JPH0149357B2 - - Google Patents
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- JPH0149357B2 JPH0149357B2 JP60007196A JP719685A JPH0149357B2 JP H0149357 B2 JPH0149357 B2 JP H0149357B2 JP 60007196 A JP60007196 A JP 60007196A JP 719685 A JP719685 A JP 719685A JP H0149357 B2 JPH0149357 B2 JP H0149357B2
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- Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
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Description
発明の背景
本発明は抗腫瘍性のアンスラサイクリン化合物
である13―デオキソカルミノマイシン(以下
R20Xという)および13―デオキソ―10―ヒドロ
キシカルミノマイシン(以下R20X2という。ま
たR20XとR20X2とを総称して以下R20物質とい
う)の3′―デアミノ―3′―(4―モルホリニル)
誘導体に関する。 アンスラサイクリン化合物としては、従来より
放線菌の培養液から得られるダウノマイシン(米
国特許第3616242号明細書参照)およびアドリア
マイシン(米国特許第3590028号明細書参照)が
知られており、これらの化合物は抗腫瘍剤として
臨床的に広く利用されている。しかし、これらの
化合物は、強力な抗腫瘍作用を示すものの副作用
も強いため、必らずしも満足できるものではな
い。 本発明の3′―デアミノ―3′―(4―モルホリニ
ル)誘導体に関連する化合物として、Rivola、
G、et.al.はそのリーデイングコンパウンドであ
るR20XをStreptomyces peuceticus var.
carminatus(1524DSM、31502ATCC、4929FRI、
DR81FI Farmitalia mikrobiologische
Sammlung)の培養液より取得し、これが抗腫瘍
活性を有することを報告している(西ドイツ公開
特許第3012665号公報)。 さらに、アンスラサイクリン化合物のモルホリ
ニル誘導体としてアドリアマイシン、ダウノマイ
シンおよびカルミノマイシンの各種誘導体が合成
されて、その抗腫瘍活性が報告されている(特開
昭57−163393号公報、米国特許第4301277号公報、
特開昭59−212484号および同212499号公報、
Mosher、C.W.et.al:J.Med.Chem.25 18−24
(1982)、Johnston、J.B.:Biochemical
Pharmacology 32、(21)、3255−3258(1983)、
Acton、E.M.:J.Med.Chem.27 638−645(1984)
参照)。 しかしながら、これらの化合物も、本発明者ら
の知る限りにおいて、抗腫瘍活性または毒性の点
において必らずしも満足できるものではなく、よ
りすぐれたアンスラサイクリン化合物については
不断の希求があるといえよう。 発明の概要 本発明は、上記の希求に応えるものである。 すなわち、本発明によるアンスラサイクリン化
合物の3′―デアミノ―3′―(4―モルホリニル)
誘導体は、下式で示されるものである。本発明は
この化合物の酸付加塩にも関する。 本発明による抗腫瘍剤は、下式で示されるアン
スラサイクリン化合物の3′―デアミノ―3′―(4
―モルホリニル)誘導体またはその酸付加塩を有
効成分とするものである。 (式中Rは、水酸基を表わす) 発明の具体的説明 アンスラサイクリン化合物の3′―デアミノ―
3′―(4―モルホリニル)誘導体 本発明による式()の化合物は、R20X2(13
―デオキソ―10―ハイドロキシカルミノマイシ
ン。すなわち、式()でRが−OHの場合に相
当する。)の3′―デアミノ―3′―(4―モルホリ
ニル)誘導体であるので、これを3′―デアミノ―
3′―(4―モルホリニル)―R20X2と呼ぶ。3′―
デアミノ―3′―(4―モルホリニル)―R20X2の
一つの製造法はR20X2の3′―アミノ基を4―モル
ホリニル基に変換することからなるものであり、
一方R20X2の製造法の一つは微生物学的方法で
あつて、その場合はR20X(13―デオキソカルミ
ノマイシン。すなわち、式()でRが−Hの場
合に対応する)が併産される。従つて、以下の説
明においては、R20X2、ならびにR20Xおよび
3′―デアミノ―3′―(4―モルホリニル)―
R20X、についても参考までに言及するものとす
る。 1) 化学構造 本発明によるアンスラサイクリン化合物の
3′―デアミノ―3′―(4―モルホリニル)誘導
体は、上記式()で示される化学構造を有す
る。 2) 物理化学的性状 A 3′―デアミノ―3′―(4―モルホリニル)
―R20X (1) 外観:赤褐色粉末 (2) 元素分析: C H N O 分析値(%) 62.98 6.31 2.40 28.31 計算値(%) 63.26 6.19 2.46 28.09 (3) 分子量:569.6 (4) 融 点:143−144℃(分解) (5) 比旋光度:〔α〕25 D+76゜(C=0.05、メタ
ノール) (6) 紫外部可視部吸収スペクトル 第1図に示した通りである。 (イ) メタノール中 λmax nm(E1% 1cm) 234(683)、252(545)、292(158)、464
(205)、492(261)、508(194)、524(181)、
575(18) (ロ) 酸性メタノール中 λmax nm(E
1% 1cm) 234(783)、252(612)、292(192)、466
(233)、492(315)、510(227)、524(202) (ハ) アルカリ性メタノール中 λmax
nm(E1% 1cm) 226(422)、243(653)、290(166)、528
(126)、562(192)、596(162) (7) 赤外吸収スペクトル(臭化カリウム錠)
第2図に示した通りである。 (8) プロトン核磁気共鳴スペクトル (100メガヘルツ、重クロロホルム中)第
3図に示した通りである。 (9) Rf値(メルク社シリカゲルプレート
60F254使用)
である13―デオキソカルミノマイシン(以下
R20Xという)および13―デオキソ―10―ヒドロ
キシカルミノマイシン(以下R20X2という。ま
たR20XとR20X2とを総称して以下R20物質とい
う)の3′―デアミノ―3′―(4―モルホリニル)
誘導体に関する。 アンスラサイクリン化合物としては、従来より
放線菌の培養液から得られるダウノマイシン(米
国特許第3616242号明細書参照)およびアドリア
マイシン(米国特許第3590028号明細書参照)が
知られており、これらの化合物は抗腫瘍剤として
臨床的に広く利用されている。しかし、これらの
化合物は、強力な抗腫瘍作用を示すものの副作用
も強いため、必らずしも満足できるものではな
い。 本発明の3′―デアミノ―3′―(4―モルホリニ
ル)誘導体に関連する化合物として、Rivola、
G、et.al.はそのリーデイングコンパウンドであ
るR20XをStreptomyces peuceticus var.
