JP7776251B2 - 固着具と固着具の固定方法 - Google Patents

固着具と固着具の固定方法

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この発明は、熱可塑性樹脂の成形品部材に嵌め込み固定して使用するのに適した固着具と固着具の固定方法に関する。
従来、熱可塑性樹脂の成形品からなる部材にねじ孔を形成してボルトなどをねじ込み固定すると、引張り、ねじり、振動その他の外力を受けたとき、あるいはボルトなどを反覆して着脱したときにねじ孔が変形し、または破壊して使用できなくなる。
そこで、成形品部材に設けられた孔に対して、嵌め込み固定してボルトなどを安定よく固定しておくことができると共に反覆着脱に耐えるようにしたナット状の金属製固着具(インサート)が実用化されている。さらに、このような固着具が成形品部材の孔に喰い込んで充分な強度で固定されるように固着具の外側周面にローレット状その他の凹凸を設ける方法が提案されている(例えば特許文献1、2)。
このような固着具を成形品部材に嵌め込む際は、成形品部材に設けられたボス孔に固着具を加熱(200℃前後)しながら加圧して嵌め込んでいる。この熱可塑性樹脂の性質を利用し、本発明者は、熱可塑性樹脂の成形品部材に設けられた孔に固定するナット状に貫通ねじが加工された固着具を令和5年11月8日に出願している。
しかしながら、上述出願したナット状に貫通ねじが加工された固着具は切削加工が複雑であるという課題があった。
特開昭50-85756号公報 特開昭58-124809号公報
上記したように、令和5年11月8日に出願した熱可塑性樹脂の成形品部材に設けられた孔に固定するナット状に貫通ねじが加工された固着具は切削加工が複雑であるという課題があった。この発明の目的は、熱可塑性樹脂の成形品部材に設けられた孔に固定する切削加工が容易な固着具と固着具の固定方法を提供することである。
そこで、本発明は、熱可塑性樹脂の成形品部材に設けられた孔に加熱・加圧されて固定されるナット状に貫通ねじが加工された金属製の固着具であって、円柱状の本体に上記孔の孔径と同じ外径の頭部と、この頭部に隣接して前記円柱状の本体の外側周面上に多数の凹凸条を有し、前記頭部の外径より小さい外径の栓体部と、この栓体部に隣接して前記円柱状の本体の外側周面上の先端に設けられた先端部とを具備したものである。
また、本発明は、熱可塑性樹脂の成形品部材に設けられた孔に加熱・加圧されて固定されるナット状に貫通ねじが加工された金属製の固着具の固定方法であって、上記固着具は、円柱状の本体に上記孔の孔径と同じ外径の頭部と、この頭部に隣接して前記円柱状の本体の外側周面上に多数の凹凸条を有し、前記頭部の外径より小さい外径の栓体部と、この栓体部に隣接して前記円柱状の本体の外側周面上の先端に設けられた先端部とを有し、上記熱可塑性樹脂の成形品部材に設けられた孔に前記固着具が挿入されて前記固着具の頭部が加熱・加圧された際に前記固着具の先端部から前記孔の底を溶融し、溶融された樹脂が前記栓体部の外側周面上の多数の凹凸条と上記貫通ねじのねじ山とに流れ込んで固まることにより前記孔に前記固着具が固定されるようにしたものである。
本発明は、熱可塑性樹脂の成形品部材に設けられた孔に固定する切削加工が容易な固着具と固着具の固定方法を提供することが可能となる。
本発明の実施の形態に係る第1実施例が適用可能な固着具の一例を示す片側断面図。 第1実施例が適用可能な成形品部材の形状を示す断面図。 固着具が成形品部材の孔に仮置きされた状態を示す図。 固着具が成形品部材の孔に固定された状態を示す図。
以下、図面を参照して、この発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、この発明の第1実施例に係るインサートと呼ばれる固着具1を示す片側断面図である。すなわち、この固着具1は、短い円柱状の本体2に端面aを有する外側周面上に設けられた頭部3、外側周面上に設けられローレット(凹凸条)を有する栓体部4、および先端部5を有して設けられている。
頭部3は、後述する熱可塑性樹脂の成形品部材の孔径と同じ外径で加工されている。なお、頭部は「成形品部材の孔径≧頭部の外径」で固着具の大きさに応じて設計される。これは、固着具を孔に加熱しながら加圧した際に孔内部の空気を抜くために必要な場合に設計寸法を変更するものである。従って、この頭部は固着具の大きさに応じて成形品部材の孔径より所定値小さくしても良い。
