JPH021901B2 - - Google Patents
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- JPH021901B2 JPH021901B2 JP58177800A JP17780083A JPH021901B2 JP H021901 B2 JPH021901 B2 JP H021901B2 JP 58177800 A JP58177800 A JP 58177800A JP 17780083 A JP17780083 A JP 17780083A JP H021901 B2 JPH021901 B2 JP H021901B2
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Description
〔発明の利用分野〕
本発明は、Ni−Cr−Mo−V鋼の改良に係り、
特に高低圧および低温、高温における蒸気環境下
においても高温強度、靭性および耐酸化性を有す
る高低圧一体型蒸気タービン用ロータに用いる耐
クリープ耐酸化性低合金鋼に関するものである。 〔発明の背景〕 現在の蒸気タービン用ロータは、その使用蒸気
の温度、圧力によつて高圧部、中圧部および低圧
部からなり、それぞれの蒸気の温度、圧力に応じ
た強度、靭性および耐酸化性を有する異種材質を
組合せて構成されている。しかし、蒸気タービン
用ロータの高圧部、中圧部を構成する材料として
は、蒸気により538〜566℃の高温にさらされるた
め、高温下においても高強度を有することが要求
されている。そのため、一般に高圧、中圧部は1
%Cr−1%Mo−1/4V鋼が使用されている。一
方、低圧部には200〜300℃の蒸気にさらされるた
め、低温靭性の高い鋼たとえば高Niの1.6〜3.5%
Ni−1.2〜1.7%Cr−0.45%Mo−0.13%V鋼、ある
いは0.35%C以下を含む1.7〜3.5%Ni−1.2〜1.7%
Cr−0.45%Mo−0.13%V鋼などが使用されてい
る。 最近、ロータとデイスクの組合せ構造を簡略化
するため高圧部から低圧部までを同一材質で構成
するいわゆる一体型蒸気タービン用ロータが注目
されている。この高低圧一体型蒸気タービン用ロ
ータに要求される材質としては低温靭性にあわせ
て高温強度を有することが要求される。特に、大
型化した一体型蒸気タービン用ロータでは、ロー
タの外表部と中心部における冷却速度が異つても
長時間の使用により機械的性質の劣化、特に脆化
を起さないような材料で構成することが重要であ
る。 しかしながら、現在、タービン、ロータに用い
られている1%Cr−1%Mo−1/4%V鋼では、
高温でのクリープ強度が低い一方、低温での靭性
が十分でない。特に外表部と中心部での焼入れ冷
却速度が異なる場合には機械的性質を均一にする
ことができない。特に、大型化した場合には、中
心部では焼入れの際の冷却速度が30〜40℃以下と
なり350〜500℃の温度領域でおいて徐却されるた
め靭性が低下するという欠点がある。また、538
〜566℃の蒸気温度領域においては、Cr−Mo−
V鋼の高温焼もどし脆化温度域(375〜575℃)に
相当し、この温度範囲で長時間使用すればタービ
ン、ロータは著しく脆化される。 近年、発電用蒸気タービンにおいては、電力消
費量が昼と夜で相違しているため、蒸気タービン
の起動、停止回数が増えてきている。そのため、
蒸気タービン用ロータは起動−停止に伴う加熱−
冷却が繰り返されるため、経時的に脆化して靭性
が低下し、ついには、脆性破壊を起す危険性が増
大する。 そこで、高低圧一体型蒸気タービン用ロータ材
としては高いクリープ破壊強度、高い靭性および
長期間の使用で脆化しない材料が必要となつてき
ている。特に、高圧部および中圧部では550℃×
106hrで10Kg/mm2以上のクリープ破断強度が要求
される。さらに、高低圧蒸気タービン用ロータの
構成材料としては、上記クリープ破断強度の目標
値を満足すると共に、低圧部において低温靭性も
優れていることが必要である。 したがつて、高低圧一体型蒸気タービン用ロー
タの構成材料としては、低温靭性の優れた現用の
Ni−Cr−Mo−V鋼が最適である。 しかし、従来の低圧蒸気タービン用ロータに
Ni−Cr−Mo−V鋼を用いるときには、200〜300
℃の蒸気中に使用されるため、クリープ破断強度
