JPH0336935B2 - - Google Patents
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- JPH0336935B2 JPH0336935B2 JP56182323A JP18232381A JPH0336935B2 JP H0336935 B2 JPH0336935 B2 JP H0336935B2 JP 56182323 A JP56182323 A JP 56182323A JP 18232381 A JP18232381 A JP 18232381A JP H0336935 B2 JPH0336935 B2 JP H0336935B2
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- fiber
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Description
〔産業上の利用分野〕
本発明はポリエステル長繊維が芯部、芯部の周
囲にアクリル繊維短繊維と獣毛繊維が巻き付いて
鞘部を構成する複合糸条に関する。更に詳しく
は、実質的にポリエチレンテレフタレートのホモ
ポリマーよりなり、後で定義する分散染料で常圧
染色可能なポリエステル長繊維を芯部として用い
た複合糸条に関する。この複合糸条は、高温高圧
染色では得られない良好な風合、力学的性質を有
し、鮮明な発色効果と吸水・吸湿機能を持つ。 〔従来の技術〕 従来、天然繊維、化学繊維および合成繊維はそ
れぞれ独特の機能を有している反面種々の欠点が
あり、また、それぞれ天然繊維間、化学繊維間お
よび合成繊維間でもその特徴は異つており、これ
ら繊維を各種の態様で混用する事により複合糸条
を作り、それによつて互いの欠点を補う試みがな
されて来た。 例えば、ポリエステル繊維特にポリエチレンテ
レフタレート繊維は、その力学的熱的性質の優秀
さ故に天然繊維と混用され、天然繊維の力学的性
質の不足を補うと共に、ポリエステル繊維の欠点
である吸水性の不足を天然繊維で補う事により、
すぐれた性能を有する複合糸条が作られて来た。 〔発明が解決しようとする課題〕 しかるに従来のポリエチレンテレフタレート繊
維は、120〜130℃の高温高圧下でないと染色でき
ない難染性繊維であつたため、特に獣毛繊維、ア
クリル繊維の如き高温高圧下においてそれらの機
械的性質を著るしく低下する繊維との複合化に制
限があつた。例えば、アクリル繊維と獣毛繊維に
ポリエチレンテレフタレート繊維を複合化した糸
条を高温高圧下で染色すれば、アクリル繊維と獣
毛繊維は弾性性能が低下し、糸条の風合を形成す
るバルキー性が失われ、ヘタリの大きいやせた糸
条となる。またアクリル繊維と獣毛繊維の収縮挙
動のちがいからアクリル繊維と獣毛繊維が分離す
ると云う欠点があつた。 さらに高温高圧下では、アクリル繊維が黄変
し、白色の糸条が得られないと云う欠点があつ
た。これら欠点を補うため複合糸条を構成するポ
リエチレンテレフタレート長繊維をO−フエニル
フエノール、メチルナフタレン、クロロベンゼ
ン、サリチル酸メチルなどのキヤリヤーと称する
促染物質を分散染料を含む染浴に添加し100℃付
近の温度で染色した後、アクリル繊維と獣毛繊維
を常法により染色していた。このキヤリヤー染色
法を採用する場合は、高温高圧染色より染色濃度
が劣ること、キヤリヤースポツトと称するキヤリ
ヤーの乳化不十分が原因となる染斑が発生する場
合があること、キヤリヤーは刺激性があり人体に
有害であるため染色工場の作業環境を悪くするこ
と、染色排水時の処理が困難であること、キヤリ
ヤーが繊維中に残留し除去することが困難である
ため染色物の耐光堅牢度を低下せしめる場合のあ
ること、残留キヤリヤーが刺激臭を発すること、
また染色物を着用した場合に皮膚障害を起こすお
それのあること、さらに発色の再現性が困難なた
め、色合せに老練な技術を必要とすること、また
キヤリヤー染色によりポリエチレンテレフタレー
ト繊維の力学的性質の変化例えば強度低下や伸度
の増大を来たす等の各種問題点が発生する。 また染色性の改良されたポリエステル長繊維と
して金属スルホネート基含有化合物や、ポリエー
テルを共重合したものが知られているが、これら
の変性ポリエステルでは染色性は向上するもの
の、常圧、すなわち、100℃以下の染色に於いて、
染着濃度は必ずしも十分とは云えず、その上重合
や紡糸が困難であつたり、原料高によるコストア
ツプになるし、あるいはポリエチレンテレフタレ
ート本来の優れた機械的熱的性質を低下せしめた
り、その他染色堅牢度の劣る場合のあるなどの欠
点があつた。結局上述のようなポリマーの化学的
改質による易染化は、染着座席となりうる第三成
分をポリマー中に混在させるが故にポリエチレン
テレフタレート本来の優れた耐熱性、力学的性質
の低下は不可避である。 これら複合糸条に共通の問題点はポリエステル
長繊維が芯部、その芯部の周囲にアクリル繊維と
獣毛繊維が巻付いて鞘部を形成する複合糸条、す
なわちコアヤーンにおいても発生する問題点であ
り、特にコアヤーンにおいて芯部のポリエステル
繊維と鞘部のアクリル繊維と獣毛繊維が同一に染
色されないと得られた複合糸条及び複合糸条を用
いて作られた繊維製品の外観をきわめて不良(き
たない外観)にする。 本発明は前述の従来技術の問題点を解消して、
高温高圧染色では得られない良好な風合、力学的
性質を有すると共に、鮮明な発色効果と吸水・吸
湿機能を併せ有するコアヤーンを提供することを
目的とする。 〔課題を解決するための手段〕 本発明の前述の目的は、ポリエステル長繊維が
芯部、該芯部の周囲にアクリル繊維短繊維と獣毛
繊維が巻き付いて鞘部を構成する複合糸条であつ
て、該ポリエステル長繊維が実質的にポリエチレ
ンテレフタレートのホモポリマーよりなり、且
つ、30℃における初期モジユラス55g/d以上で
あり、測定周波数110Hzにおける力学的損失正接
(tanδ)のピーク温度(Tmax)が105℃以下であ
つて、tanδのピーク値〔(tanδ)max〕が0.135を
超える値を有し、結晶化度(Xc)が30%以上、
(010)面の微結晶の大きさ(ACS)が35Å以上
で、且つ、(010)面の結晶配向度(CO)が85%
以上であることを特徴とする複合糸条によつて達
成される。 本発明の、実質的にポリエチレンテレフタレー
トのホモポリマーよりなるポリエステル繊維は新
規な繊維であり、分散染料で染色可能であつて、
後述する方法で製造することが可能である。 「分散染料で常圧染色可能である」とは、分散
染料シー・アイ・デイスパース・ブルー56(C.I.
