JPH0143547B2 - - Google Patents
Info
- Publication number
- JPH0143547B2 JPH0143547B2 JP58022928A JP2292883A JPH0143547B2 JP H0143547 B2 JPH0143547 B2 JP H0143547B2 JP 58022928 A JP58022928 A JP 58022928A JP 2292883 A JP2292883 A JP 2292883A JP H0143547 B2 JPH0143547 B2 JP H0143547B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- vinegar
- oxygen concentration
- acetic acid
- fermentation
- fermentation tank
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired
Links
Landscapes
- Distillation Of Fermentation Liquor, Processing Of Alcohols, Vinegar And Beer (AREA)
Description
本発明は高品質の食酢を短期間に、しかも効率
良く得ることのできる食酢の醸造法及びその装置
に関する。 従来、食酢の醸造法としては種々の方法が知ら
れており、その一方法として静置式発酵法が知ら
れている。 この方法によると、液内通気撹拌式発酵法等、
他の方法に比べて品質的に優れた醸造食酢が得ら
れる利点があるが、発酵に長期間を必要とし、か
つ広い平面(表面)で発酵が行なわれるために単
位面積当りの酢酸の収量が低く、しかも開放系で
発酵が行なわれるために醪中のアルコール、酢酸
等の蒸発逸散が大きく、酢酸すなわち食酢を収率
良く得ることができないという大きな欠点を有し
ている。 そこで本発明者は静置式発酵法における利点は
そのまま残し、上記欠点を解消すべく種々研究を
重ねた結果、密閉式の発酵タンク内において、酢
酸菌を着生させた多孔質の担体膜を垂直に又は傾
斜して多数配置し、食酢醪を該担体膜の上部に供
給浸透させ担体膜内を流下させ酢酸菌と接触させ
るとともに、気相部の酸素濃度を5〜60%(V/
V)(以下、酸素濃度はV/Vによる)となるよ
うに保持しつつ酢酸発酵を行うことによつて高品
質の食酢を非常に短期間に、しかも収率良く得る
ことができることを知り、この知見に基いて本発
明を完成した。 以下、本発明の装置の1例を添付図面によつて
示し、さらにその装置を用いた食酢の醸造法を示
して本発明をさらに詳細に説明する。 第1図は本発明の食酢の醸造装置の1具体例を
示す縦断概略説明図を示し、1は箱形をした密閉
式の発酵タンクで、その内部には酢酸菌を着生さ
せた担体膜2が多数、垂直に並んで配置されてい
る。 そして、担体膜の上方には、食酢醪を担体膜の
上部に供給浸透させる手段が設けられている。そ
の構成としては、図示のように発酵タンクの上方
に醪滞溜槽3を設け、この底壁部に上記担体膜の
上端と密接に嵌合する貫通溝4又は貫通孔を設
け、これに担体膜の上端を密着させて溝又は孔を
閉鎖し、醪を醪供給パイプ5より醪滞溜槽3に供
給し、担体膜2の上端部を食酢醪に浸漬する手段
でもよいし、又は醪分散パイプ等(図示せず)を
用いて食酢醪を担体膜の上部に滴下、或いは注入
する手段等が挙げられる。そして上記の担体膜の
上端部を食酢醪に浸漬する手段は、担体膜におけ
る食酢醪の浸透速度を考慮せずに食酢醪を担体膜
に供給することができるので好ましい。 6は給気管でその一端は発酵タンクの気相部に
連通し、他端は電磁弁などの開閉弁7を介して、
給気ポンプ、酸素ボンベ等の酸素供給源8に連通
している。また9は発酵タンクの気相部に設けら
れた酸素濃度検出素子で、該検出素子9と前記給
気管6に介装した開閉弁7とを、酸素濃度制御装
置10を介して連絡し、該制御装置10により気
相中の酸素濃度が常に特定の範囲になるように構
成されている。そして酸素濃度検出素子9によつ
て測定された気相中の酸素濃度は酸素濃度制御装
置10によつて電気的出力に変換せしめられ、こ
の出力によつて開閉弁7を開閉し気相部の酸素濃
度は自動的に調整できるように構成されている。 本発明の発酵タンクの気相内の酸素濃度を設御
する手段は以上述べた給気パイプ6、酸素濃度検
出素子9及び酸素濃度制御装置10から構成され
ている。 11は醪タンクで、担体膜の下端部より浸出滴
下する醪を一時貯えておくものである。 12は醪循環パイプで、その途中に循環ポンプ
13を介装している。そしてその一端は醪タンク
11内に連通し、他端は醪供給パイプ5に連通し
ている。 14は醪内に挿入された温度計等の測温体で、
温度制御装置15を介して醪循環パイプ12内に
設けられた熱交換器16の制御部17(この実施
例では温・冷水通流開閉弁)に連絡し、醪が担体
膜内を流下し酢酸菌と接触するときに、醪が酢酸
菌の発酵適温に保たれるように構成されている。 18は気相循環パイプで、担体膜と担体膜の間
の気相部を対流させて、気相の酸素濃度を均一に
し、担体膜に酸素を充分供給するとともに、担体
膜に生じた発酵熱を取り除き、担体膜が常に一定
の品温を保てるように設けられている。そして、
発酵タンクの気相部の任意の少なくとも2箇所
(この実施例では発酵タンクの蓋体の頂壁両端の
2箇所)を連通し、その途中に気体循環装置19
及び温度調節装置20を具備している。そして2
1は温度計などの測温体で、該測温体と一体的に
構成されるか、又は図示のように別に設けられた
温度制御装置22を介して上記温度調節装置20
の温・冷水通流開閉弁などの制御部23に連絡
し、気相の温度を制御できるように構成されてい
る。 多数の担体膜の表面は酢酸発酵に伴つて莫大な
発酵熱が生ずるが、該担体膜は表面積が大きいの
で該発酵熱は効果的に気相部に放出され、該気相
部に放出された発酵熱は気相循環パイプの温度調
節装置により効果的に除去することができる。 上記2つの温度調節装置16及び20はそれぞ
れ醪及び気相部の温度制御が必要な場合に使用す
れば良い。 又25は調圧装置であつて、気相部のガス圧が
一定値(例えば常圧)より高くなつた場合には、
気相部のガスの一部は該調圧装置25を介して排