carminatus(1524DSM、31502ATCC、4929FRI、
DR81FI Farmitalia mikrobiologische
Sammlung)の培養液より取得し、これが抗腫瘍
活性を有することを報告している(西ドイツ公開
特許第3012665号公報)。 さらに、アンスラサイクリン化合物のモルホリ
ニル誘導体としてアドリアマイシン、ダウノマイ
シンおよびカルミノマイシンの各種誘導体が合成
されて、その抗腫瘍活性が報告されている(特開
昭57−163393号公報、米国特許第4301277号公報、
特開昭59−212484号および同212499号公報、
Mosher、C.W.et.al:J.Med.Chem.25 18−24
(1982)、Johnston、J.B.:Biochemical
Pharmacology 32、(21)、3255−3258(1983)、
Acton、E.M.:J.Med.Chem.27 638−645(1984)
参照)。 しかしながら、これらの化合物も、本発明者ら
の知る限りにおいて、抗腫瘍活性または毒性の点
において必らずしも満足できるものではなく、よ
りすぐれたアンスラサイクリン化合物については
不断の希求があるといえよう。 発明の概要 本発明は、上記の希求に応えるものである。 すなわち、本発明によるアンスラサイクリン化
合物の3′―デアミノ―3′―(4―モルホリニル)
誘導体は、下式で示されるものである。本発明は
この化合物の酸付加塩にも関する。 本発明による抗腫瘍剤は、下式で示されるアン
スラサイクリン化合物の3′―デアミノ―3′―(4
―モルホリニル)誘導体またはその酸付加塩を有
効成分とするものである。 (式中Rは、水酸基を表わす) 発明の具体的説明 アンスラサイクリン化合物の3′―デアミノ―
3′―(4―モルホリニル)誘導体 本発明による式()の化合物は、R20X2(13
―デオキソ―10―ハイドロキシカルミノマイシ
ン。すなわち、式()でRが−OHの場合に相
当する。)の3′―デアミノ―3′―(4―モルホリ
ニル)誘導体であるので、これを3′―デアミノ―
3′―(4―モルホリニル)―R20X2と呼ぶ。3′―
デアミノ―3′―(4―モルホリニル)―R20X2の
一つの製造法はR20X2の3′―アミノ基を4―モル
ホリニル基に変換することからなるものであり、
一方R20X2の製造法の一つは微生物学的方法で
あつて、その場合はR20X(13―デオキソカルミ
ノマイシン。すなわち、式()でRが−Hの場
合に対応する)が併産される。従つて、以下の説
明においては、R20X2、ならびにR20Xおよび
3′―デアミノ―3′―(4―モルホリニル)―
R20X、についても参考までに言及するものとす
る。 1) 化学構造 本発明によるアンスラサイクリン化合物の
3′―デアミノ―3′―(4―モルホリニル)誘導
体は、上記式()で示される化学構造を有す
る。 2) 物理化学的性状 A 3′―デアミノ―3′―(4―モルホリニル)
―R20X (1) 外観:赤褐色粉末 (2) 元素分析: C H N O 分析値(%) 62.98 6.31 2.40 28.31 計算値(%) 63.26 6.19 2.46 28.09 (3) 分子量:569.6 (4) 融 点:143−144℃(分解) (5) 比旋光度:〔α〕25 D+76゜(C=0.05、メタ
ノール) (6) 紫外部可視部吸収スペクトル 第1図に示した通りである。 (イ) メタノール中 λmax nm(E1% 1cm) 234(683)、252(545)、292(158)、464
(205)、492(261)、508(194)、524(181)、
575(18) (ロ) 酸性メタノール中 λmax nm(E
1% 1cm) 234(783)、252(612)、292(192)、466
(233)、492(315)、510(227)、524(202) (ハ) アルカリ性メタノール中 λmax
nm(E1% 1cm) 226(422)、243(653)、290(166)、528
(126)、562(192)、596(162) (7) 赤外吸収スペクトル(臭化カリウム錠)
第2図に示した通りである。 (8) プロトン核磁気共鳴スペクトル (100メガヘルツ、重クロロホルム中)第
3図に示した通りである。 (9) Rf値(メルク社シリカゲルプレート
60F254使用)
【表】
(10) 溶解性
酸性水、塩基性水、メタノール、エタノ
ール、プロパノール、アセトン、酢酸エチ
ル、クロロホルムに可溶。 水、ヘキサン、シクロヘキサン、ジエチ
ルエーテル、石由エーテルに不溶。 B 3′―デアミノ―3′―(4―モルホリニル)
―R20X2 (1) 外観:褐色粉末 (2) 元素分析: C H N O 分析値(%) 61.32 6.30 2.26 30.12 計算値(%) 61.53 6.02 2.39 30.06 (C30H35NO11) (3) 分子量:585.6 (4) 融 点:155−157℃(分解) (5) 紫外部可視部吸収スペクトル 第4図に示した通りである。 (イ) メタノール中 λmax nm(E1% 1cm) 234(821)、252(478)、290(153)、468
(241)、480(263)、492(295)、514(216)、
526(196)、582(17) (ロ) 酸性メタノール中 λmax nm(E
1% 1cm) 234(805)、252(479)、290(155)、468
(246)、480(273)、492(297)、512(214)、
526(193) (ハ) アルカリ性メタノール中 λmax
nm(E1% 1cm) 242(831)、292(149)、534(212)、564
(280)、600(226) (6) 比旋光度 〔α〕20 D=+306゜(C=0.05、CHCl3) (7) 赤外吸収スペクトル(臭化カリウム錠) 第5図に示した通りである。 (8) プロトン核磁気共鳴スペクトル (100メガヘルツ、重クロロホルム中) 第6図に示した通りである。 (9) 溶解性 酸性水、塩基性水、メタノール、エタノ
ール、プロパノール、アセトン、酢酸エチ
ル、クロロホルムに可溶。 水、ヘキサン、シクロヘキサン、ジエチ
ルエーテル、石油エーテルに不溶。 (10) Rf値(メルク社シリカゲルプレート
60F254使用)
ール、プロパノール、アセトン、酢酸エチ
ル、クロロホルムに可溶。 水、ヘキサン、シクロヘキサン、ジエチ
ルエーテル、石由エーテルに不溶。 B 3′―デアミノ―3′―(4―モルホリニル)
―R20X2 (1) 外観:褐色粉末 (2) 元素分析: C H N O 分析値(%) 61.32 6.30 2.26 30.12 計算値(%) 61.53 6.02 2.39 30.06 (C30H35NO11) (3) 分子量:585.6 (4) 融 点:155−157℃(分解) (5) 紫外部可視部吸収スペクトル 第4図に示した通りである。 (イ) メタノール中 λmax nm(E1% 1cm) 234(821)、252(478)、290(153)、468
(241)、480(263)、492(295)、514(216)、
526(196)、582(17) (ロ) 酸性メタノール中 λmax nm(E
1% 1cm) 234(805)、252(479)、290(155)、468
(246)、480(273)、492(297)、512(214)、
526(193) (ハ) アルカリ性メタノール中 λmax
nm(E1% 1cm) 242(831)、292(149)、534(212)、564
(280)、600(226) (6) 比旋光度 〔α〕20 D=+306゜(C=0.05、CHCl3) (7) 赤外吸収スペクトル(臭化カリウム錠) 第5図に示した通りである。 (8) プロトン核磁気共鳴スペクトル (100メガヘルツ、重クロロホルム中) 第6図に示した通りである。 (9) 溶解性 酸性水、塩基性水、メタノール、エタノ
ール、プロパノール、アセトン、酢酸エチ
ル、クロロホルムに可溶。 水、ヘキサン、シクロヘキサン、ジエチ
ルエーテル、石油エーテルに不溶。 (10) Rf値(メルク社シリカゲルプレート
60F254使用)
【表】
3′―デアミノ―3′―(4―モルホリニル)誘導
体の製造 概 要 本発明の3′―デアミノ―3′―(4―モルホリニ
ル)誘導体は、微生物の培養によつて産生される
R20物質の合成化学的修飾によつて製造すること
ができる。 R20物質 R20物質は、本発明者らが分離したアクチノマ
ジユラ・ロゼオビオラセエR20株の培養物より取
得することができる。なお、R20Xについては、
西ドイツ公開特許第3012665号公報記載の方法に
よつても製造できることは前記したとおりであ
る。 (1) R20株 アンスラサイクリン化合物R20物質生産能を
有するアクチノマジユラ属の菌株として本発明
者らの見出しているR20株は、下記の内容のも
のである。 由来および寄託番号 R20株は福岡県嘉穂郡嘉穂町大字小野谷の
野菜畑で採取した土壌から分離されたもので
あり、昭和58年7月5日に工業技術院微生物
工業技術研究所に寄託されて「微工研条寄第
945号(微工研菌寄第7138号)」の番号を得て
いる。 菌学的性状および生理学的性質 国際放線菌命名委員会(ISP)の方法便覧
に従つて行なつた本菌株の特徴づけは、下記
