構造の場合では、コバルトと酸素との対称性が異なり、O3’型結晶構造の方が、H1-3型構造に比べてO3の構造からの変化が小さいことを示す。正極活物質が有する結晶構造をいずれのユニットセルを用いて表すのがより好ましいか、の選択は例えば、XRDのリートベルト解析において、GOF(good of fitness)の値がより小さくなるように選択すればよい。
充電電圧がリチウム金属の酸化還元電位を基準に4.6V以上になるような高電圧の充電、あるいは充電深度が0.8以上になるような深い深度の充電と、放電とを繰り返すと、コバルト酸リチウムはH1-3型結晶構造と、放電状態のR-3m(O3)の構造と、の間で結晶構造の変化(つまり、非平衡な相変化)を繰り返すことになる。
しかしながら、これらの2つの結晶構造は、CoO2層のずれが大きい。図13に点線および矢印で示すように、H1-3型結晶構造では、CoO2層がR-3m(O3)から大きくずれている。このようなダイナミックな構造変化は、結晶構造の安定性に悪影響を与えうる。
さらに体積の差も大きい。同数のコバルト原子あたりで比較した場合、H1-3型結晶構造と放電状態のO3型結晶構造の体積の差は3.0%以上である。
加えて、H1-3型結晶構造が有する、P-3m1(O1)のようなCoO2層が連続した構造は不安定である可能性が高い。
そのため、高電圧の充放電を繰り返すとコバルト酸リチウムの結晶構造は崩れていく。結晶構造の崩れが、サイクル特性の悪化を引き起こす。これは、結晶構造が崩れることで、リチウムが安定して存在できるサイトが減少し、またリチウムの挿入脱離が難しくなるためだと考えられる。
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態3)
本実施の形態では、図14を用いて本発明の一態様の正極活物質の作製方法の例について説明する。
<ステップS61>
図14のステップS61として、まずリチウム、遷移金属Mおよび酸素を有する複合酸化物(LiMO2)の材料として、リチウム源および遷移金属M源を用意する。
リチウム源としては、例えば炭酸リチウム、水酸化リチウム、硝酸リチウム、およびフッ化リチウム等を用いることができる。
遷移金属Mとしてはリチウムとともに空間群R-3mに属する層状岩塩型の複合酸化物を形成しうる金属を用いことが好ましい。たとえばマンガン、コバルト、およびニッケルのうち少なくとも一を用いることができる。つまり遷移金属M源としてコバルトのみを用いてもよいし、ニッケルのみを用いてもよいし、コバルトとマンガンの2種、またはコバルトとニッケルの2種を用いてもよいし、コバルト、マンガン、およびニッケルの3種を用いてもよい。
層状岩塩型の複合酸化物を形成しうる金属を用いる場合、層状岩塩型の結晶構造をとりうる範囲のコバルト、マンガン、およびニッケルの混合比とすることが好ましい。また、層状岩塩型の結晶構造をとりうる範囲で、これらの遷移金属にアルミニウムを加えてもよい。
遷移金属M源としては、遷移金属Mとして例示した上記金属の酸化物、水酸化物等を用いることができる。コバルト源としては、例えば酸化コバルトおよび水酸化コバルト等を用いることができる。マンガン源としては、酸化マンガンおよび水酸化マンガン等を用いることができる。ニッケル源としては、酸化ニッケルおよび水酸化ニッケル等を用いることができる。アルミニウム源としては、酸化アルミニウムおよび水酸化アルミニウム等を用いることができる。
<ステップS62>
次にステップS62として、上記のリチウム源および遷移金属M源を混合する。混合は乾式または湿式で行うことができる。混合には例えばボールミル、およびビーズミル等を用いることができる。ボールミルを用いる場合は、例えば粉砕メディアとしてジルコニアボールを用いることが好ましい。
<ステップS63>
次にステップS63として、上記で混合した材料を加熱する。本工程は、後の加熱工程との区別のために、焼成または第1の加熱という場合がある。加熱は800℃以上1100℃未満で行うことが好ましく、900℃以上1000℃以下で行うことがより好ましく、950℃程度がさらに好ましい。または800℃以上1000℃以下が好ましい。または900℃以上1100℃以下が好ましい。温度が低すぎると、リチウム源および遷移金属M源の分解および溶融が不十分となるおそれがある。一方温度が高すぎると、遷移金属Mとして用いる、酸化還元反応を担う金属が過剰に還元される、リチウムが蒸散するなどの原因で欠陥が生じるおそれがある。例えば遷移金属Mとしてコバルトを用いた場合、コバルトが2価となる欠陥が生じうる。
加熱時間はたとえば1時間以上100時間以下行うことができ、2時間以上20時間以下とすることが好ましい。または1時間以上20時間以下が好ましい。または2時間以上100時間以下が好ましい。焼成は、乾燥空気等の水が少ない雰囲気(例えば露点-50℃以下、より好ましくは-100℃以下)で行うことが好ましい。例えば1000℃で10時間加熱することとし、昇温は200℃/h、乾燥雰囲気の流量は10L/minとすることが好ましい。その後加熱した材料を室温(25℃)まで冷却することができる。例えば規定温度から室温までの降温時間を10時間以上50時間以下とすることが好ましい。
ただし、ステップS63における室温までの冷却は必須ではない。その後のステップS81乃至ステップS83の工程を行うのに問題がなければ、冷却は室温より高い温度までとしてもよい。
<ステップS64>
次にステップS64として、上記で焼成した材料を回収し、リチウム、遷移金属Mおよび酸素を有する複合酸化物(LiMO2)を得る。具体的には、コバルト酸リチウム、マンガン酸リチウム、ニッケル酸リチウム、コバルトの一部がマンガンで置換されたコバルト酸リチウム、コバルトの一部がニッケルで置換されたコバルト酸リチウム、またはニッケル-マンガン-コバルト酸リチウムなどを得る。
また、ステップS64としてあらかじめ合成されたリチウム、遷移金属Mおよび酸素を有する複合酸化物を用いてもよい。この場合、ステップS61乃至ステップS63を省略することができる。
例えば、あらかじめ合成された複合酸化物として、日本化学工業株式会社製のコバルト酸リチウム粒子(商品名:セルシードC-10N)を用いることができる。これは平均粒子径(D50)が約12μmであり、グロー放電質量分析法(GD-MS)による不純物分析において、マグネシウム濃度およびフッ素濃度が50ppm wt以下、カルシウム濃度、アルミニウム濃度およびシリコン濃度が100ppm wt以下、ニッケル濃度が150ppm wt以下、硫黄濃度が500ppm wt以下、ヒ素濃度が1100ppm wt以下、その他のリチウム、コバルトおよび酸素以外の元素濃度が150ppm wt以下である、コバルト酸リチウムである。
または、日本化学工業株式会社製のコバルト酸リチウム粒子(商品名:セルシードC-5H)を用いることもできる。これは平均粒子径(D50)が約6.5μmであり、GD-MSによる不純物分析において、リチウム、コバルトおよび酸素以外の元素濃度がC-10Nと同程度かそれ以下である、コバルト酸リチウムである。
本実施の形態では、金属Mとしてコバルトを用い、あらかじめ合成されたコバルト酸リチウム粒子(日本化学工業株式会社製セルシードC-10N)を用いることとする。
<ステップS71>
次にステップS71として、混合物902の材料として、フッ素源また塩素源等のハロゲン源およびマグネシウム源を用意する。またリチウム源も用意することが好ましい。
フッ素源としては、例えばフッ化リチウム(LiF)、フッ化マグネシウム(MgF2)、フッ化アルミニウム(AlF3)、フッ化チタン(TiF4、TiF3)、フッ化コバルト(CoF2、CoF3)、フッ化ニッケル(NiF2)、フッ化ジルコニウム(ZrF4)、フッ化バナジウム(VF5)、フッ化マンガン(MnF2、MnF3)、フッ化鉄(FeF2、FeF3)、フッ化クロム(CrF2、CrF3)、フッ化ニオブ(NbF5)、フッ化亜鉛(ZnF2)、フッ化カルシウム(CaF2)、フッ化ナトリウム(NaF)、フッ化カリウム(KF)、フッ化バリウム(BaF2)、フッ化セリウム(CeF2)、フッ化ランタン(LaF3)、および六フッ化アルミニウムナトリウム(Na3AlF6)等を用いることができる。また複数のフッ素源を混合して用いてもよい。なかでも、フッ化リチウムは融点が848℃と比較的低く、後述する加熱工程で溶融しやすいため好ましい。
塩素源としては、例えば塩化リチウム、および塩化マグネシウム等を用いることができる。
マグネシウム源としては、例えばフッ化マグネシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、および炭酸マグネシウム等を用いることができる。
リチウム源としては、例えばフッ化リチウム、および炭酸リチウムを用いることができる。つまり、フッ化リチウムはリチウム源としてもフッ素源としても用いることができる。またフッ化マグネシウムはフッ素源としてもマグネシウム源としても用いることができる。
本実施の形態では、フッ素源としてフッ化リチウムLiFを用意し、フッ素源およびマグネシウム源としてフッ化マグネシウムMgF2を用意することとする。フッ化リチウムLiFとフッ化マグネシウムMgF2は、LiF:MgF2=65:35(モル比)程度で混合すると融点を下げる効果が最も高くなる。一方、フッ化リチウムが多くなると、リチウムが過剰になりすぎサイクル特性が悪化する懸念がある。そのため、フッ化リチウムLiFとフッ化マグネシウムMgF2のモル比は、LiF:MgF2=x:1(0≦x≦1.9)であることが好ましく、LiF:MgF2=x:1(0.1≦x≦0.5)がより好ましく、LiF:MgF2=x:1(x=0.33近傍)がさらに好ましい。なお本明細書等において近傍とは、その値の0.9倍より大きく1.1倍より小さい値とする。
また、次の混合および粉砕工程を湿式で行う場合は、溶媒を用意する。溶媒としてはアセトン等のケトン、エタノールおよびイソプロパノール等のアルコール、ジエチルエーテル等のエーテル、ジオキサン、アセトニトリル、およびN-メチル-2-ピロリドン(NMP)等を用いることができる。リチウムと反応が起こりにくい、非プロトン性溶媒を用いることがより好ましい。本実施の形態では、アセトンを用いることとする。
<ステップS72>
次に、ステップS72において、上記の混合物902の材料を粉砕および混合する。混合は乾式または湿式で行うことができるが、湿式はより小さく粉砕することができるため好ましい。混合には例えばボールミル、およびビーズミル等を用いることができる。ボールミルを用いる場合は、例えば粉砕メディアとしてジルコニアボールを用いることが好ましい。この混合および粉砕工程を十分に行い、混合物902を微粉化することが好ましい。
<ステップS73>
次に、ステップS73において、上記で混合、および粉砕した材料を回収し、混合物902を得る。
混合物902は、例えばD50(メディアン径)が600nm以上20μm以下であることが好ましく、1μm以上10μm以下であることがより好ましい。または600nm以上10μm以下が好ましい。または1μm以上20μm以下が好ましい。このように微粉化された混合物902ならば、後の工程でリチウム、遷移金属Mおよび酸素を有する複合酸化物と混合したときに、複合酸化物の粒子の表面に混合物902を均一に存在させやすい。
<ステップS81>
次にステップS81において、ステップS64で得られるLiMO2と、混合物902と、を混合する。リチウム、遷移金属および酸素を有する複合酸化物中の遷移金属の原子数Mと、混合物902が有するマグネシウムの原子数Mgとの比は、M:Mg=100:y(0.1≦y≦6)であることが好ましく、M:Mg=100:y(0.3≦y≦3)であることがより好ましい。
ステップS81の混合は、複合酸化物の粒子を破壊しないためにステップS62の混合よりも穏やかな条件とすることが好ましい。例えば、ステップS62の混合よりも回転数が少ない、または時間が短い条件とすることが好ましい。また湿式よりも乾式のほうが粒子を破壊しにくい条件であると言える。混合には例えばボールミル、およびビーズミル等を用いることができる。ボールミルを用いる場合は、例えば粉砕メディアとしてジルコニアボールを用いることが好ましい。
<ステップS82>
次にステップS82において、上記で混合した材料を回収し、混合物903を得る。
なお、本実施の形態ではフッ化リチウムおよびフッ化マグネシウムの混合物を、不純物の少ないコバルト酸リチウムに添加する方法について説明しているが、本発明の一態様はこれに限らない。ステップS82の混合物903の代わりに、コバルト酸リチウムの出発材料にマグネシウム源およびフッ素源等を添加して焼成したものを用いてもよい。この場合は、ステップS61乃至ステップS64の工程と、ステップS71乃至ステップS73の工程を分ける必要がないため簡便で生産性が高い。
または、あらかじめマグネシウムおよびフッ素が添加されたコバルト酸リチウムを用いてもよい。マグネシウムおよびフッ素が添加されたコバルト酸リチウムを用いれば、ステップS82までの工程を省略することができより簡便である。
またあらかじめマグネシウムおよびフッ素が添加されたコバルト酸リチウムに、さらにマグネシウム源およびフッ素源を添加してもよい。
<ステップS83>
次にステップS83において、混合物903を、酸素を含む雰囲気中で加熱する。本工程は他の加熱工程との区別のために第1の加熱(第1の温度条件)という場合がある。該加熱は、混合物903の粒子同士が固着しないよう、固着抑制効果のある加熱とするとより好ましい。
固着抑制効果のある加熱としては、たとえば混合物903を攪拌しながらの加熱、混合物903の入った容器を振動させながらの加熱等をあげることができる。
ステップS83における加熱温度はLiMO2と混合物902の反応が進む温度以上である必要がある。ここでいう反応が進む温度とは、LiMO2と混合物902の有する元素の相互拡散が起こる温度であればよい。そのためこれらの材料の溶融温度より低くてもよい。例えば、塩類および酸化物では溶融温度Tmの0.757倍(タンマン温度Td)から固相拡散が起こる。
ただし混合物903の少なくとも一部が溶融する温度以上であるとより反応が進みやすく好ましい。そのため加熱温度は混合物902の共融点以上であることが好ましい。混合物902がLiFおよびMgF2を有する場合、ステップS83の温度を共融点である742℃以上とすると好ましい。
また、LiCoO2:LiF:MgF2=100:0.33:1(モル比)となるように混合した混合物903は、示差走査熱量測定(DSC測定)において830℃付近に吸熱ピークが観測される。よって、加熱温度としては830℃以上がより好ましい。混合物903は、少なくともフッ素、リチウム、コバルト、およびマグネシウムを有する。また、混合物903は、O3’型の結晶構造を有する。
加熱温度は高い方が反応が進みやすく、加熱時間が短く済み、生産性が高くなるため好ましい。
ただし加熱温度はLiMO2の分解温度(LiCoO2の場合は1130℃)以下である必要がある。また分解温度の近傍の温度では、微量ではあるがLiMO2の分解が懸念される。そのため、加熱温度としては、1130℃以下であることが好ましく、1000℃以下であるとより好ましく、950℃以下であるとさらに好ましく、900℃以下であるとさらに好ましい。
よって、加熱温度としては、500℃以上1130℃以下が好ましく、500℃以上1000℃以下がより好ましく、500℃以上950℃以下がさらに好ましく、500℃以上900℃以下がさらに好ましい。また、742℃以上1130℃以下が好ましく、742℃以上1000℃以下がより好ましく、742℃以上950℃以下がさらに好ましく、742℃以上900℃以下がさらに好ましい。また、830℃以上1130℃以下が好ましく、830℃以上1000℃以下がより好ましく、830℃以上950℃以下がさらに好ましく、830℃以上900℃以下がさらに好ましい。
さらに混合物903を加熱する際、雰囲気中のフッ素またはフッ化物の分圧を適切な範囲に制御することが好ましい。
本実施の形態で説明する作製方法では、一部の材料、例えばフッ素源であるLiFが融剤として機能する。この機能により加熱温度をLiMO2の分解温度以下、たとえば742℃以上950℃以下にまで低温化でき、中心部に比べて表層部にマグネシウムをはじめとする添加物を高く分布させ、良好な特性の正極活物質を作製できる。
しかしLiFは酸素分子よりも軽いため、加熱によりLiFが揮発、散逸しうる。その場合、混合物903中のLiFが減少し融剤としての機能が弱くなってしまう。よって、LiFの揮発を抑制しつつ、加熱する必要がある。なおフッ素源等としてLiFを用いなかったとしても、LiMO2表面のLiとFが反応して、LiFが生じ、揮発する可能性もある。そのため、LiFより融点が高いフッ化物を用いたとしても、同じように揮発の抑制が必要である。
そこで、LiFを含む雰囲気下で混合物903を加熱すること、すなわち、加熱炉内のLiFの分圧が高い状態で混合物903を加熱することが好ましい。このような加熱により混合物903中のLiFの揮発を抑制することができる。
加熱は、適切な時間で行うことが好ましい。適切な加熱時間は、加熱温度、ステップS64のLiMO2の粒子の大きさおよび組成等の条件により変化する。粒子が小さい場合は、大きい場合よりも低い温度または短い時間がより好ましい場合がある。
