JPH0367675B2 - - Google Patents
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- JPH0367675B2 JPH0367675B2 JP60174246A JP17424685A JPH0367675B2 JP H0367675 B2 JPH0367675 B2 JP H0367675B2 JP 60174246 A JP60174246 A JP 60174246A JP 17424685 A JP17424685 A JP 17424685A JP H0367675 B2 JPH0367675 B2 JP H0367675B2
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Description
【発明の詳細な説明】
(a) 産業上の利用分野
本発明は、リン脂質とアルコール類を、ホスホ
リパーゼDおよび特定量の水の存在下に反応させ
ることを特徴とするホスフアチジル基転位方法に
関するものであり、この転位反応を利用すること
によつて混合リン脂質の濃縮および新規なリン脂
質誘導体を製造することができる。 (b) 従来の技術 リン脂質は、各種生体から単離、濃縮すること
ができ、また化学的合成法によつても製造は可能
であり、産業的には両方法から製造した製品が利
用されている。しかしながら、前者の方法(生体
からの濃縮)ではかなりの高濃度まで精製するこ
とは可能であるが、単一成分を得ようとすれば溶
剤法、カラムクロマト法などを用いなければなら
ず、このために製造コスト・アツプとなり、また
後者の方法(化学的合成法)では単一成分を製造
することは可能であつても、合成時の熱履歴のた
めに結合脂肪酸およびリン酸エステルが劣化、着
色し、その精製では煩雑かつ、経済的に不利な工
程を採用せざるを得ないのが現状である。 リン脂質を酵素的に変換する試みは従来から研
究が行われている。たとえば、レシチンとエタノ
ールをホスホリパーゼDの存在下に反応させる
と、リン脂質のリン酸−アルコール部のエステル
結合が加水分解されると同時にホスフアチジル基
転移反応により、ホスフアチジルエタノールを生
成することが報告されている(R.M.Dawson、
Biochem.J.、102、205(1967)、S.F.Yang、J.
Biol.Chem.、242、477(1967)など)。また、英
国特許第1581810号には、グリセロリン脂質と水
酸基、ハロゲン、アミノ基、その他の置換基で置
換あるいは非置換の直鎖もしくは分岐のアルキル
基を有する1級アルコールとを、キヤベツ由来の
ホスホリパーゼDを作用させてアルコール転移反
応させる場合、C5未満の1級アルコールでのみ
該反応が起き、C5を越える該アルコールでは主
生成物は対応するホスフアチジン酸であると記載
されている。 更に、これらの他に、微生物由来のホスホリパ
ーゼDは、リン脂質と2級アルコール(特開昭59
−187786)、スフインゴリン脂質と1級アルコー
ル、2級アルコールおよびフエノール配糖体(特
開昭59−187787)との反応でホスフアチジル基転
移反応を起こすことが示されている。 (c) 発明が解決しようとする問題点 しかしなから、かかる従来の反応系では例えば
1%リン脂質乳化液(0.1ml)、0.4M酢酸緩衝液
(0.1ml)、0.1M塩化カルシウム水溶液(0.05ml)、
蒸留水(0.1ml)、10%アルコール溶液(0.1ml)
およびホスホリパーゼD水溶液(0.1ml)の如き
反応組成で反応せしめるものであり、反応系に共
存する水分量は概略80%以上であり、したがつて
基質(リン脂質およびアルコール)重量の約40倍
以上の水を共存させている。これは反応効率の面
からみて、必ずしも満足すべきものではない。 一方、ホスホリパーゼDは古くからキヤベツ、
ホウレンソウ、ニンジン、ダイコンなどの高等植
物、菌体(Streptomyces chromofuscus)、ラツ
ト脳ミクロソームなどに含まれることが知られて
おり、これらがホスフアチジル基転位反応を起こ
すことも知られている(たとえば、Hanahan D.
J.、J.Biol.Chem.、172、191(1948)、Imamura、
S.、J.Biochem.、85、79(1979)など)。またアス
パラガス、ニンジン、トウダイグサ、綿実、コム
ギ、オオムギなどについても同様の反応が推論さ
れている(V.E.Vaskovsky、J.Chromatogr.、
261、324(1983)など)。しかしながら、米ヌカ中
のホスホリパーゼDについてはホスフアチジル基
転移反応を起こすことは知られておらず、さらに
大豆、ナタネ、ヒマワリ、ゴマ由来のホスホリパ
ーゼDについてはその存在が知られていないか、
もしくは知られていても該転移反応について明ら
かになつていない。 本発明の目的は、リン脂質のホスフアチジル基
転位反応を効率よく進行させる方法を提供するこ
とにあり、また従来、かかる転位反応を起こすこ
とが知られていないホスホリパーゼDを用いて上
記反応を行わしめることにある。而して本発明の
方法による反応を利用すれば、従来、生体中から
複雑な抽出、濃縮工程を経て精製していたリン脂
質たとえばホスフアチジルコリン、ホスフアチジ
ルエタノールアミンなどを常温付近、常圧、中性
付近の温和な反応条件下で効率よく高純度、高品
質な状態で製造でき、またリン脂質の新規なアル
コール誘導体を得ることもでき、さらにこれら高
純度リン脂質およびリン脂質誘導体を化学的合成
法に比べて簡易かつ経済的に製造することができ
る。 (d) 問題点を解決するための手段 本発明者らは、鋭意研究の結果、ある特定水分
の存在下に前記の反応を行うと、上記の目的が達
成されることを見い出した。 本発明は、かかる知見に基づいて完成されたも
