JPH0365353B2 - - Google Patents

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JPH0365353B2
JPH0365353B2 JP57142663A JP14266382A JPH0365353B2 JP H0365353 B2 JPH0365353 B2 JP H0365353B2 JP 57142663 A JP57142663 A JP 57142663A JP 14266382 A JP14266382 A JP 14266382A JP H0365353 B2 JPH0365353 B2 JP H0365353B2
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Description

【発明の詳細な説明】
本発明はプロピオニバクテリウム属に属する微
生物の菌体から得られる抗腫瘍活性を有する加熱
変性デオキシリボ核酸RD−01に関する。 プロピオニバクテリウム属に属する細菌が抗腫
瘍作用、アジユバント作用等の生理活性をもつこ
とは古くより知られ、近年該細菌の細胞壁骨格の
分離とその生理活性研究が行なわれ、また一部で
は該細菌の菌体を臨床的に応用する試みがなされ
ている。 しかし、この微生物の菌体は種々の副作用を有
しているのでこれらの副作用を軽減するため、主
として細胞壁から活性物質を分離しようとする試
みがなされて来た。 細胞壁由来の活性物質の例としては上述の細胞
壁骨格や細胞壁から調製した高分子ムコペプチド
等が挙げられるが、これらのものも抗腫瘍活性の
高いものは副作用も強く、副作用の弱いものは抗
腫瘍活性が必ずしも高くないという欠点を有す
る。 先に本発明者らは結核菌から得られる抗腫瘍活
性物質について種々検討した結果、結核菌を破砕
して得られる無細胞抽出液から分離された加熱変
性デオキシリボ核酸が宿主介在性の強力な抗腫瘍
活性を有し、かつ毒性および抗原性が極めて低い
ことを初めて見い出し特許(特開昭57−139096)
を出願した。 さらに、本発明者らはプロピオニバクテリウム
属に属する細菌の菌体抽出物についても新規な抗
腫瘍活性物質を見い出すべく、結核菌の経験に基
づいて抗腫瘍活性物質の検索を鋭意行なつた結
果、プロピオニバクテリウム属の細菌から結核菌
の場合に用いたと同様の方法で調製した加熱変性
デオキシリボ核酸も高い抗腫瘍活性を示し、かつ
毒性が極めて低く、発熱性や抗原性がほとんどな
いことを確認し、本発明物質を加熱変性デオキシ
リボ核酸RD−01と命名し本発明を完成するに至
つた。 以下、本発明物質を単に加熱変性デオキシリボ
核酸、変性デオキシリボ核酸、デオキシリボ核酸
あるいは本物質と称することが多い。本発明によ
つて得られるデオキシリボ核酸は結核菌由来の該
物質と同様に宿主介在性の強い抗腫瘍活性を有
し、その作用はこれまでに知られている動物細胞
由来のデオキシリボ核酸等の腫瘍細胞への直接障
害作用に基づく抗腫瘍作用(Science,149,997,
1965,Cancer Research 27,2342,1967,
Proceedings of the National Academy of
Science 61,207,1968)に比べはるかに強力で
ある。 本発明物質とその製造法およびその宿主介在性
の強力な抗腫瘍活性は本発明者らによつて初めて
明らかにされたものである。 すなわち本発明は、加熱変性によつて抗腫瘍活
性を有せしめてなる加熱変性デオキシリボ核酸
RD−01及びその塩に関し、更に詳細には、プロ
ピオニバクテリウム属細菌より得られる抗腫瘍活
性を有する加熱変性デオキシリボ核酸RD−01に
関し、そして、その製法及び抗腫瘍剤に関するも
のである。 さらに本発明はプロピオニバクテリウム属細菌
破砕物を遠心分離して得られる核酸画分を加熱す
ることを特徴とする抗腫瘍活性を有する加熱変性
デオキシリボ核酸RD−01の製造法に関するもの
である。 さらに本発明は核酸画分の分離法として無細胞
抽出液に核酸凝集剤を加え、得られる沈澱の可溶
画分から分離することを特徴とする抗腫瘍活性を
有する加熱変性デオキシリボ核酸RD−01の製造
法に関するものである。 さららに本発明は核酸画分の分離法として無細
胞抽出液に核酸凝集剤を加え、得られる沈澱を水
または塩類溶液に対して透析した後加熱し、その
