JPH0369977B2 - - Google Patents
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- JPH0369977B2 JPH0369977B2 JP1235583A JP23558389A JPH0369977B2 JP H0369977 B2 JPH0369977 B2 JP H0369977B2 JP 1235583 A JP1235583 A JP 1235583A JP 23558389 A JP23558389 A JP 23558389A JP H0369977 B2 JPH0369977 B2 JP H0369977B2
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Description
〔産業上の利用分野〕
本発明は、耐高温腐食性に優れるFe−Ni系合
金およびその製造方法に関し、特に高温下におい
て高濃度の塩化物含有物質と接触するような厳し
い腐食環境の下でも、なお優れた耐食性を示す
Fe−Ni系合金とそれの製造法について提案する。 近年、調理用電気器具類が普及してきたが、こ
れらは、例えば電気コンロの調理用ヒータ外部被
覆管の場合、塩化物による高温腐食(酸化や硫
化)や溶接性の問題があり、現在種々の研究、開
発が進められている。とくにこの種の分野に適合
する材料は、高温の塩化物存在下であるから、
NaClが鋼表面に接触すると、鋼中のFeとNaCl
とが反応して揮発性の高いNaFeCl4を発生して腐
食が促進されるので、通常の耐高温酸化性とは別
の視点で考察しなければならないものである。 〔従来の技術〕 上述の調理用ヒータ外部被覆管のように、醤油
や食塩などが付着しやすいものでは、それらが付
着したまま高温大気に曝されるとすれば、高温腐
食(乾食)を受けて、温度が高くなればなるほど
その損傷は著しくなる。 このような高温腐食を受けるシースヒータ外部
被覆管には、従来、NCF800(JIS G4901)材や
NCF600材などが使用されている。これに対し、
NCF800のVA材として、従来、Niを低く抑えた
鋼も提案されている。例えば、特公昭64−8695号
(塩化物の存在する高温乾食環境用鋼)において
は、Niは16〜30wt%(以下は単に「%」で表示
する。)の範囲で、特にMoやW、Vの添加によ
るNi低減効果を提案しており、また、特開昭64
−73056号では、Niが内部侵食を促進し有害であ
る旨、およびSiは耐酸化性に有効である旨を開示
している。さらに、特開昭63−65058号では、Si
量を多くしたことを特徴とする耐高温腐食性に優
れた鋼を提案している。 また、上掲のものの他、高温腐食に対する合金
元素の影響については、多くの報告例があり、例
えば、食塩を含む高温腐食環境でのCrの有害性
について、品田ら(第30回腐食防食討論会
(1983)p50〜53)の報告があり、またNiの耐食
性については、R.D.K.Misra et al(Oxdation of
Metals Val.25(1986)p83〜83)において、NiO
のNaClに対する保護性を報告している。さらに、
富士川らの(材料とプロセスVol.1(1988)
p1799)の報告では、3.5%Siを含んでいても550
℃以上で著しい侵食が生ずることを報告してい
る。 以上説明したように、塩化物を含む環境下での
高温腐食に対する合金元素の影響については、従
来、それぞれ有効性の面と有害性の面の両方が相
反する形で報告されていて、未だに確定していな
いのが実情である。 また、Siを含むFe−Cr−Ni系合金における溶
接性については、(溶接学会全国大会講演概要第
40集(1987)No.4.p128)によると、Moの添加が
効果がある旨報告されている。 〔発明が解決しようとする課題〕 さて、近年、一般家庭への200V配線が推進さ
れているが、、それに伴つて、電気ヒータの需要
拡大が見込まれている。特に、上述した調理用の
シースヒータも高電力化が進み、それの外部被覆
材も、JISのNCF600材のような高温用材料の使
用が多くなることが予想される。ところが、この
NCF600材は、コストおよび高温腐食性について
なお解決を必要とする大きな問題(塩化物含有高
温腐食環境における耐食性)を抱えており、最近
ではその代替材の出現が強く望まれているところ
である。 しかしながら、上述した特公昭64−8695号公報
などで提案されている鋼は、いずれも前記
NCF600材よりも耐食性が劣り、目標とする特性
が得られないのが実情である。しかも、これらの
合金については、対高温腐食性向上のため添加し
たSiとNiとの低融点共晶のために、熱間加工性
および溶接性が著しく劣化することが指摘されて
おり、今なおそれらについて解決を見るに至つて
いないのが実情である。 本発明の目的は、塩化物存在下の高温腐食環境
での耐食性に優れることはもちろん、溶接性にも
優れた材料を提供することにより、上述した先行
技術の課題を克服することにある。 〔課題を解決するための手段〕 上述した課題を解決するために鋭意研究した結
果、本発明者らは、塩化物を含む高温腐食環境下
での耐食性に対する合金元素の影響について、新
たな知見を得た。それは、単独添加の場合と異な
り、ある種の合金元素間では相乗作用が働くこと
によつて予期しない優れた作用効果を発揮する場
合があるということである。すなわち本発明にお
いては、16〜25%Crを含むFe−Cr−Ni系合金に
ついて、それら各添加元素相互の影響から次のこ
とが明らかとなつた。 (1) この3元系合金では、驚くことに、Ni:
35%という高Niにおいて、他に著しい障害を
