しかしながら、特許文献1に記載された鉄道車両200の空調装置200Kでは、以下のような問題があった。すなわち、客席204の下部に開口する吹出し口202から吹き出された調和空気は、客席204同士の隙間や通路等を通り客室201内の下部から上部に上昇するので、客席204に着座した個々の乗客を避けて上昇することが多い。そのため、客席204の乗客には、調和空気による暖房又は冷房の快適性を直接享受しにくいという問題があった。
また、鉄道車両200の下部まわりである床201aに、客席204の下部に開口する調和空気の吹出し口202が形成されているため、吹出し口202のダクトにゴミ等が侵入する可能性があると共に、床201aに堆積した粉塵や花粉等を調和空気と共に客室201内に拡散させる可能性があり、衛生上好ましくないという問題があった。また、床201aに形成された吹出し口202から吹出される調和空気は、指向性がなく、客席204の座部等に当接して気流の乱れが生じやすい。そのため、客席204付近の空気が撹拌されて、空気清浄度の低下につながりやすい。
さらに、調和空気を吹出し口202から均一に弱く吹き出すことによって、乗客に与える気流のドラフト感を低減でき、空調機器101の消費電力も低減できるが、客室201内の空気を新しい調和空気に換気する時間が長くなり、例えば、乗客が会話や咳等したときに飛散する飛沫が、周辺に滞留しやすいことになる。そのため、近隣の客席204に着座した乗客に対する空気清浄度を確保しにくく、感染症対策の観点からも好ましくないという問題があった。
本発明は、かかる問題を解決するためになされたものであり、客室内における客席に着座する乗客毎の快適性及び空気清浄度を簡単に向上できる空調システムを備えた鉄道車両を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明に係る鉄道車両は、以下の構成を備えている。
(1)車体の下部まわりに客室内へ調和空気を吹き出す吹出し口を有し、前記車体の上部まわりに前記客室内の空気を客室外に排気する排気口を有し、前記吹出し口から前記客室内に吹き出した前記調和空気が前記客室内の下部から上部に上昇して前記排気口から排気されるようにした空調システムを備えた鉄道車両であって、
前記吹出し口は、前記客室内に設置された客席に形成され、前記調和空気を、前記客席の座部底面に沿って当該客席に着座する乗客の全周方向へ吹き出すように形成された第1の客席用吹出し口を備えたことを特徴とする。
本発明においては、吹出し口は、客室内に設置された客席に形成され、調和空気を、客席の座部底面に沿って当該客席に着座する乗客の全周方向へ吹き出すように形成された第1の客席用吹出し口を備えたので、客室内における客席に着座する乗客の周囲に集中して調和空気を吹き出すことができ、客室内における客席に着座した乗客毎の快適性と客席に着座する乗客に対する空気清浄度とを向上できる。
すなわち、吹出し口は、客室内に設置された客席に形成され、調和空気を、客席の座部底面に沿って当該客席に着座する乗客の全周方向へ吹き出すように形成された第1の客席用吹出し口を備えたので、第1の客席用吹出し口から吹き出された調和空気が客席に着座した個々の乗客を全周方向から包囲しながら上昇することができる。そのため、客席の乗客は、調和空気による暖房又は冷房の快適性を全身で享受することができ、客室内における客席に着座する乗客毎の快適性を向上できる。
また、第1の客席用吹出し口は、客室内に設置された客席に形成され、調和空気を、客席の座部底面に沿って当該客席に着座する乗客の全周方向へ吹き出すように形成されたので、第1の客席用吹出し口を床面より高い位置に設置できる。そのため、第1の客席用吹出し口のダクトにゴミ等が侵入する可能性が低いと共に、床面に堆積された花粉や粉塵等を調和空気と共に客室内に拡散させる可能性が低く、衛生上好ましい。また、調和空気の流れは、客席の座部底面に沿うことで、略一定の指向性があり、客席付近の空気の撹拌が低減されて、空気清浄度の向上につながりやすい。
さらに、第1の客席用吹出し口から客席の座部底面に沿って当該客席に着座する乗客の全周方向へ吹き出された調和空気は、座部外縁から上方へ上昇することによって、客席に着座する乗客を全周方向から包囲する調和空気の上昇流から成るバリア層を形成することができる。そのため、客席の乗客が会話や咳等したときの飛沫が隣の客席の乗客へ飛散するのを、上記バリア層によって、効果的に回避させ得る。その結果、客席に着座する乗客に対する空気清浄度を、バリア層を含む調和空気の上昇流によって精度よく確保でき、感染症対策の観点からも好ましい。
よって、本発明によれば、客室内における客席に着座する乗客毎の快適性及び空気清浄度を簡単に向上できる空調システムを備えた鉄道車両を提供することができる。
(2)車体の下部まわりに客室内へ調和空気を吹き出す吹出し口を有し、前記車体の上部まわりに前記客室内の空気を客室外に排気する排気口を有し、前記吹出し口から前記客室内に吹き出した前記調和空気が前記客室内の下部から上部に上昇して前記排気口から排気されるようにした空調システムを備えた鉄道車両であって、
前記吹出し口は、前記客室内に設置された客席に形成され、前記調和空気を、前記客席の座部底面に沿って当該客席に着座する乗客の前後方向へ吹き出すように形成された第2の客席用吹出し口を備えたことを特徴とする。
本発明においては、吹出し口は、客室内に設置された客席に形成され、調和空気を、客席の座部底面に沿って当該客席に着座する乗客の前後方向へ吹き出すように形成された第2の客席用吹出し口を備えたので、客室内における客席に着座する乗客の近傍に前後方向から集中して調和空気を吹き出すことができ、乗客毎の快適性及び空気清浄度を効率よく向上できる。
すなわち、吹出し口は、客室内に設置された客席に形成され、調和空気を、客席の座部底面に沿って当該客席に着座する乗客の前後方向へ吹き出すように形成された第2の客席用吹出し口を備えたので、第2の客席用吹出し口から吹き出された調和空気が客席に着座した個々の乗客に前後方向から直接接触しながら上昇することができる。そのため、客席の乗客は、調和空気による暖房又は冷房の快適性を前後方向から直接享受することができ、客室内における客席に着座する乗客毎の快適性を向上できる。
また、第2の客席用吹出し口は、客室内に設置された客席に形成され、調和空気を、客席の座部底面に沿って当該客席に着座する乗客の前後方向へ吹き出すように形成されたので、第2の客席用吹出し口を床面より高い位置に設置できる。そのため、第2の客席用吹出し口のダクトにゴミ等が侵入する可能性が低いと共に、床面に堆積された花粉や粉塵等を調和空気と共に客室内に拡散させる可能性が低く、衛生上好ましい。また、調和空気の流れは、客席の座部底面に沿うことで、略一定の指向性があり、客席付近の空気の撹拌が低減されて、空気清浄度の向上につながりやすい。
さらに、第2の客席用吹出し口から客席の座部底面に沿って当該客席に着座する乗客の前後方向へ吹き出された調和空気は、座部前後の外縁から上方へ上昇することによって、客席に着座する乗客を前後から包囲する調和空気の上昇流から成るバリア層を形成することができる。そのため、客席の乗客が会話や咳等したときの飛沫が、特に前後方向で隣接する客席の乗客へ飛散するのを、上記バリア層によって、効果的に回避させ得る。その結果、客席に着座する乗客に対する空気清浄度を、バリア層を含む調和空気の上昇流によって効率よく確保でき、感染症対策の観点からも好ましい。
よって、本発明によれば、客室内における客席に着座する乗客毎の快適性及び空気清浄度を簡単に向上できる空調システムを備えた鉄道車両を提供することができる。
(3)車体の下部まわりに客室内へ調和空気を吹き出す吹出し口を有し、前記車体の上部まわりに前記客室内の空気を客室外に排気する排気口を有し、前記吹出し口から前記客室内に吹き出した前記調和空気が前記客室内の下部から上部に上昇して前記排気口から排気されるようにした空調システムを備えた鉄道車両であって、
前記吹出し口は、前記客室内に設置された客席に形成され、前記調和空気を、前記客席の座部底面に沿って当該客席と中央通路を隔てて隣接する他の客席に着座する乗客の方向へ吹き出すように形成された第3の客席用吹出し口を備えたことを特徴とする。