Disperse Blue56:例えばレゾリンブルーFBL
〔ドイツ連邦共和国バイエル社製品名〕)を用い、
染料使用量3%owf、浴比50倍、PH6(酢酸にて
調整)、分散剤(例えば、デイスパーTL〔明成化
学工業社製品名〕)含有量1g/の染浴中で100
℃にて120分間の染色後、繊維に染着した染料の
吸尽率が80%以上であることを云う。ここで染料
吸尽率は次式で表わされる。 染料吸尽率(%) =繊維に染着した染料量(重量)/染浴に添加した染
料量(重量)×100 また、上記染色条件で染色後、染色された繊維
をハイドロサルフアイトナトリウム1g/、水
酸化ナトリウム1g/の水溶液で浴比50倍、80
℃で20分間還元洗浄して、水洗し、耐光堅牢度
(JIS L−1044のカーボンアーク灯法による)、摩
擦堅牢度(JIS L−0849のクロツクメーター法に
よる)、及び昇華堅牢度(JIS L−0854による)
を測定した場合いずれも3級以上である。 従来のポリエチレンテレフタレート繊維では上
記条件での染料吸尽率は30〜45%である。しかし
上記条件のうち染色温度を100℃より130℃に変え
ると従来のポリエチレンテレフタレート繊維は80
%以上の値を示す。 ポリエチレンテレフタレートのホモポリマーよ
りなるポリエステル繊維が衣料用繊維としての力
学的性能を保つためには、30℃における初期モジ
ユラスが55g/d以上であることを必要とする。 非晶領域の構造を表現する特性値としては、測
定周波数110Hzにおける力学的損失正接(tanδ)
のピーク温度(Tmax)とtanδのピーク値
〔(tanδ)max〕の値が適切である。Tmaxは通常
ガラス転移温度の50℃高温側に位置し、(tanδ)
maxは温度Tmaxにおける熱運動の活発化した無
定形領域内分子鎖の量に関係する。本発明におい
てTmaxおよび(tanδ)maxは無定形領域内部の
分子鎖のミクロブラウン運動に原因して発現する
力学吸収(αa吸収)に関する値を意味する。従
来のポリエチレンテレフタレート繊維のTmaxは
130℃以上、(tanδ)maxは0.13以下である。本発
明による複合糸条を構成するポリエチレンテレフ
タレートのホモポリマーよりなる長繊維の非晶領
域の構造と染色性の関連を検討した結果、分散染
料で常圧染色可能であるためには、(tanδ)
max>0.135であり且つTmax≦105℃であるこ
とが必要である。従来の常圧可染でないポリエチ
レンテレフタレートのホモポリマーよりなる繊維
の場合には上記の三条件を満足するものはない。
換言すれば、従来のポリエチレンテレフタレート
のホモポリマーよりなる繊維は上記三条件を満足
せず、分散染料で常圧染色可能なるものは存在し
なかつた。前記(tanδ)maxの値が0.14以上であ
るとより好ましい。 本発明において、分散染料にて常圧染色可能な
ポリエチレンテレフタレート繊維の力学的特性を
出すためには、上述の如く30℃における初期モジ
ユラスが55g/d以上である。ここで30℃におけ
る初期モジユラスとは、30℃における動的弾性率
(E′30)を意味する。 (tanδ)maxが大きくなると形態保持性を維
持するために、一般的にはE′30が大きくなる必要
がある。もしE′30が55g/d未満であれば繊維構
造の熱安定性は低下し、寸法安定性も悪く繊維と
して柔らかくなる。 こうした特徴を有する本発明の複合糸条を構成
する分散染料にて常圧染色可能なポリエチレンテ
レフタレートのホモポリマーよりなる長繊維につ
いて更にその構造と力学的性質(強度、伸度、初
期モジユラス、動的弾性率)、および染色性との
関連を検討した結果、次の事項が明らかになつ
た。 本発明の複合糸条を構成する分散染料により常
圧染色可能なポリエチレンテレフタレートのホモ
ポリマーよりなる繊維において、結晶化度
(Xc)、(010)面の微結晶の大きさ(ACS)、およ
び(010)面の結晶配向度(CO)は、いずれも繊
維の力学的特性に関連し、該ポリエチレンテレフ
タレート繊維が衣料用繊維として充分な強度(3
g/d以上)、および初期モジユラス(55g/d
以上)を有するためには、Xcは30%以上、ACS
は35Å以上、COは85%以上であることが必要で
ある。より好ましくは、Xcが70%以上、ACSが
40Å以上、COが90%以上である。ここでXc、
ACS、COはX線回折によりそれぞれ後述の方法
で測定された値である。従来のポリエチレンテレ
フタレート繊維はXcが50〜70%、ACSは30Å以
下、COは85〜95%である。 次に本発明の複合糸条を構成する常圧染色可能
なポリエチレンテレフタレート繊維において、繊
維軸方向に電場ベクトルを持つ偏光の中心屈折率
(n(0))の範囲は1.65〜1.68である。また平均複
屈折率(Δn)は、本発明を構成する分散染料で
常圧染色可能であり、且つ30℃において55g/d
以上の初期モジユラスを有するためには35×10-3
以上が好ましいが、一方熱に対する構造の安定性
からは50×10-3以上であることが望ましい。また
染色性、染色堅牢度の観点から好ましくは120×
10-3以下、さらに好ましくは85×10-3以下であ
る。Δnが120×10-3以下になると150〜220℃の温
度範囲における動的弾性率(E′)の減少率(150
℃、220℃におけるE′の値をそれぞれE′150、E′220
としE′220/E′150で表わす)が小さくなり、
E′220/E′150は0.75より大きくなる。すなわち熱に
対して構造が安定になる。また染色堅牢度も向上
する。さらにΔnが85×10-3より小さいものは常
圧可染性がきわめて優れたものになる。 繊維の中心における平均屈折率(n(0))と繊
維の中心から半径の0.8倍の距離の部分における
屈折率n(0.8)またはn(-0.8)の間に以下の関係を
満足するいわゆる繊維の局所的な平均屈折率の分
布が繊維の中心に対して対称であると、充分な強
度を有し、染斑、強伸度斑などが少ない。ここで
局所的な平均屈折率の分布が繊維の中心に対して
対称であると云うのは、平均屈折率nの極小値
が、(n(0)−10×10-3)以上であり、かつ
n(-0.8)とn(0.8)の差が50×10-3以下、より好ま
しくは、10×10-3以下の場合を云う。なお上述の
n(0)、n(0.8)、n(-0.8)、Δ(0.8-0))、Δ等の
値
は干渉顕微鏡により後述する方法により測定した
ものである。 また、本発明の複合糸条を構成する分散染料で
常圧染色可能なポリエチレンテレフタレートのホ
モポリマーよりなる繊維において、220℃におけ
る力学的損失正接(tanδ220)は小さいほど好ま
しく、温度上昇により初期モジユラスの低下が小
さくなる。tanδ220が0.25以下の場合、該初期モジ
ユラスの低下量は著るしく小さくなる。つまり熱
に対して安定な構造の繊維になる。 本発明の複合糸条を構成する上述の微細構造を
有する分散染料にて常圧染色可能なポリエチレン
テレフタレートのホモポリマーよりなる繊維の好
ましい製法を示すと本出願人に係る特願昭56−
46407号明細書に記載されているように、4000
m/分以上の紡糸速度で紡糸されたポリエチレン
テレフタレートのホモポリマーよりなる繊維を
220℃乃至300℃の範囲内の温度で、乾熱による熱
処理を行なうことにより得ることができる。また
は180℃乃至240℃の温度範囲内の過熱水蒸気、飽
和水蒸気、または熱水により湿熱による熱処理を
行なうことによつても得ることができる。このよ
うにして得られた上述の熱処理をうけた繊維は常
圧可染化される。 なお、本発明の複合糸条を構成する分散染料で
常圧染色可能なポリエチレンテレフタレートのホ
モポリマーよりなる繊維の原料であるポリエチレ
ンテレフタレートのホモポリマーは公知の重合法
で得ることができる。また通常のポリエステル繊
維に使用される添加剤、例えば艶消剤、安定剤、
制電剤などを含んでもよい。また重合度について
は通常の繊維形成用の範囲内であれば特に制限は
ない。 本発明の複合糸条を構成する分散染料で常圧染
色可能なポリエチレンテレフタレートのホモポリ
マーよりなる繊維の紡糸に際しては、ポリマー粘
度、紡糸温度、紡糸口金下の雰囲気の状態、冷却
方法、引取速度等を適宜調節することにより、紡
糸口金より紡出されたポリマー流の冷却固化、お
よび細形変化を制御することができ、紡糸性よく
かつ所望の特性を有する繊維が得られる。特に紡
糸繊維の冷却固化の制御は重要で、紡糸性および
望ましい特性を得るには、急激な冷却固化、特に
一方向からの繊維に直交する低温冷却固化はあま
り好ましくない。 第1図に本発明の複合糸条を構成する分散染料
で常圧染色可能なポリエチレンテレフタレートの
ホモポリマーよりなる繊維の製造装置の一例を模
式的に示した。溶融ポリエチレンテレフタレート
は加熱された紡糸ヘツド2の中の紡糸口金(図示
せず)により紡出され、大気中で冷却されて繊維
束1となる。この紡糸口金下には紡出された繊維
束1を取囲む管状の加熱域3が設けられており更
にその下方には繊維束1を冷却吸引するための流
体吸引装置4が設けられている。管状加熱域3お
よび流体吸引装置4を通過した繊維束1は、油剤
付与装置5を通つた後、引取ローラー6によつて
引取られる。本発明で云う「紡速」とはこの引取
ローラー6の表面速度を意味する。引取られた繊
維束は連続的にか、または一旦引取りローラー6
に巻かれた後、一対の繊維束送りローラー7によ
り引出され、220〜300℃の温度範囲内の適切な温
度に調整された加熱筒8を通り、一対の繊維束送
りローラー9によつて導かれ、巻取りローラー1
0により巻取られる。この際、繊維束送りローラ
ー7および9の回転速度を調節することにより繊
維束1は加熱筒8の中で適当な伸長率に伸長され
熱処理を受ける。 このように紡速4000m/分以上で紡糸され、乾
熱で220〜300℃の熱処理を受けたポリエチレンテ
レフタレートのホモポリマーよりなる繊維は、上