ので、リン脂質と1級水酸基を有するアルコール
類とをコメおよび大豆を起源とするホスホリパー
ゼDの存在下およびリン脂質とアルコール類の合
計重量と等量またはそれ以下の水の存在下に反応
させることを特徴とするホスフアチジル基転位方
法である。 本発明に用いるリン脂質は、例えば下記式
()および/または()で示されるものであ
る。 【式】 【式】 ただし、該式()および()において、
R1およびR2は同一であつても異なつていてもよ
く、Hであるかまたは炭素数が8〜24の飽和ある
いは不飽和脂肪酸残基であり、 またAは−Hまたは−(CH2)2+ N (CH3)3、 −(CH2)+ N H3、−CH2CH(NH2)COOH、 −CH2CH2N(CH3)2、−CH2CH2NH(CH3)、−
CH2−CH(OH)−CH2(OH)のいずれかまた混
合基である。該リン脂質の例としてレシチン、ホ
スフアチジルコリン、ホスフアチジルエタノール
アミン、ホスフアチジル−N−メチルエタノール
アミン、ホスフアチジル−N,N−ジメチルエタ
ノールアミン、ホスフアチジルセリン、ホスフア
チジン酸、ホスフアチジルセロールなどがあげら
れ、これらの構成脂肪酸としてはカプロン酸、カ
プリル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチ
ン酸、パルミトオレイン酸、ステアリン酸、オレ
イン酸、リノール酸、α−およびγ−リノレン
酸、ベヘン酸、エルシン酸、エイコサペンタエン
酸、ドコサヘキサン酸、アラキドン酸、テトラコ
サテトラエン酸などが例示でき、またこれらの脂
肪酸で置換されていない遊離水酸基の状態でもよ
い。これらの脂肪酸のうち、エイコサペンタエン
酸、γ−リノレン酸、アラキドン酸などのいわゆ
る血栓溶解、血小板凝集などの生理活性を有する
脂肪酸はとくに重要である。さらにこれらの塩基
部分(式()および()のA)および脂肪酸
部分は各々単一でも混合していてもかまわない。 これらのリン脂質は、天然物から抽出、濃縮さ
れたものであつても、また合成品であつても良
い。 次に本発明る用いるアルコール類は、1級水酸
基を有するものであつて、例えば水酸基、アミノ
基、モノ・ジもしくはトリアルキルアミノ基、カ
ルボキシル基、アセチル基またはハロゲン基のう
ちの1種もしくは2種以上の置換基で置換されて
いるかまたは置換されていない、直鎖状または側
鎖状の、1級水酸基を少なくとも1個以上有する
アルコールでり、本発明でこれらを単独または混
合して使用しても何らさしつかえない。該アルコ
ール類としては、例えばメタノール、エタノー
ル、1−プロパノール、1−ブタノール、1−オ
クタノール、1−ノナノール、1−デカノール、
1−ドデカノール、1−ヘキサデカノール、2−
エチルヘキサノール、1,2−プロパンジオー
ル、1,3−プロパンジオール、2−エチル−
1,3−ヘキサンジオール、エチレングリコー
ル、ジエチレングリコール、ジエチレングリコー
ルモノブチルエーテル、プロピレングリコール、
ジプロピレングリコール、グリセリン、ジグリセ
リン、モノステアリン、ホスフアチジルグリセロ
ール、1−アミン−2−プロパノールおよび塩酸
塩、コリンおよび塩化コリン、エタノールアミン
およびエタノールアミン塩酸塩、セリン、セリン
エチルエステル、N−メチルエタノールアミン、
N,N−ジメチルエタノールアミンなどがあげら
れるが、本発明はこれらによつて限定されるもの
ではない。また、これらのアルコール類は天然
物、合成品のいずれでも使用することができる。 本発明においては上記のリン脂質とアルコール
類を、ホスホリパーゼDの存在下で反応させる。
本発明者らは、従来、ホスホリパーゼDの存在が
全く知られていなかつたか、もしくは存在するこ
とは知られていてもそのホスフアチジル基転移作
用が明らかでなかつた植物体からホスホルパーゼ
Dを単離し、その作用を確認したのであり、本発
明ではかかるホスホリパーゼDを使用することが
できる。このような植物としてはコメ、大豆、を
あげることができ、これらの根、茎、葉などの植
物生体、種子またはそれらを物理的処理ないしは
有機溶媒などの化学薬品で処理した残渣(たとえ
ば種子を粉砕し、ヘキサンで脱脂処理した残渣)
などから該ホスホリパーゼDを採取することがで
きる。該ホスホリパーゼDを採取するには植物体
あるいはそれらの残渣を水抽出し、その水溶液に
対して通常の酵素の単離、精製方法が利用でき、
例えば食塩、硫安などによる塩析、エタノール、
アセトンなどの有機溶媒による沈澱、透析、イオ
ン交換あるいは吸着クロマトグラフイー、ゲル濾
過、吸着剤などによる処理方法が使用できる。か
くして得られる酵素は、必要に応じて糖質、蛋白
質、各種塩類などの安定化剤を添加し、減圧濃縮
もしくは乾燥、凍結乾燥などの処理により液状ま
たは固形状となることができる。 さらに、本発明ではかかるホスホリパーゼDを
使用する反応系において該ホスホリパーゼDを固
定化物となした形態で利用できる。一般に、酵素
はPHおよび安定性改良、活性維持、再使用などを
目的として固定化することがあるが、固定化用担
体としてはセルロース、デキストラン、ポリスチ
レン、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコー
ル、イオン交換樹脂、磁性体、活性炭、アルミ
ナ、光架橋性樹脂、アルギン酸塩、各種ゲル化剤
などが使用される。本発明では、これらの固定化
担体に該ホスホリパーゼDを吸着、イオン結合、
共有結合あるいは包括させて粒状、膜状もしくは
シート状の固定化ホスホリパーゼDとなし、使用
することができる。 本発明で、リン脂質とアルコール類とを前述の
ホスリパーゼDにより反応させる場合に、水分量
を反応基質すなわちリン脂質およびアルコール重
量と等量もしくはそれ以下の水分量、好ましくは