栓体部4の外径は、頭部の外径より所定値小さく加工されている。それは、詳しくは後述するが先端部5から溶融される熱可塑性樹脂が頭部3に流れ込まないように設計すればよいのである。
先端部5は、面取り加工されている。また、先端部5は、後述する熱可塑性樹脂の成形品部材の孔の孔底を溶融するためのもので固着具の大きさに応じて様々な形状にすることが可能である。例えば、先端部を栓体部の外径より小径とするようにしてもよい。
本体2には、端面aから先端部5まで雌ねじ6が貫通ねじとして設けられている。
本実施例の固着具1は、1/100mm単位で切削加工される。
例えば、固着具1の寸法は、全長(端面aから先端部5まで)が12.00mm、頭部3の外径が6.00mmで長さが6.00mm、栓体部4の外径が5.00mmで長さが6.00mmで切削加工されている。雌ねじ6はM4で加工されている。
なお、固着具1は、本実施例では黄銅を用いているが、ステンレス鋼、炭素鋼、アルミニウム、亜鉛等の金属を用いても良い。
図2は、熱可塑性樹脂で成形された成形品部材11の構成例を示す断面図である。成形品部材11は、ボス12に孔13が設けられ、ボス12の上面に端面bを設けて形成されたものである。孔13は、内径が6.00mmで深さが10.00mmで形成されている。
次に、固着具1の構成についてさらに詳しく説明する。
固着具1は、上述したように栓体部4が設けられているが、これは熱硬化性樹脂の成形品部材11に設けられた孔13に嵌め込む際の案内(ガイド)となるものである。さらに本発明の固着具1は、栓体部4が、従来のように成形品部材の孔周面を削るものではなく、詳しくは後述するが先端部5から孔13の孔底を溶融して孔底に埋まって固まるものである。従来のように孔の内径より大きい外径の固着具を無理に嵌め込む発想とは全く異なる新規のものである。
また、本願の特徴として先端部5から溶融した樹脂が雌ねじ6側にも流れてねじ山に固まることで、孔13に対する固着具1の引き抜き強度を保持させることである。
次に、このような構成において、成形品部材11の孔13に固着具1を嵌め込み固定する方法について説明する。すなわち、本嵌め込み固定方法は、固着具1を加熱しながら加圧して成形品部材11の孔13へ嵌め込むものである。まず、パーツフィーダー等により固着具1が成形品部材11の孔13に供給される。その際、固着具1は栓体部4が案内(ガイド)となって成形品部材11の孔13に仮置き状態となる。
図3に示すように、孔13の孔底に固着具1の先端部5が乗る状態となる。この状態で、固着具1が上方(図上)から加熱されながら加圧され、先端部5から孔13の孔底が溶け出して固着具1の孔13への進入を可能ならしめる。すなわち、加熱される固着具1により先端部5から栓体部4のローレット周面側と雌ねじ6側に接する孔底の樹脂の溶融が始まり加圧も加わって溶融が加速される。
図4は、固着具1が加熱・加圧された後の状態を示すものである。固着具1は、成形品部材11の孔13に嵌め込まれ固定されている。固着具1の全長12.00mmで孔13の深さが10.00mmであるので固着具1が埋まる位置2mm(所定位置)まで加圧されて止められる。その結果、固着具1の端面aと成形品部材11の端面bとがフラットに同一平面で一致される(所定位置)。逆に、固着具1の端面aと成形品部材11の端面bとがフラットに同一平面になる位置(実施例では固着具1の全長12.00mmと孔13の深さが10.00mmとの差2.00mm)まで加熱しながら加圧することで栓体部4の先端部5から2.00mmの位置までが孔13の孔底に埋まることになる。栓体部4の先端部5から2.00mmの位置まで孔13の孔底に埋まることにより、その体積分の樹脂は栓体部4のローレット周面側に流れる。結果として図4に示すようにローレット周面の樹脂dの部分まで押し上げられて固まる。ただし、雌ねじ6側に流れて侵入した樹脂cは図示するようにきれいな状態とはならず、さらにねじ山を埋める樹脂によりM4ボルトの可動域が狭められることは構造上やむを得ないことになる。