本発明においては、吹出し口は、客室内に設置された客席に形成され、調和空気を、客席の座部底面に沿って当該客席と中央通路を隔てて隣接する他の客席に着座する乗客の方向へ吹き出すように形成された第3の客席用吹出し口を備えたので、客室内における中央通路を隔てて隣接する他の客席に着座する乗客の近傍に集中して調和空気を吹き出すことができ、乗客毎の快適性及び空気清浄度を効率よく向上できる。
すなわち、吹出し口は、客室内に設置された客席に形成され、調和空気を、客席の座部底面に沿って当該客席と中央通路を隔てて隣接する他の客席に着座する乗客の方向へ吹き出すように形成された第3の客席用吹出し口を備えたので、第3の客席用吹出し口から吹き出された調和空気が、互いに隣の客席下方へ移動して着座した個々の乗客に直接接触しながら上昇することができる。そのため、中央通路を隔てて隣接した客席の乗客は、互いに隣の客席から吹き出す調和空気による暖房又は冷房の快適性を直接享受することができ、客室内における客席に着座した乗客毎の快適性を向上できる。
また、第3の客席用吹出し口は、客室内に設置された客席に形成され、調和空気を、客席の座部底面に沿って当該客席と中央通路を隔てて隣接する他の客席に着座する乗客の方向へ吹き出すように形成されたので、第3の客席用吹出し口を床面より高い位置に設置できる。そのため、第3の客席用吹出し口のダクトにゴミ等が侵入する可能性が低いと共に、床面に堆積された花粉や粉塵等を調和空気と共に客室内に拡散させる可能性が低く、衛生上好ましい。また、調和空気の流れは、客席の座部底面に沿うことで、略一定の指向性があり、客席付近の空気の撹拌が低減されて、空気清浄度の向上につながりやすい。
さらに、第3の客席用吹出し口から客席の座部底面に沿って当該客席と中央通路を隔てて隣接する他の客席に着座する乗客の方向へ吹き出された調和空気は、隣の客席の座部外縁から上方へ上昇することによって、隣の客席に着座する乗客を包囲する調和空気の上昇流から成るバリア層を形成することができる。そのため、客席の乗客が会話や咳等したときの飛沫が、特に中央通路を隔てて隣接する他の客席の乗客へ飛散するのを、上記バリア層によって、効果的に回避させ得る。その結果、中央通路を隔てて隣接する客席に着座する乗客に対する空気清浄度を、バリア層を含む調和空気の上昇流によって効率よく確保でき、感染症対策の観点からも好ましい。
よって、本発明によれば、客室内における客席に着座する乗客毎の快適性及び空気清浄度を簡単に向上できる空調システムを備えた鉄道車両を提供することができる。
(4)車体の下部まわりに客室内へ調和空気を吹き出す吹出し口を有し、前記車体の上部まわりに前記客室内の空気を客室外に排気する排気口を有し、前記吹出し口から前記客室内に吹き出した前記調和空気が前記客室内の下部から上部に上昇して前記排気口から排気されるようにした空調システムを備えた鉄道車両であって、
前記吹出し口は、前記客室内に設置された客席に形成され、前記調和空気を、前記客席の座部底面に沿って当該客席に隣接する内壁の方向へ吹き出すように形成された第4の客席用吹出し口を備えたことを特徴とする。
本発明においては、吹出し口は、客室内に設置された客席に形成され、調和空気を、客席の座部底面に沿って当該客席に隣接する内壁の方向へ吹き出すように形成された第4の客席用吹出し口を備えたので、内壁からの調和空気と冷熱放射又は温熱放射によって乗客毎の快適性及び空気清浄度を効率よく向上できる。
すなわち、吹出し口は、客室内に設置された客席に形成され、調和空気を、客席の座部底面に沿って当該客席に隣接する内壁の方向へ吹き出すように形成された第4の客席用吹出し口を備えたので、着座する乗客の近傍に存在する内壁に集中して調和空気を吹き出すことによって、内壁を積極的に冷却又は加熱することができる。そのため、内壁から乗客側へ戻る調和空気と冷却又は加熱した内壁からの冷熱放射又は温熱放射によって、個々の乗客は、調和空気による冷房又は暖房の快適性を効果的に享受することができ、客室内における客席に着座する乗客毎の快適性を向上できる。
また、第4の客席用吹出し口は、客室内に設置された客席に形成され、調和空気を、客席の座部底面に沿って当該客席に隣接する内壁の方向へ吹き出すように形成されたので、第4の客席用吹出し口を床面より高い位置に設置できる。そのため、第4の客席用吹出し口のダクトにゴミ等が侵入する可能性が低いと共に、床面に堆積された花粉や粉塵等を調和空気と共に客室内に拡散させる可能性が低く、衛生上好ましい。また、調和空気の流れは、客席の座部底面に沿うことで、略一定の指向性があり、客席付近の空気の撹拌が低減されて、空気清浄度の向上につながりやすい。
さらに、第4の客席用吹出し口から客席の座部底面に沿って、隣接する内壁の方向へ吹き出された調和空気は、内壁から乗客側へ反射すると共に座部外縁との隙間から上方へ上昇することによって、着座する乗客を内壁側から包囲する調和空気の上昇流から成るバリア層を形成することができる。そのため、客席の乗客が会話や咳等したときの飛沫が、他の客席の乗客へ飛散するのを、上記バリア層によって、効果的に回避させ得る。その結果、互いに近隣の客席に着座する乗客に対する空気清浄度を、バリア層を含む調和空気の上昇流によって効率よく確保でき、感染症対策の観点からも好ましい。
よって、本発明によれば、客室内における客席に着座する乗客毎の快適性及び空気清浄度を簡単に向上できる空調システムを備えた鉄道車両を提供することができる。
(5)(1)乃至(4)のいずれか1つに記載された鉄道車両において、
前記吹出し口は、前記調和空気を、前記客席の背ずり部から後方へ吹き出す背ずり背面用吹出し口を備えたことを特徴とする。
本発明においては、吹出し口は、調和空気を、客席の背ずり部から後方へ吹き出す背ずり背面用吹出し口を備えたので、背ずり部の背面に沿って上昇する調和空気によって、背ずり部の背面を積極的に冷却又は加熱することができる。そのため、冷却又は加熱した背ずり部の背面からの冷熱放射又は温熱放射によって、個々の乗客は、調和空気による暖房又は冷房の快適性を前席の背ずり部からも享受することができ、客室内における客席に着座する乗客毎の快適性をより一層向上できる。
(6)(1)乃至(5)のいずれか1つに記載された鉄道車両において、
前記吹出し口は、前記調和空気を、前記客席の座部表面及び/又は背ずり部表面から着座する乗客側へ向けて吹き出すように形成された乗客用吹出し口を備えたことを特徴とする。
本発明においては、吹出し口は、調和空気を、客席の座部表面及び/又は背ずり部表面から着座する乗客側へ向けて吹き出すように形成された乗客用吹出し口を備えたので、乗客用吹出し口から吹き出された調和空気が客席に着座した個々の乗客に直接接触しながら上昇することができる。そのため、客席の乗客は、調和空気による暖房又は冷房の快適性を直接享受することができ、客室内における客席に着座する乗客毎の快適性をより一層向上できる。
また、客席用吹出し口から吹き出される調和空気の上昇流から成るバリア層は、乗客用吹出し口から吹き出す調和空気を引き上げることによって補強され、客席の上方まで連続した状態で維持される。そのため、客席の乗客が会話や咳等したときの飛沫が隣の客席へ飛散するのを、上記補強されたバリア層によって、より一層効果的に回避させ得る。その結果、客席に着座する乗客に対する空気清浄度を、バリア層を含む調和空気の上昇流によってより確実に確保でき、感染症対策の観点からも、より好ましい。
(7)(6)に記載された鉄道車両において、
前記空調システムは、前記乗客用吹出し口から吹き出す前記調和空気の風量を調節可能に形成されていることを特徴とする。
本発明においては、空調システムは、乗客用吹出し口から吹き出す調和空気の風量を調節可能に形成されているので、調和空気の上昇流から成るバリア層を維持しつつ、客席に着座した個々の乗客に当たる調和空気の風量を好みに合わせて調節できる。そのため、客席毎の空気清浄度を一定以上に保証しながら、客席に着座する乗客に対して、調和空気に対する乗客毎の最適な快適性を享受させることができる。なお、乗客用吹出し口から吹き出す調和空気は、乗客に対する不快感を生じさせないように、その風量は、通常、客席用吹出し口から吹き出す調和空気の風量より少量である。したがって、乗客用吹出し口から吹き出す調和空気の風量を調節した場合でも、客席用吹出し口から吹き出す調和空気の流量変化は小さく、客席用吹出し口から吹き出す調和空気の上昇流から成るバリア層を簡単に維持することができる。
(8)(1)乃至(7)のいずれか1つに記載された鉄道車両において、
前記座部底面の外縁側には、前記客席用吹出し口から吹き出す前記調和空気の流れを上昇方向へ誘導する平滑なガイド面が形成されていることを特徴とする。
