JPH0153340B2 - - Google Patents
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- JPH0153340B2 JPH0153340B2 JP58104094A JP10409483A JPH0153340B2 JP H0153340 B2 JPH0153340 B2 JP H0153340B2 JP 58104094 A JP58104094 A JP 58104094A JP 10409483 A JP10409483 A JP 10409483A JP H0153340 B2 JPH0153340 B2 JP H0153340B2
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Description
本発明は、耐応力腐食割れ性(以下、耐SCC性
とも称する)に優れたNi基高Cr合金、特に粒内
に未固溶炭化物を析出させるとともに表面皮膜の
強化を図つて耐応力腐食割れ性を著しく改善した
Ni基高Cr合金に関する。 従来、Cl-イオンを含む応力腐食割れ環境下で
使用される、例えば原子力あるいは化学プラント
等のチユーブ、容器さらにはそれらの付属部品に
は、耐応力腐食割れ性にすぐれているといわれて
いるニツケル基合金が多く使用されている。しか
しながら、これまで一般に使用されている30%
Cr−60%Ni系合金にあつても使用環境によつて
は応力腐食割れの発生はさけられないことが報告
されている。 ここに、本発明の目的とするところは、上述の
ような30%Cr−60%Ni系合金にみられる欠点を
解消した、原子力あるいは化学プラント等のチユ
ーブ、容器および付属部品に厚板、丸棒あるいは
パイプの形態で使用される、耐食性、特に耐応力
腐食割れ性にすぐれた合金を提供することであ
る。 そこで、本発明者らは上述のような30%Cr−
60%Ni基合金がC含有量に応じて980〜1150℃と
いう比較的高温度で最終焼鈍され、未固溶炭化物
の存在しない状態で使用されていることに着目
し、合金組織中の炭化物の形態と耐食性との関連
を追求したところ、むしろ粒内であれば炭化物は
積極的に析出させたほうが耐応力腐食割れ性の向
上に有効であるとの知見を得た。また、Cl-イオ
ンを含む高温水環境下では孔食を起点として応力
腐食割れが生じる報告されているため、耐孔食性
の改善に有効な元素として知られているMo、W
およびVを添加して皮膜の強化を図つたところ、
前述の炭化物の析出効果と相俟つて、得られた合
金の耐食性、つまり耐応力腐食割れ性が著しく改
善されることを見い出して、ここに本発明を完成
したものである。 ここに、本発明の要旨とするところは、重量%
で、 C:0.04%以下、Si:1.0%以下、 Mn:1.0%以下、P:0.030%以下、 S:0.02%以下、Ni:40〜70%、 Cr:25〜35%、Al:0.1〜0.5%、 Ti:0.05〜1.0%、 Mo、WおよびVの1種または2種以上を合計
0.5〜5.0%、 残部、実質的にFe よりなり、少なくとも大部分の未固溶のCr炭化
物が粒内に析出した再結晶粒組織を有する、Cl-
イオンを含む高温水環境下における耐応力腐食割
れ性に優れたNi基高Cr合金である。 かくして、本発明によれば、従来問題とされて
いたNi基高Cr合金の耐応力腐食割れ性が著しく
改善されるのであり、そのような予想外の結果
は、C含有量を0.04%以下に制限するとともに、
そのC含有量に応じて比較的低温度で最終焼鈍を
行い、同時にMo、WおよびVの少なくとも1種
を皮膜強化元素として添加することによる相乗的
効果の結果と考えられる。 本発明において合金組成を前述のように限定し
た理由は次の通りである。 C: Cは耐SCC性に有害な元素であるので、その含
有量は0.04%以下に制限する。 Si、Mn、Al: これらの元素はいずれも脱酸元素であり、それ
ぞれ溶製条件に応じて適宜量だけ添加されるが、
Si、Mn、Alがそれぞれ1.0%、1.0%および0.5%
の上限を越えると、合金の清浄度を劣化させる。
なお、Alは0.1%未満では効果がない。 Ni: Niは耐食性向上に有効な元素であつて、特に