上清から分離することを特徴とする抗腫瘍活性を
有する加熱変性デオキシリボ核酸RD−01の製造
法に関するものである。 さらに本発明は、デオキシリボ核酸含有物を約
80〜120℃に加熱して、抗腫瘍性を有せしめるこ
とを特徴とする抗腫瘍活性を有する加熱変性デオ
キシリボ核酸RD−01の製造法である。 さらに本発明は、加熱変性によつて抗腫瘍活性
を有せしめてなる加熱変性デオキシリボ核酸RD
−01を有効成分とする抗腫瘍剤である。 本発明に用いられる微生物は、プロピオニバク
テリウム属に属する細菌であるが、好適なものと
しては、バージーズ、マニユアル・オブ・デイタ
ミネイテイブ・バクテリオロジー第8版、第634
頁〜641頁に記載されている公知のプロピオニバ
クテリウム・アクネス(Propionibacterium
acnes)ATCC 11829、プロピオニバクテリウ
ム・グラニユロサム(Propionibacterium
granulosum)ATCC 25564、プロピオニバクテ
リウム・アビドウム(Propionibacterium
avidum)ATCC 25577などが挙げられるが、や
はり全菌体として抗腫瘍活性が高く、かつ病原性
の弱い菌株が好ましい。 本発明における上記菌株の培養は通常の嫌気性
培養法を用いることが出来るし、菌体の破砕方法
は通常の方法に従つてよい。たとえば、窒素源と
して肉エキス、ペプトン、フイトン、酵母エキス
等、炭素源としてはグルコース等、還元剤として
は塩酸システイン、チオグリコール酸ナトリウム
等、さらにリン酸カリウム、硫酸マグネシウム、
塩化ナトリウム等を添加した培地を用いるのが好
ましい。 培養は30〜40℃で2〜15日間位静置するのが好
ましい。得られた菌体は遠心分離等により集菌
し、生理食塩水等により洗浄した後、そのまゝ次
の操作に付すか、もしくは要すれば、フエノール
あるいは弱い加熱殺菌をした後、次の操作に付し
てもよい。 得られた菌体は、水好ましくは適当な緩衝液と
して充分混合し、氷冷しながらダイノミル
(Dyno−Mill)あるいはフレンチ(French)プ
レスなどにより菌体を破砕して破砕菌体懸濁液を
得る。この懸濁液を遠心して無細胞抽出液を得る
が、このときの遠心分離の条件は、未破砕菌体、
部分的に破砕された菌体、細胞壁画分等を沈査と
して除去出来る通常の遠心力で良く、たとえば
5000xg、10分間以上遠心してその上清を取得す
る。 本発明における無細胞抽出液とは、破砕菌体懸
濁液から遠心分離により、未破砕菌体、部分的に
破砕された菌体、細胞壁画分等を出来るだけ除い
た画分のことである。 無細胞抽出液から核酸画分を得るには、無細胞
抽出液を直接有機溶剤処理して核酸画分を得る方
法(例えばマーマー(Marmur)法やフエノール
法等、以下直接有機溶剤法と称する)と無細胞抽
出液に核酸凝集剤を加えて核酸画分を含む沈澱を
得る方法が適用可能である。 直接有機溶剤法は小量規模(通常1g以下)の
本発明物質を得るのに適した方法であり、得られ
る核酸画分(以下RD核酸画分と称する)は、通
常抗原性を有する多糖や蛋白等の不純物を含有す
るので密度勾配遠心法等により不純物を出来るだ
け除去した後得られる精製デオキシリボ核酸画分
を加熱処理して本発明物質を得るか、あるいは
RD核酸画分をまず加熱処理した後遠心法や沈澱
法等によつて不純物を除去して本発明物質を得
る。 RD核酸画分や精製デオキシリボ核酸画分の加
熱処理条件は、後述の調製法と共通するので、後
に詳しく述べる。 本発明における加熱の目的は本発明物質の分子
量分布を調節し、2本鎖構造を1本鎖構造にかえ
るとともに不純物の除去効率を高め、製剤化を容
易にし、用時の溶解性を高め、抗腫瘍活性が高
く、かつ、毒性、副作用の低い本発明物質を得る
ことである。 無細胞抽出液に核酸凝集剤を加えて核酸画分を
沈澱させる方法は、核酸画分を濃縮出来るので大
量規模の本発明物質を得るのに適した方法であ
る。 この方法において用いられる核酸凝集剤は通常
の核酸凝集剤のいずれも使用可能であるが、後の
工程で用いた凝集剤を簡便に除去出来るという意
味で、低分子凝集剤が好ましい。その好適な例と
しては、塩化カルシウム,塩化マンガン,塩化マ
グネシウム,硫酸アルミニウム等の多価金属陽イ
オンあるいはストレプトマイシン,カナマイシン
等の水溶性塩基性抗生物質またはその塩等が挙げ
られる。核酸凝集剤の使用量はその種類により適