本発明においては、座部底面の外縁側には、客席用吹出し口から吹き出す調和空気の流れを上昇方向へ誘導する平滑なガイド面が形成されているので、客席用吹出し口から客席の座部底面に沿って座部外縁方向へ吹き出された調和空気は、コアンダ効果によってガイド面に沿って座部外縁からより確実に上方へ上昇することができる。そのため、客席に着座する乗客を包囲する調和空気の上昇流から成るバリア層を、より安定して形成することができる。その結果、客席に着座する乗客に対する空気清浄度を、より簡単かつ安定して確保できる。
(9)(1)乃至(8)のいずれか1つに記載された鉄道車両において、
前記背ずり部の上端部及び/又は背面には、前記調和空気を上方へ吹き出す補助吹出し口が形成されていることを特徴とする。
本発明においては、背ずり部の上端部及び/又は背面には、調和空気を上方へ吹き出す補助吹出し口が形成されているので、背ずり部の上方において、調和空気の上昇流から成るバリア層をより強固に形成することができる。そのため、客席の乗客が会話や咳等したときの飛沫が隣の客席へ飛散するのを、背ずり部の上方においてより強固に形成されたバリア層によって、より一層確実に回避させることができる。その結果、客席に着座する乗客に対する空気清浄度を、より一層確実に確保できる。
(10)(1)乃至(9)のいずれか1つに記載された鉄道車両において、
前記空調システムには、台枠下部に設置され前記調和空気を形成する空調機器と、前記客室の床下に配置され前記空調機器に接続された主供給ダクト及び主帰還ダクトと、前記主供給ダクトに接続され前記吹出し口まで延設された複数の空調ダクトとを備え、前記排気口から客室外に排出された前記客室内の空気は、前記客室の内壁と外壁との隙間を通過して前記主帰還ダクトに戻り、当該主帰還ダクトから前記空調機器に帰還することを特徴とする。
本発明においては、空調システムには、台枠下部に設置され調和空気を形成する空調機器と、客室の床下に配置され空調機器に接続された主供給ダクト及び主帰還ダクトと、主供給ダクトに接続され吹出し口まで延設された複数の空調ダクトとを備え、排気口から客室外に排出された客室内の空気は、客室の内壁と外壁との隙間を通過して主帰還ダクトに戻り、当該主帰還ダクトから空調機器に帰還するので、排気口と主帰還ダクトとを結ぶ排気ダクトを廃止又は短縮でき、廃止又は短縮した排気ダクトの分だけ重量軽減でき、コスト低減できる。また、排気口から客室外に排出された客室内の空気は、客室の内壁と外壁との隙間を通過して主帰還ダクトに戻るので、客室に対する断熱性を高めることができ、空調機器の消費電力を低減できる。そのため、客室内における客席毎の快適性及び空気清浄度を簡単に向上できる空調システムを、より低コストで実現できる。
本発明によれば、客室内における客席に着座する乗客毎の快適性及び空気清浄度を簡単に向上できる空調システムを備えた鉄道車両を提供することができる。
次に、本実施形態の一態様を表す鉄道車両(第1実施例~変形例)について、図面を参照しながら詳細に説明する。具体的には、本実施形態の第1実施例に係る鉄道車両の構成及び動作方法を詳細に説明した上で、第2実施例~変形例に係る鉄道車両について、第1実施例に対する相違点を中心に説明する。
<本実施形態の第1実施例に係る鉄道車両の構成及び動作方法>
まず、本実施形態の第1実施例に係る鉄道車両の構成及び動作方法について、図1~図3を用いて説明する。図1に、本実施形態の一態様を表す鉄道車両の概略構成図を示す。図2に、図1に示す鉄道車両の第1実施例におけるA-A断面図を示す。図3に、図1に示す鉄道車両の第1実施例におけるB矢視図を示す。
図1~図3に示すように、本実施形態の第1実施例に係る鉄道車両10は、車体1の下部まわり11に客室2内へ調和空気TKを吹き出す吹出し口3を有し、車体1の上部まわり12に客室2内の空気KKを客室2外に排気する排気口4を有し、吹出し口3から客室2内に吹き出した調和空気TKが客室2内の下部から上部に上昇して排気口4から排気されるようにした空調システム10Kを備えた鉄道車両10である。なお、本鉄道車両10は、客室2内の空気が気密状態に保持されるように、客室内気密機構を備えている。また、排気口4は、天井内壁221に形成された天井排気口41と、荷物棚上内壁222に形成された棚上排気口42と、荷物棚下内壁223に形成された棚下排気口43とを備えている。天井内壁221と荷物棚上内壁222と荷物棚下内壁223とは、車体1の上部まわり12に該当し、客室2の内壁22の上部を構成している。
また、吹出し口3は、客室2内に設置された客席5に形成され、調和空気TK(TK1、TK2)を、客席5の座部表面51a及び/又は背ずり部表面52aから着座する乗客JK側へ吹き出すように形成された乗客用吹出し口31と、客席5の座部底面51bに沿って当該客席5に着座する乗客JKの全周方向へ吹き出すように形成された第1の客席用吹出し口32とを備えている。ここでは、吹出し口3は、乗客用吹出し口31と第1の客席用吹出し口32とを備えているが、必ずしもこれに限定する必要はなく、例えば、第1の客席用吹出し口32のみでも良い。
ここで、客室2内に設置された客席5は、車体1の下部まわり11に該当し、客席5は、2人の乗客JKが着座できる2人用客席を例示しているが、1人用客席又は3人用客席等でも良い。客席5は、客室2内で車両進行方向に延びる中央通路を隔てて車両左右側に並列状に配置されている。客席5には、客室2の床面21に設置された脚部53と、脚部53に支持された座部51と、座部51に連結された背ずり部52とを備えている。なお、客席5は、床面21又は内壁22に支持されていても、床面21及び内壁22の両方に支持されていても良い。
また、乗客用吹出し口31は、座部表面51aから着座する乗客JK側へ吹き出すように形成された座部用吹出し口31aと、背ずり部表面52aから着座する乗客JK側へ吹き出すように形成された背ずり部用吹出し口31bとを備えているが、座部用吹出し口31aと背ずり部用吹出し口31bとの内、いずれか一方のみでも良い。
また、座部用吹出し口31aは、座部51内に挿入された座部空調ダクト643の上面に形成され、座部用吹出し口31aから吹き出された調和空気TK1は、座部クッション材に形成された細孔を通過して着座する乗客JK側へ略均一に吹き出される。また、背ずり部用吹出し口31bは、背ずり部52内に挿入された背ずり部空調ダクト644の正面に形成され、背ずり部用吹出し口31bから吹き出された調和空気TK1は、背ずり部クッション材に形成された細孔を通過して着座する乗客JK側へ略均一に吹き出される。なお、客席5の背ずり部52には、背ずり部52から後方へ吹き出す背ずり背面用吹出し口33を備えていることが好ましいが、これは必ずしも必要ではない。背ずり背面用吹出し口33は、背ずり部空調ダクト644の背面に形成されている。
また、第1の客席用吹出し口32は、脚部53の座部底面51b側に水平状に支持された脚部空調ダクト642の側面に放射状に形成され、客席5の座部底面51bに沿って座部外縁51cの全方向へ略均一に吹き出すように形成されている。なお、調和空気TKを床下側の主供給ダクト62から客席5側へ送給する空調ダクト64として、主供給ダクト62に接続され床面21から上方へ起立する縦空調ダクト641と、縦空調ダクト641に接続された脚部空調ダクト642及び座部空調ダクト643と、座部空調ダクト643に接続された背ずり部空調ダクト644とを備えている。
本鉄道車両10では、上述したように、吹出し口3は、客室2内に設置された客席5に形成され、調和空気TK2を、客席5の座部底面51bに沿って当該客席5に着座する乗客JKの全周方向へ吹き出すように形成された第1の客席用吹出し口32を備えたので、客室2内における客席5に着座する乗客JKの周囲に集中して調和空気TK2を吹き出すことができ、客室2内における客席5に着座した乗客JK毎の快適性と客席5に着座する乗客JKに対する空気清浄度とを向上できる。
より具体的には、吹出し口3は、客室2内に設置された客席5に形成され、調和空気TK2を、客席5の座部底面51bに沿って当該客席5に着座する乗客JKの全周方向へ吹き出すように形成された第1の客席用吹出し口32を備えたので、第1の客席用吹出し口32から吹き出された調和空気TK2が客席5に着座した個々の乗客JKを全周方向から包囲しながら上昇することができる。そのため、客席5の乗客JKは、調和空気TK2による暖房又は冷房の快適性を全身で享受することができる。その結果、客室2内における客席5に着座した乗客JK毎の快適性を向上できる。
