JPH0366316B2 - - Google Patents

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JPH0366316B2
JPH0366316B2 JP2366981A JP2366981A JPH0366316B2 JP H0366316 B2 JPH0366316 B2 JP H0366316B2 JP 2366981 A JP2366981 A JP 2366981A JP 2366981 A JP2366981 A JP 2366981A JP H0366316 B2 JPH0366316 B2 JP H0366316B2
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heat
nucleic acid
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JP2366981A
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Yoshio Furuya
Hiroshi Yamamoto
Tamotsu Fukuda
Shizuo Shimada
Osamu Yano
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Mitsui Toatsu Chemicals Inc
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Mitsui Toatsu Chemicals Inc
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Publication date
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Description

【発明の詳細な説明】
本発明は、ミコバクテリウム属細菌から得られ
る抗腫瘍活性を有する加熱変性デオキシリボ核酸
MD−011に関する。 結核菌が強い抗腫瘍活性およびアジユバント活
性を有することはすでに良く知られており、それ
らの活性を示す菌体成分についても追求されてき
た。その結果、細胞壁由来の物質としては細胞
壁,細胞壁骨格,水溶性アジユバント,ワツクス
D等が、また菌体内由来の物質としては、アラビ
ノマンナン,RNA等が活性画分として報告され
ている。 本発明者等は、かねてより結核菌体由来の抗腫
瘍活性物質を追求してきたが、その過程において
結核菌の変性デオキシリボ核酸が宿主介在性の高
い抗腫瘍活性を有することを初めて見出した。 すなわち本発明者等は結核菌の各種成分の抗腫
瘍活性を系統的に調べたところ、結核菌の無細胞
抽出液が高い抗腫瘍活性を示すこと、さらに活性
画分は核酸凝集剤によつて沈渣として無細胞抽出
液から回収されること、また、この沈渣を加熱す
ることにより抗腫瘍活性は失活せず、むしろ上昇
することから、本発明者等は、結核菌の無細胞抽
出液から核酸凝集剤によつて回収される抗腫瘍活
性物質を加熱した後、沈澱法あるいは、カラムグ
ロマトグラフイーあるいは電気泳動法等によりさ
らに精製したところ抗腫瘍活性物質は、加熱変性
したデオキシリボ核酸であることを見出し、本物
質を加熱変性デオキシリボ核酸MD−011と命名
し、本発明を完成するに至つた。以下、本物質を
単に加熱変性デオキシリボ核酸、デオキシリボ核
酸、本物質と称することが多い。 結核菌由来の核酸の抗腫瘍活性については、現
在までにユーマンス等によるリボ核酸に関する報
告(Infection and Immunity 14,929,1976)
のみでありデオキシリボ核酸に関する報告はいま
だみられない。 動物細胞由来のデオキシリボ核酸の抗腫瘍作用
に関する報告は、1965年頃(Science149,997,
1965)より散見されるが、それらの抗腫瘍活性は
低く、かつ種特異性を有し、加熱によつて抗腫瘍
活性は消失する場合が多い。その作用機構は腫瘍
細胞の代謝あるいは遺伝的な制御を変えることに
より腫瘍細胞を死に至らしめる作用、即ち、腫瘍
細胞に対する直接傷害作用と考えられた。
(Cancer reserch 27,2342,1967,
Proceedings of the National Academy of
Science 61,207,1968) しかるに本発明者等は本発明物質の抗腫瘍スペ
クトルを調べたところ、後に示すようにモルモツ
ト同系腫瘍であるライン10へパトーマ、あるいは
マウス同系腫瘍であるIMCカルチノーマ,ルイ
ス.ラング.カルチノーマ(LLC),EL−4白血
病細胞等の腫瘍系に対して本発明物質は原料の菌
体におとらず高い抗腫瘍活性を示し、しかも本発
明物質の毒性および抗原性は極めて低いことが判
明した。また本発明物質を試験管内で腫瘍細胞と
培養しても細胞増殖抑制作用はほとんどみられな
いことから、本発明物質は宿主の免疫反応を介し
て抗腫瘍作用を示すと考えられる。 さらに本発明物質の免疫学的活性を種々検討し
たところ、本発明物質はキラーT細胞増強効果お
よびマクロフアージ活性化作用の他に高水準のナ
チユラルキラー細胞活性増強作用を示した。加熱
変性デオキシリボ核酸によるナチユラルキラー細
胞の活性増強作用は本発明者等によつて初めて見
出されたものであり、この活性増強作用が少くと
も本発明物質の抗腫瘍作用機構の有力な一つの根
拠を提示していると考えられる。 また本発明者等は本発明物質による正常細胞お
よび腫瘍細胞の形質転換能を調べたが、後に示す
ように試験した条件下では本発明物質による正常
および腫瘍細胞の形質転換はみられないこと、お
よび本発明物質が動物細胞とは分類学的に極めて
遠い微生物に由来することおよび本発明物質は、
加熱により変性したデオキシリボ核酸であること
からその可能性は極めて低いと考えられる。 以上の種々の知見にもとずいて本発明者等は以
下に示すところの発明を完成するに至つたもので
ある。 すなわち本発明は、加熱変性によつて抗腫瘍活
性を有せしめてなる加熱変性デオキシリボ核酸
MD−011及びその塩に関し、更に詳細には、ミ
コバクテリウム属細菌より得られる抗腫瘍活性を
有する加熱変性デオキシリボ核酸MD−011に関
し、そして、その製法及び抗腫瘍剤に関するもの
である。 さらに本発明はミコバクテリウム属細菌破砕物