宜選択出来るが、たとえば多価金属陽イオンでは
0.1〜10%、好ましくは0.1〜3%、抗生物質では
0.01〜10%、好ましくは0.1〜1%を抽出液に対
して使用するのが適当である。 操作としては無細胞抽出液に核酸凝集剤を加
え、生成した沈澱を遠心あるいは過等の方法に
より分離して核酸画分を含む懸濁液を得る。この
懸濁液より核酸凝集剤を除くには透析が適当であ
る。その際に使用する水性溶媒は、核酸凝集剤の
除去効率を高めるために適当なイオン強度を有す
る、PHが中性附近の緩衝液が好ましい。たとえば
好適なものとしては0.1〜1M NaCl含有リン酸緩
衝液,0.1〜1M KClクエン酸緩衝液,0.1〜1M
NaCl含有炭酸ナトリウム緩衝液,0.1〜1M
NaCl含有トリス塩酸緩衝液等が挙げられる。 核酸画分を含む懸濁液を含塩緩衝液に対して透
析した後要すればさらに水に対して透析して塩類
を除く。透析済みの核酸画分を含む懸濁液を以下
RN−1画分と称する。RN−1画分を得る操作
は、全て冷却下で行ない、核酸画分の不必要な分
解、変性を防止する。冷却温度は0ないし10℃が
好ましい。 RN−1画分から本発明物質を得るには2つの
方法が可能である。1つの方法はRN−1画分か
ら核酸画分を分離した後、得られた核酸画分を加
熱して本発明物質を得る方法であり、もう一つの
方法はRN−1画分を加熱処理した後本発明物質
を分離する方法である。 前者の方法においては、まず、RN−1画分の
含有物浸度と水性溶媒のPHや塩濃度等を調節した
後、遠心分離または、過等の方法によりRN−
1画分からデオキシリボ核酸を含む可溶画分を分
離する。この可溶画分から沈澱法あるいはカラム
クロマト法あるいは電気泳動法さらに、要すれば
リボヌクレアーゼ処理法等の方法によりデオキシ
リボ核酸画分を分離して、加熱処理すれば本発明
物質が得られる。RN−1画分から可溶画分を分
離する際の好適なRN−1画分の濃度は1〜15
mg/mlである。水性溶媒のPHは中性附近が好まし
く、通常酸あるいは塩基であるいは緩衝液でPH5
から8の範囲に調節する。水性溶媒のイオン強度
は、遠心分離等の際の沈澱の除去効率に影響を与
え、通常0.1以上が好ましく、要すれば食塩ある
いは塩化カリウム等を加えてイオン強度を調節し
ても良い。 このように調節したRN−1画分を通常
20000xgで5分間以上遠心分離すると、核酸画分
を含む清澄な可溶画分がその上清として得られ
る。この上清からストレプトマイシンあるいは塩
化マンガンあるいはセチルトリメチルアンモニウ
ムブロミド等を用いる沈澱法あるいはセフアロー
ズ等を用いるカラムクロマト法あるいは塩化ビニ
ル−酢酸ビニル共重合体等を用いる電気泳動法等
によりデオキシリボ核酸画分を分離することが出
来る。以上の操作は全て0〜10℃で行うのが好ま
しい。このようにして得られたデオキシリボ核酸
画分をさらに、リボヌクレアーゼ処理後加熱処理
するか、あるいは加熱処理後リボヌクレアーゼ処
理すれば精製された本発明物質が得られるが、加
熱条件は後者の方法と共通するので後に詳述す
る。 後者の方法では、まずRN−1画分を加熱する
が、この加熱操作は核酸画分の適切な変性を行な
うことおよび不純物を変性させ以後の本発明物質
の分離操作を容易にすることを目的とする。加熱
条件は後に示すように本発明物質の抗腫瘍活性に
も密接に関連しており、適切な条件範囲が存在す
る。加熱の要因としては、加熱時の溶質の濃度、
水性溶媒の種類とPH、イオン強度、加熱温度、加
熱時間が挙げられ、適切な条件範囲は次のとおり
である。 溶質の濃度は1〜15mg/mlが適切である。水性
溶媒が水あるいは食塩等の含塩水(イオン強度が
0.1〜0.5)の場合は80℃ないし120℃で5分間な
いし120分間、水性溶媒が緩衝液の場合は緩衝液
のPHによつて大きく影響され、中性附近のPHでは
加熱温度は高く、加熱時間も長くし、酸性あるい
はアルカリ性では、加熱温度は低く、加熱時間も
短くするのが好ましい。 例えば水性溶媒が強酸性あるいは強アルカリ性
の場合は、加熱温度を80〜120℃に限定するもの
ではなく、室温付近でも充分である。また、水性
溶媒がアルカリ性の場合はPH、加熱温度および時
間を適宜選択すれば本発明物質からリボ核酸を除
去しうる点で有利な場合もある。 以上のごとく、適切な加熱条件を選ぶことによ
り後に示すように本発明の目的とする抗腫瘍活性