気できるように構成されている。通常は逆止弁又
は図示のように発酵タンクの頂壁に挿入した細長
い連通管が用いられる。また該調圧装置本体外周
壁に沿つて冷水の通流するジヤケツトを囲設し、
該装置を冷却しても良い。 このようにすると気相内に含まれるエチルアル
コール蒸気、酢酸の蒸気等、有用成分が凝縮して
原料醪に還元され、食酢の収率が向上する。 ここに用いられる担体膜の形態は平板状、筒状
その他一般に本発明の実施に適した形態である限
り任意である。 又、膜は単独で用いてもよいし、又多孔性支持
体あるいは枠型の支持体26の上に張り合わせて
用いても良い。 又、担体膜の数は1つでもよいが、適当な間隔
をおいて数多く並べて用いても良い。 その場合、担体膜の間隔は、担体膜の形状、大
きさ、設置の仕方、送風機の有無、能力等によつ
ても異なるが要は充分な気相の流通が行ない得る
ようにすることが好ましい。 そして担体膜は一方に傾斜して、好ましくは垂
直に配置する。このように配置することによつ
て、担体膜の上部に供給浸透された食酢醪は該担
体膜内部を上方から下方に向つて自然流下し、該
担体膜に着生した酢酸菌と接触し酢酸発酵を行う
ことができる。そして食酢醪の担体膜上部への供
給速度は該担体膜の食酢醪の浸透速度を越えない
範囲で行うことが望ましい。即ち単位時間当り担
体膜の食酢醪の浸透量を越えて食酢醪を供給する
と越えた分に担当する食酢醪は担体膜の一部から
溢流し、担体膜に着生している酢酸菌皮膜層を破
壊し、流去するので、その部分では酢酸発酵を旺
盛に持続できなくなる危険性を有する。 次に担体膜としては、その表面が酢酸菌の着生
が容易な材質でできていることが重要である。こ
のような材質としては、多孔質で数ミリ〜数セン
チの厚さを有する、例えば布および水不溶性の紙
等が挙げられるが、特に親油性(疎水性)の不織
布及び厚手の布が好ましい。厚手の不織布の具体
例としては、ウオーセツプ(WOSEP、東洋レー
ヨン社製)、タフネルオイルプロツター(三井石
油化学社製)、テイジン・オルソーブ(TEIJIN
−OLSORB、帝人社製)のものが、又厚手の布
の具体例としては綿ネル等が挙げられる。 次に担体膜へ酢酸菌を着生させる方法として
は、酢酸菌を接種した食酢醪中に担体膜を10〜20
秒浸しては数拾秒〜数分間空気中に引き揚げるこ
とを酢酸菌の生育適温で数日繰り返す方法、及び
担体膜の上端から、酢酸菌を接種した食酢醪を浸
透させて該担体膜内を上から下へ自然流下させ担
体膜の下端から浸出滴下させることを酢酸菌の生
育適温下に20〜30時間行う方法等が挙げられる。
こうして担体膜に酢酸菌を充分着生させることが
できる。そして、この担体膜に着生した酢酸菌は
繰り返し使用することができる。回分式発酵の場
合、2回目からは遅滞期(ラグ・フエイス)が殆
んど認められなくなり、食酢醪を供給すると短時
間のうちに酢化(アルコールを酸化して酢酸にす
る作用、以下同じ)が始まる。また装置が故障で
食酢醪の供給が1時停止しても酢酸菌は死滅する
ことがなく、再び食酢醪を供給すれば再び旺盛な
発酵が開始される。 酢酸菌が着生した担体膜の酢化速度は単位面積
当りに換算すると、従来の静置式発酵法の菌膜の
酢化速度と大差なく、発酵タンク内において担体
膜を適当な間隔に多数配置することにより従来の
静置式発酵法に比較し菌膜面積を著しく増大する
ことができ、発酵期間を著しく短縮することがで
きる。 次に本発明に用いられる食酢醪としては、通常
の食酢の製造法に従つて調製される食酢醪が挙げ
られ、例えば日本酒、ブドウ酒等の酒類、芋類、
穀類を原料としてこれを糖化、アルコール発酵し
て得られるアルコール含有醸造物、又はアルコー
ル含有水溶液に酢酸菌の栄養物(例えば酒粕の浸
出液等)を加えたもの等が挙げられる。 発酵は密閉系で行なわれるため、酢酸発酵の途
中で食酢醪の成分であるアルコール、酢酸等の酸
および水分の蒸発損失を極力防止することができ
るのでアルコールから酢酸の収率、即ち食酢の収
率が顕著に増大する。 しかし密閉系で行うので、発酵タンクの気相部
の酸素濃度を測定し、酸素濃度が低下したときに
酸素を供給して酸素濃度を5〜60%になるように
保持する。 このことは極めて重要であつて、酸素濃度が多
すぎても少なすぎても酢化速度が遅くなり風味が
劣化する。 ここに用いられる酸素としては、空気、酸素濃
度20%(V/V)以上の高濃度酸素含有気体およ
び純酸素が挙げられる。 酸素として空気又は高濃度酸素含有気体を使用
する場合、醪の発酵に伴つて酸素以外のガス(例
えば窒素ガス)は利用されることなく気相中に残
るので、気相中の酸素濃度を、供給される酸素含
有気体に近い一点濃度に維持しようとする場合、
この窒素ガスを調圧装置より発酵タンク外に排出
しなければならないが、気相中から酸素ガスと窒
素ガスを分離し窒素ガスのみを該調圧装置からタ
ンク外に排出することは殆んど不可能であるので
気相内の酸素濃度を一定濃度で長期間保つために
は送気量が増大し、該調圧装置から莫大な排出ガ
スが排出することになり、醪の有用成分が逸散す
る危険性が生ずる。 従つて、この場合、酸素濃度を上記範囲内にお
いて上限値と下限値の2点をとり、酸素濃度が該
下限値に到達したら送気して該上限値まで短時間
に増大させるようにすれば、送気量は少量でよ
く、それに伴つて排出ガスも少量になるのでアル
コール等の有用成分の逸散が防止される。 すなわち、酸素として空気を用いる場合、気相
の酸素濃度を5〜19%の範囲内で定めた任意の上
限値と下限値で、酸素濃度が該下限値に到達した
ら、空気を供給して酸素濃度を該上限値まで短時
間に増大させ、送気を止め、以後はこの操作を断
続して繰返すのである。 特に上限値を13〜17%の範囲とし下限値をそれ
以下とする場合には、送気量はさらに少量で良
く、従つてアルコール等の逸散は殆んどなくな
る。しかしながら、上限値を18%または19%とし
下限値をそれ以下とする場合には、上限値と下限
値との間が2%未満では絶えず送気を行う必要が
生ずるので、アルコール等の逸散が多くなり、食
酢の収率が低下するので、上限値と下限値との間
が2%以上、好ましくは3%以上となるように間
隔をもたせて下限値を設定することが好ましい。 次に酸素として、21%以上の高濃度酸素含有気
体を使用する場合には、発酵タンク内気相中の酸
素濃度を、5〜60%の範囲内で任意の上限値と下
限値を定め、酸素濃度が該下限値に到達したら高
