JP7775574B2 - コンポジット推進薬 - Google Patents
コンポジット推進薬Info
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Description
本発明のコンポジット推進薬は、大型ロケットの補助ブースタ、中・小型ロケットの主燃料として使用されるものであって、末端水酸基ポリブタジエン(HTPB)を主原料とし結合剤と硬化剤を基本組成とするバインダと、酸化剤として過塩素酸アンモニウム(AP)と、助燃剤としてアルミニウム粉末を含有し、添加剤としてリン酸塩と酸化鉄を加える。なお、用途に応じて、その他の添加剤をさらに追加することができる。本発明のコンポジット推進薬は、優れた製造性と良好な機械的特性の両方を同時に達成することが可能である。
また、コンポジット推進薬スラリーが大きな気泡を巻き込むことなく注型できる流動性を有している時間をポットライフと呼ぶ。ポットライフは特に制限されないが、好ましくは500分以上950分未満である。ポットライフを500分以上とすることにより、注型の途中でコンポジット推進薬が硬化することを防止することができる。一方、ポットライフを950分未満とすることにより、注型後速やかに硬化するため、生産性が優れるという効果がある。より生産性に優れるという観点から、ポットライフの上限値は、800分未満が好ましい。
また、本発明のコンポジット推進薬の最大荷重時伸率は特に制限されないが、例えば25%以上である。好ましくは30%以上であり、より好ましくは40%以上である。25%以上だと負荷に応じて変形が可能であり破断し難くなる。
また、本発明のコンポジット推進薬の真応力は特に制限されないが、例えば0.8MPa以上である。好ましくは0.9MPa以上であり、より好ましくは1.0MPa以上である。0.8MPa以上では種々の負荷に耐えることができる。
本発明のコンポジット推進薬は燃料兼結合剤と、結合剤と、硬化剤と、可塑剤を含むバインダを備える。バインダは酸化剤、助燃剤、その他の成分を結合するための成分である。コンポジット推進薬全量に対するバインダの含有量は、通常、7~25質量%である。以下に、バインダ中の各成分について説明する。
燃料兼結合剤は、例えば、末端水酸基ポリブタジエン(HTPB)、アジドメチル基を有する末端水酸基ポリエーテル、例えばグリシジルアジドポリマー(GAP)、3,3-ビスアジドメチルオキセタン/テトラヒドロフラン共重合体(BAMO/THF共重合体)等がある。
結合剤としてはトリス〔1-(2-メチル)-アジリジニル〕フォスフィンオキシド(MAPO)、ビスイソフタロイル1-(2-メチル)アジリジン(HX-752)等のアジリジン系、N-メチルジエタノールアミン(MDA)、N-エチルジエタノールアミン(EDA)、テトラエチレンペンタミンとアクリロニトリルとの反応生成物(TEPAN又はHX-879)、テトラエチレンペンタミンとアクリロニトリルとグリシドールとの反応生成物(TEPANOL又はHX-878)等のアミン系、ジヒドロキシエチル-5,5-ジメチルヒダントイン(DHE)等のヒダントイン系及びシランカップリング剤(A-1100)等が挙げられる。
硬化剤としては、例えばイソフォロンジイソシアネート(IPDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジシクロヘキシルメタン―4,4―ジイソシアネ-ト(水添MDI)等のジイソシアネート化合物が挙げられる。その中でも、本発明においてはイソフォロンジイソシアネート(IPDI)が好ましい。
可塑剤としては、ジオクチルアジペート(DOA)、ジオクチルセバケート(DOS)、ジイソデシルアジペート(DIDA)、イソデシルペラルゴネート等のエステル類の他、1,2,4-ブタントリオールトリナイトレート(BTTN)、トリメチロールエタントリナイトレート(TMETN)、トリエチレングリコールジナイトレート(TEGDN)等のニトロ可塑剤等が使用される。その中でも、本発明においてはジオクチルアジペート(DOA)を使用するのが好ましい。
なお、バインダ全量に対する可塑剤の含有量は、好ましくは1~20質量%であり、より好ましくは5~15質量%である。
酸化剤としては、過塩素酸アンモニウム(AP)、シクロテトラメチレンテトラニトラミン(HMX)、シクロトリメチレンテトラニトラミン(RDX)及び硝酸アンモニウム等が用いられる。本発明の酸化剤は過塩素酸アンモニウム(AP)を必須成分として含有するが、必ずしも単独である必要はなく、上述した酸化剤を複数含んでいてもよい。また、酸化剤の含有量は、コンポジット推進薬全量に対して少なくとも50質量%以上であり、60質量%以上であることが好ましい。上限値として、好ましくは90質量%以下であり、より好ましくは80質量%以下であり、更に好ましくは70質量%以下である。
助燃剤としては、アルミニウム、ボロン、マグネシウム等の金属粉末が挙げられる。その中でも、本発明においてはアルミニウム粉末を使用するのが好ましい。
助燃剤の含有量は、特に制限されないが、例えば、コンポジット推進薬全量に対して30質量%以下であり、好ましくは25質量%以下であり、より好ましくは20質量%以下である。下限値として、好ましくは1質量%以上であり、より好ましくは5質量%以上であり、更に好ましくは10質量%以上である。
コンポジット推進薬を製造する場合、リン酸塩としては、リン酸三カルシウム、リン酸四カルシウム、リン酸八カルシウム、リン酸一マグネシウム、リン酸二マグネシウム、リン酸三マグネシウム、リン酸一ナトリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、が挙げられる。その中でも本発明においてはリン酸三カルシウムが好ましい。リン酸三カルシウムの形状、粒径は特に限定されないが、含有量は、コンポジット推進薬全量に対して0.02~0.50質量%であることが必要とされる。さらに、0.05~0.50質量%とすることで本発明の効果が一層発現される。