耐酸性およびCl-イオン含有高温水中における耐
SCC性を向上させる。このためにはNiは40%以
上必要であり、また、上限はCr、Mo、W、V等
の合金元素の添加割合を考慮して、70%以下とす
る。 Cr: Crは耐食性向上に必須の元素であるが、25%
未満では耐SCC性の向上の効果が少ない。一方、
35%を越えると、熱間加工性が著しく劣化する。
したがつて、本発明ではCrは25〜35%に制限す
る。 P: Pは合金中に不純物として存在するものであつ
て、0.030%を越えると耐酸性および熱間加工性
に有害である。 S: Sも同様に不純物の1種であつて、0.02%を越
えて存在すると、Pと同様に耐酸性および熱間加
工性に有害である。 Ti: Tiは安定化元素として添加するものである。
すなわち、P、Sを上記の値以下に制御しても顕
著な効果が得られないため、本発明においては
Tiを0.05%以上添加することによつて、所定の熱
間加工性を確保させる。一方、1.0%以上を越え
ると、その効果が飽和するため、その上限を1.0
%とする。 Mo、W、V: これらの元素は、耐孔食性向上に有効な元素で
あり、特に、Cl-イオンを含む高温水中における
耐孔食性を向上させる。これらの元素の少なくと
も1種の合計含有量が0.5%未満では、表面の不
働態皮膜が強化されないため、孔食を発生し、こ
れにより耐応力腐食割れ性が劣化する。一方、こ
れらの元素の少なくとも1種を合計で5.0%を越
えて含有するとその耐孔食性の向上という効果が
飽和するうえ、熱間加工性を著しく劣化させる。
したがつて、本発明にあつては、Mo、Wおよび
Vの1種または2種以上の添加量を合計で0.5〜
5.0%に制限する。 次に、本発明にあつては少なくとも大部分の未
固溶のCr炭化物が粒内に析出した再結晶粒組織
を特徴とするが、かかる組織は具体的には、C含
有量に応じて第1図の点A,B,C,DおよびE
によつて囲まれた領域内の焼鈍条件で焼鈍を行う
ことにより得られるのであり、換言すればそのよ
うな処理によつて得た組織ということができる。
まず、BC線およびCD線は、本発明に係る合金の
再結晶曲線を示し、BC線およびCD線で示される
それぞれの温度未満では再結晶しないため、焼鈍
合金の強度が高く、また耐食性も悪い。従つて、
合金のC含有量にしたがつて、BC線およびCD線
で示される以上の温度での焼鈍処理が必要であ
る。一方、AE線は完全には合金中の炭素を固溶
させない温度の上限である。よつて、この温度以
下で焼鈍処理をする限り炭化物は粒内に存在す
る。しかし、AE線で示される温度を越えた温度
で焼鈍を行うと、600℃×3時間の鋭敏化処理を
施す場合、粒界に炭化物がすべて析出するため
に、耐粒界腐食性を劣化させる。従つて、粒界に
炭化物がすべて析出してしまうのを防止すべく、
すなわち、少なくとも大部分の未固溶のCr炭化
物が粒内に析出するように、最終焼鈍はAE線で
示される温度以下で行う必要がある。 なお、A(0%、910℃)、B(0%、850℃)、C
(0.02%、850℃)、D(0.04%、900℃)、およびE
(0.04%、1000℃)である。 次に、実施例によつて本発明をさらに具体的に
説明する。 実施例 第1表に示す化学成分から成る組成の合金を17
Kg真空炉で溶製し、通常の条件下での鍛造、熱間
圧延および熱処理を加えた後、30%冷間加工し、
引き続いて、各種温度での焼鈍を施した。さら
に、実際の使用下での寿命を予想した条件にもと
ずいて設定された600℃×3時間の熱処理、つま
り鋭敏化処理を行つた後、厚さ3mm×幅10mm×長
さ40mmの粒界腐食試験片および厚さ2mm×幅10mm
×長さ75mmの応力腐食割れ試験片を採取した。こ
れらの粒界腐食試験片および応力腐食割れ試験片
はエメリー紙320番で研磨後、以下に述べる実験
に使用した。 まず、応力腐食割れ試験片は研磨後2枚重ね合
わせて、U型に曲げたダブルU−ベンド試験片と
してこれをオートクレーブ(高温高圧容器)を用
いて、325℃で1000ppm Cl-(NaClとして)の溶
液中に1500時間浸漬した。試験終了後、内側試験
片の割れの深さを顕微鏡で測定した。 一方、粒界腐食試験片は60%HNO3+0.1%HF
