JP7853764B2 - 全固体二次電池 - Google Patents
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Description
そこで、全固体二次電池において吸熱反応を十分に起こすために必要な条件や吸熱物質の含有量について鋭意検討した結果、本発明を完成するに至った。
前記外装体がフィルム状のものである場合には、吸熱物質の分解反応による体積変化が電池全体の体積に影響を与えやすいので、本発明の効果をより顕著に発揮することができる。
本実施形態に係る全固体二次電池1は、図1に示すように、正極層10、負極層20、及び固体電解質層30と、これらを内部に収容する外装体40とを備えるものである。
正極層10は、正極集電体11及び正極活物質層12を含む。
正極集電体11としては、例えば、インジウム(In)、銅(Cu)、マグネシウム(Mg)、ステンレス鋼、チタン(Ti)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、亜鉛(Zn)、アルミニウム(Al)、ゲルマニウム(Ge)、リチウム(Li)またはこれらの合金からなる板状体または箔状体等が挙げられる。正極集電体11は省略されても良い。
負極層20は、負極集電体21及び負極活物質層22を含む。負極集電体21は、リチウムと反応しない、すなわち合金および化合物のいずれも形成しない材料で構成されることが好ましい。負極集電体21を構成する材料としては、例えば、銅(Cu)、ステンレス鋼、チタン(Ti)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、およびニッケル(Ni)が挙げられる。負極集電体21は、これらの金属のいずれか1種で構成されていても良いし、2種以上の金属の合金またはクラッド材で構成されていても良い。負極集電体21は、例えば板状または箔状である。
負極活物質は、例えば、無定形炭素と、リチウムと合金を形成する合金形成元素とを含むもの挙げることができる。前記合金形成元素としては、金、白金、パラジウム、ケイ素、銀、アルミニウム、ビスマス、錫、および亜鉛からなる群から選択されるいずれか1種以上を挙げることができる。ここで、無定形炭素としては、例えば、カーボンブラック(Carbon black)、グラフェン(graphene)、黒鉛(graphite)等が挙げられる。カーボンブラックとしては、アセチレンブラック(acetylene black)、ファーネスブラック(furnace black)、ケッチェンブラック(ketjen black)等を挙げることができる。また、電子導電性向上のために、ケイ素はその表面を厚さ1~10nm程度の炭素層で被覆されていてもよい。
固体電解質層30は、正極層10および負極層20の間に形成され、固体電解質を含む。
外装体40は、前述したように正極層10、負極層20及び固体電解質層30を内部に収容するものであり、例えば、柔軟性を有するフィルムによって形成されているものを挙げることができる。前記フィルムとしては、例えば、ポリプロピレンやポリエチレンなどの樹脂で、アルミニウムやSUSなどの金属薄膜を挟み込んで形成したラミネートフィルム等を挙げることができる。
外装体40として使用されるラミネートフィルムの厚みとしては、例えば、30μm以上150μm以下のものを挙げることができる。
そのほかの材料としては剛直な金属であっても良い。例えば、アルミニウムやSUSなどで作製された缶などを挙げることができる。この場合の外装体の形状は、角型(直方体状)であっても円筒型であっても良い。
しかして、前記正極活物質層12には、分解反応によって吸熱する物質である吸熱物質が含有されている。
前記炭酸化合物としては、例えば、炭酸塩や炭酸水素塩がある。なかでも炭酸リチウム、炭酸ルビジウム、炭酸バリウム、炭酸コバルト、炭酸鉄、炭酸ニッケル、炭酸亜鉛、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ルビジウム、および炭酸水素セシウムなどを挙げることができる。
前記水酸化化合物としては、例えば、水酸化亜鉛、水酸化アルミニウム、水酸化カドミウム、水酸化クロム、水酸化コバルト、水酸化ニッケル、水酸化マンガン、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化ジルコニウム、酸化水酸化鉄、および酸化水酸化ニッケルなどを挙げることができる。