を遠心分離して得られる核酸画分を加熱すること
を特徴とする抗腫瘍活性を有する加熱変性デオキ
シリボ核酸MD−011の製造法に関するものであ
る。 さらに本発明は核酸画分の分離法として無細胞
抽出液に核酸凝集剤を加え、得られる沈澱の可溶
画分から分離することを特徴とする抗腫瘍活性を
有する加熱変性デオキシリボ核酸MD−011の製
造法に関するものである。 さらに本発明は核酸画分の分離法として無細胞
抽出液に核酸凝集剤を加え、得られる沈澱を水ま
たは塩類溶液に対して透析した後加熱し、その上
清から分離することを特徴とする抗腫瘍活性を有
る加熱変性デオキシリボ核酸MD−011の製造法
に関するものである。 さらに本発明は、デオキシリボ核酸含有物を約
80〜120℃に加熱して、抗腫瘍性を有せしめるこ
とを特徴とする抗腫瘍活性を有する加熱変性デオ
キシリボ核酸MD−011の製造法である。 さらに本発明は、加熱変性によつて抗腫瘍活性
を有せしめてなる加熱変性デオキシリボ核酸MD
−011を有効成分とする抗腫瘍剤である。 本発明に用いられる微生物は、ミコバクテリウ
ム属に属する細菌であるが、好適なものとして
は、ウシ型結核菌(Mycobacterium bovis
BCG,ATCC 19015),ヒト型結核菌
(Mycobacteriumtuberculosis H37Ra
ATCC25177),恥垢菌(Mycobacterium
smegmatis ATCC 607)などが挙げられる。 微生物の培養方法や菌体の破砕方法は、通常の
方法に従つてよい。たとえばウシ型結核菌の場合
はソートン培地あるいは肉エキスグリセリン培地
などを用いて37℃程度の温度で1〜8週間静置培
養することにより良好な培養物が得られ、これを
遠心分離または過して菌体を得ることが出来
る。得られた菌体を水、好ましくは適当な緩衝液
と充分混合し、氷冷しながらダイノミル
(DynoMill)あるいはフレンチ(French)プレ
スなどにより菌体を破砕して破砕菌体懸濁液を得
る。この懸濁液を遠心して無細胞抽出液を得る
が、このときの遠心分離の条件は、未破砕菌体,
部分的に破砕された菌体,細胞壁画分等を沈渣と
して除去出来る通常の遠心力で良く、たとえば
5000xg、10分間以上遠心してその上清を取得す
る。 本発明における無細胞抽出液とは、破砕菌体懸
濁液から遠心分離により、未破砕菌体、部分的に
破砕された菌体、細胞壁画分等を出来るだけ除い
た画分のことである。 無細胞抽出液から核酸画分を得るには、無細胞
抽出液を直接有機溶剤処理して核酸画分を得る方
法(例えばマーマー(Marmur)法やフエノール
法等、以下直接有機溶剤法と称する)と無細胞抽
出液に核酸凝集剤を加えて核酸画分を含む沈澱を
得る方法が適用可能である。 直接有機溶剤法は小量規模(通常1g以下)の
本発明物質を得るのに適した方法であり、得られ
る核酸画分(以下D核酸画分と称する)は、通常
抗原性を有する多糖や蛋白等の不純物を含有する
ので密度勾配遠心法等により不純物を出来るだけ
除去した後得られる精製デオキシリボ核酸画分を
加熱処理して本発明物質を得るか、あるいはD核
酸画分をまず加熱処理した後遠心法や沈澱法等に
よつて不純物を除去して本発明物質を得る。 D核酸画分や精製デオキシリボ核酸画分の加熱
処理条件は、後述の調製法と共通するので、後に
詳しく述べる。 本発明における加熱の目的は本発明物質の分子
量分布を調節し、不純物の除去効率を高め、製剤
化を容易にし、用時の溶解性を高め、抗腫瘍活性
が高く、かつ、毒性、副作用の低い本発明物質を
得ることである。 無細胞抽出液に核酸凝集剤を加えて核酸画分を
沈澱させる方法は、核酸画分を濃縮出来るので大
量規模の本発明物質を得るのに適した方法であ
る。 この方法において用いられる核酸凝集剤は通常
の核酸凝集剤のいずれも使用可能であるが、後の
工程で用いた凝集剤を簡便に除去出来るという意
味で、低分子凝集剤が好ましい。その好適な例と
しては、塩化カルシウム,塩化マンガン,塩化マ
グネシウム,硫酸アルミニウム等の多価金属陽イ
オンあるいはストレプトマイシン,カナマイシン
等の水溶性塩基性抗生物質またはその塩等が挙げ
られる。核酸凝集剤の使用量はその種類により適
宜選択出来るが、たとえば多価金属陽イオンでは
0.1〜10%、好ましくは0.1〜3%、抗生物質では
0.01〜10%、好ましくは0.1〜1%を抽出液に対
して使用するのが適当である。 操作としては無細胞抽出液に核酸凝集剤を加
え、生成した沈澱を遠心あるいは過等の方法に
より分離して核酸画分を含む懸濁液を得る。この
懸濁液より核酸凝集剤を除くには透析が適当であ
る。その際に使用する水性溶媒は、核酸凝集剤の
除去効率を高めるために適当なイオン強度を有す
る、PHが中性附近の緩衝液が好ましい。たとえば
好適なものとしては0.1〜1M NaCl含有リン酸緩
衝液,0.1〜1M KClクエン酸緩衝液,0.1〜1M
NaCl含有炭酸ナトリウム緩衝液,0.1〜1M
NaCl含有トリス塩酸緩衝液等が挙げられる。 核酸画分を含む懸濁液を含塩緩衝液に対して透
析した後要すればさらに水に対して透析して塩類
を除く。透析済みの核酸画分を含む懸濁液を以下
N−1画分と称する。N−1画分を得る操作は、
全て冷却下で行ない、核酸画分の不必要な分解、
変性を防止する。冷却温度は0ないし10℃が好ま
しい。 N−1画分から本発明物質を得るには2つの方
法が可能である。1つの方法は、N−1画分から
核酸画分を分離した後、得られた核酸画分を加熱
して本発明物質を得る方法であり、もう一つの方
法はN−1画分を加熱処理した後本発明物質を分
離する方法である。 前者の方法においては、まず、N−1画分の含
有物濃度と水性溶媒のPHや塩濃度等を調節した
後、遠心分離または、過等の方法によりN−1
画分からデオキシリボ核酸を含む可溶画分を分離
する。この可溶画分から沈澱法あるいはカラムク
ロマト法あるいは電気泳動法等の方法によりデオ
キシリボ核酸画分を分離して、加熱処理すれば本
発明物質が得られる。N−1画分から可溶画分を
分離する際の好適なN−1画分の濃度は1〜15
mg/mlである。水性溶媒のPHは中性附近が好まし
く、通常酸あるいは塩基であるいは緩衝液でPH5
から8の範囲に調節する。水性溶媒のイオン強度
は、遠心分離等の際の沈澱の除去効率に影響を与
え、通常0.1以上が好ましく、要すれば食塩ある
いは塩化カリウム等を加えてイオン強度を調節し