の沸騰溶液中に4時間浸漬し、そのときの腐食減
量を測定した。 得られた試験結果は第2図ないし第5図にそれ
ぞれグラフとして示す。なお、各グラフ中の参照
番号はそれぞれ第1表中の供試合金番号である。 第2図に示すグラフは、本発明に係る0.02〜
0.03%C−25%Cr−0.6%Moを基本組成とし、Ni
含有量を種々変えて得た合金に1150℃に30分加熱
して焼鈍処理を行い、水冷後、600℃に3時間加
熱して鋭敏化処理し、次いで冷却した試験片を施
し、前述の粒界腐食試験を実施して得たデータを
まとめたものである。上記焼鈍温度は本発明にお
けるそれよりも高い。 本発明合金と同一組成の合金でも、焼鈍温度が
高いと600℃、3時間加熱(鋭敏化処理)後空冷
の処理したときに、Cr炭化物がすべて粒界に析
出するために、粒界近傍にCr欠乏層が生じて、
腐食されるのである。したがつて、焼鈍温度を下
げる必要がある。 第3図に示すグラフは本発明に係る組成の合金
と従来材の耐粒界腐食性を示したものである。い
ずれも0.02〜0.03%C−0.6%Moの組成を有し、
これを900℃で30分間加熱して焼鈍処理を行い、
水冷後、600℃で3時間加熱して鋭敏化処理をし
てから空冷したものである。図中、白抜き丸は
Cr30%を越える場合を、黒丸は25〜30%Crの場
合を示す。図示グラフからも明らかなように、
Ni量が40%未満では、いずれの場合も腐食速度
が大きく、40%以上になると耐粒界腐食性の抵抗
性が向上する。したがつて、Ni量としては、40
%以上必要である。 次に、第4図は、0.02%C−25%Cr−50%Ni
を基本組成として、これにMo、VおよびWのう
ち1種または2種以上を添加した合金を900℃で
30分間加熱して焼鈍処理を行い、水冷後、600℃
で3時間加熱して鋭敏化処理をし、次いで空冷し
たときの耐粒界腐食性を示す。Mo、VおよびW
の少なくとも1種の合計量が0.5%未満では、耐
食性改善の効果が認められないが、0.5%以上添
加されると、耐粒界腐食性の抵抗性が向上するこ
とが明らかとなつた。これは、添加されたMo、、
VおよびWが不働態皮膜を強化しているため、合
金表面に形成されたCr2O3の皮膜が安定に存在出
来るためと考えられる。よつて、Mo、Vおよび
Wはその1種または2種以上が合計で0.5%以上
必要である。 第5図は、耐SCC性に及ぼすNi含有量(%)
とCr含有量(%)との影響をグラフで示したも
のである。供試合金は900℃で30分加熱して焼鈍
処理を行い、水冷後、600℃で3時間加熱して鋭
敏化処理をしてから空冷したものである。図中、
白丸は応力腐食割れがみられなかつた場合、黒丸
は20μ以上の割れがみられた場合をそれぞれ示
す。 Cr量が本発明におけるように20%以上であつ
ても、Ni量が40%未満であれば、粒界型の応力
腐食割れ性を生じる。従つて、40%以上のNi量
が必要である。 第6図イ〜ニに示す本発明にかかる合金の結晶
粒組織の模式図からも明らかなように、本発明に
よれば熱間加工(第6図イ参照)、軟化焼鈍(第
6図ロ参照)、冷間加工(第6図ハ参照)そして
最終焼鈍(再結晶焼鈍)を経て得たミクロ結晶組
織は、第6図ニに示すように、偏平粒でなく再結
晶化した整粒組織となり、少なくとも大部分の未
固溶のクロム炭化物が粒内に析出しており、再結
晶後の新粒界にはほとんど析出が見られず、した
がつて新粒界での鋭敏化は見られず、耐食性、特
に耐粒界応力腐食割れ性の劣化は見られない。 特に、本発明にかかる合金は、再結晶が十分に
行われた、所謂再結晶粒組織となるため、強度が
高くならないから曲げ加工を必要とされるパイプ
等には好ましい材料である。 したがつて、本発明における少なくとも大部分
の未固溶のCr炭化物が粒内に析出した再結晶粒
組織を実現するための具体的処理方法の臨界的意
義の一つは最終焼鈍条件であり、これは850℃以
上、炭素を固溶させない温度以下(もちろん、再
結晶温度以上である)ということであり、その範
囲は第1図に図示した通りである。 一方、第7図イ〜ハは本発明にかかる合金組成
とほぼ同様な合金組成を有する合金を例えば特開
昭58−67854号公報に記載されているような条件