また、第1の客席用吹出し口32は、客室2内に設置された客席5に形成され、調和空気TK2を、客席5の座部底面51bに沿って当該客席5に着座する乗客JKの全周方向へ吹き出すように形成されたので、第1の客席用吹出し口32を床面21より高い位置に設置できる。そのため、第1の客席用吹出し口32のダクト(脚部空調ダクト642)にゴミ等が侵入する可能性が低いと共に、床面21に堆積された花粉や粉塵等を調和空気TK2と共に客室2内に拡散させる可能性が低く、衛生上好ましい。また、調和空気TK2の流れは、客席5の座部底面51bに沿うことで、略一定の指向性があり、客席5付近の空気の撹拌が低減されて、空気清浄度の向上につながりやすい。
さらに、第1の客席用吹出し口32から客席5の座部底面51bに沿って当該客席5に着座する乗客JKの全周方向へ吹き出された調和空気TK2は、座部外縁51cから上方へ上昇することによって、客席5に着座する乗客JKを全周方向から包囲する調和空気TK2の上昇流から成るバリア層BSを形成することができる。そのため、客席5の乗客JKが会話や咳等したときの飛沫HMが隣の客席5の乗客JKへ飛散するのを、上記バリア層BSによって、効果的に回避させ得る。その結果、客席5に着座する乗客JKに対する空気清浄度を、バリア層BSを含む調和空気TK2の上昇流によって精度よく確保でき、感染症対策の観点からも好ましい。
また、本鉄道車両10では、吹出し口3は、客室2内に設置された客席5に形成され、調和空気TK1を、客席5の座部表面51a及び/又は背ずり部表面52aから着座する乗客JK側へ吹き出すように形成された乗客用吹出し口31(31a、31b)を備えたので、乗客用吹出し口31から吹き出された調和空気TK1が客席5に着座した個々の乗客JKに直接接触しながら上昇することができる。そのため、客席5の乗客JKは、調和空気TK1による暖房又は冷房の快適性を直接享受することができ、客室2内における客席5に着座する乗客JK毎の快適性をより一層向上できる。
ここで、本鉄道車両10では、鉄道車両10の上部まわり12に客室2内の空気KKを客室2外に排気する排気口4(41、42、43)を有している。また、調和空気TK1を、客席5の座部表面51a及び/又は背ずり部表面52aから着座する乗客JK側へ吹き出すように形成された乗客用吹出し口31を備えている。
そのため、第1の客席用吹出し口32から客席5の座部底面51bに沿って当該客席5に着座する乗客JKの全周方向へ吹き出された調和空気TK2は、排気口4に吸引されて、座部外縁51cから上方へ上昇する。そして、座部外縁51cの全方向へ吹き出された調和空気TK2が上方へ上昇する際、乗客用吹出し口31から吹き出す調和空気TK1を吸引することによって、客席5全体を包囲する調和空気TK2の上昇流から成るバリア層BSを形成することになる。
以上のように、第1の客席用吹出し口32から吹き出される調和空気TK2の上昇流から成るバリア層BSは、乗客用吹出し口31から吹き出す調和空気TK1の上昇流によって補強され、客席5の上方まで連続した状態で維持される。そのため、客席5の乗客JKが会話や咳等したときの飛沫HMが隣の客席5へ飛散するのを、上記補強されたバリア層BSによって、より一層効果的に回避させ得る。その結果、客席5に着座する乗客JKに対する空気清浄度を、バリア層BSを含む調和空気TK1の上昇流によってより確実に確保でき、感染症対策の観点からも、より好ましい。
なお、バリア層BSを所定の厚さで形成するため、第1の客席用吹出し口32から吹き出す調和空気TK2の風量は、乗客用吹出し口31から吹き出す調和空気TK1の風量より多いことが好ましい。また、第1の客席用吹出し口32から吹き出す調和空気TK2の風速は、いわゆる微風(風速が、0.5m/s程度以下)程度であることが好ましい。
また、本鉄道車両10において、空調システム10Kは、乗客用吹出し口31から吹き出す調和空気TK1の風量を調節可能に形成されていることが好ましい。ここでは、脚部空調ダクト642と座部空調ダクト643との間に、流量調整弁645が接続されている。なお、乗客用吹出し口31から吹き出す調和空気TK1は、乗客JKに対する不快感を生じさせないように、その風量は、通常、客席用吹出し口32から吹き出す調和空気TK2の風量より少量である。したがって、乗客用吹出し口31から吹き出す調和空気TK1の風量を調節した場合でも、客席用吹出し口32から吹き出す調和空気TK2の流量変化は小さく、客席用吹出し口32から吹き出す調和空気TK2の上昇流から成るバリア層BSを簡単に維持することができる。
この場合、客席5の外周部全体を包囲する調和空気TK2の上昇流から成るバリア層BSを所定の状態に維持しつつ、流量調整弁645の絞りを調節することによって、客席5に着座した個々の乗客JKに当たる調和空気TK1の風量を好みに合わせて調節できる。そのため、客席5毎の空気清浄度を一定以上に保証しながら、客席5に着座する乗客JKに対して、調和空気TK1に対する乗客JK毎の最適な快適性を享受させることができる。
また、本鉄道車両10において、吹出し口3は、調和空気TK3を、客席5の背ずり部52から後方へ吹き出す背ずり背面用吹出し口33を備えることが好ましい。この場合、背ずり部52の背面52bに沿って上昇する調和空気TK3によって、背ずり部52の背面52bを積極的に冷却又は加熱することができる。そのため、冷却又は加熱した背ずり部52の背面52bからの冷熱放射又は温熱放射によって、個々の乗客JKは、調和空気TK3による暖房又は冷房の快適性を前席の背ずり部52からも享受することができ、客室2内における客席5に着座する乗客JK毎の快適性をより一層向上できる。
また、本鉄道車両10において、空調システム10Kには、台枠13下部に設置され調和空気TKを形成する空調機器61と、客室2の床下に配置され空調機器61に接続された主供給ダクト62及び主帰還ダクト63と、主供給ダクト62に接続され各吹出し口3(31、32)まで延設された複数の空調ダクト64とを備え、排気口4(41、42、43)から客室外に排出された客室内の空気KKは、客室2の内壁22と外壁23との隙間を通過して主帰還ダクト63に戻り、当該主帰還ダクト63から空調機器61に帰還するように形成されていることが好ましい。なお、主供給ダクト62及び主帰還ダクト63は、車両長手方向に延設されている。
この場合、排気口4(41、42、43)と主帰還ダクト63とを結ぶ排気ダクト65を廃止又は短縮でき、廃止又は短縮した排気ダクトの分だけ重量軽減でき、コスト低減できる。ここでは、主帰還ダクト63と直結された排気ダクト65が床面21近傍まで湾曲状に形成されているが、これは廃止しても良い。
また、排気口4(41、42、43)から客室外に排出された客室内の空気KKは、客室2の内壁22と外壁23との隙間を通過して主帰還ダクト63に戻るので、通過する空気KKによって客室2に対する断熱性を高めることができ、空調機器61の消費電力を低減できる。そのため、客室2内における客席5毎の快適性及び空気清浄度を簡単に向上できる空調システム10Kを、より低コストで実現できる。
<本実施形態の第2実施例に係る鉄道車両の構成及び動作方法>
次に、本実施形態の第2実施例に係る鉄道車両の構成及び動作方法について、図1、図4、図5を用いて説明する。図1に、本実施形態の一態様を表す鉄道車両の概略構成図を示す。図4に、図1に示す鉄道車両の第2実施例におけるA-A断面図を示す。図5に、図1に示す鉄道車両の第2実施例におけるB矢視図を示す。ここでは、上述した第1実施例との共通点については、共通の符号を附してその説明は割愛し、主に相違点について説明する。
図1、図4、図5に示すように、本実施形態の第2実施例に係る鉄道車両10Bでは、車体1の下部まわり11に客室2内へ調和空気TKを吹き出す吹出し口3を有し、車体1の上部まわり12に客室2内の空気KKを客室2外に排気する排気口4を有し、吹出し口3から客室2内に吹き出した調和空気TKが客室2内の下部から上部に上昇して排気口4から排気されるようにした空調システム10KBを備えた鉄道車両10Bであって、吹出し口3は、客室2内に設置された客席5に形成され、調和空気TK2Bを、客席5の座部底面51bに沿って当該客席5に着座する乗客JKの前後方向へ吹き出すように形成された第2の客席用吹出し口32Bを備えている。第2の客席用吹出し口32Bは、脚部53の座部底面51b側に水平状に支持された脚部空調ダクト642の側面に前後方向へ向けて形成されている。