例えばステップS64の粒子の平均粒子径(D50)が12μm程度の場合、加熱温度は例えば600℃以上950℃以下が好ましい。加熱時間は例えば3時間以上が好ましく、10時間以上がより好ましく、60時間以上がさらに好ましい。
一方、ステップS73の粒子の平均粒子径(D50)が5μm程度の場合、加熱温度は例えば600℃以上950℃以下が好ましい。加熱時間は例えば1時間以上10時間以下が好ましく、2時間程度がより好ましい。
加熱後の降温時間は、例えば10時間以上50時間以下とすることが好ましい。
<ステップS84>
ステップS84としては解砕を行い、必要であれば混合を行う。混合の後、粉体を回収し、ふるいにかけることが好ましい。
<ステップS91>
次にステップS91として添加物源を用意する。添加物としては、例えば、ニッケル、アルミニウム、マンガン、チタン、ジルコニウム、バナジウム、鉄、クロム、ニオブ、コバルト、ヒ素、亜鉛、ケイ素、硫黄、リン、およびホウ素より選ばれる一以上を用いることができる。ステップS91では、添加物源としてアルミニウム源を用いる例について説明する。
これらの添加物の混合方法としては、たとえば固相法、ゾルゲル法、スパッタリング法、メカノケミカル法、またはCVD法等を用いることができる。また複数の方法を組み合わせて用いてもよい。
<ステップS92>
次にステップS92として添加物源を用意する。添加物としては、例えば、ニッケル、アルミニウム、マンガン、チタン、ジルコニウム、バナジウム、鉄、クロム、ニオブ、コバルト、ヒ素、亜鉛、ケイ素、硫黄、リン、およびホウ素より選ばれる一以上を用いることができる。ステップS92では、添加物源としてニッケル源を用いる例について説明する。
これらの添加物の混合方法としては、たとえば固相法、ゾルゲル法、スパッタリング法、メカノケミカル法、またはCVD法等を用いることができる。また複数の方法を組み合わせて用いてもよい。
<ステップS101>
次にステップS101として加熱後の混合物903と、添加物源とを混合する。加熱後の混合物903の表面に、添加物を含有させるといってもよい。
混合方法としては、たとえば固相法、ゾルゲル法、スパッタリング法、メカノケミカル法、CVD法、またはスプレードライ法等を用いることができる。固相法およびゾルゲル法は、大気圧かつ常温で簡便に、加熱後の混合物903の表面に、添加物を含有させることができ好ましい。
上記の処理を終えた混合液から、沈殿物を回収する。回収方法としては、ろ過、遠心分離、蒸発乾固、スプレードライ法等を適用することができる。本実施の形態では蒸発乾固により回収することとする。本実施の形態では、95℃で通風乾燥することとする。
<ステップS102>
次にステップS102において、上記で乾燥した材料を回収し、混合物904を得る。
<ステップS103>
次に、ステップS102で合成した、混合物904を加熱する。(S83を第1の加熱という場合、S103の加熱を第2の加熱(第2の温度条件)といってもよい)。加熱時間は、規定温度での保持時間を50時間以下で行うことが好ましく、2時間以上10時間以下で行うことがより好ましく、1時間以上3時間以下で行うことがさらに好ましい。
規定温度の温度範囲としては500℃以上1200℃以下が好ましく、800℃以上1000℃以下がより好ましい。
また、酸素を含む雰囲気下で加熱することが好ましい。
本実施の形態では、規定温度を800℃として2時間保持することとし、昇温は200℃/h、乾燥雰囲気の流量は10L/minとする。
<ステップS104>
ステップS104としては解砕を行い、必要であれば混合を行う。
<ステップS106>
次にステップS106において上記で解砕した材料を回収し、正極活物質100を作製することができる。このとき、回収された粒子をさらに、ふるいにかけることが好ましい。ふるいにかけることで、正極活物質粒子同士が固着していた場合、これを解消することができる。
(実施の形態4)
本実施の形態では、図15乃至図17を用いて本発明の一態様の二次電池の例について説明する。
<二次電池の構成例1>
以下に、正極、負極および電解液が、外装体に包まれている二次電池を例にとって説明する。
〔負極〕
負極は、負極活物質層および負極集電体を有する。また、負極活物質層は、導電剤およびバインダを有していてもよい。
[負極活物質]
負極活物質としては、先の実施の形態に示す負極活物質を用いることができる。また、負極活物質として、先の実施の形態に示す負極活物質を複数組み合わせて用いてもよい。
導電剤としては、先の実施の形態に述べる導電剤を用いることができる。
[バインダ]
バインダとしては、例えば、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、スチレン-イソプレン-スチレンゴム、アクリロニトリル-ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、エチレン-プロピレン-ジエン共重合体などのゴム材料を用いることが好ましい。またバインダとして、フッ素ゴムを用いることができる。
また、バインダとしては、例えば水溶性の高分子を用いることが好ましい。水溶性の高分子としては、例えば多糖類などを用いることができる。多糖類としては、カルボキシメチルセルロース(CMC)、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ジアセチルセルロース、再生セルロースなどのセルロース誘導体、および澱粉などから選ばれる一以上を用いることができる。また、これらの水溶性の高分子を、前述のゴム材料と併用して用いると、さらに好ましい。
または、バインダとしては、ポリスチレン、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル(ポリメチルメタクリレート、PMMA)、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリプロピレンオキシド、ポリイミド、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリアクリロニトリル(PAN)、エチレンプロピレンジエンポリマー、ポリ酢酸ビニル、ニトロセルロース等の材料を用いることが好ましい。
バインダは上記のうち複数を組み合わせて使用してもよい。
例えば粘度調整効果の特に優れた材料と、他の材料とを組み合わせて使用してもよい。例えばゴム材料等は接着力および弾性力に優れる反面、溶媒に混合した場合に粘度調整が難しい場合がある。このような場合には例えば、粘度調整効果の特に優れた材料と混合することが好ましい。粘度調整効果の特に優れた材料としては、例えば水溶性高分子を用いるとよい。また、粘度調整効果に特に優れた水溶性高分子としては、前述の多糖類、例えばカルボキシメチルセルロース(CMC)、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースおよびジアセチルセルロース、および再生セルロースなどのセルロース誘導体、並びに澱粉から選ばれる一以上を用いることができる。
なお、カルボキシメチルセルロースなどのセルロース誘導体は、例えばカルボキシメチルセルロースのナトリウム塩またはアンモニウム塩などの塩とすることにより溶解度が上がり、粘度調整剤としての効果を発揮しやすくなる。溶解度が高くなることにより電極のスラリーを作製する際に活物質および他の構成要素との分散性を高めることもできる。本明細書においては、電極のバインダとして使用するセルロースおよびセルロース誘導体としては、それらの塩も含むものとする。
水溶性高分子は水に溶解することにより粘度を安定化させ、また活物質、およびバインダとして組み合わせる他の材料、例えばスチレンブタジエンゴムなどを、水溶液中に安定して分散させることができる。また、官能基を有するために活物質表面に安定に吸着しやすいことが期待される。また、例えばカルボキシメチルセルロースなどのセルロース誘導体は、例えば水酸基またはカルボキシル基などの官能基を有する材料が多く、官能基を有するために高分子同士が相互作用し、活物質表面を広く覆って存在することが期待される。
活物質表面を覆う、または表面に接するバインダが膜を形成する場合には、不動態膜としての役割を果たして電解液の分解を抑える効果も期待される。ここで、不動態膜とは、電気の伝導性のない膜、または電気伝導性の極めて低い膜であり、例えば活物質の表面に不動態膜が形成された場合には、電池反応電位において、電解液の分解を抑制することができる。また、不動態膜は、電気の伝導性を抑えるとともに、リチウムイオンを伝導できるとさらに望ましい。
[集電体]
正極集電体および負極集電体として、ステンレス、金、白金、亜鉛、鉄、銅、アルミニウム、チタン等の金属、およびこれらの合金など、導電性が高く、リチウム等のキャリアイオンと合金化しない材料を用いることができる。また、シリコン、チタン、ネオジム、スカンジウム、モリブデンなどの耐熱性を向上させる元素が添加されたアルミニウム合金を用いることができる。また、シリコンと反応してシリサイドを形成する金属元素で形成してもよい。シリコンと反応してシリサイドを形成する金属元素としては、ジルコニウム、チタン、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、コバルト、ニッケル等がある。集電体は、シート状、網状、パンチングメタル状、エキスパンドメタル状等の形状を適宜用いることができる。集電体は、厚みが10μm以上30μm以下のものを用いるとよい。
なお負極集電体は、リチウム等のキャリアイオンと合金化しない材料を用いることが好ましい。
集電体として上記に示す金属元素の上に積層して、チタン化合物を設けてもよい。チタン化合物として例えば、窒化チタン、酸化チタン、窒素の一部が酸素に置換された窒化チタン、酸素の一部が窒素に置換された酸化チタン、および酸化窒化チタン(TiOxNy、0<x<2、0<y<1)から選ばれる一を、あるいは二以上を混合または積層して、用いることができる。中でも窒化チタンは導電性が高くかつ酸化を抑制する機能が高いため、特に好ましい。チタン化合物を集電体の表面に設けることにより例えば、集電体上に形成される活物質層が有する材料と金属との反応が抑制される。活物質層が酸素を有する化合物を含む場合には、金属元素と酸素との酸化反応を抑制することができる。例えば集電体としてアルミニウムを用い、活物質層が後述する酸化グラフェンを用いて形成される場合には、酸化グラフェンが有する酸素とアルミニウムとの酸化反応が懸念される場合がある。このような場合において、アルミニウムの上にチタン化合物を設けることにより、集電体と酸化グラフェンとの酸化反応を抑制することができる。
〔正極〕
正極は、正極活物質層および正極集電体を有する。正極活物質層は正極活物質を有し、導電剤およびバインダを有していてもよい。正極活物質には、先の実施の形態で説明した作製方法を用いて作製した正極活物質を用いる。
正極活物質層が有することのできる導電剤およびバインダとしては、負極活物質層が有することのできる導電剤およびバインダと同様の材料を用いることができる。
〔電解質〕
電解質として、溶媒およびキャリアイオンを有する塩を含む電解液を用いることができる。また、電解質として、固体電解質を用いることができる。
溶媒と、キャリアイオンを有する塩を有する電解質について説明する。電解質の溶媒としては、非プロトン性有機溶媒が好ましく、例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート、クロロエチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ギ酸メチル、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、酪酸メチル、1,3-ジオキサン、1,4-ジオキサン、ジメトキシエタン(DME)、ジメチルスルホキシド、ジエチルエーテル、メチルジグライム、アセトニトリル、ベンゾニトリル、テトラヒドロフラン、スルホラン、スルトン等の1種、またはこれらのうちの2種以上を任意の組み合わせおよび比率で用いることができる。
また、電解質の溶媒として、難燃性および難揮発性であるイオン液体(常温溶融塩)を一つまたは複数用いることで、二次電池の内部領域短絡、および過充電等によって内部領域温度が上昇した場合の二次電池の破裂および発火などを防ぐことができる。イオン液体は、カチオンとアニオンからなり、有機カチオンとアニオンとを含む。電解液に用いる有機カチオンとして、四級アンモニウムカチオン、三級スルホニウムカチオン、および四級ホスホニウムカチオン等の脂肪族オニウムカチオン、並びにイミダゾリウムカチオンおよびピリジニウムカチオン等の芳香族カチオンが挙げられる。また、電解液に用いるアニオンとして、1価のアミド系アニオン、1価のメチド系アニオン、フルオロスルホン酸アニオン、パーフルオロアルキルスルホン酸アニオン、テトラフルオロボレートアニオン、パーフルオロアルキルボレートアニオン、ヘキサフルオロホスフェートアニオン、またはパーフルオロアルキルホスフェートアニオン等が挙げられる。
また、電解質の溶媒として、フッ素を有する有機溶媒を用いることができる。フッ素を有する有機溶媒の一例として、フッ素化カーボネート、フッ素化カルボン酸エステル、フッ素含有エーテル化合物などを用いてもよい。
例えば、下記化学式(1)で表されるテトラフルオロエチレンカーボネート(F4EC)を用いることができる。
フッ素化環状カーボネートは不燃性を向上させ、リチウムイオン二次電池の安全性を高めることができる。
また、下記化学式(2)で表されるジフルオロエチレンカーボネート(DFEC、F2EC)を用いることができる。
また、下記化学式(3)で表されるモノフルオロエチレンカーボネート(FEC、F1EC)を用いることができる。
また、上記の溶媒に溶解させる塩として、例えばLiPF6、LiClO4、LiAsF6、LiBF4、LiAlCl4、LiSCN、LiBr、LiI、Li2SO4、Li2B10Cl10、Li2B12Cl12、LiCF3SO3、LiC4F9SO3、LiC(CF3SO2)3、LiC(C2F5SO2)3、LiN(CF3SO2)2、LiN(C4F9SO2)(CF3SO2)、LiN(C2F5SO2)2等のリチウム塩を一種、またはこれらのうちの二種以上を任意の組み合わせおよび比率で用いることができる。
二次電池に用いる電解質は、粒状のごみおよび電解液の構成元素以外の元素(以下、単に「不純物」ともいう。)の含有量が少ない高純度化された電解質を用いることが好ましい。具体的には、電解質に対する不純物の重量比を1%以下、好ましくは0.1%以下、より好ましくは0.01%以下とすることが好ましい。
また、電解質にビニレンカーボネート、プロパンスルトン(PS)、tert-ブチルベンゼン(TBB)、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、リチウムビス(オキサレート)ボレート(LiBOB)、またスクシノニトリル、アジポニトリル等のジニトリル化合物などの添加剤を添加してもよい。添加する材料の濃度は、例えば溶媒全体に対して0.1wt%以上5wt%以下とすればよい。
また、ポリマーを電解質で膨潤させたポリマーゲル電解質を用いてもよい。
ポリマーゲル電解質を用いることで、漏液性等に対する安全性が高まる。また、二次電池の薄型化および軽量化が可能である。
ゲル化されるポリマーとして、シリコーンゲル、アクリルゲル、アクリロニトリルゲル、ポリエチレンオキサイド系ゲル、ポリプロピレンオキサイド系ゲル、フッ素系ポリマーのゲル等を用いることができる。
ポリマーとしては、例えばポリエチレンオキシド(PEO)などのポリアルキレンオキシド構造を有するポリマー、PVDF、およびポリアクリロニトリル等、およびそれらを含む共重合体等を用いることができる。例えばPVDFとヘキサフルオロプロピレン(HFP)の共重合体であるPVDF-HFPを用いることができる。また、形成されるポリマーは、多孔質形状を有してもよい。
固体電解質の一例について説明する。硫化物系または酸化物系等の無機物材料を有する固体電解質、およびPEO(ポリエチレンオキシド)系等の高分子材料を有する固体電解質を用いることができる。固体電解質を用いる場合には、セパレータおよびスペーサの一方または両方の設置が不要となる。また、電池全体を固体化できるため、漏液の恐れがなくなり安全性が飛躍的に向上する。
〔セパレータ〕
正極と負極の間にセパレータを配置する。セパレータとしては、例えば、紙をはじめとするセルロースを有する繊維、不織布、ガラス繊維、セラミックス、或いはナイロン(ポリアミド)、ビニロン(ポリビニルアルコール系繊維)、ポリエステル、アクリル、ポリオレフィン、ポリウレタンを用いた合成繊維等で形成されたものを用いることができる。セパレータは袋状に加工し、正極または負極のいずれか一方を包むように配置することが好ましい。
セパレータは多層構造であってもよい。例えばポリプロピレン、ポリエチレン等の有機材料フィルムに、セラミック系材料、フッ素系材料、ポリアミド系材料、またはこれらを混合したもの等をコートすることができる。セラミック系材料としては、例えば酸化アルミニウム粒子、酸化シリコン粒子等を用いることができる。フッ素系材料としては、例えばPVDF、ポリテトラフルオロエチレン等を用いることができる。ポリアミド系材料としては、例えばナイロン、アラミド(メタ系アラミド、パラ系アラミド)等を用いることができる。