該反応基質のうちリン脂質重量と等量もしくはそ
れ以下の水分量に限定することが特徴であり、こ
れによりホスフアチジル基転移反応を効率よく進
行させることを可能ならしめた。上述の含有量を
越える水分量が反応系に共存する場合、反応生成
物は加水分解物を含み、あるいは加水分解物が主
成分となり、本発明の目的とする高純度なリン脂
質またはその誘導体は得られない。 本発明の方法により、リン脂質とアルコール類
とを反応させるには次のようにする。すなわち、
リン脂質の1種または2種以上の組成物を適当な
ガラスまたはステンレス製容器に採り、これを使
用したリン脂質のモル等量〜約100モル倍量程度
のアルコール類またはアルコール類と非水性溶媒
の混合溶媒に溶解させる。非水性溶媒としては、
いわゆる不活性有機溶媒であるn−ヘプタン、n
−ヘキサン、ベンゼン、キシレン、アセトン、ジ
メチルエーテル、ジエチルエーテル、酢酸エチル
などを例としてあげることができる。ついでホス
ホリパーゼDの賦活剤して公知の添加剤たとえば
ドデシル硫酸ソーダ、コール酸、デオキシコール
酸もしくはそれらの塩、塩化カルシウム、陰イオ
ン界面活性剤など、また酵素の安定性を維持する
ための緩衝剤たとえば酢酸、リン酸、クエン酸、
塩酸などを水溶液として添加、さらに対リン脂質
0.1〜10重量%の酵素を粉末状、粒状もしくは水
溶液として加える。 反応系に必要な水は、以上のような賦活剤、緩
衝剤などの水溶液の水分として通常供給される。
従つて、これらの水分量は本発明に規定する量、
すなわち反応基質のリン脂質およびアルコールの
合計重量と等量またはそれ以下となるよう、予め
計算しておくことが必要である。 次いで振とうあるいはホモミキサーなどの適当
な撹拌機で内容物を均一に乳化状態となし、PH4
〜8好ましくはPH5〜7.5、20〜50℃好ましくは
35〜45℃で、約1時間〜24時間反応を行わしめ
る。 なお、本反応を固定化ホスホリパーゼDを充填
したカラム方式で行わしめる場合、ガラスまたは
ステンレス円筒管に該固定化リパーゼを詰め、前
述の組成物で乳化状態とした反応液を液循環ポン
プなどを介して連続的にカラムの一方から滴下、
もしくは微加圧下に流入せしめ、反応を行わせ
る。 ホスフアチジル基転移反応により目的の高純度
リン脂質またはリン脂質誘導体が生成する反応過
程は、例えばTLC(薄層クロマトグラフイー)、
HPLC(高速液体クロマトグラフイー)などの分
析方法により経過を把握でき、これにより反応時
間をコントロールすることもできる。反応終了
後、70〜80℃に短時間加熱処理するか、酵素活性
阻害剤、例えばEDAT水溶液を加えて酵素活性
を失わせ、そのまま、もしくは必要に応じて溶剤
抽出し、さらにシリカゲルあるいはアルミナなど
の吸着カラムクロマトグラフイー、溶剤分別、沈
澱などの精製処理を施して目的物を得ることがで
きる。 (e) 実施例 実施例 1 撹拌機および冷却管つき四ツ口フラスコ(500
ml)にジミリストイルホスフアチジルコリン(米
国シグマ社製)10gを採り、ジエチルエーテル50
mlで溶解した。さらにN−メチルエタノールアミ
ン塩酸塩5gを添加し、5mM塩化カルシウムを
含む0.5Mリン酸緩衝液(PH7.0)5mlを加えた。 一方、米胚芽に精製水5倍容量を加え、4℃で
ホモゲナイズし、10000×gで20分間遠心分離し
た上澄液に4℃冷却下、1.5倍容量のアセトンを
添加し、沈澱物としてホスホリパーゼDを得た。
この1gを2mlの水溶液とし、上記混合物を撹拌
しながら滴下して、乳化状態にした。40℃で撹拌
しながら、10時間反応させ、反応物の一部をクロ
ロホルム/メタノール/酢酸を展開溶媒とした
TCL(薄層クロマトグラフイー)分析を行つたと
ころ、ジミリストイルホスフアチジルコリンのス
ポツトが消失し、ジミリストイルホスフアジチル
−N−メチルエタノールアミンが生成しているこ
と、また相当するホスフアチジル酸が生成してい
ないことを確認した。なお、本反応物はジエチル
エーテル層を回収し、水洗後、溶剤留去した。上
記と同様の条件でTLC分析を行つたところ、純
度98%以上のほぼ純粋なジミリストイルホフスフ
アチジル−N−メタルエタノールアミンが得られ
た。 比較のため、上記において5mM塩化カルシウ
ムを含む0.5Mリン酸緩衝液(PH7.0)を40ml用い
る他は同様に反応を行い、反応物を分析したとこ
ろ、主成分は加水分解物であるジミリストイルホ
スフアチジン酸(85%)であり、その他、原料の
ジミリストイルホスフアチジルコリン(8%)が
認められ、転移物(目的物)のジミリストイルホ
スフアチジル−N−メチルエタノールアミンは5
%に過ぎなかつた。実施例 2 ガラス製三角フラスコ(1)中で濃縮ホスフ
アチジルコリンPC−70(日清製油(株)製;リン脂質
組成:ホスフアチジルコリン70%、ホスフアチジ
ルエタノールアミン10%、リゾホスフアチジルコ
リン2%;脂肪酸組成:パルミチン酸16%、ステ
アリン酸5%、オレイン酸9%、リノール酸65
%、リノレン酸5%)100gをn−ヘキサン/ジ
エチルエーテル(=1:1)300mlに溶解させ、
エタノールアミン塩酸塩60g、5mM塩化カルシ
ウムおよび4mMドデシル硫酸ナトリウムを含
む、0.3Mトリス−塩酸緩衝液(PH7.5)100mlを
添加した。一方、文献(高橋ら、東京農業大学農
学集報、28(No.3)、262(1984))の方法に準じて
生米ヌカより採取、精製したホスホリパーゼ
D3.5gを粉末のまま、上記混合物中に撹拌しな
がら加え、乳化状態となし、37℃でゆるやかに振
とうしながら5時間反応させた。反応物の溶媒層
を回収し、数回水洗後、溶剤を留去した後、実施
例1と同様にTLC分析を行つたところ、ホスフ
アチジルコリンおよびホスフアチジン酸が検出さ
れず、主成分はホスフアチジルエタノールアミン