本第2実施例に係る鉄道車両10Bでは、吹出し口3は、客室2内に設置された客席5に形成され、調和空気TK2Bを、客席5の座部底面51bに沿って当該客席5に着座する乗客JKの前後方向へ吹き出すように形成された第2の客席用吹出し口32Bを備えたので、客室2内における客席5に着座する乗客JKの近傍に前後方向から集中して調和空気TK2Bを吹き出すことができ、乗客JK毎の快適性及び空気清浄度を効率よく向上できる。
より具体的には、吹出し口3は、客室2内に設置された客席5に形成され、調和空気TK2Bを、客席5の座部底面51bに沿って当該客席5に着座する乗客JKの前後方向へ吹き出すように形成された第2の客席用吹出し口32Bを備えたので、第2の客席用吹出し口32Bから吹き出された調和空気TK2Bが客席5に着座した個々の乗客JKに前後方向から直接接触しながら上昇することができる。そのため、客席5の乗客JKは、調和空気TK2Bによる暖房又は冷房の快適性を前後方向から直接享受することができる。その結果、客室2内における客席5に着座する乗客JK毎の快適性を向上できる。
また、第2の客席用吹出し口32Bは、客室2内に設置された客席5に形成され、調和空気TK2Bを、客席5の座部底面51bに沿って当該客席5に着座する乗客JKの前後方向へ吹き出すように形成されたので、第2の客席用吹出し口32Bを床面21より高い位置に設置できる。そのため、第2の客席用吹出し口32Bのダクト(脚部空調ダクト642)にゴミ等が侵入する可能性が低いと共に、床面21に堆積された花粉や粉塵等を調和空気TK2Bと共に客室2内に拡散させる可能性が低く、衛生上好ましい。また、調和空気TK2Bの流れは、客席5の座部底面51bに沿うことで、略一定の指向性があり、客席5付近の空気の撹拌が低減されて、空気清浄度の向上につながりやすい。
さらに、第2の客席用吹出し口32Bから客席5の座部底面51bに沿って当該客席5に着座する乗客JKの前後方向へ吹き出された調和空気TK2Bは、座部51前後の外縁から上方へ上昇することによって、客席5に着座する乗客JKを前後から包囲する調和空気TK2Bの上昇流から成るバリア層BSを形成することができる。そのため、客席5の乗客JKが会話や咳等したときの飛沫HMが、特に前後方向で隣接する客席5の乗客JKへ飛散するのを、上記バリア層BSによって、効果的に回避させ得る。その結果、客席5に着座する乗客JKに対する空気清浄度を、バリア層BSを含む調和空気TK2Bの上昇流によって効率よく確保でき、感染症対策の観点からも好ましい。
よって、本発明によれば、客室2内における客席5に着座する乗客JK毎の快適性及び空気清浄度を簡単に向上できる空調システム10KBを備えた鉄道車両10Bを提供することができる。
ここでは、吹出し口3は、乗客用吹出し口31と第2の客席用吹出し口32Bとを備えているが、必ずしもこれに限定する必要はなく、例えば、第2の客席用吹出し口32Bのみでも良い。なお、乗客用吹出し口31と第2の客席用吹出し口32Bとを備えた場合、空調システム10KBは、乗客用吹出し口31から吹き出す調和空気TK1の風量を調節可能に形成されていることが好ましい。また、吹出し口3は、調和空気TK3を、客席5の背ずり部52から後方へ吹き出す背ずり背面用吹出し口33を備えていることが好ましいが、必ずしもこれに限定する必要はない。
<本実施形態の第3実施例に係る鉄道車両の構成及び動作方法>
次に、本実施形態の第3実施例に係る鉄道車両の構成及び動作方法について、図1、図6、図7を用いて説明する。図1に、本実施形態の一態様を表す鉄道車両の概略構成図を示す。図6に、図1に示す鉄道車両の第3実施例におけるA-A断面図を示す。図7に、図1に示す鉄道車両の第3実施例におけるB矢視図を示す。ここでは、上述した第1実施例との共通点については、共通の符号を附してその説明は割愛し、主に相違点について説明する。
図1、図6、図7に示すように、本実施形態の第3実施例に係る鉄道車両10Cでは、車体1の下部まわり11に客室2内へ調和空気TKを吹き出す吹出し口3を有し、車体1の上部まわり12に客室2内の空気KKを客室2外に排気する排気口4を有し、吹出し口3から客室2内に吹き出した調和空気TKが客室2内の下部から上部に上昇して排気口4から排気されるようにした空調システム10KCを備えた鉄道車両10Cであって、吹出し口3は、客室2内に設置された客席5に形成され、調和空気TK2Cを、客席5の座部底面51bに沿って当該客席5と中央通路21aを隔てて隣接する他の客席5に着座する乗客JKの方向へ吹き出すように形成された第3の客席用吹出し口32Cを備えている。
本第3実施例に係る鉄道車両10Cでは、吹出し口3は、客室2内に設置された客席5に形成され、調和空気TK2Cを、客席5の座部底面51bに沿って当該客席5と中央通路21aを隔てて隣接する他の客席5に着座する乗客JKの方向へ吹き出すように形成された第3の客席用吹出し口32Cを備えたので、客室2内における中央通路21aを隔てて隣接する他の客席5に着座する乗客JKの近傍に集中して調和空気TK2Cを吹き出すことができ、乗客JK毎の快適性及び空気清浄度を効率よく向上できる。
より具体的には、吹出し口3は、客室2内に設置された客席5に形成され、調和空気TK2Cを、客席5の座部底面51bに沿って当該客席5と中央通路21aを隔てて隣接する他の客席5に着座する乗客JKの方向へ吹き出すように形成された第3の客席用吹出し口32Cを備えたので、第3の客席用吹出し口32Cから吹き出された調和空気TK2Cが隣の客席5に着座した個々の乗客JKに直接接触しながら上昇することができる。そのため、中央通路21aを隔てて隣接した客席5の乗客JKは、互いに隣の客席5から吹き出す調和空気TK2Cによる暖房又は冷房の快適性を直接享受することができる。その結果、客室2内における客席5に着座する乗客JK毎の快適性を向上できる。
なお、中央通路21aを隔てて隣接する第3の客席用吹出し口32Cは、調和空気TK2Cを吹出す高さ又はタイミング等を、互いに相違させることによって、調和空気TK2Cが中央通路21a付近で干渉するのを低減できる。
また、第3の客席用吹出し口32Cは、客室2内に設置された客席5に形成され、調和空気TK2Cを、客席5の座部底面51bに沿って当該客席5と中央通路21aを隔てて隣接する他の客席5に着座する乗客JKの方向へ吹き出すように形成されたので、第3の客席用吹出し口32Cを床面21より高い位置に設置できる。そのため、第3の客席用吹出し口32Cのダクト(脚部空調ダクト642)にゴミ等が侵入する可能性が低いと共に、床面21に堆積された花粉や粉塵等を調和空気TK2Cと共に客室2内に拡散させる可能性が低く、衛生上好ましい。また、調和空気TK2Cの流れは、客席5の座部底面51bに沿うことで、略一定の指向性があり、客席5付近の空気の撹拌が低減されて、空気清浄度の向上につながりやすい。
さらに、第3の客席用吹出し口32Cから客席5の座部底面51bに沿って当該客席5と中央通路21aを隔てて隣接する他の客席5に着座する乗客JKの方向へ吹き出された調和空気TK2Cは、隣の客席5の座部外縁51cから上方へ上昇することによって、隣の客席5に着座する乗客JKを包囲する調和空気TK2Cの上昇流から成るバリア層BSを形成することができる。そのため、客席5の乗客JKが会話や咳等したときの飛沫HMが、特に中央通路21aを隔てて隣接する他の客席5の乗客JKへ飛散するのを、上記バリア層BSによって、効果的に回避させ得る。その結果、中央通路21aを隔てて隣接する客席5に着座する乗客JKに対する空気清浄度を、バリア層BSを含む調和空気TK2Cの上昇流によって効率よく確保でき、感染症対策の観点からも好ましい。
よって、本第3実施例に係る鉄道車両10Cによれば、客室2内における客席5に着座する乗客JK毎の快適性及び空気清浄度を簡単に向上できる空調システム10KCを備えた鉄道車両10Cを提供することができる。
ここでは、吹出し口3は、乗客用吹出し口31と第3の客席用吹出し口32Cとを備えているが、必ずしもこれに限定する必要はなく、例えば、第3の客席用吹出し口32Cのみでも良い。なお、乗客用吹出し口31と第3の客席用吹出し口32Cとを備えた場合、空調システム10KCは、乗客用吹出し口31から吹き出す調和空気TK1の風量を調節可能に形成されていることが好ましい。また、吹出し口3は、調和空気TK3を、客席5の背ずり部52から後方へ吹き出す背ずり背面用吹出し口33を備えていることが好ましいが、必ずしもこれに限定する必要はない。