はあまり要求されなかつた。 高低圧一体型蒸気ロータにNi−Cr−Mo−V鋼
を用いる場合には、クリープ破断強度が低いた
め、使用中に破壊するという問題点を有してい
た。 一方、高低圧一体型蒸気タービン用ロータの高
温側において、ロータの表面は高温の蒸気にさら
されるため、酸化スケールが生成する。そのた
め、酸化スケールは蒸気タービンの起動、停止に
伴うロータの膨張収縮により剥離し、減肉の原因
となると共に、表面欠陥を起こす。そのため、ロ
ータ材としては高強度および高靭性を有すると共
に、高温蒸気に対する耐酸化性がよいことが要求
される。 しかしながら、従来のNi−Cr−Mo−V鋼で
は、高温蒸気に対する耐酸化性が劣り、酸化スケ
ールの剥離による減肉および表面欠陥を生ずると
いう問題点を有していた。 〔発明の目的〕 本発明の目的は、高圧部、中圧部および低圧部
からなる蒸気タービン用ロータをNi−Cr−Mo−
V鋼の鍛造品で一体に形成すると共に、Ni−Cr
−Mo−V鋼に特殊元素を添加して高温クリープ
破断強度、靭性および耐酸化性の優れた高低圧一
体型蒸気タービン用ロータに用いる低合金鋼を提
供することにある。 〔発明の概要〕 本発明は、重量比でC;0.15〜0.35%、Si;
0.05%以下、Mn;1.0%以下、Ni;1.5〜4.0%、
Cr;1〜3.41%、Mo;0.2〜0.8%、Nb;0.07〜
0.3%、V;0.07〜0.15%、残部Feおよび不可避的
不純物からなる低合金鋼のNbとVとの比、Nb/
Vが、1を越え2以下であり、かつ、P、Sn、
Sb、Asの不可避的不純物とSiとの合計量が0.08
%以下である耐クリープ耐酸化性低合金鋼であつ
て、Crを前記成分範囲で且つ(C×Ni)/Crの
比で2.11以下になるよう添加し、さらに不純物で
あるP、Sn、Sb、Zn、Pb、As、Cu、Al、Bと、
Siとを極力低くおさえた高低圧一体型蒸気タービ
ン用ロータに用いる大型鍛造品用低合金鋼であ
る。 本発明に係る高低圧一体型蒸気タービン用ロー
タは、従来使用されたNi−Cr−Mo−V鋼から成
る蒸気タービン用ロータに比べてクリープ破断強
度、低温靭性が優れていると共に耐酸化性がよく
実用上十分に使用に耐え得るものである。 特に、本発明においては、重量比でC;0.18〜
0.23%、Si;0.05%以下、Mn;0.3〜0.7、Ni;2
〜3.5、Cr;1.2〜1.6%、Mo;0.4〜0.6%、V;
0.1〜0.13、Nb;0.1〜0.25%および残部Feからな
る低合金鋼のNbとVとの比、Nb/Vが、1を越
え2以下であり、かつP、Sb、SnおよびAsの不
純物が0.03%以下で、且つSi量との合計が0.08%
以下に抑制し、焼入れ焼もどした状態で全ベイナ
イト組織を有する鍛造品が好ましい。 本発明に係る高低圧一体型蒸気タービン用ロー
タを構成するNi−Cr−Mo−V鋼を上記成分範囲
に限定した理由は次の通りである。 C;0.15〜0.35% Cは焼入性を向上させ引張強さや耐力を向上さ
せると共に、Mo、Cr、V、Nbと結合して炭化
物を形成し高温クリープ破断強度を向上させるの
に必要な元素であるが、0.15%未満ではCが炭化
物の生成に消費されるためフエライト相を生成
し、実質的に完全ベイナイト組織が得られず、引
張強さとクリープ破断強度が得られない。一方、
0.35%を越えれば、炭化物が凝集して粗大化し、
靭性およびクリープ破断強度を却つて低下させる
傾向がある。したがつてC量は0.15〜0.35%の範
囲に限定した。さらに好ましくは0.18〜0.23%の
範囲がよい。 Mn;1.0%以下 Mnは脱酸および脱硫剤として作用すると共
に、焼入性および強度に寄与する元素であるが、
あまり多量に添加すると靭性を害すので1.0%以
下とした。特に0.3〜0.7%にするのが好ましい。 Ni;1.5〜4.0% Niは焼入性を向上させると共に低温靭性を向
上させるのにもつとも有効な元素である。しか
し、1.5%未満では強度、靭性が十分に得られな
い。一方、4.0%を越えると、実質的に完全ベイ
ナイト組織が得られなくなると共に高温強度が得
られないので、Ni量は1.5〜4.0%の範囲に限定し
た。特に好ましくは2〜3.5%がよい。 Cr;1〜3.41% Crは焼入性を向上させ、靭性およびクリープ
破断強度を向上させるのに有効な元素であると共
に、耐酸化性に寄与する元素である。しかし、1