が高く、かつ抗原性の低い加熱変性デオキシリボ
核酸を含む懸濁液を得ることが出来る。 ここに示した加熱条件は本発明物質調製法の重
要な要因であり、本明細書で示したいずれの調製
法にも適用可能である。 このようにしてRN−1画分を加熱した後冷却
し、遠心または過等の方法により沈渣を除け
ば、本発明物質を含む清澄な溶液を得る。この溶
液から本発明物質を分離するのは容易であり、通
常の方法によつて可能である。その適切な例とし
ては、核酸凝集剤による沈澱法,有機溶媒による
分画法、カラムクロマト法あるいは電気泳動法等
とリボヌクレアーゼ処理法との組み合わせが挙げ
られる。これらの方法によつて得られた本発明物
質は、そのまま製剤の原本として使用するか、あ
るいは凍結乾燥して乾燥粉末にすることも可能で
ある。 本発明物質中のデオキシリボ核酸の分子量は約
3万から100万の間に分布し、グアニン,シトシ
ン(GC)含量は約66%である。本発明物質の転
移温度Tmは、明確な値を示さずさらに、ヒドロ
キシアパタイトのカラムクロマトグラフイーによ
り分析すると本発明物質が変性された1本鎖のデ
オキシリボ核酸であることを意味する。 本明細書に示した方法によつて得られる物質の
なかには、加熱変性デオキシリボ核酸以外に、微
量のリボ核酸,蛋白,糖等を含むものもあるが、
いずれも混入物と言える程度であり、要すればこ
れらはさらに精製して除くことが出来る。 次に実施例1において精製して得られたRD−
01(以下RD−A1と表示する)について理化学的
性質を調べ、その結果を示す。なお、実施例2で
得られたRD−01(以下RD−A2と表示する)の精
製品についても同様の理化学的性質を示してい
る。 本物質、加熱変性デオキシリボ核酸RD−A1の
理化学的性質(Na塩による) (1) 元素分析(%): C:26.18〜31.31 H:4.02〜4.98 N:12.11〜13.89 P:8.13〜9.18 Na:3.02〜4.28 (2) 分子量:3万〜100万 蛋白質をマーカーとし、セフアロースCL−
6Bを用いたゲル濾過法によれば22万付近をピ
ークとして3万〜100万に分布する。(分子量分
布図は第1図に示すとおり)。 (3) 融点:明確な融点を示さない。 (4) 紫外線吸収スペクトル:中性水溶液は260nm
付近に吸収極大波長を、また230nm付近に吸収
極小波長を有する(第2図に示すとおり)。 (5) 赤外線吸収スペクトル:780cm-1付近、1090
cm-1付近、1230cm-1付近、1700cm-1付近に核酸
の特性吸収帯を有する(第3図に示すとおり)。 (6) 溶剤に対する溶解性:水に可溶、エタノー
ル、メタノール、エーテル、アセトンに不溶。 (7) 呈色反応 A) オルシノール反応:STS法により分画
したRNA画分に対して陰性。 B) ジフエニルアミン反応:STS法により
分画したDNA画分に対して陽性。 C) ニンヒドリン反応:本物質10μg/mlの
濃度で陰性。 D) アンスロン反応:本物質10μg/mlの濃
度で陰性。 (8) 塩基性、酸性、中性の区別:本物質の水溶液
のPHは6.5〜7.5である。 (9) 物質の色:白色粉末 (10) 特性:加熱処理によつて可溶性を付与すると
ともに、高腫瘍活性を有せしめ、かつ毒性およ
び抗原性が極めて低くなつている。 (11) 塩基組成(%): グアニン:33.4 アデニン:17.2 シトシン:32.5 チミン:16.9 (方法は化学分析による) (12) 酵素処理:本物質をデオキシリボヌクレアー
ゼ(DNase )で処理すると抗腫瘍性が
なくなるが、リボヌクレアーゼT2(RNaseT2
の処理では抗腫瘍性は変化しない。 (13) ヒドロキシアパタイトのカラムクロマトグ
ラフイーにより分析すると1本鎖構造である。 (14) 転移温度(Tm):測定された融解曲線から
は明確な転移温度Tmは求められない。 本発明物質が示す抗腫瘍活性の本体が、加熱変
性デオキシリボ核酸であることは、本発明物質を
デオキシリボ核酸分解酵素(DNaseI)で処理す
ると抗腫瘍活性がなくなること、本発明物質をリ
ボ核酸分解酵素(RNaseT2)で処理しても抗腫
瘍活性が変化しないことから明らかである。 本発明物質を抗腫瘍剤として用いる場合は、注
射剤の型で用いるので好ましい。本発明物質は、
単独であるいは通常用いられる添加剤,賦型剤を
加えて液剤、あるいは同時溶解性の凍結乾燥製剤