述の微細構造を有し、分散染料で常圧染色可能な
るものである。これを精紡機等により公知の方法
でアクリル繊維短繊維と獣毛繊維と混用すること
により本発明の常圧染色可能なポリエステル長繊
維を含有する複合糸条を作ることができる。すな
わち本発明の複合糸条は、一旦上述の常圧染色可
能なポリエチレンテレフタレート長繊維を芯部に
しアクリル短繊維と獣毛繊維を鞘部に用い紡績工
程の精紡工程において鞘芯のコアヤーンを紡出す
る方法によつて製造されるが、必ずしもこれらの
みに限定されない。要は、実質的にポリエチレン
テレフタレートのホモポリマーよりなり分散染料
で常圧染色可能なポリエチレンテレフタレート長
繊維を芯部としアクリル繊維短繊維及び獣毛繊維
を鞘部とした複合糸条であればよい。得られた本
発明の複合糸条は、その糸条の力学的性質を常圧
染色可能なポリエチレンテレフタレート長繊維に
よつて補強され、また糸条の持つ風合面と外観は
アクリル繊維によつて、吸水、吸湿面と耐熱面は
獣毛繊維によつてカバーされる。従つて該複合糸
は、従来のアクリル繊維100%から成る糸条にく
らべ耐熱性と吸水、吸湿性能が高く、またポリエ
ステル繊維100%からなる糸条にくらべ発色性が
きわめて良好で、ソフトで且つバルキーに富んだ
風合を有するのである。さらに該複合糸条は常圧
染色でアクリル繊維と獣毛繊維とポリエチレンテ
レフタレート繊維を同色に染色できるためアクリ
ル繊維の熱による力学的性質の低下が少なく、ソ
フトな風合が保持できる。また、獣毛の熱による
脆化を防ぎ獣毛のもつ独特のボリユーム感のある
風合が染色後も維持される。該複合糸を糸条の状
態で染色し、製織・製編する場合、染色前の生糸
の状態で製織・製編する場合どちらもその織欠
点・編欠点数は大巾に減少し、得られた織物・編
物は、衣料用生地として不可欠な腰、ハリを有す
るきわめてソフトな生地となる。さらに、ポリエ
チレンテレフタレート繊維を含有するためスチー
ムによる熱セツト性が良好で、洗濯後の収縮・伸
長等の欠点が少なく、極めて寸法安定性に優れた
生地となる。 なお、本発明に云う「アクリル繊維」とは、ア
クリロニトリルを少くとも重量比で50%以上含有
する線型高分子より形成され、カチオン染料で常
圧染色可能なるものを云う。また、「獣毛繊維」
とは天然繊維の動物繊維であつて、絹繊維を除く
羊毛、アンゴラ、カシミヤ、モヘヤ、アルパカ等
をいう。 また、本発明の複合糸条を構成するポリエチレ
ンテレフタレート繊維の含有率は重量比で5〜80
重量%が好ましい。ポリエチレンテレフタレート
繊維が5重量%未満では得られる複合糸の耐熱
性、寸法安定性が低下し、80重量%を超えるとき
は、アクリル繊維と獣毛繊維のもつ独特の風合、
即ち柔軟さ、ボリユーム感が殺される。 また、アクリル繊維の獣毛繊維に対する混用率
は重量比で20〜95重量%が好ましい。アクリル繊
維が20%未満ではアクリルの持つソフトな風合と
発色性が低下し、獣毛繊維が5%未満では耐熱性
と吸水・吸湿性能の効果が現われない。 以下に本発明の複合糸条を構成するポリエチレ
ンテレフタレート繊維の構造特性の測定法を述べ
る。 <力学的損失正接(tanδ)、及び動的弾性率(E′)
> 東洋ボールドウイン社製レオバイブロン
(Rheovibron)DDV−c型動的粘弾性測定装
置を用い、試料量0.1〜1mg、測定周波数110Hz、
昇温速度10℃/分で乾燥空気中で各温度における
tanδ、及びE′を測定する。tanδ−温度曲線から
tanδのピーク温度(Tmax)℃と同ピーク高さ
〔(tanδ)max〕が得られる。第2図に本発明の
分散染料で常圧染色可能なポリエチレンテレフタ
レート繊維A、および従来のポリエチレンテレフ
タレート繊維Bのtanδ−温度曲線の典型例を模式
的に示した。第3図には同様な繊維のE′−温度曲
線の典型例を模式的に示す。なお図中A,Bの表
示は第2図の場合と同じである。 <平均屈折率(n、n⊥)及び平均複屈折率
(Δn)> 透過定量干渉顕微鏡(例えばドイツ民主主義共
和国カールツアイスイエナ社製干渉顕微鏡インタ
ーフアコ)を使用して干渉縞法によつて繊維の側
面から観察した平均屈折率の分布を測定すること
ができる。この方法は円形断面を有する繊維に適
用する。繊維の屈折率は繊維軸に対して平行な電
場ベクトルを持つ偏光に対する屈折率nと、繊
維軸に対し垂直な電場ベクトルを持つ偏光に対す
る屈折率n⊥によつて特徴づけられる。ここに説
明する測定はすべて緑色光線(波長λ=549nm)
を使用する。 光学的に均一なスライドガラスおよびカバーガ
ラスの間に、0.2〜2波長の範囲内の干渉縞のず
れを与える屈折率(N)を有し、且つ繊維に対し
不活性な封入剤を注入し、その封入剤に試料繊維
を浸漬する。繊維はその軸が干渉顕微鏡の光軸お
よび干渉縞に対して垂直となるように設置され
る。この干渉縞のパターンを写真撮映し、約1500
倍に拡大して解析する。 第4図で繊維の封入剤の屈折率をN、繊維の外
周上の点S′−S″間の屈折率をn(またはn⊥)、
S′−S″間の厚みをt、使用光線の波長をλ、バツ
クグラウンドの平行干渉縞の間隔(1λに相当)
をD、繊維による干渉縞のずれをdとすると、光
路差Γは、Γ=(d/D)λ=〔n(またはn⊥)
−N〕tで表わされる。したがつてn(または
n⊥)=Γ/t+Nが成立する。厚みtは繊維の
断面形状が円であれば、座標xと半径Rとを用い
て2√2−2で与えられる。 繊維の半径をRとすると、繊維の中心Oから外
周Rまでの各位置での光路差から各位置での繊維
の屈折率n(またはn⊥)の分布を求めることが
できる。xを繊維の中心から各位置までの距離と
した時X=x/R=Oすなわち繊維の中心におけ
る屈折率を平均屈折率(n(0)またはn⊥(0))と云
う。xは外周上において1となり、その他の部分
では0〜1の間の値となるが、例えばx=0.8の
点における屈折率をn(0.8)(またはn⊥(0.8))と表
わす。また平均屈折率n(0)とn⊥(0)より平均複屈
折率(Δn)はΔn=n(0)−n⊥(0)で表わされる。
なお、第4図において31は繊維、32は封入剤
による干渉縞、33は繊維による干渉縞を示す。 第5図に各繊維のnの分布を示した、なお
A,Bの表示は第2図の場合と同じである。第5
図において横軸に中心からの距離X=x/R、縦
軸にn値を表示している。X=0が繊維の中
心、X=1およびX=−1が繊維の外周上の点で
ある。非円形断面の場合、厚みtはRとxのみの
関数として与えられていないため、別に測定した
値を用いる。tの測定方法として、封入剤の種類
を変えて各封入剤を用いて得られたΓの測定値か
ら次式で算出される。t=(Γ1−Γ2)/(N2−
N1) ここでN1,N2は封入剤1,2の屈折率、Γ1,
Γ2は封入剤1,2で測定されたリターデーシヨ
ンである。 <微結晶の大きさ(ACS)> 対称反射法により赤道方向のX線回折強度を測
定し、X線回折強度を回折角依存曲線からACS
は算出される。 X線回折強度は理学電機社製X線発生装置
(RU−200PL)とゴニオメーター(SG−9R)、
計数管にはシンチレーシヨンカウンター、計数部
には波高分析器を用い、ニツケルフイルターで単
色化したCu−Kα線(波長λ=1.5418Å)を用い
て測定される。繊維試料の繊維軸がX線回折面に
対して垂直となるようにアルミニウム製サンプル
ホルダーにセツトする。この時、試料の厚みは約
0.5mmになるようにセツトする。30kV、80mAで
X線発生装置を運転し、スキヤンニング速度1°/
分、チヤート速度10mm/分、タイムコンスタント
1秒、タイバージエントスリツト1/2°、レシー
ビングスリツト0.3mm、スキヤツタリングスリツ
ト1/2°において2θが35°〜7°まで回折強度を記録
する。記録計のフルスケールは得られる回折強度
曲線がスケール内に入るように設定する。 ポリエチレンテレフタレート繊維は一般に赤道
線上の回折角2θ=7°〜26°の範囲に三個の主要な
反射を有する。低角度側から(100)、(010)、(1
10)面である。ACSを求めるには例えばL.E.ア
レキサンダー著「高分子X線回折」化学同人出
版、第7章シエラー(Scherrer)の式を用いる。 2θ=7°と2θ=35°の間にある回折強度曲線間を
直線で結びベースラインとする。回折ピークの頂
点からベースラインに垂線を下ろし、ピークとベ
ースライン間の中点をこの垂線上に記入する。中
点を通る水平線を回折強度曲線回折ピークの間に
引く。主要な反射がよく分離している場合には曲
線のピークの2個の肩と交差するが、分離が悪い
場合には1つの肩のみと交差する。このピークの
幅を測定する。一方の肩としか交差しない場合は
交差した点と中点間の距離を測定し、それを2倍
する。また2個の肩と交差する場合は両肩間の距
離を測定する。これらの測定値をラジカル表示に
換算しライン幅とする。さらにこのライン幅を次
式で補正する。β=√2−2 ここでBはライン幅の実測値、bはブロードニ
ング定数でシリコン単結晶の(111)面反射のピ
ークのラジアン表示でのライン幅(半値幅)であ
る。微結晶の大きさ(ACS)は、 ACS(Å)=K・λ/βcosθ によつて与えられる。ここでKは1、λはX線の
波長(1.5418Å)、βは補正後のライン幅、θは
ブラツグ角で回折角2θの1/2である。 <結晶化度(Xc)> 微結晶の大きさの測定と同様にして得られたX
線回折強度曲線より2θ=7°と2θ=35°の回折強度
曲線間を直線で結びベースラインとする。第6図
のように2θ=20°付近の谷を頂点とし、低角側お
よび高角側のすそに沿つて直線で結び結晶部aと
非結晶部bに分離し、次式に従つて面積法で結晶
化度Xcを求める。 Xc=結晶部の散乱強度/全散乱強度×100(%) <結晶配向度(CO)> 理学電機社製X線発生装置(RU−200PL)、繊
維試料測定装置(FS−3)、ゴニオメーター
