以下、図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。図1は、本実施形態に係る輪止め配置指示装置を備える高所作業車1を示しており、この図を参照して高所作業車1の全体構成について説明する。なお、図1を参照する説明において、前後方向について言及するときは、図1に示す矢印の向きに従う。
高所作業車1は、図1に示すように、車体2の前部に運転キャビン7を有し、車体2の
前後に配設された左右一対のタイヤ車輪5により走行可能なトラック車両をベースに構成されている。車体2は、4つのタイヤ車輪5(左前輪、左後輪、右前輪および右後輪)が配設されたシャシフレームと、このシャシフレーム上に取り付けられたサブフレームとからなる車体フレームを備えて構成されている。図1に示されているタイヤ車輪5は、左前輪5Lfおよび左後輪5Lrであり、図1には示されていないが車体2の右側には右前輪5Rfおよび右後輪5Rrが設けられている。また、左前輪5Lfおよび右前輪5Rfの後側には前輪用泥除け8fが設けられ、左後輪5Lrおよび右後輪5Rrの後側には後輪用泥除け8rが設けられている。
車体2の前後左右には、高所作業時に車体2を持ち上げ支持するジャッキ装置10が設けられている。ジャッキ装置10は、左前輪5Lfの後方に配設された左フロントジャッキ10Lf、左後輪5Lrの後方に配設された左リアジャッキ10Lr、右前輪5Rfの後方に配設された右フロントジャッキ10Rf(図示せず)、右後輪5Rrの後方に配設された右リアジャッキ10Rr(図12参照)によって構成される。各ジャッキ装置10は、その内部に設けられたジャッキシリンダ11を駆動して下方に伸長させることでジャッキ装置10の先端部に設けられているジャッキベース10Bを接地させ、その状態からさらにジャッキシリンダ11を伸長させることで、車体2を持ち上げ支持して車両全体を安定させた状態とする。
各ジャッキ装置10には、各ジャッキ装置10に対応してアウトリガ装置12(図12参照)が設けられている。ここで、左フロントジャッキ10Lfに対応するアウトリガ装置12を左フロントアウトリガ12Lfといい、左リアジャッキ10Lrに対応するアウトリガ装置12を左リアアウトリガ12Lrという。また、右フロントジャッキ10Rfに対応するアウトリガ装置12を右フロントアウトリガ12Rfといい、右リアジャッキ10Lrに対応するアウトリガ装置12を右リアアウトリガ12Rrという。
各アウトリガ装置12の内部にはアウトリガシリンダ13(図2参照)が設けられており、アウトリガシリンダ13を伸縮させることで対応するジャッキ装置10を車体2の幅方向(図1の紙面手前から奥/紙面奥から手前へ向かう方向)に水平移動させる。具体的には、アウトリガシリンダ13を伸長させることでジャッキ装置10を車体2の側面から張り出す方向へ移動させる。また、伸長させたアウトリガシリンダ13を収縮させることで車体2の側面から張り出したジャッキ装置10を車体2へ収納する方向へ移動させる。車体2の後端部には、各ジャッキ装置10およびアウトリガ装置12や、後述するブーム30等の作動操作を行うための下部操作装置27が設けられている。
車体2における運転キャビン7の後方に位置する架装部には、旋回モータ24により駆動されて上下軸回りに水平旋回動自在に構成された旋回台20が設けられている。この旋回台20から上方に延びた支柱21には、ブーム30の基端部がフートピン22を介して上下方向に揺動自在(起伏自在)に取り付けられている。また、車体2の架装部の左右側方には、作業工具や作業機材などを収納するための工具箱26が設けられている。
ブーム30は、旋回台20側から順に、基端ブーム30a、中間ブーム30bおよび先端ブーム30cが入れ子式に組み合わされた構成を有しており、その内部に設けられた伸縮シリンダ31の伸縮駆動により、ブーム30を軸方向(長手方向)に伸縮動させることができる。また、基端ブーム30aと支柱21との間には起伏シリンダ23が跨設されており、この起伏シリンダ23を伸縮駆動させることにより、ブーム30全体を上下面(垂直面)内で起伏動させることができる。
先端ブーム30cの先端部には、垂直ポスト32が上下方向に揺動自在に枢支されている。この垂直ポスト32は、先端ブーム30cの先端部との間に跨設された上部レベリン
グシリンダ(図示せず)と、基端ブーム30aと支柱21との間に跨設された下部レベリングシリンダ25とにより、ブーム30の起伏の如何に拘らず常時垂直姿勢に保持されるように揺動制御(レベリング制御)される。この垂直ポスト32には、作業台ブラケット(図示せず)を介して作業者搭乗用の作業台40が取り付けられている。この作業台ブラケットの内部には首振りモータ34が設けられており、この首振りモータ34を駆動させることにより、垂直ポスト32を軸にして作業台40全体を首振り動(水平旋回動)させることができる。ここで、垂直ポスト32は、上述のように常時垂直姿勢が保たれるため、結果として作業台40の床面はブーム30の起伏角度によらず常時水平に保持される。
作業台40には、これに搭乗した作業者が操作する操作レバーや操作スイッチ、操作ダイヤル等の各操作手段を備えた上部操作装置45が設けられている。そのため、作業台40に搭乗した作業者は、上部操作装置45を操作することにより、旋回台20の旋回作動(旋回モータ24の回転作動)、ブーム30の起伏作動(起伏シリンダ23の伸縮作動)、ブーム30の伸縮作動(伸縮シリンダ31の伸縮作動)、作業台40の首振り作動(首振りモータ34の回転作動)などの各作動操作を行うことができる。
一般に、高所作業車が作業現場で作業を行う場合、駐車してから各ジャッキ10Lf,10Rf,10Lr,10Rrの作動操作を行う前に、まずパーキングブレーキを作動させて左右の後輪5Lr,5Rrを制動させる。そして、路面とタイヤ車輪5の踏み面(トレッド面)との間に輪止め装置を設置することで車両の逸走防止を図るようになっている。そこで図1に示した高所作業車1は、タイヤ車輪5に対して輪止め装置が正しく配置されているか否かを判断するために、輪止め装置を検知するための輪止め検知器100(図2参照)を備えている。