として適用可能である。 また本発明物質は水中油滴型あるいは油中水滴
型のエマルジヨンとしても適用可能である。 本発明物質の使用量,投量経路は適宜選択され
るが使用量は体重Kgあたり0.01ないし100mgが好
ましく、投与経路は皮内,皮下,静脈内,腹腔内
投与や腫瘍内投与が行なわれる。 本発明物質はモルモツトやマウスの種々の腫瘍
系に対して高い抗腫瘍作用を示す。例えばマウス
の同系腫瘍であるIMCカルチノーマに対して本
発明物質は生理食塩液に溶解した型で腫瘍細胞と
接触させた後、動物体内に移植することによる腫
瘍の生着抑制(サプレツシヨン活性)あるいは動
物体内に生着した腫瘍組織内に投与することによ
る抗腫瘍活性(リグレツシヨン活性)において原
料である菌体と同等か、あるいはそれよりも高い
抗腫瘍活性を示した。また、モルモツトの同系腫
瘍であるライン10に対しては、油中水滴型の本
発明物質の腫瘍内投与により、本発明物質は、原
発腫瘍の増加抑制だけでなく、所属リンパ節への
腫瘍の転移も抑制した。 さらに本発明物質は、生理食塩液に溶解して腫
瘍組織とは異る場所に投与することによつても
IMCカルチノーマに対して抗腫瘍作用を示した。 本発明物質の急性毒性はマウスに対する静脈内
投与による体重Kgあたりの50%致死量LD50値が
500mg以上であることから、極めて低い。 また本発明物質の抗原性についても、モルモツ
トを用いたアナフイラキシー試験,遅延型アレル
ギー試験によつて、本発明物質が極めて安全であ
ることが判明した。 その他本発明物質の発熱性,疼痛性,起炎性,
肉芽形成性等も原料菌体に比較し、極めて低く、
通常の医薬としての適用には問題にならない程度
であることが、種々の試験により判明した。 各種の腫瘍細胞に対する本発明物質の細胞増殖
抑制作用を調べたところ、本発明物質は、ほとん
ど細胞増殖抑制作用を示さなかつた。このことか
ら本発明物質は宿主の免疫反応を介して抗腫瘍作
用を示すと考えられるので本発明物質の免疫学的
活性を種々検討した。その結果、本発明物質はマ
ウスのキラーT細胞増強効果、およびマクロフア
ージ活性化作用の他にナチユラルキラー細胞活性
増強作用を示した。 以上の種々の知見から本発明物質は抗腫瘍剤と
して極めて有用なものと考えられる。 以下に本発明物質の製造法を実施例により、ま
た、本発明物質の抗腫瘍剤としての有用性を試験
例により示す。 実施例 1 ストレプトマイシンを用いて得られる懸濁液の
可溶画分から本発明物質の製造 ハートインフユジヨン培地(栄研化学製) 25g グルコース 5g チオグリコール酸ナトリウム 0.5g 水を加えて1にし、PH6.8〜7.2に調節する。 プロピオニバクテリウム・アビドウム
(Propionibacterium avidum)ATCC25577を上
記組成の培地を含むゴム栓付のルービンに植菌
し、ルービン内の空気を窒素で置換した後37℃で
5日間静置培養した。培養終了後フエノールを最
終濃度で5%になるように培養物に添加し2日間
室温に放置した。得られた培養物から菌体を遠心
分離により集め、生理食塩水で3回洗浄し湿菌体
を得た。この湿菌体100gを100mlの10mMリン酸
緩衝液(PH7.0)に懸濁した後、氷冷下ダイノミ
ルで破砕し、20000xgで20分間遠心分離して上清
の無細胞抽出液を得た。この抽出液にストレプト
マイシン硫酸塩を終濃度が0.3%になるように添
加し、充分撹拌した後、4℃で一晩静置し、生成
した沈澱を遠心分離により集め、0.5M NaCl含
有10mMリン酸緩衝液(PH7.0)に懸濁した。こ
の懸濁液をセロハンチユーブに詰めて同じ緩衝液
に対して透析し、続いて蒸留水に対して透析して
核酸画分を含む懸濁液180ml(以下この懸濁液を
RN−1と称する)を得た。この懸濁液の固形物
濃度は3.5mg/mlであり、湿菌体あたり0.63%の
収率であつた。 次にRN−1全量にNaClを終濃度が0.9%にな
るように加えて撹拌し、加熱変性処理(100℃、
60分)した後、20000xg、20分間遠心分離して上
清を得た。この上清にNaClを最終濃度が0.4Mに
なるように加えて溶解した後、セチルトリメチル
アンモニウムブロミド(以下このものをCTAB
と称す。東京化成会社製)を最終濃度が0.2%
(W/V)になるように加えて充分撹拌し、室温
に30分間静置した。生成した沈澱を遠心分離によ
り集め、1M NaCl液40mlに溶解した後、等量の