濃度酸素含有気体を供給して酸素濃度を短時間に
増大させるようにする。 この際、酸素濃度は純度を上げる程、送気量は
少なくて良く、排出ガスも少量となり、該排出ガ
スとともに有用成分が逸散されるのを防止するこ
とができる。 また酸素として純酸素を用いる場合、全部が酢
酸発酵に利用されるので、調圧装置25を経て発
酵タンク外へ排出される排出ガスは殆んどなく、
アルコール等の逸散が防止できるので食酢の収率
が著しく向上する。 次に酢酸発酵の完了した醪は担体膜の下端部よ
り浸出滴下し、発酵タンク底部にたまるのでこれ
を醪排出パイプ24より取り出し、該取り出した
醪に相当する食酢醪を発酵タンク上の醪滞溜槽3
に補給し、食酢を連続的に製造することもでき
る。 また食酢醪が担体膜内を1回の流下で発酵が完
了しない場合には、発酵タンク底部に溜つた醪を
再び醪滞溜槽へ循環させるか、或いは担体膜を垂
直ではなくて傾斜させるか、担体膜を長くする
か、担体膜の形状を下部に向つて末広がりとする
か、又は担体膜の組織を緻密にするか等操作し
て、酢酸菌と食酢醪の接触時間、接触量、接触面
積を増大させることにより酢酸発酵を完了させる
ことができる。 次に、こうして得られた発酵終了醪は発酵タン
クから取り出し、次いで通常の食酢の製造法に従
つて、熟成、過及び成分の規格調製等を行つた
後殺菌をして製品とする。 以上説明したことから明らかなように、本発明
は密閉式の発酵タンク内に表面積の大きい、酢酸
菌を着生させた多孔質の担体膜を適当な間隔をお
いて多数配置し、食酢醪を該担体膜の上部に供給
浸透させ担体膜内を自然流下させ酢酸菌と接触し
発酵を行うものであるから、従来の静置式発酵法
に比較し菌膜面積を著しく増大させることがで
き、発酵期間を大巾に短縮することができる。 また本発明は従来の液内通気撹拌方法及び滴下
式発酵法のように食酢醪を気泡又は空気と激しく
接触させるものではなく、担体膜内部において酢
酸菌と食酢醪とを静かに接触し、食酢醪が空気に
直接接触することを極力防止しつつ酢酸菌の酢化
のみを液内通気撹拌方式なみに急速に行うもので
あるから、食酢醪の成分である原料酒の優れた香
気が損なわれることが無く、又不必要に食酢醪が
空気と接触して酸化し不快な香り及び味などが生
成することがなく、香り、味及び総合の面からみ
て非常に優れた高品質の食酢が、簡単な装置によ
り、しかも非常に短期間で得ることができる。 また発酵が密閉系で行なわれるために、酢酸発
酵の途中で食酢醪中の有用成分であるアルコー
ル、酸及び水分などの蒸発、逸散を極力防止する
ことができ食酢を収率良く得ることができる。 以下実施例を示して本発明をさらに詳細に説明
する。 実施例 1 発酵タンク1を縦40cm、横26cm、深さ28cmの密
閉系の箱形のタンクとし、担体膜2を、塩化ビニ
ル製担体支持枠26の両面に厚さ3mmの不織布
「ウオーセツプ、東洋レーヨン社製」を被覆し得
られたもの17組(担体膜の有効総面積は約約1.5
m2である)を10mm間隔にほぼ垂直に上端をそろえ
て立てたものとし、「食酢醪を担体膜の上部に供
給浸透させる手段」を醪滞溜槽3の底壁に設けた
貫通溝4に前記担体膜の上端を挿入して水漏れの
ないような構成とし、酸素濃度検出素子9はオリ
エンタル電気社製の気中・液中両用のRA酸素計
とし、酸素濃度制御装置10を「山武ハネウエ
ル・コントローラー、0〜100%方式」とし、温
度調節装置16,20をジムロート式冷却管と
し、「担体膜の下部より浸出滴下した醪を食酢醪
として発酵タンクに返送する手段」を醪タンク1
1と醪供給パイプ5とを循環ポンプ13を具備す
るパイプ12で連通する構成とし、調圧装置25
を内径1mmの細長い連通管として第1図の如くセ
ツトした。尚、循環ポンプ13による醪循環量は
担体膜下端部より浸出滴下する醪の自然降下量と
等しくした。 第1図の醪滞溜槽3に米酢、清酒及び水を用い
て調製し、酢酸菌の混入された食酢醪20〔酸度
1%(W/V)、アルコール5%(V/V)〕を入
れ、酸素濃度検出素子9及び酸素濃度制御装置1
0によつて自動的に給気管6の制御弁7を開閉操
作し気相の酸素濃度が下限値である7%に達した
とき、空気の供給を開始し、上限値である12%に
達したとき供給を停止し、酸素濃度を7〜12%の
範囲に保ち、当初発酵タンク内の温度を約30℃に
保持し、醪を循環しつつ回分式による酢酸発酵を
開始した。 そして発酵タンクの気相部の温度が30℃を越え
たら温度調節装置16に冷水を通流して醪の品温
を下げ、循環ポンプ13を経て醪滞溜槽3に戻し
発酵タンク内の温度を29〜31℃に制御する。 又気相を連続的に吹き出し気体循環装置19を
経て発酵タンクに戻し、担体膜間の気相を対流さ
せて酸素濃度を均一にし、発酵を行つた。 次に、酢酸発酵の終了した醪は全量発酵タンク
より汲み出し、酢酸菌の着生した担体膜はそのま
ま残して再び前記と同じ組成の新しい食酢醪を同
量仕込み、引き継ぎによる酢酸発酵を2回行い、
それぞれについて経日的酸度の変化を調べたとこ
ろ第2図に示す如き結果が得られた。 この結果から、初回目の場合は約2日の遅滞期
が認められるが、引き継ぎ(第2回目、第3回
目)の場合は、それが認められず、直ちに酢化が
開始し、酢化速度も初回目よりやや速く、酸度約
7%の食酢が約40時間で得られることが判る。 実施例 2 実施例1の引き継ぎによる酢酸発酵において、
不織布「ウオーセツプ(東洋レーヨン製)」に代
えて厚手の布「タフネルオイルプロツター(三井
石油化学社製)」を用いる以外は前記実施例1の
引き継ぎによる酢酸発酵と全く同様に処理した。 また比較のため第1図の発酵タンクにおいて、
発酵タンクから酢酸菌の着生した担体膜、醪滞溜
槽及び発酵タンクを密閉する蓋体とを取り外して
開放系の発酵タンクとし、これに上記と同じ原料
醪20を仕込み、発酵タンク内の温度を約30℃に
保持しつつ通常の静置式発酵法により食酢を製造
した。 以上2つの方法において、得られる醪の酸度、
発酵終了迄に要する期間及びアルコールから酢酸
の収率を調べたところ第1表に示す如き結果が得
られた。
良く得ることのできる食酢の醸造法及びその装置
に関する。 従来、食酢の醸造法としては種々の方法が知ら
れており、その一方法として静置式発酵法が知ら
れている。 この方法によると、液内通気撹拌式発酵法等、
他の方法に比べて品質的に優れた醸造食酢が得ら
