JP7841954B2 - アルミニウム用熱間圧延クーラント及びアルミニウム圧延板の製造方法 - Google Patents

アルミニウム用熱間圧延クーラント及びアルミニウム圧延板の製造方法

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Description

本発明は、アルミニウム用熱間圧延クーラント及びアルミニウム圧延板の製造方法に関する。
アルミニウム材(アルミニウム及びアルミニウム合金を含む。以下同じ。)の熱間圧延においては、アルミニウム材と圧延ロールとの潤滑性の確保や、アルミニウム材及び圧延ロールの冷却等を目的として、アルミニウム用熱間圧延クーラントが使用されている。クーラントは、通常、アルミニウム用熱間圧延油が水中に分散された、水中油滴型のエマルションである。
アルミニウム用熱間圧延油には、アルミニウム材と圧延ロールとの間に油膜を形成し、摩擦を低減するための油性剤や水中に熱間圧延油の油滴を形成するための乳化剤、油性剤を溶解させるための鉱油等が含まれている。例えば特許文献1には、天然油脂および/または合成エステルからなる油性剤20~70%(質量%、以下同じ)、ポリエチレングリコール型非イオン界面活性剤0.5~2.5%、脂肪酸3~10%、トリエタノールアミン0.1~0.9%を含有し、残部精製鉱油からなることを特徴とするアルミニウム用熱間圧延油が記載されている。
特開平8-183987号公報
しかし、従来のアルミニウム用熱間圧延クーラントは、アルミニウム材及び圧延ロールの冷却性の点でいまだ改善の余地がある。アルミニウム用熱間圧延クーラントの熱伝達係数を高め、熱間圧延中にアルミニウム材の表面をより効率よく冷却することにより、アルミニウム材の表面に形成される欠陥の低減が期待できる。
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたものであり、高い熱伝達係数を有するアルミニウム用熱間圧延クーラント及びこのクーラントを用いたアルミニウム圧延板の製造方法を提供しようとするものである。
本発明の一態様は、アルミニウム用熱間圧延油が水中に分散された水中油滴型エマルションからなるアルミニウム用熱間圧延クーラントであって、
前記アルミニウム用熱間圧延油が、
鉱油と、
15質量%以上25質量%以下の油性剤と、
6質量%以上12質量%以下の遊離脂肪酸と、
2質量%以上6質量%以下の非イオン性乳化剤と、を含有し、
前記油性剤は、天然油脂及び合成エステルからなる群より選択される1種または2種以上の物質であり、
前記熱間圧延油の40℃における動粘度が80mm /秒以上200mm /秒以下であり、
前記クーラントのNa濃度が8mg/dm以上80mg/dm以下であり、
前記クーラントの25℃における導電率σ(単位:μS/cm)と、前記Na濃度[Na](単位:mg/dm)とが下記式(1)の関係を満たす、アルミニウム用熱間圧延クーラントにある。
400≦σ-3.25[Na]≦1200 ・・・(1)
本発明の他の態様は、前記の態様のアルミニウム用熱間圧延クーラントを用いてアルミニウム材の熱間圧延を行う熱間圧延工程を有する、アルミニウム圧延板の製造方法にある。
前記アルミニウム用熱間圧延クーラント(以下、「クーラント」という。)は、前記特定の範囲のNa濃度を有するとともに、25℃における導電率σとNa濃度とが前記式(1)の関係を満たしている。かかるクーラントは、高い熱伝達係数を有しており、熱間圧延時にアルミニウム材の表面を効率よく冷却することができる。
また、前記アルミニウム圧延板の製造方法においては、前記クーラントを用いてアルミニウム材の熱間圧延が行われる。そのため、熱間圧延中のアルミニウム材の表面における欠陥の発生を抑制し、良好な表面品質を有するアルミニウム圧延板を容易に得ることができる。
以上のように、前記の態様によれば、高い熱伝達係数を有するアルミニウム用熱間圧延クーラント及びこのクーラントを用いたアルミニウム圧延板の製造方法を提供することができる。
図1は、実施例におけるクーラントの熱伝達係数の測定に用いる試験体の斜視図である。 図2は、実施例におけるクーラントの熱伝達係数の測定方法の説明図である。 図3は、実施例におけるクーラントの熱伝達係数の測定結果を示す説明図である。 図4は、実施例における動摩擦係数の測定方法の説明図である。 図5は、実施例における板面残油量の測定結果を示す説明図である。
(アルミニウム用熱間圧延クーラント)
前記クーラントは、水中にアルミニウム用熱間圧延油(以下、「熱間圧延油」という。)の油滴が分散した水中油滴型のエマルションから構成されている。前記クーラントにおける前記熱間圧延油の含有量は、例えば4体積%以上9体積%以下の範囲であればよい。クーラント中の熱間圧延油の含有量を4体積%以上、好ましくは5体積%以上とすることにより、プレートアウト量、つまり、クーラントと圧延ロールとが接触した際に圧延ロールに付着する熱間圧延油の量を適度に多くすることができる。