輪止め検知器100には非接触で対象物の有無を判断できるセンサ(例えば光電センサ、超音波センサ、レーザーセンサなど)が使用可能であるが、本実施形態では輪止め検知器100としてカメラを用い、輪止め検知器100から出力された画像信号に基づいて後述するコントローラ60(図2参照)において公知の画像処理を行い、対象物である輪止め装置の有無を判別する。したがって、本実施形態においては、輪止め検知器100により取得された画像とコントローラ60における画像処理とによって、いわゆる画像判別センサを構成しているといえる。
車体2に設けられた輪止め検知器100には、図1に示すように、運転キャビン7の底部に固定され、左前輪5Lfの前側に配置された輪止め装置を検知するための左前輪前側輪止め検知器110Lと、輪止め装置を検知する方向(以下、「検知方向」ともいう。)を左前輪5Lfの後側に向けて左フロントジャッキ10Lfのジャッキベース10Bに固定された左前輪後側輪止め検知器111Lと、検知方向を左後輪5Lrの前側に向けて左フロントジャッキ10Lfのジャッキベース10Bに固定された左後輪前方輪止め検知器112Lと、検知方向を左後輪5Lrの後側に向けて左リアジャッキ10Lrのジャッキベース10Bに固定された左後輪後側輪止め検知器113Lと、がある。
また、図1には示されていないが、車体2の右側においても同様に、運転キャビン7の底部に固定され、右前輪5Rfの前側に配置された輪止め装置70を検知するための右前輪前側輪止め検知器110Rと、検知方向を右前輪5Rfの後側に向けて右フロントジャッキ10Rfのジャッキベース10Bに固定された右前輪後側輪止め検知器111Rと、検知方向を右後輪5Rrの前側に向けて右フロントジャッキ10Rfのジャッキベース10Bに固定された右後輪前方輪止め検知器112Rと、検知方向を右後輪5Rrの後側に向けて右リアジャッキ10Rrのジャッキベース10Bに固定された右後輪後側輪止め検知器113Rと、がある(図2参照)。
次に図2を参照して、上述した上部操作装置45もしくは下部操作装置27の操作により出力された操作信号に基づいて、前述したジャッキシリンダ11、アウトリガシリンダ13、旋回モータ24、起伏シリンダ23、伸縮シリンダ31および首振りモータ34等を含む各油圧アクチュエータの作動制御や輪止め装置の検出処理を行うための構成について説明する。
図2に示すように、高所作業車1は、上述した各油圧アクチュエータを作動させるために作動油を供給する油圧ユニット50と、上部操作装置45や下部操作装置27からの操作信号を受けて、各油圧アクチュエータの作動を制御するコントローラ60と、を備えている。油圧ユニット50は、作動油を吐出する油圧ポンプ51と、油圧ポンプ51を駆動するポンプ駆動モータ52と、油圧ポンプ51から各油圧アクチュエータに供給する作動油の供給方向および供給量を制御する制御バルブ53とを有して構成される。
ポンプ駆動モータ52は、架装部バッテリ59からインバータ54を介して供給される電力により回転駆動され、これにより油圧ポンプ51を作動させて制御バルブ53へ作動油を吐出する。制御バルブ53は、ジャッキシリンダ11に対応する電磁比例制御バルブV1、アウトリガシリンダ13に対応する電磁比例制御バルブV2、旋回モータ24に対応する電磁比例制御バルブV3、起伏シリンダ23に対応する電磁比例制御バルブV4、伸縮シリンダ31に対応する電磁比例制御バルブV5、首振りモータ34に対応する電磁比例制御バルブV6を有している。
上部操作装置45または下部操作装置27の操作により出力された操作信号がコントローラ60に入力されると、コントローラ60の作動制御部61は、その操作信号に応じた指令信号を制御バルブ53へ出力する。この制御バルブ53は、コントローラ60の作動制御部61からの指令信号に基づき、各電磁比例制御バルブV1~V6のスプールを電磁駆動して、油圧ポンプ51から各油圧アクチュエータに供給される作動油の供給方向および供給量を制御し、各油圧アクチュエータの作動方向および作動速度を制御する。この結果、上部操作装置45または下部操作装置27によって、前述したジャッキ装置10およびアウトリガ装置12の伸縮作動、旋回台20の旋回作動、ブーム30の起伏作動、ブーム30の伸縮作動、作業台40の首振り作動などの操作を行うことができる。
高所作業車1は輪止め装置が配置されているか否かを判断するための構成として、前述した輪止め検知器100(左前輪前側輪止め検知器110L、左前輪後側輪止め検知器111L、左後輪前方輪止め検知器112L、左後輪後側輪止め検知器113L、右前輪前側輪止め検知器110R、右前輪後側輪止め検知器111R、右後輪前方輪止め検知器112Rおよび右後輪後側輪止め検知器113R)の他に、傾斜角度検知器101、伸長量検知器102、警報装置103および表示装置104を備えて構成されている。
傾斜角度検知器101は、水平面に対する車体2の傾斜角度(車体2の前後方向の傾斜角度)を検知する。ここで、例えば車体2が前上がり(頭上げ)になっている状態での傾斜角度は正の角度(プラスの角度)として検知し、車体2が前下がり(頭下げ)になっている状態での傾斜角度は負の角度(マイナスの角度)として検知し、その検知信号をコントローラ60に出力する。
伸長量検知器102は、各ジャッキ装置10(左フロントジャッキ10Lf、左リアジャッキ10Lr、右フロントジャッキ10Rfおよび右リアジャッキ10Rr)および各ジャッキ装置10に対応して設けられた各アウトリガ装置12の伸長量を検知する。より詳細には、各ジャッキ装置10については所定の伸長量になったか否かを検知し、各アウトリガ装置12については伸長した長さを検知し、それらの検知信号をコントローラ60へ出力する。