%未満ではその効果が小さく、また、3.41%を越
えると、耐酸化性の向上に対する効果を除き、効
果が飽和するので、Cr量は1〜3.41%の範囲に限
定した。さらにクリープ破断強度および靭性を保
持しつつ、耐酸化性を向上させるには、Crは
(C+Ni)/Crの比2.21以下になるように添加す
ることが好ましい。従つて、Cr量は少なくとも
1.6〜3.41%にすることが望ましい。 Mo;0.2〜0.8 MoはCおよびCrとの共存下で高温強度を向上
させると共に高温脆性ならびに焼もどし脆性を抑
制するのに有効な元素であるが、0.2%未満では
その効果が十分でなく。また0.8%を越えると、
フエライト生成元素であるためCrと相乗して完
全ベイナイト組織が得られなくなるので、Mo量
は0.2〜0.8%の範囲に限定した。 V;0.07〜0.15% VはCと結合して微細炭化物を析出して高温強
度を向上させるのに最も有効な元素であるが、
0.07%未満ではその効果が少なく、0.15%を越え
ると、高温延性が低下するので、V量は0.07〜
0.15%の範囲に限定した。さらに、Cと結合して
微細な炭化物を析出するNbとの関係から、V量
は0.1〜0.13%の範囲にすることが好ましい。 Nb;0.07〜0.3% Nbは本発明において添加する重要元素であつ
て結晶粒を微細にして靭性を向上させると共に、
微細な炭化物をマトリツクス基地に析出して高温
強度、特にクリープ破断強度を向上させるに必要
な元素である。Nb量はV量との関係において
Nb/Vの比が、1を越え2以下の範囲内にクリ
ープ破断強度の最も高い値が存在し、かつ、50%
脆性破面率遷移温度が最も低い値を示す。Nb/
Vの比が1以下ではその効果が十分でなく、
Nb/Vの比が2を越えると、フエライト相が生
成して強度が低下する。Nb量は、Nb/Vの比が
1を越え2以下となる0.07〜0.3%の範囲に限定
した。さらに好ましくはNb量は0.1〜0.25%の範
囲とすることがよい。 さらに、本発明に係る耐クリープ耐酸化性低合
金鋼は不純物としてのSi、P、Sn、Sb、As、
Zn、Pb、Cu、AlおよびBの混入を極力低くおさ
えることにより、更にクリープ破断強度および耐
酸化性を改善したことにも特徴がある。 P、Sb、SnおよびAsの不純物はクリープ破断
強度および靭性に対して有害な元素であり、Pが
最も有害であり、Sb、Sn、Asの順となる。これ
らの合計量が0.035%以上になると特に顕著であ
り、Siを含めた合計量を0.08%以下とすることが
好ましい。 また、上記のP、Sb、SnおよびAsに加えて
Al、Zn、Cu、Pb、Bは高温蒸気における耐酸化
性を低下させる元素であり、Siを含めた混入量が
0.25%以上になると、高度蒸気中で耐酸化性を著
しく低下させる。従つて、不純物の混入量を0.2
%以下に抑制することが好ましい。 本発明に係る耐クリープ耐酸性低合金鋼は、上
記化学組成から構成され、焼入れ焼もどし状態で
完全ベイナイト組織を呈している。ベイナイト組
織を有する低合金鋼は最もすぐれたクリープ破断
強度を有している。このベイナイト組織は焼入れ
焼もどし処理によつて得られるが、完全ベイナイ
ト組織を得るにはC、Mn、Ni、Cr、Moおよび
Vの添加量を相乗的に成分調整することが必要で
ある。 次に、本発明に係る耐クリープ耐酸化性低合金
鋼を製造する際の留意点を説明すると、溶鋼中の
P、Sb、SnおよびAsを低めるには、使用する原
料を精選すると共に、溶鋼を減圧下に保持しなが
らArまたはHeなどの不活性ガスをランスを介し
て溶鋼中に吹込む。このようにすれば、P、Sb、
SnおよびAsは減圧下で酸化反応が促進されて酸
化物として溶鋼上に浮上除去されると共に、不活
性ガスの吹込みによる攪拌により、気化されて除
去される。一方、脱酸剤としてのSiを添加しない
場合にはArまたはNeの不活性ガスを溶鋼中にラ
ンスを介して吹込むことにより、溶鋼中のCとO
とを反応させて脱酸作用を補うことができる。 〔発明の実施例〕 次に、本発明の実施例について説明する。 まず、原料を精選してアーク電気炉で溶解し、
次いて、本発明についてはアーク電気炉から出鋼
した溶鋼を取鍋炉内に移注して取鍋精錬を行つ
た。この取鍋精錬では1torrの真空に保持して加
熱し、取鍋炉底部の孔からArガスを溶鋼中に吹
込み、脱ガスおよび酸化物の浮上により不純物
(Si、P、Sn、Sb、Zn、Pb、As、Cu、Alおよび