の通りである。 A) 形態性状 基生菌糸は分技しながら寒天培地表面に
放射状に広がり、菌糸の分断は観察されな
い。空中菌糸は主軸を長く伸ばし、短枝を
ほぼ直角(主軸に対して)に分岐(単軸分
枝)し、その先端に10個内外またはそれ以
上の胞子からなる密な小螺旋状胞子鎖(1
〜3回転、径2.0〜2.5μ)および擬似胞子
嚢(径2.5〜3.5μ)や胞子塊を形成する。 胞子鎖は幅0.5〜0.8μの円筒状シースに
覆われ、その表面は粗面状を呈し、個々の
胞子は指骨状に連結する。胞子塊は不定形
で、その胞子表面は粘質状物質で包まれて
いる。遊離胞子はまれに観察され、円筒形
または長円形、幅0.5〜0.8μ、長さ0.7〜
1.1μ、平滑表面を呈する。真正胞子嚢、鞭
毛胞子、菌核などは観察されない。全細胞
加水分解物中にメゾ型ジアミノピメリン酸
とマジユロースを含むことから、細胞壁タ
イプはBと判断される。 B) 培養性状 多糖培地における培養性状(27℃培養)
の観察結果は、表1に示す通りである。 C) 生理的性状 生理的性状(炭素源の同化性を含む)
は、表2に示す通りである。 D) 考察および同定 本菌株は、(1)細胞壁タイプがBであ
り、(2)胞子鎖は10個またはそれ以上の胞子
からなり、(3)擬似胞子嚢や胞子塊を形成
し、(4)真正胞子嚢および鞭毛胞子が観察さ
れないことから、アクチノマジユラ
(Actinomadura)属に所属すると判断さ
れる。野々村の検索表〔醗工、第52巻、71
〜77頁、1974年〕と記載〔醗工、第49巻、
904〜912頁、1971年〕より本菌株はA.ロ
ゼオビオラセエ(A.roseoviolacea)に最
も近縁であると判断される。 そこで、本菌株A.ロゼオビオラセエの
標準菌株〔KCCA―145(野々村A−5)〕
を同条件下で培養し、両菌株の主要な性状
について比較した。結果は表3に示される
ように、菌叢色、裏面色および最適生育温
度に僅少な差異がみられるものの、分類学
的には極めてよく類似している。よつて、
本菌株は、アクチノマジユラ・ロゼオビオ
ラセエ(Actinomadura roseoviolacea
Nonomura et Ohara 1971)であると同
定された。
体の製造 概 要 本発明の3′―デアミノ―3′―(4―モルホリニ
ル)誘導体は、微生物の培養によつて産生される
R20物質の合成化学的修飾によつて製造すること
ができる。 R20物質 R20物質は、本発明者らが分離したアクチノマ
ジユラ・ロゼオビオラセエR20株の培養物より取
得することができる。なお、R20Xについては、
西ドイツ公開特許第3012665号公報記載の方法に
よつても製造できることは前記したとおりであ
る。 (1) R20株 アンスラサイクリン化合物R20物質生産能を
有するアクチノマジユラ属の菌株として本発明
者らの見出しているR20株は、下記の内容のも
のである。 由来および寄託番号 R20株は福岡県嘉穂郡嘉穂町大字小野谷の
野菜畑で採取した土壌から分離されたもので
あり、昭和58年7月5日に工業技術院微生物
工業技術研究所に寄託されて「微工研条寄第
945号(微工研菌寄第7138号)」の番号を得て
いる。 菌学的性状および生理学的性質 国際放線菌命名委員会(ISP)の方法便覧
に従つて行なつた本菌株の特徴づけは、下記
の通りである。 A) 形態性状 基生菌糸は分技しながら寒天培地表面に
放射状に広がり、菌糸の分断は観察されな
い。空中菌糸は主軸を長く伸ばし、短枝を
ほぼ直角(主軸に対して)に分岐(単軸分
枝)し、その先端に10個内外またはそれ以
上の胞子からなる密な小螺旋状胞子鎖(1
〜3回転、径2.0〜2.5μ)および擬似胞子
嚢(径2.5〜3.5μ)や胞子塊を形成する。 胞子鎖は幅0.5〜0.8μの円筒状シースに
覆われ、その表面は粗面状を呈し、個々の
胞子は指骨状に連結する。胞子塊は不定形
で、その胞子表面は粘質状物質で包まれて
いる。遊離胞子はまれに観察され、円筒形
または長円形、幅0.5〜0.8μ、長さ0.7〜
1.1μ、平滑表面を呈する。真正胞子嚢、鞭
毛胞子、菌核などは観察されない。全細胞
加水分解物中にメゾ型ジアミノピメリン酸
とマジユロースを含むことから、細胞壁タ
イプはBと判断される。 B) 培養性状 多糖培地における培養性状(27℃培養)
の観察結果は、表1に示す通りである。 C) 生理的性状 生理的性状(炭素源の同化性を含む)
は、表2に示す通りである。 D) 考察および同定 本菌株は、(1)細胞壁タイプがBであ
り、(2)胞子鎖は10個またはそれ以上の胞子
からなり、(3)擬似胞子嚢や胞子塊を形成
し、(4)真正胞子嚢および鞭毛胞子が観察さ
れないことから、アクチノマジユラ
(Actinomadura)属に所属すると判断さ
れる。野々村の検索表〔醗工、第52巻、71
〜77頁、1974年〕と記載〔醗工、第49巻、
904〜912頁、1971年〕より本菌株はA.ロ
ゼオビオラセエ(A.roseoviolacea)に最
も近縁であると判断される。 そこで、本菌株A.ロゼオビオラセエの
標準菌株〔KCCA―145(野々村A−5)〕
を同条件下で培養し、両菌株の主要な性状
について比較した。結果は表3に示される
ように、菌叢色、裏面色および最適生育温
度に僅少な差異がみられるものの、分類学
的には極めてよく類似している。よつて、
本菌株は、アクチノマジユラ・ロゼオビオ
ラセエ(Actinomadura roseoviolacea
Nonomura et Ohara 1971)であると同
定された。
【表】
【表】
【表】
【表】
(2) 培養/R20物質の生産
アンスラサイクリンR20物質は、アクチノマ
ジユラ属に属するR20物質生産菌を適当な培地
で好気的に培養し、培養物から目的物を採取す
ることによつて製造することができる。 培地は、R20物質生産菌が利用しうる任意の
栄養源を含有するものでありうる。具体的に
は、例えば、炭素源としてグルコース、シユー
クロース、マルトース、スターチ、および油脂
類などが使用でき、窒素源として大豆粉、綿実
粕、肉エキス、ペプトン、乾燥酵母、酵母エキ
ス、およびコーンスチープリカーなどの有機物
並びにアンモニウム塩または硝酸塩、たとえば
硫酸アンモニウム、硝酸ナトリウム、および塩
化アンモニウムなどの無機物が使用できる。ま
た、必要に応じて、食塩、塩化カリウム、リン
酸塩、重金属塩など無機塩類を添加することが
できる。発酵中の発泡を抑制するために、常法
に従つて適当な消泡剤、たとえばシリコーンを
添加することもできる。 培養方法としては、一般に行われている抗生
物質の生産の方法と同じく、好気的液液深部培
養法が最も適している。培養温度は25℃〜45℃
が適当であるが、27℃〜30℃が好ましい。この
方法でR20物質の生産量は、振盪培養、通気撹
拌培養共に6日〜7日で最高に達する。 このようにしてR20物質の蓄積された培養物
が得られる。培養物中では、R20物質はその一
部は菌体中に存在するが、その大部分は培養
液に存在する。 このような培養物からR20物質を採取するに
は、合目的的な任意の方法が利用可能である。
その一つの方法は、抽出の原理に基くものであ
つて、具体的には、たとえば、培養液中の
R20物質についてはこれを水不混和性のR20物
質用溶媒、たとえば酢酸エチル、クロロホル
ム、ブタノールなどで抽出する方法(培養液
は中性ないし微塩基性であると抽出効率が良好
である)、あるいは菌体内のR20物質について
は過、遠心分離などで得た菌体集体をクロロ
ホルム、酢酸エチル、ブタノール、メタノー
ル、エタノール、アセトン、塩酸溶液または酢
酸溶液などで処理して回収することができる。
菌体を分離せずに培養物そのままを上記の抽出
操作に付すこともできる。適当な溶媒を用いた
向流分配法も抽出の範疇に入れることができ
る。 培養物からR20物質を採取する他の方法の一
つは、吸着の原理に基くものであつて、既に液
状となつているR20物質含有物、たとえば培養
液あるいは上記のようにして抽出操作を行な
うことによつて得られる抽出液、を対象とし
て、適当な吸着剤、たとえば活性炭、アルミ
ナ、シリカゲル、「ダイヤイオンHP20」(三菱
化成社製)、など、を用いたカラムクロマトグ
ラフイー、液体クロマトグラフイー、その他に
よつて目的R20物質を吸着させ、その後溶離さ
せることによつて、R20物質を得ることができ
る。このようにして得られたR20物質溶液を減
圧濃縮乾固すれば、R20物質の粗標品が得られ
る。 このようにして得られるR20物質の粗標品か
らさらにR20XおよびR20X2を分離、精製する
ためには、上記の抽出法および吸着法を必要に
応じて組合せて必要回数用いればよい。 たとえば、シリカゲル、弱酸性イオン交換樹
脂、活性炭などの吸着剤またはゲル過剤を用
いたカラムクロマトグラフイー、適当な溶媒を
用いた液体クロマトグラフイー、および向流分
配法を適宜組合わせて実施することができる。
具体的には、たとえば、R20物質粗標品を少量
のクロロホルムに溶解し、シリカゲルカラムを
用いて、適当な溶媒で展開して活性成分を溶出
させ、溶出液を減圧濃縮後、さらにTLCで展
開し、かきとつて溶出させると、R20Xおよび
R20X2が各々単一物質として分離されるから、
これを濃縮乾固すれば、R20XおよびR20X2を