ここで、ジャッキ装置10の伸長量が所定の伸長量になったか否かを検知する方法としては、例えば、ジャッキベース10Bが接地したときにオンとなるリミットスイッチであってもよいし、ジャッキ装置10の伸長量を計測し、その計測値が少なくとも前輪用泥除け8fや後輪用泥除け8rの位置よりも低い位置までジャッキベース10Bが下降したことを示す値であったときに所定の伸長量になったことを示す信号を出力するようにしてもよい。この場合、伸長量検知器102からジャッキ装置10の伸長量の計測値をコントローラ60へ出力し、この計測値に基づいてコントローラ60において所定の伸長量になったか否かを判断してもよい。また、例えばジャッキ装置10が接地していない間は旋回台20やブーム30の作動を不可とする安全装置(インターロック)を高所作業車1が備えている場合は、この安全装置で用いられているジャッキ装置10が接地したことを示す信号を利用してもよい。
警報装置103は、警報ランプや警報ブザー等のように作業者に対して視覚的・聴覚的な警報を発生する。表示装置104は、車体2の傾斜方向(車体2が前上がりになっているか前下がりになっているか)に応じて、輪止め装置をタイヤ車輪5の前側に配置すべきか、後側に配置すべきかを表示する。表示装置104の表示内容については後に詳しく説明する。
コントローラ60は、図2に示すように、タイヤ車輪5に対して輪止め装置が適宜配置されているか否かを判断するための構成として、所定位置特定部62、配置判断部63および警報制御部64を備えて構成されている。所定位置特定部62は、アウトリガ装置12によってジャッキ装置10が車体2から張り出す方向へ移動したときに、伸長量検知器102から出力されたアウトリガ装置12の伸長量に基づいて、車体から張り出したジャッキ装置10のジャッキベース10Bに固定された輪止め検知器100によって輪止め装置を検知すべき方向と距離を算出する。
配置判断部63は、伸長量検知器102によってジャッキ装置10が所定の伸長量まで伸長したことが検知されると、輪止め検知器100からの画像信号に基づいて所定位置特定部62によって特定された適正領域(後述する)における輪止め装置の有無を検知し、この検知結果に基づいて輪止め装置が適正な位置に配置されているか否かを判断する。警報制御部64は、配置判断部63において輪止め装置が適正に配置されていないと判断された場合に警報装置103に警報作動させる。この警報作動には、作業装置(例えばジャッキ装置10、アウトリガ装置12、ブーム30、作業台40等)の作動を規制する作動も含む。
次に、本実施形態において配置の指示対象となる輪止め装置の構造について図3~図10を参照して説明する。以下では、説明の便宜上、図3~図10に示す輪止め装置70の長さ方向(差し込み方向)を「前後方向」、輪止め装置70の幅方向を「左右方向」、輪止め装置70の高さ方向を「上下方向」と定めるが、輪止め装置70の配置方向を特定するものではない。
輪止め装置70は、タイヤ車輪5の踏み面5tと駐車路面G(図4を参照)との間に差し込まれる輪止め部材71と、この輪止め部材71に設けられた可動式のハンドル90とを主体に構成されている。
輪止め部材71は、例えば合成樹脂材料(プラスチック材料)を用いて楔形状に形成されている。この輪止め部材71は、駐車路面に接地される底部をなす接地部72と、タイヤ車輪5に当接する車輪当接部73と、最上部を形成する頂部74と、接地部72と頂部74とを繋ぐ背面部75と、一対の側面部76とを有している。以下では、図4に示すよ
うに、輪止め装置70(輪止め部材71)の前後方向の向きとして、タイヤ車輪5の踏み面5tと駐車路面Gとの間に差し込まれる側(図中の左側)を「先端側」と呼称し、その反対側(図中の右側)を「基端側」と呼称する。
接地部72には、前後方向に沿って山部と谷部が連続的に形成されることで地面に対する滑り止めをなす滑り止め部72aが形成されている。車輪当接部73は、先端側から基端側に向けて高くなるとともに斜め上方に向けて凹となる湾曲面として形成されており、タイヤ車輪5の踏み面5tに当接可能に構成されている。なお、この車輪当接部73は、一部もしくは全てが傾斜面により形成されていてもよい。背面部75の下寄りの位置には、輪止め装置70を持ち運ぶ際などに作業者が把持する断面T字形の持ち手77が突出形成されている。また、この背面部75の上寄りの位置には、ハンドル90を支持するための立板状のブラケット部80が突出形成されている。
ブラケット部80には、図8に示すように、中空円筒状に形成されたボス部81と、このボス部81の左右斜め下方に形成された一対のストッパ部(第1ストッパ部82、第2ストッパ部83)と、ボス部81の左右側方に形成された一対の位置決め孔(第1位置決め孔84、第2位置決め孔85)とが設けられている。
ボス部81は、前後方向に延びる円筒状に形成され、その中心には挿通孔81aが貫通形成されている。この挿通孔81aには、ハンドル90の揺動軸となるボルト86のボルト軸部86aが挿通される。このボルト軸部86aの先端側には、このボルト軸部86aを挿通孔81aから抜け止めするためのナット(緩み止めナット)87が螺着されている。ストッパ部82,83は、前後方向に延びる角柱状に形成されており、その上面側にはハンドル90を当接させるための座面が形成されている。位置決め孔84,85は、ブラケット部80の表裏に貫通された貫通孔であり、後述のロックピン93bが係合可能(挿入可能)に構成されている。