また、結晶水を有する化合物としては、例えば、酸化アルミニウム水和物、硝酸バリウム水和物、硫酸カルシウム水和物、リン酸コバルト水和物、酸化アンチモン水和物、酸化スズ水和物、酸化チタン水和物、酸化ビスマス水和物、および酸化タングステン水和物などを挙げることができる。
吸熱物質としては、前述した物質のうち1種のみを使用しても良いし、複数種類を併用しても良い。
続いて、本実施形態に係る全固体二次電池1の製造方法について説明する。本実施形態に係る全固体二次電池1は、正極層10、負極層20、および固体電解質層30をそれぞれ製造した後、上記各層を積層し最後に外装体40で覆うことにより製造することができる。
まず、正極活物質層12を構成する材料(正極活物質、吸熱物質、結着剤等)を脱水キシレン等の非極性溶媒に添加することで、スラリー(slurry)(スラリーはペースト(paste)であってもよい。他のスラリーも同様である。)を作製する。ついで、得られたスラリーを正極集電体11上に塗布し、乾燥する。ついで、得られた積層体を加圧する(例えば、静水圧を用いた加圧を行う)ことで、正極層10を作製する。加圧工程は省略されても良い。正極活物質層12を構成する材料の混合物をペレット(pellet)状に圧密化成形するか、あるいはシート状に引き伸ばすことで正極層10を作製してもよい。これらの方法により正極層10を作製する場合、正極集電体11は、作製したペレットあるいはシートに圧着しても良い。
まず、負極活物質層22を構成する負極活物質層材料(負極活物質、合金非形成元素、結着剤等)を極性溶媒または非極性溶媒に添加することで、スラリーを作製する。ついで、得られたスラリーを負極集電体21上に塗布し、乾燥する。ついで、得られた積層体を加圧する(例えば、静水圧を用いた加圧を行う)ことで、負極層20を作製する。加圧工程は省略されても良い。
固体電解質層30は、硫化物系固体電解質材料にて形成された固体電解質により作製することができる。
上記の方法で作製した正極層10、負極層20、および固体電解質層30を、正極層10と負極層20とで固体電解質層30を挟持するように積層し、これら全体を外装体40を形成するラミネートフィルムで両面から覆った後に加圧する(例えば、静水圧を用いた加圧を行う)ことにより、本実施形態に係る全固体二次電池1を作製することができる。
このように構成した全固体二次電池によれば、充電時に酸化環境下にある正極活物質層が吸熱物質を含有しているので、吸熱物質の分解反応が適切な温度帯において適度に起こって、十分な吸熱効果を発揮することができる。
<5-1.本発明の第2の実施形態に係る全固体二次電池の構成>
図2に示すように、正極層10が、正極集電体11と正極活物質層12との間に形成された導電性層13をさらに備えるものとしてもよい。
導電性層13は、正極集電体を保護する層であり、例えば、導電性物質と、結着剤とを含有するものである。
また、導電性層13に含有する結着剤としては、例えば、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluoroethylene)、ポリフッ化ビニリデン(polyvinylidene fluoride)、ポリエチレン(polyethylene)等を挙げることができる。
このように構成された導電性層13に、前述した吸熱物質を含有させるものとしても良い。吸熱物質を含有させる場合の導電性層13の具体的な組成としては、例えば、導電性層13における導電性物質の含有量が6質量%以上54質量%以下、吸熱物質の含有量が24質量%以上81質量%以下、結着剤の含有量が10質量以上40質量%以下であるものを挙げることができる。
この実施形態においては、吸熱物質が、正極活物質層12及び導電性層13の両方に含有されるようにしても良いし、吸熱物質を導電性層13にのみ含有させても良い。
この実施形態においても、前述した実施形態と同様に、正極活物質層12の総質量を100質量部とした場合の吸熱物質の含有量を1質量部以上とすることによって、十分な吸熱効果を得ることができる。また、吸熱物質の含有量を30質量部以下とすることによって、導電性層13の導電性を保ちながらも導電性層13の厚みを抑えて、全固体二次電池1の体積が大きくなってしまうことを抑えることができる。なお、この導電性層の厚みは、0.5μm以上10μm以下の範囲であることが好ましく、1μm以上5μm以下であることがより好ましい。