セラミック系材料をコートすると耐酸化性が向上するため、高電圧充放電の際のセパレータの劣化を抑制し、二次電池の信頼性を向上させることができる。またフッ素系材料をコートするとセパレータと電極が密着しやすくなり、出力特性を向上させることができる。ポリアミド系材料、特にアラミドをコートすると、耐熱性が向上するため、二次電池の安全性を向上させることができる。セラミック系材料をセパレータまたは電極層の表面にコートすることにより、セパレータと活物質が直接接することを抑制することができる。
例えばポリプロピレンのフィルムの両面に酸化アルミニウムとアラミドの混合材料をコートしてもよい。また、ポリプロピレンのフィルムの、正極と接する面に酸化アルミニウムとアラミドの混合材料をコートし、負極と接する面にフッ素系材料をコートしてもよい。
多層構造のセパレータを用いると、セパレータ全体の厚さが薄くても二次電池の安全性を保つことができるため、二次電池の体積あたりの容量を大きくすることができる。
〔外装体〕
二次電池が有する外装体としては、例えばアルミニウムなどの金属材料および樹脂材料から選ばれる一以上を用いることができる。また、フィルム状の外装体を用いることもできる。フィルムとしては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、アイオノマー、ポリアミド等の材料からなる膜上に、アルミニウム、ステンレス、銅、ニッケル等の可撓性に優れた金属薄膜を設け、さらに該金属薄膜上に外装体の外面としてポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂等の絶縁性合成樹脂膜を設けた三層構造のフィルムを用いることができる。また、フィルムとしてフッ素樹脂フィルムを用いることが好ましい。フッ素樹脂フィルムは酸、アルカリ、有機溶剤等に対する安定性が高く、二次電池の反応などに伴う副反応、腐食等を抑制し、優れた二次電池を実現することができる。フッ素樹脂フィルムとしてPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PFA(パーフルオロアルコキシアルカン:テトラフルオロエチレンとパーフルオロアルキルビニルエーテルの共重合体)、FEP(パーフルオロエチレンプロペンコポリマー:テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンの共重合体)、ETFE(エチレンテトラフルオロエチレンコポリマー:テトラフルオロエチレンとエチレンの共重合体)等が挙げられる。
<二次電池の構成例2>
以下に、二次電池の構成の一例として、固体電解質層を用いた二次電池の構成について説明する。
図15Aに示すように、本発明の一態様の二次電池440は、正極410、固体電解質層420および負極430を有する。
正極410は正極集電体413および正極活物質層414を有する。正極活物質層414は正極活物質411および固体電解質421を有する。正極活物質411には、先の実施の形態で説明した作製方法を用いて作製した正極活物質を用いる。また正極活物質層414は、導電剤およびバインダを有していてもよい。
固体電解質層420は固体電解質421を有する。固体電解質層420は、正極410と負極430の間に位置し、正極活物質411および負極活物質431のいずれも有さない領域である。
負極430は負極集電体433および負極活物質層434を有する。負極活物質層434は負極活物質431および固体電解質421を有する。また負極活物質層434は、導電剤およびバインダを有していてもよい。なお、負極430に金属リチウムを用いる場合は、図15Bのように、固体電解質421を有さない負極430とすることができる。負極430に金属リチウムを用いると、二次電池440のエネルギー密度を向上させることができ好ましい。
固体電解質層420が有する固体電解質421としては、例えば硫化物系固体電解質、酸化物系固体電解質、ハロゲン化物系固体電解質等を用いることができる。
硫化物系固体電解質には、チオシリコン系(Li10GeP2S12、Li3.25Ge0.25P0.75S4等)、硫化物ガラス(70Li2S・30P2S5、30Li2S・26B2S3・44LiI、63Li2S・38SiS2・1Li3PO4、57Li2S・38SiS2・5Li4SiO4、50Li2S・50GeS2等)、硫化物結晶化ガラス(Li7P3S11、Li3.25P0.95S4等)が含まれる。硫化物系固体電解質は、高い伝導度を有する材料がある、低い温度で合成可能、また比較的やわらかいため充放電を経ても導電経路が保たれやすい等の利点がある。
酸化物系固体電解質には、ペロブスカイト型結晶構造を有する材料(La2/3-xLi3xTiO3等)、NASICON型結晶構造を有する材料(Li1-XAlXTi2-X(PO4)3等)、ガーネット型結晶構造を有する材料(Li7La3Zr2O12等)、LISICON型結晶構造を有する材料(Li14ZnGe4O16等)、LLZO(Li7La3Zr2O12)、酸化物ガラス(Li3PO4-Li4SiO4、50Li4SiO4・50Li3BO3等)、酸化物結晶化ガラス(Li1.07Al0.69Ti1.46(PO4)3、Li1.5Al0.5Ge1.5(PO4)3等)が含まれる。酸化物系固体電解質は、大気中で安定であるといった利点がある。
ハロゲン化物系固体電解質には、LiAlCl4、Li3InBr6、LiF、LiCl、LiBr、LiI等が含まれる。また、これらハロゲン化物系固体電解質を、ポーラス酸化アルミニウムまたはポーラスシリカの細孔に充填したコンポジット材料も固体電解質として用いることができる。
また、異なる固体電解質を混合して用いてもよい。
中でも、NASICON型結晶構造を有するLi1+xAlxTi2-x(PO4)3(0〔x〔1)(以下、LATP)は、アルミニウムとチタンという、本発明の一態様の二次電池440に用いる正極活物質が有してもよい元素を含むため、サイクル特性の向上について相乗効果が期待でき好ましい。また、工程の削減による生産性の向上も期待できる。なお本明細書等において、NASICON型結晶構造とは、M2(AO4)3(M:遷移金属、A:S、P、As、Mo、W等)で表される化合物であり、MO6八面体とAO4四面体が頂点を共有して3次元的に配列した構造を有するものをいう。
〔外装体と二次電池の形状〕
本発明の一態様の二次電池440の外装体には、様々な材料および形状のものを用いることができるが、正極、固体電解質層および負極を加圧する機能を有することが好ましい。
例えば図16は、全固体電池の材料を評価するセルの一例である。
図16Aは評価セルの断面模式図であり、評価セルは、下部部材761と、上部部材762と、それらを固定する固定ねじおよび蝶ナット764の一方または両方を有し、押さえ込みねじ763を回転させることで電極用プレート753を押して評価材料を固定している。ステンレス材料で構成された下部部材761と、上部部材762との間には絶縁体766が設けられている。また上部部材762と、押さえ込みねじ763の間には密閉するためのOリング765が設けられている。
評価材料は、電極用プレート751に載せられ、周りを絶縁管752で囲み、上方から電極用プレート753で押されている状態となっている。この評価材料周辺を拡大した斜視図が図16Bである。
評価材料としては、正極750a、固体電解質層750b、負極750cの積層の例を示しており、断面図を図16Cに示す。なお、図16A、図16B、図16Cにおいて同じ箇所には同じ符号を用いる。
正極750aと電気的に接続される電極用プレート751および下部部材761は、正極端子に相当するということができる。負極750cと電気的に接続される電極用プレート753および上部部材762は、負極端子に相当するということができる。電極用プレート751および電極用プレート753を介して評価材料に押圧をかけながら電気抵抗などを測定することができる。
また、本発明の一態様の二次電池の外装体には、気密性に優れたパッケージを使用することが好ましい。例えばセラミックパッケージまたは樹脂パッケージを用いることができる。また、外装体を封止する際には、外気を遮断し、密閉した雰囲気下、例えばグローブボックス内で行うことが好ましい。
図17Aに、図16と異なる外装体および形状を有する本発明の一態様の二次電池の斜視図を示す。図17Aの二次電池は、外部電極771、772を有し、複数のパッケージ部材を有する外装体で封止されている。
図17A中の一点破線で切断した断面の一例を図17Bに示す。正極750a、固体電解質層750bおよび負極750cを有する積層体は、平板に電極層773aが設けられたパッケージ部材770aと、枠状のパッケージ部材770bと、平板に電極層773bが設けられたパッケージ部材770cと、で囲まれて封止された構造となっている。パッケージ部材770a、770b、770cには、絶縁材料、例えば樹脂材料またはセラミックを用いることができる。
外部電極771は、電極層773aを介して正極750aと電気的に接続され、正極端子として機能する。また、外部電極772は、電極層773bを介して負極750cと電気的に接続され、負極端子として機能する。
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態5)
本実施の形態では、先の実施の形態で説明した正極を有する二次電池の形状の例について説明する。本実施の形態で説明する二次電池に用いる材料は、先の実施の形態の記載を参酌することができる。
<コイン型二次電池>
まずコイン型の二次電池の一例について説明する。図18Aはコイン型(単層偏平型)の二次電池の外観図であり、図18Bは、その断面図である。
コイン型の二次電池300は、正極端子を兼ねた正極缶301と負極端子を兼ねた負極缶302とが、ポリプロピレン等で形成されたガスケット303で絶縁シールされている。正極304は、正極集電体305と、これと接するように設けられた正極活物質層306により形成される。また、負極307は、負極集電体308と、これに接するように設けられた負極活物質層309により形成される。
なお、コイン型の二次電池300に用いる正極304および負極307では、それぞれ活物質層は片面のみに形成すればよい。
正極缶301、負極缶302には、電解液に対して耐食性のあるニッケル、アルミニウム、チタン等の金属、またはこれらの合金、またはこれらと他の金属との合金(例えばステンレス鋼等)を用いることができる。また、電解液による腐食を防ぐため、ニッケルまたはアルミニウム等を被覆することが好ましい。正極缶301は正極304と、負極缶302は負極307とそれぞれ電気的に接続する。
これら負極307、正極304およびセパレータ310を電解質に含浸させ、図18Bに示すように、正極缶301を下にして正極304、セパレータ310、負極307、負極缶302をこの順で積層し、正極缶301と負極缶302とをガスケット303を介して圧着してコイン形の二次電池300を製造する。
正極304に、先の実施の形態で説明した正極活物質を用いることで、充放電容量が高くサイクル特性に優れたコイン型の二次電池300とすることができる。
ここで図18Cを用いて二次電池の充電時の電流の流れを説明する。リチウムを用いた二次電池を一つの閉回路とみなした時、リチウムイオンの動きと電流の流れは同じ向きになる。なお、リチウムを用いた二次電池では、充電と放電でアノード(陽極)とカソード(陰極)が入れ替わり、酸化反応と還元反応とが入れ替わることになるため、反応電位が高い電極を正極と呼び、反応電位が低い電極を負極と呼ぶ。したがって、本明細書においては、充電中であっても、放電中であっても、逆パルス電流を流す場合であっても、充電電流を流す場合であっても、正極は「正極」または「+極(プラス極)」と呼び、負極は「負極」または「-極(マイナス極)」と呼ぶこととする。酸化反応または還元反応に関連したアノード(陽極)またはカソード(陰極)という用語を用いると、充電時と放電時とでは、逆になってしまい、混乱を招く可能性がある。したがって、アノード(陽極)やカソード(陰極)という用語は、本明細書においては用いないこととする。仮にアノード(陽極)またはカソード(陰極)という用語を用いる場合には、充電時か放電時かを明記し、正極(プラス極)と負極(マイナス極)のどちらに対応するものかも併記することとする。
図18Cに示す2つの端子には充電器が接続され、二次電池300が充電される。二次電池300の充電が進めば、電極間の電位差は大きくなる。
<円筒型二次電池>
次に円筒型の二次電池の例について図19を参照して説明する。円筒型の二次電池600の外観図を図19Aに示す。図19Bは、円筒型の二次電池600の断面を模式的に示した図である。図19Bに示すように、円筒型の二次電池600は、上面に正極キャップ(電池蓋)601を有し、側面および底面に電池缶(外装缶)602を有している。これら正極キャップと電池缶(外装缶)602とは、ガスケット(絶縁パッキン)610によって絶縁されている。
中空円柱状の電池缶602の内側には、帯状の正極604と負極606とがセパレータ605を間に挟んで捲回された電池素子が設けられている。図示しないが、電池素子はセンターピンを中心に捲回されている。電池缶602は、一端が閉じられ、他端が開いている。電池缶602には、電解液に対して耐腐食性のあるニッケル、アルミニウム、チタン等の金属、またはこれらの合金、またはこれらと他の金属との合金(例えば、ステンレス鋼等)を用いることができる。また、電解液による腐食を防ぐため、ニッケルまたはアルミニウム等を電池缶602に被覆することが好ましい。電池缶602の内側において、正極、負極およびセパレータが捲回された電池素子は、対向する一対の絶縁板608および609により挟まれている。また、電池素子が設けられた電池缶602の内部領域は、非水電解液(図示せず)が注入されている。非水電解液は、コイン型の二次電池と同様のものを用いることができる。
円筒型の蓄電池に用いる正極および負極は捲回するため、集電体の両面に活物質を形成することが好ましい。正極604には正極端子(正極集電リード)603が接続され、負極606には負極端子(負極集電リード)607が接続される。正極端子603および負極端子607は、ともにアルミニウムなどの金属材料を用いることができる。正極端子603は安全弁機構612に、負極端子607は電池缶602の底にそれぞれ抵抗溶接される。安全弁機構612は、PTC素子(Positive Temperature Coefficient)611を介して正極キャップ601と電気的に接続されている。安全弁機構612は電池の内圧の上昇が所定の閾値を超えた場合に、正極キャップ601と正極604との電気的な接続を切断するものである。また、PTC素子611は温度が上昇した場合に抵抗が増大する熱感抵抗素子であり、抵抗の増大により電流量を制限して異常発熱を防止するものである。PTC素子には、チタン酸バリウム(BaTiO3)系半導体セラミックス等を用いることができる。
また、図19Cのように複数の二次電池600を、導電板613および導電板614の間に挟んでモジュール615を構成してもよい。複数の二次電池600は、並列接続されていてもよいし、直列接続されていてもよいし、並列に接続された後さらに直列に接続されていてもよい。複数の二次電池600を有するモジュール615を構成することで、大きな電力を取り出すことができる。
図19Dはモジュール615の上面図である。図を明瞭にするために導電板613を点線で示した。図19Dに示すようにモジュール615は、複数の二次電池600を電気的に接続する導線616を有していてもよい。導線616上に導電板を重畳して設けることができる。また複数の二次電池600の間に温度制御装置617を有していてもよい。二次電池600が過熱されたときは、温度制御装置617により冷却し、二次電池600が冷えすぎているときは温度制御装置617により加熱することができる。そのためモジュール615の性能が外気温に影響されにくくなる。温度制御装置617が有する熱媒体は絶縁性と不燃性を有することが好ましい。
正極604に、先の実施の形態で説明した正極活物質を用いることで、充放電容量が高くサイクル特性に優れた円筒型の二次電池600とすることができる。
<二次電池の構造例>
二次電池の別の構造例について、図20乃至図23を用いて説明する。
図20Aおよび図20Bは、電池パックの外観図を示す図である。電池パックは、二次電池913と、回路基板900と、を有する。二次電池913は、回路基板900を介して、アンテナ914に接続されている。また、二次電池913には、ラベル910が貼られている。さらに、図20Bに示すように、二次電池913は、端子951と、端子952と、に接続されている。また回路基板900は、シール915で固定されている。
回路基板900は、端子911と、回路912と、を有する。端子911は、端子951、端子952、アンテナ914、および回路912に接続される。なお、端子911を複数設けて、複数の端子911のそれぞれを、制御信号入力端子、電源端子などとしてもよい。