ハンドル90は、ブラケット部80にボルト軸部86aを介して枢結されるL字状のハンドルアーム91と、このハンドルアーム91に固定されたグリップ98とを備えて構成される。ハンドルアーム91は、合成樹脂材料を用いて一体的に形成されている。このハンドルアーム91は、左右方向に延びるアーム基体部92と、このアーム基体部92の端部からほぼ垂直に屈曲して前後方向に延びるガイド部95とを有し、全体としてL字状に形成されている。アーム基体部92には、前後方向に貫通する連結孔92a(図9を参照)が形成されており、この連結孔92aにボルト軸部86aが挿通されている。このアーム基体部92の連結孔92aに挿通されたボルト軸部86aを揺動軸として、ハンドル90全体がブラケット部80に揺動自在に枢結される。また、アーム基体部92の略中央には、前後方向に貫通するネジ孔92b(図9を参照)が形成されており、このネジ孔92bにハンドル90の位置を固定するためのインデックスプランジャ93が螺着されている。
インデックスプランジャ93は、公知の機械要素であり、アーム基体部92に螺着されるボディ93aと、このボディ93aに摺動自在に設けられて各位置決め孔84,85に係合可能なロックピン93bと、このロックピン93bの基端部に設けられてロックピン93bを操作するためのノブ93cとを備えて構成されている。ロックピン93bは、ボディ93a内に内蔵された不図示のバネによって、このボディ93aから突出する方向(位置決め孔84,85に係合する方向)に常時付勢されている。このロックピン93bは、ノブ93cをバネの付勢力に抗して引き操作することで当該ロックピン93bの先端部をボディ93a内に引き込む退避位置と、ノブ93cを離して戻し操作することで当該ロックピン93bの先端部をバネの付勢力によってボディ93a内から突出させるロック位置との間で進退自在に構成されている。それにより、ロックピン93bは、ブラケット8
0に設けられたストッパ部82,83および位置決め孔84,85と協働して、ハンドル90を位置決めするとともに、ハンドル90の揺動可能な範囲を規制する。
ガイド部95は、輪止め部材71の差し込み方向と平行な方向(前後方向)に延びる平板状に形成されている。このガイド部95の内側面95aは、タイヤ車輪5の外側面(左右の側面のうち外側にくる方の側面)5aに当接可能に形成されており、タイヤ車輪5に輪止め装置70を設置するときの幅方向の位置決め部として機能する(詳細後述)。グリップ98は、ハンドル90の揺動時や、輪止め装置70の運搬時、設置時および撤去時などに作業者が把持する部分である。グリップ98の一端部はアーム基体部92に固定され、グリップ98の他端部はガイド部95に固定されている。このグリップ98とハンドルアーム91との間には、グリップ98を把持するときに手指を挿通可能な空隙99(図7を参照)が形成されている。
かかる構成のハンドル90は、ブラケット部80に設けられたボルト軸部86aを揺動軸として、アーム基体部92が第1ストッパ部82の上面に当接してガイド部95が輪止め部材71の幅方向の一方側の側方に配置される第1基準位置(図5を参照)と、アーム基体部92が第2ストッパ部83の上面に当接してガイド部95が輪止め部材71の幅方向の他方側の側方に配置される第2基準位置(図6を参照)との間で揺動自在に構成されている。ハンドル90が第1基準位置に揺動すると、インデックスプランジャ93のロックピン93bと第1位置決め孔84とが位置整合し、ノブ93cを操作してロックピン93bを第1位置決め孔84に係合させることで、ハンドル90が第1基準位置に固定される。ハンドル90が第2基準位置に揺動すると、インデックスプランジャ93のロックピン93bと第2位置決め孔85とが位置整合し、ノブ93cを操作してロックピン93bを第2位置決め孔85に係合させることで、ハンドル90が第2基準位置に固定される。このようにハンドル90を第1基準位置または第2基準位置に揺動させてインデックスプランジャ93により固定することで、ハンドル90を第1基準位置と第2基準位置とに選択的に配置することができる。
ここで、ハンドル90が第1基準位置または第2基準位置にある場合、ガイド部95の内側面95aが輪止め部材71の側面部76と平行な状態(左右方向に相対向する状態)に保持され、輪止め部材71の幅方向の中心位置からガイド部95の内側面95aまでの平面視の距離は、タイヤ車輪5の幅(タイヤ幅)の1/2とほぼ等しくなるように構成されている(図7を参照)。それにより、ハンドル90を第1基準位置または第2基準位置に揺動させた状態で、ガイド部95の内側面95aをタイヤ車輪5の外側面5aに当接させると(ガイド部95の内側面95aの位置とタイヤ車輪5の外側面5aの位置とが合致すると)、輪止め部材71の幅方向の中心がタイヤ車輪5の幅方向の中心と合致する適正な位置関係となる(輪止め部材71がタイヤ車輪5の幅方向の中心に位置決めされることになる)。なお、このときハンドル90は車体2の側面よりも外側に延在することになる。
次に、輪止め装置70を配置する手順について説明する。まず、輪止め装置70のハンドル90を揺動させて、このハンドル90を対象のタイヤ車輪5の配列位置(外側面5aの方位)に応じた揺動位置(第1基準位置または第2基準位置)に固定する。具体的には、ハンドル90のガイド部95がタイヤ車輪5の外側面5a(左側のタイヤ車輪5Lf,5Lrであれば左側面、右側のタイヤ車輪5Rf,5Rrであれば右側面)側にくるように、ハンドル90を第1基準位置または第2基準位置に選択的に揺動させる。こうしてハンドル90を第1基準位置または第2基準位置に揺動させた後、インデックスプランジャ93のノブ93cを操作して、ロックピン93bを対応する方の位置決め孔84,85に係合させることで、ハンドル90がその揺動位置に固定される。このように対象のタイヤ車輪5の外側面5aの方位に合わせてハンドル90の揺動位置(第1基準位置、第2基準
位置)を選択的に切り替えることで、輪止め装置70の設置作業を車体2の下方に潜り込むことなくタイヤ車輪5の外側(車体2の左右側方の位置)から容易な姿勢で行うことができるようになる。