一方、クーラント中の熱間圧延油の含有量が過度に多くなると、クーラント中の水分の比率が相対的に低下し、クーラントの熱伝達係数の低下を招くおそれがある。また、クーラント中の熱間圧延油の含有量が過度に多くなると、熱間圧延に用いた使用済みクーラントを再生する際に、使用済みクーラントから取り除かれる廃熱間圧延油の量が多くなり、アルミニウム圧延板の製造コストの増大を招くおそれがある。前記クーラントにおける前記熱間圧延油の含有量を好ましくは4体積%以上9体積%以下、より好ましくは5体積%以上9体積%以下とすることにより、アルミニウム圧延板の製造コストの増大を回避しつつ、熱間圧延時の潤滑性及び冷却性を高めることができる。
前記クーラント中に分散した熱間圧延油の油滴の体積平均粒径は1μm以上7μm以下であることが好ましい。これにより、熱間圧延時の潤滑性を適度に高めるとともに、エマルションを安定化させることができる。
上述した油滴の体積平均粒径は、レーザ回折/散乱法により得られた体積基準での粒度分布における累積中位径である。油滴の体積平均粒径の測定には、レーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置(例えば、株式会社堀場製作所製「LA-950」)を用いることができる。
前記クーラントのNa濃度は8mg/dm以上80mg/dm以下であり、かつ、前記クーラントの25℃における導電率σ(単位:μS/cm)と、前記Na濃度[Na](単位:mg/dm)とは下記式(1)の関係を満たしている。
400≦σ-3.25[Na]≦1200 ・・・(1)
前記クーラントは、25℃における導電率σとNa濃度とが前記特定の関係を満たすことにより、熱伝達係数を高めることができ、熱間圧延時においてアルミニウム材の表面を効率よく冷却することができる。熱間圧延時にアルミニウム材の表面の温度を低下させると、アルミニウム材と圧延ロールとの間に形成される油膜が破断しにくくなる。その結果、アルミニウム材と圧延ロールとの摩擦を低減し、アルミニウム材の表面への欠陥の形成を抑制することができる。
前記式(1)を満たすクーラントが高い熱伝達係数を有する理由は現時点では必ずしも明確ではないが、例えば以下のような理由が考えられる。すなわち、クーラント中には、例えば、非イオン性乳化剤等の水溶性成分が含まれている。また、熱間圧延中に熱間圧延油中の成分が化学反応によって変化し、水溶性成分が生じることもある。クーラント中の水溶性成分の総量が増加すると、クーラント中の水の沸点が上昇し、アルミニウム材や圧延ロールの表面とクーラントとが接触した状態が維持されやすくなると考えられる。そして、液状のクーラントがアルミニウム材や圧延ロールの熱を効率よく奪うことにより、アルミニウム材や圧延ロールを効率よく冷却することが可能になると考えられる。
クーラント中の水溶性成分の含有量は、クーラントの導電率σと関係があり、前述した水溶性成分の含有量が多くなると導電率σが高くなる傾向がある。一方、クーラントの導電率σは、クーラント中のナトリウムイオンの量とも関係があるため、導電率σを水溶性成分の含有量の指標とするためには、クーラントの導電率σからナトリウムイオンの影響を除く必要がある。
以上の考え方に基づき、前記式(1)においては、クーラントの導電率σから、ナトリウムイオンの寄与分である3.25[Na]を差し引いたσ-3.25[Na]の値の範囲を特定した。Naの濃度が前記特定の範囲内であり、かつ、σ-3.25[Na]の値が400以上1200以下であるクーラントは、水溶性成分の含有量を適度に含有していると推定される。そして、かかるクーラントは、熱間圧延時における水の蒸発が適度に抑制される結果、高い熱伝達係数を示すと考えられる。
前記クーラント中のNaの濃度が8mg/dm未満の場合、または80mg/dmを超える場合には、クーラントの熱伝達係数の低下を招くおそれがある。これは、Naの濃度による導電率σの補正が不十分、または過剰となり、σ-3.25[Na]の値とクーラント中の水溶性成分の量との乖離が大きくなるためと考えられる。
また、前記クーラントにおけるσ-3.25[Na]の値が400未満の場合、または1200を超える場合にも、クーラントの熱伝達係数の低下を招くおそれがある。これは、クーラント中に含まれる水溶性成分の量が不足または過剰となるためと考えられる。
クーラントの熱伝達係数をより高める観点からは、前記クーラントにおけるσ-3.25[Na]の値は450以上1000以下であることが好ましい。
また、前記クーラントにおけるσ-3.25[Na]の値は、800以下であることが好ましい。この場合には、クーラントの熱伝達係数を向上させるとともに、熱間圧延後のアルミニウム圧延板の表面に付着する熱間圧延油の量を低減することができる。アルミニウム圧延板は、熱間圧延が完了した後、コイル状に巻き取られて次の工程まで保管される。この際、アルミニウム圧延板に過剰に熱間圧延油が付着していると、コイルにおいて巻回されたアルミニウム圧延板がほどけ、コイルが変形しやすくなる。前記クーラントにおけるσ-3.25[Na]の値を800以下とすることにより、かかる問題をより容易に回避することができる。
次に、前記クーラントに含まれる成分について説明する。
(熱間圧延油)