この実施形態において吸熱物質を含有する導電性層13は、吸熱効果を発揮する層であるので、吸熱層と呼ぶこともできる。
続いて、第2の実施形態に係る全固体二次電池1の製造方法について説明する。
第1の実施形態に係る全固体二次電池1の製造方法の正極層10作製工程において、導電性層13を構成する材料(導電性物質、吸熱物質、結着剤等)を非極性溶媒に添加することで、形成したスラリー(slurry)を正極集電体11上に塗布し、乾燥させて導電性層13を形成する。この導電性層13上に、正極活物質層12形成用のスラリーを塗布、乾燥して正極活物質層12を形成して、加圧することによって正極層10を作製する。その他の工程については、第1の実施形態と同様にして全固体二次電池1を製造することができる。
前述した実施形態では、正極層10と負極層20と固体電解質層30をそれぞれ一層ずつ備える全固体二次電池1について説明したが、例えば、図3に示すように、正極層10を両面から挟むように固体電解質層30を配置し、これら固体電解質層30の外側から負極層20で挟むように構成した全固体二次電池1としても良い。
このような構成の全固体二次電池1の場合にも、正極集電体11と正極活物質層12との間に導電性層13を設けることができる。この導電性層13は、必ずしも正極集電体11の両面に形成されている必要はなく、図3に示すように、正極集電体11の片面だけに導電性層13が形成されているようにしても良い。
そして、この全固体二次電池1の正極活物質層12及び/又は導電性層13に吸熱物質が含有されているものとしても良い。
[正極層の生成]
正極活物質としてのLiNi0.8Co0.15Al0.05O2(NCA)三元系粉末と、硫化物系固体電解質としてのLi2S-P2S5(80:20モル%)非晶質粉末と、正極層導電性物質(導電助剤)としての気相成長炭素繊維粉末を60:35:5の質量%比で秤量し、自転公転ミキサを用いて混合した。さらに、この混合粉100質量部に対して5質量部の炭酸リチウムを秤量し、前記混合粉に加えて自転公転ミキサを用いて混合した。
次いで、結着剤としてのSBRが溶解した脱水キシレン溶液をSBRが吸熱物質を含有した混合粉の総質量に対して5.0質量%となるように添加して1次混合液を生成した。この1次混合液から脱水キシレン溶液等の溶媒を除いた固形成分が、正極活物質層と同質量となるはずであるので、本実施例においては正極活物質層全体に対して4.5質量%の吸熱物質(炭酸リチウム)が含有されていることになる。
さらに、この1次混合液に、粘度調整のための脱水キシレンを適量添加することで、2次混合液を生成した。さらに、混合粉の分散性を向上させるために、直径5mmのジルコニアボールを、空間、混合粉、ジルコニアボールがそれぞれ混練容器の全容積に対して1/3ずつを占めるように2次混合液に投入した。これにより生成された3次混合液を自転公転ミキサに投入し、3000rpmで3分撹拌することで、正極活物質層塗工液を生成した。
次いで、正極集電体として厚さ20μmのアルミ箔集電体を用意し、卓上スクリーン印刷機に正極集電体を載置し、孔径が2.0cm×2.0cmで厚みが150μmのメタルマスクを用いて正極活物質層塗工液をシート上に塗工した。その後、正極活物質層塗工液が塗工されたシートを60℃のホットプレートで30分乾燥させた後、80℃で12時間真空乾燥させた。これにより、正極集電体上に正極活物質層を形成した。乾燥後の正極集電体及び正極活物質層の総厚さは165μm前後であった。
負極活物質としての黒鉛粉末(80℃で24時間真空乾燥したもの)と、結着剤としてのPVDFとを95.0:5.0の質量%比で秤量した。そして、これらの材料と適量のN-メチル-2-ピロリドン(以下、NMP)とを自転公転ミキサに投入し、3000rpmで3分撹拌した後、1分脱泡処理することで、負極活物質層塗工液を生成した。
次いで、負極集電体として厚さ16μmの銅箔集電体を用意し、ブレードを用いて銅箔集電体上に負極活物質層塗工液を塗工した。銅箔集電体上の負極活物質層塗工液の厚さ(ギャップ)は150μm前後であった。