れる利点があるが、発酵に長期間を必要とし、か
つ広い平面(表面)で発酵が行なわれるために単
位面積当りの酢酸の収量が低く、しかも開放系で
発酵が行なわれるために醪中のアルコール、酢酸
等の蒸発逸散が大きく、酢酸すなわち食酢を収率
良く得ることができないという大きな欠点を有し
ている。 そこで本発明者は静置式発酵法における利点は
そのまま残し、上記欠点を解消すべく種々研究を
重ねた結果、密閉式の発酵タンク内において、酢
酸菌を着生させた多孔質の担体膜を垂直に又は傾
斜して多数配置し、食酢醪を該担体膜の上部に供
給浸透させ担体膜内を流下させ酢酸菌と接触させ
るとともに、気相部の酸素濃度を5〜60%(V/
V)(以下、酸素濃度はV/Vによる)となるよ
うに保持しつつ酢酸発酵を行うことによつて高品
質の食酢を非常に短期間に、しかも収率良く得る
ことができることを知り、この知見に基いて本発
明を完成した。 以下、本発明の装置の1例を添付図面によつて
示し、さらにその装置を用いた食酢の醸造法を示
して本発明をさらに詳細に説明する。 第1図は本発明の食酢の醸造装置の1具体例を
示す縦断概略説明図を示し、1は箱形をした密閉
式の発酵タンクで、その内部には酢酸菌を着生さ
せた担体膜2が多数、垂直に並んで配置されてい
る。 そして、担体膜の上方には、食酢醪を担体膜の
上部に供給浸透させる手段が設けられている。そ
の構成としては、図示のように発酵タンクの上方
に醪滞溜槽3を設け、この底壁部に上記担体膜の
上端と密接に嵌合する貫通溝4又は貫通孔を設
け、これに担体膜の上端を密着させて溝又は孔を
閉鎖し、醪を醪供給パイプ5より醪滞溜槽3に供
給し、担体膜2の上端部を食酢醪に浸漬する手段
でもよいし、又は醪分散パイプ等(図示せず)を
用いて食酢醪を担体膜の上部に滴下、或いは注入
する手段等が挙げられる。そして上記の担体膜の
上端部を食酢醪に浸漬する手段は、担体膜におけ
る食酢醪の浸透速度を考慮せずに食酢醪を担体膜
に供給することができるので好ましい。 6は給気管でその一端は発酵タンクの気相部に
連通し、他端は電磁弁などの開閉弁7を介して、
給気ポンプ、酸素ボンベ等の酸素供給源8に連通
している。また9は発酵タンクの気相部に設けら
れた酸素濃度検出素子で、該検出素子9と前記給
気管6に介装した開閉弁7とを、酸素濃度制御装
置10を介して連絡し、該制御装置10により気
相中の酸素濃度が常に特定の範囲になるように構
成されている。そして酸素濃度検出素子9によつ
て測定された気相中の酸素濃度は酸素濃度制御装
置10によつて電気的出力に変換せしめられ、こ
の出力によつて開閉弁7を開閉し気相部の酸素濃
度は自動的に調整できるように構成されている。 本発明の発酵タンクの気相内の酸素濃度を設御
する手段は以上述べた給気パイプ6、酸素濃度検
出素子9及び酸素濃度制御装置10から構成され
ている。 11は醪タンクで、担体膜の下端部より浸出滴
下する醪を一時貯えておくものである。 12は醪循環パイプで、その途中に循環ポンプ
13を介装している。そしてその一端は醪タンク
11内に連通し、他端は醪供給パイプ5に連通し
ている。 14は醪内に挿入された温度計等の測温体で、
温度制御装置15を介して醪循環パイプ12内に
設けられた熱交換器16の制御部17(この実施
例では温・冷水通流開閉弁)に連絡し、醪が担体
膜内を流下し酢酸菌と接触するときに、醪が酢酸
菌の発酵適温に保たれるように構成されている。 18は気相循環パイプで、担体膜と担体膜の間
の気相部を対流させて、気相の酸素濃度を均一に
し、担体膜に酸素を充分供給するとともに、担体
膜に生じた発酵熱を取り除き、担体膜が常に一定
の品温を保てるように設けられている。そして、
発酵タンクの気相部の任意の少なくとも2箇所
(この実施例では発酵タンクの蓋体の頂壁両端の
2箇所)を連通し、その途中に気体循環装置19
及び温度調節装置20を具備している。そして2
1は温度計などの測温体で、該測温体と一体的に
構成されるか、又は図示のように別に設けられた
温度制御装置22を介して上記温度調節装置20
の温・冷水通流開閉弁などの制御部23に連絡
し、気相の温度を制御できるように構成されてい
る。 多数の担体膜の表面は酢酸発酵に伴つて莫大な
発酵熱が生ずるが、該担体膜は表面積が大きいの
で該発酵熱は効果的に気相部に放出され、該気相
部に放出された発酵熱は気相循環パイプの温度調
節装置により効果的に除去することができる。 上記2つの温度調節装置16及び20はそれぞ
れ醪及び気相部の温度制御が必要な場合に使用す
れば良い。 又25は調圧装置であつて、気相部のガス圧が
一定値(例えば常圧)より高くなつた場合には、
気相部のガスの一部は該調圧装置25を介して排
気できるように構成されている。通常は逆止弁又
は図示のように発酵タンクの頂壁に挿入した細長
い連通管が用いられる。また該調圧装置本体外周
壁に沿つて冷水の通流するジヤケツトを囲設し、
該装置を冷却しても良い。 このようにすると気相内に含まれるエチルアル
コール蒸気、酢酸の蒸気等、有用成分が凝縮して
原料醪に還元され、食酢の収率が向上する。 ここに用いられる担体膜の形態は平板状、筒状
その他一般に本発明の実施に適した形態である限
り任意である。 又、膜は単独で用いてもよいし、又多孔性支持
体あるいは枠型の支持体26の上に張り合わせて
用いても良い。 又、担体膜の数は1つでもよいが、適当な間隔
をおいて数多く並べて用いても良い。 その場合、担体膜の間隔は、担体膜の形状、大
きさ、設置の仕方、送風機の有無、能力等によつ
ても異なるが要は充分な気相の流通が行ない得る
ようにすることが好ましい。 そして担体膜は一方に傾斜して、好ましくは垂
直に配置する。このように配置することによつ
て、担体膜の上部に供給浸透された食酢醪は該担
体膜内部を上方から下方に向つて自然流下し、該
担体膜に着生した酢酸菌と接触し酢酸発酵を行う
ことができる。そして食酢醪の担体膜上部への供
給速度は該担体膜の食酢醪の浸透速度を越えない
範囲で行うことが望ましい。即ち単位時間当り担
体膜の食酢醪の浸透量を越えて食酢醪を供給する
と越えた分に担当する食酢醪は担体膜の一部から
溢流し、担体膜に着生している酢酸菌皮膜層を破
壊し、流去するので、その部分では酢酸発酵を旺
盛に持続できなくなる危険性を有する。 次に担体膜としては、その表面が酢酸菌の着生
が容易な材質でできていることが重要である。こ