このように先端部5からの栓体部4により溶融した孔13の孔底の樹脂は、栓体部4のローレット周面側に流れ込むと共に雌ねじ6側にも流れ込んで栓体部4の先端部5から2.00mmが孔13の孔底に埋まった状態になっている。
固着具1は、雌ねじ6側に溶融してねじ山に侵入して固まった樹脂cにより成形品部材11の孔13への引っ張り強度(引き抜き強度)を保つようになる。さらに、固着具1は、栓体部4のローレット周面に侵入して固まった樹脂dによりねじり強度(回転トルク)も確保することができる。
また、上述した固着具1の挿入によるボスの孔13の内部からの膨張圧力がないのでボス12の上部に時々生じる割れを回避することが可能となる。さらに、ボス12の経年劣化による割れも回避できるものと思われます。
以上説明したように上記発明の実施の形態によれば、熱可塑性樹脂の成形品部材に設けられた孔に固定する切削加工が容易な固着具と固着具の固定方法を提供することができる。
なお、本願発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、実施形態は可能な限り適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。さらに、上記実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。本願発明は、固着具の外径が30mm以下のものに適用される。
1…固着具、2…本体、3…頭部、4…栓体部、5…先端部、6…雌ねじ、11…成形品部材、12…ボス、13…孔。

Claims (3)

  1. 熱可塑性樹脂の成形品部材に設けられた孔底を有する孔に加熱・加圧されて固定されるナット状に貫通ねじが加工された金属製の固着具であって、
    円柱状の本体に上記孔の孔径と同じか所定値小さい外径の頭部と、
    この頭部に隣接して前記円柱状の本体の外側周面上に多数の凹凸条を有し、前記頭部の外径より所定値小さい外径で上記孔底を溶融して一部が孔底に埋められ、前記孔底で溶融された樹脂が前記多数の凹凸条周面に流れ込んで上記孔に固定される栓体部と、
    この栓体部に隣接して前記円柱状の本体の外側周面上の先端に設けられ、上記孔底に埋められる先端部と、
    を具備したことを特徴とする固着具。
  2. 熱可塑性樹脂の成形品部材に設けられた孔底を有する孔に加熱・加圧されて固定されるナット状に貫通ねじが加工された金属製の固着具の固定方法であって、
    上記固着具は、円柱状の本体に上記孔の孔径と同じか所定値小さい外径の頭部と、この頭部に隣接して前記円柱状の本体の外側周面上に多数の凹凸条を有し、前記頭部の外径より所定値小さい外径で上記孔底を溶融して一部が孔底に埋められ、前記孔底で溶融された樹脂が前記多数の凹凸条周面に流れ込んで上記孔に固定される栓体部と、この栓体部に隣接して前記円柱状の本体の外側周面上の先端に設けられ、上記孔底に埋められる先端部とを有し、
    上記熱可塑性樹脂の成形品部材に設けられた孔底を有する孔に前記固着具が挿入され、前記固着具の頭部が加熱・加圧された際、前記先端部と前記栓体部の一部が上記孔底を溶融して孔底に埋められ、この溶融された樹脂が前記栓体部の外側周面上の多数の凹凸条と上記貫通ねじのねじ山とに流れ込んで固まることにより前記孔に前記固着具が固定されることを特徴とする固着具の固定方法。
  3. 熱可塑性樹脂の成形品部材に設けられた孔に加熱・加圧されて固定されるナット状に貫通ねじが加工された金属製の固着具の固定方法であって、
    上記固着具は、円柱状の本体に上記孔の孔径と同じか所定値小さい外径の頭部と、この頭部に隣接して前記円柱状の本体の外側周面上に多数の凹凸条を有し、前記頭部の外径より小さい外径の栓体部と、この栓体部に隣接して前記円柱状の本体の外側周面上の先端に設けられた先端部とを有し、
    上記熱可塑性樹脂の成形品部材に設けられた孔に前記固着具が挿入され、前記固着具の頭部が加熱・加圧された際に前記先端部から前記孔の底を溶融し、溶融された樹脂が前記栓体部の外側周面上の多数の凹凸条と上記貫通ねじのねじ山とに流れ込んで固まることにより前記孔に前記固着具が固定されることを特徴とする固着具の固定方法。
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