負極活物質層塗工液が塗工されたシートを、80℃に加熱された乾燥機内に収納し、15分乾燥した。さらに、乾燥後のシートを80℃で24時間真空乾燥を行った。これにより、負極層を生成した。負極層の厚みは140μm前後であった。
硫化物系固体電解質としてのLi2S-P2S5(80:20、モル%)非晶質粉末に、SBRが溶解した脱水キシレン溶液をSBRが混合粉の総質量に対して2.0質量%となるように添加して1次混合液を生成した。さらに、この1次混合液に、粘度調整のための脱水キシレンを適量添加することで、2次混合液を生成した。さらに、混合粉の分散性を向上させるために、直径5mmのジルコニアボールを、空間、混合粉、ジルコニアボールがそれぞれ混練容器の全容積に対して1/3ずつを占めるように3次混合液に投入した。これにより生成された3次混合液を自転公転ミキサに投入し、3000rpmで3分撹拌することで、電解質層塗工液を生成した。
卓上スクリーン印刷機に負極層を載置し、500μmのメタルマスクを用いて電解質層塗工液を負極活物質層上に塗工した。その後、電解質層塗工液が塗工されたシートを40℃のホットプレートで10分乾燥させた後、40℃で12時間真空乾燥させた。これにより、負極層上に固体電解質層を形成した。乾燥後の固体電解質層の総厚さは300μm前後であった。
負極層及び固体電解質層からなるシートを3.5cm×3.5cmに、正極層を3.0cm×3.0cmそれぞれトムソン刃で打ちぬき、これらをロールギャップ150μmのロールプレス機を用いたドライラミネーション法により貼り合わせることで、全固体電池の単セルを生成した。単セルの層厚さは400μm前後であった。
生成された単セルを、端子を取り付けたアルミニウムラミネートフィルムに入れ、真空機で100Paまで真空排気した後、ヒートシールを行いパックした。全固体電池の層厚さは600μm前後であった。
単セルの容量(mAh)を東洋システム製充放電評価装置 TOSCAT-3100により測定した。充放電は60℃の環境下で実施した。0.1mAの電流で4.20Vまで充電し、0.1mAの電流で2.50Vまで放電を行い、単セルの容量を求めた。
全固体電池を4.20Vまで充電させた後に80℃の恒温槽で24時間保管した。保管前後で電池の厚み変化を測定した。本実施例に記載されているラミネート袋に封入されたタイプの電池の場合には、その厚みの変化割合は、電池全体の体積の変化割合をそのまま表している。
電池を4.20Vまで充電し、以下の手順でAr雰囲気のグローブボックス内でDSC用サンプルを作製した。外装体であるラミネート袋から単セル取り出し、金型でφ2.5mmに打ち抜いた。SUS製のサンプルパンに入れ、蓋をセットし、プレス機でかしめ封口した。このようにして作製したDSC用サンプルを日立ハイテクサイエンス製DSC測定装置DSC7000Xより測定した。室温から500℃まで測定し、積算熱容量を見積もった。比較例1の積算熱容量を100%とした場合に、各評価例での積算熱容量変化割合を低減率として見積もった。
正極層の生成において、正極活物質層中の炭酸リチウムの添加量が正極活物質層を形成する混合粉100質量部に対して10質量部としたこと以外は実施例1と同じ。
正極層の生成において、正極活物質層中の炭酸リチウムの添加量が正極活物質層を形成する混合粉100質量部に対して1質量部としたこと以外は実施例1と同じ。
正極層の生成において、正極層中の炭酸リチウムの添加量が正極活物質層を形成する混合粉100質量部に対して25質量部としたこと以外は実施例1と同じ。
正極層の生成において、正極活物質層中に炭酸リチウムを添加せず、正極集電体と正極活物質層との間に形成された導電性層中に炭酸リチウムを添加した。具体的な製造方法を以下に説明する。
導電性層の導電性物質としてアセチレンブラックと、炭酸リチウムと、結着剤としての酸変性PVDFとを30:40:30の質量比で秤量した。そして、これらの材料と適量のNMPとを自転公転ミキサに投入し、3000rpmで5分撹拌することで、導電性層塗工液を生成した。
次いで、卓上スクリーン印刷機に厚さ20μmのアルミニウム箔を載置し、400メッシュのスクリーンを用いて導電性層塗工液をアルミニウム箔上に塗工した。その後、導電性層塗工液が塗工されたアルミニウム箔を80℃で12時間真空乾燥させた。これにより、正極集電体上に導電性層を形成した。乾燥後の導電性層の厚さは15μmであった。この導電性層の厚みは、導電性層中の炭酸リチウムの含有量が、正極活物質層を形成する混合粉100質量部に対して5質量部となるように調整されている。