で熱間加工(第7図イ参照)、冷間加工(第7図
ロ参照)そして再結晶温度未満の温度での焼鈍処
理を行つた場合の結晶粒組織の変化を示す模式図
であり、図示結果からも明らかなように、熱間加
工後、38%以上の冷間加工を行うことにより熱間
圧延時の粒界が偏平になり、これを最終焼鈍する
ことにより、焼鈍温度が再結晶温度より低い温度
であることから、第7図ハに示すように、偏平粒
はそのまま保存され、スリツプバンドに沿つた粒
内および粒界にクロム炭化物が微細析出した状態
になる。冷間加工時の歪み導入による駆動力によ
り合金元素(Crなど)の拡散が促進される結果、
焼鈍時の比較的短時間内にクロム炭化物周辺の
Cr欠乏層も回復され、耐食性の観点からは良好
な組織となつている。この結果、図示例の合金で
は未再結晶組織で歪みがかなり残留しているため
強度が高くなり、強度部材に対しては有効である
が、曲げ加工を必要とするようなパイプ等には不
向きな材料であるばかりでなく、耐食性も本発明
の合金と比較すると多少劣化している。
とも称する)に優れたNi基高Cr合金、特に粒内
に未固溶炭化物を析出させるとともに表面皮膜の
強化を図つて耐応力腐食割れ性を著しく改善した
Ni基高Cr合金に関する。 従来、Cl-イオンを含む応力腐食割れ環境下で
使用される、例えば原子力あるいは化学プラント
等のチユーブ、容器さらにはそれらの付属部品に
は、耐応力腐食割れ性にすぐれているといわれて
いるニツケル基合金が多く使用されている。しか
しながら、これまで一般に使用されている30%
Cr−60%Ni系合金にあつても使用環境によつて
は応力腐食割れの発生はさけられないことが報告
されている。 ここに、本発明の目的とするところは、上述の
ような30%Cr−60%Ni系合金にみられる欠点を
解消した、原子力あるいは化学プラント等のチユ
ーブ、容器および付属部品に厚板、丸棒あるいは
パイプの形態で使用される、耐食性、特に耐応力
腐食割れ性にすぐれた合金を提供することであ
る。 そこで、本発明者らは上述のような30%Cr−
60%Ni基合金がC含有量に応じて980〜1150℃と
いう比較的高温度で最終焼鈍され、未固溶炭化物
の存在しない状態で使用されていることに着目
し、合金組織中の炭化物の形態と耐食性との関連
を追求したところ、むしろ粒内であれば炭化物は
積極的に析出させたほうが耐応力腐食割れ性の向
上に有効であるとの知見を得た。また、Cl-イオ
ンを含む高温水環境下では孔食を起点として応力
腐食割れが生じる報告されているため、耐孔食性
の改善に有効な元素として知られているMo、W
およびVを添加して皮膜の強化を図つたところ、
前述の炭化物の析出効果と相俟つて、得られた合
金の耐食性、つまり耐応力腐食割れ性が著しく改
善されることを見い出して、ここに本発明を完成
したものである。 ここに、本発明の要旨とするところは、重量%
で、 C:0.04%以下、Si:1.0%以下、 Mn:1.0%以下、P:0.030%以下、 S:0.02%以下、Ni:40〜70%、 Cr:25〜35%、Al:0.1〜0.5%、 Ti:0.05〜1.0%、 Mo、WおよびVの1種または2種以上を合計
0.5〜5.0%、 残部、実質的にFe よりなり、少なくとも大部分の未固溶のCr炭化
物が粒内に析出した再結晶粒組織を有する、Cl-
イオンを含む高温水環境下における耐応力腐食割
れ性に優れたNi基高Cr合金である。 かくして、本発明によれば、従来問題とされて
いたNi基高Cr合金の耐応力腐食割れ性が著しく
改善されるのであり、そのような予想外の結果
は、C含有量を0.04%以下に制限するとともに、
そのC含有量に応じて比較的低温度で最終焼鈍を
行い、同時にMo、WおよびVの少なくとも1種
を皮膜強化元素として添加することによる相乗的
効果の結果と考えられる。 本発明において合金組成を前述のように限定し
た理由は次の通りである。 C: Cは耐SCC性に有害な元素であるので、その含
有量は0.04%以下に制限する。 Si、Mn、Al: これらの元素はいずれも脱酸元素であり、それ
ぞれ溶製条件に応じて適宜量だけ添加されるが、
Si、Mn、Alがそれぞれ1.0%、1.0%および0.5%