であつた。これにより、混合リン脂質を単一組成
の高純度リン脂質に変換できることを確認した。 実施例 3 実施例2と同様の条件で、卵黄レシチン(リン
脂質組成:ホスフアチジルコリン70%、リゾホス
フアチジルコリン5%、ホスフアチジルエタノー
ルアミン15%、リゾホスフアチジルエタノールア
ミン3%、ホスフアチジルイノシトール1%、ス
フインゴミエリン2%;脂肪酸組成:パルミチン
酸20%、ステアリン酸5%、オレイン酸14%、リ
ノール酸55%、リノレン酸6%)とコリンとを反
応させ、分析したところ、原料リン脂質中のエタ
ノールアミン結合リン脂質は検出されなかつた。 実施例 4 糸状菌カニンガメラエレガンス
(Cunninghamallaelegans、NRRL 1378)を培
養し、菌体から溶剤抽出してγ−リノレン酸
(C18:3 ω6)を主成分とするリン脂質を得た。
このリン脂質組成はホスフアチジルコリン、リゾ
ホスフアチジルコリン、ホスフアチジルエタノー
ルアミン、リゾホスフアチジルエタノールアミ
ン、ホスフアチジルイノシトール、スフインゴミ
エリンであり、構成脂肪酸組成は上記γ−リノレ
ン酸を主成分とし、リノール酸、オレイン酸、ス
テアリン酸、パルミチン酸などであつた。かかる
リン脂質10gに塩化コリン5g、ジエチルエーテ
ル50ml、5mM塩化カルシウムおよび1%
Triton X−100を含む0.5Mトリス−塩酸緩衝液
(PH7.0)5ml、粒状活性炭(和光純薬(株)製)10g
に水溶液中で実施例2で得た米ヌカ由来ホスホリ
パーゼD4gを吸着させた固定化物5gを加え、
冷却下にホモミキサーで乳化させた。この混合物
を三角フラスコにとり、ゆるやかに振とうを続
け、40℃で15時間反応させた。反応物のTLC分
析結果より原料中のエタノールアミン結合リン脂
質は検出されなかつた。 実施例 5 1,2−ジリノレオイルホスフアチジルコリン
(合成品、純度98%)50g、ジエチレングリコー
ルモノブチルエーテル(試薬、和光純薬(株)製)20
g、10mM塩化カルシウムおよび20mMデオキシ
コール酸ソーダを含む0.4M酢酸緩衝液(PH6.0)
50g、大豆種子から硫安分画、透析したホスホリ
パーゼD2gを用いて、実施例2と同様の方法で
10時間反応を行つた。反応物組成をTLC分析で
チエツクしたところ、遊離したコリン、未反応の
原料および上記リン脂質とアルコールの転移反応
による新規エステル化物が検出された。 比較のため、上記において10mM塩化カルシウ
ムおよび20mMデオキシコール酸ソーダを含む
0.4M酢酸緩衝液(PH6.0)500g用いる他は同様
に反応を行い、反応物を分析したところ、主成分
は1,2−ジリノレオイルホスフアチジン酸と未
反応の原料であり、転移物(目的物)は検出され
なかつた。 (f) 発明の効果 本発明は、天然もしくは合成のリン脂質と1級
水酸基を有するアルコール類とを、コメ、大豆を
起源とするホスホリパーゼDの存在下、特定の反
応条件すなわち反応系中の水分量を規定してホス
フアチジル基転移反応を効率よく生ぜしめる方法
であり、これにより塩基部分が、混合物であるリ
ン脂質の特定成分を容易に高純度にすることがで
き、従来、天然物から抽出、濃縮などの複雑な工
程を経ていたものが大幅に縮小され、この経済的
メリツトは大きい。また化学的合成法に比べても
熱履歴が少なく、簡易な反応であるため、副反応
をほぼ完全に抑制することができ、品質的に優れ
た目的物を安定して経済的に得ることができる。
また、本発明の方法によれば、新規なリン脂質誘
導体を上記と同様のメリツトをを以つて製造する
こともできる。さらに、本発明の方法を用いれば
従来キヤベツなどのホスホリパーゼDでは不可能
であつた炭素数の長いアルコール類に対してもホ
スフアチジル基転移反応が起きる可能性を示して
いる。 さらに本発明では、ホスホリパーゼDを固定化
物となし、カラム方式、膜方式あるいはその他の
方法によりバイオリアクターとして目的物を連続
生産することができる。 生成物である高純度リン脂質および新規リン脂
質は、食品、医薬品、化粧品、農薬をはじめ多く
産業分野において、界面活性剤、リポソーム基
剤、治療剤、乳化剤、殺虫剤などのほか、医薬分
野での生理活性物質のキヤリヤーあるいは保護機
能を目的とし、また生理活性のある高度不飽和脂
肪酸などを薬理活性を試験しやすい形態に容易に
変化できるなどの有用な利用法が期待できる。
リパーゼDおよび特定量の水の存在下に反応させ
ることを特徴とするホスフアチジル基転位方法に
関するものであり、この転位反応を利用すること
によつて混合リン脂質の濃縮および新規なリン脂
質誘導体を製造することができる。 (b) 従来の技術 リン脂質は、各種生体から単離、濃縮すること
ができ、また化学的合成法によつても製造は可能
であり、産業的には両方法から製造した製品が利
用されている。しかしながら、前者の方法(生体
からの濃縮)ではかなりの高濃度まで精製するこ
とは可能であるが、単一成分を得ようとすれば溶
剤法、カラムクロマト法などを用いなければなら
ず、このために製造コスト・アツプとなり、また
後者の方法(化学的合成法)では単一成分を製造
することは可能であつても、合成時の熱履歴のた
めに結合脂肪酸およびリン酸エステルが劣化、着
色し、その精製では煩雑かつ、経済的に不利な工
程を採用せざるを得ないのが現状である。 リン脂質を酵素的に変換する試みは従来から研
究が行われている。たとえば、レシチンとエタノ
ールをホスホリパーゼDの存在下に反応させる
と、リン脂質のリン酸−アルコール部のエステル
結合が加水分解されると同時にホスフアチジル基
転移反応により、ホスフアチジルエタノールを生
成することが報告されている(R.M.Dawson、
Biochem.J.、102、205(1967)、S.F.Yang、J.