クロロホルム−イソアミルアルコール(24:1)
の混液を加えて振盪、遠心分離して水層部分を得
た。この操作をさらに2回くり返した後、得られ
た水層に3倍量の99.5%エタノールを加えて撹拌
し、4℃で一晩静置した。生成した沈澱を遠心分
離により集め、蒸留水30mlに溶解した後、蒸留水
に対して透析し、精製核酸溶液を得た。この溶液
を1N NaOHで中和後、凍結乾燥して乾燥標品
145mgを得た。本品90mgを0.05M酢酸緩衝液(PH
4.5)10mlに溶解した後、同緩衝液2mlに溶解し
たリボヌクレアーゼT2(三共会社製)200Uを添
加し、37℃で22時間反応させた。反応液に等量の
クロロホルム−イソアミルアルコール(24:1)
の混液を加えて振盪後、遠心分離して水層部分を
得た。この操作をさらにくり返した後、水層の全
量を、あらかじめ0.5M炭酸水素アンモニウム液
で洗浄した径2.5cm、長さ90cmのセフアデツクス
G−100(Pharmacia Fine Chemicals社製)カラ
ムに負荷し、同液で溶出した後、最初に溶出する
画分としてデオキシリボ核酸を含む画分を得た。
この画分を水に対して透析した後、NaOHで中
和後、凍結乾燥して本発明物質67mgを得た。以下
このものをRD−A1と称す。 RD−A1のデオキシリボ核酸の含量(純度)は
5%過塩素酸で加水分解した後、ジフエニルアミ
ン法(Biochemical Journal 62,315,1956)
により定量した時の98.8%であつた。 実施例 2 マーマー法による本発明物質の製造: プロピオニバクテリウム・グラニユロサム
(Propionibacterium granulosam)ATCC25564
を実施例1の培地で同様の培養条件によつて得た
湿菌体250gを7倍量の10mMリン酸緩衝液に懸
濁した後氷冷下ダイノミルで破砕し、20000xgで
20分間遠心して無細胞抽出液を得た。この抽出液
からマーマー(Marmur,Journal of
Molecular Biology ,208,1961)法により
粗デオキシリボ核酸画分を得た。この画分を0.9
%食塩液に対して透析した後、100℃、60分加熱
した。冷却後蒸留水に対して透析、中和後凍結乾
燥して得た標品55mgに対し、実施例1と同様のス
ケールでリボヌクレアーゼT2処理を行ない、精
製し、本発明物質31mgを得た。以下このものを
RD−A2と称す。RD−A2のデオキシリボ核酸含
量は実施例1と同様の方法で分析すると98.1%で
あつた。 実施例 3 液 剤 RD−A1、10mgを10mlのPBSマイナス液(栄研
化学社製)に溶解し、ニユクリポアーNo.20
(Nuclepore社製)を用いて無菌過した。得ら
れた液を1.5mlずつバイアル瓶に無菌的に分注
して本発明物質の液剤を得た。 実施例 4 凍結乾燥製剤 RD−A1、10mgを10mlの注射用蒸留水に溶解
し、次に500mgのマンニトールを加えて溶解した
後、ニユクリポアーNo.20を用いて無菌過した。
得られた液を1.5mlずつ無菌的にバイアル瓶に
分注した後、凍結乾燥して本発明物質の凍結乾燥
剤を得た。 実施例 5 エマルジヨン剤 RD−A1、4mgを0.5mlの生理食塩液に溶解し、
次にドラケオール6−VR(Drakeol 6−VR,
Pensilvania Retihing Company製)とアラシー
ルA(Arlacel A,Atlas Chemical Industries
製)の8.5:1.5の混液0.5mlを加えて連結注射針を
用いて油中水型のエマルジヨンを得た。 試験例 1 マウスIMCカルチノーマに対する抗腫瘍作用 本発明物質のマウスIMCカルチノーマに対す
る抗腫瘍性を調べた。 試験系は次のとおりである。 CDF1雌雄マウスの皮内に5×105個のIMCカ
ルチノーマ細胞を移植し、移植後1日目から隔日
に計6回、実施例3の方法で調製した製剤を1回
あたり0.1mlずつ、腫瘍内に投与した。移植後35
日目に腫瘍を摘出し、その重量を測定した結果は
第1表のとおりであつた。
【表】 後述の検定を含めて平均腫瘍重量および治癒例
数の出現頻度の有意差検定にはスチユーデントの
t検定法とフイツシヤーの検定法をそれぞれ用い
た。T/Cは対照群の平均腫瘍重量に対する投与
群の平均腫瘍重量のパーセント比である。BCG
はBCGワクチン(日本ビーシージー会社製)を