のような材質としては、多孔質で数ミリ〜数セン
チの厚さを有する、例えば布および水不溶性の紙
等が挙げられるが、特に親油性(疎水性)の不織
布及び厚手の布が好ましい。厚手の不織布の具体
例としては、ウオーセツプ(WOSEP、東洋レー
ヨン社製)、タフネルオイルプロツター(三井石
油化学社製)、テイジン・オルソーブ(TEIJIN
−OLSORB、帝人社製)のものが、又厚手の布
の具体例としては綿ネル等が挙げられる。 次に担体膜へ酢酸菌を着生させる方法として
は、酢酸菌を接種した食酢醪中に担体膜を10〜20
秒浸しては数拾秒〜数分間空気中に引き揚げるこ
とを酢酸菌の生育適温で数日繰り返す方法、及び
担体膜の上端から、酢酸菌を接種した食酢醪を浸
透させて該担体膜内を上から下へ自然流下させ担
体膜の下端から浸出滴下させることを酢酸菌の生
育適温下に20〜30時間行う方法等が挙げられる。
こうして担体膜に酢酸菌を充分着生させることが
できる。そして、この担体膜に着生した酢酸菌は
繰り返し使用することができる。回分式発酵の場
合、2回目からは遅滞期(ラグ・フエイス)が殆
んど認められなくなり、食酢醪を供給すると短時
間のうちに酢化(アルコールを酸化して酢酸にす
る作用、以下同じ)が始まる。また装置が故障で
食酢醪の供給が1時停止しても酢酸菌は死滅する
ことがなく、再び食酢醪を供給すれば再び旺盛な
発酵が開始される。 酢酸菌が着生した担体膜の酢化速度は単位面積
当りに換算すると、従来の静置式発酵法の菌膜の
酢化速度と大差なく、発酵タンク内において担体
膜を適当な間隔に多数配置することにより従来の
静置式発酵法に比較し菌膜面積を著しく増大する
ことができ、発酵期間を著しく短縮することがで
きる。 次に本発明に用いられる食酢醪としては、通常
の食酢の製造法に従つて調製される食酢醪が挙げ
られ、例えば日本酒、ブドウ酒等の酒類、芋類、
穀類を原料としてこれを糖化、アルコール発酵し
て得られるアルコール含有醸造物、又はアルコー
ル含有水溶液に酢酸菌の栄養物(例えば酒粕の浸
出液等)を加えたもの等が挙げられる。 発酵は密閉系で行なわれるため、酢酸発酵の途
中で食酢醪の成分であるアルコール、酢酸等の酸
および水分の蒸発損失を極力防止することができ
るのでアルコールから酢酸の収率、即ち食酢の収
率が顕著に増大する。 しかし密閉系で行うので、発酵タンクの気相部
の酸素濃度を測定し、酸素濃度が低下したときに
酸素を供給して酸素濃度を5〜60%になるように
保持する。 このことは極めて重要であつて、酸素濃度が多
すぎても少なすぎても酢化速度が遅くなり風味が
劣化する。 ここに用いられる酸素としては、空気、酸素濃
度20%(V/V)以上の高濃度酸素含有気体およ
び純酸素が挙げられる。 酸素として空気又は高濃度酸素含有気体を使用
する場合、醪の発酵に伴つて酸素以外のガス(例
えば窒素ガス)は利用されることなく気相中に残
るので、気相中の酸素濃度を、供給される酸素含
有気体に近い一点濃度に維持しようとする場合、
この窒素ガスを調圧装置より発酵タンク外に排出
しなければならないが、気相中から酸素ガスと窒
素ガスを分離し窒素ガスのみを該調圧装置からタ
ンク外に排出することは殆んど不可能であるので
気相内の酸素濃度を一定濃度で長期間保つために
は送気量が増大し、該調圧装置から莫大な排出ガ
スが排出することになり、醪の有用成分が逸散す
る危険性が生ずる。 従つて、この場合、酸素濃度を上記範囲内にお
いて上限値と下限値の2点をとり、酸素濃度が該
下限値に到達したら送気して該上限値まで短時間
に増大させるようにすれば、送気量は少量でよ
く、それに伴つて排出ガスも少量になるのでアル
コール等の有用成分の逸散が防止される。 すなわち、酸素として空気を用いる場合、気相
の酸素濃度を5〜19%の範囲内で定めた任意の上
限値と下限値で、酸素濃度が該下限値に到達した
ら、空気を供給して酸素濃度を該上限値まで短時
間に増大させ、送気を止め、以後はこの操作を断
続して繰返すのである。 特に上限値を13〜17%の範囲とし下限値をそれ
以下とする場合には、送気量はさらに少量で良
く、従つてアルコール等の逸散は殆んどなくな
る。しかしながら、上限値を18%または19%とし
下限値をそれ以下とする場合には、上限値と下限
値との間が2%未満では絶えず送気を行う必要が
生ずるので、アルコール等の逸散が多くなり、食
酢の収率が低下するので、上限値と下限値との間
が2%以上、好ましくは3%以上となるように間
隔をもたせて下限値を設定することが好ましい。 次に酸素として、21%以上の高濃度酸素含有気
体を使用する場合には、発酵タンク内気相中の酸
素濃度を、5〜60%の範囲内で任意の上限値と下
限値を定め、酸素濃度が該下限値に到達したら高
濃度酸素含有気体を供給して酸素濃度を短時間に
増大させるようにする。 この際、酸素濃度は純度を上げる程、送気量は
少なくて良く、排出ガスも少量となり、該排出ガ
スとともに有用成分が逸散されるのを防止するこ
とができる。 また酸素として純酸素を用いる場合、全部が酢
酸発酵に利用されるので、調圧装置25を経て発
酵タンク外へ排出される排出ガスは殆んどなく、
アルコール等の逸散が防止できるので食酢の収率
が著しく向上する。 次に酢酸発酵の完了した醪は担体膜の下端部よ
り浸出滴下し、発酵タンク底部にたまるのでこれ
を醪排出パイプ24より取り出し、該取り出した
醪に相当する食酢醪を発酵タンク上の醪滞溜槽3
に補給し、食酢を連続的に製造することもでき
る。 また食酢醪が担体膜内を1回の流下で発酵が完
了しない場合には、発酵タンク底部に溜つた醪を
再び醪滞溜槽へ循環させるか、或いは担体膜を垂
直ではなくて傾斜させるか、担体膜を長くする
か、担体膜の形状を下部に向つて末広がりとする
か、又は担体膜の組織を緻密にするか等操作し
て、酢酸菌と食酢醪の接触時間、接触量、接触面
積を増大させることにより酢酸発酵を完了させる
ことができる。 次に、こうして得られた発酵終了醪は発酵タン
クから取り出し、次いで通常の食酢の製造法に従
つて、熟成、過及び成分の規格調製等を行つた
後殺菌をして製品とする。 以上説明したことから明らかなように、本発明
は密閉式の発酵タンク内に表面積の大きい、酢酸
菌を着生させた多孔質の担体膜を適当な間隔をお
いて多数配置し、食酢醪を該担体膜の上部に供給
浸透させ担体膜内を自然流下させ酢酸菌と接触し
発酵を行うものであるから、従来の静置式発酵法