(SG−9)、計数管にはシンチレーシヨンカウン
ター、計数部には波高分析器を用い、ニツケルフ
イルターで単色化したCu−Kα線(波長λ=
1.5418Å)を用い方位角方向のX線回折強度曲線
を測定する。 ポリエチレンテレフタレート繊維は一般に赤道
線上に3種の主要な反射を有するが、結晶配向度
(CO)の測定には(010)面反射を採用する。 (010)面の回折角2θは赤道線方向の回折強度
曲線から決定される。前述のX線発生装置を
330kV、20mAで運転する。繊維試料測定装置に
試料繊維を互に平行になるように揃えて取付け
る。試料の厚みが約0.5mmになるように調整する。
赤道線方向の回折強度曲線から決定された2θの値
にゴニオメーターをセツトする。対称透過法を用
いて方位化方向を−30〜+30°走査し方位角方向
の回折強度を記録する。さらに−180°と+180°の
方位角方向の回折強度を記録する。このときスキ
ヤンニング速度4°/分、チヤート速度10mm/分、
タイムコンスタント1秒、コリメーター2mmφ、
レシービングスリツト縦幅19mm、横幅3.5mmであ
る。 得られた方位角方向の回折強度曲線からCOを
求めるには、まず±180°で得られた回折強度の平
均値をとり、この値を通る水平線をベースライン
とする。ピークの頂点からベースラインに垂線を
下ろし、その高さの中点を求める。中点を通る水
平線を引きこれと回折強度曲線との2個の交点間
の距離を測定し、この値を角度(°)に換算した
値を配向角H(°)とする。結晶配向度は CO(%)=〔(180°−H)/180°〕×100 によつて与えられる。 <染料吸尽率> 分散染料レゾリンブルーFBL(ドイツ連邦共和
国バイエル社製品名、C.L.Disperse Blue56)を
3%owf、浴比50倍、PH6(酢酸にて調整)、分散
剤デイスパーTL(明成化学工業社製品名)1g/
の組成よりなる染浴中に試料繊維を入れ、100
℃で120分間染色した後、染液を採取し、吸光度
よりの残液中の染料量を算出し、これを染色に使
用した染料量から減じたものを染着量として染料
吸尽率(%)を計算した。なお染色用の試料繊維
は、精錬剤スコアロールFC(花王アトラス社製品
名)2g/の水溶液中で60℃にて20分間精錬
し、乾燥、調湿(20℃、65%RHの条件下に48時
間放置)したものを使用した。 <染色堅牢度> 染料吸尽率評価の場合と同様の方法で染色した
試料をハイドロサルフアイトナトリウム1g/
、水酸化ナトリウム1g/の水溶液で浴比50
倍、80℃で20分間還元洗浄したものを評価した。 染色堅牢度としては、耐光堅牢度(JIS L−
1044に準ずる)、摩擦堅牢度(JIS L−0849に準
ずる)、昇華堅牢度(JIS L−0854に準ずる)に
ついて評価した。 <引張強伸度> 東洋ボールドウイン社製テンシロン
(Tensilon)UTM−−20型引張試験機により
初長5cm、引張速度20mm/分で測定した。 <沸水収縮率> 0.1g/dの荷重下での試料長をL0とし、荷重
を取除き沸水中で30分間処理した後、再び同じ荷
重下で測定した長さをLとする。沸水収縮率は次
式で表される。 沸水収縮率(%)=L0−L/L×100 〔実施例〕 以下に実施例をあげて本発明を更に詳しく説明
する。 実施例 1 フエノール/テトラクロロエタンの2/1の混
合溶媒中で35℃における固有粘度〔η〕(以下
〔η〕と表わす)が0.64のポリエチレンテレフタ
レートのホモポリマーを、第1図に示す装置を用
いて、紡糸温度298℃で、孔径0.35mmφ、孔数24
の紡糸口金より紡出し、繊維束の全周囲から繊維
束の走行方向に平行に供給された20℃の空気の流
れによつて冷却固化させた後、仕上剤を付与し、
4400m/分の速度で巻取つて75d/24fの糸条を得
た。次にこの糸条を第1図に示す熱処理用加熱筒
に接触することなく通過するようにして、該加熱
筒内部の温度を250℃に調節し、伸長率0.2%で
0.95秒間熱処理した。この繊維および比較例とし
て熱処理前の物性値を第1表にまとめて示す。 第1表の結果より、4400m/分以上の紡速で紡
糸し、250℃で0.2%の伸長下において0.95秒熱処
理したポリエチレンテレフタレートのホモポリマ
ーよりなる繊維は分散染料にて常圧可染化し、さ
らに染色堅牢度に優れ、力学的性質、熱安定性も
充分満足できるものであることが解る。
囲にアクリル繊維短繊維と獣毛繊維が巻き付いて
鞘部を構成する複合糸条に関する。更に詳しく
は、実質的にポリエチレンテレフタレートのホモ
ポリマーよりなり、後で定義する分散染料で常圧
染色可能なポリエステル長繊維を芯部として用い
た複合糸条に関する。この複合糸条は、高温高圧
染色では得られない良好な風合、力学的性質を有
し、鮮明な発色効果と吸水・吸湿機能を持つ。 〔従来の技術〕 従来、天然繊維、化学繊維および合成繊維はそ
れぞれ独特の機能を有している反面種々の欠点が
あり、また、それぞれ天然繊維間、化学繊維間お
よび合成繊維間でもその特徴は異つており、これ
ら繊維を各種の態様で混用する事により複合糸条
を作り、それによつて互いの欠点を補う試みがな
されて来た。 例えば、ポリエステル繊維特にポリエチレンテ
レフタレート繊維は、その力学的熱的性質の優秀
さ故に天然繊維と混用され、天然繊維の力学的性
質の不足を補うと共に、ポリエステル繊維の欠点
である吸水性の不足を天然繊維で補う事により、
すぐれた性能を有する複合糸条が作られて来た。 〔発明が解決しようとする課題〕 しかるに従来のポリエチレンテレフタレート繊
維は、120〜130℃の高温高圧下でないと染色でき
ない難染性繊維であつたため、特に獣毛繊維、ア
クリル繊維の如き高温高圧下においてそれらの機
械的性質を著るしく低下する繊維との複合化に制
限があつた。例えば、アクリル繊維と獣毛繊維に
ポリエチレンテレフタレート繊維を複合化した糸
条を高温高圧下で染色すれば、アクリル繊維と獣
毛繊維は弾性性能が低下し、糸条の風合を形成す
るバルキー性が失われ、ヘタリの大きいやせた糸
条となる。またアクリル繊維と獣毛繊維の収縮挙
動のちがいからアクリル繊維と獣毛繊維が分離す
ると云う欠点があつた。 さらに高温高圧下では、アクリル繊維が黄変
し、白色の糸条が得られないと云う欠点があつ
た。これら欠点を補うため複合糸条を構成するポ
リエチレンテレフタレート長繊維をO−フエニル
フエノール、メチルナフタレン、クロロベンゼ
ン、サリチル酸メチルなどのキヤリヤーと称する
促染物質を分散染料を含む染浴に添加し100℃付
近の温度で染色した後、アクリル繊維と獣毛繊維
を常法により染色していた。このキヤリヤー染色
法を採用する場合は、高温高圧染色より染色濃度
が劣ること、キヤリヤースポツトと称するキヤリ
ヤーの乳化不十分が原因となる染斑が発生する場
合があること、キヤリヤーは刺激性があり人体に
有害であるため染色工場の作業環境を悪くするこ
と、染色排水時の処理が困難であること、キヤリ
ヤーが繊維中に残留し除去することが困難である
ため染色物の耐光堅牢度を低下せしめる場合のあ
ること、残留キヤリヤーが刺激臭を発すること、
また染色物を着用した場合に皮膚障害を起こすお
それのあること、さらに発色の再現性が困難なた
め、色合せに老練な技術を必要とすること、また
キヤリヤー染色によりポリエチレンテレフタレー
ト繊維の力学的性質の変化例えば強度低下や伸度
の増大を来たす等の各種問題点が発生する。 また染色性の改良されたポリエステル長繊維と
して金属スルホネート基含有化合物や、ポリエー
テルを共重合したものが知られているが、これら
の変性ポリエステルでは染色性は向上するもの
の、常圧、すなわち、100℃以下の染色に於いて、
染着濃度は必ずしも十分とは云えず、その上重合
や紡糸が困難であつたり、原料高によるコストア
ツプになるし、あるいはポリエチレンテレフタレ
ート本来の優れた機械的熱的性質を低下せしめた
り、その他染色堅牢度の劣る場合のあるなどの欠
点があつた。結局上述のようなポリマーの化学的
改質による易染化は、染着座席となりうる第三成
分をポリマー中に混在させるが故にポリエチレン
テレフタレート本来の優れた耐熱性、力学的性質
の低下は不可避である。 これら複合糸条に共通の問題点はポリエステル
長繊維が芯部、その芯部の周囲にアクリル繊維と
獣毛繊維が巻付いて鞘部を形成する複合糸条、す
なわちコアヤーンにおいても発生する問題点であ
り、特にコアヤーンにおいて芯部のポリエステル
繊維と鞘部のアクリル繊維と獣毛繊維が同一に染
色されないと得られた複合糸条及び複合糸条を用
いて作られた繊維製品の外観をきわめて不良(き
たない外観)にする。 本発明は前述の従来技術の問題点を解消して、
高温高圧染色では得られない良好な風合、力学的
性質を有すると共に、鮮明な発色効果と吸水・吸
湿機能を併せ有するコアヤーンを提供することを
目的とする。 〔課題を解決するための手段〕 本発明の前述の目的は、ポリエステル長繊維が
芯部、該芯部の周囲にアクリル繊維短繊維と獣毛
繊維が巻き付いて鞘部を構成する複合糸条であつ
て、該ポリエステル長繊維が実質的にポリエチレ
ンテレフタレートのホモポリマーよりなり、且
つ、30℃における初期モジユラス55g/d以上で
あり、測定周波数110Hzにおける力学的損失正接
(tanδ)のピーク温度(Tmax)が105℃以下であ
つて、tanδのピーク値〔(tanδ)max〕が0.135を
超える値を有し、結晶化度(Xc)が30%以上、
(010)面の微結晶の大きさ(ACS)が35Å以上
で、且つ、(010)面の結晶配向度(CO)が85%
以上であることを特徴とする複合糸条によつて達
成される。 本発明の、実質的にポリエチレンテレフタレー
トのホモポリマーよりなるポリエステル繊維は新
規な繊維であり、分散染料で染色可能であつて、
後述する方法で製造することが可能である。 「分散染料で常圧染色可能である」とは、分散
染料シー・アイ・デイスパース・ブルー56(C.I.