回路912は、回路基板900の裏面に設けられていてもよい。なお、アンテナ914は、コイル状に限定されず、例えば線状、板状であってもよい。また、平面アンテナ、開口面アンテナ、進行波アンテナ、EHアンテナ、磁界アンテナ、誘電体アンテナ等のアンテナを用いてもよい。または、アンテナ914は、平板状の導体でもよい。この平板状の導体は、電界結合用の導体の一つとして機能することができる。つまり、コンデンサの有する2つの導体のうちの一つの導体としてアンテナ914を機能させてもよい。これにより、電磁界、磁界だけでなく、電界で電力のやり取りを行うこともできる。
電池パックは、アンテナ914と、二次電池913との間に層916を有する。層916は、例えば二次電池913による電磁界を遮蔽することができる機能を有する。層916としては、例えば磁性体を用いることができる。
また、回路912は、二次電池を制御する機能を有する回路部であることが好ましい。また回路912は、酸化物半導体を用いたトランジスタを含むメモリ回路を用いてもよい。酸化物半導体を用いたトランジスタを含むメモリ回路を有する充電制御回路、または電池制御システムを、BTOS(Battery operating system、またはBattery oxide semiconductor)と呼称する場合がある。
トランジスタに用いる酸化物半導体には、酸化物半導体として機能する金属酸化物を用いることが好ましい。例えば、金属酸化物として、In-M-Zn酸化物(元素Mは、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、銅、バナジウム、ベリリウム、ホウ素、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、またはマグネシウム等から選ばれた一種、または複数種)等の金属酸化物を用いるとよい。特に、金属酸化物として適用できるIn-M-Zn酸化物は、CAAC-OS(C-Axis Aligned Crystal Oxide Semiconductor)、CAC-OS(Cloud-Aligned Composite Oxide Semiconductor)であることが好ましい。また、金属酸化物として、In-Ga酸化物、In-Zn酸化物を用いてもよい。CAAC-OSは、複数の結晶領域を有し、当該複数の結晶領域はc軸が特定の方向に配向している酸化物半導体である。なお、特定の方向とは、CAAC-OS膜の厚さ方向、CAAC-OS膜の被形成面の法線方向、またはCAAC-OS膜の表面の法線方向である。また、結晶領域とは、原子配列に周期性を有する領域である。なお、原子配列を格子配列とみなすと、結晶領域とは、格子配列の揃った領域でもある。さらに、CAAC-OSは、a-b面方向において複数の結晶領域が連結する領域を有し、当該領域は歪みを有する場合がある。なお、歪みとは、複数の結晶領域が連結する領域において、格子配列の揃った領域と、別の格子配列の揃った領域と、の間で格子配列の向きが変化している箇所を指す。つまり、CAAC-OSは、c軸配向し、a-b面方向には明らかな配向をしていない酸化物半導体である。また、CAC-OSとは、例えば、金属酸化物を構成する元素が、0.5nm以上10nm以下、好ましくは1nm以上3nm以下、またはその近傍のサイズで偏在した材料の一構成である。なお、以下では、金属酸化物において、一つまたは複数の金属元素が偏在し、該金属元素を有する領域が、0.5nm以上10nm以下、好ましくは1nm以上3nm以下、またはその近傍のサイズで混合した状態をモザイク状、またはパッチ状ともいう。
さらに、CAC-OSとは、第1の領域と、第2の領域と、に材料が分離することでモザイク状となり、当該第1の領域が、膜中に分布した構成(以下、クラウド状ともいう。)である。つまり、CAC-OSは、当該第1の領域と、当該第2の領域とが、混合している構成を有する複合金属酸化物である。
ここで、In-Ga-Zn酸化物におけるCAC-OSを構成する金属元素に対するIn、Ga、およびZnの原子数比のそれぞれを、[In]、[Ga]、および[Zn]と表記する。例えば、In-Ga-Zn酸化物におけるCAC-OSにおいて、第1の領域は、[In]が、CAC-OS膜の組成における[In]よりも大きい領域である。また、第2の領域は、[Ga]が、CAC-OS膜の組成における[Ga]よりも大きい領域である。または、例えば、第1の領域は、[In]が、第2の領域における[In]よりも大きく、且つ、[Ga]が、第2の領域における[Ga]よりも小さい領域である。また、第2の領域は、[Ga]が、第1の領域における[Ga]よりも大きく、且つ、[In]が、第1の領域における[In]よりも小さい領域である。
具体的には、上記第1の領域は、インジウム酸化物、インジウム亜鉛酸化物などが主成分である領域である。また、上記第2の領域は、ガリウム酸化物、ガリウム亜鉛酸化物などが主成分である領域である。つまり、上記第1の領域を、Inを主成分とする領域と言い換えることができる。また、上記第2の領域を、Gaを主成分とする領域と言い換えることができる。
なお、上記第1の領域と、上記第2の領域とは、明確な境界が観察できない場合がある。
例えば、In-Ga-Zn酸化物におけるCAC-OSでは、EDXを用いて取得したEDXマッピングにより、Inを主成分とする領域(第1の領域)と、Gaを主成分とする領域(第2の領域)とが、偏在し、混合している構造を有することが確認できる。
CAC-OSをトランジスタに用いる場合、第1の領域に起因する導電性と、第2の領域に起因する絶縁性とが、相補的に作用することにより、スイッチングさせる機能(On/Offさせる機能)をCAC-OSに付与することができる。つまり、CAC-OSとは、材料の一部では導電性の機能と、材料の一部では絶縁性の機能とを有し、材料の全体では半導体としての機能を有する。導電性の機能と絶縁性の機能とを分離させることで、双方の機能を最大限に高めることができる。よって、CAC-OSをトランジスタに用いることで、高いオン電流(Ion)、高い電界効果移動度(μ)、および良好なスイッチング動作を実現することができる。
酸化物半導体は、多様な構造をとり、それぞれが異なる特性を有する。本発明の一態様の酸化物半導体は、非晶質酸化物半導体、多結晶酸化物半導体、a-like OS、CAC-OS、nc-OS、CAAC-OSのうち、二種以上を有していてもよい。
また、高温環境下で使用可能であるため、制御回路部として機能する回路912は酸化物半導体を用いるトランジスタを用いることが好ましい。プロセスを簡略なものとするため、回路912は単極性のトランジスタを用いて形成してもよい。半導体層に酸化物半導体を用いるトランジスタは、動作周囲温度が単結晶Siよりも広く-40℃以上150℃以下であり、二次電池が加熱しても特性変化が単結晶に比べて小さい。酸化物半導体を用いるトランジスタのオフ電流は、150℃であっても温度によらず測定下限以下であるが、単結晶Siトランジスタのオフ電流特性は、温度依存性が大きい。例えば、150℃では、単結晶Siトランジスタはオフ電流が上昇し、電流オン/オフ比が十分に大きくならない。
酸化物半導体を用いたトランジスタを含むメモリ回路を用いた回路912は、マイクロショート等の10項目の不安定性の原因に対し、二次電池の自動制御装置として機能させることもできる。10項目の不安定性の原因を解消する機能としては、過充電の防止、過電流の防止、充電時過熱制御、組電池でのセルバランス、過放電の防止、残量計、温度に応じた充電電圧および電流量自動制御、劣化度に応じた充電電流量制御、マイクロショート異常挙動検知、マイクロショートに関する異常予測などが挙げられ、そのうちの少なくとも一つ以上の機能を回路912が有する。また、二次電池の自動制御装置の超小型化が可能である。
また、マイクロショートとは、二次電池の内部の微小な短絡のことを指しており、二次電池の正極と負極が短絡して充放電不可能の状態になるというほどではなく、微小な短絡部でわずかに短絡電流が流れてしまう現象を指している。比較的短時間、且つ、わずかな箇所であっても大きな電圧変化が生じるため、その異常な電圧値がその後の推定に影響を与える恐れがある。
マイクロショートの原因の一つは、充放電が複数回行われることによって、正極活物質の不均一な分布により、正極の一部と負極の一部で局所的な電流の集中が生じ、セパレータの一部が機能しなくなる箇所が発生、または副反応による副反応物の発生によりミクロな短絡が生じていると言われている。
また、マイクロショートの検知だけでなく、回路912は、二次電池の端子電圧を検知し、二次電池の充放電状態を管理するとも言える。例えば、過充電を防ぐために充電回路の出力トランジスタと遮断用スイッチの両方をほぼ同時にオフ状態とすることができる。
なお、電池パックの構造は、図20に限定されない。
例えば、図21Aおよび図21Bに示すように、図20Aおよび図20Bに示す二次電池913のうち、対向する一対の面のそれぞれにアンテナを設けてもよい。図21Aは、上記一対の面の一方を示した外観図であり、図21Bは、上記一対の面の他方を示した外観図である。なお、図20Aおよび図20Bに示す二次電池と同じ部分については、図20Aおよび図20Bに示す二次電池の説明を適宜援用できる。
図21Aに示すように、二次電池913の一対の面の一方に層916を挟んでアンテナ914が設けられ、図21Bに示すように、二次電池913の一対の面の他方に層917を挟んでアンテナ918が設けられる。層917は、例えば二次電池913による電磁界を遮蔽することができる機能を有する。層917としては、例えば磁性体を用いることができる。
上記構造にすることにより、アンテナ914およびアンテナ918の両方のサイズを大きくすることができる。アンテナ918は、例えば、外部機器とのデータ通信を行うことができる機能を有する。アンテナ918には、例えばアンテナ914に適用可能な形状のアンテナを適用することができる。アンテナ918を介した二次電池と他の機器との通信方式としては、NFC(近距離無線通信)など、二次電池と他の機器との間で用いることができる応答方式などを適用することができる。
または、図21Cに示すように、図20Aおよび図20Bに示す二次電池913に表示装置920を設けてもよい。表示装置920は、端子911に電気的に接続される。なお、表示装置920が設けられる部分にラベル910を設けなくてもよい。なお、図20Aおよび図20Bに示す二次電池と同じ部分については、図20Aおよび図20Bに示す二次電池の説明を適宜援用できる。
表示装置920には、例えば充電中であるか否かを示す画像、蓄電量を示す画像などを表示してもよい。表示装置920としては、例えば電子ペーパー、液晶表示装置、エレクトロルミネセンス(ELともいう)表示装置などを用いることができる。例えば、電子ペーパーを用いることにより表示装置920の消費電力を低減することができる。
または、図21Dに示すように、図20Aおよび図20Bに示す二次電池913にセンサ921を設けてもよい。センサ921は、端子922を介して端子911に電気的に接続される。なお、図20Aおよび図20Bに示す二次電池と同じ部分については、図20Aおよび図20Bに示す二次電池の説明を適宜援用できる。
センサ921としては、例えば、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質、音声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、におい、または赤外線を測定することができる機能を有すればよい。センサ921を設けることにより、例えば、二次電池が置かれている環境を示すデータ(温度など)を検出し、回路912内のメモリに記憶しておくこともできる。
さらに、二次電池913の構造例について図22および図23を用いて説明する。
図22Aに示す二次電池913は、筐体930の内部領域に端子951と端子952が設けられた捲回体950を有する。捲回体950は、筐体930の内部領域で電解液に含浸される。端子952は、筐体930に接し、端子951は、絶縁材などを用いることにより筐体930に接していない。なお、図22Aでは、便宜のため、筐体930を分離して図示しているが、実際は、捲回体950が筐体930に覆われ、端子951および端子952が筐体930の外に延在している。筐体930としては、金属材料(例えばアルミニウムなど)または樹脂材料を用いることができる。
なお、図22Bに示すように、図22Aに示す筐体930を複数の材料によって形成してもよい。例えば、図22Bに示す二次電池913は、筐体930aと筐体930bが貼り合わされており、筐体930aおよび筐体930bで囲まれた領域に捲回体950が設けられている。
筐体930aとしては、有機樹脂など、絶縁材料を用いることができる。特に、アンテナが形成される面に有機樹脂などの材料を用いることにより、二次電池913による電界の遮蔽を抑制できる。なお、筐体930aによる電界の遮蔽が小さければ、筐体930aの内部領域にアンテナ914などのアンテナを設けてもよい。筐体930bとしては、例えば金属材料を用いることができる。
さらに、捲回体950の構造について図22Cに示す。捲回体950は、負極931と、正極932と、セパレータ933と、を有する。捲回体950は、セパレータ933を挟んで負極931と、正極932が重なり合って積層され、該積層シートを捲回させた捲回体である。なお、負極931と、正極932と、セパレータ933と、の積層を、さらに複数重ねてもよい。
負極931は、端子951および端子952の一方を介して図20に示す端子911に接続される。正極932は、端子951および端子952の他方を介して図20に示す端子911に接続される。
また図23A乃至図23Cに示すような捲回体950aを有する二次電池913としてもよい。図23Aに示す捲回体950aは、負極931と、正極932と、セパレータ933と、を有する。負極931は負極活物質層931aを有する。正極932は正極活物質層932aを有する。セパレータ933は、負極活物質層931aおよび正極活物質層932aよりも広い幅を有し、負極活物質層931aおよび正極活物質層932aと重畳するように捲回されている。また正極活物質層932aよりも負極活物質層931aの幅が広いことが安全性の点で好ましい。またこのような形状の捲回体950aは安全性および生産性がよく好ましい。
図23Bに示すように、負極931は端子951と電気的に接続される。端子951は端子911aと電気的に接続される。また正極932は端子952と電気的に接続される。端子952は端子911bと電気的に接続される。
図23Cに示すように、筐体930により捲回体950aおよび電解液が覆われ、二次電池913となる。筐体930には安全弁、過電流保護素子等を設けることが好ましい。
図23Bに示すように二次電池913は複数の捲回体950aを有していてもよい。複数の捲回体950aを用いることで、より充放電容量の大きい二次電池913とすることができる。図23Aおよび図23Bに示す二次電池913の他の要素は、図22A乃至図22Cに示す二次電池913の記載を参酌することができる。
正極932に、先の実施の形態で説明した正極活物質を用いることで、充放電容量が高くサイクル特性に優れた二次電池913とすることができる。
<ラミネート型二次電池>
次に、ラミネート型の二次電池の例について、図24乃至図36を参照して説明する。ラミネート型の二次電池は、可撓性を有する構成とすれば、または可撓性を有する部位を少なくとも一部有する電子機器に実装すれば、電子機器の変形に合わせて二次電池を曲げることもできる。
図24を用いて、ラミネート型の二次電池980について説明する。ラミネート型の二次電池980は、図24Aに示す捲回体993を有する。捲回体993は、負極994と、正極995と、セパレータ996と、を有する。捲回体993は、図23で説明した捲回体950aと同様に、セパレータ996を挟んで負極994と、正極995とが重なり合って積層され、該積層シートを捲回したものである。
なお、負極994、正極995およびセパレータ996からなる積層の積層数は、必要な充放電容量と素子体積に応じて適宜設計すればよい。負極994はリード電極997およびリード電極998の一方を介して負極集電体(図示せず)に接続され、正極995はリード電極997およびリード電極998の他方を介して正極集電体(図示せず)に接続される。
図24Bに示すように、外装体となるフィルム981と、凹部を有するフィルム982とを熱圧着などにより貼り合わせて形成される空間に上述した捲回体993を収納することで、図24Cに示すように二次電池980を作製することができる。捲回体993は、リード電極997およびリード電極998を有し、フィルム981と、凹部を有するフィルム982との内部領域で電解液に含浸される。
フィルム981と、凹部を有するフィルム982としては、例えばアルミニウムなどの金属材料または樹脂材料を用いることができる。フィルム981および凹部を有するフィルム982の材料として樹脂材料を用いれば、外部から力が加わったときにフィルム981と、凹部を有するフィルム982を変形させることができ、可撓性を有する蓄電池を作製することができる。
また、図24Bおよび図24Cでは2枚のフィルムを用いる例を示しているが、1枚のフィルムを折り曲げることによって空間を形成し、その空間に上述した捲回体993を収納してもよい。