の上限を越えると、合金の清浄度を劣化させる。
なお、Alは0.1%未満では効果がない。 Ni: Niは耐食性向上に有効な元素であつて、特に
耐酸性およびCl-イオン含有高温水中における耐
SCC性を向上させる。このためにはNiは40%以
上必要であり、また、上限はCr、Mo、W、V等
の合金元素の添加割合を考慮して、70%以下とす
る。 Cr: Crは耐食性向上に必須の元素であるが、25%
未満では耐SCC性の向上の効果が少ない。一方、
35%を越えると、熱間加工性が著しく劣化する。
したがつて、本発明ではCrは25〜35%に制限す
る。 P: Pは合金中に不純物として存在するものであつ
て、0.030%を越えると耐酸性および熱間加工性
に有害である。 S: Sも同様に不純物の1種であつて、0.02%を越
えて存在すると、Pと同様に耐酸性および熱間加
工性に有害である。 Ti: Tiは安定化元素として添加するものである。
すなわち、P、Sを上記の値以下に制御しても顕
著な効果が得られないため、本発明においては
Tiを0.05%以上添加することによつて、所定の熱
間加工性を確保させる。一方、1.0%以上を越え
ると、その効果が飽和するため、その上限を1.0
%とする。 Mo、W、V: これらの元素は、耐孔食性向上に有効な元素で
あり、特に、Cl-イオンを含む高温水中における
耐孔食性を向上させる。これらの元素の少なくと
も1種の合計含有量が0.5%未満では、表面の不
働態皮膜が強化されないため、孔食を発生し、こ
れにより耐応力腐食割れ性が劣化する。一方、こ
れらの元素の少なくとも1種を合計で5.0%を越
えて含有するとその耐孔食性の向上という効果が
飽和するうえ、熱間加工性を著しく劣化させる。
したがつて、本発明にあつては、Mo、Wおよび
Vの1種または2種以上の添加量を合計で0.5〜
5.0%に制限する。 次に、本発明にあつては少なくとも大部分の未
固溶のCr炭化物が粒内に析出した再結晶粒組織
を特徴とするが、かかる組織は具体的には、C含
有量に応じて第1図の点A,B,C,DおよびE
によつて囲まれた領域内の焼鈍条件で焼鈍を行う
ことにより得られるのであり、換言すればそのよ
うな処理によつて得た組織ということができる。
まず、BC線およびCD線は、本発明に係る合金の
再結晶曲線を示し、BC線およびCD線で示される
それぞれの温度未満では再結晶しないため、焼鈍
合金の強度が高く、また耐食性も悪い。従つて、
合金のC含有量にしたがつて、BC線およびCD線
で示される以上の温度での焼鈍処理が必要であ
る。一方、AE線は完全には合金中の炭素を固溶
させない温度の上限である。よつて、この温度以
下で焼鈍処理をする限り炭化物は粒内に存在す
る。しかし、AE線で示される温度を越えた温度
で焼鈍を行うと、600℃×3時間の鋭敏化処理を
施す場合、粒界に炭化物がすべて析出するため
に、耐粒界腐食性を劣化させる。従つて、粒界に
炭化物がすべて析出してしまうのを防止すべく、
すなわち、少なくとも大部分の未固溶のCr炭化
物が粒内に析出するように、最終焼鈍はAE線で
示される温度以下で行う必要がある。 なお、A(0%、910℃)、B(0%、850℃)、C
(0.02%、850℃)、D(0.04%、900℃)、およびE
(0.04%、1000℃)である。 次に、実施例によつて本発明をさらに具体的に
説明する。 実施例 第1表に示す化学成分から成る組成の合金を17
Kg真空炉で溶製し、通常の条件下での鍛造、熱間
圧延および熱処理を加えた後、30%冷間加工し、
引き続いて、各種温度での焼鈍を施した。さら
に、実際の使用下での寿命を予想した条件にもと
ずいて設定された600℃×3時間の熱処理、つま
り鋭敏化処理を行つた後、厚さ3mm×幅10mm×長
さ40mmの粒界腐食試験片および厚さ2mm×幅10mm
×長さ75mmの応力腐食割れ試験片を採取した。こ
れらの粒界腐食試験片および応力腐食割れ試験片
はエメリー紙320番で研磨後、以下に述べる実験
に使用した。 まず、応力腐食割れ試験片は研磨後2枚重ね合
わせて、U型に曲げたダブルU−ベンド試験片と
してこれをオートクレーブ(高温高圧容器)を用
いて、325℃で1000ppm Cl-(NaClとして)の溶