に比較し菌膜面積を著しく増大させることがで
き、発酵期間を大巾に短縮することができる。 また本発明は従来の液内通気撹拌方法及び滴下
式発酵法のように食酢醪を気泡又は空気と激しく
接触させるものではなく、担体膜内部において酢
酸菌と食酢醪とを静かに接触し、食酢醪が空気に
直接接触することを極力防止しつつ酢酸菌の酢化
のみを液内通気撹拌方式なみに急速に行うもので
あるから、食酢醪の成分である原料酒の優れた香
気が損なわれることが無く、又不必要に食酢醪が
空気と接触して酸化し不快な香り及び味などが生
成することがなく、香り、味及び総合の面からみ
て非常に優れた高品質の食酢が、簡単な装置によ
り、しかも非常に短期間で得ることができる。 また発酵が密閉系で行なわれるために、酢酸発
酵の途中で食酢醪中の有用成分であるアルコー
ル、酸及び水分などの蒸発、逸散を極力防止する
ことができ食酢を収率良く得ることができる。 以下実施例を示して本発明をさらに詳細に説明
する。 実施例 1 発酵タンク1を縦40cm、横26cm、深さ28cmの密
閉系の箱形のタンクとし、担体膜2を、塩化ビニ
ル製担体支持枠26の両面に厚さ3mmの不織布
「ウオーセツプ、東洋レーヨン社製」を被覆し得
られたもの17組(担体膜の有効総面積は約約1.5
m2である)を10mm間隔にほぼ垂直に上端をそろえ
て立てたものとし、「食酢醪を担体膜の上部に供
給浸透させる手段」を醪滞溜槽3の底壁に設けた
貫通溝4に前記担体膜の上端を挿入して水漏れの
ないような構成とし、酸素濃度検出素子9はオリ
エンタル電気社製の気中・液中両用のRA酸素計
とし、酸素濃度制御装置10を「山武ハネウエ
ル・コントローラー、0〜100%方式」とし、温
度調節装置16,20をジムロート式冷却管と
し、「担体膜の下部より浸出滴下した醪を食酢醪
として発酵タンクに返送する手段」を醪タンク1
1と醪供給パイプ5とを循環ポンプ13を具備す
るパイプ12で連通する構成とし、調圧装置25
を内径1mmの細長い連通管として第1図の如くセ
ツトした。尚、循環ポンプ13による醪循環量は
担体膜下端部より浸出滴下する醪の自然降下量と
等しくした。 第1図の醪滞溜槽3に米酢、清酒及び水を用い
て調製し、酢酸菌の混入された食酢醪20〔酸度
1%(W/V)、アルコール5%(V/V)〕を入
れ、酸素濃度検出素子9及び酸素濃度制御装置1
0によつて自動的に給気管6の制御弁7を開閉操
作し気相の酸素濃度が下限値である7%に達した
とき、空気の供給を開始し、上限値である12%に
達したとき供給を停止し、酸素濃度を7〜12%の
範囲に保ち、当初発酵タンク内の温度を約30℃に
保持し、醪を循環しつつ回分式による酢酸発酵を
開始した。 そして発酵タンクの気相部の温度が30℃を越え
たら温度調節装置16に冷水を通流して醪の品温
を下げ、循環ポンプ13を経て醪滞溜槽3に戻し
発酵タンク内の温度を29〜31℃に制御する。 又気相を連続的に吹き出し気体循環装置19を
経て発酵タンクに戻し、担体膜間の気相を対流さ
せて酸素濃度を均一にし、発酵を行つた。 次に、酢酸発酵の終了した醪は全量発酵タンク
より汲み出し、酢酸菌の着生した担体膜はそのま
ま残して再び前記と同じ組成の新しい食酢醪を同
量仕込み、引き継ぎによる酢酸発酵を2回行い、
それぞれについて経日的酸度の変化を調べたとこ
ろ第2図に示す如き結果が得られた。 この結果から、初回目の場合は約2日の遅滞期
が認められるが、引き継ぎ(第2回目、第3回
目)の場合は、それが認められず、直ちに酢化が
開始し、酢化速度も初回目よりやや速く、酸度約
7%の食酢が約40時間で得られることが判る。 実施例 2 実施例1の引き継ぎによる酢酸発酵において、
不織布「ウオーセツプ(東洋レーヨン製)」に代
えて厚手の布「タフネルオイルプロツター(三井
石油化学社製)」を用いる以外は前記実施例1の
引き継ぎによる酢酸発酵と全く同様に処理した。 また比較のため第1図の発酵タンクにおいて、
発酵タンクから酢酸菌の着生した担体膜、醪滞溜
槽及び発酵タンクを密閉する蓋体とを取り外して
開放系の発酵タンクとし、これに上記と同じ原料
醪20を仕込み、発酵タンク内の温度を約30℃に
保持しつつ通常の静置式発酵法により食酢を製造
した。 以上2つの方法において、得られる醪の酸度、
発酵終了迄に要する期間及びアルコールから酢酸
の収率を調べたところ第1表に示す如き結果が得
られた。
【表】
第1表の結果から、比較例の静置式発酵法にお
いては、発酵終了までに28日もの長期間を必要と
し、酢酸発酵の途中でアルコール等の蒸発逸散が
大きく、従つて発酵終了時の酸度が低く、又アル
コールから酢酸の収率は理論値の60%と非常に低
いことが判る。 これに対して、本発明の区分は発酵終了迄に要
する期間が40時間であつて、比較例の28日と比べ
ると極めて短く(約17分の1)、又酢酸の収率が
92%と非常に高いことが判る。 次に第1表の本発明区分で得られた食酢と、
種々の食酢製造法のうち最も香り、味の良好な食
酢が得られると言われる静置式発酵法により得ら
れた比較例の食酢(いずれも酸度を5%に調製し
たもの)の官能検査を訓練された20名のパネルに
より実施したところ第2表に示す如き結果が得ら
れた。
いては、発酵終了までに28日もの長期間を必要と
し、酢酸発酵の途中でアルコール等の蒸発逸散が
大きく、従つて発酵終了時の酸度が低く、又アル
コールから酢酸の収率は理論値の60%と非常に低
いことが判る。 これに対して、本発明の区分は発酵終了迄に要
する期間が40時間であつて、比較例の28日と比べ
ると極めて短く(約17分の1)、又酢酸の収率が
92%と非常に高いことが判る。 次に第1表の本発明区分で得られた食酢と、
種々の食酢製造法のうち最も香り、味の良好な食
酢が得られると言われる静置式発酵法により得ら
れた比較例の食酢(いずれも酸度を5%に調製し
たもの)の官能検査を訓練された20名のパネルに
より実施したところ第2表に示す如き結果が得ら
れた。
【表】
第2表の結果から、静置式発酵法により得られ
る食酢に比べて、本発明により得られる食酢はや
や良く評価され、本発明により香り、味及び総合
において非常に優れた高品質の食酢が得られるこ
とが判る。 実施例 3 実施例1の引き継ぎによる食酢の製造法におい
て、空気に代えて純酸素ガスを用い、気相の酸素
濃度が17.5%に低下したら気相内に純酸素ガスを
供給して22.5%まで上昇させることを繰り返して