正極995に、先の実施の形態で説明した正極活物質を用いることで、充放電容量が高くサイクル特性に優れた二次電池980とすることができる。
また図24では外装体となるフィルムにより形成された空間に捲回体を有する二次電池980の例について説明したが、例えば図25のように、外装体となるフィルムにより形成された空間に、短冊状の複数の正極、セパレータおよび負極を有する二次電池としてもよい。
図25Aに示すラミネート型の二次電池500は、正極集電体501および正極活物質層502を有する正極503と、負極集電体504および負極活物質層505を有する負極506と、セパレータ507と、電解液508と、外装体509と、を有する。外装体509内に設けられた正極503と負極506との間にセパレータ507が設置されている。また、外装体509内は、電解液508で満たされている。電解液508には、実施の形態3で示した電解液を用いることができる。
図25Aに示すラミネート型の二次電池500において、正極集電体501および負極集電体504は、外部との電気的接触を得る端子の役割も兼ねている。そのため、正極集電体501および負極集電体504の一部は、外装体509から外側に露出するように配置してもよい。また、正極集電体501および負極集電体504を、外装体509から外側に露出させず、リード電極を用いてそのリード電極と正極集電体501、或いは負極集電体504と超音波接合させてリード電極を外側に露出するようにしてもよい。
ラミネート型の二次電池500において、外装体509には、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、アイオノマー、ポリアミド等の材料からなる膜上に、アルミニウム、ステンレス、銅、ニッケル等の可撓性に優れた金属薄膜を設け、さらに該金属薄膜上に外装体の外面としてポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂等の絶縁性合成樹脂膜を設けた三層構造のラミネートフィルムを用いることができる。
また、ラミネート型の二次電池500の断面構造の一例を図25Bに示す。図25Aでは簡略のため、2つの集電体で構成する例を示しているが、実際は、図25Bに示すように、複数の電極層で構成する。
図25Bでは、一例として、電極層数を16としている。なお、電極層数を16としても二次電池500は、可撓性を有する。図25Bでは負極集電体504が8層と、正極集電体501が8層の合計16層の構造を示している。なお、図25Bは負極の取り出し部の断面を示しており、8層の負極集電体504を超音波接合させている。勿論、電極層数は16に限定されず、多くてもよいし、少なくてもよい。電極層数が多い場合には、より多くの充放電容量を有する二次電池とすることができる。また、電極層数が少ない場合には、薄型化でき、可撓性に優れた二次電池とすることができる。
ここで、ラミネート型の二次電池500の外観図の一例を図26および図27に示す。図26および図27は、正極503、負極506、セパレータ507、外装体509、正極リード電極510および負極リード電極511を有する。
図28Aは正極503および負極506の外観図を示す。正極503は正極集電体501を有し、正極活物質層502は正極集電体501の表面に形成されている。また、正極503は正極集電体501が一部露出する領域(以下、タブ領域という)を有する。負極506は負極集電体504を有し、負極活物質層505は負極集電体504の表面に形成されている。また、負極506は負極集電体504が一部露出する領域、すなわちタブ領域を有する。正極および負極が有するタブ領域の面積および形状は、図28Aに示す例に限られない。
<ラミネート型二次電池の作製方法>
ここで、図26に外観図を示すラミネート型二次電池の作製方法の一例について、図28B、図28Cを用いて説明する。
まず、負極506、セパレータ507および正極503を積層する。図28Bに積層された負極506、セパレータ507および正極503を示す。ここでは負極を5組、正極を4組使用する例を示す。次に、正極503のタブ領域同士の接合と、最表面の正極のタブ領域への正極リード電極510の接合を行う。接合には、例えば超音波溶接等を用いればよい。同様に、負極506のタブ領域同士の接合と、最表面の負極のタブ領域への負極リード電極511の接合を行う。
次に外装体509上に、負極506、セパレータ507および正極503を配置する。
次に、図28Cに示すように、外装体509を破線で示した部分で折り曲げる。その後、外装体509の外周部を接合する。接合には例えば熱圧着等を用いればよい。この時、後に電解液508を入れることができるように、外装体509の一部(または一辺)に接合されない領域(以下、導入口という)を設ける。
次に、外装体509に設けられた導入口から、電解液508(図示しない。)を外装体509の内側へ導入する。電解液508の導入は、減圧雰囲気下、或いは不活性雰囲気下で行うことが好ましい。そして最後に、導入口を接合する。このようにして、ラミネート型の二次電池500を作製することができる。
正極503に、先の実施の形態で説明した正極活物質を用いることで、充放電容量が高くサイクル特性に優れた二次電池500とすることができる。
<曲げることのできる二次電池>
次に、曲げることのできる二次電池の例について図29および図30を参照して説明する。
図29Aに、曲げることのできる二次電池250の上面概略図を示す。図29B、図29C、図29Dにはそれぞれ、図29A中の切断線C1-C2、切断線C3-C4、切断線A1-A2における断面概略図を示す。二次電池250は、外装体251と、外装体251の内部領域に収容された電極積層体210と、を有する。電極積層体210は、少なくとも正極211aおよび負極211bを有する。正極211aおよび負極211bをあわせて電極積層体210とする。正極211aと電気的に接続されたリード212a、および負極211bと電気的に接続されたリード212bは、外装体251の外側に延在している。また外装体251で囲まれた領域には、正極211aおよび負極211bに加えて電解液(図示しない)が封入されている。
二次電池250が有する正極211aおよび負極211bについて、図30を用いて説明する。図30Aは、正極211a、負極211bおよびセパレータ214の積層順を説明する斜視図である。図30Bは正極211aおよび負極211bに加えて、リード212aおよびリード212bを示す斜視図である。
図30Aに示すように、二次電池250は、複数の短冊状の正極211a、複数の短冊状の負極211bおよび複数のセパレータ214を有する。正極211aおよび負極211bはそれぞれ突出したタブ部分と、タブ以外の部分を有する。正極211aの一方の面のタブ以外の部分に正極活物質層が形成され、負極211bの一方の面のタブ以外の部分に負極活物質層が形成される。
正極211aの正極活物質層の形成されていない面同士、および負極211bの負極活物質の形成されていない面同士が接するように、正極211aおよび負極211bは積層される。
また、正極211aの正極活物質が形成された面と、負極211bの負極活物質が形成された面の間にはセパレータ214が設けられる。図30Aおよび図30Bでは見やすくするためセパレータ214を点線で示す。
また図30Bに示すように、複数の正極211aとリード212aは、接合部215aにおいて電気的に接続される。また複数の負極211bとリード212bは、接合部215bにおいて電気的に接続される。
次に、外装体251について図29B、図29C、図29D、図29Eを用いて説明する。
外装体251は、フィルム状の形状を有し、正極211aおよび負極211bを挟むように2つに折り曲げられている。外装体251は、折り曲げ部261と、一対のシール部262と、シール部263と、を有する。一対のシール部262は、正極211aおよび負極211bを挟んで設けられ、サイドシールとも呼ぶことができる。また、シール部263は、リード212aおよびリード212bと重なる部分を有し、トップシールとも呼ぶことができる。
外装体251は、正極211aおよび負極211bと重なる部分に、稜線271と谷線272が交互に並んだ波形状を有することが好ましい。また、外装体251のシール部262およびシール部263は、平坦であることが好ましい。
図29Bは、稜線271と重なる部分で切断した断面であり、図29Cは、谷線272と重なる部分で切断した断面である。図29B、図29Cは共に、二次電池250および正極211aおよび負極211bの幅方向の断面に対応する。
ここで、正極211aおよび負極211bの幅方向の端部、すなわち正極211aおよび負極211bの端部と、シール部262との間の距離を距離Laとする。二次電池250に曲げるなどの変形を加えたとき、後述するように正極211aおよび負極211bが長さ方向に互いにずれるように変形する。その際、距離Laが短すぎると、外装体251と正極211aおよび負極211bとが強く擦れ、外装体251が破損してしまう場合がある。特に外装体251の金属フィルムが露出すると、当該金属フィルムが電解液により腐食されてしまう恐れがある。したがって、距離Laを出来るだけ長く設定することが好ましい。一方で、距離Laを大きくしすぎると、二次電池250の体積が増大してしまう。
また、積層された正極211aおよび負極211bの合計の厚さが厚いほど、正極211aおよび負極211bと、シール部262との間の距離Laを大きくすることが好ましい。
より具体的には、積層された正極211aおよび負極211bおよび図示しないがセパレータ214の合計の厚さをtとしたとき、距離Laは、厚さtの0.8倍以上3.0倍以下、好ましくは0.9倍以上2.5倍以下、より好ましくは1.0倍以上2.0倍以下であることが好ましい。または0.8倍以上2.5倍以下が好ましい。または0.8倍以上2.0倍以下が好ましい。または0.9倍以上3.0倍以下が好ましい。または0.9倍以上2.0倍以下が好ましい。または1.0倍以上3.0倍以下が好ましい。または1.0倍以上2.5倍以下が好ましい。距離Laをこの範囲とすることで、コンパクトで、且つ曲げに対する信頼性の高い電池を実現できる。
また、一対のシール部262の間の距離を距離Lbとしたとき、距離Lbを正極211aおよび負極211bの幅(ここでは、負極211bの幅Wb)よりも十分大きくすることが好ましい。これにより、二次電池250に繰り返し曲げるなどの変形を加えたときに、正極211aおよび負極211bと外装体251とが接触しても、正極211aおよび負極211bの一部が幅方向にずれることができるため、正極211aおよび負極211bと外装体251とが擦れてしまうことを効果的に防ぐことができる。
例えば、一対のシール部262の間の距離Lbと、負極211bの幅Wbとの差が、正極211aおよび負極211bの厚さtの1.6倍以上6.0倍以下、好ましくは1.8倍以上5.0倍以下、より好ましくは、2.0倍以上4.0倍以下を満たすことが好ましい。または1.6倍以上5.0倍以下が好ましい。または1.6倍以上4.0倍以下が好ましい。または1.8倍以上6.0倍以下が好ましい。または1.8倍以上4.0倍以下が好ましい。または2.0倍以上6.0倍以下が好ましい。または2.0倍以上5.0倍以下が好ましい。
また、図29Dはリード212aを含む断面であり、二次電池250、正極211aおよび負極211bの長さ方向の断面に対応する。図29Dに示すように、折り曲げ部261において、正極211aおよび負極211bの長さ方向の端部と、外装体251との間に空間273を有することが好ましい。
図29Eに、二次電池250を曲げたときの断面概略図を示している。図29Eは、図29A中の切断線B1-B2における断面に相当する。
二次電池250を曲げると、曲げの外側に位置する外装体251の一部は伸び、内側に位置する他の一部は縮むように変形する。より具体的には、外装体251の外側に位置する部分は、波の振幅が小さく、且つ波の周期が大きくなるように変形する。一方、外装体251の内側に位置する部分は、波の振幅が大きく、且つ波の周期が小さくなるように変形する。このように、外装体251が変形することにより、曲げに伴って外装体251にかかる応力が緩和されるため、外装体251を構成する材料自体が伸縮する必要がない。その結果、外装体251は破損することなく、小さな力で二次電池250を曲げることができる。
また、図29Eに示すように、二次電池250を曲げると、正極211aおよび負極211bとがそれぞれ相対的にずれる。このとき、複数の積層された正極211aおよび負極211bは、シール部263側の一端が固定部材217で固定されているため、折り曲げ部261に近いほどずれ量が大きくなるように、それぞれずれる。これにより、正極211aおよび負極211bにかかる応力が緩和され、正極211aおよび負極211b自体が伸縮する必要がない。その結果、正極211aおよび負極211bが破損することなく二次電池250を曲げることができる。
また、正極211aおよび負極211bと外装体251との間に空間273を有していることにより、曲げた時内側に位置する正極211aおよび負極211bが、外装体251に接触することなく、相対的にずれることができる。
図29および図30で例示した二次電池250は、繰り返し曲げ伸ばしを行っても、外装体の破損、正極211aおよび負極211bの破損などが生じにくく、電池特性も劣化しにくい電池である。二次電池250が有する正極211aに、先の実施の形態で説明した正極活物質を用いることで、さらにサイクル特性に優れた電池とすることができる。
全固体電池においては、正極と負極を積層し、積層方向に所定の圧力を加えることで、内部領域における界面の接触状態を良好に保つことができる。正極と負極の積層方向に所定の圧力を加えることで、全固体電池の充放電によって積層方向に膨張することを抑えることができ、全固体電池の信頼性を向上させることができる。
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態6)
本実施の形態では、本発明の一態様である二次電池を電子機器に実装する例について説明する。
まず、先の実施の形態で説明した、曲げることのできる二次電池を電子機器に実装する例を、図31A乃至図31Gに示す。曲げることのできる二次電池を適用した電子機器として、例えば、テレビジョン装置(テレビ、またはテレビジョン受信機ともいう)、コンピュータ用などのモニタ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機(携帯電話、携帯電話装置ともいう)、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、音響再生装置、パチンコ機などの大型ゲーム機などが挙げられる。
また、フレキシブルな形状を備える二次電池を、家屋、ビルの内壁または外壁、自動車の内装または外装の曲面に沿って組み込むことも可能である。
図31Aは、携帯電話機の一例を示している。携帯電話機7400は、筐体7401に組み込まれた表示部7402の他、操作ボタン7403、外部接続ポート7404、スピーカ7405、マイク7406などを備えている。なお、携帯電話機7400は、二次電池7407を有している。上記の二次電池7407に本発明の一態様の二次電池を用いることで、軽量で長寿命な携帯電話機を提供できる。
図31Bは、携帯電話機7400を湾曲させた状態を示している。携帯電話機7400を外部の力により変形させて全体を湾曲させると、その内部領域に設けられている二次電池7407も湾曲される。また、その時、曲げられた二次電池7407の状態を図31Cに示す。二次電池7407は薄型の蓄電池である。二次電池7407は曲げられた状態で固定されている。なお、二次電池7407は集電体と電気的に接続されたリード電極を有している。例えば、集電体は銅箔であり、一部ガリウムと合金化させて、集電体と接する活物質層との密着性を向上し、二次電池7407が曲げられた状態での信頼性が高い構成となっている。
図31Dは、バングル型の表示装置の一例を示している。携帯表示装置7100は、筐体7101、表示部7102、操作ボタン7103、および二次電池7104を備える。また、図31Eに曲げられた二次電池7104の状態を示す。二次電池7104は曲げられた状態で使用者の腕への装着時に、筐体が変形して二次電池7104の一部または全部の曲率が変化する。なお、曲線の任意の点における曲がり具合を相当する円の半径の値で表したものを曲率半径と呼び、曲率半径の逆数を曲率と呼ぶ。具体的には、曲率半径が40mm以上150mm以下の範囲内で筐体または二次電池7104の主表面の一部または全部が変化する。二次電池7104の主表面における曲率半径が40mm以上150mm以下の範囲であれば、高い信頼性を維持できる。上記の二次電池7104に本発明の一態様の二次電池を用いることで、軽量で長寿命な携帯表示装置を提供できる。
図31Fは、腕時計型の携帯情報端末の一例を示している。携帯情報端末7200は、筐体7201、表示部7202、バンド7203、バックル7204、操作ボタン7205、入出力端子7206などを備える。
携帯情報端末7200は、移動電話、電子メール、文章閲覧および作成、音楽再生、インターネット通信、コンピュータゲームなどの種々のアプリケーションを実行することができる。