B)を除去し、次いで再びArガスを吹込みなが
らアークにより溶鋼を加熱した後、真空鋳造して
インゴツトを得た。さらにインゴツトを所定形状
に鍛造し、続いて840℃に加熱して1時間保持し
た後、600℃/hrの冷却速度で焼入れ処理施して、
さらに630℃×10hr空冷焼もどしを行つて供試材
とした。また、焼入れの冷却速度の影響をみるた
め、冷却速度を50℃/hrで焼入れした供試材をも
準備した。 一方、比較鋼はアーク電気炉で溶解した溶鋼を
そのまま真空鋳造してインゴツトとし、鍛造して
所定形状にした後、上記と同様の熱処理を施し
た。 第1表には本発明鋼と比較鋼の化学組成が示さ
れている。
特に高低圧および低温、高温における蒸気環境下
においても高温強度、靭性および耐酸化性を有す
る高低圧一体型蒸気タービン用ロータに用いる耐
クリープ耐酸化性低合金鋼に関するものである。 〔発明の背景〕 現在の蒸気タービン用ロータは、その使用蒸気
の温度、圧力によつて高圧部、中圧部および低圧
部からなり、それぞれの蒸気の温度、圧力に応じ
た強度、靭性および耐酸化性を有する異種材質を
組合せて構成されている。しかし、蒸気タービン
用ロータの高圧部、中圧部を構成する材料として
は、蒸気により538〜566℃の高温にさらされるた
め、高温下においても高強度を有することが要求
されている。そのため、一般に高圧、中圧部は1
%Cr−1%Mo−1/4V鋼が使用されている。一
方、低圧部には200〜300℃の蒸気にさらされるた
め、低温靭性の高い鋼たとえば高Niの1.6〜3.5%
Ni−1.2〜1.7%Cr−0.45%Mo−0.13%V鋼、ある
いは0.35%C以下を含む1.7〜3.5%Ni−1.2〜1.7%
Cr−0.45%Mo−0.13%V鋼などが使用されてい
る。 最近、ロータとデイスクの組合せ構造を簡略化
するため高圧部から低圧部までを同一材質で構成
するいわゆる一体型蒸気タービン用ロータが注目
されている。この高低圧一体型蒸気タービン用ロ
ータに要求される材質としては低温靭性にあわせ
て高温強度を有することが要求される。特に、大
型化した一体型蒸気タービン用ロータでは、ロー
タの外表部と中心部における冷却速度が異つても
長時間の使用により機械的性質の劣化、特に脆化
を起さないような材料で構成することが重要であ
る。 しかしながら、現在、タービン、ロータに用い
られている1%Cr−1%Mo−1/4%V鋼では、
高温でのクリープ強度が低い一方、低温での靭性
が十分でない。特に外表部と中心部での焼入れ冷
却速度が異なる場合には機械的性質を均一にする
ことができない。特に、大型化した場合には、中
心部では焼入れの際の冷却速度が30〜40℃以下と
なり350〜500℃の温度領域でおいて徐却されるた
め靭性が低下するという欠点がある。また、538
〜566℃の蒸気温度領域においては、Cr−Mo−
V鋼の高温焼もどし脆化温度域(375〜575℃)に
相当し、この温度範囲で長時間使用すればタービ
ン、ロータは著しく脆化される。 近年、発電用蒸気タービンにおいては、電力消
費量が昼と夜で相違しているため、蒸気タービン
の起動、停止回数が増えてきている。そのため、
蒸気タービン用ロータは起動−停止に伴う加熱−
冷却が繰り返されるため、経時的に脆化して靭性
が低下し、ついには、脆性破壊を起す危険性が増
大する。 そこで、高低圧一体型蒸気タービン用ロータ材
としては高いクリープ破壊強度、高い靭性および
長期間の使用で脆化しない材料が必要となつてき
ている。特に、高圧部および中圧部では550℃×
106hrで10Kg/mm2以上のクリープ破断強度が要求
される。さらに、高低圧蒸気タービン用ロータの
構成材料としては、上記クリープ破断強度の目標
値を満足すると共に、低圧部において低温靭性も
優れていることが必要である。 したがつて、高低圧一体型蒸気タービン用ロー
タの構成材料としては、低温靭性の優れた現用の
Ni−Cr−Mo−V鋼が最適である。 しかし、従来の低圧蒸気タービン用ロータに
Ni−Cr−Mo−V鋼を用いるときには、200〜300
℃の蒸気中に使用されるため、クリープ破断強度
はあまり要求されなかつた。 高低圧一体型蒸気ロータにNi−Cr−Mo−V鋼
を用いる場合には、クリープ破断強度が低いた
め、使用中に破壊するという問題点を有してい
た。 一方、高低圧一体型蒸気タービン用ロータの高