用いた。対照としては生理食塩液を用いた。 試験例 2 ストレイン2モルモツトのライン10ヘパトーマ
に対する抗腫瘍作用 本発明物質のストレイン2モルモツトのライン
10ヘパトーマに対する抗腫瘍作用を調べた。 1×106個のライン(line)10ヘパトーマ腫瘍
細胞をストレイン(strain)2モルモツトの皮内
に移植し、移植後7日目に実施例3に示した方法
で調製した製剤0.1mlを腫瘍内に投与した。移植
後70日目に生存例数、治癒例数、所属リンパ節へ
の転移の有無を調べた。対照としては生理食塩液
を用いて同様に調製したものを用いた。 結果は第2表に示した。
【表】 試験例 3 核酸分解酵素処理物の抗腫瘍作用 本発明物質を核酸分解酵素で処理することによ
り本発明物質の抗腫瘍活性の本体を調べた。 試験法は次のとおりである。 AD−A1をデオキシリボ核酸分解酵素DNase
(Sigma Chemicals製)で処理した後得られ
た分解物をクロロホルム処理してDNaseを除
き、次にセフアデツクスG10(Pharmacia Fine
Chemicals製)カラムにより脱塩,凍結乾燥し
て、本発明物質の核酸分解酵素処理物を得た。得
られた処理物の抗腫瘍活性を試験例1と同様に試
験し、第3表に示す結果を得た。
【表】 T/Cは対照群の平均腫瘍重量に対する投与群
の平均腫瘍重量のパーセント比である。 対照としては生理食塩液を用い、BCGはBCG
ワクチンを用いた。 試験例 4 ナチユラルキラー(NK)細胞の活性増強作用 本発明物質のNK細胞に対する活性増強作用を
調べた。 試験法は次のとおりである。 生理食塩液、RD−A1又はRD−A2の生理食塩
液溶解液(1mg/ml)を8週令のC57BL/6系雌
性マウスに一匹あたり0.3ml腹腔内投与してその
48時間後に腹腔浸出細胞を採取した。採取液中の
細胞数を10%牛胎児血清添加RPMI1640培地で2
×106個/mlに調整した後プラスチツクシヤーレ
に移して37℃、5%炭酸ガス大気下で90分間イン
キユベートし、シヤーレに付着性細胞,非付着性
の細胞を得た。各々の細胞5×105個と 51Crで標
識したマウス白血病細胞YAC−1、1×104個を
37℃、5%炭酸ガス大気下で10%牛胎児血清添加
RPMI1640培地を用いて4時間培養した。その培
養上清に遊離された 51Crの放射能をオートガン
マーカウンター(Packard製)で測定し、腹腔浸
出細胞のYAC−1細胞に対する細胞障害作用を
調べた。
【表】 試験例 5 細胞増殖直接阻害作用 本発明物質のYAC−1マウス白血病細胞と
FM3Aマウス乳癌細胞の細胞増殖に対する直接阻
害作用を調べた。 試験系は次のとおりである。 8.4×104個のYAC−1細胞と15.4×104個の
FM3A細胞をそれぞれ10%牛胎児血清添加
RPMI1640培地に浮遊せしめ、37℃、5%炭酸ガ
ス大気下で24時間培養後RD−A1を1mg/mlの最
終濃度に加え、同じ条件下でさらに培養を継続し
た。培養開始後24時間目毎にトリパンブルー染色
により生細胞数を測定した。結果は第5表に示し
た。
【表】 試験例 6 急性毒性 1群10匹の5週令ddY系雄性マウス(平均体重
23g)にRD−A1を生理食塩液に溶解して体重1
Kgあたり500mgを静脈内投与した。本発明物質は
投与後1週間の観察期間中、体重増加の抑制を示
さず、死亡例もなかつた。この結果から本発明物
質の静脈内投与における50%致死用量LD50は500
mg/Kg以上と考えられる。 試験例 7 抗原性 生理食塩液に溶解したRD−A1を1群6匹のハ
ートレー系雌性モルモツト(平均体重348g)に
1匹あたり1mgずつ、週3回合計6回皮内投与し
て感作した。最終感作日から2週間経過後RD−
A1を生理食塩液に溶解して体重Kgあたり10mgあ
るいは2mgを静脈内投与した。チヤレンジ前後の
モルモツトの行動観察により本発明物質の抗原性
を調べたところ本発明物質は前記投与量では全く
アナフイラキシーシヨツクを誘発しなかつた。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明物質のセフアローズCL−6Bカ
ラムクロマトによる溶出図を、第2図は同物質の
紫外線吸収スペクトルを、第3図は同物質の赤外
線吸収スペクトルを示す。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 加熱変性によつて抗腫瘍活性を有せしめてな