このように形成した導電性層上に、炭酸リチウムを含有しないこと以外は実施例1と同じ正極活物質層層塗工液を塗工して乾燥させることで、正極層を形成した。負極層の生成以降の手順は実施例1と同じものとした。
導電性層の厚みを、導電性層中の炭酸リチウムの含有量が、正極活物質層を形成する混合粉100質量部に対して25質量部となるように調整したこと以外は実施例5と同じ。
正極層の生成において、正極集電体の導電性層が形成されている側とは反対側の面上に正極活物質層塗工液を塗工して乾燥させたこと以外は実施例5と同じ。
導電性層の厚みを導電性層中の炭酸リチウムの含有量が、正極活物質層を形成する混合粉100質量部に対して25質量部となるように調整したこと以外は実施例7と同じ。
正極層の生成において、正極活物質層中に炭酸リチウムの代わりに水酸化アルミニウムを含有させたこと以外は実施例1と同じ。
正極層の生成において、正極活物質層中の水酸化アルミニウムの含有量を、正極活物質層を形成する混合粉100質量部に対して10質量部としたこと以外は実施例9と同じ。
正極層の生成において、正極活物質層中の水酸化アルミニウムの含有量を、正極活物質層を形成する混合粉100質量部に対して1質量部としたこと以外は実施例9と同じ。
正極層の生成において、正極活物質層中に炭酸リチウムを添加しなかったこと以外は実施例1と同じ。
正極活物質層中に炭酸リチウムを含有させず、負極層の生成において、負極活物質層中に正極活物質層を形成する混合粉100質量部に対して5質量部(すなわち、実施例1で使用した量と同量)の炭酸リチウムを含有させたこと以外は実施例1と同じ。
正極活物質層中に炭酸リチウムを含有させず、固体電解質層の生成において、固体電解質層中に正極活物質層を形成する混合粉100質量部に対して5質量部(すなわち、実施例1で使用した量と同量)の炭酸リチウムを含有させたこと以外は実施例1と同じ。
炭酸リチウムに替えて、負極活物質層中に水酸化アルミニウムを含有させたこと以外は比較例2と同じ。
炭酸リチウムに替えて、固体電解質層中に水酸化アルミニウムを含有させたこと以外は比較例3と同じ。
正極層の生成において、正極活物質層中の炭酸リチウムの含有量を、正極活物質層を形成する混合粉100質量部に対して0.3質量部としたこと以外は実施例1と同じ。
この参考例は、液系の二次電池に吸熱物質を含有させたものである。以下に具体的な実験方法について説明する。
正極活物質としてのNCA三元系粉末と、導電助剤としてのアセチレンブラックとを97:3の質量%比で秤量し、混合した。さらに、この混合粉100質量部に対して1質量部の炭酸リチウムを秤量し、前記混合粉に加えて混合した。
次いで、この混合粉に、結着剤としてのPVdFが溶解したNMP溶液をPVdFが混合粉の総質量に対して3.0質量%となるように添加して1次混合液を生成した。さらに、この1次混合液に、粘度調整のためNMPを適量添加することで、2次混合液を生成した。これにより生成された2次混合液を自転公転ミキサに投入し、2000rpmで3分撹拌することで、正極活物質層塗工液を生成した。
次いで、正極集電体として厚さ20μmのアルミ箔集電体を用意し、卓上スクリーン印刷機に正極集電体を載置し、孔径が2.0cm×2.0cmで厚みが150μmのメタルマスクを用いて正極活物質層塗工液をシート上に塗工した。その後、正極活物質層塗工液が塗工されたシートを100℃のホットプレートで30分乾燥させた後、180℃で12時間真空乾燥させた。これにより、正極集電体上に正極活物質層を形成した。乾燥後の正極集電体及び正極活物質層の総厚さは120μm前後であった。このようにして形成した積層体に対して、ロールプレス機を用いて加圧成型を行い正極層を生成した。この正極層を3.0cm×3.0cmのトムソン刃で打ちぬいた。
負極活物質としての黒鉛粉末(80℃で24時間真空乾燥したもの)と、結着剤としてのPVdFとを95.0:5.0の質量%比で秤量した。そして、これらの材料と適量のN -メチル-2-ピロリドン(以下、NMP)とを自転公転ミキサに投入し、3000rpmで3分撹拌した後、1分脱泡処理することで、負極活物質層塗工液を生成した。