温側において、ロータの表面は高温の蒸気にさら
されるため、酸化スケールが生成する。そのた
め、酸化スケールは蒸気タービンの起動、停止に
伴うロータの膨張収縮により剥離し、減肉の原因
となると共に、表面欠陥を起こす。そのため、ロ
ータ材としては高強度および高靭性を有すると共
に、高温蒸気に対する耐酸化性がよいことが要求
される。 しかしながら、従来のNi−Cr−Mo−V鋼で
は、高温蒸気に対する耐酸化性が劣り、酸化スケ
ールの剥離による減肉および表面欠陥を生ずると
いう問題点を有していた。 〔発明の目的〕 本発明の目的は、高圧部、中圧部および低圧部
からなる蒸気タービン用ロータをNi−Cr−Mo−
V鋼の鍛造品で一体に形成すると共に、Ni−Cr
−Mo−V鋼に特殊元素を添加して高温クリープ
破断強度、靭性および耐酸化性の優れた高低圧一
体型蒸気タービン用ロータに用いる低合金鋼を提
供することにある。 〔発明の概要〕 本発明は、重量比でC;0.15〜0.35%、Si;
0.05%以下、Mn;1.0%以下、Ni;1.5〜4.0%、
Cr;1〜3.41%、Mo;0.2〜0.8%、Nb;0.07〜
0.3%、V;0.07〜0.15%、残部Feおよび不可避的
不純物からなる低合金鋼のNbとVとの比、Nb/
Vが、1を越え2以下であり、かつ、P、Sn、
Sb、Asの不可避的不純物とSiとの合計量が0.08
%以下である耐クリープ耐酸化性低合金鋼であつ
て、Crを前記成分範囲で且つ(C×Ni)/Crの
比で2.11以下になるよう添加し、さらに不純物で
あるP、Sn、Sb、Zn、Pb、As、Cu、Al、Bと、
Siとを極力低くおさえた高低圧一体型蒸気タービ
ン用ロータに用いる大型鍛造品用低合金鋼であ
る。 本発明に係る高低圧一体型蒸気タービン用ロー
タは、従来使用されたNi−Cr−Mo−V鋼から成
る蒸気タービン用ロータに比べてクリープ破断強
度、低温靭性が優れていると共に耐酸化性がよく
実用上十分に使用に耐え得るものである。 特に、本発明においては、重量比でC;0.18〜
0.23%、Si;0.05%以下、Mn;0.3〜0.7、Ni;2
〜3.5、Cr;1.2〜1.6%、Mo;0.4〜0.6%、V;
0.1〜0.13、Nb;0.1〜0.25%および残部Feからな
る低合金鋼のNbとVとの比、Nb/Vが、1を越
え2以下であり、かつP、Sb、SnおよびAsの不
純物が0.03%以下で、且つSi量との合計が0.08%
以下に抑制し、焼入れ焼もどした状態で全ベイナ
イト組織を有する鍛造品が好ましい。 本発明に係る高低圧一体型蒸気タービン用ロー
タを構成するNi−Cr−Mo−V鋼を上記成分範囲
に限定した理由は次の通りである。 C;0.15〜0.35% Cは焼入性を向上させ引張強さや耐力を向上さ
せると共に、Mo、Cr、V、Nbと結合して炭化
物を形成し高温クリープ破断強度を向上させるの
に必要な元素であるが、0.15%未満ではCが炭化
物の生成に消費されるためフエライト相を生成
し、実質的に完全ベイナイト組織が得られず、引
張強さとクリープ破断強度が得られない。一方、
0.35%を越えれば、炭化物が凝集して粗大化し、
靭性およびクリープ破断強度を却つて低下させる
傾向がある。したがつてC量は0.15〜0.35%の範
囲に限定した。さらに好ましくは0.18〜0.23%の
範囲がよい。 Mn;1.0%以下 Mnは脱酸および脱硫剤として作用すると共
に、焼入性および強度に寄与する元素であるが、
あまり多量に添加すると靭性を害すので1.0%以
下とした。特に0.3〜0.7%にするのが好ましい。 Ni;1.5〜4.0% Niは焼入性を向上させると共に低温靭性を向
上させるのにもつとも有効な元素である。しか
し、1.5%未満では強度、靭性が十分に得られな
い。一方、4.0%を越えると、実質的に完全ベイ
ナイト組織が得られなくなると共に高温強度が得
られないので、Ni量は1.5〜4.0%の範囲に限定し
た。特に好ましくは2〜3.5%がよい。 Cr;1〜3.41% Crは焼入性を向上させ、靭性およびクリープ
破断強度を向上させるのに有効な元素であると共
に、耐酸化性に寄与する元素である。しかし、1
%未満ではその効果が小さく、また、3.41%を越
えると、耐酸化性の向上に対する効果を除き、効
果が飽和するので、Cr量は1〜3.41%の範囲に限
定した。さらにクリープ破断強度および靭性を保
持しつつ、耐酸化性を向上させるには、Crは