ても良い。 このように調節したN−1画分を通常20000xg
で5分間以上遠心分離すると、核酸画分を含む清
澄な可溶画分がその上清として得られる。この上
清からストレプトマイシンあるいは塩化マンガン
あるいはセチルトリメチルアンモニウムブロミド
等を用いる沈澱法あるいはセフアローズ等を用い
るカラムクロマト法あるいは塩化ビニル−酢酸ビ
ニル共重合体等を用いる電気泳動法等によりデオ
キシリボ核酸画分を分離することが出来る。以上
の操作は全て0〜10℃で行うのが好ましい。この
ようにして得られたデオキシリボ核酸画分を加熱
処理すれば本発明物質が得られるが、加熱条件は
後者の方法と共通するので後に詳述する。 後者の方法では、まずN−1画分を加熱する
が、この加熱操作は核酸画分の適切な変性を行な
うことおよび不純物を変性させ以後の本発明物質
の分離操作を容易にすることを目的とする。加熱
条件は後に示すように本発明物質の抗腫瘍活性に
も密接に関連しており、適切な条件範囲が存在す
る。加熱の要因としては、加熱時の溶質の濃度、
水性溶媒の種類とPH、イオン強度、加熱温度、加
熱時間が挙げられ、適切な条件範囲は次のとおり
である。 溶質の濃度は1〜15mg/mlが適切である。水性
溶媒が水あるいは食塩等の含塩水(イオン強度が
0.1〜0.5)の場合は80℃ないし120℃で5分間な
いし120分間、水性溶媒が緩衝液の場合は緩衝液
のPHによつて大きく影響され、中性附近のPHでは
加熱温度は高く、加熱時間も長くし、酸性あるい
はアルカリ性では、加熱温度は低く、加熱時間も
短くするのが好ましい。 以上のごとく、適切な加熱条件を選ぶことによ
り後に示すように本発明の目的とする抗腫瘍活性
が高く、かつ抗原性の低い加熱変性デオキシリボ
核酸を含む懸濁液を得ることが出来る。 ここに示した加熱条件は本発明物質調製法の重
要な要因であり、本明細書で示したいずれの調製
法にも適用可能である。 このようにしてN−1画分を加熱した後冷却
し、遠心または過等の方法により沈渣を除け
ば、本発明物質を含む清澄な溶液を得る。この溶
液から本発明物質を分離するのは容易であり、通
常の方法によつて可能である。その適切な例とし
ては、核酸凝集剤による沈澱法,有機溶媒による
分画法,カラムクロマト法,電気泳動法等が挙げ
られる。これらの方法によつて得られた本発明物
質は、そのまま製剤の原体として使用するか、あ
るいは凍結乾燥して乾燥粉末にすることも可能で
あり、さらに要すれば本発明物質を含む溶液を除
蛋白処理等を行なつて本発明物質を精製する。 本発明物質はその理化学的性質から明らかなよ
うに加熱によつて変性したデオキシリボ核酸であ
るが、その含量は、本発明物質凍結乾燥物中の60
〜100%を占める。この含量は調製法,分析法に
よつて変化するが本明細書に示したいずれの調製
法によつて得られる本発明物質においても加熱変
性デオキシリボ核酸が主成分であることは変わら
ない。本発明物質中のデオキシリボ核酸の分子量
は約3万から100万の間に分布し、グアニン,シ
トシン(GC)含量は約60%である。本発明物質
の転移温度Tmは、明確な値を示さず本発明物質
が変性されたデオキシリボ核酸であることを意味
する。 本明細書に示した方法によつて得られる物質の
なかには、加熱変性デオキシリボ核酸以外に、リ
ボ核酸,蛋白,糖等を含むものもあるが、いずれ
も混入物と言える程度であり、それぞれの含量は
リボ核酸が30%以下,蛋白が10%以下,中性糖が
10%以下である。これらはさらに精製して除くこ
とが出来る。 次に実施例12において精製して得られたC−B
−16について理化学的性質を調べ、その結果を示
す。なお、実施例10で得られたC−B−14及び実
施例11で得られたC−B−15のそれぞれの精製品
についても同様の理化学的性質を示している。 本物質、加熱変性デオキシリボ核酸MD−011
の理化学的性質(Na塩による): (1) 元素分析(%):C:25.57〜29.75 H:3.80
〜4.75 N:12.67〜13.47 P:7.30〜7.91 Na:
8.12〜11.59 (2) 分子量:3万〜100万 分子量分布図は第1図に示す通り。 (3) 融点:明確な融点を示さない。 (4) 紫外線吸収スペクトル:第2図に示す通り。 (5) 赤外線吸収スペクトル:第3図に示す通り。 (6) 溶剤に対する溶解性:水に可溶、エタノー
ル,メタノール,エーテル,アセトンに不溶。 (7) 呈色反応 A オルシノール反応:STS法により分画し
たRNA画分に対して陰性。 B ジフエニルアミン反応:STS法により分
画したDNA画分に対して陽性。 C ニンヒドリン反応:本物質10μg/mlの濃
度で陰性。 D アンスロン反応:本物質10μg/mlの濃度
で陰性。 (8) 塩基性,酸性,中性の区別:本物質の水溶液
のPHは6.5〜7.5である。 (9) 物質の色:白色粉末 (10) 特性:加熱処理によつて抗腫瘍性を付与され
ている。 (11) 塩基組成(%):グアニン:30.4 アデニ
ン:16.9シトシン:30.8 チミン:21.9(方法は
化学分析による) (12) 酵素処理:本物質をデオキシリボヌクレアー
ゼI(DNaseI)で処理すると抗腫瘍性がなく
なるが、リボヌクレアーゼT2(RNaseT2)の
処理では抗腫瘍性は変化しない。 (13) 転移温度(Tm):測定された融解曲線から
は明確な転移温度Tmは求められない。 本発明物質が示す抗腫瘍活性の本体が、加熱変
性デオキシリボ核酸であることは、本発明物質を
デオキシリボ核酸分解酵素(DNaseI)で処理す
ると抗腫瘍活性がなくなること、本発明物質をリ
ボ核酸分解酵素(RNaseT2)で処理しても抗腫
瘍活性が変化しないことから明らかである。 本発明物質を抗腫瘍剤として用いる場合は、注
射剤の型で用いるのが好ましい。本発明物質は、
単独であるいは通常用いられる添加剤,賦型剤を
加えて液剤、あるいは同時溶解型の凍結乾燥製剤
として適用可能である。 また本発明物質は水中油滴型あるいは油中水滴
型のエマルジヨンとしても適用可能である。 本発明物質の使用量,投与経路は適宜選択され
るが使用量は体重Kgあたり0.01ないし100mgが好
ましく、投与経路は皮内,皮下,静脈内,腹腔内
投与や腫瘍内投与が行なわれる。 本発明物質はモルモツトやマウスの種々の腫瘍
系に対して高い抗腫瘍作用を示す。例えばマウス
の同系腫瘍であるIMCカルチノーマ,ルイス.