得ることができる。 このようにして得られるR20物質の理化学的
性質は次のとおりである。
ジユラ属に属するR20物質生産菌を適当な培地
で好気的に培養し、培養物から目的物を採取す
ることによつて製造することができる。 培地は、R20物質生産菌が利用しうる任意の
栄養源を含有するものでありうる。具体的に
は、例えば、炭素源としてグルコース、シユー
クロース、マルトース、スターチ、および油脂
類などが使用でき、窒素源として大豆粉、綿実
粕、肉エキス、ペプトン、乾燥酵母、酵母エキ
ス、およびコーンスチープリカーなどの有機物
並びにアンモニウム塩または硝酸塩、たとえば
硫酸アンモニウム、硝酸ナトリウム、および塩
化アンモニウムなどの無機物が使用できる。ま
た、必要に応じて、食塩、塩化カリウム、リン
酸塩、重金属塩など無機塩類を添加することが
できる。発酵中の発泡を抑制するために、常法
に従つて適当な消泡剤、たとえばシリコーンを
添加することもできる。 培養方法としては、一般に行われている抗生
物質の生産の方法と同じく、好気的液液深部培
養法が最も適している。培養温度は25℃〜45℃
が適当であるが、27℃〜30℃が好ましい。この
方法でR20物質の生産量は、振盪培養、通気撹
拌培養共に6日〜7日で最高に達する。 このようにしてR20物質の蓄積された培養物
が得られる。培養物中では、R20物質はその一
部は菌体中に存在するが、その大部分は培養
液に存在する。 このような培養物からR20物質を採取するに
は、合目的的な任意の方法が利用可能である。
その一つの方法は、抽出の原理に基くものであ
つて、具体的には、たとえば、培養液中の
R20物質についてはこれを水不混和性のR20物
質用溶媒、たとえば酢酸エチル、クロロホル
ム、ブタノールなどで抽出する方法(培養液
は中性ないし微塩基性であると抽出効率が良好
である)、あるいは菌体内のR20物質について
は過、遠心分離などで得た菌体集体をクロロ
ホルム、酢酸エチル、ブタノール、メタノー
ル、エタノール、アセトン、塩酸溶液または酢
酸溶液などで処理して回収することができる。
菌体を分離せずに培養物そのままを上記の抽出
操作に付すこともできる。適当な溶媒を用いた
向流分配法も抽出の範疇に入れることができ
る。 培養物からR20物質を採取する他の方法の一
つは、吸着の原理に基くものであつて、既に液
状となつているR20物質含有物、たとえば培養
液あるいは上記のようにして抽出操作を行な
うことによつて得られる抽出液、を対象とし
て、適当な吸着剤、たとえば活性炭、アルミ
ナ、シリカゲル、「ダイヤイオンHP20」(三菱
化成社製)、など、を用いたカラムクロマトグ
ラフイー、液体クロマトグラフイー、その他に
よつて目的R20物質を吸着させ、その後溶離さ
せることによつて、R20物質を得ることができ
る。このようにして得られたR20物質溶液を減
圧濃縮乾固すれば、R20物質の粗標品が得られ
る。 このようにして得られるR20物質の粗標品か
らさらにR20XおよびR20X2を分離、精製する
ためには、上記の抽出法および吸着法を必要に
応じて組合せて必要回数用いればよい。 たとえば、シリカゲル、弱酸性イオン交換樹
脂、活性炭などの吸着剤またはゲル過剤を用
いたカラムクロマトグラフイー、適当な溶媒を
用いた液体クロマトグラフイー、および向流分
配法を適宜組合わせて実施することができる。
具体的には、たとえば、R20物質粗標品を少量
のクロロホルムに溶解し、シリカゲルカラムを
用いて、適当な溶媒で展開して活性成分を溶出
させ、溶出液を減圧濃縮後、さらにTLCで展
開し、かきとつて溶出させると、R20Xおよび
R20X2が各々単一物質として分離されるから、
これを濃縮乾固すれば、R20XおよびR20X2を
得ることができる。 このようにして得られるR20物質の理化学的
性質は次のとおりである。
【表】
【表】
(3) R20物質の合成化学的修飾
本発明のアンスラサイクリン化合物の3′―デ
アミノ―3′―(4―モルホリニル)誘導体は、
R20物質またはその酸付加塩と次の式()で
示される化合物とを反応させる方法(以下A法
という)または、R20物質またはこの酸付加塩
と式()で示されるビス―(2―ハロエチ
ル)エーテルとを脱ハロゲン化水素剤の共存下
で反応させる方法(以下B法という)により製
造することができる。
アミノ―3′―(4―モルホリニル)誘導体は、
R20物質またはその酸付加塩と次の式()で
示される化合物とを反応させる方法(以下A法
という)または、R20物質またはこの酸付加塩
と式()で示されるビス―(2―ハロエチ
ル)エーテルとを脱ハロゲン化水素剤の共存下
で反応させる方法(以下B法という)により製
造することができる。
【式】
(式中Xは、臭素原子又はヨウ素原子を示す。)
A法において、この化合物()は、メソ―
エリスリトールから文献(Carbohydrate
Research Vol 35、195〜202(1974))に記載の
方法により製造することができる。 R20物質またはその酸付加塩と式()の化
合物との反応は溶媒中で実施することがふつう
である。使用し得る溶媒としては、アセトニト
リル、メタノール、エタノール、水、クロロホ
ルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、ベンゼ
ン、ジオキサン、テトラヒドロフラン等の単独
または混合物があり、特にアセトニトリル―水
―クロロホルムの混合溶媒が好ましい。 この反応は、通常、還元剤例えば水素化ホウ
素ナトリウム(NaBH4)、水素化シアノホウ素
ナトリウム(NaBH3CN)等の存在下で行な
うことが望ましい。還元剤の使用量は臨界的で
なく、R20物質1モルに対して少なくとも1モ
ル、好ましくは1〜5モル、の量で使用するこ
とができる。 また式()の化合物の使用量は、R20物質
1モルに対して1.5モル以上、好ましくは5モ
ル以上、特に好ましくは8〜15モル、の割合で
用いるのが有利である。 反応温度は、一般に使用溶媒の凝固点乃至50
℃の範囲内、特に室温付近の温度、が適してい
る。 上記反応条件下では、アミノ基をモルフオリ
ニル基に転化する反応は、約10分間乃至2時間
で終了させることができる。 B法において、R20物質またはこの酸付加塩
と化合物()とを脱ハロゲン化水素剤の共存
下で反応させる条件は本質的には特開昭57−
163393号公報記載のものと同一である。なお、
このB法に関して特記すべきことは、R20X2
を本反応に付したときは、3′―デアミノ―3′―
(4―モルホリニル)R20X2が得られるのに対
し、R20Xを本反応に付したときは、R20Xお
よびR20X2の双方に対応する3′―デアミノ―
3′―(4―モルホリニル)誘導体が同時に得ら
れるということである(後記実施例4参照)。 本発明の方法でR20物質と式()の化合物
との反応で得られる反応混合物から本発明の目
的化合物である3′―デアミノ―3′―(4―モル
ホリニル)誘導体を単離・精製するには、アン
スラサイクリン・グリコシドの誘導体製造の分
野で用いられる公知の精製法、例えばシリカゲ
ル等を用いるクロマトグラフイー、によりこれ
を行なうことができる。 このようにして得られる式()で示される
3′―デアミノ―3′―(4―モルホリニル)誘導
体は、それ自体公知の方法に従つてその酸付加
塩、例えば、塩酸、硫酸、リン酸などの無機
酸、或いは酢酸、プロピオン酸、マレイン酸、
オレイン酸、パルミチン酸、クエン酸、コハク
酸、酒石酸、フマル酸、グルタミン酸、パント
テン酸、ラウリルスルホン酸などの有機酸で処
理することにより酸付加塩、に変えることがで
きる。 アンスラサイクリン化合物の3′―デアミノ―
3′―(4―モルホリニル)誘導体の用途 本発明によるアンスラサイクリン化合物の3′―
デアミノ―3′―(4―モルホリニル)誘導体は、
制癌活性を有していて医薬として有用な化合物で
ある。 1) 生理活性 (1) 抗腫瘍性 イ 白血病に対する抗腫瘍性 本発明の3′―デアミノ―3′―(4―モル
ホリニル)誘導体は、実験動物の白血病に
対して著しい抗腫瘍作用を示した。たとえ
ば、CDF1マウスに対してP388白血病細胞
の懸濁液1×106ケ/マウスを腹腔内に移
植し、移植後より1日目と5日目とに3′―
デアミノ―3′―(4―モルホリニル)誘導
体を腹腔内に投与した。30日間観察を行な
い、生理食塩水を投与した対照群のマウス
の生存日数を100とした延命率(%)で効
果を示すと、下記の表5の通りであつた。
なお、同表中には、臨床的な治療効果の有
望性を示す指標である治療係数(延命率最
大の投与量/延命率130%の投与量)につ
いても示した。
エリスリトールから文献(Carbohydrate
Research Vol 35、195〜202(1974))に記載の
方法により製造することができる。 R20物質またはその酸付加塩と式()の化
合物との反応は溶媒中で実施することがふつう
である。使用し得る溶媒としては、アセトニト
リル、メタノール、エタノール、水、クロロホ
ルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、ベンゼ
ン、ジオキサン、テトラヒドロフラン等の単独
または混合物があり、特にアセトニトリル―水
―クロロホルムの混合溶媒が好ましい。 この反応は、通常、還元剤例えば水素化ホウ