(C+Ni)/Crの比2.21以下になるように添加す
ることが好ましい。従つて、Cr量は少なくとも
1.6〜3.41%にすることが望ましい。 Mo;0.2〜0.8 MoはCおよびCrとの共存下で高温強度を向上
させると共に高温脆性ならびに焼もどし脆性を抑
制するのに有効な元素であるが、0.2%未満では
その効果が十分でなく。また0.8%を越えると、
フエライト生成元素であるためCrと相乗して完
全ベイナイト組織が得られなくなるので、Mo量
は0.2〜0.8%の範囲に限定した。 V;0.07〜0.15% VはCと結合して微細炭化物を析出して高温強
度を向上させるのに最も有効な元素であるが、
0.07%未満ではその効果が少なく、0.15%を越え
ると、高温延性が低下するので、V量は0.07〜
0.15%の範囲に限定した。さらに、Cと結合して
微細な炭化物を析出するNbとの関係から、V量
は0.1〜0.13%の範囲にすることが好ましい。 Nb;0.07〜0.3% Nbは本発明において添加する重要元素であつ
て結晶粒を微細にして靭性を向上させると共に、
微細な炭化物をマトリツクス基地に析出して高温
強度、特にクリープ破断強度を向上させるに必要
な元素である。Nb量はV量との関係において
Nb/Vの比が、1を越え2以下の範囲内にクリ
ープ破断強度の最も高い値が存在し、かつ、50%
脆性破面率遷移温度が最も低い値を示す。Nb/
Vの比が1以下ではその効果が十分でなく、
Nb/Vの比が2を越えると、フエライト相が生
成して強度が低下する。Nb量は、Nb/Vの比が
1を越え2以下となる0.07〜0.3%の範囲に限定
した。さらに好ましくはNb量は0.1〜0.25%の範
囲とすることがよい。 さらに、本発明に係る耐クリープ耐酸化性低合
金鋼は不純物としてのSi、P、Sn、Sb、As、
Zn、Pb、Cu、AlおよびBの混入を極力低くおさ
えることにより、更にクリープ破断強度および耐
酸化性を改善したことにも特徴がある。 P、Sb、SnおよびAsの不純物はクリープ破断
強度および靭性に対して有害な元素であり、Pが
最も有害であり、Sb、Sn、Asの順となる。これ
らの合計量が0.035%以上になると特に顕著であ
り、Siを含めた合計量を0.08%以下とすることが
好ましい。 また、上記のP、Sb、SnおよびAsに加えて
Al、Zn、Cu、Pb、Bは高温蒸気における耐酸化
性を低下させる元素であり、Siを含めた混入量が
0.25%以上になると、高度蒸気中で耐酸化性を著
しく低下させる。従つて、不純物の混入量を0.2
%以下に抑制することが好ましい。 本発明に係る耐クリープ耐酸性低合金鋼は、上
記化学組成から構成され、焼入れ焼もどし状態で
完全ベイナイト組織を呈している。ベイナイト組
織を有する低合金鋼は最もすぐれたクリープ破断
強度を有している。このベイナイト組織は焼入れ
焼もどし処理によつて得られるが、完全ベイナイ
ト組織を得るにはC、Mn、Ni、Cr、Moおよび
Vの添加量を相乗的に成分調整することが必要で
ある。 次に、本発明に係る耐クリープ耐酸化性低合金
鋼を製造する際の留意点を説明すると、溶鋼中の
P、Sb、SnおよびAsを低めるには、使用する原
料を精選すると共に、溶鋼を減圧下に保持しなが
らArまたはHeなどの不活性ガスをランスを介し
て溶鋼中に吹込む。このようにすれば、P、Sb、
SnおよびAsは減圧下で酸化反応が促進されて酸
化物として溶鋼上に浮上除去されると共に、不活
性ガスの吹込みによる攪拌により、気化されて除
去される。一方、脱酸剤としてのSiを添加しない
場合にはArまたはNeの不活性ガスを溶鋼中にラ
ンスを介して吹込むことにより、溶鋼中のCとO
とを反応させて脱酸作用を補うことができる。 〔発明の実施例〕 次に、本発明の実施例について説明する。 まず、原料を精選してアーク電気炉で溶解し、
次いて、本発明についてはアーク電気炉から出鋼
した溶鋼を取鍋炉内に移注して取鍋精錬を行つ
た。この取鍋精錬では1torrの真空に保持して加
熱し、取鍋炉底部の孔からArガスを溶鋼中に吹
込み、脱ガスおよび酸化物の浮上により不純物
(Si、P、Sn、Sb、Zn、Pb、As、Cu、Alおよび
B)を除去し、次いで再びArガスを吹込みなが
らアークにより溶鋼を加熱した後、真空鋳造して
インゴツトを得た。さらにインゴツトを所定形状
に鍛造し、続いて840℃に加熱して1時間保持し