Disperse Blue56:例えばレゾリンブルーFBL
〔ドイツ連邦共和国バイエル社製品名〕)を用い、
染料使用量3%owf、浴比50倍、PH6(酢酸にて
調整)、分散剤(例えば、デイスパーTL〔明成化
学工業社製品名〕)含有量1g/の染浴中で100
℃にて120分間の染色後、繊維に染着した染料の
吸尽率が80%以上であることを云う。ここで染料
吸尽率は次式で表わされる。 染料吸尽率(%) =繊維に染着した染料量(重量)/染浴に添加した染
料量(重量)×100 また、上記染色条件で染色後、染色された繊維
をハイドロサルフアイトナトリウム1g/、水
酸化ナトリウム1g/の水溶液で浴比50倍、80
℃で20分間還元洗浄して、水洗し、耐光堅牢度
(JIS L−1044のカーボンアーク灯法による)、摩
擦堅牢度(JIS L−0849のクロツクメーター法に
よる)、及び昇華堅牢度(JIS L−0854による)
を測定した場合いずれも3級以上である。 従来のポリエチレンテレフタレート繊維では上
記条件での染料吸尽率は30〜45%である。しかし
上記条件のうち染色温度を100℃より130℃に変え
ると従来のポリエチレンテレフタレート繊維は80
%以上の値を示す。 ポリエチレンテレフタレートのホモポリマーよ
りなるポリエステル繊維が衣料用繊維としての力
学的性能を保つためには、30℃における初期モジ
ユラスが55g/d以上であることを必要とする。 非晶領域の構造を表現する特性値としては、測
定周波数110Hzにおける力学的損失正接(tanδ)
のピーク温度(Tmax)とtanδのピーク値
〔(tanδ)max〕の値が適切である。Tmaxは通常
ガラス転移温度の50℃高温側に位置し、(tanδ)
maxは温度Tmaxにおける熱運動の活発化した無
定形領域内分子鎖の量に関係する。本発明におい
てTmaxおよび(tanδ)maxは無定形領域内部の
分子鎖のミクロブラウン運動に原因して発現する
力学吸収(αa吸収)に関する値を意味する。従
来のポリエチレンテレフタレート繊維のTmaxは
130℃以上、(tanδ)maxは0.13以下である。本発
明による複合糸条を構成するポリエチレンテレフ
タレートのホモポリマーよりなる長繊維の非晶領
域の構造と染色性の関連を検討した結果、分散染
料で常圧染色可能であるためには、(tanδ)
max>0.135であり且つTmax≦105℃であるこ
とが必要である。従来の常圧可染でないポリエチ
レンテレフタレートのホモポリマーよりなる繊維
の場合には上記の三条件を満足するものはない。
換言すれば、従来のポリエチレンテレフタレート
のホモポリマーよりなる繊維は上記三条件を満足
せず、分散染料で常圧染色可能なるものは存在し
なかつた。前記(tanδ)maxの値が0.14以上であ
るとより好ましい。 本発明において、分散染料にて常圧染色可能な
ポリエチレンテレフタレート繊維の力学的特性を
出すためには、上述の如く30℃における初期モジ
ユラスが55g/d以上である。ここで30℃におけ
る初期モジユラスとは、30℃における動的弾性率
(E′30)を意味する。 (tanδ)maxが大きくなると形態保持性を維
持するために、一般的にはE′30が大きくなる必要
がある。もしE′30が55g/d未満であれば繊維構
造の熱安定性は低下し、寸法安定性も悪く繊維と
して柔らかくなる。 こうした特徴を有する本発明の複合糸条を構成
する分散染料にて常圧染色可能なポリエチレンテ
レフタレートのホモポリマーよりなる長繊維につ
いて更にその構造と力学的性質(強度、伸度、初
期モジユラス、動的弾性率)、および染色性との
関連を検討した結果、次の事項が明らかになつ
た。 本発明の複合糸条を構成する分散染料により常
圧染色可能なポリエチレンテレフタレートのホモ
ポリマーよりなる繊維において、結晶化度
(Xc)、(010)面の微結晶の大きさ(ACS)、およ
び(010)面の結晶配向度(CO)は、いずれも繊
維の力学的特性に関連し、該ポリエチレンテレフ
タレート繊維が衣料用繊維として充分な強度(3
g/d以上)、および初期モジユラス(55g/d
以上)を有するためには、Xcは30%以上、ACS
は35Å以上、COは85%以上であることが必要で
ある。より好ましくは、Xcが70%以上、ACSが
40Å以上、COが90%以上である。ここでXc、
ACS、COはX線回折によりそれぞれ後述の方法
で測定された値である。従来のポリエチレンテレ
フタレート繊維はXcが50〜70%、ACSは30Å以
下、COは85〜95%である。 次に本発明の複合糸条を構成する常圧染色可能
なポリエチレンテレフタレート繊維において、繊
維軸方向に電場ベクトルを持つ偏光の中心屈折率
(n(0))の範囲は1.65〜1.68である。また平均複
屈折率(Δn)は、本発明を構成する分散染料で
常圧染色可能であり、且つ30℃において55g/d
以上の初期モジユラスを有するためには35×10-3
以上が好ましいが、一方熱に対する構造の安定性
からは50×10-3以上であることが望ましい。また
染色性、染色堅牢度の観点から好ましくは120×
10-3以下、さらに好ましくは85×10-3以下であ
る。Δnが120×10-3以下になると150〜220℃の温
度範囲における動的弾性率(E′)の減少率(150
℃、220℃におけるE′の値をそれぞれE′150、E′220
としE′220/E′150で表わす)が小さくなり、
E′220/E′150は0.75より大きくなる。すなわち熱に
対して構造が安定になる。また染色堅牢度も向上
する。さらにΔnが85×10-3より小さいものは常
圧可染性がきわめて優れたものになる。 繊維の中心における平均屈折率(n(0))と繊
維の中心から半径の0.8倍の距離の部分における
屈折率n(0.8)またはn(-0.8)の間に以下の関係を
満足するいわゆる繊維の局所的な平均屈折率の分
布が繊維の中心に対して対称であると、充分な強
度を有し、染斑、強伸度斑などが少ない。ここで
局所的な平均屈折率の分布が繊維の中心に対して
対称であると云うのは、平均屈折率nの極小値
が、(n(0)−10×10-3)以上であり、かつ
n(-0.8)とn(0.8)の差が50×10-3以下、より好ま
しくは、10×10-3以下の場合を云う。なお上述の
n(0)、n(0.8)、n(-0.8)、Δ(0.8-0))、Δ等の
値
は干渉顕微鏡により後述する方法により測定した
ものである。 また、本発明の複合糸条を構成する分散染料で
常圧染色可能なポリエチレンテレフタレートのホ
モポリマーよりなる繊維において、220℃におけ
る力学的損失正接(tanδ220)は小さいほど好ま
しく、温度上昇により初期モジユラスの低下が小
さくなる。tanδ220が0.25以下の場合、該初期モジ
ユラスの低下量は著るしく小さくなる。つまり熱
に対して安定な構造の繊維になる。 本発明の複合糸条を構成する上述の微細構造を
有する分散染料にて常圧染色可能なポリエチレン
テレフタレートのホモポリマーよりなる繊維の好
ましい製法を示すと本出願人に係る特願昭56−
46407号明細書に記載されているように、4000
m/分以上の紡糸速度で紡糸されたポリエチレン
テレフタレートのホモポリマーよりなる繊維を
220℃乃至300℃の範囲内の温度で、乾熱による熱
処理を行なうことにより得ることができる。また
は180℃乃至240℃の温度範囲内の過熱水蒸気、飽
和水蒸気、または熱水により湿熱による熱処理を
行なうことによつても得ることができる。このよ
うにして得られた上述の熱処理をうけた繊維は常
圧可染化される。 なお、本発明の複合糸条を構成する分散染料で
常圧染色可能なポリエチレンテレフタレートのホ
モポリマーよりなる繊維の原料であるポリエチレ
ンテレフタレートのホモポリマーは公知の重合法
で得ることができる。また通常のポリエステル繊
維に使用される添加剤、例えば艶消剤、安定剤、
制電剤などを含んでもよい。また重合度について
は通常の繊維形成用の範囲内であれば特に制限は
ない。 本発明の複合糸条を構成する分散染料で常圧染
色可能なポリエチレンテレフタレートのホモポリ
マーよりなる繊維の紡糸に際しては、ポリマー粘
度、紡糸温度、紡糸口金下の雰囲気の状態、冷却
方法、引取速度等を適宜調節することにより、紡
糸口金より紡出されたポリマー流の冷却固化、お
よび細形変化を制御することができ、紡糸性よく
かつ所望の特性を有する繊維が得られる。特に紡
糸繊維の冷却固化の制御は重要で、紡糸性および
望ましい特性を得るには、急激な冷却固化、特に
一方向からの繊維に直交する低温冷却固化はあま