素ナトリウム(NaBH4)、水素化シアノホウ素
ナトリウム(NaBH3CN)等の存在下で行な
うことが望ましい。還元剤の使用量は臨界的で
なく、R20物質1モルに対して少なくとも1モ
ル、好ましくは1〜5モル、の量で使用するこ
とができる。 また式()の化合物の使用量は、R20物質
1モルに対して1.5モル以上、好ましくは5モ
ル以上、特に好ましくは8〜15モル、の割合で
用いるのが有利である。 反応温度は、一般に使用溶媒の凝固点乃至50
℃の範囲内、特に室温付近の温度、が適してい
る。 上記反応条件下では、アミノ基をモルフオリ
ニル基に転化する反応は、約10分間乃至2時間
で終了させることができる。 B法において、R20物質またはこの酸付加塩
と化合物()とを脱ハロゲン化水素剤の共存
下で反応させる条件は本質的には特開昭57−
163393号公報記載のものと同一である。なお、
このB法に関して特記すべきことは、R20X2
を本反応に付したときは、3′―デアミノ―3′―
(4―モルホリニル)R20X2が得られるのに対
し、R20Xを本反応に付したときは、R20Xお
よびR20X2の双方に対応する3′―デアミノ―
3′―(4―モルホリニル)誘導体が同時に得ら
れるということである(後記実施例4参照)。 本発明の方法でR20物質と式()の化合物
との反応で得られる反応混合物から本発明の目
的化合物である3′―デアミノ―3′―(4―モル
ホリニル)誘導体を単離・精製するには、アン
スラサイクリン・グリコシドの誘導体製造の分
野で用いられる公知の精製法、例えばシリカゲ
ル等を用いるクロマトグラフイー、によりこれ
を行なうことができる。 このようにして得られる式()で示される
3′―デアミノ―3′―(4―モルホリニル)誘導
体は、それ自体公知の方法に従つてその酸付加
塩、例えば、塩酸、硫酸、リン酸などの無機
酸、或いは酢酸、プロピオン酸、マレイン酸、
オレイン酸、パルミチン酸、クエン酸、コハク
酸、酒石酸、フマル酸、グルタミン酸、パント
テン酸、ラウリルスルホン酸などの有機酸で処
理することにより酸付加塩、に変えることがで
きる。 アンスラサイクリン化合物の3′―デアミノ―
3′―(4―モルホリニル)誘導体の用途 本発明によるアンスラサイクリン化合物の3′―
デアミノ―3′―(4―モルホリニル)誘導体は、
制癌活性を有していて医薬として有用な化合物で
ある。 1) 生理活性 (1) 抗腫瘍性 イ 白血病に対する抗腫瘍性 本発明の3′―デアミノ―3′―(4―モル
ホリニル)誘導体は、実験動物の白血病に
対して著しい抗腫瘍作用を示した。たとえ
ば、CDF1マウスに対してP388白血病細胞
の懸濁液1×106ケ/マウスを腹腔内に移
植し、移植後より1日目と5日目とに3′―
デアミノ―3′―(4―モルホリニル)誘導
体を腹腔内に投与した。30日間観察を行な
い、生理食塩水を投与した対照群のマウス
の生存日数を100とした延命率(%)で効
果を示すと、下記の表5の通りであつた。
なお、同表中には、臨床的な治療効果の有
望性を示す指標である治療係数(延命率最
大の投与量/延命率130%の投与量)につ
いても示した。
【表】
【表】
* 1日目の投与のみ
さらに、CDF1マウスに対してP388白血
病細胞の懸濁液1×106ケ/マウスを腹腔
内に移植し、移植後より1日目と5日目と
に3′―デアミノ―3′―(4―モルホリニ
ル)誘導体を静脈内に投与した。30日間観
察を行ない、生理食塩水を投与した対照群
のマウスの生存日数を100とした延命率
(%)で効果を示すと、下記の表6通りで
あつた。また、同表中には治療係数につい
ても示した。
さらに、CDF1マウスに対してP388白血
病細胞の懸濁液1×106ケ/マウスを腹腔
内に移植し、移植後より1日目と5日目と
に3′―デアミノ―3′―(4―モルホリニ
ル)誘導体を静脈内に投与した。30日間観
察を行ない、生理食塩水を投与した対照群
のマウスの生存日数を100とした延命率
(%)で効果を示すと、下記の表6通りで
あつた。また、同表中には治療係数につい
ても示した。
【表】
* 1日目の投与のみ
更にまた、CDF1マウスに対してP388白
血病細胞の懸濁液1×106ケ/マウスを腹
腔内に移植し、移植後より1日目と5日目
とに3′―デアミノ―3′―(4―モルホリニ
ル)誘導体を経口で投与した。30日間観察
を行ない、生理食塩水を投与した対照群の
マウスの生存日数を100とした延命率(%)
で効果を示すと、下記の表7の通りであつ
た。また、同表中には治療係数についても
示した。
更にまた、CDF1マウスに対してP388白
血病細胞の懸濁液1×106ケ/マウスを腹
腔内に移植し、移植後より1日目と5日目
とに3′―デアミノ―3′―(4―モルホリニ
ル)誘導体を経口で投与した。30日間観察
を行ない、生理食塩水を投与した対照群の
マウスの生存日数を100とした延命率(%)
で効果を示すと、下記の表7の通りであつ
た。また、同表中には治療係数についても
示した。
【表】
* 1日目の投与のみ
アンスラサイクリン系抗腫瘍薬の中でも
つとも強力な薬物であるアドリアマイシン
は静脈内投与で効果があるものの経口では
無効である。一方、この系統の抗腫瘍薬の
他の具体例であるアクラシノマイシンは経
口投与で効果のあることが知られている。
上記の結果より本発明のアンスラサイクリ
ン化合物の3′―デアミノ―3′―(4―モル
ホリニル)誘導体はアドリアマイシンに匹
敵するかあるいはそれ以上の治療効果を腹
腔内、静脈内投与で有しており、またマド
リアマイシンが無効である経口投与でも、
アクラシノマイシンより強い効果を有して
いることがわかつた。よつて、本発明化合
物は治療薬として極めて有望であると考え
られる。 ロ アドリアマイシン耐性腫瘍に対する抗腫
瘍性 更にまた、本発明の3′―デアミノ―3′―
(4―モルホリニル)誘導体はアドリアマ
イシン耐性となつた腫瘍細胞に対しても感
受性の腫瘍細胞と同様な抗腫瘍効果を示し
た。例えば、アドリアマイシン耐性の
P388白血病細胞(P388/ADR)と感受性
のP388白血病細胞(P388/S)とをそれ
ぞれRPMI1640+10%FCS培地で5×104
ケ/mlの懸濁液とし、希釈した3′―デアミ
ノ―3′―(4―モルホリニル)誘導体等の
薬剤を加え5%CO2中、37℃で培養を行つ
た。2日後に細胞数を計測し、薬剤無添加
の対照の50%細胞数を示す薬剤濃度
(IC50)を比較し、有効性を判定した。
アンスラサイクリン系抗腫瘍薬の中でも
つとも強力な薬物であるアドリアマイシン
は静脈内投与で効果があるものの経口では
無効である。一方、この系統の抗腫瘍薬の
他の具体例であるアクラシノマイシンは経
口投与で効果のあることが知られている。
上記の結果より本発明のアンスラサイクリ
ン化合物の3′―デアミノ―3′―(4―モル
ホリニル)誘導体はアドリアマイシンに匹
敵するかあるいはそれ以上の治療効果を腹
腔内、静脈内投与で有しており、またマド
リアマイシンが無効である経口投与でも、
アクラシノマイシンより強い効果を有して
いることがわかつた。よつて、本発明化合
物は治療薬として極めて有望であると考え
られる。 ロ アドリアマイシン耐性腫瘍に対する抗腫
瘍性 更にまた、本発明の3′―デアミノ―3′―
(4―モルホリニル)誘導体はアドリアマ
イシン耐性となつた腫瘍細胞に対しても感
受性の腫瘍細胞と同様な抗腫瘍効果を示し
た。例えば、アドリアマイシン耐性の
P388白血病細胞(P388/ADR)と感受性
のP388白血病細胞(P388/S)とをそれ
ぞれRPMI1640+10%FCS培地で5×104
ケ/mlの懸濁液とし、希釈した3′―デアミ
ノ―3′―(4―モルホリニル)誘導体等の
薬剤を加え5%CO2中、37℃で培養を行つ
た。2日後に細胞数を計測し、薬剤無添加
の対照の50%細胞数を示す薬剤濃度
(IC50)を比較し、有効性を判定した。
【表】
を示す。
(2) 毒 性 a 急性毒性(LD50) 本発明の3′―デアミノ―3′―(4―モル
ホリニル)誘導体のICRマウス静脈内注射
によるLD50は次の通りであつた。 薬 剤 LD50(mg/Kg) 3′―デアミノ―3′― (4―モルホリニル) R20X 12.3 3′―デアミノ―3′― (4―モルホリニル) R20X2 3.55 b 心臓毒性 アンスラサイクリン系の抗腫瘍薬、特に
アドリアマイシンの副作用として心臓毒性
があげられる。本発明の3′―デアミノ―
3′―(4―モルホリニル)誘導体の心臓毒
性はアドリアマイシンにくらべ低毒性であ
つた。 ウレタンで麻酔したゴールデンハムスタ
ーの大腿脈より生理食塩水に溶解した各
3′―デアミノ―3′―(4―モルホリニル)
誘導体を投与し、四肢に心電図測定用電極
を挿入して心電図変化を調べた。心電図は
投与前1分、投与後0.5、1、3、5、10、
15分後に調べた。 測定項目は、T波電位(心筋障害により
低下)、QRSインターバル(心室内伝導障
害により増大)、PQインターバル(心房内
伝導障害により増大)、心拍数であつつた。 結果を第13図に示した。 なお、図中の*および* *はスチユーデン
トテストの値を表わし、その値は以下の通
りである。 * P<0.05 * * P<0.01 本発明のアンスラサイクリン化合物の
3′―デアミノ―3′―(4―モルホリニル)