続いて、輪止め装置70を対象のタイヤ車輪5の近傍(駐車路面)に配置して、輪止め部材71の先端部をタイヤ車輪5の踏み面5tに向けて指向させる。次いで、輪止め装置70のグリップ98を把持して、ガイド部95の内側面95aをタイヤ車輪5の外側面5aに当接させる。そして、そのままガイド部95をタイヤ車輪5の外側面5aに当接(摺接)させながら、輪止め部材71をタイヤ車輪5の踏み面5tと駐車路面との間に差し込む。それにより、輪止め装置70全体がタイヤ車輪5の外側面5a(ガイド部95とタイヤ車輪5との当接面)に沿って案内されて、輪止め部材71の幅方向の中心位置とタイヤ車輪5の幅方向の中心位置とが一致した状態で、輪止め部材71が左右に傾くことなくタイヤ車輪5の外側面5aに沿って平行に移動し、車輪当接部73がタイヤ車輪5の踏み面5tに当接することになる。このようにハンドル90のガイド部95がタイヤ車輪5の外側面5aに当接した状態で、輪止め部材71の車輪当接部73がタイヤ車輪5の踏み面5tに当接することで、輪止め装置70がタイヤ車輪5に対する適正位置(タイヤ車輪5の幅方向の中心)に設置される。なお、このときハンドル90は車体2の側面よりも外側に延在することになる。
なお、図1および図2に示した輪止め検知器100として光電センサやレーザーセンサを用いる場合、例えば図3~図7に示すようにガイド部95の先端側に形成された被検出体96に光の反射部材を付してもよい。これにより、光電センサやレーザーセンサの発光素子から出射された光を被検出体96に付された反射部材で反射し、その反射光を光電センサやレーザーセンサの受光素子で受光することで輪止め装置70の有無を検知することができる。
次に、上述した各種構成のうち特徴的なものについて以下に説明する。
<輪止め装置の検出制御>
(ジャッキ装置の伸長量に応じた輪止め装置の検知)
上述した構成における輪止め装置の検知は、高所作業車1が駐車しているときにジャッキ装置10の伸長量が所定の伸長量になると輪止め装置70の検知を行い、タイヤ車輪5に対して輪止め装置70が適正に配置されているか否かの判断を行う。以下、図11を参照してジャッキ装置10の伸長量に応じた輪止め装置70の検知について説明する。なお、以下では車体2の左側に設けられたタイヤ車輪5(左前輪5Lfおよび左後輪5Lr)とジャッキ装置10(左フロントジャッキ10Lfおよび左リアジャッキ10Lr)との作動について説明するが、車体2の右側に設けられたタイヤ車輪5(右前輪5Rfおよび右後輪5Rr)とジャッキ装置10(右フロントジャッキ10Rfおよび右リアジャッキ10Rr)においても同様に作動するものとする。また、図11における高所作業車1は、架装部に設置される支柱21、工具箱26、ブーム30、作業台40などの図示を省略している。
まず、図11(A)は、高所作業車1が駐車しており、左前輪5Lfの前側と後側とに各々輪止め装置70が配置され、また、左後輪5Lrの前側と後側にも各々輪止め装置70が配置されている状態を示している。ここで、左フロントジャッキ10Lfおよび左リアジャッキ10Lrはともに収納されている状態であり、各ジャッキ装置10のジャッキベース10Bが接地していないため、各輪止め検知器100(左前輪前側輪止め検知器110L、左前輪後側輪止め検知器111L、左後輪前方輪止め検知器112L及び左後輪後側輪止め検知器113L)は検知を行っていない状態になっている。
次に、作業者が図1に示した下部操作装置27を操作して各ジャッキ装置10を伸長作
動させ、やがて図11(B)に示すように、各ジャッキ装置10のジャッキベース10Bが接地すると、そのことが図2に示した伸長量検知器102によって検知される。これにより、コントローラ60は各輪止め検知器100を作動させ、各々対応するタイヤ車輪5に関する画像を取得させる。そして、配置判断部63は各輪止め検知器100から出力された画像信号に対して適宜画像処理を行い、輪止め装置70が配置されているか否かを判断する。
また、ジャッキベース10Bが接地した後、図11(C)に示すように、さらに各ジャッキ装置を伸長作動させ、車体2を持ち上げ支持している状態になった場合でも、ジャッキベース10Bが接地している間は、継続して各輪止め検知器100から各々対応するタイヤ車輪5に関する画像を取得させる。このように構成することで、車体2を持ち上げ支持するときだけなく、車体2が持ち上げ支持されている状態から地上に下降させるときにも輪止め装置の検知を行うことができる。
このように、輪止め検知器100の位置が、少なくとも前輪用泥除け8fや後輪用泥除け8rの位置よりも低い位置まで下降したときに輪止め検知器100からの画像信号に基づいて輪止め装置70の検知を行うため、図1に示した前輪用泥除け8fや後輪用泥除け8rなどの構造物によって輪止め検知器100による輪止め装置70の検知が遮られることが無い。また、輪止め検知器100の位置が、少なくとも前輪用泥除け8fや後輪用泥除け8rの位置よりも低い位置まで下降しなければ輪止め検知器100による輪止め装置70の検知が行われないため、前輪用泥除け8fや後輪用泥除け8rを輪止め装置70と誤認してしまう虞を少なくすることができる。
なお、上述した実施形態では、輪止め検知器100をジャッキベース10Bに固定していたが、これに限らず、例えばジャッキ装置10の下降に伴って、少なくとも前輪用泥除け8fや後輪用泥除け8rの位置よりも低い位置まで輪止め検知器100を下降させる昇降装置を別途設けてもよい。
(アウトリガ装置の伸長量に応じた検知方向の調整)
前述したように、輪止め検知器100は、ジャッキ装置10の先端部に設けられたジャッキベース10Bに固定されているため、アウトリガ装置12を伸長作動させてジャッキ装置10が車体2の幅方向に張り出した場合、輪止め検知器100とタイヤ車輪5との位置関係が変化する。このため、コントローラ60は、アウトリガ装置12の伸長量に応じてタイヤ車輪5に対して配置された輪止め装置70を検知する方向(以下、「検知方向」という。)を調整している。