ラング.カルチノーマ(LLC),EL−4白血病細
胞,P−815マストサイトーマ等に対して本発明
物質は生理食塩液に溶解した型で腫瘍細胞と接触
させた後、動物体内に移植することによる腫瘍の
生着抑制(サプレツシヨン活性)あるいは動物体
内に生着した腫瘍組織内に投与することによる抗
腫瘍活性(リグレツシヨン活性)において原料で
ある菌体と同等か、あるいはそれよりも高い抗腫
瘍活性を示した。また、モルモツトの同系腫瘍で
あるライン10に対しては、油中水滴型の本発明物
質の腫瘍内投与により、本発明物質は、原発腫瘍
の増殖抑制だけでなく、所属リンパ節への腫瘍の
転移も抑制した。 さらに本発明物質は、生理食塩液に溶解して腫
瘍組織とは異る場所に投与することによつても
IMCカルチノーマに対して抗腫瘍作用を示した。 本発明物質の急性毒性はマウスに対する静脈内
投与による体重Kgあたりの50%致死量LD50値が
1g以上であることから、極めて低い。 また本発明物質の抗原性についても、モルモツ
トを用いたアナフイラキシー試験,遅延型アレル
ギー試験によつて、本発明物質が極めて安全であ
ることが判明した。 その他本発明物質の発熱性,疼痛性,起炎性,
肉芽形成性等も原料菌体に比較し、極めて低く、
通常の医薬としての適用には問題にならない程度
であることが、種々の試験により判明した。 各種の腫瘍細胞に対する本発明物質の細胞増殖
抑制作用を調べたところ、本発明物質は、ほとん
ど細胞増殖抑制作用を示さなかつた。このことか
ら本発明物質は宿主の免疫反応を介して抗腫瘍作
用を示すと考えられので本発明物質の免疫学的活
性を種々検討した。その結果、本発明物質はマウ
スのキラーT細胞増強効果、およびマクロフアー
ジ活性化作用の他にナチユラルキラー細胞活性増
強作用を示した。 さらに本発明者等は本発明物質が加熱によつて
変性されているが、遺伝因子であるデオキシリボ
核酸であることを考慮して本発明物質による正常
および腫瘍細胞の形質転換能を調べたが、後に示
す結果から本発明物質による形質転換の可能性は
極めて低いと考えられる。 以上の種々の知見から本発明物質は抗腫瘍剤と
して極めて有用なものと考えられる。 以下に本発明物質の製造法を実施例により、ま
た、本発明物質の抗腫瘍剤としての有用性を試験
例により示す。 実施例 1 マーマー法による本発明物質の造: グリセリン 50ml クエン酸 2g 肉エキス 15g クエン酸アンモニウム 0.05g K2HPO4 1g MgSO4・7H2O 1g 水を加えて1にし、PH7.0〜7.2に調節する。 Mycobacterium bovis BCG,ATCC19015を
上記組成の肉エキスグリセリン培地で37℃で3週
間静置培養し、培養液を遠心分離処理して得た湿
菌体500gを7倍量の10mMリン酸緩衝液に懸濁
した後氷冷下ダイノミルで破砕し、20000xgで20
分間遠心して無細胞抽出液を得た。この抽出液か
らマーマー(Marmur,Journal of Molecular
Biology,208,1961)法により粗デオキシリ
ボ核酸画分を得た。この画分をセフアローズ6B
(Pharmacia Fine Chemicals製)カラムに負荷
して排除容量画分として得られるデオキシリボ核
酸画分を濃縮後セシウムクロリドを用いた密度勾
配遠心法により精製して精製デオキシリボ核酸画
分を得た。この画分を透析した後最終濃度が0.9
%になるように食塩を加え100℃60分間加熱した。
冷却後蒸溜水に対して透析,凍結乾燥して本発明
物質8.4mgを得た。以下このものをB−M−1と
称する。 B−M−1中のデオキシリボ核酸含量(純度)
は、5%過塩素酸で加水分解した後ジフエニルア
ミン法(Biochemical Journal62,315,1956)
により定量したとき93.3%であつた。 実施例 2 ストレプトマイシンを用いて得られる懸濁液の
可溶画分から本発明物質の製造: Mycobacterium bovis BCG,ATCC19015を
実施例1の肉エキスグリセリン培地で37℃で3週
間静置培養し、培養液を遠心処理して得た湿菌体
3.3Kgを7倍量の10mMリン酸緩衝液(PH7.0)に
懸濁した後氷冷下ダイノミルで破砕し、20000xg
で20分間遠心して21の無細胞抽出液を得た。こ
の抽出液にストレプトマイシン硫酸塩63gを加え
て、充分撹拌した後、4℃で一晩静置し、生成し
た沈澱を遠心分離法により集め、0.5M NaCl含
有10mMリン酸緩衝液(PH7.0)に懸濁した。こ
の懸濁液をセロハンチユーブに詰めて同じ緩衝液
に対して透析し、続いて蒸溜水に対して透析して
核酸画分を含む懸濁液8(以下この懸濁液を
NB−1と称する)を得た。この懸濁液の固形物
濃度は、10mg/mlであり乾燥菌体あたり12%の収
率であつた。 次にNB−1200mlに8.1%NaCl溶液200mlを加え
て撹拌した後20000xgで30分間遠心して上清を得
た。この上清に最終濃度が0.4Mになるように食
塩を加えて溶解した後、セチルトリメチルアンモ
ニウムブロミド(以下このものをCTABと称す。
東京化成会社製)を最終濃度が0.2%(w/v)
になるように加えて充分撹拌し室温に30分間静置
した。生成した沈澱を遠心により集め、1M
NaCl液60mlに溶解した後等量のクロロホルム−
イソアミルアルコール(24:1)の混液を加えて
振盪、遠心して水層部分を得た。この操作をさら