表示部7202はその表示面が湾曲して設けられ、湾曲した表示面に沿って表示を行うことができる。また、表示部7202はタッチセンサを備え、指またはスタイラスなどで画面に触れることで操作することができる。例えば、表示部7202に表示されたアイコン7207に触れることで、アプリケーションを起動することができる。
操作ボタン7205は、時刻設定のほか、電源のオン、オフ動作、無線通信のオン、オフ動作、マナーモードの実行および解除、省電力モードの実行および解除など、様々な機能を持たせることができる。例えば、携帯情報端末7200に組み込まれたオペレーティングシステムにより、操作ボタン7205の機能を自由に設定することもできる。
また、携帯情報端末7200は、通信規格された近距離無線通信を実行することが可能である。例えば無線通信可能なヘッドセットと相互通信することによって、ハンズフリーで通話することもできる。携帯情報端末7200は、アンテナを有してもよい。また該アンテナを無線通信に用いてもよい。
また、携帯情報端末7200は入出力端子7206を備え、他の情報端末とコネクタを介して直接データのやりとりを行うことができる。また入出力端子7206を介して充電を行うこともできる。なお、充電動作は入出力端子7206を介さずに無線給電により行ってもよい。
携帯情報端末7200の表示部7202は、本発明の一態様の二次電池を有している。本発明の一態様の二次電池を用いることで、軽量で長寿命な携帯情報端末を提供できる。例えば、図31Eに示した二次電池7104を、筐体7201の内部領域に湾曲した状態で、またはバンド7203の内部領域に湾曲可能な状態で組み込むことができる。
携帯情報端末7200はセンサを有することが好ましい。センサとして例えば、指紋センサ、脈拍センサ、および体温センサ等の人体センサ、並びにタッチセンサ、加圧センサ、および加速度センサ等から選ばれる一以上が搭載されることが好ましい。
図31Gは、腕章型の表示装置の一例を示している。表示装置7300は、表示部7304を有し、本発明の一態様の二次電池を有している。また、表示装置7300は、表示部7304にタッチセンサを備えることもでき、また、携帯情報端末として機能させることもできる。
表示部7304はその表示面が湾曲しており、湾曲した表示面に沿って表示を行うことができる。また、表示装置7300は、通信規格された近距離無線通信などにより、表示状況を変更することができる。
また、表示装置7300は入出力端子を備え、他の情報端末とコネクタを介して直接データのやりとりを行うことができる。また入出力端子を介して充電を行うこともできる。なお、充電動作は入出力端子を介さずに無線給電により行ってもよい。
表示装置7300が有する二次電池として本発明の一態様の二次電池を用いることで、軽量で長寿命な表示装置を提供できる。
また、先の実施の形態で示す二次電池を電子機器に実装する例を図31H、図32および図33を用いて説明する。
日用電子機器に二次電池として本発明の一態様の二次電池を用いることで、軽量で長寿命な製品を提供できる。例えば、日用電子機器として、電動歯ブラシ、電気シェーバー、電動美容機器などが挙げられ、それらの製品の二次電池としては、使用者の持ちやすさを考え、形状をスティック状とし、小型、軽量、且つ、充放電容量の大きな二次電池が望まれている。
図31Hはタバコ収容喫煙装置(電子タバコ)とも呼ばれる装置の斜視図である。図31Hにおいて電子タバコ7500は、加熱素子を含むアトマイザ7501と、アトマイザに電力を供給する二次電池7504と、液体供給ボトルおよびセンサなどから選ばれる一以上を含むカートリッジ7502で構成されている。安全性を高めるため、二次電池7504の過充電および過放電の一方または両方を防ぐ保護回路を二次電池7504に電気的に接続してもよい。図31Hに示した二次電池7504は、充電機器と接続できるように外部端子を有している。二次電池7504は持った場合に先端部分となるため、トータルの長さが短く、且つ、重量が軽いことが望ましい。本発明の一態様の二次電池は充放電容量が高く、良好なサイクル特性を有するため、長期間に渡って長時間の使用ができる小型であり、且つ、軽量の電子タバコ7500を提供できる。
次に、図32Aおよび図32Bに、2つ折り可能なタブレット型端末の一例を示す。図32Aおよび図32Bに示すタブレット型端末9600は、筐体9630a、筐体9630b、筐体9630aと筐体9630bを接続する可動部9640、表示部9631aと表示部9631bを有する表示部9631、スイッチ9625、スイッチ9626およびスイッチ9627、留め具9629、操作スイッチ9628、を有する。表示部9631には、可撓性を有するパネルを用いることで、より広い表示部を有するタブレット端末とすることができる。図32Aは、タブレット型端末9600を開いた状態を示し、図32Bは、タブレット型端末9600を閉じた状態を示している。
また、タブレット型端末9600は、筐体9630aおよび筐体9630bの内部領域に蓄電体9635を有する。蓄電体9635は、可動部9640を通り、筐体9630aと筐体9630bに渡って設けられている。
表示部9631は、全てまたは一部の領域をタッチパネルの領域とすることができ、また当該領域に表示されたアイコンを含む画像、文字、入力フォームなどに触れることでデータ入力をすることができる。例えば、筐体9630a側の表示部9631aの全面にキーボードボタンを表示させて、筐体9630b側の表示部9631bに文字、画像などの情報を表示させて用いてもよい。
また、筐体9630b側の表示部9631bにキーボードを表示させて、筐体9630a側の表示部9631aに文字、画像などの情報を表示させて用いてもよい。また、表示部9631にタッチパネルのキーボード表示切り替えボタンを表示するようにして、当該ボタンに指またはスタイラスなどで触れることで表示部9631にキーボードを表示するようにしてもよい。
また、筐体9630a側の表示部9631aのタッチパネルの領域と筐体9630b側の表示部9631bのタッチパネルの領域に対して同時にタッチ入力することもできる。
また、スイッチ9625乃至スイッチ9627には、タブレット型端末9600を操作するためのインターフェースだけでなく、様々な機能の切り替えを行うことができるインターフェースとしてもよい。例えば、スイッチ9625乃至スイッチ9627の少なくとも一は、タブレット型端末9600の電源のオン・オフを切り替えるスイッチとして機能してもよい。また、例えば、スイッチ9625乃至スイッチ9627の少なくとも一は、縦表示または横表示などの表示の向きを切り替える機能、または白黒表示とカラー表示を切り替える機能を有してもよい。また、例えば、スイッチ9625乃至スイッチ9627の少なくとも一は、表示部9631の輝度を調整する機能を有してもよい。また、表示部9631の輝度は、タブレット型端末9600に内蔵している光センサで検出される使用時の外光の光量に応じて最適なものとすることができる。なお、タブレット型端末は光センサだけでなく、ジャイロ、加速度センサ等の傾きを検出するセンサ等の他の検出装置を内蔵させてもよい。
また、図32Aでは筐体9630a側の表示部9631aと筐体9630b側の表示部9631bの表示面積とがほぼ同じ例を示しているが、表示部9631aおよび表示部9631bのそれぞれの表示面積は特に限定されず、一方のサイズと他方のサイズが異なっていてもよく、表示の品質も異なっていてもよい。例えば一方が他方よりも高精細な表示を行える表示パネルとしてもよい。
図32Bは、タブレット型端末9600を2つ折りに閉じた状態であり、タブレット型端末9600は、筐体9630、太陽電池9633、DCDCコンバータ9636を含む充放電制御回路9634を有する。また、蓄電体9635として、本発明の一態様に係る蓄電体を用いる。
なお、上述の通り、タブレット型端末9600は2つ折りが可能であるため、未使用時に筐体9630aおよび筐体9630bを重ね合せるように折りたたむことができる。折りたたむことにより、表示部9631を保護できるため、タブレット型端末9600の耐久性を高めることができる。また、本発明の一態様の二次電池を用いた蓄電体9635は充放電容量が高く、良好なサイクル特性を有するため、長期間に渡って長時間の使用ができるタブレット型端末9600を提供できる。
また、この他にも図32Aおよび図32Bに示したタブレット型端末9600は、様々な情報(静止画、動画、テキスト画像など)を表示する機能、カレンダー、日付または時刻などを表示部に表示する機能、表示部に表示した情報をタッチ入力操作または編集するタッチ入力機能、様々なソフトウェア(プログラム)によって処理を制御する機能等を有することができる。
タブレット型端末9600の表面に装着された太陽電池9633によって、電力をタッチパネル、表示部、または映像信号処理部等に供給することができる。なお、太陽電池9633は、筐体9630の片面または両面に設けることができ、蓄電体9635の充電を効率的に行う構成とすることができる。なお蓄電体9635としては、リチウムイオン電池を用いると、小型化を図れる等の利点がある。
また、図32Bに示す充放電制御回路9634の構成、および動作について図32Cにブロック図を示し説明する。図32Cには、太陽電池9633、蓄電体9635、DCDCコンバータ9636、コンバータ9637、スイッチSW1乃至SW3、表示部9631について示しており、蓄電体9635、DCDCコンバータ9636、コンバータ9637、スイッチSW1乃至SW3が、図32Bに示す充放電制御回路9634に対応する箇所となる。
まず外光を用いる太陽電池9633により発電がされる場合の動作の例について説明する。太陽電池で発電した電力は、蓄電体9635を充電するための電圧となるようDCDCコンバータ9636で昇圧または降圧がなされる。そして、表示部9631の動作に太陽電池9633からの電力が用いられる際にはスイッチSW1をオンにし、コンバータ9637で表示部9631に必要な電圧に昇圧または降圧をすることとなる。また、表示部9631での表示を行わない際には、スイッチSW1をオフにし、スイッチSW2をオンにして蓄電体9635の充電を行う構成とすればよい。
なお太陽電池9633については、発電手段の一例として示したが、特に限定されず、圧電素子(ピエゾ素子)および熱電変換素子(ペルティエ素子)などから選ばれる一以上の他の発電手段による蓄電体9635の充電を行う構成であってもよい。例えば、無線(非接触)で電力を送受信して充電する無接点電力伝送モジュール、および他の充電手段から選ばれる一以上を組み合わせて行う構成としてもよい。
図33に、他の電子機器の例を示す。図33において、表示装置8000は、本発明の一態様に係る二次電池8004を用いた電子機器の一例である。具体的に、表示装置8000は、TV放送受信用の表示装置に相当し、筐体8001、表示部8002、スピーカ部8003、二次電池8004等を有する。本発明の一態様に係る二次電池8004は、筐体8001の内部領域に設けられている。表示装置8000は、商用電源から電力の供給を受けることもできるし、二次電池8004に蓄積された電力を用いることもできる。よって、停電などにより商用電源から電力の供給が受けられない時でも、本発明の一態様に係る二次電池8004を無停電電源として用いることで、表示装置8000の利用が可能となる。
表示部8002には、液晶表示装置、有機EL素子などの発光素子を各画素に備えた発光装置、電気泳動表示装置、DMD(Digital Micromirror Device)、PDP(Plasma Display Panel)、FED(Field Emission Display)などの、半導体表示装置を用いることができる。
なお、表示装置には、TV放送受信用の他、パーソナルコンピュータ用、広告表示用など、全ての情報表示用表示装置が含まれる。
図33において、据え付け型の照明装置8100は、本発明の一態様に係る二次電池8103を用いた電子機器の一例である。具体的に、照明装置8100は、筐体8101、光源8102、二次電池8103等を有する。図33では、二次電池8103が、筐体8101および光源8102が据え付けられた天井8104の内部領域に設けられている場合を例示しているが、二次電池8103は、筐体8101の内部領域に設けられていても良い。照明装置8100は、商用電源から電力の供給を受けることもできるし、二次電池8103に蓄積された電力を用いることもできる。よって、停電などにより商用電源から電力の供給が受けられない時でも、本発明の一態様に係る二次電池8103を無停電電源として用いることで、照明装置8100の利用が可能となる。
なお、図33では天井8104に設けられた据え付け型の照明装置8100を例示しているが、本発明の一態様に係る二次電池は、天井8104以外、例えば側壁8105、床8106、窓8107等に設けられた据え付け型の照明装置に用いることもできるし、卓上型の照明装置等に用いることもできる。
また、光源8102には、電力を利用して人工的に光を得る人工光源を用いることができる。具体的には、白熱電球、蛍光灯などの放電ランプ、LEDまたは有機EL素子などの発光素子が、上記人工光源の一例として挙げられる。
図33において、室内機8200および室外機8204を有するエアコンディショナーは、本発明の一態様に係る二次電池8203を用いた電子機器の一例である。具体的に、室内機8200は、筐体8201、送風口8202、二次電池8203等を有する。図33では、二次電池8203が、室内機8200に設けられている場合を例示しているが、二次電池8203は室外機8204に設けられていても良い。或いは、室内機8200と室外機8204の両方に、二次電池8203が設けられていても良い。エアコンディショナーは、商用電源から電力の供給を受けることもできるし、二次電池8203に蓄積された電力を用いることもできる。特に、室内機8200と室外機8204の両方に二次電池8203が設けられている場合、停電などにより商用電源から電力の供給が受けられない時でも、本発明の一態様に係る二次電池8203を無停電電源として用いることで、エアコンディショナーの利用が可能となる。
なお、図33では、室内機と室外機で構成されるセパレート型のエアコンディショナーを例示しているが、室内機の機能と室外機の機能とを1つの筐体に有する一体型のエアコンディショナーに、本発明の一態様に係る二次電池を用いることもできる。
図33において、電気冷凍冷蔵庫8300は、本発明の一態様に係る二次電池8304を用いた電子機器の一例である。具体的に、電気冷凍冷蔵庫8300は、筐体8301、冷蔵室用扉8302、冷凍室用扉8303、二次電池8304等を有する。図33では、二次電池8304が、筐体8301の内部領域に設けられている。電気冷凍冷蔵庫8300は、商用電源から電力の供給を受けることもできるし、二次電池8304に蓄積された電力を用いることもできる。よって、停電などにより商用電源から電力の供給が受けられない時でも、本発明の一態様に係る二次電池8304を無停電電源として用いることで、電気冷凍冷蔵庫8300の利用が可能となる。
なお、上述した電子機器のうち、電子レンジ等の高周波加熱装置、電気炊飯器などの電子機器は、短時間で高い電力を必要とする。よって、商用電源では賄いきれない電力を補助するための補助電源として、本発明の一態様に係る二次電池を用いることで、電子機器の使用時に商用電源のブレーカーが落ちるのを防ぐことができる。
また、電子機器が使用されない時間帯、特に、商用電源の供給元が供給可能な総電力量のうち、実際に使用される電力量の割合(電力使用率と呼ぶ)が低い時間帯において、二次電池に電力を蓄えておくことで、上記時間帯以外において電力使用率が高まるのを抑えることができる。例えば、電気冷凍冷蔵庫8300の場合、気温が低く、冷蔵室用扉8302、冷凍室用扉8303の開閉が行われない夜間において、二次電池8304に電力を蓄える。そして、気温が高くなり、冷蔵室用扉8302、冷凍室用扉8303の開閉が行われる昼間において、二次電池8304を補助電源として用いることで、昼間の電力使用率を低く抑えることができる。
本発明の一態様により、二次電池のサイクル特性が良好となり、信頼性を向上させることができる。また、本発明の一態様によれば、充放電容量が高い二次電池とすることができ、よって、二次電池の特性を向上することができ、よって、二次電池自体を小型軽量化することができる。そのため本発明の一態様である二次電池を、本実施の形態で説明した電子機器に搭載することで、より長寿命で、より軽量な電子機器とすることができる。
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
(実施の形態7)
本実施の形態では、先の実施の形態で説明した二次電池を用いた電子機器の例について図34乃至図35を用いて説明する。
図34Aは、ウェアラブルデバイスの例を示している。ウェアラブルデバイスは、電源として二次電池を用いる。また、使用者が生活または屋外で使用する場合において、防沫性能、耐水性能または防塵性能を高めるため、接続するコネクタ部分が露出している有線による充電だけでなく、無線充電も行えるウェアラブルデバイスが望まれている。