前記クーラントに含まれる熱間圧延油は、鉱油と、油性剤と、遊離脂肪酸と、非イオン性乳化剤と、を含んでいる。以下、熱間圧延油に含まれる成分及び熱間圧延油の特性について、詳細に説明する。
・鉱油
熱間圧延油には鉱油が含まれている。鉱油は熱間圧延油の基本となる成分であり、主に、油性剤を溶解させる溶媒としての機能を有している。熱間圧延油に含まれる鉱油としては、ナフテン系精製鉱油、パラフィン系精製鉱油及び芳香族系精製鉱油等の精製鉱油を使用することができる。より具体的には、精製鉱油としては、例えば、SUN40N、SUN100N、SUN500N、SUN2400N、SUNPAR(登録商標)110、SUNPAR115、SUNPAR150(以上、日本サン石油株式会社);SNH-95、SNH-220(以上、三共油化工業株式会社)、NCL-100、NCL-210(以上、谷口石油株式会社);E.P.X-1(富士興産株式会社)等を使用することができる。熱間圧延油中には、1種類の鉱油が含まれていてもよく、2種類以上の鉱油が含まれていてもよい。
熱間圧延油中の鉱油の含有量は、例えば40質量%以上70質量%以下の範囲から適宜設定することができる。鉱油の含有量を前記特定の範囲とすることにより、所望の潤滑性を容易に確保することができる。
・油性剤
熱間圧延油には、天然油脂及び合成エステルからなる群より選択される1種または2種以上の物質からなる油性剤が含まれている。油性剤は、熱間圧延中にアルミニウム材と圧延ロールとの間に油膜を形成し、アルミニウム材と圧延ロールとの摩擦を低減する作用を有している。
天然油脂としては、脂肪酸とグリセリンとのエステルを主成分とする植物油および動物油等を使用することができる。より具体的には、例えば、ハイリノールサフラワー油、ハイオレイックサフラワー油、大豆油、ハイエルシック菜種油、ローエルシック菜種油、パーム油、パーム核油、綿実油、ヤシ油、米糠油、ゴマ油、ヒマシ油、亜麻仁油、オリーブ油、桐油、椿油、落花生油、カポック油、カカオ油、木蝋、ヒマワリ油、コーン油、豚脂、牛脂等を天然油脂として使用することができる。これらの中でも、天然油脂としては、豚脂、牛脂、菜種油及びパーム油からなる群より選択される1種または2種以上の油脂を使用することが好ましい。
合成エステルとしては、アルコールとカルボン酸との縮合反応によって得られるカルボン酸エステルを使用することができる。前記縮合反応に供するカルボン酸としては、飽和脂肪酸及び不飽和脂肪酸からなる群より選ばれる1種または2種以上の化合物を採用することができる。これらの化合物における炭化水素鎖の構造は、直鎖構造、分岐鎖構造または環状構造のいずれであってもよい。また、カルボン酸は一塩基酸であってもよいし、二塩基酸であってもよい。さらに、カルボン酸は、3つ以上の電離可能なプロトンを備えた多塩基酸であってもよい。
より具体的には、カルボン酸としては、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキジン酸、エイコセン酸、ベヘン酸、エルカ酸等を使用することができる。
前記縮合反応に供するアルコールは、1価アルコールであってもよく、多価アルコールであってもよい。1価アルコールとしては、例えば、ブタノール、2-エチルヘキサノール等を使用することができる。多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等を採用することができる。
アルコールとして多価アルコールを用いる場合、合成エステルは、多価アルコールの全ての水酸基がエステル化されたフルエステルであってもよく、多価アルコールの一部の水酸基がエステル化された部分エステルであってもよい。
より具体的には、合成エステルとしては、ステアリン酸ブチルエステル、オレイン酸ブチル、パルミチン酸ブチル、ステアリン酸2-エチルヘキシル、オレイン酸2-エチルヘキシル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、ペンタエリスリトールジオレイン酸エステル、トリメチロールプロパンジオレイン酸エステル、トリメチロールプロパントリパルミチン酸エステル、トリメチロールプロパントリステアリン酸エステル、トリメチロールプロパントリオレイン酸エステル、ペンタエリスリトールテトララウリン酸エステル、ペンタエリスリトールテトラミリスチン酸エステル、ペンタエリスリトールテトラパルミチン酸エステル、ペンタエリスリトールテトラステアリン酸エステル、ペンタエリスリトールテトラオレイン酸エステル、ペンタエリスリトールトリステアリン酸エステル、ペンタエリスリトールトリオレイン酸エステルを好適に用いることができる。
熱間圧延油中の油性剤の含有量は、例えば15質量%以上25質量%以下の範囲から適宜設定することができる。油性剤の含有量を前記特定の範囲とすることにより、アルミニウム材と圧延ロールとの間に形成される油膜の厚みを適度に厚くし、アルミニウム材と圧延ロールとの摩擦をより低減するとともに、アルミニウム圧延板を巻回してなるコイルの変形をより効果的に抑制することができる。
・遊離脂肪酸