その他、コンポジット推進薬に求められる燃焼特性、機械的特性、製造性に応じ、添加剤を添加してもよい。
燃焼速度調整剤の含有量は、特に制限されないが、例えば、コンポジット推進薬全量に対して0.01~0.1質量%である。
本発明のコンポジット推進薬の製造方法は、コンポジット推進薬全量に対してリン酸塩を0.02~0.50質量%添加することを特徴とする。これにより、製造性に優れたコンポジット推進薬の製造方法を提供することができる。
実施例1~6のコンポジット推進薬の配合組成を表1に示す。また、そのコンポジット推進薬を用いて以下に示す方法で製造性及び機械的特性を測定した。その結果を表1に併記する。
末端水酸基ポリブタジエン(HTPB)578.6g(バインダ中の含有量として82.7質量%。以下同様。)に、可塑剤であるジオクチルアジペート(DOA)69.4g(9.9質量%)、及びリン酸三カルシウム6.0gを添加して混合した。そこに、助燃剤であるアルミニウム粉末900.0gを添加して混合し、さらに燃焼速度調整剤として酸化鉄(Fe2O3)1.5gを加えて混合した。さらに結合剤であるトリス〔1-(2-メチル)-アジリジニル〕フォスフィンオキシド(MAPO)4.6g(0.7質量%)及びN-メチルジエタノールアミン(MDA)1.7g(0.2質量%)を添加して混合した。
表1および表2の配合に従い、同様の方法でコンポジット推進薬を製造し、その製造性及び機械的特性を以下の試験により評価した。
<ポットライフ>
RE80粘度計を用いて、52℃、スピンドル回転数5rpmの条件で硬化剤を投入してからの時間に対する粘度を測定した。コンポジット推進薬がロケットモータに注型できる程の流動性を有している時間のことをポットライフと呼ぶ。直填方式で製造する中型~大型のロケットモータの製造においては、ポットライフは、粘度が10kP以下で、500~950分であることが好ましい。ポットライフが500分未満では注型が完了する前にコンポジット推進薬が流動性を失ってしまい、気泡が残存するリスクが高まる。一方、950分以上であると、硬化するまでの時間が長く、工期が長期化してしまい生産性の観点から好ましくない。
<流動性試験>
容積300ml、円筒状のポリプロピレン製容器に約500gのコンポジット推進薬を常圧で流し込み、次いで、容器をすりきり、コンポジット推進薬の上端面を平坦に均した。その後、容器を52℃に調温した恒温槽内で横倒しにし、5分後におけるコンポジット推進薬の移動距離を測定した。なお、移動距離は、容器の上端からコンポジット推進薬の流出端の最も遠方の位置までの距離である。本試験は、コンポジット推進薬の注型の容易さを評価する試験であり、5分後におけるコンポジット推進薬の移動距離が140mm以上のとき流動性は高く、容易に注型することが可能である。120mm以上、140mm未満のときも注型可能である。120mm未満では流動性に乏しく注型に気泡を巻き込むリスクが高くなる。よって判定は「◎・〇・×」の3段階で判定した。
◎:コンポジット推進薬の移動距離が140mm以上(容易に注型可能)
〇:コンポジット推進薬の移動距離が120mm以上、140mm未満(注型可能)
×:コンポジット推進薬の移動距離が120mm未満(注型は可能であるが気泡が残存するリスクが伴う)
プラスチック引張試験方法「ASTM D638-84」に従い引張試験片を作製し、引張速度50mm/min、試験温度20℃にて引張試験を行い、弾性率、最大荷重時伸率、真応力を求めた。尚、引張試験片は全長が125mmで両端部は幅25mmであり、両端部間に長さ50mm、幅10mmの中央直線部がある厚さ10mmの試験片である。
実施例1~6のコンポジット推進薬は、製造性において高い流動性を維持しつつ、ポットライフが500~950分を満足しており、良好な製造性を示すことがわかった。さらに、弾性率、最大荷重時伸率及び真応力全ての項目でロケットモータ用推進薬に求められる機械的特性を満足する結果が得られた。
実施例4のコンポジット推進薬を実施例1~3と比較すると、実施例1~3のコンポジット推進薬の方が流動性が優れることから、リン酸三カルシウムの含有量は0.05~0.50質量%が好ましいことがわかった。
実施例5のコンポジット推進薬は実施例1と比較してバインダ割合を多くした配合組成であり、この場合、一般的にはポットライフが長くなり、弾性率が低くなる傾向にあるが、リン酸三カルシウムの含有量を0.12質量%とすることで、ポットライフ、機械的特性ともにロケットモータに適用可能な範囲に調整できることがわかった。
実施例6のコンポジット推進薬は実施例1と比較してバインダ割合を少なくした配合組成であり、この場合、一般的にはポットライフが短くなり、最大荷重時伸率が低くなる傾向にあるが、リン酸三カルシウムの含有量を0.12質量%とすることで、ポットライフ、機械的特性ともにロケットモータに適用可能な範囲に調整できることがわかった。
比較例1ではリン酸三カルシウムの含有量を1.00質量%まで増やしてコンポジット推進薬を製造したところ、製造性および機械的特性の両方で適用不可の結果が得られた。比較例2ではリン酸三カルシウムを含有しないコンポジット推進薬を製造したところ、ポットライフや機械的特性では良好な結果が得られたものの、流動性については適用不可の結果が得られた。
Claims (1)
- 末端水酸基ポリブタジエンを含有するバインダと、過塩素酸アンモニウムと、リン酸塩を含有し、リン酸塩の含有量がコンポジット推進薬全量に対して0.02~0.12質量%であることを特徴とするコンポジット推進薬。
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