り好ましくない。 第1図に本発明の複合糸条を構成する分散染料
で常圧染色可能なポリエチレンテレフタレートの
ホモポリマーよりなる繊維の製造装置の一例を模
式的に示した。溶融ポリエチレンテレフタレート
は加熱された紡糸ヘツド2の中の紡糸口金(図示
せず)により紡出され、大気中で冷却されて繊維
束1となる。この紡糸口金下には紡出された繊維
束1を取囲む管状の加熱域3が設けられており更
にその下方には繊維束1を冷却吸引するための流
体吸引装置4が設けられている。管状加熱域3お
よび流体吸引装置4を通過した繊維束1は、油剤
付与装置5を通つた後、引取ローラー6によつて
引取られる。本発明で云う「紡速」とはこの引取
ローラー6の表面速度を意味する。引取られた繊
維束は連続的にか、または一旦引取りローラー6
に巻かれた後、一対の繊維束送りローラー7によ
り引出され、220〜300℃の温度範囲内の適切な温
度に調整された加熱筒8を通り、一対の繊維束送
りローラー9によつて導かれ、巻取りローラー1
0により巻取られる。この際、繊維束送りローラ
ー7および9の回転速度を調節することにより繊
維束1は加熱筒8の中で適当な伸長率に伸長され
熱処理を受ける。 このように紡速4000m/分以上で紡糸され、乾
熱で220〜300℃の熱処理を受けたポリエチレンテ
レフタレートのホモポリマーよりなる繊維は、上
述の微細構造を有し、分散染料で常圧染色可能な
るものである。これを精紡機等により公知の方法
でアクリル繊維短繊維と獣毛繊維と混用すること
により本発明の常圧染色可能なポリエステル長繊
維を含有する複合糸条を作ることができる。すな
わち本発明の複合糸条は、一旦上述の常圧染色可
能なポリエチレンテレフタレート長繊維を芯部に
しアクリル短繊維と獣毛繊維を鞘部に用い紡績工
程の精紡工程において鞘芯のコアヤーンを紡出す
る方法によつて製造されるが、必ずしもこれらの
みに限定されない。要は、実質的にポリエチレン
テレフタレートのホモポリマーよりなり分散染料
で常圧染色可能なポリエチレンテレフタレート長
繊維を芯部としアクリル繊維短繊維及び獣毛繊維
を鞘部とした複合糸条であればよい。得られた本
発明の複合糸条は、その糸条の力学的性質を常圧
染色可能なポリエチレンテレフタレート長繊維に
よつて補強され、また糸条の持つ風合面と外観は
アクリル繊維によつて、吸水、吸湿面と耐熱面は
獣毛繊維によつてカバーされる。従つて該複合糸
は、従来のアクリル繊維100%から成る糸条にく
らべ耐熱性と吸水、吸湿性能が高く、またポリエ
ステル繊維100%からなる糸条にくらべ発色性が
きわめて良好で、ソフトで且つバルキーに富んだ
風合を有するのである。さらに該複合糸条は常圧
染色でアクリル繊維と獣毛繊維とポリエチレンテ
レフタレート繊維を同色に染色できるためアクリ
ル繊維の熱による力学的性質の低下が少なく、ソ
フトな風合が保持できる。また、獣毛の熱による
脆化を防ぎ獣毛のもつ独特のボリユーム感のある
風合が染色後も維持される。該複合糸を糸条の状
態で染色し、製織・製編する場合、染色前の生糸
の状態で製織・製編する場合どちらもその織欠
点・編欠点数は大巾に減少し、得られた織物・編
物は、衣料用生地として不可欠な腰、ハリを有す
るきわめてソフトな生地となる。さらに、ポリエ
チレンテレフタレート繊維を含有するためスチー
ムによる熱セツト性が良好で、洗濯後の収縮・伸
長等の欠点が少なく、極めて寸法安定性に優れた
生地となる。 なお、本発明に云う「アクリル繊維」とは、ア
クリロニトリルを少くとも重量比で50%以上含有
する線型高分子より形成され、カチオン染料で常
圧染色可能なるものを云う。また、「獣毛繊維」
とは天然繊維の動物繊維であつて、絹繊維を除く
羊毛、アンゴラ、カシミヤ、モヘヤ、アルパカ等
をいう。 また、本発明の複合糸条を構成するポリエチレ
ンテレフタレート繊維の含有率は重量比で5〜80
重量%が好ましい。ポリエチレンテレフタレート
繊維が5重量%未満では得られる複合糸の耐熱
性、寸法安定性が低下し、80重量%を超えるとき
は、アクリル繊維と獣毛繊維のもつ独特の風合、
即ち柔軟さ、ボリユーム感が殺される。 また、アクリル繊維の獣毛繊維に対する混用率
は重量比で20〜95重量%が好ましい。アクリル繊
維が20%未満ではアクリルの持つソフトな風合と
発色性が低下し、獣毛繊維が5%未満では耐熱性
と吸水・吸湿性能の効果が現われない。 以下に本発明の複合糸条を構成するポリエチレ
ンテレフタレート繊維の構造特性の測定法を述べ
る。 <力学的損失正接(tanδ)、及び動的弾性率(E′)
> 東洋ボールドウイン社製レオバイブロン
(Rheovibron)DDV−c型動的粘弾性測定装
置を用い、試料量0.1〜1mg、測定周波数110Hz、
昇温速度10℃/分で乾燥空気中で各温度における
tanδ、及びE′を測定する。tanδ−温度曲線から
tanδのピーク温度(Tmax)℃と同ピーク高さ
〔(tanδ)max〕が得られる。第2図に本発明の
分散染料で常圧染色可能なポリエチレンテレフタ
レート繊維A、および従来のポリエチレンテレフ
タレート繊維Bのtanδ−温度曲線の典型例を模式
的に示した。第3図には同様な繊維のE′−温度曲
線の典型例を模式的に示す。なお図中A,Bの表
示は第2図の場合と同じである。 <平均屈折率(n、n⊥)及び平均複屈折率
(Δn)> 透過定量干渉顕微鏡(例えばドイツ民主主義共
和国カールツアイスイエナ社製干渉顕微鏡インタ
ーフアコ)を使用して干渉縞法によつて繊維の側
面から観察した平均屈折率の分布を測定すること
ができる。この方法は円形断面を有する繊維に適
用する。繊維の屈折率は繊維軸に対して平行な電
場ベクトルを持つ偏光に対する屈折率nと、繊
維軸に対し垂直な電場ベクトルを持つ偏光に対す
る屈折率n⊥によつて特徴づけられる。ここに説
明する測定はすべて緑色光線(波長λ=549nm)
を使用する。 光学的に均一なスライドガラスおよびカバーガ
ラスの間に、0.2〜2波長の範囲内の干渉縞のず
れを与える屈折率(N)を有し、且つ繊維に対し
不活性な封入剤を注入し、その封入剤に試料繊維
を浸漬する。繊維はその軸が干渉顕微鏡の光軸お
よび干渉縞に対して垂直となるように設置され
る。この干渉縞のパターンを写真撮映し、約1500
倍に拡大して解析する。 第4図で繊維の封入剤の屈折率をN、繊維の外
周上の点S′−S″間の屈折率をn(またはn⊥)、
S′−S″間の厚みをt、使用光線の波長をλ、バツ
クグラウンドの平行干渉縞の間隔(1λに相当)
をD、繊維による干渉縞のずれをdとすると、光
路差Γは、Γ=(d/D)λ=〔n(またはn⊥)
−N〕tで表わされる。したがつてn(または
n⊥)=Γ/t+Nが成立する。厚みtは繊維の
断面形状が円であれば、座標xと半径Rとを用い
て2√2−2で与えられる。 繊維の半径をRとすると、繊維の中心Oから外
周Rまでの各位置での光路差から各位置での繊維
の屈折率n(またはn⊥)の分布を求めることが
できる。xを繊維の中心から各位置までの距離と
した時X=x/R=Oすなわち繊維の中心におけ
る屈折率を平均屈折率(n(0)またはn⊥(0))と云
う。xは外周上において1となり、その他の部分
では0〜1の間の値となるが、例えばx=0.8の
点における屈折率をn(0.8)(またはn⊥(0.8))と表
わす。また平均屈折率n(0)とn⊥(0)より平均複屈
折率(Δn)はΔn=n(0)−n⊥(0)で表わされる。
なお、第4図において31は繊維、32は封入剤
による干渉縞、33は繊維による干渉縞を示す。 第5図に各繊維のnの分布を示した、なお
A,Bの表示は第2図の場合と同じである。第5
図において横軸に中心からの距離X=x/R、縦
軸にn値を表示している。X=0が繊維の中
心、X=1およびX=−1が繊維の外周上の点で
ある。非円形断面の場合、厚みtはRとxのみの
関数として与えられていないため、別に測定した
値を用いる。tの測定方法として、封入剤の種類
を変えて各封入剤を用いて得られたΓの測定値か
ら次式で算出される。t=(Γ1−Γ2)/(N2−
N1) ここでN1,N2は封入剤1,2の屈折率、Γ1,
Γ2は封入剤1,2で測定されたリターデーシヨ
ンである。 <微結晶の大きさ(ACS)> 対称反射法により赤道方向のX線回折強度を測
定し、X線回折強度を回折角依存曲線からACS
は算出される。 X線回折強度は理学電機社製X線発生装置
(RU−200PL)とゴニオメーター(SG−9R)、
計数管にはシンチレーシヨンカウンター、計数部
には波高分析器を用い、ニツケルフイルターで単