熱間圧延油には、遊離脂肪酸、つまり、アルミニウムイオンや鉄イオン等の金属イオンやトリエタノールアミンやジエタノールアミン等のアルカノールアミン及びその他の塩基との塩を形成していない脂肪酸が含まれている。遊離脂肪酸は、油性剤とともに熱間圧延中にアルミニウム材と圧延ロールとの間に油膜を形成し、アルミニウム材と圧延ロールとの摩擦を低減する作用を有している。
遊離脂肪酸としては、炭素数12~20の脂肪酸からなる群より選択される1種または2種以上の脂肪酸を使用することができる。遊離脂肪酸の炭素数を12以上とすることにより、アルミニウム材と圧延ロールとの間に形成される油膜がより破断しにくくなり、アルミニウム材と圧延ロールとの摩擦をより低減することができる。また、遊離脂肪酸の炭素数を20以下とすることにより、遊離脂肪酸を前記熱間圧延油中に容易に溶解させることができる。
遊離脂肪酸は、飽和脂肪酸であってもよいし、不飽和脂肪酸であってもよい。また、遊離脂肪酸における炭化水素鎖の構造は、直鎖構造、分岐鎖構造または環状構造のいずれであってもよい。より具体的には、遊離脂肪酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エイコセン酸等を使用することができる。
熱間圧延油中の遊離脂肪酸の含有量は、例えば6質量%以上12質量%以下の範囲から適宜設定することができる。遊離脂肪酸の含有量を前記特定の範囲とすることにより、所望の潤滑性を容易に確保するとともに、熱間圧延によるクーラントの導電率の変動をより低減することができる。
・非イオン性乳化剤
熱間圧延油中には、非イオン性乳化剤が含まれている。非イオン性乳化剤は、クーラントを構成するエマルションの乳化安定性を高め、熱間圧延油が水中に分散した状態を維持する作用を有している。熱間圧延油中には、1種類の非イオン性乳化剤が含まれていてもよく、2種類以上の非イオン性乳化剤が含まれていてもよい。
非イオン性乳化剤としては、例えば、ポリオキシアルキレン分岐デシルエーテル、ポリオキシエチレントリデシルエーテル、ポリオキシアルキレントリデシルエーテル、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレンイソデシルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシアルキレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンオレイルセチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル等のポリオキシアルキレン系非イオン性界面活性剤を使用することができる。
熱間圧延油中の非イオン性乳化剤の含有量は、例えば2質量%以上6質量%以下の範囲から適宜設定することができる。非イオン性乳化剤の含有量を前記特定の範囲とすることにより、クーラントの乳化安定性を調節し、プレートアウト量をより多くするとともに、熱間圧延によるクーラントの導電率の変動をより低減することができる。
・その他の添加剤
熱間圧延油中には、更に、アルミニウム材と圧延ロールとの摩擦をより低減するための脂肪酸アルカノールアミン塩、熱間圧延油の酸化を抑制するための酸化防止剤、熱間圧延油の腐敗を抑制するための防腐剤、圧延時の潤滑性を向上するための極圧剤、アルミニウム圧延板の表面における錆の発生を抑制するための防錆剤等が含まれていてもよい。
脂肪酸アルカノールアミン塩は、予め脂肪酸アルカノールアミン塩の形態で熱間圧延油中に添加されていてもよい。また、脂肪酸とアルカノールアミンとを熱間圧延油中に添加し、熱間圧延油中において脂肪酸とアルカノールアミンとの反応によって脂肪酸アルカノールアミン塩を形成することもできる。脂肪酸アルカノールアミン塩を構成する脂肪酸としては、前述した遊離脂肪酸と同様の脂肪酸を使用することができる。また、脂肪酸アルカノールアミン塩を構成するアルカノールアミンとしては、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、エチルジエタノールアミン、プロピルジエタノールアミン、ブチルジエタノールアミン、エタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、ジプロピルエタノールアミン、ジブチルエタノールアミン等を使用することができる。
酸化防止剤としては、例えば、アルキルフェノール類、芳香族アミン類、硫化油脂及び硫化オレフィン等の硫黄化合物等を用いることができる。防腐剤としては、例えば、フェノール系化合物、ホルムアルデヒド供与体化合物、サルチルアニリド系化合物等を用いることができる。極圧剤としては、例えば、トリクレジルフォスフェート及びジラウリル水素化ホスファイト等のリン化合物、硫化油脂及び硫化オレフィン等の硫黄化合物等を用いることができる。防錆剤としては、例えば、ベンゾトリアゾールやトリルトリアゾール等のアゾール化合物を用いることができる。
・粘度