に2回くりかえした後得られた水層に3倍量の
99.5%エタノールを加えて撹拌し4℃で1晩静置
した。生成した沈澱を遠心により進め、蒸溜水に
溶解した後蒸溜水に対して透析し、精製核酸溶液
を得た。この溶液に食塩を加えて食塩濃度を0.9
%にした後100℃で60分間加熱し、蒸溜水に対し
て透析,凍結乾燥して、本発明物質93mgを得た。
以下このものをC−B−1と称す。 C−B−1のデオキシリボ核酸の含量は、実施
例1と同様の方法で分析すると95.2%であつた。 実施例 3 恥垢菌由来可溶画分からの本発明物質の製造: Mycobacterium smegmatis,ATCC607を実
施例1の肉エキスグリセリン培地で37℃4週間静
置培養し、培養液を遠心分離処理して得た湿菌体
500gを実施例2と同様に処理して核酸画分を含
む懸濁液1を得、水を加えてこの懸濁液の固形
物濃度を10mg/mlに調節した。このときの収率は
乾燥菌体あたり15%であつた。以下この懸濁液を
NS−1と称する。NS−1を実施例2のNB−1
以下と同様に処理して本発明の物質110mgを得た。
以下このものをC−S−1と称する。 実施例 4 可溶画分からセフアローズを用いたカラムクロ
マトによる本発明物質の製造: 実施例2,3で得たNB−1,NS−1の固形
物濃度を5mg/mlに調節した後105000xgで1時
間遠心して各々の可溶画分を得た。これらの可溶
画分各々50mlを径5cm長さ90cmのセフアローズCl
−6B(Pharmacia Fine Chemicals製)カラムに
負荷し、排除容量画分としてデオキシリボ核酸を
含む画分を得た。これらの画分を水に対して透析
した後100℃60分間加熱して透析,凍結乾燥し、
本発明物質各々190mg,210mgを得た。以下、これ
らのものをC−B−2,C−S−2と称する。 例えばC−B−2のデオキシリボ核酸含量は、
実施例1に示した方法で分析すると85.9%であ
る。 実施例 5 核酸含有懸濁液から加熱上清の製造: 実施例2で得たNB−1を用いて下表の条件下
で加熱した後20000xgで20分間遠心して上清を得
た。この上清を蒸溜水に対して透析した後凍結乾
燥して、本発明物質を含む中間体を得た。
【表】 * 清澄な上清は得られなかつた
実施例 6 種々の沈澱剤による加熱上清からの本発明物質
の製造: 実施例2で得られたNB−1,1に1.8%食塩
水1を加えて充分撹拌した後100℃60分間加熱
し、10000xgで20分間遠心して上清(以下この上
清をS−3と称す)を得た。この上清に第2表に
示す種々の沈澱剤を加えて撹拌した後室温に30分
間静置して生成した沈澱を遠心により集めた。こ
の沈澱を要すれば少量のアルカリを加えて蒸溜水
に溶解した後蒸溜水に対して透析し、そのまま凍
結乾燥するかあるいは実施例2と同様に有機溶剤
処理した後透析、凍結乾燥した。
【表】 実施例 7 電気泳動法による加熱上清から本発明物質の製
造: 実施例6で得たS−3を蒸溜水に対して透析し
た後凍結乾燥したもの44mgを0.05Mホウ酸緩衝液
(PH7.4)に溶解し、塩化ビニル−酢酸ビニル共重
合体(BDH Chemicals製)を担体として冷却し
ながら電気泳動した。泳動後幅1cmのブロツクと
して共重合体を切り出し0.1M食塩水で溶出して、
260nmにおける紫外吸収を示す画分を集め、蒸溜
水に対して透析,凍結乾燥して本発明物質19mgを
得た。以下このものをC−B−12と称す。 実施例 8 イオン交換樹脂法による加熱上清から本発明物
質の製造: 実施例6で得たS−3を蒸溜水に対して透析し
た後その20mlを径2.2cm長さ5.2cmのリジンセフア
ロース(Pharmacia Fine Chemicals製)カラム
に負荷した後0.1M NaCl含有0.15Mトリス塩酸緩
衝液(PH7.6)でカラムを充分洗滌し、次に
0.15M NaCl含有同緩衝液で溶出して得られる画
分を蒸溜水に対して透析,凍結乾燥して本発明物
質9mgを得た。 実施例 9 BCG菌由来加熱上清からのCTABを用いた本
発明物質の製造: 実施例2で得たNB−1,1に等量の1.8%食
塩水を加えて撹拌した後100℃で60分間加熱した。
冷却後この懸濁液を10000xgで20分間遠心して得
られる上清に最終濃度が0.4Mになるように食塩
を加えて撹拌した後、CTABを0.2%(w/v)
になるように加えて充分撹拌し、次いで室温で30
分間静置した。生成した沈澱を遠心分離により集
め、400mlの1M食塩水に溶解した。この溶液を実
施例2と同様に有機溶媒処理、エタノール沈澱処
理した後、蒸溜水に対して透析、凍結乾燥して本
発明物質1.04gを得た。以下このものをC−B−
13と称す。 C−B−13のデオキシリボ核酸含量は、実施例
1と同様の方法で分析すると86.6%である。 実施例 10 恥垢菌由来加熱上清からCTABを用いた本発
明物質の製造: 実施例3で得られたNS−1500mlに等容の1.8%
食塩水を加えて撹拌した後、実施例9と同様に処
理して本発明物質0.68gを得た。以下このものを
C−B−14と称す。 実施例 11 人型菌由来加熱上清から本発明物質の製造: グリセリン 50ml クエン酸 2g L−アスパラギン酸 2g クエン酸鉄アンモニウム 0.05g K2HPO4 1g MgSO4・7H2O 1g ZnSO4・7H2O 0.01g CaCl2・2H2O 0.5mg CuSO4・5H2O 0.1mg 水を加え1にし、PH7.0〜7.2に調節する。 Mycobacterium tuberculosis H37Ra,