以下、図12~図14を参照してアウトリガ装置12の伸長量に応じた検知方向の調整の内容について説明する。図12~図14において、図1および図2に示す各部と同じものについては同一の符号を付し、その詳しい説明を省略する。また、以下の説明では、右リアアウトリガ12Rrを伸長作動させた場合における検知方向の調整について説明するが、左フロントアウトリガ12Lf、左リアアウトリガ12Lrおよび右フロントアウトリガ12Rfを伸長作動させた場合にも同様の調整を行うものとする。
図12は車体2の後方部分を模式的に示した平面図である。この図において、左後輪5Lrおよび右後輪5Rrには、各々に対して適正領域pr(図12中、斜線のハッチングで示す領域)が予め定められている。この適正領域prは、タイヤ車輪5に対して輪止め装置70が適正な位置に配置されたとみなすことができる領域である。また、左リアアウトリガ12Lrが最も収縮しているときの左後輪後側輪止め検知器113Lにおける検知面(例えばカメラのレンズ表面)の中心点をlpとしたときに、中心点lpから車体2の前後方向と平行な方向に伸びる線上において適正領域pr内に適宜定めた点を検知ポイン
トdpとする。このとき、中心点lpと検知ポイントdpとの間の距離はdoとなってい
る。また、右リアアウトリガ12Rrが最も収縮しているときの右後輪後側輪止め検知器113Rにおける中心点lpと右後輪5Rr側の適正領域prに適宜定められた検知ポイントdpとの位置関係も同様になっている。
上述した前提のもと、例えば右リアアウトリガ12Rrを伸長作動させ、その伸長量がdotになったとする。この場合、検知ポイントdpと中心点lpとの間の距離dd(以下、「検知距離dd」という。)は、以下の(1)式によって算出できる。
dd=√(do2+dot2)……(1)
また、中心点lpを起点として車体2の前後方向と平行に伸びる線に対して、検知ポイントdpと中心点lpとを結ぶ線が成す角度θ(以下、「検知角度θ」という。)は、以下の(2)式によって算出できる。
θ=tan-1(dot/do)……(2)
したがって、所定位置特定部62は、伸長量検知部102から出力されたアウトリガ装置12の伸長量dotを示す検知信号に基づいて、上記の(1)式および(2)式により検知距離ddおよび検知角度θを算出する。また、コントローラ60は、所定位置特定部62によって算出された検知距離ddおよび検知角度θに基づいて輪止め検知器100による輪止め装置70の検知方向や検知距離を調整する。
例えば検知範囲が狭い検知器(例えば、画角が狭いカメラ)を輪止め検知器100として用いた場合、図13に示すように、検知方向を異ならせた複数の検知器をジャッキベース10Bに取り付け、アウトリガ装置12の伸長量に応じて使用する検知器を切り替えるようにする。すなわち、図13(A)に示すように、右リアアウトリガ12Rrが最も収縮しているときに、検出方向が右後輪5Rrの適正領域prに向いている収縮時用輪止め検知器113Raと、図13(B)に示すように、右リアアウトリガ12Rrが最も伸長しているときに、検出方向が右後輪5Rrの適正領域prに向いている伸長時用輪止め検知器113Rbとをジャッキベース10Bに設けておく。そして、右リアアウトリガ12Rrの伸長量に応じて、収縮時用輪止め検知器113Raと伸長時用輪止め検知器113Rbとを切り替えて使用する。
また、検知範囲が広い検知器(例えば、LiDAR(ライダー))を輪止め検知器100として用いた場合、図14に示すように、前述した検知距離ddおよび検知角度θに基づいて検知範囲DR内における適正領域prを特定し、特定した適正領域pr内に輪止め装置70があるか否かを判断する。すなわち、右リアアウトリガ12Rrが最も収縮しているときは、図14(A)に示すように、検知距離dd=do、検知角度θ=0(すなわ
ち車体2の前後方向に平行)の位置に輪止め装置70があるか否かを判断する。また、右リアアウトリガ12Rrが最も伸長しているときは、図14(B)に示すように、右リアアウトリガ12Rrの伸長量dotに応じて、前述した(1)式および(2)式によって算出される検知距離ddおよび検知角度θの位置に輪止め装置70があるか否かを判断する。
このように、アウトリガ装置12の伸長量に応じて検知方向や検知距離を調整することで、アウトリガ装置12の伸長作動によってタイヤ車輪5に対して配置された輪止め装置70と輪止め検知器100との位置関係が変化してしまった場合にも、的確に輪止め装置70の検知を行うことができ、配置判断部63において輪止め装置70が適正に配置されていると判断されなかったときは警報制御部64によって警報装置103を警報作動させることができる。
<輪止め装置の配置警告制御>
上述した輪止め装置の検知においては、図2に示した配置判断部63において、輪止め検知器100(左前輪前側輪止め検知器110L、左前輪後側輪止め検知器111L、左後輪前方輪止め検知器112L、左後輪後側輪止め検知器113L、右前輪前側輪止め検知器110R、右前輪後側輪止め検知器111R、右後輪前方輪止め検知器112Rおよび右後輪後側輪止め検知器113R)および傾斜角度検知器101の検知結果に基づいて、輪止め装置70の配置について以下に説明する第1段階から第3段階の判断を行っている。
(第1段階)
まず、配置判断部63は、傾斜角度検知器101によって検知された車体2の傾斜角度に基づいて、高所作業車1が駐車している路面が平坦ではないと判断した場合、各タイヤ車輪5に対して輪止め装置70が適切に配置されているか否かを判断する。ここで、路面が平坦ではないと判断する傾斜角度の範囲は、例えば検知された傾斜角度が±1度の範囲を超えた場合とする。配置判断部63が路面が平坦ではないと判断した場合、各輪止め検知器100の検知結果に基づいて、左前輪5Lf、左後輪5Lr、右前輪5Rfおよび右後輪5Rrについて、前側と後側に輪止め装置70が配置されているか否かを判断する。そして、2つ以上のタイヤ車輪5のうち少なくとも1つのタイヤ車輪5において、その前側にも後側にも輪止め装置70が配置されていないと配置判断部63が判断した場合、警報制御部64は警報装置103を警報作動させる。