例えば、図34Aに示すような眼鏡型デバイス4000に本発明の一態様である二次電池を搭載することができる。眼鏡型デバイス4000は、フレーム4000aと、表示部4000bを有する。湾曲を有するフレーム4000aのテンプル部に二次電池を搭載することで、軽量であり、且つ、重量バランスがよく継続使用時間の長い眼鏡型デバイス4000とすることができる。本発明の一態様である二次電池を備えることで、筐体の小型化に伴う省スペース化に対応できる構成を実現することができる。
また、ヘッドセット型デバイス4001に本発明の一態様である二次電池を搭載することができる。ヘッドセット型デバイス4001は、少なくともマイク部4001aと、フレキシブルパイプ4001bと、イヤフォン部4001cを有する。フレキシブルパイプ4001b内およびイヤフォン部4001c内に二次電池を設けることができる。本発明の一態様である二次電池を備えることで、筐体の小型化に伴う省スペース化に対応できる構成を実現することができる。
また、身体に直接取り付け可能なデバイス4002に本発明の一態様である二次電池を搭載することができる。デバイス4002の薄型の筐体4002aの中に、二次電池4002bを設けることができる。本発明の一態様である二次電池を備えることで、筐体の小型化に伴う省スペース化に対応できる構成を実現することができる。
また、衣服に取り付け可能なデバイス4003に本発明の一態様である二次電池を搭載することができる。デバイス4003の薄型の筐体4003aの中に、二次電池4003bを設けることができる。本発明の一態様である二次電池を備えることで、筐体の小型化に伴う省スペース化に対応できる構成を実現することができる。
また、ベルト型デバイス4006に本発明の一態様である二次電池を搭載することができる。ベルト型デバイス4006は、ベルト部4006aおよびワイヤレス給電受電部4006bを有し、ベルト部4006aの内部領域に、二次電池を搭載することができる。本発明の一態様である二次電池を備えることで、筐体の小型化に伴う省スペース化に対応できる構成を実現することができる。
また、腕時計型デバイス4005に本発明の一態様である二次電池を搭載することができる。腕時計型デバイス4005は表示部4005aおよびベルト部4005bを有し、表示部4005aまたはベルト部4005bに、二次電池を設けることができる。本発明の一態様である二次電池を備えることで、筐体の小型化に伴う省スペース化に対応できる構成を実現することができる。
表示部4005aには、時刻だけでなく、メールおよび電話の着信等、様々な情報を表示することができる。
また、腕時計型デバイス4005は、腕に直接巻きつけるタイプのウェアラブルデバイスであるため、使用者の脈拍、血圧等を測定するセンサを搭載してもよい。使用者の運動量および健康に関するデータを蓄積し、健康を管理することができる。
図34Bに腕から取り外した腕時計型デバイス4005の斜視図を示す。
また、側面図を図34Cに示す。図34Cには、内部領域に二次電池913を内蔵している様子を示している。二次電池913は実施の形態4に示した二次電池である。二次電池913は表示部4005aと重なる位置に設けられており、小型、且つ、軽量である。
図35Aは、掃除ロボットの一例を示している。掃除ロボット6300は、筐体6301の上面に配置された表示部6302、側面に配置された複数のカメラ6303、ブラシ6304、操作ボタン6305、二次電池6306、各種センサなどを有する。図示されていないが、掃除ロボット6300には、タイヤ、吸い込み口等が備えられている。掃除ロボット6300は自走し、ゴミ6310を検知し、下面に設けられた吸い込み口からゴミを吸引することができる。
例えば、掃除ロボット6300は、カメラ6303が撮影した画像を解析し、壁、家具または段差などの障害物の有無を判断することができる。また、画像解析により、配線などブラシ6304に絡まりそうな物体を検知した場合は、ブラシ6304の回転を止めることができる。掃除ロボット6300は、その内部領域に本発明の一態様に係る二次電池6306と、半導体装置または電子部品を備える。本発明の一態様に係る二次電池6306を掃除ロボット6300に用いることで、掃除ロボット6300を稼働時間が長く信頼性の高い電子機器とすることができる。
図35Bは、ロボットの一例を示している。図35Bに示すロボット6400は、二次電池6409、照度センサ6401、マイクロフォン6402、上部カメラ6403、スピーカ6404、表示部6405、下部カメラ6406および障害物センサ6407、移動機構6408、演算装置等を備える。
マイクロフォン6402は、使用者の話し声および環境音等を検知する機能を有する。また、スピーカ6404は、音声を発する機能を有する。ロボット6400は、マイクロフォン6402およびスピーカ6404を用いて、使用者とコミュニケーションをとることが可能である。
表示部6405は、種々の情報の表示を行う機能を有する。ロボット6400は、使用者の望みの情報を表示部6405に表示することが可能である。表示部6405は、タッチパネルを搭載していてもよい。また、表示部6405は取り外しのできる情報端末であっても良く、ロボット6400の定位置に設置することで、充電およびデータの受け渡しを可能とする。
上部カメラ6403および下部カメラ6406は、ロボット6400の周囲を撮像する機能を有する。また、障害物センサ6407は、移動機構6408を用いてロボット6400が前進する際の進行方向における障害物の有無を察知することができる。ロボット6400は、上部カメラ6403、下部カメラ6406および障害物センサ6407を用いて、周囲の環境を認識し、安全に移動することが可能である。
ロボット6400は、その内部領域に本発明の一態様に係る二次電池6409と、半導体装置または電子部品を備える。本発明の一態様に係る二次電池をロボット6400に用いることで、ロボット6400を稼働時間が長く信頼性の高い電子機器とすることができる。
図35Cは、飛行体の一例を示している。図35Cに示す飛行体6500は、プロペラ6501、カメラ6502、および二次電池6503などを有し、自律して飛行する機能を有する。
例えば、カメラ6502で撮影した画像データは、電子部品6504に記憶される。電子部品6504は、画像データを解析し、移動する際の障害物の有無などを察知することができる。また、電子部品6504によって二次電池6503の蓄電容量の変化から、バッテリ残量を推定することができる。飛行体6500は、その内部領域に本発明の一態様に係る二次電池6503を備える。本発明の一態様に係る二次電池を飛行体6500に用いることで、飛行体6500を稼働時間が長く信頼性の高い電子機器とすることができる。
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
(実施の形態8)
本実施の形態では、二次電池を電気自動車(EV)に適用する例を示す。
電気自動車には、図36Cに示すように、メインの駆動用の二次電池として第1のバッテリ1301a、1301bと、モーター1304を始動させるインバータ1312に電力を供給する第2のバッテリ1311が設置されている。第2のバッテリ1311はクランキングバッテリ(スターターバッテリ)とも呼ばれる。第2のバッテリ1311は高出力できればよく、大容量はそれほど必要とされず、第2のバッテリ1311の容量は第1のバッテリ1301a、1301bと比較して小さい。
第1のバッテリ1301aおよび1301bとして、先の実施の形態に示す二次電池の作製方法を用いた二次電池を用いることができる。
本実施の形態では、第1のバッテリ1301a、1301bを2つ並列に接続させている例を示しているが3つ以上並列に接続させてもよい。また、第1のバッテリ1301aで十分な電力を貯蔵できるのであれば、第1のバッテリ1301bはなくてもよい。複数の二次電池を有する電池パックを構成することで、大きな電力を取り出すことができる。複数の二次電池は、並列接続されていてもよいし、直列接続されていてもよいし、並列に接続された後、さらに直列に接続されていてもよい。複数の二次電池を組電池とも呼ぶ。
また、車載用の二次電池において、複数の二次電池からの電力を遮断するため、工具を使わずに高電圧を遮断できるサービスプラグまたはサーキットブレーカを有しており、第1のバッテリ1301aに設けられる。
また、第1のバッテリ1301a、1301bの電力は、主にモーター1304を回転させることに使用されるが、DCDC回路1306を介して42V系の車載部品(電動パワステ1307、ヒーター1308、デフォッガ1309など)に電力を供給する。後輪にリアモーター1317を有している場合にも、第1のバッテリ1301aがリアモーター1317を回転させることに使用される。
また、第2のバッテリ1311は、DCDC回路1310を介して14V系の車載部品(オーディオ1313、パワーウィンドウ1314、ランプ類1315など)に電力を供給する。
また、第1のバッテリ1301aについて、図36Aを用いて説明する。
図36Aでは9個の角型二次電池1300を一つの電池パック1415としている例を示している。また、9個の角型二次電池1300を直列接続し、一方の電極を絶縁体からなる固定部1413で固定し、もう一方の電極を絶縁体からなる固定部1414で固定している。本実施の形態では固定部1413、1414で固定する例を示しているが電池収容ボックス(筐体とも呼ぶ)に収納させる構成としてもよい。車両は外部(路面など)から振動または揺れが加えられることを想定されているため、固定部1413、1414、または電池収容ボックスなどで複数の二次電池を固定することが好ましい。また、一方の電極は配線1421によって制御回路部1320に電気的に接続されている。またもう一方の電極は配線1422によって制御回路部1320に電気的に接続されている。
また、制御回路部1320は、酸化物半導体を用いたトランジスタを含むメモリ回路を用いてもよい。酸化物半導体を用いたトランジスタを含むメモリ回路を有する充電制御回路、または電池制御システムを、BTOS(Battery operating system、またはBattery oxide semiconductor)と呼称する場合がある。
制御回路部1320は、二次電池の端子電圧を検知し、二次電池の充放電状態を管理する。例えば、過充電を防ぐために充電回路の出力トランジスタと遮断用スイッチの両方をほぼ同時にオフ状態とすることができる。
また、図36Aに示す電池パック1415のブロック図の一例を図36Bに示す。
制御回路部1320は、少なくとも過充電を防止するスイッチと、過放電を防止するスイッチを含むスイッチ部1324と、スイッチ部1324を制御する制御回路1322と、第1のバッテリ1301aの電圧測定部と、を有する。制御回路部1320は、使用する二次電池の上限電圧と下限電圧と設定されており、外部からの電流上限または、外部への出力電流の上限などを制限している。二次電池の下限電圧以上上限電圧以下の範囲内は、使用が推奨されている電圧範囲内であり、その範囲外となるとスイッチ部1324が作動し、保護回路として機能する。また、制御回路部1320は、スイッチ部1324を制御して過放電または過充電を防止するため、保護回路とも呼べる。例えば、過充電となりそうな電圧を制御回路1322で検知した場合にスイッチ部1324のスイッチをオフ状態とすることで電流を遮断する。さらに充放電経路中にPTC素子を設けて温度の上昇に応じて電流を遮断する機能を設けてもよい。また、制御回路部1320は、外部端子1325(+IN)と、外部端子1326(-IN)とを有している。
スイッチ部1324は、nチャネル型のトランジスタまたはpチャネル型のトランジスタを組み合わせて構成することができる。スイッチ部1324は、単結晶シリコンを用いるSiトランジスタを有するスイッチに限定されず、例えば、Ge(ゲルマニウム)、SiGe(シリコンゲルマニウム)、GaAs(ガリウムヒ素)、GaAlAs(ガリウムアルミニウムヒ素)、InP(リン化インジウム)、SiC(シリコンカーバイド)、ZnSe(セレン化亜鉛)、GaN(窒化ガリウム)、GaOx(酸化ガリウム;xは0より大きい実数)などを有するパワートランジスタでスイッチ部1324を形成してもよい。また、OSトランジスタを用いた記憶素子は、Siトランジスタを用いた回路上などに積層することで自由に配置可能であるため、集積化を容易に行うことができる。またOSトランジスタは、Siトランジスタと同様の製造装置を用いて作製することが可能であるため、低コストで作製可能である。即ち、スイッチ部1324上にOSトランジスタを用いた制御回路部1320を積層し、集積化することで1チップとすることもできる。制御回路部1320の占有体積を小さくすることができるため、小型化が可能となる。
第1のバッテリ1301a、1301bは、主に42V系(高電圧系)の車載機器に電力を供給し、第2のバッテリ1311は14V系(低電圧系)の車載機器に電力を供給する。第2のバッテリ1311は鉛蓄電池がコスト上有利のため採用されることが多い。
本実施の形態では、第1のバッテリ1301aと第2のバッテリ1311の両方にリチウムイオン二次電池を用いる一例を示す。第2のバッテリ1311は鉛蓄電池または全固体電池または電気二重層キャパシタを用いてもよい。
また、タイヤ1316の回転による回生エネルギーは、ギア1305を介してモーター1304に送られ、モーターコントローラ1303またはバッテリコントローラ1302から制御回路部1321を介して第2のバッテリ1311に充電される。またはバッテリコントローラ1302から制御回路部1320を介して第1のバッテリ1301aに充電される。またはバッテリコントローラ1302から制御回路部1320を介して第1のバッテリ1301bに充電される。回生エネルギーを効率よく充電するためには、第1のバッテリ1301a、1301bが急速充電可能であることが望ましい。
バッテリコントローラ1302は第1のバッテリ1301a、1301bの充電電圧および充電電流などを設定することができる。バッテリコントローラ1302は、用いる二次電池の充電特性に合わせて充電条件を設定し、急速充電することができる。
また、図示していないが、外部の充電器と接続させる場合、充電器のコンセントまたは充電器の接続ケーブルは、バッテリコントローラ1302に電気的に接続される。外部の充電器から供給された電力はバッテリコントローラ1302を介して第1のバッテリ1301a、1301bに充電する。また、充電器によっては、制御回路が設けられており、バッテリコントローラ1302の機能を用いない場合もあるが、過充電を防ぐため制御回路部1320を介して第1のバッテリ1301a、1301bを充電することが好ましい。また、接続ケーブルまたは充電器の接続ケーブルに制御回路を備えている場合もある。制御回路部1320は、ECU(Electronic Control Unit)と呼ばれることもある。ECUは、電動車両に設けられたCAN(Controller Area Network)に接続される。CANは、車内LANとして用いられるシリアル通信規格の一つである。また、ECUは、マイクロコンピュータを含む。また、ECUは、CPUまたはGPUを用いる。
次に、本発明の一態様である二次電池を車両等の移動体に実装する例について説明する。
また、本発明の一態様の二次電池を車両に搭載すると、ハイブリッド車(HV)、電気自動車(EV)、またはプラグインハイブリッド車(PHV)等の次世代クリーンエネルギー自動車を実現できる。
図37において、本発明の一態様である二次電池を用いた車両を例示する。図37Aに示す自動車8400は、走行のための動力源として電気モーターを用いる電気自動車である。または、走行のための動力源として電気モーターとエンジンを適宜選択して用いることが可能なハイブリッド自動車である。本発明の一態様を用いることで、航続距離の長い車両を実現することができる。また、自動車8400は二次電池を有する。二次電池は、車内の床部分に対して、図19Cおよび図19Dに示した二次電池のモジュールを並べて使用すればよい。また、図22に示す二次電池を複数組み合わせた電池パックを車内の床部分に対して設置してもよい。二次電池は電気モーター8406を駆動するだけでなく、ヘッドライト8401およびルームライト(図示せず)などの発光装置に電力を供給することができる。
また、二次電池は、自動車8400が有するスピードメーター、タコメーターなどの表示装置に電力を供給することができる。また、二次電池は、自動車8400が有するナビゲーションシステムなどの半導体装置に電力を供給することができる。
図37Bに示す自動車8500は、自動車8500が有する二次電池にプラグイン方式および非接触給電方式等により外部の充電設備から電力供給を受けて、充電することができる。図37Bに、地上設置型の充電装置8021から自動車8500に搭載された二次電池8024に、ケーブル8022を介して充電を行っている状態を示す。充電に際しては、充電方法およびコネクタの規格等はCHAdeMO(登録商標)またはコンボ等の所定の方式で適宜行えばよい。充電装置8021は、商用施設に設けられた充電ステーションでもよく、また家庭の電源であってもよい。例えば、プラグイン技術によって、外部からの電力供給により自動車8500に搭載された二次電池8024を充電することができる。充電は、ACDCコンバータ等の変換装置を介して、交流電力を直流電力に変換して行うことができる。