ATCC25177を上記組成のソートン変法培地で37
℃で4週間培養して得た培養物に最終濃度が5%
になるようにフエノールを加えて撹拌し、1晩静
置した後遠心して湿菌体を集め生理食塩水で洗滌
した。この湿菌体100gを実施例2のNB−1を
得るまでと同様に処理して核酸画分を含む懸濁液
200mlを得た。この懸濁液の固形物濃度を10mg/
mlに調節した後実施例9と同様に処理して本発明
物質310mgを得た。以下このものをC−B−15と
称す。 C−B−15のデオキシリボ核酸含量は、実施例
1の方法で分析すると80.9%であつた。 実施例 12 BCG菌由来加熱上清からCTABおよびリボヌ
クレアーゼを用いた本発明物質の製造: 実施例9で得たC−B−13,94mgを0.05M酢酸
緩衝液(PH4.5)10mlに溶解した後、同緩衝液2
mlに溶解したリボヌクレアーゼT2(Sankyo co.
製)200Uを添加し、37℃で22時間反応させた。
反応液に等量のクロロホルム−イソアミルアルコ
ール(24:1)の混液を加えて振盪,遠心して水
層部分を得た。水層全量を0.05M炭酸水素アンモ
ニウム液であらかじめ洗浄した径2.5cm,長さ90
cmのセフアデツクスG100(Pharmacia Fine
Chemicals製)カラムに負荷し、同液で溶出した
後、最初に溶出してくる画分としてデオキシリボ
核酸を含む画分を得た。この画分を水に対して透
析した後、水酸化ナトリウムで中和後凍結乾燥し
て本発明物質67mgを得た。以下、このものをC−
B−16と称する。 C−B−16のデオキシリボ核酸含量は実施例1
と同様の方法で分析すると96.5%である。 実施例 13 液剤: C−B−13,10mgを10mlのPBSマイナス液
(栄研化学社製)に溶解し、ニユクリポアーN020
(Nuclepore社製)を用いて無菌過した。得ら
れた液を1.5mlずつバイアル瓶に無菌的に分注
して本発明物質の液剤を得た。 実施例 14 凍結乾燥製剤: C−B−13,10mgを10mlの注射用蒸溜水に溶解
し、次に500mgのマルトースを加えて溶解した後
ニユクリポアーN020を用いて無菌過した。得
られた液を1mlずつ無菌的にバイアル瓶に分注
した後凍結乾燥して本発明物質の凍結乾燥製剤を
得た。 実施例 15 エマルジヨン剤: C−B−13,4mgを0.5mlの生理食塩液に溶解
し、次にドラケオール6−VR(Drakeol6−VR,
Pensilvania Refining Company製)とアラシー
ルA(ArlacelA,Atlas Chemical Industries製)
の8.5:1.5の混液0.5mlを加えて連結注射針を用い
て油中水型のエマルジヨンを得た。 試験例 1 マウスIMCカルチノーマに対する抗腫瘍作
用: 本発明物質のマウスIMCカルチノーマに対す
る抗腫瘍作用を調べた。 試験系は次のとおりである。 CDF1系雌性マウスの皮内に5×105個のIMCカ
ルチノーマ細胞を移植し、移植後1日目から隔日
に計6回、実施例12の方法で調製した製剤を1回
あたり0.1mlずつ、腫瘍内に投与した。移植後35
日目に腫瘍を摘出し、その重量を測定した結果は
第3表のとおりであつた。
【表】
【表】 後述の検定を含めて平均腫瘍重量および治癒例
数の出現頻度の有意差検定にはスチユーデントの
t検定法(Student′s t−test)とフイツシヤー
の検定法(Fischer′s test)をそれぞれ用いた。
T/Cは対照群の平均腫瘍重量に対する投与群の
平均腫瘍重量のパーセント比である。BCGは
BCGワクチン(日本ビーシージー会社製)を用
いた。対照としては生理食塩液を用いた。 試験例 2 加熱上清の抗腫瘍作用: 核酸画分を含む懸濁液を種々の条件下で加熱し
て得られる上清の抗腫瘍活性を調べた。 試験系は次のとおりである。 1×107個/mlのIMCカルチノーマ細胞を浮遊
したハンクス液0.5mlとサンプルを2mg/mlの濃
度で溶解した生理食塩液0.5mlを混ぜ合わせた後
その0.1mlをCDF1系雌性マウスの皮内に移植し
た。移植後25日目に腫瘍を摘出し、その重量を測
定した。なお対照としては生理食塩液のみを用い
て同様に処理した。また1群10匹のマウスを用い
て試験した。結果は第4表に示した。
【表】
【表】 試験例 3 加熱上清から各種沈澱剤によつて得られた本発
明物質の抗腫瘍作用: 加熱上清から各種沈澱剤によつて得られた本発
明物質のIMCカルチノーマに対する抗腫瘍作用
を調べた。 試験は、試験例2と同様に行い、第5表に示す
結果を得た。
【表】
【表】 試験例 4 マウス、ルイス.ラング.カルチノーマに対す
る抗腫瘍作用: 本発明物質のマウス、ルイス.ラング.カルチ
ノーマに対する抗腫瘍作用を調べた。 試験系は次のとおりである。 C57BL/6系雌性マウスの皮内に5×105個の
ルイス.ラング.カルチノーマ(Lewis Lung
Carcinoma)細胞を移植し、移植後1,4,8,
11,15,18日目に実施例13の方法で調製した製剤
を1回あたり0.1mlずつ腫瘍内に投与した。移植
後26日目に腫瘍を摘出し、その重量を測定すると
ともに、肺における転移巣の数も調べた。 結果は第6表に示した。 対照としては生理食塩液を用い、BCGは、