ここで、高所作業車を平坦路に駐車した場合は、後輪の前側と後側とにそれぞれ輪止め装置を配置することが一般に行われていた。一方、高所作業車を傾斜路に駐車した場合は、坂下側の車輪に輪止め装置を配置することが好ましい。したがって、車体の傾斜角度が1度をわずかに超える程度の緩やかな傾斜路では、作業者が平坦路だと思って輪止め装置を後輪の前側と後側とにそれぞれ配置し、前輪に対して輪止め装置を配置しない虞がある。そこで、上述した輪止め装置の配置警告制御においては、高所作業車1が緩やかな傾斜路に駐車している場合に、少なくとも1つのタイヤ車輪5において、その前側にも後側にも輪止め装置70が配置されていないと判断したときは、警報装置103を警報作動させている。すなわち、高所作業車がわずかな角度の傾斜路に駐車した場合、作業者が平坦路と判断し、後輪の前側および後側に輪止め装置を配置することで逸走を防止できると考えているところに、上述した警報作動を行うことにより、高所作業車が傾斜路に駐車しており、前輪の坂下側にも輪止め装置を配置すべきことを気づかせることができる。
(第2段階)
次に、配置判断部63は、車体2の傾斜角度が所定角度範囲(例えば±1度)を越えている場合、左前輪5Lf、左後輪5Lr、右前輪5Rfおよび右後輪5Rrの各タイヤ車輪5について、輪止め装置70が前側に配置されているのか、後側に配置されているのか(「配置の向き」ともいう。)を判断する。そして、少なくとも1つのタイヤ車輪5に対する輪止め装置70の配置の向きが、他のタイヤ車輪5に対する輪止め装置70の配置の向きと異なっていた場合は、警報装置103を警報作動させる。
ここで、例えば上述した第1段階の判断において警報装置103が警報作動したことにより、作業者がすべてのタイヤ車輪5に輪止め装置70を配置したとしても、車体2の傾斜角度がわずかであると、車体2が前下がりになっているか前上がりになっているかの判断が困難になり、作業者は輪止め装置を左右の車輪に対して異なる向きに配置してしまう虞がある。したがって、上述した第2段階の判断結果に基づいて警報装置103を警報作動することで、すべての輪止め装置70の配置の向きを一致させる必要があることを作業者に知らせることができる。
(第3段階)
さらに配置判断部63は、車体2の傾斜角度が所定角度範囲(例えば±1度)を越えている場合、左前輪5Lf、左後輪5Lr、右前輪5Rfおよび右後輪5Rrの各タイヤ車輪5について、車体2の傾斜方向に応じて輪止め装置70が適正に配置されているか否かを判断する。ここで配置判断部63は、輪止め装置70の適正な配置(以下、「適正配置」という。)として、車体2が前下がりに傾斜している場合はタイヤ車輪5の前側に配置すること、および車体2が前上がりに傾斜している場合はタイヤ車輪5の後側に配置することを予め記憶している。そして、記憶している適正配置に基づいて、左前輪5Lf、左後輪5Lr、右前輪5Rfおよび右後輪5Rrの各タイヤ車輪5に対する輪止め装置70の配置が、適正配置であるか否かを判断する。その結果、全てのタイヤ車輪5に対する輪止め装置70の配置が適正配置ではないと判断した場合は、警報装置103を警報作動させる。
このように、第3段階の判断を行うことで、例えば上述した第2段階の判断において警報装置103が警報作動したことにより、作業者がすべてのタイヤ車輪5に対する輪止め装置70の配置の向きを揃えたとしても、その配置の向きが適正でなかった場合は、そのことを作業者に知らせることができる。これにより、作業者はすべての車輪に対する輪止め装置の配置の向きを逆にする(タイヤ車輪5の前側に配置していた場合は後側に配置し、後側に配置していた場合は前側に配置する)ことで、すべての車輪に対する輪止め装置の配置を適正な配置にすることができる。
なお、上述した第1段階から第3段階の判断のうち、いずれか1つの判断だけを行ってもよいし、少なくとも2つの判断を組み合わせて行ってもよい。また、複数の判断を組み合わせて行う場合は、各判断結果に基づく警報装置103の警報作動の態様(例えば警報ランプの点滅間隔や警報音の種類や発生間隔など)を異ならせてもよい。また、上述した第1段階から第3段階の判断を行うにあたり、車体2の底部において、図1に示した前輪用泥除け8fや後輪用泥除け8rによって輪止め検知器100による輪止め装置70の検知が妨げられない位置があれば、その位置に輪止め検知器100を取り付ければよく、輪止め検知器100を必ずしもジャッキベース10Bに固定する必要はない。
<車体の傾斜方向に応じた適正配置の表示>
配置判断部63は、前述した第3段階の判断において車体2の傾斜方向に応じて輪止め装置70の配置が適正配置であるか否かを判断していたが、本実施形態の輪止め配置指示装置では、この適正配置を作業者に対して表示している。以下、図15および図16を参照して適正配置の表示態様について説明する。
図15は、作業者に対して適正配置を表示するベースとなる表示態様を示す図である。この図に示す適正配置の表示態様では、車体2の平面図を模式的に表した図形上に、適正配置を示すための表示を行っている。すなわち、車体2の運転キャビン7を模式的に表すキャビン表示領域CB内に、左前輪5Lfの前側が輪止め装置70の適正配置であることを示す適正配置表示領域FLfと、左前輪5Lfの後側が輪止め装置70の適正配置であることを示す適正配置表示領域FLrと、右前輪5Rfの前側が輪止め装置70の適正配置であることを示す適正配置表示領域FRfと、右前輪5Rfの後側が輪止め装置70の適正配置であることを示す適正配置表示領域FRrと、が定められている。