た後、600℃/hrの冷却速度で焼入れ処理施して、
さらに630℃×10hr空冷焼もどしを行つて供試材
とした。また、焼入れの冷却速度の影響をみるた
め、冷却速度を50℃/hrで焼入れした供試材をも
準備した。 一方、比較鋼はアーク電気炉で溶解した溶鋼を
そのまま真空鋳造してインゴツトとし、鍛造して
所定形状にした後、上記と同様の熱処理を施し
た。 第1表には本発明鋼と比較鋼の化学組成が示さ
れている。
【表】
以上説明したように、本発明に係る耐クリープ
耐酸化性低合金鋼によれば、高圧部、中圧部およ
び低下部からなる蒸気タービン用ロータを一体的
に形成する材料として、高温、低温の蒸気下で使
用しても高温クリープ破断強度、靭性および耐酸
化性が優れ、苛酷な条件での永年の使用に耐える
高低圧一体型蒸気タービン用ロータを提供できる
という顕著な効果を有している。 さらに、外表部と中心部における冷却速度が異
なる大型ロータにおいて、蒸気タービンの起動−
停止を繰り返しても脆化を起さないという利点を
兼ね備えている。
耐酸化性低合金鋼によれば、高圧部、中圧部およ
び低下部からなる蒸気タービン用ロータを一体的
に形成する材料として、高温、低温の蒸気下で使
用しても高温クリープ破断強度、靭性および耐酸
化性が優れ、苛酷な条件での永年の使用に耐える
高低圧一体型蒸気タービン用ロータを提供できる
という顕著な効果を有している。 さらに、外表部と中心部における冷却速度が異
なる大型ロータにおいて、蒸気タービンの起動−
停止を繰り返しても脆化を起さないという利点を
兼ね備えている。
第1図は本発明鋼、比較鋼のクリープ破断強度
を示す線図、第2図はNb量とクリープ破断強度
との関係を示す線図、第3図は脆性処理の温度と
ΔFATTとの関係を示す線図、第4図はSi、P、
Sb、SnおよびAsの合計量とΔFATTとの関係を
示す線図、第5図は本発明鋼、比較鋼における
ΔFATTに及ぼす焼入冷却速度の影響を示す線
図、第6図は本発明鋼、比較鋼において蒸気温度
と酸化減量との関係を示す線図、第7図および第
8図はCr量および(C+Ni)/Crの比と酸化減
量との関係を示す線図、第9図はSi、P、Sn、
Sb、Pb、As、Cu、AlおよびBの合計量と酸化
減量との関係を示す線図、第10図はNb/Vと
クリープ破断強度およびΔFATTとの関係を示す
線図である。
を示す線図、第2図はNb量とクリープ破断強度
との関係を示す線図、第3図は脆性処理の温度と
ΔFATTとの関係を示す線図、第4図はSi、P、
Sb、SnおよびAsの合計量とΔFATTとの関係を
示す線図、第5図は本発明鋼、比較鋼における
ΔFATTに及ぼす焼入冷却速度の影響を示す線
図、第6図は本発明鋼、比較鋼において蒸気温度
と酸化減量との関係を示す線図、第7図および第
8図はCr量および(C+Ni)/Crの比と酸化減
量との関係を示す線図、第9図はSi、P、Sn、
Sb、Pb、As、Cu、AlおよびBの合計量と酸化
減量との関係を示す線図、第10図はNb/Vと
クリープ破断強度およびΔFATTとの関係を示す
線図である。
Claims (1)
- 1 重量比でC;0.15〜0.35%、Si;0.05%以下、
Mn;1.0%以下、Ni;1.5〜4.0%、Cr;1〜3.41
%、Mo;0.2〜0.8%、Nb;0.07〜0.3%、V;
0.07〜0.15%、残部Feおよび不可避的不純物から
なる低合金鋼のNbとVとの比、Nb/Vが、1を
越え2以下であり、かつ、P、Sb、Sn、Asの不
可避的不純物とSiとの合計量が0.08%以下であ
り、Crは(C+Ni)/Crの比で2.11以下に添加
し、P、Sn、Sb、Zn、Pb、As、Cu、Al、Bの
不可避的不純物とSiとの合計量が0.2%以下であ
ることを特徴とする耐クリープ耐酸化性低合金
鋼。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP17780083A JPS6070166A (ja) | 1983-09-26 | 1983-09-26 | 耐クリ−プ耐酸化性低合金鋼 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP17780083A JPS6070166A (ja) | 1983-09-26 | 1983-09-26 | 耐クリ−プ耐酸化性低合金鋼 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPS6070166A JPS6070166A (ja) | 1985-04-20 |