BCGワクチンを用いた。
【表】 試験例 5 マウスEL−4に対する抗腫瘍作用: 本発明物質のマウスEL−4白血病細胞に対す
る抗腫瘍作用を調べた。 試験系は次のとおりである。 1×106個/mlのEL−4白血病細胞を浮遊した
ハンクス液0.5mlとサンプルを2mg/mlの濃度で
溶解した生理食塩液0.5mlを混合した後その0.1ml
をC57BL/6系雌性マウスの皮内に移植し、移
植後37日目の生存例数を調べた。なお、対照とし
ては生理食塩液のみを用いて同様に処理した。
BCGはBCGワクチンを用いた。 結果は第7表に示した。
【表】
【表】 試験例 6 ストレイン2モルモツトのライン10ヘパトーマ
に対する抗腫瘍作用: 本発明物質のストレイン2モルモツトのライン
10へパトーマに対する抗腫瘍作用を調べた。 1×106個のライン(line)10へパトーマ腫瘍
細胞をストレイン(strain)2モルモツトの皮内
に移植し、移植後7日目に実施例15に示した方法
で調製した製剤0.1mlを腫瘍内に投与した。移植
後80日目に生存例数,治癒例数,所属リンパ節へ
の転移の有無を調べた。対照としては生理食塩液
を用いて同様に調製したものを用いた。 結果は第8表に示した。
【表】 試験例 7 核酸分解酵素処理物の抗腫瘍作用: 本発明物質を核酸分解酵素で処理することによ
り本発明物質の抗腫瘍活性の本体を調べた。 試験法は次のとおりである。 C−B−13をデオキシリボ核酸分解酵素
DNaseI(Sigma Chemicals製)あるいはリボ核
酸分解酵素RNaseT2(Sigma Chemicals製)で
処理した後得られた分解物をクロロホルム処理し
てDNaseIあるいはRNaseT2を除き、次にセフア
デツクスG10(Farmacia Fine Chemicals製)カ
ラムにより脱塩,凍結乾燥して、本発明物質の核
酸分解酵素処理物を得た。得られた処理物の抗腫
瘍活性を試験例1と同様に試験し、第9表に示す
結果を得た。
【表】 T/Cは対照群の平均腫瘍重量に対する投与群
の平均腫瘍重量のパーセント比である。 対照としては生理食塩液を用い、BCGはBCG
ワクチンを用いた。 試験例 8 ナチユラルキラー(NK)細胞の活性増強作
用: 本発明物質のNK細胞に対する活性増強作用を
調べた。 試験法は次のとおりである。 生理食塩液、C−B−13又はC−B−16の生理
食塩液溶解液(1mg/ml)を8週令のC57BL/6
系雌性マウスに一匹あたり0.3ml腹腔内投与して
その48時間後に腹腔浸出細胞を採取した。採取液
中の細胞数を10%牛胎児血清添加RPMI1640培地
で2×106個/mlに調整した後プラスチツクシヤ
ーレに移して37℃、5%炭酸ガス大気下で90分間
インキユベートし、シヤーレに付着性細胞,非付
着性の細胞を得た。各々の細胞5×105個と51Cr
で標識したマウス白血病細胞YAC−1、1×104
個を37℃、5%炭酸ガス大気下で10%牛胎児血清
添加RPMI1640培地を用いて4時間培養した。そ
の培養上清に遊離された51Crの放射能をオートガ
ンマーカウンター(Packard製)で測定し、腹腔
浸出細胞のYAC−1細胞に対する細胞障害作用
を調べた。
【表】 試験例 9 細胞増殖直接阻害作用 本発明物質のYAC−1マウス白血病細胞と
FM3Aマウス乳癌細胞の細胞増殖に対する直接阻
害作用を調べた。 試験系は次のとおりである。 8.4××104個のYAC−1細胞と15.4×104個の
FM3A細胞をそれぞれ10%牛胎児血清添加
RPMI1640培地に浮遊せしめ、37℃、5%炭酸ガ
ス大気下で24時間培養後C−B−13を1mg/mlの
最終濃度に加え、同じ条件下でさらに培養を継続
した。培養開始後24時間目毎にトリパンブルー染
色により生細胞数を測定した。結果は第11表に示
した。
【表】 試験例 10 急性毒性: 1群10匹の5週令ddY系雄性マウス(平均体重
23g)にC−B−13を生理食塩液に溶解して体重
1Kgあたり1gを静脈内投与した。本発明物質は
投与後1週間の観察期間中、体重増加の抑制を示
さず、死亡例もなかつた。この結果から本発明物
質の静脈内投与における50%致死用量LD50は1
g/Kg以上と考えられる。 試験例 11 抗原性: 生理食塩液に溶解したC−B−13を1群6匹の
ハートレー系雌性モルモツト(平均体重350g)
に1匹あたり1mgずつ、週3回合計6回皮内投与
して感作した。最終感作日から2週間経過後C−
B−13を生理食塩液に溶解して体重Kgあたり10mg
あるいは2mgを静脈内投与した。チヤレンジ前後
のモルモツトの行動観察により本発明物質の抗原
性を調べたところ本発明物質は前記投与量では全
くアナフイラキシ−シヨツクを誘発しなかつた。 試験例 12 マウス正常細胞の増殖形態に及ぼす作用: 本発明物質の培養正常細胞の増殖形態に及ぼす
作用をマウス胎児の皮膚・筋肉由来細胞(繊維芽
細胞)の第2代培養細胞を用いて調べた。 生後10週令で交配させ、妊娠したSHN系雌性
マウスの同腹胎児6頭(19日令)より得た皮膚お
よび筋肉部の初代培養細胞の単層培養をトリプシ
ナイゼーシヨンして牛胎児血清10%添加
RPMI1640培地(以下RPMI培地と略記)1ml当
り生細胞数6.2×104個に調整し、37℃、5%炭酸
ガス大気中で第2代培養を行なつた。培養5時間
後に新鮮なRPMI培地(対照群)とC−B−13を