誘導体はいずれも各測定項目に及ぼす投与
量の影響はアドリアマイシンに比べゆるや
かであり、投与量的にアドリアマイシンの
1/6以下の低毒性であつた。 アドリアマイシンは抗腫瘍作用発現投与
量(T/C=130%)において心臓に毒性
を示したが、本発明の誘導体はいずれも抗
腫瘍作用最大発現量(T/C=max)に
おいても毒性を示さなかつた。 2) 抗腫瘍剤 このように、本発明のアンスラサイクリン化
合物の3′―デアミノ―3′―(4―モルホリニ
ル)誘導体は動物の腫瘍、特に悪性腫瘍、に対
して抗腫瘍性を示すことが明らかにされた。 したがつて、本発明の3′―デアミノ―3′―
(4―モルホリニル)誘導体は抗腫瘍剤ないし
腫瘍治療剤として使用することができる。 抗腫瘍剤としての3′―デアミノ―3′―(4―
モルホリニル)誘導体は合目的的な任意の投与
経路で、また採用投与経路によつて決まる剤型
で、投与することができる。薬剤としては製薬
上許容される担体ないし希釈剤で希釈された形
態がふつうである。 抗腫瘍剤としての3′―デアミノ―3′―(4―
モルホリニル)誘導体を実際に投与する場合に
は、これを注射用蒸留水または生理食塩水に溶
解して注射する方法が代表的なものの一つとし
て挙げられる。具体的には、動物の場合は腹腔
内注射、皮下注射、静脈または動脈への血管内
注射および局所投与などの注射による方法が、
ヒトの場合は静脈または動脈への血管内注射ま
たは局所投与などの注射による方法、ならびに
経口投与および腹腔内投与による方法、があ
る。 3′―デアミノ―3′―(4―モルホリニル)誘
導体の投与量は、動物試験の結果および種々の
情況を勘案して、連続的または間けつ的に投与
したときに総投与量が一定量を超えないように
定められる。具体的な投与量は、投与方法、患
者または被処理動物の状況、たとえば年令、体
重、性別、感受性、食餌、投与時間、併用する
薬剤、患者またはその病気の程度に応じて変化
することはいうまでもなく、また一定の条件の
もとにおける適量と投与回数は、上記の指針を
基として専門医の適量決定試験によつて決定さ
れなければならない。 なお、3′―デアミノ―3′―(4―モルホリニ
ル)―R20X2のマウス静脈内注射によるLD50
(mg/Kg)はアドリアマイシンのそれの1/2.8で
あるから、本発明化合物の静脈内注射による投
与量は、アドリアマイシンの値から、0.07〜
0.8mg/Kg/日、であるということができる。 実験例 以下において「%」は「w/v%」である。 実施例 1 (R20物質の製造) (1) 種母の調製 使用した培地は、下記の組成の成分を1リツ
トルの水に溶解してPH7.2に調整したものであ
る。 ポリペプトン 1% モラセス 1% 肉エキス 1% 上記培地100mlを500ml三角フラスコに分注殺
菌し、アクチノマジユラ・ロゼオビオラセエ
R20をスラントより1白金耳接種し、27℃にて
5日間ロータリーシエーカー(200rpm)で培
養したものを種母とした。 (2) 培養 使用した培地は、下記の組成の成分を1リツ
トルの水に溶解してPH7.4に調整したものであ
る。 ブドウ糖 2.5% 大豆粉 1.5% 乾燥酵母 0.2% 炭酸カルシウム(沈降性) 0.4% 上記培地2.5リツトルを50リツトル容ジヤー
フアーメンターに入れて殺菌したものへ、上記
種母3本分を接種した。通気量1v.v.m、回転
数200/分、27℃で7日間培養を行つた。 (3) R20Xの採取 培養後、培養液を過し、菌体と液とを分
離した。液を1N塩酸でPH2に調整し、「ダイ
ヤイオンHP20」(三菱化成社製)のカラム10
×40cmに吸着させた。蒸留水および50%メタノ
ールで洗浄した後、メタノールで溶出した。溶
出液を濃縮し、濃縮液をPH8.5に調整し、クロ
ロホルム―メタノール(9:1)混液で3回反
復抽出した。この抽出液を濃縮後、6倍量のヘ
キサンを加えて、生じた沈殿物を乾燥すると、
赤色粉末250mgを得た(R20物質粗標品)。この
R20物質粗標品250mgをクロロホルムに溶解し、
シリカゲル250gをクロロホルムで平衡化した
カラム4×40cmにのせ、クロロホルムでよくカ
ラムを洗浄した後、クロロホルム:メタノール
=10:1で分画した。得られた画分を減圧乾固
した後、クロロホルム:メタノール:酢酸:水
=40:8:1:1の溶媒系を用いてTLC(メル
ク社「シリカゲル60」)にて展開し、Rf値0.43
付近の赤橙色画分をかきとつた。このようにし
て得られた画分を溶出、濃縮後、クロロホルム
中で再結晶してR20X110mgを得た。 (4) R20X2の採取 培養後、培養液を過し、菌体と液とを分
離した。液を1N塩酸でPH2に調整し、「ダイ
ヤイオンHP20」(三菱化成社製)のカラム10
×40cmに吸着させた。蒸留水および50%メタノ
ールで洗浄した後、メタノールで溶出した。溶
出液を濃縮し、濃縮液をPH8.5に調整し、クロ
ロホルム―メタノール(9:1)混液で3回反
復抽出した。この抽出液を濃縮後、6倍量のヘ
キサンを加えて、生じた沈殿物を乾燥すると、
赤色粉末250mgを得た(R20物質粗標品)。R20
物質粗標品250mgをクロロホルムに溶解し、シ
リカゲル250gをクロロホルムで平衡化したカ
ラム4×40cmにのせ、クロロホルムでよくカラ
ムを洗浄した後、クロロホルム:メタノール=
10:1で溶出した。得られた画分を減圧乾固し
た後、クロロホルム:メタノール:アンモニア
水=8:2:0.05の溶媒系を用いてTLC(メル
ク社「シリカゲル60」)にて展開し、Rf値0.44
付近の赤橙色画分をかきとつた。こようにして
得られた画分を溶出・濃縮後、クロロホルム中
で再結晶して、R20X2 10mgを得た。 実施例 2 3′―デアミノ―3′―(4―モルホリニル)―
R20Xの製造 R20X 135mg(0.27ミリモル)をクロロホルム
(15ml)に溶解させ、ジグリコールアルデヒド320
mg(2.66ミリモル)および水素化シアノホウ素ナ
トリウム17mg(0.27ミリモル)をアセトニトリ
ル/水(1:1)の混合溶媒に溶解して加えて、
室温で1時間反応させる。 反応終了後、反応液をクロロホルム50mlで3回
抽出し、クロロホルム溶液を水40mlで3回洗浄す
る。クロロホルム溶液を無水硫酸ナトリウムによ
り乾燥した後、濃縮乾固する。 この粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラ
フイー(「ワコーゲルC―200」10g)に供し、ク
ロロホルム:メタノール(200:1)の混合溶媒
にて溶出させて、目的物を得た。これをさらにク
ロロホルム/ヘキサンにより結晶化して、表題の
化合物90mg(58%)を得た。 実施例 3 3′―デアミノ―3′―(4―モルホリニル)
R20X2の製造 R20X2 80mg(0.16ミリモル)をクロロホルム
(10ml)に溶解し、ジグリコールアルデヒド186mg
(1.6ミリモルおよび水素化シアノホウ素ナトリウ
ム9.8mg(0.16ミリモル)をアセトニトリル/水
(1/1)の混合溶媒に溶解して加えて、室温で1時
間反応させる。反応終了後、反応液をクロロホル
ム50mlで3回抽出し、クロロホルム溶液を水40ml
で3回洗浄する。クロロホルム溶液を無水硫酸ナ
トリウムにより乾燥した後、濃縮乾固する。 この粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラ
フイー(「ワコーゲルC―200」10g)に供し、ク
ロロホルム/メタノール(200/1)の混合溶媒
にて溶出させて、目的物を得た。これをさらにク
ロロホルム/ヘキサンより結晶化して、表題の化
合物42mg(48%)を褐色粉末として得た。 実施例 4 R20X(40mg)をDMF(4ml)中に溶解し、こ
れにビス―(2―ヨードエチル)エーテル(260
mg)とトリエチルアミン(32mg)を添加した。こ
れを室温で4日間撹拌しDMFを真空濃縮して留
去し、残査をクロロホルム100mlに溶解し、さら
にこれを水100mlで洗浄した。次いでクロロホル
ム層に無水硫酸ナトリウムを加え、脱水した後に
濃縮した。これをシリカゲルクロマトグラフイー
により処理し、クロロホルム:メタノール=50:
1の系で溶出した。2つの着色画分が得られた
が、先に溶出した画分より3′―デアミノ―3′―
(4―モルホリニル)R20X(5mg)を、後から溶
出した画分より3′―デアミノ―3′―(4―モルホ
リニル)R20X2(7mg)をそれぞれ得た。
(2) 毒 性 a 急性毒性(LD50) 本発明の3′―デアミノ―3′―(4―モル
ホリニル)誘導体のICRマウス静脈内注射
によるLD50は次の通りであつた。 薬 剤 LD50(mg/Kg) 3′―デアミノ―3′― (4―モルホリニル) R20X 12.3 3′―デアミノ―3′― (4―モルホリニル) R20X2 3.55 b 心臓毒性 アンスラサイクリン系の抗腫瘍薬、特に
アドリアマイシンの副作用として心臓毒性
があげられる。本発明の3′―デアミノ―
3′―(4―モルホリニル)誘導体の心臓毒
性はアドリアマイシンにくらべ低毒性であ
つた。 ウレタンで麻酔したゴールデンハムスタ
ーの大腿脈より生理食塩水に溶解した各
3′―デアミノ―3′―(4―モルホリニル)
誘導体を投与し、四肢に心電図測定用電極