また、図示しないが、受電装置を車両に搭載し、地上の送電装置から電力を非接触で供給して充電することもできる。この非接触給電方式の場合には、道路および外壁に送電装置を組み込むことで、停車中に限らず走行中に充電を行うこともできる。また、この非接触給電の方式を利用して、車両同士で電力の送受信を行ってもよい。さらに、車両の外装部に太陽電池を設け、停車時または走行時に二次電池の充電を行ってもよい。このような非接触での電力の供給には、電磁誘導方式および磁界共鳴方式の一方または両方を用いることができる。
また、図37Cは、本発明の一態様の二次電池を用いた二輪車の一例である。図37Cに示すスクータ8600は、二次電池8602、サイドミラー8601、方向指示灯8603を備える。二次電池8602は、方向指示灯8603に電気を供給することができる。
また、図37Cに示すスクータ8600は、座席下収納8604に、二次電池8602を収納することができる。二次電池8602は、座席下収納8604が小型であっても、座席下収納8604に収納することができる。二次電池8602は、取り外し可能となっており、充電時には二次電池8602を屋内に持って運び、充電し、走行する前に収納すればよい。
本発明の一態様によれば、二次電池のサイクル特性が良好となり、二次電池の充放電容量を大きくすることができる。よって、二次電池自体を小型軽量化することができる。二次電池自体を小型軽量化できれば、車両の軽量化に寄与するため、航続距離を向上させることができる。また、車両に搭載した二次電池を車両以外の電力供給源として用いることもできる。この場合、例えば電力需要のピーク時に商用電源を用いることを回避することができる。電力需要のピーク時に商用電源を用いることを回避できれば、省エネルギー、および二酸化炭素の排出の削減に寄与することができる。また、サイクル特性が良好であれば二次電池を長期に渡って使用できるため、コバルトをはじめとする希少金属の使用量を減らすことができる。
本実施例では、本発明の一態様の負極活物質を作製し、その特性を評価する。
<負極活物質の作製>
図3に示すフローに沿って負極活物質を作製した。第1の材料801として、比表面積が1.5m2/gのMCMB黒鉛を用いた。ハロゲンを有する材料802として、フッ化リチウムを用いた。酸素および炭素を有する材料803として、炭酸リチウムを用いた。
負極活物質として、活物質AG1、活物質AG2、活物質AG3および活物質AG4を作製した。
[AG1]
活物質AG1の材料として黒鉛、フッ化リチウムおよび炭酸リチウムを準備した(図3のステップS21、ステップS22およびステップS23参照)。黒鉛:フッ化リチウム:炭酸リチウム=100:5:5(weight%)となるように配合し、乾式の混合を行った(図3のステップS31乃至ステップS33参照)。
[AG2]
活物質AG2の材料として黒鉛および炭酸リチウムを準備した。黒鉛:炭酸リチウム=100:10(weight%)となるように配合し、乾式の混合を行った。
[AG3]
活物質AG3の材料として黒鉛およびフッ化リチウムを準備した。黒鉛:フッ化リチウム=100:10(weight%)となるように配合し、乾式の混合を行った。
それぞれの活物質の材料の混合物を、850℃において10時間、窒素雰囲気にて焼成し、それぞれの活物質を得た(図3のステップS51乃至ステップS53参照)。
[AG4]
活物質AG4として、黒鉛を準備した。焼成は行わなかった。
<SEMおよびEDX>
作製した活物質AG1および活物質AG3の走査電子顕微鏡(SEM)像の観察、およびEDX分析を、日立ハイテクノロジーズ製のSU8030を用いて行った。活物質AG1の観察像を図38Aに、活物質AG3の観察像を図38Bに、それぞれ示す。
活物質AG1について、図39Aに示す点Q1においてEDX分析を行った。得られたスペクトルを図39Bに示す。
EDXにより得られた各元素の濃度を表1に示す。活物質AG1では、主な元素として酸素およびフッ素が検出され、酸素およびフッ素を有する領域が粒子表面に形成されていることが示唆された。
活物質AG3について、図40Aに示す点Q2においてEDX分析を行った。得られたスペクトルを図40Bに示す。
EDXにより得られた各元素の濃度を表2に示す。活物質AG3では、主な元素としてフッ素および銅が検出され、フッ素および銅を有する領域が粒子表面に形成されていることが示唆された。
<XPS>
作製したそれぞれの活物質について、XPSの測定を行った。検出領域はおよそ100μmφ、取出角は45°であった。得られたナロースペクトルを図41乃至図47に示す。それぞれの図の縦軸にはスペクトルの強度(Intensity)を、横軸には結合エネルギー(Binding Energy)を、それぞれ示す。
図41A、図41B、図41Cおよび図41Dはそれぞれ、活物質AG1、AG2、AG3およびAG4のC1sスペクトルである。
図42A、図42B、図42Cおよび図42Dはそれぞれ、活物質AG1、AG2、AG3およびAG4のF1sスペクトルである。
図43A、図43B、図43Cおよび図43Dはそれぞれ、活物質AG1、AG2、AG3およびAG4のO1sスペクトルである。
図44A、図44B、図44Cおよび図44Dはそれぞれ、活物質AG1、AG2、AG3およびAG4のLi1sスペクトルである。
図45は活物質AG1のN1sスペクトルである。
図46Aはそれぞれの活物質のC1sスペクトルを重ねて表示したグラフである。図46Bはそれぞれの活物質のLi1sスペクトルを重ねて表示したグラフである。図47Aはそれぞれの活物質のF1sスペクトルを重ねて表示したグラフである。図47Bは活物質AG1のF1sスペクトルについて、金属-Fの結合状態に関連するピークとC-Fの結合状態に関連するピークについてそれぞれ、得られたスペクトルに対してフィッティングを行った結果を示す。
表3には、それぞれの活物質について、XPSの結果から算出した各元素の濃度を示す。
表3より、活物質の作製においてフッ化リチウムを材料として用いた活物質AG1およびAG3では、フッ素が1atomic%以上検出された。また、活物質の作製において炭酸リチウムを材料として用いた活物質AG1およびAG2では、炭素、酸素およびリチウムが顕著に検出され、炭素の濃度は酸素の濃度の1倍以上、リチウムの濃度は酸素の濃度のおよそ0.6倍程度検出された。
活物質AG1およびAG2においては、XPSのO1sスペクトルの531eV近傍に顕著なピークが観測され、またC1sスペクトルの290eV近傍に顕著なピークが観測され、炭酸基の存在が示唆される。
活物質AG1においてはフィッティングを行った結果、XPSのF1sスペクトルの688eV近傍のピークの存在が示唆され、活物質AG1はその表面等にC-F結合を有することが示唆される。このことから、フッ化リチウムのフッ素が、黒鉛が有する炭素あるいは炭酸リチウムが有する炭素の少なくとも一方と、結合を形成したと考えられる。
本実施例では、実施例1において作製した負極活物質を用いて電極を作製し、該電極を用いて二次電池を作製し、評価を行った。
<電極の作製>
次に、準備したそれぞれの負極活物質と、気相成長炭素繊維と、PVDFと、を負極活物質:気相成長炭素繊維:PVDF=96:1:3(重量比)で混合し、溶媒としてNMPを用い、スラリーを作製した。
気相成長炭素繊維は、VGCF(登録商標)-H(昭和電工(株)製、繊維径150nm、比表面積13m2/g)を用いた。
作製したスラリーを集電体に塗工し、乾燥させ、活物質層を作製した。集電体として18μm厚の銅箔を用いた。活物質層は集電体の片面に設けた。活物質層の活物質担持量はおよそ6mg/cm2から8mg/cm2の範囲であった。
<二次電池の作製>
次に、評価のため、CR2032タイプ(直径20mm高さ3.2mm)のコイン型の二次電池を作製した。
作製した電極と、対極としてリチウム金属と、を用いた。
電解液が有する電解質には、1mol/Lの六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を用いた。電解液には、エチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)がEC:DEC=3:7(体積比)で混合されたものを用いた。
セパレータには厚さ25μmのポリプロピレンを用いた。
正極缶および負極缶には、ステンレス(SUS)で形成されているものを用いた。
<レート特性>
作製した二次電池を用いて、放電容量のレート依存性を評価した。ここで、放電においては、実施例1において作製した負極活物質を有する電極において、負極活物質にリチウムが挿入される。図48Aには、各負極活物質を用いた二次電池において、0℃における放電容量を示す。
活物質AG1では、どのレートにおいても放電容量が高く、粒子表面に形成される酸素およびフッ素を有する領域により、特性が向上することが示唆された。
<サイクル特性>
作製した二次電池を用いて、サイクル特性の評価を行った。図48Bには、縦軸には、各充放電サイクルにおける充電容量を、横軸にはサイクル数を、それぞれ示す。ここで、充電においては、実施例1において作製した負極活物質を有する電極において、負極活物質からリチウムが脱離する。
活物質AG1では、初回の充電容量が高く、粒子表面に形成される酸素およびフッ素を有する領域により、充放電効率が向上することが示唆された。
本実施例では実施例1において作製した負極活物質を用いてラミネート型の二次電池を作製し、評価を行った。
<負極の作製>
AG1を用い、導電剤、CMC-Na(カルボキシメチルセルロースナトリウム)およびSBR(スチレンブタジエンゴム)とともに、AG1:導電剤:CMC-Na:SBR=96:1:1:2(重量比)で混合し、溶媒として水を用い、スラリーを作製した。
用いたCMC-Naの重合度は600から800、1wt%水溶液として用いた場合の水溶液粘度は300mPa・sから500mPa・sの範囲の値であった。また、導電剤として気相成長炭素繊維であるVGCF(登録商標)-H(昭和電工(株)製、繊維径150nm、比表面積13m2/g)を用いた。
作製したスラリーを集電体に塗工し、乾燥させ、集電体上に負極活物質層を作製した。集電体として18μm厚の銅箔を用いた。負極活物質層は集電体の片面に設けた。
また、AG4を用い、導電剤、CMC-Na(カルボキシメチルセルロースナトリウム)およびSBR(スチレンブタジエンゴム)とともに、AG4:導電剤:CMC-Na:SBR=96:1:1:2(重量比)で混合し、溶媒として水を用い、スラリーを作製した。
用いたCMC-Naの重合度は600から800、1wt%水溶液として用いた場合の水溶液粘度は300mPa・sから500mPa・sの範囲の値であった。また、導電剤として気相成長炭素繊維であるVGCF(登録商標)-H(昭和電工(株)製、繊維径150nm、比表面積13m2/g)を用いた。
作製したスラリーを集電体に塗工し、乾燥させ、集電体上に負極活物質層を作製した。集電体として18μm厚の銅箔を用いた。負極活物質層は集電体の片面に設けた。
<正極の作製>
次に、正極の作製を行った。図14に示す作製方法を参照しながら本実施例で作製したサンプルについて説明する。
ステップS64のLiMO2として、遷移金属Mとしてコバルトを有し、添加物を特に有さない市販のコバルト酸リチウム(日本化学工業株式会社製、セルシードC-10N)を用意した。これにステップS71乃至ステップS73、ステップS81およびステップS82と同様に、固相法でフッ化リチウムおよびフッ化マグネシウムを混合した。コバルトの原子数を100としたとき、フッ化リチウムの分子数が0.33、フッ化マグネシウムの分子数が1となるように添加した。これを混合物903とした。
次にステップS83と同様に加熱した。角型のアルミナの容器に混合物903を30g入れ、蓋を配してマッフル炉にて加熱した。炉内をパージして酸素ガスを導入し、加熱中はフローしなかった。加熱温度は900℃、20時間とした。
加熱後の複合酸化物に、ステップS101として水酸化ニッケルおよび水酸化アルミニウムを添加して乾式混合した。コバルトの原子数を100としたとき、ニッケルの原子数が0.5、アルミニウムの原子数が0.5となるようにそれぞれ添加した。
次にステップS103と同様に加熱した。角型のアルミナの容器に混合物903を30g入れ、蓋を配してマッフル炉にて加熱した。炉内をパージして酸素ガスを導入し、加熱中のフローを行った。加熱温度は850℃、10時間とした。
その後、目開きの径が53μmφのふるいにかけ、粉体を回収し、正極活物質を得た。
次に、作製した正極活物質を用いて正極を作製した。導電剤としてはアセチレンブラックを用い、作製した正極活物質と混合してスラリーを作製し、該スラリーをアルミニウムの集電体に塗工した。
集電体にスラリーを塗工した後、溶媒を揮発させた。その後、210kN/mで加圧を行った後、さらに1467kN/mで加圧を行った。以上の工程により、正極を得た。正極の担持量はおよそ7mg/cm2とした。
<二次電池の作製>
上記で作製した正極および負極を用いて、外装体にフィルムを用いた二次電池を作製した。
セパレータには厚さ25μmのポリプロピレンを用いた。
正極、セパレータ、負極の順に積層した。集電体の片面に設けられた正極活物質が負極活物質とセパレータを挟んで向かい合うように配置した。
正極および負極にそれぞれリードを接合した。
正極、負極およびセパレータを積層した積層体を、半分に折り曲げた外装体で挟み、リードの一端が外装体の外側に出るように積層体を配置した。次に、外装体の一辺を開放部として残し、その他の辺の封止を行った。
外装体となるフィルムして、ポリプロピレン層、酸変性ポリプロピレン層、アルミニウム層、ナイロン層、が順に積層されたフィルムを用いた。フィルムの厚さは約110μmであった。外装体として外側に配置される面にナイロン層、内側に配置される面にポリプロピレン層がそれぞれ配置されるように、外装体となるフィルムを折り曲げた。アルミニウム層の厚さは約40μm、ナイロン層の厚さは約25μm、ポリプロピレン層と酸変性ポリプロピレン層の厚さの合計は約45μmであった。
次に、アルゴンガス雰囲気下において、開放部として残した一辺から電解液の注入を行った。
電解液として1mol/Lの六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を用いた。電解液にはフルオロエチレンカーボネート(FEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)およびジメチルカーボネート(DMC)がFEC:EMC:DMC=3:3.5:3.5(体積比)で混合されたものを用いた。
次に、減圧雰囲気下で、開放部として残していた外装体の一辺を封止した。
以上の工程により、導電剤として還元した酸化グラフェンを用いた二次電池を2個(以下、セルAG1-C1およびセルAG4-C2と呼ぶ)、作製した。
<サイクル特性>
作製した二次電池のサイクル特性を評価した。測定温度は-40℃とした。充電は、CC充電を終止電圧を4.5Vとして0.05Cで行った後、CV充電を終止条件を0.02Cとして行った。放電は、CC放電を終止電圧を3.0Vとして0.05Cで行った。
図49AにはAG1-C1の測定結果を、図49BにはAG4-C2の測定結果を、それぞれ示す。
AG4-C2では、FECを用いた電解質と合わせても充放電が出来ていないが、AG1-C1ではFECを用いた電解質と合わせると低容量ではあるが、充放電は可能になった。
≪XRD≫
次に、実施例1で作製したAG1、AG2、およびAG3のX線回折(XRD)測定を行った。AG1、AG2、およびAG3の結晶構造のモデルから計算される、CuKα1線による理想的なXRDスペクトルを図50に示す。図の縦軸にはスペクトルの強度(Intensity)を、横軸には回折角度(2θ)を示す。また比較のため黒鉛、LiF、LiCoO2(O3)、およびLi2Oの結晶構造から計算される理想的なXRDパターンも示す。Li2Oの空間群はFm-3m(225)、格子定数は4.610Å(0.4610nm)であった。なお、黒鉛、LiF、LiCoO2(O3)、およびLi2OのパターンはICSD(Inorganic Crystal Structure Database)(非特許文献2参照)より入手した結晶構造情報からMaterials Studio(BIOVIA)のモジュールの一つである、Reflex Powder Diffractionを用いて作成した。2θの範囲は15°から75°とし、Step size=0.01、波長λ1=1.540562×10-10m、λ2は設定なし、Monochromatorはsingleとした。Li2Oの空間群はFm-3m、格子定数は0.4610nmであった。
図50に示すように、AG1およびAG2のX線のピークは、黒鉛、LiF、およびLi2Oの理想的なピーク位置とほぼ同じ位置にピークを有することから、AG1およびAG2は、黒鉛、LiF、およびLi2Oを有していると考えられる。一方、AG3のX線のピークは黒鉛、およびLiFの理想的なピーク位置とほぼ同じ位置にピークを有するが、Li2Oの理想的なピーク位置とは一致していない。このことから、AG3にはLi2Oが含まれていないと考えられ、XPS等においてAG1およびAG2で検出された酸素は、Li2Oに起因する可能性があると考えられる。