<本実施形態の第4実施例に係る鉄道車両の構成及び動作方法>
次に、本実施形態の第4実施例に係る鉄道車両の構成及び動作方法について、図1、図8、図9を用いて説明する。図1に、本実施形態の一態様を表す鉄道車両の概略構成図を示す。図8に、図1に示す鉄道車両の第4実施例におけるA-A断面図を示す。図9に、図1に示す鉄道車両の第4実施例におけるB矢視図を示す。ここでは、上述した第1実施例との共通点については、共通の符号を附してその説明は割愛し、主に相違点について説明する。
図1、図8、図9に示すように、本実施形態の第4実施例に係る鉄道車両10Dでは、車体1の下部まわり11に客室2内へ調和空気TKを吹き出す吹出し口3を有し、車体1の上部まわり12に客室2内の空気KKを客室2外に排気する排気口4を有し、吹出し口3から客室2内に吹き出した調和空気TKが客室2内の下部から上部に上昇して排気口4から排気されるようにした空調システム10KDを備えた鉄道車両10Dであって、吹出し口3は、客室2内に設置された客席5に形成され、調和空気TK2Dを、客席5の座部底面51bに沿って当該客席5に隣接する内壁22の方向へ吹き出すように形成された第4の客席用吹出し口32Dを備えている。
本第4実施例に係る鉄道車両10Dでは、吹出し口3は、客室2内に設置された客席5に形成され、調和空気TK2Dを、客席5の座部底面51bに沿って当該客席5に隣接する内壁22の方向へ吹き出すように形成された第4の客席用吹出し口32Dを備えたので、内壁22からの調和空気TK2D及び冷熱放射又は温熱放射によって乗客JK毎の快適性及び空気清浄度を効率よく向上できる。
より具体的には、吹出し口3は、客室2内に設置された客席5に形成され、調和空気TK2Dを、客席5の座部底面51bに沿って当該客席5に隣接する内壁22の方向へ吹き出すように形成された第4の客席用吹出し口32Dを備えたので、着座する乗客JKの近傍に存在する内壁22に集中して調和空気TK2Dを吹き出すことによって、内壁22を積極的に冷却又は加熱することができる。そのため、内壁22から客席側へ戻る調和空気TK2Dと冷却又は加熱した内壁22からの冷熱放射又は温熱放射とによって、個々の乗客JKは、調和空気TK2Dによる冷房又は暖房の快適性を、効果的に享受することができる。その結果、客室2内における客席5に着座する乗客JK毎の快適性を向上できる。
また、第4の客席用吹出し口32Dは、客室2内に設置された客席5に形成され、調和空気TK2Dを、客席5の座部底面51bに沿って当該客席5に隣接する内壁22の方向へ吹き出すように形成されたので、第4の客席用吹出し口32Dを床面21より高い位置に設置できる。そのため、第4の客席用吹出し口32Dのダクト642にゴミ等が侵入する可能性が低いと共に、床面21に堆積された花粉や粉塵等を調和空気TK2Dと共に客室2内に拡散させる可能性が低く、衛生上好ましい。また、調和空気TK2Dの流れは、客席5の座部底面51bに沿うことで、略一定の指向性があり、客席5付近の空気の撹拌が低減されて、空気清浄度の向上につながりやすい。
さらに、第4の客席用吹出し口32Dから客席5の座部底面51bに沿って、隣接する内壁22の方向へ吹き出された調和空気TK2Dは、内壁22から乗客JK側へ反射すると共に座部外縁との隙間から上方へ上昇することによって、着座する乗客JKを内壁側から包囲する調和空気TK2Dの上昇流から成るバリア層BSを形成することができる。そのため、客席5の乗客JKが会話や咳等したときの飛沫HMが、他の客席5の乗客JKへ飛散するのを、上記バリア層BSによって、効果的に回避させ得る。その結果、互いに近隣の客席5に着座する乗客JKに対する空気清浄度を、バリア層BSを含む調和空気TK2Dの上昇流によって効率よく確保でき、感染症対策の観点からも好ましい。
よって、本第4実施例に係る鉄道車両10Dによれば、客室2内における客席5に着座する乗客JK毎の快適性及び空気清浄度を簡単に向上できる空調システム10KDを備えた鉄道車両10Dを提供することができる。
ここでは、吹出し口3は、乗客用吹出し口31と第4の客席用吹出し口32Dとを備えているが、必ずしもこれに限定する必要はなく、例えば、第4の客席用吹出し口32Dのみでも良い。なお、乗客用吹出し口31と第4の客席用吹出し口32Dとを備えた場合、空調システム10KDは、乗客用吹出し口31から吹き出す調和空気TK1の風量を調節可能に形成されていることが好ましい。また、吹出し口3は、調和空気TK3を、客席5の背ずり部52から後方へ吹き出す背ずり背面用吹出し口33を備えていることが好ましいが、必ずしもこれに限定する必要はない。
<変形例>
以上、本実施形態に係る鉄道車両10、10B、10C、10Dを詳細に説明したが、本発明はこれに限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。例えば、本実施形態では、調和空気TK2、TK2B、TK2C、TK2Dを、客席5の座部底面51bに沿って吹き出すように形成された客席用吹出し口32、32B、32C、32Dを備えている。そのため、客席5の座部底面51bは、平坦な形状に形成されている。しかし、必ずしも、これに限る必要はない。
例えば、図10に示す鉄道車両10Eのように、座部底面51bの外縁側には、客席用吹出し口32(32B、32C、32D)から吹き出す調和空気TK2(TK2B、TK2C、TK2D)の流れを上昇方向へ誘導する平滑なガイド面51dが形成されていても良い。ここで、ガイド面51dは、平坦な座部底面51bから座部外縁51cへ向けて滑らかに上方へ傾斜する平滑面として形成されている。
この場合、客席用吹出し口32(32B、32C、32D)から客席5の座部底面51bに沿って座部外縁方向へ吹き出された調和空気TK2(TK2B、TK2C、TK2D)は、コアンダ効果によってガイド面51dに沿って座部外縁からより確実に上方へ上昇することができる。そのため、客席5に着座する乗客JKを包囲する調和空気TK2(TK2B、TK2C、TK2D)の上昇流から成るバリア層BSSを、より安定して形成することができる。その結果、客席5に着座する乗客JKに対する空気清浄度を、より簡単かつ安定して確保できる。
また、例えば、本実施形態では、吹出し口3は、調和空気TK3を、客席5の背ずり部52から後方へ吹き出す背ずり背面用吹出し口33を備えているが、必ずしも、これに限る必要はない。例えば、図10、図11に示す鉄道車両10Eのように、背ずり部52の上端部52c及び/又は背面52bには、調和空気TK4を上方へ吹き出す補助吹出し口34が形成されていても良い。ここでは、背ずり部52の上端部52c及び背面52bには、調和空気TK4を上方へ吹き出す補助吹出し口34(34a、34b)がそれぞれ形成されているが、背ずり部52の上端部52cの補助吹出し口34a又は背面52bの補助吹出し口34bの内、いずれか一方のみを形成しても良い。
この場合、客席用吹出し口32(32B、32C、32D)から吹き出された調和空気TK2(TK2B、TK2C、TK2D)と、補助吹出し口34(34a、34b)から上方へ吹き出された調和空気TK4とが合流して、背ずり部52の上方において、合流した調和空気TK(TK2(TK2B、TK2C、TK2D)+TK4)の上昇流から成るバリア層BSSをより強固に形成することができる。そのため、客席5の乗客JKが会話や咳等したときの飛沫HMが隣の客席5へ飛散するのを、背ずり部52の上方においてより強固に形成されたバリア層BSSによって、より一層確実に回避させることができる。その結果、客席5に着座する乗客JKに対する空気清浄度を、より一層確実に確保できる。
また、例えば、本実施形態では、第2の客席用吹出し口32Bと第3の客席用吹出し口32Cと第4の客席用吹出し口32Dとを、それぞれ単独で備えているが、必ずしもこれに限る必要はない。例えば、第2の客席用吹出し口32Bと第3の客席用吹出し口32Cと第4の客席用吹出し口32Dとの中から選択した複数の客席用吹出し口を組み合わせても良い。これによって、客席5に着座する乗客JKに対する空調システムの快適性及び空気清浄度をより一層高めることができる。