液中に1500時間浸漬した。試験終了後、内側試験
片の割れの深さを顕微鏡で測定した。 一方、粒界腐食試験片は60%HNO3+0.1%HF
の沸騰溶液中に4時間浸漬し、そのときの腐食減
量を測定した。 得られた試験結果は第2図ないし第5図にそれ
ぞれグラフとして示す。なお、各グラフ中の参照
番号はそれぞれ第1表中の供試合金番号である。 第2図に示すグラフは、本発明に係る0.02〜
0.03%C−25%Cr−0.6%Moを基本組成とし、Ni
含有量を種々変えて得た合金に1150℃に30分加熱
して焼鈍処理を行い、水冷後、600℃に3時間加
熱して鋭敏化処理し、次いで冷却した試験片を施
し、前述の粒界腐食試験を実施して得たデータを
まとめたものである。上記焼鈍温度は本発明にお
けるそれよりも高い。 本発明合金と同一組成の合金でも、焼鈍温度が
高いと600℃、3時間加熱(鋭敏化処理)後空冷
の処理したときに、Cr炭化物がすべて粒界に析
出するために、粒界近傍にCr欠乏層が生じて、
腐食されるのである。したがつて、焼鈍温度を下
げる必要がある。 第3図に示すグラフは本発明に係る組成の合金
と従来材の耐粒界腐食性を示したものである。い
ずれも0.02〜0.03%C−0.6%Moの組成を有し、
これを900℃で30分間加熱して焼鈍処理を行い、
水冷後、600℃で3時間加熱して鋭敏化処理をし
てから空冷したものである。図中、白抜き丸は
Cr30%を越える場合を、黒丸は25〜30%Crの場
合を示す。図示グラフからも明らかなように、
Ni量が40%未満では、いずれの場合も腐食速度
が大きく、40%以上になると耐粒界腐食性の抵抗
性が向上する。したがつて、Ni量としては、40
%以上必要である。 次に、第4図は、0.02%C−25%Cr−50%Ni
を基本組成として、これにMo、VおよびWのう
ち1種または2種以上を添加した合金を900℃で
30分間加熱して焼鈍処理を行い、水冷後、600℃
で3時間加熱して鋭敏化処理をし、次いで空冷し
たときの耐粒界腐食性を示す。Mo、VおよびW
の少なくとも1種の合計量が0.5%未満では、耐
食性改善の効果が認められないが、0.5%以上添
加されると、耐粒界腐食性の抵抗性が向上するこ
とが明らかとなつた。これは、添加されたMo、、
VおよびWが不働態皮膜を強化しているため、合
金表面に形成されたCr2O3の皮膜が安定に存在出
来るためと考えられる。よつて、Mo、Vおよび
Wはその1種または2種以上が合計で0.5%以上
必要である。 第5図は、耐SCC性に及ぼすNi含有量(%)
とCr含有量(%)との影響をグラフで示したも
のである。供試合金は900℃で30分加熱して焼鈍
処理を行い、水冷後、600℃で3時間加熱して鋭
敏化処理をしてから空冷したものである。図中、
白丸は応力腐食割れがみられなかつた場合、黒丸
は20μ以上の割れがみられた場合をそれぞれ示
す。 Cr量が本発明におけるように20%以上であつ
ても、Ni量が40%未満であれば、粒界型の応力
腐食割れ性を生じる。従つて、40%以上のNi量
が必要である。 第6図イ〜ニに示す本発明にかかる合金の結晶
粒組織の模式図からも明らかなように、本発明に
よれば熱間加工(第6図イ参照)、軟化焼鈍(第
6図ロ参照)、冷間加工(第6図ハ参照)そして
最終焼鈍(再結晶焼鈍)を経て得たミクロ結晶組
織は、第6図ニに示すように、偏平粒でなく再結
晶化した整粒組織となり、少なくとも大部分の未
固溶のクロム炭化物が粒内に析出しており、再結
晶後の新粒界にはほとんど析出が見られず、した
がつて新粒界での鋭敏化は見られず、耐食性、特
に耐粒界応力腐食割れ性の劣化は見られない。 特に、本発明にかかる合金は、再結晶が十分に
行われた、所謂再結晶粒組織となるため、強度が
高くならないから曲げ加工を必要とされるパイプ
等には好ましい材料である。 したがつて、本発明における少なくとも大部分
の未固溶のCr炭化物が粒内に析出した再結晶粒
組織を実現するための具体的処理方法の臨界的意
義の一つは最終焼鈍条件であり、これは850℃以
上、炭素を固溶させない温度以下(もちろん、再
結晶温度以上である)ということであり、その範
囲は第1図に図示した通りである。 一方、第7図イ〜ハは本発明にかかる合金組成