色化したCu−Kα線(波長λ=1.5418Å)を用い
て測定される。繊維試料の繊維軸がX線回折面に
対して垂直となるようにアルミニウム製サンプル
ホルダーにセツトする。この時、試料の厚みは約
0.5mmになるようにセツトする。30kV、80mAで
X線発生装置を運転し、スキヤンニング速度1°/
分、チヤート速度10mm/分、タイムコンスタント
1秒、タイバージエントスリツト1/2°、レシー
ビングスリツト0.3mm、スキヤツタリングスリツ
ト1/2°において2θが35°〜7°まで回折強度を記録
する。記録計のフルスケールは得られる回折強度
曲線がスケール内に入るように設定する。 ポリエチレンテレフタレート繊維は一般に赤道
線上の回折角2θ=7°〜26°の範囲に三個の主要な
反射を有する。低角度側から(100)、(010)、(1
10)面である。ACSを求めるには例えばL.E.ア
レキサンダー著「高分子X線回折」化学同人出
版、第7章シエラー(Scherrer)の式を用いる。 2θ=7°と2θ=35°の間にある回折強度曲線間を
直線で結びベースラインとする。回折ピークの頂
点からベースラインに垂線を下ろし、ピークとベ
ースライン間の中点をこの垂線上に記入する。中
点を通る水平線を回折強度曲線回折ピークの間に
引く。主要な反射がよく分離している場合には曲
線のピークの2個の肩と交差するが、分離が悪い
場合には1つの肩のみと交差する。このピークの
幅を測定する。一方の肩としか交差しない場合は
交差した点と中点間の距離を測定し、それを2倍
する。また2個の肩と交差する場合は両肩間の距
離を測定する。これらの測定値をラジカル表示に
換算しライン幅とする。さらにこのライン幅を次
式で補正する。β=√2−2 ここでBはライン幅の実測値、bはブロードニ
ング定数でシリコン単結晶の(111)面反射のピ
ークのラジアン表示でのライン幅(半値幅)であ
る。微結晶の大きさ(ACS)は、 ACS(Å)=K・λ/βcosθ によつて与えられる。ここでKは1、λはX線の
波長(1.5418Å)、βは補正後のライン幅、θは
ブラツグ角で回折角2θの1/2である。 <結晶化度(Xc)> 微結晶の大きさの測定と同様にして得られたX
線回折強度曲線より2θ=7°と2θ=35°の回折強度
曲線間を直線で結びベースラインとする。第6図
のように2θ=20°付近の谷を頂点とし、低角側お
よび高角側のすそに沿つて直線で結び結晶部aと
非結晶部bに分離し、次式に従つて面積法で結晶
化度Xcを求める。 Xc=結晶部の散乱強度/全散乱強度×100(%) <結晶配向度(CO)> 理学電機社製X線発生装置(RU−200PL)、繊
維試料測定装置(FS−3)、ゴニオメーター
(SG−9)、計数管にはシンチレーシヨンカウン
ター、計数部には波高分析器を用い、ニツケルフ
イルターで単色化したCu−Kα線(波長λ=
1.5418Å)を用い方位角方向のX線回折強度曲線
を測定する。 ポリエチレンテレフタレート繊維は一般に赤道
線上に3種の主要な反射を有するが、結晶配向度
(CO)の測定には(010)面反射を採用する。 (010)面の回折角2θは赤道線方向の回折強度
曲線から決定される。前述のX線発生装置を
330kV、20mAで運転する。繊維試料測定装置に
試料繊維を互に平行になるように揃えて取付け
る。試料の厚みが約0.5mmになるように調整する。
赤道線方向の回折強度曲線から決定された2θの値
にゴニオメーターをセツトする。対称透過法を用
いて方位化方向を−30〜+30°走査し方位角方向
の回折強度を記録する。さらに−180°と+180°の
方位角方向の回折強度を記録する。このときスキ
ヤンニング速度4°/分、チヤート速度10mm/分、
タイムコンスタント1秒、コリメーター2mmφ、
レシービングスリツト縦幅19mm、横幅3.5mmであ
る。 得られた方位角方向の回折強度曲線からCOを
求めるには、まず±180°で得られた回折強度の平
均値をとり、この値を通る水平線をベースライン
とする。ピークの頂点からベースラインに垂線を
下ろし、その高さの中点を求める。中点を通る水
平線を引きこれと回折強度曲線との2個の交点間
の距離を測定し、この値を角度(°)に換算した
値を配向角H(°)とする。結晶配向度は CO(%)=〔(180°−H)/180°〕×100 によつて与えられる。 <染料吸尽率> 分散染料レゾリンブルーFBL(ドイツ連邦共和
国バイエル社製品名、C.L.Disperse Blue56)を
3%owf、浴比50倍、PH6(酢酸にて調整)、分散
剤デイスパーTL(明成化学工業社製品名)1g/
の組成よりなる染浴中に試料繊維を入れ、100
℃で120分間染色した後、染液を採取し、吸光度
よりの残液中の染料量を算出し、これを染色に使
用した染料量から減じたものを染着量として染料
吸尽率(%)を計算した。なお染色用の試料繊維
は、精錬剤スコアロールFC(花王アトラス社製品
名)2g/の水溶液中で60℃にて20分間精錬
し、乾燥、調湿(20℃、65%RHの条件下に48時
間放置)したものを使用した。 <染色堅牢度> 染料吸尽率評価の場合と同様の方法で染色した
試料をハイドロサルフアイトナトリウム1g/
、水酸化ナトリウム1g/の水溶液で浴比50
倍、80℃で20分間還元洗浄したものを評価した。 染色堅牢度としては、耐光堅牢度(JIS L−
1044に準ずる)、摩擦堅牢度(JIS L−0849に準
ずる)、昇華堅牢度(JIS L−0854に準ずる)に
ついて評価した。 <引張強伸度> 東洋ボールドウイン社製テンシロン
(Tensilon)UTM−−20型引張試験機により
初長5cm、引張速度20mm/分で測定した。 <沸水収縮率> 0.1g/dの荷重下での試料長をL0とし、荷重
を取除き沸水中で30分間処理した後、再び同じ荷
重下で測定した長さをLとする。沸水収縮率は次
式で表される。 沸水収縮率(%)=L0−L/L×100 〔実施例〕 以下に実施例をあげて本発明を更に詳しく説明
する。 実施例 1 フエノール/テトラクロロエタンの2/1の混
合溶媒中で35℃における固有粘度〔η〕(以下
〔η〕と表わす)が0.64のポリエチレンテレフタ
レートのホモポリマーを、第1図に示す装置を用
いて、紡糸温度298℃で、孔径0.35mmφ、孔数24
の紡糸口金より紡出し、繊維束の全周囲から繊維
束の走行方向に平行に供給された20℃の空気の流
れによつて冷却固化させた後、仕上剤を付与し、
4400m/分の速度で巻取つて75d/24fの糸条を得
た。次にこの糸条を第1図に示す熱処理用加熱筒
に接触することなく通過するようにして、該加熱
筒内部の温度を250℃に調節し、伸長率0.2%で
0.95秒間熱処理した。この繊維および比較例とし
て熱処理前の物性値を第1表にまとめて示す。 第1表の結果より、4400m/分以上の紡速で紡
糸し、250℃で0.2%の伸長下において0.95秒熱処
理したポリエチレンテレフタレートのホモポリマ
ーよりなる繊維は分散染料にて常圧可染化し、さ
らに染色堅牢度に優れ、力学的性質、熱安定性も
充分満足できるものであることが解る。
【表】
【表】
次に、アクリル短繊維2d×76〜126mmと羊毛繊
維の混紡から成る0.4g/mmの粗糸(混紡比、ア
クリル繊維:羊毛繊維は70:30重量%)を精紡機
に掛けるに際し、精紡機のフロントローラの手前
から、ドラフト状態にある粗糸の中央に、上述の
常圧可染ポリエチレンテレフタレート長繊維
75d/24fを供給、撚係数が95で紡糸番手1/30
(メートル番手)、16m/分の紡出速度でポリエチ
レンテレフタレート繊維が芯部、アクリル繊維と
羊毛繊維が鞘部を構成する複合糸条を得た。(こ
の時の精紡ドラフト率は31倍であり、ポリエチレ
ンテレフタレート長繊維75d/24fの給糸張力を22
gに設定した。) 得られた本発明による常圧可染可能なポリエチ
レンテレフタレート繊維とアクリル短繊維と羊毛
繊維から成るコアヤーンを張力10gにてステンレ
ス製染色チユーブにチーズ状に巻き上げ、チーズ
染色機により下記染色処方で100℃60分染色した。 (浴比1:50、PH5) 精錬剤……スコアロールFC−250<花王アトラス
社製>2g/投入、70℃10分精錬 カチオン染料……ダイアクリル系<三菱化成製>
2%owf投入 分散染料……ダイアニツクス系<三菱化成製>3
%owf投入 緩染剤……オスピンTAN<東海製油製>1.5%
owf投入 分散剤……ノイゲンHC<第一工業会製>1.5g/
投入 得られた複合糸条(コアヤーン)は、染色によ
る糸条変形が小さく、且つ高強度、高伸度であ