    り、下記の理化学的性質(Na塩による)を示す
    加熱変性デオキシリボ核酸RD−01及びその塩。 (1) 元素分析(%): C:26.18〜31.31 H:4.02〜4.98 N:12.11〜13.89 P:8.13〜9.18 Na:3.02〜4.28 (2) 分子量:3万〜100万 蛋白質をマーカーとし、セフアロースCL−
    6Bを用いたゲル濾過法によれば22万付近をピ
    ークとして3万〜100万に分布する。 (3) 融点:明確な融点を示さない。 (4) 紫外線吸収スペクトル:中性水溶液は260nm
    付近に吸収極大波長を、また230nm付近に吸収
    極小波長を有する。 (5) 赤外線吸収スペクトル:780cm-1付近、1090
    cm-1付近、1230cm-1付近、1700cm-1付近に核酸
    の特性吸収帯を有する。 (6) 溶剤に対する溶解性:水に可溶、エタノー
    ル、メタノール、エーテル、アセトンに不溶。 (7) 呈色反応 A) オルシノール反応:STS法により分画
    したRNA画分に対して陰性。 B) ジフエニルアミン反応:STS法により
    分画したDNA画分に対して陽性。 C ニンヒドリン反応:本物質10μg/mlの濃
    度で陰性。 D) アンスロン反応:本物質10μg/mlの濃
    度で陰性。 (8) 塩基性、酸性、中性の区別:本物質の水溶液
    のPHは6.5〜7.5である。 (9) 物質の色:白色粉末 (10) 特性:加熱処理によつて可溶性を付与すると
    ともに高い抗腫瘍活性を有せしめ、かつ毒性お
    よび抗原性が極めて低くなつている。 (11) 塩基組成(%): グアニン:33.4 アデニン:17.2 シトシン:32.5 チミン:16.9 (方法は化学分析による) (12) 酵素処理:本物質をデオキシリボヌクレアー
    ゼ(DNase )で処理すると抗腫瘍性が
    なくなるが、リボヌクレアーゼT2(RNaseT2
    の処理では抗腫瘍性は変化しない。 (13) ヒドロキシアパタイトのカラムクロマトグ
    ラフイーにより分析すると1本鎖構造である。 (14) 転移温度(Tm):測定された融解曲線から
    は明確な転移温度Tmは求められない。 2 プロピオニバクテリウム属菌より得られたも
    のである特許請求の範囲第1項記載の加熱変性デ
    オキシリボ核酸RD−01。 3 その破砕物を遠心分離して得られる無細胞抽
    出液から得られる核酸画分を加熱変性することに
    よりRD−01が製造できるプロピオニバクテリウ
    ム属細菌を使用し、その破砕物にこれらの処理を
    行うことを特徴とする抗腫瘍活性を有する加熱変
    性デオキシリボ核酸RD−01の製造法。 4 核酸画分の分離法として無細胞抽出液を有機
    溶剤処理して分離することを特徴とする特許請求
    の範囲第3項記載の製造法。 5 核酸画分の分離法として無細胞抽出液に核酸
    凝集剤を加え、得られる沈澱を水または塩類溶液
    に対して透析した後、その可溶画分から分離する
    ことを特徴とする特許請求の範囲第3項記載の製
    造法。 6 加熱変性を約80゜−120℃で行うことを特徴と
    する特許請求の範囲第3〜5項のいずれか1項に
    記載の製造法。 7 その破砕物を遠心分離して得られる無細胞抽
    出液に核酸凝集剤を加え、得られる沈澱を水また
    は塩類溶液に対して透析した後加熱変性してその
    上清からRD−01を分離することができるプロピ
    オニバクテリウム属細菌を使用し、その破砕物に
    これらの処理を行うことを特徴とする抗腫瘍活性
    を有する加熱変性デオキシリボ核酸RD−01の製
    造法。 8 加熱変性を約80゜−120℃で行うことを特徴と
    する特許請求の範囲第7項に記載の製造法。 9 加熱変性によつて抗腫瘍活性を有せしめてな
    る加熱変性デオキシリボ核酸RD−01を有効成分
    とする抗腫瘍剤。 10 加熱変性デオキシリボ核酸RD−01がプロ
    ピオニバクテリウム属菌より得られたものである
    特許請求の範囲第9項記載の抗腫瘍剤。
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