とほぼ同様な合金組成を有する合金を例えば特開
昭58−67854号公報に記載されているような条件
で熱間加工(第7図イ参照)、冷間加工(第7図
ロ参照)そして再結晶温度未満の温度での焼鈍処
理を行つた場合の結晶粒組織の変化を示す模式図
であり、図示結果からも明らかなように、熱間加
工後、38%以上の冷間加工を行うことにより熱間
圧延時の粒界が偏平になり、これを最終焼鈍する
ことにより、焼鈍温度が再結晶温度より低い温度
であることから、第7図ハに示すように、偏平粒
はそのまま保存され、スリツプバンドに沿つた粒
内および粒界にクロム炭化物が微細析出した状態
になる。冷間加工時の歪み導入による駆動力によ
り合金元素(Crなど)の拡散が促進される結果、
焼鈍時の比較的短時間内にクロム炭化物周辺の
Cr欠乏層も回復され、耐食性の観点からは良好
な組織となつている。この結果、図示例の合金で
は未再結晶組織で歪みがかなり残留しているため
強度が高くなり、強度部材に対しては有効である
が、曲げ加工を必要とするようなパイプ等には不
向きな材料であるばかりでなく、耐食性も本発明
の合金と比較すると多少劣化している。
【表】
【表】
含有していない。
第1図は、本発明における焼鈍温度をC含有量
に対して示すグラフ;第2図ないし第4図は、本
発明の実施例における耐粒界腐食性の試験結果を
示すグラフ;第5図は、同じく耐応力腐食割れ性
の試験結果を示すグラフ;第6図イないし第6図
ニは、本発明にかかるNi基高Cr合金の結晶粒組
織の加工熱処理時の変化を示す模式的説明図;お
よび第7図イないし第7図ハは、従来例に見られ
る合金の結晶粒組織の加工熱処理時の変化を示す
模式的説明図である。
に対して示すグラフ;第2図ないし第4図は、本
発明の実施例における耐粒界腐食性の試験結果を
示すグラフ;第5図は、同じく耐応力腐食割れ性
の試験結果を示すグラフ;第6図イないし第6図
ニは、本発明にかかるNi基高Cr合金の結晶粒組
織の加工熱処理時の変化を示す模式的説明図;お
よび第7図イないし第7図ハは、従来例に見られ
る合金の結晶粒組織の加工熱処理時の変化を示す
模式的説明図である。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 重量%で、 C:0.04%以下、Si:1.0%以下、 Mn:1.0%以下、P:0.030%以下、 S:0.02%以下、Ni:40〜70%、 Cr:25〜35%、Al:0.1〜0.5%、 Ti:0.05〜1.0%、 Mo、WおよびVの1種または2種以上を合計
で0.5〜5.0%、 残部、実質的にFe よりなり、少なくとも大部分の未固溶のCr炭化
物が粒内に析出した再結晶粒組織を有する、Cl-
イオンを含む高温水環境下における耐応力腐食割
れ性に優れたNi基高Cr合金。
Priority Applications (6)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP10409483A JPS59229457A (ja) | 1983-06-13 | 1983-06-13 | 耐応力腐食割れ性に優れたNi基高Cr合金 |
| DE8383730106T DE3382433D1 (de) | 1982-11-10 | 1983-11-09 | Nickel-chromlegierung. |
| EP19890103551 EP0329192B1 (en) | 1982-11-10 | 1983-11-09 | Nickel-chromium alloy |
| EP83730106A EP0109350B1 (en) | 1982-11-10 | 1983-11-09 | Nickel-chromium alloy |
| DE19833382737 DE3382737T2 (de) | 1982-11-10 | 1983-11-09 | Nickel-Chrom-Legierung. |