Biol.Chem.、242、477(1967)など)。また、英
国特許第1581810号には、グリセロリン脂質と水
酸基、ハロゲン、アミノ基、その他の置換基で置
換あるいは非置換の直鎖もしくは分岐のアルキル
基を有する1級アルコールとを、キヤベツ由来の
ホスホリパーゼDを作用させてアルコール転移反
応させる場合、C5未満の1級アルコールでのみ
該反応が起き、C5を越える該アルコールでは主
生成物は対応するホスフアチジン酸であると記載
されている。 更に、これらの他に、微生物由来のホスホリパ
ーゼDは、リン脂質と2級アルコール(特開昭59
−187786)、スフインゴリン脂質と1級アルコー
ル、2級アルコールおよびフエノール配糖体(特
開昭59−187787)との反応でホスフアチジル基転
移反応を起こすことが示されている。 (c) 発明が解決しようとする問題点 しかしなから、かかる従来の反応系では例えば
1%リン脂質乳化液(0.1ml)、0.4M酢酸緩衝液
(0.1ml)、0.1M塩化カルシウム水溶液(0.05ml)、
蒸留水(0.1ml)、10%アルコール溶液(0.1ml)
およびホスホリパーゼD水溶液(0.1ml)の如き
反応組成で反応せしめるものであり、反応系に共
存する水分量は概略80%以上であり、したがつて
基質(リン脂質およびアルコール)重量の約40倍
以上の水を共存させている。これは反応効率の面
からみて、必ずしも満足すべきものではない。 一方、ホスホリパーゼDは古くからキヤベツ、
ホウレンソウ、ニンジン、ダイコンなどの高等植
物、菌体(Streptomyces chromofuscus)、ラツ
ト脳ミクロソームなどに含まれることが知られて
おり、これらがホスフアチジル基転位反応を起こ
すことも知られている(たとえば、Hanahan D.
J.、J.Biol.Chem.、172、191(1948)、Imamura、
S.、J.Biochem.、85、79(1979)など)。またアス
パラガス、ニンジン、トウダイグサ、綿実、コム
ギ、オオムギなどについても同様の反応が推論さ
れている(V.E.Vaskovsky、J.Chromatogr.、
261、324(1983)など)。しかしながら、米ヌカ中
のホスホリパーゼDについてはホスフアチジル基
転移反応を起こすことは知られておらず、さらに
大豆、ナタネ、ヒマワリ、ゴマ由来のホスホリパ
ーゼDについてはその存在が知られていないか、
もしくは知られていても該転移反応について明ら
かになつていない。 本発明の目的は、リン脂質のホスフアチジル基
転位反応を効率よく進行させる方法を提供するこ
とにあり、また従来、かかる転位反応を起こすこ
とが知られていないホスホリパーゼDを用いて上
記反応を行わしめることにある。而して本発明の
方法による反応を利用すれば、従来、生体中から
複雑な抽出、濃縮工程を経て精製していたリン脂
質たとえばホスフアチジルコリン、ホスフアチジ
ルエタノールアミンなどを常温付近、常圧、中性
付近の温和な反応条件下で効率よく高純度、高品
質な状態で製造でき、またリン脂質の新規なアル
コール誘導体を得ることもでき、さらにこれら高
純度リン脂質およびリン脂質誘導体を化学的合成
法に比べて簡易かつ経済的に製造することができ
る。 (d) 問題点を解決するための手段 本発明者らは、鋭意研究の結果、ある特定水分
の存在下に前記の反応を行うと、上記の目的が達
成されることを見い出した。 本発明は、かかる知見に基づいて完成されたも
ので、リン脂質と1級水酸基を有するアルコール
類とをコメおよび大豆を起源とするホスホリパー
ゼDの存在下およびリン脂質とアルコール類の合
計重量と等量またはそれ以下の水の存在下に反応
させることを特徴とするホスフアチジル基転位方
法である。 本発明に用いるリン脂質は、例えば下記式
()および/または()で示されるものであ
る。 【式】 【式】 ただし、該式()および()において、
R1およびR2は同一であつても異なつていてもよ
く、Hであるかまたは炭素数が8〜24の飽和ある
いは不飽和脂肪酸残基であり、 またAは−Hまたは−(CH2)2+ N (CH3)3、 −(CH2)+ N H3、−CH2CH(NH2)COOH、 −CH2CH2N(CH3)2、−CH2CH2NH(CH3)、−
CH2−CH(OH)−CH2(OH)のいずれかまた混
合基である。該リン脂質の例としてレシチン、ホ
スフアチジルコリン、ホスフアチジルエタノール
アミン、ホスフアチジル−N−メチルエタノール
アミン、ホスフアチジル−N,N−ジメチルエタ
ノールアミン、ホスフアチジルセリン、ホスフア
チジン酸、ホスフアチジルセロールなどがあげら
れ、これらの構成脂肪酸としてはカプロン酸、カ
プリル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチ
ン酸、パルミトオレイン酸、ステアリン酸、オレ
イン酸、リノール酸、α−およびγ−リノレン
酸、ベヘン酸、エルシン酸、エイコサペンタエン
酸、ドコサヘキサン酸、アラキドン酸、テトラコ
サテトラエン酸などが例示でき、またこれらの脂
肪酸で置換されていない遊離水酸基の状態でもよ
い。これらの脂肪酸のうち、エイコサペンタエン
酸、γ−リノレン酸、アラキドン酸などのいわゆ
る血栓溶解、血小板凝集などの生理活性を有する
脂肪酸はとくに重要である。さらにこれらの塩基
部分(式()および()のA)および脂肪酸
部分は各々単一でも混合していてもかまわない。 これらのリン脂質は、天然物から抽出、濃縮さ
れたものであつても、また合成品であつても良
い。 次に本発明る用いるアルコール類は、1級水酸
基を有するものであつて、例えば水酸基、アミノ
基、モノ・ジもしくはトリアルキルアミノ基、カ
ルボキシル基、アセチル基またはハロゲン基のう
ちの1種もしくは2種以上の置換基で置換されて
いるかまたは置換されていない、直鎖状または側
鎖状の、1級水酸基を少なくとも1個以上有する
アルコールでり、本発明でこれらを単独または混
合して使用しても何らさしつかえない。該アルコ
ール類としては、例えばメタノール、エタノー
ル、1−プロパノール、1−ブタノール、1−オ