熱間圧延油の粘度特性は特に限定されるものではないが、例えば、40℃における熱間圧延油の動粘度は80mm/秒以上200mm/秒以下の範囲内であってもよい。この場合には、アルミニウム材と圧延ロールとの間に形成される油膜の厚みを適度に厚くし、アルミニウム材と圧延ロールとの摩擦をより低減するとともに、アルミニウム圧延板を巻回してなるコイルの変形をより効果的に抑制することができる。かかる作用効果をより確実に得る観点からは、40℃における動粘度は130mm/秒以上185mm/秒以下であることがより好ましい。
前記クーラントの熱伝達係数を高めつつ、熱間圧延時におけるアルミニウム材と圧延ロールとの摩擦をさらに低減する観点からは、前記熱間圧延油は、
鉱油と、
15質量%以上25質量%以下の油性剤と、
6質量%以上12質量%以下の脂肪酸と、
2質量%以上6質量%以下の非イオン性乳化剤と、を含有し、
前記油性剤は、天然油脂及び合成エステルからなる群より選択される1種または2種以上の物質であり、
前記熱間圧延油の40℃における動粘度が80mm/秒以上200mm/秒以下であることが好ましい。
(アルミニウム圧延板の製造方法)
前記アルミニウム圧延板の製造方法は、前記クーラントを用いてアルミニウム材の熱間圧延を行う熱間圧延工程を有している。前記アルミニウム圧延板の製造方法は、熱間圧延工程に加え、熱間圧延前のアルミニウム圧延板を加熱して均質化する均質化工程、熱間圧延後のアルミニウム圧延板に冷間圧延を行う冷間圧延工程、冷間圧延の途中及び/または冷間圧延後にアルミニウム圧延板を加熱して焼鈍する焼鈍工程、アルミニウム圧延板中の析出物や晶出物をAl母相に固溶させる溶体化処理工程、アルミニウム圧延板に時効処理を施す時効処理工程等をさらに有していてもよい。また、これらの各工程における製造条件は、アルミニウム材の化学成分及び所望するアルミニウム圧延板の質別や強度等に応じて適宜設定すればよい。
前記アルミニウム圧延板の製造方法は、前記熱間圧延工程において使用された前記クーラントを回収する回収工程と、
前記回収工程において回収された前記クーラントのNaの濃度を8mg/dm以上80mg/dm以下に調整するとともに、前記式(1)を満たすように導電率σを調整する再生工程と、
前記再生工程が完了した後の前記クーラントを前記熱間圧延に用いられる圧延ロールに供給する供給工程と、をさらに有していてもよい。
熱間圧延に使用したクーラントを再利用する場合、熱間圧延時に生じた水溶性成分がクーラント中に蓄積することがある。そして、クーラント中の水溶性成分の量が過度に多くなると、前述したように、クーラントの熱伝達係数の低下を招き、アルミニウム圧延板及び圧延ロールの冷却が不十分となるおそれがある。これに対し、前記再生工程においてNaの濃度及び導電率σを前記特定の範囲に調整した後、調整後のクーラントを再び熱間圧延に用いることにより、前記クーラントを繰り返し利用する場合においても熱間圧延時のアルミニウム材及び圧延ロールの冷却性及び潤滑性を高めることができる。
前記再生工程の具体的な態様は特に限定されることはなく、回収工程において回収された使用済みクーラントのNa濃度及び導電率σを前記特定の範囲とすることができれば、どのような態様であってもよい。例えば、前記再生工程においては、熱間圧延の過程で解乳化されたクーラント中の熱間圧延油及び/または水の一部を廃棄した後、新たに作製した補給油及び/または水を補給し、補給後のクーラントを再度乳化させることにより、クーラントのNa濃度及び導電率σを前記特定の範囲としてもよい。
補給油は、例えば、鉱油と、15質量%以上25質量%以下の油性剤と、6質量%以上16質量%以下の遊離脂肪酸と、2質量%以上6質量%以下の非イオン性乳化剤とを含んでおり、40℃における補給油の動粘度が40mm/秒以上90mm/秒以下であってもよい。かかる補給油を使用済みクーラントに添加することにより、クーラント中の各成分の濃度を所望の範囲に容易に調整することができる。
また、補給油中には、必要に応じて、脂肪酸アルカノールアミン塩、酸化防止剤、防腐剤、極圧剤及び防錆剤等が含まれていてもよい。補給油に用いられる鉱油、油性剤、遊離脂肪酸、非イオン性乳化剤、脂肪酸アルカノールアミン塩、酸化防止剤、防腐剤、極圧剤及び防錆剤は、前述した熱間圧延油に用いられる鉱油、油性剤、遊離脂肪酸、非イオン性乳化剤、脂肪酸アルカノールアミン塩、酸化防止剤、防腐剤、極圧剤及び防錆剤と同様である。
使用済みクーラントに補給される水のNa濃度は、例えば10mg/dm以下であればよい。再生工程後のクーラントにおけるNa濃度及び導電率の調整をより容易に行う観点からは、使用済みクーラントに補給される水のNa濃度は5mg/dm以下であることが好ましく、1mg/dm以下であることがより好ましい。
また、前記再生工程においては、回収工程において回収された使用済みクーラントの一部を廃棄した後、新たに作製した補給クーラントを補給することにより、クーラントのNa濃度及び導電率σを前記特定の範囲としてもよい。この場合、使用済みクーラントの廃棄量及び補給クーラントの補充量は、クーラントの総量が大きく変動しない範囲で適宜設定することができる。