また、車体2の架装部を模式的に表す架装部表示領域AC内に、左後輪5Lrの前側が輪止め装置70の適正配置であることを示す適正配置表示領域RLfと、左後輪5Lrの後側が輪止め装置70の適正配置であることを示す適正配置表示領域RLrと、右後輪5Rfの前側が輪止め装置70の適正配置であることを示す適正配置表示領域RRfと、右後輪5Rfの後側が輪止め装置70の適正配置であることを示す適正配置表示領域RRr
と、が定められている。
なお、適正配置の表示は、上述した各表示領域を示す画像を液晶表示器などの画像表示装置に表示してもよいし、例えば表示器のパネル面にキャビン表示領域CBと架装部表示領域ACを示す枠線を描き、各適正配置表示領域の位置にランプを設けてそのランプを点灯させることで適正配置を表してもよい。本実施形態においては図2に示した表示装置104が液晶表示器であり、当該液晶表示器に上述した各表示領域を示す画像を表示する。
コントローラ60内の図示せぬメモリには、車体2の傾斜方向に応じた適正配置を示す適正配置情報が記憶されている。この適正配置情報には、第1適正配置情報、第2適正配置情報および第3適正配置情報の3種類がある。第1適正配置情報は各タイヤ車輪5の前側に輪止め装置70を配置することが適正配置であることを示す適正配置情報である。第2適正配置情報は各タイヤ車輪5の後側に輪止め装置70を配置することが適正配置であることを示す適正配置情報である。第3適正配置情報は各タイヤ車輪5の前側および後側の双方に配置することが適正配置であることを示す適正配置情報である。
これにより、コントローラ60は、傾斜角度検知器101によって検知された車体2の傾斜角度が所定角度範囲を越え、かつ、傾斜角度を示す値の符号がマイナス(車体2が前下がり)だった場合は、メモリに記憶されている適正配置情報のうち第1適正配置情報を参照する。ここで、上述した所定角度範囲は平坦路とみなすことができる角度範囲であり、この角度範囲を超えると傾斜路とみなす。本実施形態では所定角度範囲を±1度としている。そして、第1適正配置情報は各タイヤ車輪5の前側に輪止め装置70を配置することが適正配置であることを示していることから、図16(A)に示すように、適正配置表示領域FLf、FRf、RLfおよびRRfを各々赤く表示する。なお、図16(A)~(C’)において、適正配置表示領域の赤い表示をグレーで示している。
また、コントローラ60は、傾斜角度検知器101によって検知された車体2の傾斜角度が所定角度範囲を越え、かつ、傾斜角度を示す値の符号がプラス(車体2が前上がり)だった場合は、メモリに記憶されている適正配置情報のうち第2適正配置情報を参照する。そして、第2適正配置情報は各タイヤ車輪5の後側に輪止め装置70を配置することが適正配置であることを示していることから、図16(B)に示すように、適正配置表示領域FLr、FRr、RLrおよびRRrを各々赤く表示する。
さらにコントローラ60は、傾斜角度検知器101によって検知された車体2の傾斜角度が所定角度範囲以内であった場合は、傾斜角度を示す値の符号に関わらず、メモリに記憶されている適正配置情報のうち第3適正配置情報を参照する。そして、第3適正配置情報はタイヤ車輪5の前側および後側の双方に輪止め装置70を配置することが適正配置であることを示していることから、図16(C)に示すように、適正配置表示領域RLf、RLr、RRfおよびRRrを各々赤く表示する。
なお、コントローラ60が第3適正配置情報に基づく適正配置の表示を行う場合、図16(C’)に示すように、適正配置表示領域FLf、FLr、FRfおよびFRrを各々赤く表示してもよい。
これにより、作業者は路面を見ただけでは平坦になっているのか傾斜しているのか判別がつかないような緩やかな傾斜面であっても、表示装置104に表示されている各適正配置表示領域のうち、赤く表示されている適正配置表示領域に対応するタイヤ車輪5の位置(前側または後側)に輪止め装置70を配置することで、高所作業車1の逸走を確実に防止することができる。
なお、コントローラ60は、傾斜角度検知器101によって検知された車体2の傾斜角度が所定角度範囲を越え、かつ、傾斜角度を示す値の符号がプラス(車体2が前上がり)だった場合は、左前輪後側輪止め検知器111Lおよび右前輪後側輪止め検知器111Rから出力された検知信号に基づいて、左前輪5Lfおよび右前輪5Rfの各後側に輪止め装置70が配置されているか否かを判断し、配置されていると判断されなかった場合は、警報装置103を警報作動させるようにしてもよい。
ここで、車体2の傾斜方向が前上がりとなる傾斜路に高所作業車1を駐車し、ジャッキ装置10により車体2を持ち上げ支持した場合において、例えば車体2を再び傾斜路に降ろす際にパーキングブレーキによって制動されている後輪よりも先に、何ら制動されていない前輪を接地させてしまうと高所作業車1が逸走してしまう虞がある。したがって、車体2が前上がりになっている状態で駐車しているときは、上述したように、特に左前輪5Lfおよび右前輪5Rfの各々の後側に輪止め装置70が配置されているか否かの検知を行うことが肝要である。
なお、上記実施形態では、トラックマウント式の高所作業車に搭載される場合について例示して説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、クレーン車などの他の作業車両や、ダンプトラックなどの運搬車両等に適用してもよい。また、上記実施形態では、電気駆動型(バッテリ駆動型)の高所作業車を例示して説明したが、これに限定されるものではなく、エンジンの動力をPTO機構(パワーテイクオフ機構)によって取り出して油圧ポンプを駆動するPTO駆動型の高所作業車や、その両者を具備して動力源を選択的に切り替えるハイブリッド型の高所作業車であってもよい。