クタノール、1−ノナノール、1−デカノール、
1−ドデカノール、1−ヘキサデカノール、2−
エチルヘキサノール、1,2−プロパンジオー
ル、1,3−プロパンジオール、2−エチル−
1,3−ヘキサンジオール、エチレングリコー
ル、ジエチレングリコール、ジエチレングリコー
ルモノブチルエーテル、プロピレングリコール、
ジプロピレングリコール、グリセリン、ジグリセ
リン、モノステアリン、ホスフアチジルグリセロ
ール、1−アミン−2−プロパノールおよび塩酸
塩、コリンおよび塩化コリン、エタノールアミン
およびエタノールアミン塩酸塩、セリン、セリン
エチルエステル、N−メチルエタノールアミン、
N,N−ジメチルエタノールアミンなどがあげら
れるが、本発明はこれらによつて限定されるもの
ではない。また、これらのアルコール類は天然
物、合成品のいずれでも使用することができる。 本発明においては上記のリン脂質とアルコール
類を、ホスホリパーゼDの存在下で反応させる。
本発明者らは、従来、ホスホリパーゼDの存在が
全く知られていなかつたか、もしくは存在するこ
とは知られていてもそのホスフアチジル基転移作
用が明らかでなかつた植物体からホスホルパーゼ
Dを単離し、その作用を確認したのであり、本発
明ではかかるホスホリパーゼDを使用することが
できる。このような植物としてはコメ、大豆、を
あげることができ、これらの根、茎、葉などの植
物生体、種子またはそれらを物理的処理ないしは
有機溶媒などの化学薬品で処理した残渣(たとえ
ば種子を粉砕し、ヘキサンで脱脂処理した残渣)
などから該ホスホリパーゼDを採取することがで
きる。該ホスホリパーゼDを採取するには植物体
あるいはそれらの残渣を水抽出し、その水溶液に
対して通常の酵素の単離、精製方法が利用でき、
例えば食塩、硫安などによる塩析、エタノール、
アセトンなどの有機溶媒による沈澱、透析、イオ
ン交換あるいは吸着クロマトグラフイー、ゲル濾
過、吸着剤などによる処理方法が使用できる。か
くして得られる酵素は、必要に応じて糖質、蛋白
質、各種塩類などの安定化剤を添加し、減圧濃縮
もしくは乾燥、凍結乾燥などの処理により液状ま
たは固形状となることができる。 さらに、本発明ではかかるホスホリパーゼDを
使用する反応系において該ホスホリパーゼDを固
定化物となした形態で利用できる。一般に、酵素
はPHおよび安定性改良、活性維持、再使用などを
目的として固定化することがあるが、固定化用担
体としてはセルロース、デキストラン、ポリスチ
レン、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコー
ル、イオン交換樹脂、磁性体、活性炭、アルミ
ナ、光架橋性樹脂、アルギン酸塩、各種ゲル化剤
などが使用される。本発明では、これらの固定化
担体に該ホスホリパーゼDを吸着、イオン結合、
共有結合あるいは包括させて粒状、膜状もしくは
シート状の固定化ホスホリパーゼDとなし、使用
することができる。 本発明で、リン脂質とアルコール類とを前述の
ホスリパーゼDにより反応させる場合に、水分量
を反応基質すなわちリン脂質およびアルコール重
量と等量もしくはそれ以下の水分量、好ましくは
該反応基質のうちリン脂質重量と等量もしくはそ
れ以下の水分量に限定することが特徴であり、こ
れによりホスフアチジル基転移反応を効率よく進
行させることを可能ならしめた。上述の含有量を
越える水分量が反応系に共存する場合、反応生成
物は加水分解物を含み、あるいは加水分解物が主
成分となり、本発明の目的とする高純度なリン脂
質またはその誘導体は得られない。 本発明の方法により、リン脂質とアルコール類
とを反応させるには次のようにする。すなわち、
リン脂質の1種または2種以上の組成物を適当な
ガラスまたはステンレス製容器に採り、これを使
用したリン脂質のモル等量〜約100モル倍量程度
のアルコール類またはアルコール類と非水性溶媒
の混合溶媒に溶解させる。非水性溶媒としては、
いわゆる不活性有機溶媒であるn−ヘプタン、n
−ヘキサン、ベンゼン、キシレン、アセトン、ジ
メチルエーテル、ジエチルエーテル、酢酸エチル
などを例としてあげることができる。ついでホス
ホリパーゼDの賦活剤して公知の添加剤たとえば
ドデシル硫酸ソーダ、コール酸、デオキシコール
酸もしくはそれらの塩、塩化カルシウム、陰イオ
ン界面活性剤など、また酵素の安定性を維持する
ための緩衝剤たとえば酢酸、リン酸、クエン酸、
塩酸などを水溶液として添加、さらに対リン脂質
0.1〜10重量%の酵素を粉末状、粒状もしくは水
溶液として加える。 反応系に必要な水は、以上のような賦活剤、緩
衝剤などの水溶液の水分として通常供給される。
従つて、これらの水分量は本発明に規定する量、
すなわち反応基質のリン脂質およびアルコールの
合計重量と等量またはそれ以下となるよう、予め
計算しておくことが必要である。 次いで振とうあるいはホモミキサーなどの適当
な撹拌機で内容物を均一に乳化状態となし、PH4
〜8好ましくはPH5〜7.5、20〜50℃好ましくは
35〜45℃で、約1時間〜24時間反応を行わしめ
る。 なお、本反応を固定化ホスホリパーゼDを充填
したカラム方式で行わしめる場合、ガラスまたは
ステンレス円筒管に該固定化リパーゼを詰め、前
述の組成物で乳化状態とした反応液を液循環ポン
プなどを介して連続的にカラムの一方から滴下、
もしくは微加圧下に流入せしめ、反応を行わせ
る。 ホスフアチジル基転移反応により目的の高純度
リン脂質またはリン脂質誘導体が生成する反応過
程は、例えばTLC(薄層クロマトグラフイー)、
HPLC(高速液体クロマトグラフイー)などの分
析方法により経過を把握でき、これにより反応時
間をコントロールすることもできる。反応終了
後、70〜80℃に短時間加熱処理するか、酵素活性
阻害剤、例えばEDAT水溶液を加えて酵素活性
を失わせ、そのまま、もしくは必要に応じて溶剤
抽出し、さらにシリカゲルあるいはアルミナなど
の吸着カラムクロマトグラフイー、溶剤分別、沈
澱などの精製処理を施して目的物を得ることがで
きる。 (e) 実施例 実施例 1 撹拌機および冷却管つき四ツ口フラスコ(500