前記再生工程において用いる補給クーラントの組成は、熱間圧延工程に供給されるクーラントの組成と同一であってもよいし、異なっていてもよい。例えば、補給クーラントは前記熱間圧延油が水中に分散された水中油滴型エマルションであり、補給クーラントのNa濃度が8mg/dm以上80mg/dm以下であり、かつ、25℃における導電率σとNa濃度とが前記式(1)の関係を満たしていてもよい。
また、補給クーラントのNa濃度及び導電率σは、使用済みクーラントと混合した際のNa濃度及び導電率σが前記特定の範囲内となる限り、前述した範囲から外れていてもよい。例えば、補給クーラントのNa濃度は、8mg/dm未満であってもよい。また、25℃における導電率σは、σ-3.25[Na]の値が400未満となる範囲であってもよい。補給クーラントに含まれる熱間圧延油の組成は、例えば、前述した補給油の組成と同一であってもよい。
前記アルミニウム用熱間圧延クーラントの実施例を説明する。本例のクーラントは、アルミニウム用熱間圧延油が水中に分散された水中油滴型エマルションから構成されている。また、クーラントのNa濃度は8mg/dm以上80mg/dm以下であり、クーラントの25℃における導電率σ(単位:μS/cm)と、Na濃度[Na]とが下記式(1)の関係を満たしている。
400≦σ-3.25[Na]≦1200 ・・・(1)
本例のクーラントは、例えば、鉱油、油性剤、脂肪酸、非イオン性乳化剤及びアルカノールアミンを表1に示す比率で混合して熱間圧延油(熱間圧延油A1-A7)を調製した後、熱間圧延油を脱イオン水に分散させることにより得られる。なお、表1に示す熱間圧延油B1は、熱間圧延油A1-A7との比較のための熱間圧延油である。
表1に示す鉱油、油性剤、脂肪酸、非イオン性乳化剤及びアニオン性乳化剤は、具体的には以下の通りである。
・鉱油
鉱油C1:ナフテン系精製鉱油(40℃における動粘度:21.8mm/秒)
鉱油C2:芳香族系精製鉱油(40℃における動粘度:164mm/秒)
鉱油C3:ナフテン系精製鉱油(40℃における動粘度:406.8mm/秒)
・油性剤
油性剤D1:ペンタエリスリトールテトラオレイン酸エステル
油性剤D2:トリメチロールプロパントリラウリン酸エステル
油性剤D3:ペンタエリスリトールトリオレイン酸エステル
油性剤D4:精製パーム油
・脂肪酸
オレイン酸
・非イオン性乳化剤
非イオン性乳化剤E1:ポリエチレングリコールモノオレート(HLB11.5)
非イオン性乳化剤E2:ポリエチレングリコールジオレート(HLB8.6)
・アルカノールアミン
トリエタノールアミン
これらの成分を表1に示す比率で混合すると、オレイン酸の一部とトリエタノールアミンとが反応し、オレイン酸トリエタノールアミン塩が形成される。表1には、混合後における各熱間圧延油の油性剤濃度、遊離脂肪酸濃度及び非イオン性乳化剤濃度を示す。表1に示した油性剤濃度は、具体的には油性剤D1-D4の濃度の合計である。表1に示した遊離脂肪酸濃度は、具体的にはトリエタノールアミンと反応しないオレイン酸の量である。表1に示した非イオン性乳化剤濃度は、具体的には非イオン性乳化剤E1-E2の濃度の合計である。
クーラントの作製に用いる脱イオン水は、例えば、25℃における導電率が10μS/cm以下となるように脱イオン処理を施されている。脱イオン水は、例えばイオン交換樹脂を用いて水道水にイオン交換処理を行うことにより得られる。
表2に、本例のクーラントF1-F7に使用した熱間圧延油の種類及び濃度を示す。なお、表2に示すクーラントG1は、クーラントF1-F7との比較のためのクーラントである。クーラントG1の作製方法は、熱間圧延油B1を用いる以外はクーラントF1-F7の作製方法と同様である。
次に、熱間圧延油及びクーラントの諸特性の評価方法を説明する。
・熱間圧延油の動粘度
JIS K2283に準拠した方法により、キャノン-フェンスケ粘度計を用いて熱間圧延油A1-A7及び熱間圧延油B1の40℃における動粘度を測定することができる。表1に40℃における熱間圧延油A1-A7及び熱間圧延油B1の動粘度を示す。
・クーラント中の油滴の体積平均粒径
レーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置(例えば、株式会社堀場製作所製「LA-950」)を用いてクーラント中の油滴の体積基準における粒度分布を測定する。この粒度分布における累積中位径(つまり、メジアン径)をクーラント中の油滴の体積平均粒径とする。クーラントF1-F7及びクーラントG1における油滴の体積平均粒径を表2に示す。
・クーラントの熱伝達係数
クーラントの熱伝達係数は、加熱されたアルミニウム材の表面にクーラントを滴下した際の、深さ方向におけるアルミニウム材の温度変化に基づいて算出することができる。図1に、アルミニウム材の温度の測定に用いる試験体1を示す。試験体1は、縦約130mm、横約130mm、厚み約50mmの寸法を備えた直方体状のアルミニウム材から構成されており、試験体1のいずれかの端面11、つまり、縦約130mmの辺と厚み約50mmの辺とによって囲まれる面に3か所の温度測定孔12が設けられている。3か所の温度測定孔12は、具体的には、端面11の縦方向の中心線上における、試験体1の上面13からの深さが3mm、12mmおよび24mmとなる位置に設けられている。また、個々の温度測定孔12の断面形状は直径2mmの円形であり、試験体1の横方向に沿って延在している。温度測定孔12の深さは25mmである。