気相の酸素濃度を17.5〜22.5%に保持しつつ発酵
を行う以外は全く実施例1と同様にして、酸度
7.4%の食酢を仕込後30時間で得ることができた。
また食酢の収率は98.0%であつた。 実施例 4 実施例1に用いた食酢の醸造装置において、塩
化ビニル製担体支持枠26の片面に、厚手の布
「タフネルオイルプロツター(三井石油化学社
製)」を被覆し得られたもの18組(担体膜の有効
総面積は約1.6m2である)を用い、第1図の醪滞
溜槽3に種酢、清酒及び水を用いて調製した食酢
醪22.6〔酸度2.0%(W/V)、アルコール4.9%
(V/V)〕を仕込み、純酸素ガスを供給し発酵タ
ンク内気相の酸素濃度を15〜20%に保持する以外
は、実施例1と全く同様にして酢化処理を行つ
た。 その結果、仕込後47時間30分後に、酸度8.1%
の食酢22.5が得られた。 実施例 5 実施例4に用いた装置から、発酵の終了した醪
を全量取り出し、新たに種酢、清酒及び水を用い
て調製した食酢醪22.2(酸度1.2%、アルコー
ル4.5%)を仕込み、実施例4と同一条件で酢化
処理を行い、仕込後30時間後より清酒4.9(ア
ルコール15%)を180ml/時で醪に注入した。 その結果、仕込後63時間後に酸度9.2%の食酢
27が得られた。 実施例 6 実施例1の引き継ぎによる酢酸発酵において、
塩化ビニル製担体支持枠26の両面に、厚手の綿
ネルを被覆し得られたもの21組(担体膜の有効総
面積は約1.9m2である)を用い、第1図の醪滞溜
槽3に種酢、清酒及び水を用いて調製した食酢醪
18.8(酸度1.6%、アルコール3.2%)を仕込み、
純酸素ガスを供給し、発酵タンク内気相の酸素濃
度を15〜20%に保持し、仕込後59.5時間後より清
酒5(アルコール11.9%)を174ml/時で醪に
注入する以外は、実施例1と全く同様にして酢化
処理を行つた。 その結果、仕込後97時間後に酸度7.5%の食酢
23.8が得られた。
る食酢に比べて、本発明により得られる食酢はや
や良く評価され、本発明により香り、味及び総合
において非常に優れた高品質の食酢が得られるこ
とが判る。 実施例 3 実施例1の引き継ぎによる食酢の製造法におい
て、空気に代えて純酸素ガスを用い、気相の酸素
濃度が17.5%に低下したら気相内に純酸素ガスを
供給して22.5%まで上昇させることを繰り返して
気相の酸素濃度を17.5〜22.5%に保持しつつ発酵
を行う以外は全く実施例1と同様にして、酸度
7.4%の食酢を仕込後30時間で得ることができた。
また食酢の収率は98.0%であつた。 実施例 4 実施例1に用いた食酢の醸造装置において、塩
化ビニル製担体支持枠26の片面に、厚手の布
「タフネルオイルプロツター(三井石油化学社
製)」を被覆し得られたもの18組(担体膜の有効
総面積は約1.6m2である)を用い、第1図の醪滞
溜槽3に種酢、清酒及び水を用いて調製した食酢
醪22.6〔酸度2.0%(W/V)、アルコール4.9%
(V/V)〕を仕込み、純酸素ガスを供給し発酵タ
ンク内気相の酸素濃度を15〜20%に保持する以外
は、実施例1と全く同様にして酢化処理を行つ
た。 その結果、仕込後47時間30分後に、酸度8.1%
の食酢22.5が得られた。 実施例 5 実施例4に用いた装置から、発酵の終了した醪
を全量取り出し、新たに種酢、清酒及び水を用い
て調製した食酢醪22.2(酸度1.2%、アルコー
ル4.5%)を仕込み、実施例4と同一条件で酢化
処理を行い、仕込後30時間後より清酒4.9(ア
ルコール15%)を180ml/時で醪に注入した。 その結果、仕込後63時間後に酸度9.2%の食酢
27が得られた。 実施例 6 実施例1の引き継ぎによる酢酸発酵において、
塩化ビニル製担体支持枠26の両面に、厚手の綿
ネルを被覆し得られたもの21組(担体膜の有効総
面積は約1.9m2である)を用い、第1図の醪滞溜
槽3に種酢、清酒及び水を用いて調製した食酢醪
18.8(酸度1.6%、アルコール3.2%)を仕込み、
純酸素ガスを供給し、発酵タンク内気相の酸素濃
度を15〜20%に保持し、仕込後59.5時間後より清
酒5(アルコール11.9%)を174ml/時で醪に
注入する以外は、実施例1と全く同様にして酢化
処理を行つた。 その結果、仕込後97時間後に酸度7.5%の食酢
23.8が得られた。
第1図は本発明の食酢の醸造装置の1具体例を
示す縦断概略説明図、第2図は本発明の食酢の醸
造法の経日的な酸度の変化を示す図、及び第3図
は食酢醪の経時的な酸度の変化をそれぞれ示す図
である。そして第3図において○−○は実施例4
の、△−△は実施例5の、そして□−□は実施例
6の、それぞれの食酢醪の経時的な酸度の変化を
示す曲線である。 1……発酵タンク、2……担体膜、3……醪滞
溜槽、6……給気管、8……酸素供給源、9……
酸素濃度検出素子、10……酸素濃度制御装置、
25……調圧装置。
示す縦断概略説明図、第2図は本発明の食酢の醸
造法の経日的な酸度の変化を示す図、及び第3図
は食酢醪の経時的な酸度の変化をそれぞれ示す図
である。そして第3図において○−○は実施例4
の、△−△は実施例5の、そして□−□は実施例
6の、それぞれの食酢醪の経時的な酸度の変化を
示す曲線である。 1……発酵タンク、2……担体膜、3……醪滞
溜槽、6……給気管、8……酸素供給源、9……
酸素濃度検出素子、10……酸素濃度制御装置、
25……調圧装置。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 密閉式の発酵タンク内において、酢酸菌を着
生させた多孔質の担体膜を垂直に又は傾斜して配
置し、食酢醪を該担体膜の上部に供給浸透し該担
体膜内を流下させ、該酢酸菌と接触し、発酵タン
ク内の気相の酸素濃度を5〜60%(V/V)に保
持しつつ酢酸発酵を行うことを特徴とする食酢の
醸造法。 2 発酵タンク内の気相の酸素濃度を、5〜19%
(V/V)の範囲内で定めた任意の上限値と下限
値で、酸素濃度が下限値に到達したら空気を供給
して酸素濃度を速やかに上限値まで高める操作を
繰り返して保持する特許請求の範囲第1項記載の
食酢の醸造法。 3 発酵タンク内の気相の酸素濃度を、5〜60%
(V/V)の範囲内で定めた任意の上限値と下限
値で、酸素濃度が下限値に到達したら酸素濃度21
%(V/V)以上の高濃度酸素含有気体を供給し
て酸素濃度を速やかに上限値まで高める操作を繰