ml)にジミリストイルホスフアチジルコリン(米
国シグマ社製)10gを採り、ジエチルエーテル50
mlで溶解した。さらにN−メチルエタノールアミ
ン塩酸塩5gを添加し、5mM塩化カルシウムを
含む0.5Mリン酸緩衝液(PH7.0)5mlを加えた。 一方、米胚芽に精製水5倍容量を加え、4℃で
ホモゲナイズし、10000×gで20分間遠心分離し
た上澄液に4℃冷却下、1.5倍容量のアセトンを
添加し、沈澱物としてホスホリパーゼDを得た。
この1gを2mlの水溶液とし、上記混合物を撹拌
しながら滴下して、乳化状態にした。40℃で撹拌
しながら、10時間反応させ、反応物の一部をクロ
ロホルム/メタノール/酢酸を展開溶媒とした
TCL(薄層クロマトグラフイー)分析を行つたと
ころ、ジミリストイルホスフアチジルコリンのス
ポツトが消失し、ジミリストイルホスフアジチル
−N−メチルエタノールアミンが生成しているこ
と、また相当するホスフアチジル酸が生成してい
ないことを確認した。なお、本反応物はジエチル
エーテル層を回収し、水洗後、溶剤留去した。上
記と同様の条件でTLC分析を行つたところ、純
度98%以上のほぼ純粋なジミリストイルホフスフ
アチジル−N−メタルエタノールアミンが得られ
た。 比較のため、上記において5mM塩化カルシウ
ムを含む0.5Mリン酸緩衝液(PH7.0)を40ml用い
る他は同様に反応を行い、反応物を分析したとこ
ろ、主成分は加水分解物であるジミリストイルホ
スフアチジン酸(85%)であり、その他、原料の
ジミリストイルホスフアチジルコリン(8%)が
認められ、転移物(目的物)のジミリストイルホ
スフアチジル−N−メチルエタノールアミンは5
%に過ぎなかつた。実施例 2 ガラス製三角フラスコ(1)中で濃縮ホスフ
アチジルコリンPC−70(日清製油(株)製;リン脂質
組成:ホスフアチジルコリン70%、ホスフアチジ
ルエタノールアミン10%、リゾホスフアチジルコ
リン2%;脂肪酸組成:パルミチン酸16%、ステ
アリン酸5%、オレイン酸9%、リノール酸65
%、リノレン酸5%)100gをn−ヘキサン/ジ
エチルエーテル(=1:1)300mlに溶解させ、
エタノールアミン塩酸塩60g、5mM塩化カルシ
ウムおよび4mMドデシル硫酸ナトリウムを含
む、0.3Mトリス−塩酸緩衝液(PH7.5)100mlを
添加した。一方、文献(高橋ら、東京農業大学農
学集報、28(No.3)、262(1984))の方法に準じて
生米ヌカより採取、精製したホスホリパーゼ
D3.5gを粉末のまま、上記混合物中に撹拌しな
がら加え、乳化状態となし、37℃でゆるやかに振
とうしながら5時間反応させた。反応物の溶媒層
を回収し、数回水洗後、溶剤を留去した後、実施
例1と同様にTLC分析を行つたところ、ホスフ
アチジルコリンおよびホスフアチジン酸が検出さ
れず、主成分はホスフアチジルエタノールアミン
であつた。これにより、混合リン脂質を単一組成
の高純度リン脂質に変換できることを確認した。 実施例 3 実施例2と同様の条件で、卵黄レシチン(リン
脂質組成:ホスフアチジルコリン70%、リゾホス
フアチジルコリン5%、ホスフアチジルエタノー
ルアミン15%、リゾホスフアチジルエタノールア
ミン3%、ホスフアチジルイノシトール1%、ス
フインゴミエリン2%;脂肪酸組成:パルミチン
酸20%、ステアリン酸5%、オレイン酸14%、リ
ノール酸55%、リノレン酸6%)とコリンとを反
応させ、分析したところ、原料リン脂質中のエタ
ノールアミン結合リン脂質は検出されなかつた。 実施例 4 糸状菌カニンガメラエレガンス
(Cunninghamallaelegans、NRRL 1378)を培
養し、菌体から溶剤抽出してγ−リノレン酸
(C18:3 ω6)を主成分とするリン脂質を得た。
このリン脂質組成はホスフアチジルコリン、リゾ
ホスフアチジルコリン、ホスフアチジルエタノー
ルアミン、リゾホスフアチジルエタノールアミ
ン、ホスフアチジルイノシトール、スフインゴミ
エリンであり、構成脂肪酸組成は上記γ−リノレ
ン酸を主成分とし、リノール酸、オレイン酸、ス
テアリン酸、パルミチン酸などであつた。かかる
リン脂質10gに塩化コリン5g、ジエチルエーテ
ル50ml、5mM塩化カルシウムおよび1%
Triton X−100を含む0.5Mトリス−塩酸緩衝液
(PH7.0)5ml、粒状活性炭(和光純薬(株)製)10g
に水溶液中で実施例2で得た米ヌカ由来ホスホリ
パーゼD4gを吸着させた固定化物5gを加え、
冷却下にホモミキサーで乳化させた。この混合物
を三角フラスコにとり、ゆるやかに振とうを続
け、40℃で15時間反応させた。反応物のTLC分
析結果より原料中のエタノールアミン結合リン脂
質は検出されなかつた。 実施例 5 1,2−ジリノレオイルホスフアチジルコリン
(合成品、純度98%)50g、ジエチレングリコー
ルモノブチルエーテル(試薬、和光純薬(株)製)20
g、10mM塩化カルシウムおよび20mMデオキシ
コール酸ソーダを含む0.4M酢酸緩衝液(PH6.0)
50g、大豆種子から硫安分画、透析したホスホリ
パーゼD2gを用いて、実施例2と同様の方法で
10時間反応を行つた。反応物組成をTLC分析で
チエツクしたところ、遊離したコリン、未反応の
原料および上記リン脂質とアルコールの転移反応
による新規エステル化物が検出された。 比較のため、上記において10mM塩化カルシウ
ムおよび20mMデオキシコール酸ソーダを含む
0.4M酢酸緩衝液(PH6.0)500g用いる他は同様
に反応を行い、反応物を分析したところ、主成分
は1,2−ジリノレオイルホスフアチジン酸と未
反応の原料であり、転移物(目的物)は検出され
なかつた。 (f) 発明の効果 本発明は、天然もしくは合成のリン脂質と1級
水酸基を有するアルコール類とを、コメ、大豆を
起源とするホスホリパーゼDの存在下、特定の反
応条件すなわち反応系中の水分量を規定してホス
フアチジル基転移反応を効率よく生ぜしめる方法
であり、これにより塩基部分が、混合物であるリ
ン脂質の特定成分を容易に高純度にすることがで
き、従来、天然物から抽出、濃縮などの複雑な工
程を経ていたものが大幅に縮小され、この経済的