り、さらに衣料用糸条として不可欠な腰とソフト
感さらに吸水、吸湿性を兼ね備え、完全にアクリ
ル繊維と羊毛繊維とポリエチレンテレフタレート
繊維が同色に染色された糸条であつた。
維の混紡から成る0.4g/mmの粗糸(混紡比、ア
クリル繊維:羊毛繊維は70:30重量%)を精紡機
に掛けるに際し、精紡機のフロントローラの手前
から、ドラフト状態にある粗糸の中央に、上述の
常圧可染ポリエチレンテレフタレート長繊維
75d/24fを供給、撚係数が95で紡糸番手1/30
(メートル番手)、16m/分の紡出速度でポリエチ
レンテレフタレート繊維が芯部、アクリル繊維と
羊毛繊維が鞘部を構成する複合糸条を得た。(こ
の時の精紡ドラフト率は31倍であり、ポリエチレ
ンテレフタレート長繊維75d/24fの給糸張力を22
gに設定した。) 得られた本発明による常圧可染可能なポリエチ
レンテレフタレート繊維とアクリル短繊維と羊毛
繊維から成るコアヤーンを張力10gにてステンレ
ス製染色チユーブにチーズ状に巻き上げ、チーズ
染色機により下記染色処方で100℃60分染色した。 (浴比1:50、PH5) 精錬剤……スコアロールFC−250<花王アトラス
社製>2g/投入、70℃10分精錬 カチオン染料……ダイアクリル系<三菱化成製>
2%owf投入 分散染料……ダイアニツクス系<三菱化成製>3
%owf投入 緩染剤……オスピンTAN<東海製油製>1.5%
owf投入 分散剤……ノイゲンHC<第一工業会製>1.5g/
投入 得られた複合糸条(コアヤーン)は、染色によ
る糸条変形が小さく、且つ高強度、高伸度であ
り、さらに衣料用糸条として不可欠な腰とソフト
感さらに吸水、吸湿性を兼ね備え、完全にアクリ
ル繊維と羊毛繊維とポリエチレンテレフタレート
繊維が同色に染色された糸条であつた。
第1図は、本発明の複合糸条を構成するポリエ
チレンテレフタレート繊維の紡糸及び熱処理工程
の一例を示す模式図である。同図において、1は
繊維束、2は紡糸ヘツド、3は管状加熱域、4は
流体吸引装置、5は油剤付与装置、6は引取ロー
ラー、7は繊維束送りローラー、8は熱処理用加
熱筒、9は繊維束送りローラー、10は繊維束巻
取ローラーである。 第2図は、力学的損失正接(tanδ)−温度曲線
を模式化して表したグラフである。第3図は、動
的弾性率(E′)−温度曲線を模式化して表したグ
ラフである。第4図は、繊維の断面内半径方向屈
折率(nまたはn⊥)分布の測定に用いた干渉
縞のパターンの一例であり、第4図においてaは
繊維の断面図、bは干渉縞パターンの図である。
同図において、31は繊維、32は封入剤による
干渉縞、33は繊維による干渉縞である。 第5図は、繊維の半径方向の屈折率(n)分
布の一例を示す模式図である。第6図はポリエチ
レンテレフタレート繊維のX線回折強度曲線の一
例を示すグラフであり、同図において、aは結晶
領域、bは非結晶領域である。なお第2図、第3
図、第5図においてAは本発明の複合糸条の製造
に使用する分散染料にて常圧染色可能なポリエチ
レンテレフタレート繊維、Bは従来のポリエチレ
ンテレフタレート繊維の値を夫々示す。
チレンテレフタレート繊維の紡糸及び熱処理工程
の一例を示す模式図である。同図において、1は
繊維束、2は紡糸ヘツド、3は管状加熱域、4は
流体吸引装置、5は油剤付与装置、6は引取ロー
ラー、7は繊維束送りローラー、8は熱処理用加
熱筒、9は繊維束送りローラー、10は繊維束巻
取ローラーである。 第2図は、力学的損失正接(tanδ)−温度曲線
を模式化して表したグラフである。第3図は、動
的弾性率(E′)−温度曲線を模式化して表したグ
ラフである。第4図は、繊維の断面内半径方向屈
折率(nまたはn⊥)分布の測定に用いた干渉
縞のパターンの一例であり、第4図においてaは
繊維の断面図、bは干渉縞パターンの図である。
同図において、31は繊維、32は封入剤による
干渉縞、33は繊維による干渉縞である。 第5図は、繊維の半径方向の屈折率(n)分
布の一例を示す模式図である。第6図はポリエチ
レンテレフタレート繊維のX線回折強度曲線の一
例を示すグラフであり、同図において、aは結晶
領域、bは非結晶領域である。なお第2図、第3
図、第5図においてAは本発明の複合糸条の製造
に使用する分散染料にて常圧染色可能なポリエチ
レンテレフタレート繊維、Bは従来のポリエチレ
ンテレフタレート繊維の値を夫々示す。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 ポリエステル長繊維が芯部、該芯部の周囲に
アクリル繊維短繊維と獣毛繊維が巻き付いて鞘部
を構成する複合糸条において、該ポリエステル長
繊維が実質的にポリエチレンテレフタレートのホ
モポリマーよりなり、且つ、30℃における初期モ
ジユラス55g/d以上であり、測定周波数110Hz
における力学的損失正接(tanδ)のピーク温度
(Tmax)が105℃以下であつて、tanδのピーク値
〔(tanδ)max〕が0.135を超える値を有し、結晶
化度(Xc)が30%以上、(010)面の微結晶の大
きさ(ACS)が35Å以上で、且つ、(010)面の
結晶配向度(CO)が85%以上であることを特徴
とする複合糸条。 2 ポリエステル長繊維が4000m/分以上の紡速
で紡糸された後、220℃乃至300℃の温度で乾熱に
よる熱処理をされてなる繊維であることを特徴と
する特許請求の範囲第1項記載の複合糸条。 3 ポリエステル長繊維が4000m/分以上の紡速
で紡糸された後、180℃乃至240℃の温度で湿熱に
よる熱処理をされてなる繊維であることを特徴と
する特許請求の範囲第1項記載の複合糸条。 4 ポリエステル長繊維が0.14以上の(tanδ)
max値を有し、且つ平均複屈折率(Δn)が50×
10-3以上120×10-3以下であることを特徴とする
特許請求の範囲第1項記載の複合糸条。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP56182323A JPS5887335A (ja) | 1981-11-16 | 1981-11-16 | 多機能複合糸条 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP56182323A JPS5887335A (ja) | 1981-11-16 | 1981-11-16 | 多機能複合糸条 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPS5887335A JPS5887335A (ja) | 1983-05-25 |
| JPH0336935B2 true JPH0336935B2 (ja) | 1991-06-04 |
Family
ID=16116295
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP56182323A Granted JPS5887335A (ja) | 1981-11-16 | 1981-11-16 | 多機能複合糸条 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPS5887335A (ja) |
Family Cites Families (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| BR7805878A (pt) * | 1977-09-12 | 1979-04-24 | Du Pont | Fio plano e estopa contendo filamentos continuos de poli(etileno-tereftalato),fio plano de poliester e estopa de poli-ester contendo filamentos continuos de poli(etileno-tereftalato)e fibra textil de poli(etileno-tereftalato) |
-
1981
- 1981-11-16 JP JP56182323A patent/JPS5887335A/ja active Granted
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPS5887335A (ja) | 1983-05-25 |
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