熱伝達係数の測定方法は、具体的には以下の通りである。まず、試験体1の温度測定孔12に熱電対(図示略)を挿入する。次に、試験体1を400℃まで加熱し、図2に示すように、温度測定孔12を有する端面11が上方となるようにして、試験体1を水平面14に対して5°傾ける。そして、試験体1の上面13における温度測定孔12の上方に容積25mLのビュレット2を配置する。なお、ビュレット2から試験体1の上面13までの距離は5cmとする。この状態でビュレット2から15mLのクーラント21を滴下し、深さ方向の各位置における試験体1の温度を温度測定孔12内の熱電対により測定する。これらの温度に基づき、クーラントの熱伝達係数を計算することができる。
表2に、各クーラントの熱伝達係数を示す。また、図3に、各クーラントにおけるσ-3.25[Na]の値と熱伝達係数との関係を示す。図3の縦軸はクーラントの熱伝達係数(単位:W/(m2・K))であり、横軸はσ-3.25[Na]の値である。なお、クーラントの熱伝達係数は、その値が高いほどアルミニウム材を効率よく冷却することができることを示している。クーラントの熱伝達係数のことを熱伝達率ということもある。
・熱間圧延時の動摩擦係数
まず、一対の圧延ロール3(図4参照)を準備し、研磨紙を用いてロール表面を圧延方向(つまり、圧延ロールの周方向)に研磨することにより、圧延ロール3の表面状態を、圧延直角方向(つまり、圧延ロールの軸方向)に測定したときの算術平均粗さRaが0.3~0.4μmであり、かつ、最大高さRzが3.5~4.0μmとなるように調整する。この圧延ロール3の中央部に、表2に示すクーラントのいずれかを25mL塗布した後、JIS A3104合金からなる幅40mm、長さ500mm、厚さ5.0mmのアルミニウム材の予備圧延を行う。なお、予備圧延開始時のアルミニウム材の温度は400℃とし、予備圧延における圧下率は20%とする。
次に、図4に示すように、一対の圧延ロール3(3a、3b)のうち一方の圧延ロール3aの側面に複数のポンチ31を取り付けた状態で、予備圧延後のアルミニウム材4に以下の圧延条件で熱間圧延を行う。
圧延開始時のアルミニウム材の温度:400℃
圧延速度:40m/min
圧下率:40%
熱間圧延が完了した後、圧延ロール3aの周方向におけるポンチ31同士の距離L1(単位:mm)と、アルミニウム材4に転写されたポンチ痕41同士の距離L2(単位:mm)とを測定し、下記式(2)に基づいて先進率δを算出する。
δ=(L1-L2)/L1 ・・・(2)
これとは別に、圧延ロール3のロール径R1(単位:mm)、圧延ロール3のポアソン比ν、圧延ロール3のヤング率E(単位:kgf/mm2)、圧延荷重P(単位:)、圧延前のアルミニウム材4の厚みh1(単位:mm)、圧延後のアルミニウム材4の厚みh2(単位:mm)、アルミニウム材4の幅b(単位:mm)の値を使用し、下記式(3)に基づいて圧延ロール3の扁平ロール径R2(単位:mm)を算出する。
2=R×{1+16×(1-ν2)×P/[π×E×b×(h1-h2)]} ・・・(3)
そして、前記式(2)及び式(3)の結果と圧下率rの値とを使用し、下記式(4)に基づいて圧延ロール3とアルミニウム材4との動摩擦係数μを算出する。
μ=0.5×[(h1-h2)/R20.5/{1-2×[(1-r)×δ/r]0.5} ・・・(4)
なお、本例では、前記式(2)~式(4)における圧延前のアルミニウム材4の厚みh1は5.0[mm]、圧延後のアルミニウム材4の厚みh2は2.0[mm]、圧下率rは0.4、アルミニウム材4の幅bは40[mm]とした。また、圧延ロール3のロール径Rは80[mm]、ポアソン比νは0.33、ヤング率Eは21000[kgf/mm2]とした。なお、ポアソン比ν及びヤング率Eは、圧延ロール用鋼の典型的な値である。また、圧下率rは、圧延前のアルミニウム材4の厚みh1に対する圧延によるアルミニウム材4の厚みの減少量h1-h2の比である。
表2に、各クーラントを用いて熱間圧延を行ったときの動摩擦係数μの値を示す。なお、動摩擦係数は、その値が小さいほど圧延ロールとアルミニウム材との潤滑性が高く、圧延板の表面を平滑にすることができることを示している。
・板面残油量
板面残油量は、以下の方法で測定することができる。まず、前述した動摩擦係数の測定において熱間圧延を行った後のアルミニウム材を圧延直角方向に切断し、幅40mm、長さ400~600mmの試験片を採取する。次に、試験片の表面全体をヘキサン及びクロロホルムで洗浄し、試験片の表面に付着していた熱間圧延油をヘキサン-クロロホルム溶液に溶解させる。このヘキサン-クロロホルム溶液をポア径0.2μmのメンブレンフィルターでろ過し、予め質量を測定したビーカーにろ液を回収する。前記ろ液をホットプレートで加熱し、ヘキサンとクロロホルムとを蒸発させた後、ビーカーの質量を測定する。熱間圧延後の板面残油量(単位:mg/m)、つまり、アルミニウム材の表面に付着した熱間圧延油の単位面積当たりの量は、ろ液を入れる前のビーカーの質量W0(単位:mg)、ヘキサンとクロロホルムとを蒸発させた後のビーカーの質量W(単位:mg)及び試験片の表面積S(単位:m)を用い、下記式(5)に基づいて算出される。