を挿入して心電図変化を調べた。心電図は
投与前1分、投与後0.5、1、3、5、10、
15分後に調べた。 測定項目は、T波電位(心筋障害により
低下)、QRSインターバル(心室内伝導障
害により増大)、PQインターバル(心房内
伝導障害により増大)、心拍数であつつた。 結果を第13図に示した。 なお、図中の*および* *はスチユーデン
トテストの値を表わし、その値は以下の通
りである。 * P<0.05 * * P<0.01 本発明のアンスラサイクリン化合物の
3′―デアミノ―3′―(4―モルホリニル)
誘導体はいずれも各測定項目に及ぼす投与
量の影響はアドリアマイシンに比べゆるや
かであり、投与量的にアドリアマイシンの
1/6以下の低毒性であつた。 アドリアマイシンは抗腫瘍作用発現投与
量(T/C=130%)において心臓に毒性
を示したが、本発明の誘導体はいずれも抗
腫瘍作用最大発現量(T/C=max)に
おいても毒性を示さなかつた。 2) 抗腫瘍剤 このように、本発明のアンスラサイクリン化
合物の3′―デアミノ―3′―(4―モルホリニ
ル)誘導体は動物の腫瘍、特に悪性腫瘍、に対
して抗腫瘍性を示すことが明らかにされた。 したがつて、本発明の3′―デアミノ―3′―
(4―モルホリニル)誘導体は抗腫瘍剤ないし
腫瘍治療剤として使用することができる。 抗腫瘍剤としての3′―デアミノ―3′―(4―
モルホリニル)誘導体は合目的的な任意の投与
経路で、また採用投与経路によつて決まる剤型
で、投与することができる。薬剤としては製薬
上許容される担体ないし希釈剤で希釈された形
態がふつうである。 抗腫瘍剤としての3′―デアミノ―3′―(4―
モルホリニル)誘導体を実際に投与する場合に
は、これを注射用蒸留水または生理食塩水に溶
解して注射する方法が代表的なものの一つとし
て挙げられる。具体的には、動物の場合は腹腔
内注射、皮下注射、静脈または動脈への血管内
注射および局所投与などの注射による方法が、
ヒトの場合は静脈または動脈への血管内注射ま
たは局所投与などの注射による方法、ならびに
経口投与および腹腔内投与による方法、があ
る。 3′―デアミノ―3′―(4―モルホリニル)誘
導体の投与量は、動物試験の結果および種々の
情況を勘案して、連続的または間けつ的に投与
したときに総投与量が一定量を超えないように
定められる。具体的な投与量は、投与方法、患
者または被処理動物の状況、たとえば年令、体
重、性別、感受性、食餌、投与時間、併用する
薬剤、患者またはその病気の程度に応じて変化
することはいうまでもなく、また一定の条件の
もとにおける適量と投与回数は、上記の指針を
基として専門医の適量決定試験によつて決定さ
れなければならない。 なお、3′―デアミノ―3′―(4―モルホリニ
ル)―R20X2のマウス静脈内注射によるLD50
(mg/Kg)はアドリアマイシンのそれの1/2.8で
あるから、本発明化合物の静脈内注射による投
与量は、アドリアマイシンの値から、0.07〜
0.8mg/Kg/日、であるということができる。 実験例 以下において「%」は「w/v%」である。 実施例 1 (R20物質の製造) (1) 種母の調製 使用した培地は、下記の組成の成分を1リツ
トルの水に溶解してPH7.2に調整したものであ
る。 ポリペプトン 1% モラセス 1% 肉エキス 1% 上記培地100mlを500ml三角フラスコに分注殺
菌し、アクチノマジユラ・ロゼオビオラセエ
R20をスラントより1白金耳接種し、27℃にて
5日間ロータリーシエーカー(200rpm)で培
養したものを種母とした。 (2) 培養 使用した培地は、下記の組成の成分を1リツ
トルの水に溶解してPH7.4に調整したものであ
る。 ブドウ糖 2.5% 大豆粉 1.5% 乾燥酵母 0.2% 炭酸カルシウム(沈降性) 0.4% 上記培地2.5リツトルを50リツトル容ジヤー
フアーメンターに入れて殺菌したものへ、上記
種母3本分を接種した。通気量1v.v.m、回転
数200/分、27℃で7日間培養を行つた。 (3) R20Xの採取 培養後、培養液を過し、菌体と液とを分
離した。液を1N塩酸でPH2に調整し、「ダイ
ヤイオンHP20」(三菱化成社製)のカラム10
×40cmに吸着させた。蒸留水および50%メタノ
ールで洗浄した後、メタノールで溶出した。溶
出液を濃縮し、濃縮液をPH8.5に調整し、クロ
ロホルム―メタノール(9:1)混液で3回反
復抽出した。この抽出液を濃縮後、6倍量のヘ
キサンを加えて、生じた沈殿物を乾燥すると、
赤色粉末250mgを得た(R20物質粗標品)。この
R20物質粗標品250mgをクロロホルムに溶解し、
シリカゲル250gをクロロホルムで平衡化した
カラム4×40cmにのせ、クロロホルムでよくカ
ラムを洗浄した後、クロロホルム:メタノール
=10:1で分画した。得られた画分を減圧乾固
した後、クロロホルム:メタノール:酢酸:水
=40:8:1:1の溶媒系を用いてTLC(メル
ク社「シリカゲル60」)にて展開し、Rf値0.43
付近の赤橙色画分をかきとつた。このようにし
て得られた画分を溶出、濃縮後、クロロホルム
中で再結晶してR20X110mgを得た。 (4) R20X2の採取 培養後、培養液を過し、菌体と液とを分
離した。液を1N塩酸でPH2に調整し、「ダイ
ヤイオンHP20」(三菱化成社製)のカラム10
×40cmに吸着させた。蒸留水および50%メタノ
ールで洗浄した後、メタノールで溶出した。溶
出液を濃縮し、濃縮液をPH8.5に調整し、クロ
ロホルム―メタノール(9:1)混液で3回反
復抽出した。この抽出液を濃縮後、6倍量のヘ
キサンを加えて、生じた沈殿物を乾燥すると、
赤色粉末250mgを得た(R20物質粗標品)。R20
物質粗標品250mgをクロロホルムに溶解し、シ
リカゲル250gをクロロホルムで平衡化したカ
ラム4×40cmにのせ、クロロホルムでよくカラ
ムを洗浄した後、クロロホルム:メタノール=
10:1で溶出した。得られた画分を減圧乾固し
た後、クロロホルム:メタノール:アンモニア
水=8:2:0.05の溶媒系を用いてTLC(メル
ク社「シリカゲル60」)にて展開し、Rf値0.44
付近の赤橙色画分をかきとつた。こようにして
得られた画分を溶出・濃縮後、クロロホルム中
で再結晶して、R20X2 10mgを得た。 実施例 2 3′―デアミノ―3′―(4―モルホリニル)―
R20Xの製造 R20X 135mg(0.27ミリモル)をクロロホルム
(15ml)に溶解させ、ジグリコールアルデヒド320
mg(2.66ミリモル)および水素化シアノホウ素ナ
トリウム17mg(0.27ミリモル)をアセトニトリ
ル/水(1:1)の混合溶媒に溶解して加えて、
室温で1時間反応させる。 反応終了後、反応液をクロロホルム50mlで3回
抽出し、クロロホルム溶液を水40mlで3回洗浄す
る。クロロホルム溶液を無水硫酸ナトリウムによ
り乾燥した後、濃縮乾固する。 この粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラ
フイー(「ワコーゲルC―200」10g)に供し、ク
ロロホルム:メタノール(200:1)の混合溶媒
にて溶出させて、目的物を得た。これをさらにク
ロロホルム/ヘキサンにより結晶化して、表題の
化合物90mg(58%)を得た。 実施例 3 3′―デアミノ―3′―(4―モルホリニル)
R20X2の製造 R20X2 80mg(0.16ミリモル)をクロロホルム
(10ml)に溶解し、ジグリコールアルデヒド186mg
(1.6ミリモルおよび水素化シアノホウ素ナトリウ
ム9.8mg(0.16ミリモル)をアセトニトリル/水
(1/1)の混合溶媒に溶解して加えて、室温で1時
間反応させる。反応終了後、反応液をクロロホル
ム50mlで3回抽出し、クロロホルム溶液を水40ml
で3回洗浄する。クロロホルム溶液を無水硫酸ナ
トリウムにより乾燥した後、濃縮乾固する。 この粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラ
フイー(「ワコーゲルC―200」10g)に供し、ク
ロロホルム/メタノール(200/1)の混合溶媒
にて溶出させて、目的物を得た。これをさらにク
ロロホルム/ヘキサンより結晶化して、表題の化
合物42mg(48%)を褐色粉末として得た。 実施例 4 R20X(40mg)をDMF(4ml)中に溶解し、こ
れにビス―(2―ヨードエチル)エーテル(260
mg)とトリエチルアミン(32mg)を添加した。こ
れを室温で4日間撹拌しDMFを真空濃縮して留
去し、残査をクロロホルム100mlに溶解し、さら
にこれを水100mlで洗浄した。次いでクロロホル
ム層に無水硫酸ナトリウムを加え、脱水した後に
濃縮した。これをシリカゲルクロマトグラフイー
により処理し、クロロホルム:メタノール=50:
1の系で溶出した。2つの着色画分が得られた
が、先に溶出した画分より3′―デアミノ―3′―
(4―モルホリニル)R20X(5mg)を、後から溶
出した画分より3′―デアミノ―3′―(4―モルホ
リニル)R20X2(7mg)をそれぞれ得た。
第1図は、3′―デアミノ―3′―(4―モルホリ
ニル)R20Xの紫外部可視部吸収スペクトルを模
写したものである。 1……MeOH中、2……0.1NHCl―MeOH中、
3……0.1NNaOH―MeOH中。 第2図は、3′―デアミノ―3′―(4―モルホリ