| US06/878,398 US4715909A (en) | 1983-06-13 | 1986-06-19 | Nickel-chromium alloy in stress corrosion cracking resistance |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP10409483A JPS59229457A (ja) | 1983-06-13 | 1983-06-13 | 耐応力腐食割れ性に優れたNi基高Cr合金 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPS59229457A JPS59229457A (ja) | 1984-12-22 |
| JPH0153340B2 true JPH0153340B2 (ja) | 1989-11-14 |
Family
ID=14371529
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP10409483A Granted JPS59229457A (ja) | 1982-11-10 | 1983-06-13 | 耐応力腐食割れ性に優れたNi基高Cr合金 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPS59229457A (ja) |
Families Citing this family (3)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JPS60100640A (ja) * | 1983-11-07 | 1985-06-04 | Nippon Kokan Kk <Nkk> | 耐熱耐食性の優れた高クロム合金 |
| CN106756247B (zh) * | 2016-10-31 | 2018-10-26 | 重庆材料研究院有限公司 | 一种放射性废液处理装置制作材料及其制备方法 |
| CN106544547B (zh) * | 2016-10-31 | 2018-08-28 | 重庆材料研究院有限公司 | 一种核场放射性废液处理用耐蚀材料及其制备方法 |
Family Cites Families (5)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JPS57203738A (en) * | 1981-06-11 | 1982-12-14 | Sumitomo Metal Ind Ltd | Precipitation hardening alloy of high stress corrosion cracking resistance for high-strength oil well pipe |
| JPS57203739A (en) * | 1981-06-11 | 1982-12-14 | Sumitomo Metal Ind Ltd | Precipitation hardening alloy of high stress corrosion cracking resistance for high strength oil well pipe |
| JPS5811735A (ja) * | 1981-07-13 | 1983-01-22 | Sumitomo Metal Ind Ltd | 耐応力腐食割れ性に優れた高強度油井管の製造法 |
| JPS5811736A (ja) * | 1981-07-13 | 1983-01-22 | Sumitomo Metal Ind Ltd | 耐応力腐食割れ性に優れた高強度油井管の製造法 |
| JPS6053108B2 (ja) * | 1981-10-16 | 1985-11-22 | 住友金属工業株式会社 | 耐応力腐食割れ性にすぐれたニツケル基高クロム合金の製造方法 |
-
1983
- 1983-06-13 JP JP10409483A patent/JPS59229457A/ja active Granted
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPS59229457A (ja) | 1984-12-22 |
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