板面残油量=(W-W0)/S ・・・(5)
表2に各クーラントを用いて熱間圧延を行ったアルミニウム圧延板の板面残油量を示すまた、図5に、各クーラントにおけるσ-3.25[Na]の値と板面残油量との関係を示す。図5の縦軸は板面残油量(単位:mg/m)であり、横軸はσ-3.25[Na]の値である。板面残油量は、その値が小さいほど、熱間圧延後のアルミニウム圧延板を巻回してなるコイルがほどけにくいことを示す。
・プレートアウト性
プレートアウト性の評価方法は以下の通りである。まず、長さ80mm、幅25mm、厚さ5mmのアルミニウムブロックを準備する。このアルミニウムブロックの温度を100℃に維持した状態で、65℃まで加温したクーラントをアルミニウムブロックに吹き付ける。クーラントの吹き付け条件は、吐出圧0.3MPa、吐出時間10msとする。
アルミニウムブロックを冷却した後、デシケータ内でクーラントを24時間乾燥させ、クーラント中の水分を気化させる。乾燥後のアルミニウムブロックに付着した試験油の質量(単位:g)を測定し、この試験油の質量を単位面積当たりの質量に換算した値(単位:g/m2)をプレートアウト量とする。表2に各クーラントのプレートアウト量を示す。なお、プレートアウト量は、その値が大きいほど圧延ロールと接触した際に解乳化が起こりやすく、圧延ロールの表面に多量の熱間圧延油を付着させて潤滑性を高めることができることを示している。
表2及び図3に示したように、クーラントF1-F7は、Na濃度が前記特定の範囲内であり、かつ、Na濃度と導電率σとが前記式(1)の関係を満たしている。それ故、クーラントF1-F7は、Na濃度と導電率σとが前記式(1)の関係を満たさないクーラントG1に比べて高い熱伝達係数を有しており、冷却性に優れている。また、クーラントF1-F7は、熱間圧延時の動摩擦係数及びプレートアウト量が良好であり、熱間圧延時の潤滑性にも優れている。
これらのクーラントの中でも、σ-3.25[Na]の値が450以上1000以下であるクーラントF2-F6は、クーラントF1及びクーラントF7よりもさらに高い熱伝達係数を有しており、冷却性により優れている。
また、表2及び図5に示すように、σ-3.25[Na]の値が450以上800以下であるクーラントF2-F5は、高い熱伝達係数を有するとともに板面残油量を低減することができる。これにより、熱間圧延後のアルミニウム圧延板を巻回したコイルの変形をより効果的に抑制することができる。
以上、実施例に基づいて本発明にかかるアルミニウム用熱間圧延クーラント及びアルミニウム圧延板の製造方法の態様を説明したが、本発明にかかるアルミニウム用熱間圧延クーラント及びアルミニウム圧延板の製造方法の具体的な態様は実施例の態様に限定されるものではなく、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜構成を変更することができる。
1 試験体
11 端面
12 温度測定孔
13 上面
2 ビュレット
3 圧延ロール
4 アルミニウム材

Claims (3)

  1. アルミニウム用熱間圧延油が水中に分散された水中油滴型エマルションからなるアルミニウム用熱間圧延クーラントであって、
    前記アルミニウム用熱間圧延油が、
    鉱油と、
    15質量%以上25質量%以下の油性剤と、
    6質量%以上12質量%以下の遊離脂肪酸と、
    2質量%以上6質量%以下の非イオン性乳化剤と、を含有し、
    前記油性剤は、天然油脂及び合成エステルからなる群より選択される1種または2種以上の物質であり、
    前記熱間圧延油の40℃における動粘度が80mm /秒以上200mm /秒以下であり、
    前記クーラントのNa濃度が8mg/dm以上80mg/dm以下であり、
    前記クーラントの25℃における導電率σ(単位:μS/cm)と、前記Na濃度[Na](単位:mg/dm)とが下記式(1)の関係を満たす、アルミニウム用熱間圧延クーラント。
    400≦σ-3.25[Na]≦1200 ・・・(1)
  2. 請求項1に記載のアルミニウム用熱間圧延クーラントを用いてアルミニウム材の熱間圧延を行う熱間圧延工程を有する、アルミニウム圧延板の製造方法。
  3. 前記アルミニウム圧延板の製造方法は、前記熱間圧延工程において使用された前記クーラントを回収する回収工程と、
    前記回収工程において回収された前記クーラントのNaの濃度を8mg/dm以上80mg/dm以下に調整するとともに、前記式(1)を満たすように導電率σを調整する再生工程と、
    前記再生工程が完了した後の前記クーラントを前記熱間圧延に用いられる圧延ロールに供給する供給工程と、をさらに有する、請求項2に記載のアルミニウム圧延板の製造方法。
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