ニル)R20Xの赤外吸収スペクトルを模写したも
のである。第3図は、3′―デアミノ―3′―(4―
モルホリニル)R20Xの 1H―NMRスペクトルを
模写したものである。第4図は、3′―デアミノ―
3′―(4―モルホリニル)R20X2の紫外部可視部
吸収スペクトルを模写したものである。 1……MeOH中、2……0.1NHCl―MeOH中、
3……0.1NNaOH―MeOH中。 第5図は、3′―デアミノ―3′―(4―モルホリ
ニル)R20X2の赤外吸収スペクトルを模写した
ものである。第6図は、3′―デアミノ―3′―(4
―モルホリニル)R20X2の 1H―NMRスペクト
ルを模写したものである。第7図は、R20Xの紫
外部可視部吸収スペクトルを模写したものであ
る。 1……MeOH中、2……0.1NHCl―MeOH中、
3……0.1NNaOH―MeOH中。 第8図は、R20Xの赤外吸収スペクトルを模写
したものである。第9図は、R20Xの 1H―NMR
スペクトルを模写したものである。第10図は、
R20X2の紫外部可視部吸収スペクトルを模写し
たものである。 1……MeOH中、2……0.1NHCl―MeOH中、
3……0.1NNaOH―MeOH中。 第11図は、R20X2の赤外吸収スペクトルを
模写したものである。第12図は、R20X2の 1H
―NMRスペクトルを模写したものである。第1
3図は、(イ)3′―デアミノ―3′―(4―モルホリニ
ル)―R20Xを投与した場合(図において□で示
す)、(ロ)3′―デアミノ―3′―(4―モルホリニル)
―R20X2を投与した場合(図において△で示
す)、および(ハ)アドリアマイシンを投与した場合
(図において〇で示す)、におけるゴールデンハム
スターの心臓に及ぼす影響(投与後0.5分)を示
したものであつて、AはT波電位を、BはQRS
インターバルを、CはPQインターバルを、Dは
心拍数を、それぞれ示す。
ニル)R20Xの紫外部可視部吸収スペクトルを模
写したものである。 1……MeOH中、2……0.1NHCl―MeOH中、
3……0.1NNaOH―MeOH中。 第2図は、3′―デアミノ―3′―(4―モルホリ
ニル)R20Xの赤外吸収スペクトルを模写したも
のである。第3図は、3′―デアミノ―3′―(4―
モルホリニル)R20Xの 1H―NMRスペクトルを
模写したものである。第4図は、3′―デアミノ―
3′―(4―モルホリニル)R20X2の紫外部可視部
吸収スペクトルを模写したものである。 1……MeOH中、2……0.1NHCl―MeOH中、
3……0.1NNaOH―MeOH中。 第5図は、3′―デアミノ―3′―(4―モルホリ
ニル)R20X2の赤外吸収スペクトルを模写した
ものである。第6図は、3′―デアミノ―3′―(4
―モルホリニル)R20X2の 1H―NMRスペクト
ルを模写したものである。第7図は、R20Xの紫
外部可視部吸収スペクトルを模写したものであ
る。 1……MeOH中、2……0.1NHCl―MeOH中、
3……0.1NNaOH―MeOH中。 第8図は、R20Xの赤外吸収スペクトルを模写
したものである。第9図は、R20Xの 1H―NMR
スペクトルを模写したものである。第10図は、
R20X2の紫外部可視部吸収スペクトルを模写し
たものである。 1……MeOH中、2……0.1NHCl―MeOH中、
3……0.1NNaOH―MeOH中。 第11図は、R20X2の赤外吸収スペクトルを
模写したものである。第12図は、R20X2の 1H
―NMRスペクトルを模写したものである。第1
3図は、(イ)3′―デアミノ―3′―(4―モルホリニ
ル)―R20Xを投与した場合(図において□で示
す)、(ロ)3′―デアミノ―3′―(4―モルホリニル)
―R20X2を投与した場合(図において△で示
す)、および(ハ)アドリアマイシンを投与した場合
(図において〇で示す)、におけるゴールデンハム
スターの心臓に及ぼす影響(投与後0.5分)を示
したものであつて、AはT波電位を、BはQRS
インターバルを、CはPQインターバルを、Dは
心拍数を、それぞれ示す。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 次式()で示されるアンスラサイクリン化
合物の3′―デアミノ―3′―(4―モルホリニル)
誘導体またはその酸付加塩。 (式中、Rは水酸基を表わす) 2 次式()で示されるアンスラサイクリン化
合物の3′―デアミノー―3′―(4―モルホリニ
ル)誘導体またはその酸付加塩を成分とする抗腫
瘍剤。 (式中、Rは水酸基を表わす)
Priority Applications (6)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP719685A JPS61167696A (ja) | 1985-01-18 | 1985-01-18 | アンスラサイクリン化合物およびその用途 |
| US06/818,867 US4710564A (en) | 1985-01-18 | 1986-01-14 | Anthracycline compounds |
| DE8686100597T DE3668173D1 (de) | 1985-01-18 | 1986-01-17 | Anthracyclinderivate und deren verwendung. |
| AT86100597T ATE49412T1 (de) | 1985-01-18 | 1986-01-17 | Anthracyclinderivate und deren verwendung. |
| CA000499766A CA1292225C (en) | 1985-01-18 | 1986-01-17 | Anthracycline compounds and uses thereof |
| EP86100597A EP0188293B1 (en) | 1985-01-18 | 1986-01-17 | Anthracycline compounds and uses thereof |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP719685A JPS61167696A (ja) | 1985-01-18 | 1985-01-18 | アンスラサイクリン化合物およびその用途 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPS61167696A JPS61167696A (ja) | 1986-07-29 |
| JPH0149357B2 true JPH0149357B2 (ja) | 1989-10-24 |
Family
ID=11659275
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP719685A Granted JPS61167696A (ja) | 1985-01-18 | 1985-01-18 | アンスラサイクリン化合物およびその用途 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPS61167696A (ja) |
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| KR102031516B1 (ko) * | 2019-04-11 | 2019-10-11 | 이용두 | 음료 제조 장치 |
Families Citing this family (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| US5948896A (en) * | 1997-08-13 | 1999-09-07 | Gem Pharmaceuticals | Processes for preparing 13-deoxy anthracycline derivatives |
Family Cites Families (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| ZA834867B (en) * | 1982-07-20 | 1984-03-28 | Stanford Res Inst Int | Derivatives of morpholinyl daunorubicin and morpholinyl doxorubicin and analogues thereof |
-
1985
- 1985-01-18 JP JP719685A patent/JPS61167696A/ja active Granted
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| KR102031516B1 (ko) * | 2019-04-11 | 2019-10-11 | 이용두 | 음료 제조 장치 |
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPS61167696A (ja) | 1986-07-29 |
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