また、例えば、本実施形態では、排気口4(41、42、43)から客室外に排出された客室内の空気KKは、客室2の内壁22と外壁23との隙間を通過して主帰還ダクト63に戻り、当該主帰還ダクト63から空調機器61に帰還するように形成されている。ここで、排気口4(41、42、43)等には、排気ファンを備えていないが、空調機器61の吸引機能を補強するため、帰還経路中に排気ファンを備えても良い。帰還経路中に排気ファンを備えることによって、調和空気TKの上昇流から成るバリア層BS、BSSをより強固に形成でき、客席5に着座した乗客JKに対する空気清浄度を更に高めることができる。
<作用効果>
以上、詳細に説明した本実施形態に係る鉄道車両10によれば、吹出し口3は、客室2内に設置された客席5に形成され、調和空気TK2を、客席5の座部底面51bに沿って当該客席5に着座する乗客JKの全周方向へ吹き出すように形成された第1の客席用吹出し口32を備えたので、客室2内における客席5に着座する乗客JKの周囲に集中して調和空気TK2を吹き出すことができ、客室2内における客席5に着座した乗客JK毎の快適性と客席5に着座する乗客JKに対する空気清浄度とを向上できる。
すなわち、吹出し口3は、客室2内に設置された客席5に形成され、調和空気TK2を、客席5の座部底面51bに沿って当該客席5に着座する乗客JKの全周方向へ吹き出すように形成された第1の客席用吹出し口32を備えたので、第1の客席用吹出し口32から吹き出された調和空気TK2が客席5に着座した個々の乗客JKを全周方向から包囲しながら上昇することができる。そのため、客席5の乗客JKは、調和空気TK2による暖房又は冷房の快適性を全身で享受することができ、客室2内における客席5に着座する乗客JK毎の快適性を向上できる。
また、第1の客席用吹出し口32は、客室2内に設置された客席5に形成され、調和空気TK2を、客席5の座部底面51bに沿って当該客席5に着座する乗客JKの全周方向へ吹き出すように形成されたので、第1の客席用吹出し口32を床面21より高い位置に設置できる。そのため、第1の客席用吹出し口32のダクト642にゴミ等が侵入する可能性が低いと共に、床面21に堆積された花粉や粉塵等を調和空気TK2と共に客室2内に拡散させる可能性が低く、衛生上好ましい。また、調和空気TK2の流れは、客席5の座部底面51bに沿うことで、略一定の指向性があり、客席5付近の空気の撹拌が低減されて、空気清浄度の向上につながりやすい。
さらに、第1の客席用吹出し口32から客席5の座部底面51bに沿って当該客席5に着座する乗客JKの全周方向へ吹き出された調和空気TK2は、座部外縁51cから上方へ上昇することによって、客席5に着座する乗客JKを全周方向から包囲する調和空気TK2の上昇流から成るバリア層BSを形成することができる。そのため、客席5の乗客JKが会話や咳等したときの飛沫HMが隣の客席5の乗客JKへ飛散するのを、上記バリア層BSによって、効果的に回避させ得る。その結果、客席5に着座する乗客JKに対する空気清浄度を、バリア層BSを含む調和空気TK2の上昇流によって精度よく確保でき、感染症対策の観点からも好ましい。
よって、本実施形態によれば、客室2内における客席5に着座する乗客JK毎の快適性及び空気清浄度を簡単に向上できる空調システム10Kを備えた鉄道車両10を提供することができる。
また、本実施形態によれば、吹出し口3は、客室2内に設置された客席5に形成され、調和空気TK2Bを、客席5の座部底面51bに沿って当該客席5に着座する乗客JKの前後方向へ吹き出すように形成された第2の客席用吹出し口32Bを備えたので、客室2内における客席5に着座する乗客JKの近傍に前後方向から集中して調和空気TK2Bを吹き出すことができ、乗客JK毎の快適性及び空気清浄度を効率よく向上できる。
すなわち、吹出し口3は、客室2内に設置された客席5に形成され、調和空気TK2Bを、客席5の座部底面51bに沿って当該客席5に着座する乗客JKの前後方向へ吹き出すように形成された第2の客席用吹出し口32Bを備えたので、第2の客席用吹出し口32Bから吹き出された調和空気TK2Bが客席5に着座した個々の乗客JKに前後方向から直接接触しながら上昇することができる。そのため、客席5の乗客JKは、調和空気TK2Bによる暖房又は冷房の快適性を前後方向から直接享受することができ、客室2内における客席5に着座する乗客JK毎の快適性を向上できる。
また、第2の客席用吹出し口32Bは、客室2内に設置された客席5に形成され、調和空気TK2Bを、客席5の座部底面51bに沿って当該客席5に着座する乗客JKの前後方向へ吹き出すように形成されたので、第2の客席用吹出し口32Bを床面21より高い位置に設置できる。そのため、第2の客席用吹出し口32Bのダクト642にゴミ等が侵入する可能性が低いと共に、床面21に堆積された花粉や粉塵等を調和空気TK2Bと共に客室2内に拡散させる可能性が低く、衛生上好ましい。また、調和空気TK2Bの流れは、客席5の座部底面51bに沿うことで、略一定の指向性があり、客席5付近の空気の撹拌が低減されて、空気清浄度の向上につながりやすい。
さらに、第2の客席用吹出し口32Bから客席5の座部底面51bに沿って当該客席5に着座する乗客JKの前後方向へ吹き出された調和空気TK2Bは、座部51前後の外縁から上方へ上昇することによって、客席5に着座する乗客JKを前後から包囲する調和空気TK2Bの上昇流から成るバリア層BSを形成することができる。そのため、客席5の乗客JKが会話や咳等したときの飛沫HMが、特に前後方向で隣接する客席5の乗客JKへ飛散するのを、上記バリア層BSによって、効果的に回避させ得る。その結果、客席5に着座する乗客JKに対する空気清浄度を、バリア層BSを含む調和空気TK2Bの上昇流によって効率よく確保でき、感染症対策の観点からも好ましい。
よって、本実施形態によれば、客室2内における客席5に着座する乗客JK毎の快適性及び空気清浄度を簡単に向上できる空調システム10KBを備えた鉄道車両10Bを提供することができる。
また、本実施形態によれば、吹出し口3は、客室2内に設置された客席5に形成され、調和空気TK2Cを、客席5の座部底面51bに沿って当該客席5と中央通路21aを隔てて隣接する他の客席5に着座する乗客JKの方向へ吹き出すように形成された第3の客席用吹出し口32Cを備えたので、客室2内における中央通路21aを隔てて隣接する他の客席5に着座する乗客JKの近傍に集中して調和空気TK2Cを吹き出すことができ、乗客JK毎の快適性及び空気清浄度を効率よく向上できる。
すなわち、吹出し口3は、客室2内に設置された客席5に形成され、調和空気TK2Cを、客席5の座部底面51bに沿って当該客席5と中央通路21aを隔てて隣接する他の客席5に着座する乗客JKの方向へ吹き出すように形成された第3の客席用吹出し口32Cを備えたので、第3の客席用吹出し口32Cから吹き出された調和空気TK2Cが、互いに隣の客席5の下方へ移動して、隣の客席5に着座した個々の乗客JKに直接接触しながら上昇することができる。そのため、中央通路21aを隔てて隣接した客席5の乗客JKは、互いに隣の客席5から吹き出す調和空気TK2Cによる暖房又は冷房の快適性を直接享受することができ、客室2内における客席5に着座する乗客JK毎の快適性を向上できる。なお、中央通路21aを隔てて隣接する第3の客席用吹出し口32Cは、調和空気TK2Cを吹出す高さ又はタイミング等を、互いに相違させることによって、調和空気TK2Cが中央通路21a付近で干渉するのを低減できる。
また、第3の客席用吹出し口32Cは、客室2内に設置された客席5に形成され、調和空気TK2Cを、客席5の座部底面51bに沿って当該客席5と中央通路21aを隔てて隣接する他の客席5に着座する乗客JKの方向へ吹き出すように形成されたので、第3の客席用吹出し口32Cを床面21より高い位置に設置できる。そのため、第3の客席用吹出し口32Cのダクト642にゴミ等が侵入する可能性が低いと共に、床面21に堆積された花粉や粉塵等を調和空気TK2Cと共に客室2内に拡散させる可能性が低く、衛生上好ましい。また、調和空気TK2Cの流れは、客席5の座部底面51bに沿うことで、略一定の指向性があり、客席5付近の空気の撹拌が低減されて、空気清浄度の向上につながりやすい。