| JPH021901B2 true JPH021901B2 (ja) | 1990-01-16 |
Family
ID=16037305
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP17780083A Granted JPS6070166A (ja) | 1983-09-26 | 1983-09-26 | 耐クリ−プ耐酸化性低合金鋼 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPS6070166A (ja) |
Families Citing this family (6)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JPS62222027A (ja) * | 1986-03-25 | 1987-09-30 | Nippon Chiyuutankou Kk | 耐熱ロ−タ−の製造法 |
| WO1990004659A1 (en) * | 1988-10-19 | 1990-05-03 | Electric Power Research Institute, Inc. | MODIFIED 1% CrMoV ROTOR STEEL |
| US5108699A (en) * | 1988-10-19 | 1992-04-28 | Electric Power Research Institute | Modified 1% CrMoV rotor steel |
| JPH0728371Y2 (ja) * | 1989-06-12 | 1995-06-28 | リョービ株式会社 | 用心錠 |
| JPH07272271A (ja) * | 1994-03-30 | 1995-10-20 | Kao Corp | 転写装置 |
| JP3780352B2 (ja) * | 1996-02-05 | 2006-05-31 | 株式会社日立製作所 | 高低圧一体型蒸気タービン及びそのロータシャフトとその製造法並びに複合発電システム |
Family Cites Families (6)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JPS5811504B2 (ja) * | 1976-09-03 | 1983-03-03 | 株式会社東芝 | 高低圧一体型蒸気タ−ビン用ロ−タおよびその製造方法 |
| JPS5813608B2 (ja) * | 1977-04-15 | 1983-03-15 | 株式会社東芝 | 高低圧−体型蒸気タ−ビンロ−タの製造方法 |
| JPS5813609B2 (ja) * | 1977-04-15 | 1983-03-15 | 株式会社東芝 | 高低圧一体型蒸気タ−ビンロ−タの製造方法 |
| JPS54145318A (en) * | 1978-05-08 | 1979-11-13 | Toshiba Corp | Low alloy steel of high toughness |
| JPS558486A (en) * | 1978-07-05 | 1980-01-22 | Hitachi Zosen Corp | Forged steel material for heavy gauge excellent in strength and toughness |
| JPS57126957A (en) * | 1981-01-29 | 1982-08-06 | Japan Steel Works Ltd:The | High strength and high toughness case hardening steel |
-
1983
- 1983-09-26 JP JP17780083A patent/JPS6070166A/ja active Granted
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPS6070166A (ja) | 1985-04-20 |
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