メリツトは大きい。また化学的合成法に比べても
熱履歴が少なく、簡易な反応であるため、副反応
をほぼ完全に抑制することができ、品質的に優れ
た目的物を安定して経済的に得ることができる。
また、本発明の方法によれば、新規なリン脂質誘
導体を上記と同様のメリツトをを以つて製造する
こともできる。さらに、本発明の方法を用いれば
従来キヤベツなどのホスホリパーゼDでは不可能
であつた炭素数の長いアルコール類に対してもホ
スフアチジル基転移反応が起きる可能性を示して
いる。 さらに本発明では、ホスホリパーゼDを固定化
物となし、カラム方式、膜方式あるいはその他の
方法によりバイオリアクターとして目的物を連続
生産することができる。 生成物である高純度リン脂質および新規リン脂
質は、食品、医薬品、化粧品、農薬をはじめ多く
産業分野において、界面活性剤、リポソーム基
剤、治療剤、乳化剤、殺虫剤などのほか、医薬分
野での生理活性物質のキヤリヤーあるいは保護機
能を目的とし、また生理活性のある高度不飽和脂
肪酸などを薬理活性を試験しやすい形態に容易に
変化できるなどの有用な利用法が期待できる。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 リン脂質と1級水酸基を有するアルコール類
とを、コメまたは大豆を起源とするホスホリパー
ゼDの存在下および上記リン脂質と上記アルコー
ル類の合計重量と等量またはそれ以下の水の存在
下に反応させることを特徴とするホスフアチジル
基転位方法。 2 リン脂質が下記の一般式()および/また
は()で表されるものである特許請求の範囲第
1項記載の方法。 【式】 【式】 (但し、R1およびR2は、同一または異なるもの
であつて、Hまたは炭素数が8〜24の飽和または
不飽和脂肪酸残基であり、 Aは−Hまたは−(CH2)2+ N (CH3)3、 −(CH2)2N+ H3 、−CH2CH(NH2)COOH、 −CH2CH2N(CH3)2、−CH2CH2NH(CH3)、−CH2
−CH(OH)−CH2(OH)のいずれかまたは混合
基である。 3 一般式()および()のR1およびR2の
いずれか一方または両方がエイコサペンタエン
酸、γ−リノレン酸、アラキドン酸のいずれかの
脂肪酸残基である特許請求の範囲第2項記載の方
法。 4 アルコール類が、水酸基、アミノ基、モノ・
ジもしくはトリアルキルアミノ基、カルボキシル
基、アセチル基、またはハロゲン基の1種もしく
は2種以上の置換基で置換されているかまたは置
換されていない、直鎖状または側鎖状の、1級水
酸基を少なくとも1個以上有するアルコールであ
る特許請求の範囲第1項記載の方法。 5 ホスホリパーゼDが固定化物である特許請求
の範囲第1項記載の方法。 6 固定化ホスホリパーゼDを充填したカラムを
用いる特許請求の範囲5項記載の方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP17424685A JPS6236195A (ja) | 1985-08-09 | 1985-08-09 | ホスファチジル基転位方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP17424685A JPS6236195A (ja) | 1985-08-09 | 1985-08-09 | ホスファチジル基転位方法 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPS6236195A JPS6236195A (ja) | 1987-02-17 |
| JPH0367675B2 true JPH0367675B2 (ja) | 1991-10-23 |
Family
ID=15975270
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP17424685A Granted JPS6236195A (ja) | 1985-08-09 | 1985-08-09 | ホスファチジル基転位方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPS6236195A (ja) |
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2011527566A (ja) * | 2008-07-08 | 2011-11-04 | ケミー ソシエタ ペル アチオニ | N−アシル−ホスファチジル−エタノールアミンを生産する方法 |
Families Citing this family (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP4678488B2 (ja) * | 2005-03-28 | 2011-04-27 | ナガセケムテックス株式会社 | リン脂質の加水分解方法及び塩基交換方法 |
Family Cites Families (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JPS6041494A (ja) * | 1983-04-11 | 1985-03-05 | Meito Sangyo Kk | 酵素法リン脂質一級アルコ−ル誘導体の製法 |
-
1985
- 1985-08-09 JP JP17424685A patent/JPS6236195A/ja active Granted
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2011527566A (ja) * | 2008-07-08 | 2011-11-04 | ケミー ソシエタ ペル アチオニ | N−アシル−ホスファチジル−エタノールアミンを生産する方法 |
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPS6236195A (ja) | 1987-02-17 |
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