り返して保持する特許請求の範囲第1項記載の食
酢の醸造法。 4 純酸素を供給して発酵タンク内の気相の酸素
濃度を5〜60%(V/V)となるように保持しつ
つ酢酸発酵を行う特許請求の範囲第1項記載の食
酢の醸造法。 5 密閉式の発酵タンクと、該発酵タンク内に垂
直に又は傾斜して配置された、酢酸菌を着生させ
た多孔質の担体膜と、食酢醪を該担体膜の上部に
供給浸透させる手段と、該発酵タンクの気相内酸
素濃度を制御する手段と、該担体膜の下部より浸
出滴下する醪を返送循環させる手段とを備えたこ
とを特徴とする食酢の醸造装置。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP58022928A JPS59162872A (ja) | 1983-02-16 | 1983-02-16 | 食酢の醸造法及びその装置 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP58022928A JPS59162872A (ja) | 1983-02-16 | 1983-02-16 | 食酢の醸造法及びその装置 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPS59162872A JPS59162872A (ja) | 1984-09-13 |
| JPH0143547B2 true JPH0143547B2 (ja) | 1989-09-21 |
Family
ID=12096287
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP58022928A Granted JPS59162872A (ja) | 1983-02-16 | 1983-02-16 | 食酢の醸造法及びその装置 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPS59162872A (ja) |
Family Cites Families (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JPS4966898A (ja) * | 1972-10-05 | 1974-06-28 | ||
| JPS575684A (en) * | 1980-06-11 | 1982-01-12 | Kikkoman Corp | Preparation of vinegar and its apparatus |
-
1983
- 1983-02-16 JP JP58022928A patent/JPS59162872A/ja active Granted
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPS59162872A (ja) | 1984-09-13 |
Similar Documents
| Publication | Publication Date | Title |
|---|---|---|
| JPH01277481A (ja) | アルコール発酵果汁又は麦芽汁への調節された酸素添加方法及び該方法を実施するための装置 | |
| CN109536333A (zh) | 一种米浆水零排放的绍兴黄酒生产方法 | |
| JPS6355914B2 (ja) | ||
| KR100436530B1 (ko) | 발포성 저알코올 청주 및 그의 제조 방법 | |
| US3425839A (en) | Continuous beer making process wherein the wort and yeast are separated by a porous partition | |
| RU2153816C1 (ru) | Напиток, способ производства культуральной жидкости чайного гриба и способ производства напитка | |
| JPH0143547B2 (ja) | ||
| KR101366479B1 (ko) | 상미기간이 연장된 감미료 무첨가 고급탁주의 제조방법 | |
| CN120001074A (zh) | 一种基于提篮式与密闭式萃取技术的茶饮生产系统 | |
| CN108395972A (zh) | 一种提升豉香型白酒风味成分的陈酿罐和陈酿方法 | |
| JPH0159865B2 (ja) | ||
| JPH0215190B2 (ja) | ||
| JPS6232914B2 (ja) | ||
| JP5318523B2 (ja) | 食酢製造方法および接種用補助具 | |
| CN219099094U (zh) | 一种白酒陈化酒具 | |
| Unger et al. | Continuous aerobic process for distiller's yeast | |
| CN117210295B (zh) | 高效空间固态蟠桃香蜂蜜酒酿造方法及装置 | |
| CN112725117A (zh) | 一种新型用蜂蜜酿造蜜香型白酒的方法 | |
| JPH0638728A (ja) | バイオリアクタによる醸造酒の連続発酵方法 | |
| JP3659374B2 (ja) | 酒類の品質劣化防止方法及びその酒類 | |
| EP0452240A1 (fr) | Procédé et dispositif de fermentation semi-continue, notamment pour la fabrication industrielle d'un mélange biologique à base d'acide propionique | |
| JPS5953825B2 (ja) | 食酢の製造方法 | |
| RU2342424C2 (ru) | Периодический способ размножения чистой культуры дрожжей для пивоваренного производства и установка для его осуществления | |
| JP7703208B2 (ja) | ワインの製造方法及びワインの汚染防止方法 | |
| JP2007319005A (ja) | アルコール発酵方法 |