次いで、負極集電体として厚さ16μmの銅箔集電体を用意し、ブレードを用いて銅箔集電体上に負極活物質層塗工液を塗工した。銅箔集電体上の負極活物質層塗工液の厚さ(ギャップ)は150μm前後であった。
負極活物質層塗工液が塗工されたシートを、80℃に加熱された乾燥機内に収納し、15分乾燥した。さらに、乾燥後のシートを80℃で24時間真空乾燥を行った。これにより、負極層を生成した。負極層の厚みは140μm前後であった。負極層に対して、ロールプレス機を用いて加圧成型を行った。負極層を3.5cm×3.5cmのトムソン刃で打ちぬいた。
セパレータは、多孔質ポリエチレンフィルム(厚さ12μm)を用いた。セパレータを正極層および負極層で挟むことにより、電極構造体を製造した。この電極構造体を、端子を取り付けたアルミニウムラミネートフィルムに入れた。
エチレンカーボネート(ethylene carbonate)とジメチルカーボネート(dimethyl carbonate)とを3:7の体積比で混合した非水溶媒に、ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF6)を1.3mol/Lの濃度となるように溶解し、電解液を製造した。製造した電解液をアルミニウムラミネートフィルムに注入することで、電解液をセパレータに含浸させた。真空機で100Paまで真空排気した後、ヒートシールを行いパックした。これにより、液系リチウムイオン二次電池を生成した。
また、吸熱物質は正極層中の導電性層に含有されていても十分に吸熱効果を発揮できることがわかった。これらの結果から、これら実施例1~11においては電池の急激な発熱を十分に抑えることができる全固体二次電池が作製できたと考えられる。
一方で、参考例の液系のリチウムイオン二次電池においては、炭酸リチウムの含有量が正極活物質層100質量部に対して1質量部の場合であっても、80℃における体積変化が32%と非常に大きいことが分かる。
これらの結果から、液系の二次電池においては80℃程度の低温でも吸熱物質の分解反応が激しく起こるのに対して、本発明に係る全固体二次電池においては、80℃よりも高温になった場合には吸熱効果を十分に発揮しながらも、80℃程度の温度までは吸熱物質の分解が比較的緩やかであり、体積膨張による電池の変形を抑えることができることが分かった。
10 正極層
11 正極集電体
12 正極活物質層
13 導電性層
20 負極層
21 負極集電体
22 負極活物質層
30 固体電解質層
Claims (6)
- 正極層と、負極層と、前記正極層及び前記負極層の間に配置された固体電解質層とを備え、前記正極層が板状の正極集電体と、該正極集電体上に形成された正極活物質層とを具備するものであって、
前記正極層は、分解反応によって吸熱する吸熱物質、導電性物質、及び結着剤を含む導電性層をさらに備え、
前記導電性層は、前記正極集電体と前記正極活物質層との間に配置されるか、または前記正極集電体の前記正極活物質層が配置されている側とは反対側の面上に配置され、
前記導電性層における前記導電性物質の含有量が6質量%以上54質量%以下の範囲であり、
前記導電性層における前記結着剤の含有量が10質量%以上40質量%以下であり、
前記吸熱物質が、炭酸リチウムであることを特徴とする全固体二次電池。 - 前記吸熱物質が、前記正極活物質層中にさらに含有され、
前記導電性層に含有される前記吸熱物質の含有量は、前記正極活物質層に含有される前記吸熱物質と、前記導電性層に含有される前記吸熱物質の含有量の合計が、前記正極活物質層の総質量を100質量部とした場合の1質量部以上30質量部以下である、請求項1記載の全固体二次電池。 - 前記固体電解質層が、硫化物系固体電解質を含有するものである、請求項1又は2に記載の全固体二次電池。
- 前記正極層、前記負極層及び前記固体電解質層を内部に収容する外装体をさらに備え、
前記外装体がフィルム状のものである、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の全固体二次電池。 - 80℃における外装体内の体積と、25℃における前記体積との差が、25℃における前記体積の5%以内である、請求項4記載の全固体二次電池。
- 前記導電性層の厚みは、0.5μm以上10μm以下である、請求項1記載の全固体二次電池。
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