さらに、第3の客席用吹出し口32Cから客席5の座部底面51bに沿って当該客席5と中央通路21aを隔てて隣接する他の客席5に着座する乗客JKの方向へ吹き出された調和空気TK2Cは、隣の客席5の座部外縁51cから上方へ上昇することによって、隣の客席5に着座する乗客JKを包囲する調和空気TK2Cの上昇流から成るバリア層BSを形成することができる。そのため、客席5の乗客JKが会話や咳等したときの飛沫HMが、特に中央通路21aを隔てて隣接する他の客席5の乗客JKへ飛散するのを、上記バリア層BSによって、効果的に回避させ得る。その結果、中央通路21aを隔てて隣接する客席5に着座する乗客JKに対する空気清浄度を、バリア層BSを含む調和空気TK2Cの上昇流によって効率よく確保でき、感染症対策の観点からも好ましい。
よって、本実施形態によれば、客室2内における客席5に着座する乗客JK毎の快適性及び空気清浄度を簡単に向上できる空調システム10KCを備えた鉄道車両10Cを提供することができる。
また、本実施形態によれば、吹出し口3は、客室2内に設置された客席5に形成され、調和空気TK2Dを、客席5の座部底面51bに沿って当該客席5に隣接する内壁22の方向へ吹き出すように形成された第4の客席用吹出し口32Dを備えたので、内壁22からの調和空気TK2Dと冷熱放射又は温熱放射によって乗客JK毎の快適性及び空気清浄度を効率よく向上できる。
すなわち、吹出し口3は、客室2内に設置された客席5に形成され、調和空気TK2Dを、客席5の座部底面51bに沿って当該客席5に隣接する内壁22の方向へ吹き出すように形成された第4の客席用吹出し口32Dを備えたので、着座する乗客JKの近傍に存在する内壁22に集中して調和空気TK2Dを吹き出すことによって、内壁22を積極的に冷却又は加熱することができる。そのため、内壁22から乗客側へ戻る調和空気TK2Dと冷却又は加熱した内壁22からの冷熱放射又は温熱放射によって、個々の乗客JKは、調和空気TK2Dによる冷房又は暖房の快適性を効果的に享受することができる。その結果、客室2内における客席5に着座した乗客JK毎の快適性を向上できる。
また、第4の客席用吹出し口32Dは、客室2内に設置された客席5に形成され、調和空気TK2Dを、客席5の座部底面51bに沿って当該客席5に隣接する内壁22の方向へ吹き出すように形成されたので、第4の客席用吹出し口32Dを床面21より高い位置に設置できる。そのため、第4の客席用吹出し口32Dのダクト642にゴミ等が侵入する可能性が低いと共に、床面21に堆積された花粉や粉塵等を調和空気TK2Dと共に客室2内に拡散させる可能性が低く、衛生上好ましい。また、調和空気TK2Dの流れは、客席5の座部底面51bに沿うことで、略一定の指向性があり、客席5付近の空気の撹拌が低減されて、空気清浄度の向上につながりやすい。
さらに、第4の客席用吹出し口32Dから客席5の座部底面51bに沿って、隣接する内壁22の方向へ吹き出された調和空気TK2Dは、内壁22から乗客JK側へ反射すると共に座部外縁との隙間から上方へ上昇することによって、着座する乗客JKを内壁側から包囲する調和空気TK2Dの上昇流から成るバリア層BSを形成することができる。そのため、客席5の乗客JKが会話や咳等したときの飛沫HMが、他の客席5の乗客JKへ飛散するのを、上記バリア層BSによって、効果的に回避させ得る。その結果、互いに近隣の客席5に着座する乗客JKに対する空気清浄度を、バリア層BSを含む調和空気TK2Dの上昇流によって効率よく確保でき、感染症対策の観点からも好ましい。
よって、本実施形態によれば、客室2内における客席5に着座する乗客JK毎の快適性及び空気清浄度を簡単に向上できる空調システム10KDを備えた鉄道車両10Dを提供することができる。
また、本実施形態によれば、吹出し口3は、調和空気TK3を、客席5の背ずり部52から後方へ吹き出す背ずり背面用吹出し口33を備えたので、背ずり部52の背面52bに沿って上昇する調和空気TK3によって、背ずり部52の背面52bを積極的に冷却又は加熱することができる。そのため、冷却又は加熱した背ずり部52の背面52bからの冷熱放射又は温熱放射によって、個々の乗客JKは、調和空気TK3による暖房又は冷房の快適性を前席の背ずり部52からも享受することができ、客室2内における客席5に着座する乗客JK毎の快適性をより一層向上できる。
また、本実施形態によれば、吹出し口3は、調和空気TK1を、客席5の座部表面51a及び/又は背ずり部表面52aから着座する乗客JK側へ向けて吹き出すように形成された乗客用吹出し口31を備えたので、乗客用吹出し口31から吹き出された調和空気TK1が客席5に着座した個々の乗客JKに直接接触しながら上昇することができる。そのため、客席5の乗客JKは、調和空気TK1による暖房又は冷房の快適性を直接享受することができ、客室2内における客席5に着座する乗客JK毎の快適性をより一層向上できる。
また、客席用吹出し口32、32B、32C、32Dから吹き出される調和空気TK2、TK2B、TK2C、TK2Dの上昇流から成るバリア層BSは、乗客用吹出し口31から吹き出す調和空気TK1を引き上げることによって補強され、客席5の上方まで連続した状態で維持される。そのため、客席5の乗客JKが会話や咳等したときの飛沫HMが隣の客席5へ飛散するのを、上記補強されたバリア層BSによって、より一層効果的に回避させ得る。その結果、客席5に着座する乗客JKに対する空気清浄度を、バリア層BSを含む調和空気TK1の上昇流によってより確実に確保でき、感染症対策の観点からも、より好ましい。
また、本実施形態によれば、空調システム10K、10KB、10KC、10KD、10KEは、乗客用吹出し口31から吹き出す調和空気TK1の風量を調節可能に形成されているので、調和空気TK2、TK2B、TK2C、TK2Dの上昇流から成るバリア層BSを所定の状態に維持しつつ、客席5に着座した個々の乗客JKに当たる調和空気TK1の風量を好みに合わせて調節できる。そのため、客席5毎の空気清浄度を一定以上に保証しながら、客席5に着座する乗客JKに対して、調和空気TK1に対する乗客JK毎の最適な快適性を享受させることができる。
また、本実施形態によれば、座部底面51bの外縁側には、客席用吹出し口32、32B、32C、32Dから吹き出す調和空気TK2、TK2B、TK2C、TK2Dの流れを上昇方向へ誘導する平滑なガイド面51dが形成されているので、客席用吹出し口32、32B、32C、32Dから客席5の座部底面51bに沿って座部外縁方向へ吹き出された調和空気TK2、TK2B、TK2C、TK2Dは、コアンダ効果によってガイド面51dに沿って座部外縁51cからより確実に上方へ上昇することができる。そのため、客席5に着座する乗客JKを包囲する調和空気TK2、TK2B、TK2C、TK2Dの上昇流から成るバリア層BSを、より安定して形成することができる。その結果、客席5に着座する乗客JKに対する空気清浄度を、より簡単かつ安定して確保できる。
また、本実施形態によれば、背ずり部52の上端部52c及び/又は背面52bには、調和空気TK4を上方へ吹き出す補助吹出し口34が形成されているので、背ずり部52の上方において、調和空気TK4の上昇流から成るバリア層BSSをより強固に形成することができる。そのため、客席5の乗客JKが会話や咳等したときの飛沫HMが隣の客席5へ飛散するのを、背ずり部52の上方においてより強固に形成されたバリア層BSSによって、より一層確実に回避させることができる。その結果、客席5に着座する乗客JKに対する空気清浄度を、より一層確実に確保できる。
また、本実施形態によれば、空調システム10K、10KB、10KC、10KD、10KEには、台枠13下部に設置され調和空気TKを形成する空調機器61と、客室2の床下に配置され空調機器61に接続された主供給ダクト62及び主帰還ダクト63と、主供給ダクト62に接続され吹出し口3まで延設された複数の空調ダクト64とを備え、排気口4から客室2外に排出された客室2内の空気KKは、客室2の内壁22と外壁23との隙間を通過して主帰還ダクト63に戻り、当該主帰還ダクト63から空調機器61に帰還するので、排気口4と主帰還ダクト63とを結ぶ排気ダクト65を廃止又は短縮でき、廃止又は短縮した排気ダクトの分だけ重量軽減でき、コスト低減できる。また、排気口4から客室2外に排出された客室2内の空気KKは、客室2の内壁22と外壁23との隙間を通過して主帰還ダクト63に戻るので、客室2に対する断熱性を高めることができ、空調機器61の消費電力を低減できる。そのため、客室2内における客席5に着座する乗客JKの快適性及び空気清浄度を簡単に向上できる空調システム10K、10KB、10KC、10KD、10KEを、より低コストで実現できる。