500μg/mlおよび50μg/mlの濃度で含むRPMI
培地(試験群)で培地をそれぞれ置換して15日間
培養を継続した。この間培地を3回交換して、細
胞の増殖態度および形態変化の有無を顕微鏡下で
観察した。その結果、試験群の細胞の増殖態度お
よび形態は対照群と変りなく、異常な細胞は認め
られなかつた。 試験例 13 腫瘍細胞の異物化増強作用: 本発明物質の腫瘍細胞異物化増強の有無を検討
した。即ち、1×105個/mlのYAC−1白血病細
胞あるいはP815マストサイトーマ細胞を本発明
物質(最終濃度1mg/ml)の共存下で48時間培養
し、充分洗滌の後、前者をNK細胞活性、後者を
マクロアージ活性の標的としてそれぞれの非処理
細胞と比較した。 培地はRPMI1640培地、培養条件は37℃、5%
炭酸ガス大気下で行なつた。結果はNK細胞活
性、マクロフアージ活性共に本発明物質処理、非
処理群で活性に差異は認められなかつた。このこ
とから本発明物質による標的腫瘍細胞異物化増強
は無いものと考えられる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明物質のセフアローズカラムクロ
マトによる溶出図を、第2図は同物質の紫外線吸
収スペクトルを、第3図は同物質の赤外線吸収ス
ペクトルを示す。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 加熱変性によつて抗腫瘍活性を有せしめてな
    り、下記の理化学的性質(Na塩による)を示す
    加熱変性デオキシリボ核酸MD−011及びその塩。 (1) 元素分析(%):C:25.57〜29.75 H:3.80〜4.75 N:12.67〜13.47 P:7.30〜7.91 Na:8.12〜11.59 (2) 分子量:蛋白質をマーカーとし、セフアロー
    スCL−6Bを用いたゲルろ過法によれば、25万
    付近をピークとして3万〜100万に分布する。 (3) 融点:明確な融点を示さない。 (4) 紫外線吸収スペクトル:中性水溶液は260nm
    付近に吸収極大波長を、また230nm付近に吸収
    極小波長を有する。 (5) 赤外線吸収スペクトル:780cm-1付近、1090
    cm-1付近、1230cm-1及び1700cm-1付近に核酸の
    特性吸収帯を有する。 (6) 溶剤に対する溶解性:水に可溶、エタノー
    ル、メタノール、エーテル、アセトンに不溶。 (7) 呈色反応 A オルシノール反応:STS法により分画し
    たRNA画分に対して陰性。 B ジフエニルアミン反応:STS法により分
    画したDNA画分に対して陽性。 C ニンヒドリン反応:本物質10μg/mlの濃
    度で陰性。 D アンスロン反応:本物質10μg/mlの濃度
    で陰性。 (8) 塩基性、酸性、中性の区別:本物質の水溶液
    のPHは6.5〜7.5である。 (9) 物質の色:白色粉末 (10) 特性:加熱処理によつて抗腫瘍性を付与され
    ている。 (11) 塩基組成(%):グアニジン:30.4 アデニン:16.9 シトシン:30.8 チミン:21.9(方法は化学分析による) (12) 酵素処理:本物質をデオキシリボヌクレアー
    ゼI(DNase I)で処理すると抗腫瘍性がな
    くなるが、リボヌクレアーゼT2(RNaseT2
    の処理では抗腫瘍性は変化しない。 (13) 転移温度(Tm):測定された融解曲線から
    は明確な転移温度Tmは求められない。 2 ミコバクテリウム属菌より得られたものであ
    る特許請求の範囲第1項記載の加熱変性デオキシ
    リボ核酸MD−011。 3 その破砕物を遠心分離して得られる無細胞抽
    出液から、得られる核酸画分を加熱することによ
    りMD−011が製造出来るミコバクテリウム属細
    菌を使用し、これらの操作を行なうことを特徴と
    する抗腫瘍活性を有する加熱変性デオキシリボ核
    酸MD−011の製造法。 4 核酸画分の分離法として無細胞抽出液を有機
    溶剤処理して分離することを特徴とする特許請求
    の範囲第3項記載の製造法。 5 核酸画分の分離法として無細胞抽出液に核酸
    凝集剤を加え、得られる沈澱を水または塩類溶液
    に対して透析した後、その可溶画分から分離する
    ことを特徴とする特許請求の範囲第3項記載の製
    造法。 6 その破砕物を遠心分離して得られる無細胞抽
    出液に核酸凝集剤を加え、得られる沈澱を水また
    は塩類溶液に対して透析した後加熱変性して、そ
    の上清から分離することによりMD−011が製造
    出来るミコバクテリウム属細菌を使用し、これら
    の操作を行なうことを特徴とする抗腫瘍活性を有
    する加熱変性デオキシリボ核酸MD−011の製造
    法。 7 加熱温度が約80〜120℃である特許請求の範
    囲第3〜6項のいずれかに記載の製造法。 8 加熱変性によつて抗腫瘍活性を有せしめてな
    る加熱変性デオキシリボ核酸MD−011を有効成
    分とする抗腫瘍剤。 9 加熱変性デオキシリボ核酸MD−011がミコ
    バクテリウム属菌より得られたものである特許請
    求の範囲第8項記載の抗腫瘍剤。
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