招くことなく粒界侵食などの局部侵食が防止で
きる。 (2) そして、Siの作用について、Ni量が少ない
とピツト状の局部侵食を誘発する作用がある
が、Ni量を多くすると、却つて耐高温腐食性
が著しく向上する。 すなわち、本発明は、NiとSiの相乗作用に着
目したところに特徴があり、従来のNCF600材よ
りもNi量は少なくても、所定量以上でNiおよび
Siを同時添加することにより、却つて耐高温腐食
性に優れる合金を得ることができた点に着目して
完成した。 また、熱間加工性と同様、SiとNiの共晶生成
のため、溶接性が劣化する。しかし、溶接性改善
について、従来低Ni合金で知られていたMoの作
用と同時に、新たにNi35%の高Ni側では、Ni
を高くすると溶接性が改善することを新たに見い
出し、溶接性保持のためにはNi、Si、Moの間の
好適な定量的関係が存在することが判つた。 このような知見の下で、本発明は次の如きを要
旨構成とするFe−Ni系合金を開発した。 その第1のものは、C0.05%、Si:1.5〜4.5
%、Mn1.0%、Ni:35.0〜75.0%およびCr:
12.0〜25.0%を含有し、かつNiとSiとは次式;
3Ni105+20Siを満足するように含み、そして
不純物としてSを0.03%以下、Pを0.03%以下含
有し、残部がFeとその他の不純物とからなる耐
高温腐食性に優れるFe−Ni系合金であり、 その第2のものは、C0.05%、Si:1.5〜4.5
%、Mn1.0%、Ni:35.0〜75.0%、Cr:12.0〜
25.0%を含み、そしてMo6.0%、W3.0%およ
びV3.0%のうちから選ばれる少なくとも1種
以上を含有し、かつNi、MoおよびSiとが次式;
3Ni+10Mo105+20Siを満足するように含み、
そして不純物としてSを0.03%以下、Pを0.03%
以下含有し、残部がFeと不純物とからなる耐高
温腐食性に優れるFe−Ni系合金であり、 なお、上記各合金において、さらに、REM
0.05wt%、Ca0.02wt%およびMg0.02wt%の
うちのいずれか少なくとも1種以上を添加したこ
とを特徴とする耐高温腐食性に優れるFe−Ni系
合金もまた本発明合金である。 そして、これらの合金は、上記各成分組成にか
かる合金素材を、1150℃〜1280℃の温度範囲で t・exp(−1443/T−1814)1 (但し、tは均熱時間(分)、Tは加熱温度(℃)
である。)の均質化熱処理し、その後熱間加工を
施すことにより耐高温腐食性に優れるFe−Ni係
合金とすることができる。 〔作用〕 本発明者らの研究によると、耐高温腐食性に有
効なNiを35%以上含有するFe−Cr−Ni合金にお
いては、Siを1.5%以上含有させたときには、Ni
との相乗的作用により、通常のSi添加の効果を予
測の範囲を超えて著しく向上させることができ、
それは従来の低Ni−Cr−Fe系合金では得られな
かつた耐高温腐食性の高い合金となることが判つ
た。 以下に、本発明合金の成分組成の詳細につい
て、限定理由の説明に併せて説明する。 C:高温強度を得るためには必要な元素である
が、Cは高温でCr元素と結合し、粒界に
Cr23C6として析出し、粒界近傍にCr欠乏相を
形成するので高温塩腐食の進行を助長するとと
もに、休止時に凝縮水による粒界腐食が生じる
ので低い方が望ましく、上限を0.05%以下とし
た。 Si:本発明合金において、最も重要な作用を担う
元素であり、Ni35%で、このNiとの相乗作
用によつて耐食性に著しい効果を示す。それ
は、塩化物の存在する高温環境での耐食性改善
作用があるとされるSiの有する一般的な効果を
はるかに超えて発揮される。従つて、Ni≧35
%という条件の下で、その添加効果は1.5%を
下限として生ずる。一方、添加量が4.5%を超
えると、高Niの完全オーステナイト鋼の溶接
性を害し、またσなどの金属間化合物の析出を
促進するために高温長時間使用後の延性や靭性
を劣化するので、Si含有量は1.5〜4.5%と定め
た。 Mn:鋼の熱間加工性を維持するために必要な元
素であるが、1.0%を超えて含有させると塩化
物の存在する高温環境下での耐食性が劣化する
ようになることから、Mn含有量を1.0%以下と
定めた。なお、Mn含有量は、できれば0.1〜
0.5%に調整するのが好ましい。 Ni:塩化物を含む高温腐食環境での高温耐食性
を改善するのに極めて有効であり、特にこの
Ni含有量が35%以上で、Siの高温耐食性を飛
躍的に向上させる効果があり、それ以下では、
むしろ高Niとすることのデメリツトが助長さ
れてしまい好ましくない。従つて、Niは35%
以上とする。 また、このNiの添加は、CrやSi、Moなどか
ら成る金属間化合物の析出に対する組織安定性
および溶接性改善にも有効であり、この意味に
おいて、多いほどよく、50%以上がより好まし
い。 Cr:塩化物の存在する環境での高温耐食性およ
び900℃付近での一般耐酸化性改善に対して有
効であるが、その量が12%未満では塩化物によ
る高温腐食環境でもスケール剥離性が大きく、
所望の効果が得られないので、12%以上とす
る。しかし、多すぎると内部侵食を促進するの
で、25%を上限とする。好ましくは16.0〜20.0
%の範囲内がよい。 Mo:塩化物の存在する高温環境中での耐食性改
善に極めて有効に作用する元素の一つであると
共に、とくに内部侵食抑制および溶接性には有
効である。しかし、このMoの添加量が多すぎ
ると、逆にスケール剥離性が大きくなるので、
6.0%以下とする。好ましくは4%以下がよい。 W、V:塩化物存在下の耐高温腐食性に対して
Moと同様の効果がある。しかし、いずれの元
素も3.0%を超えて含有させると、金属間化合
物の析出を促して加工性に害を及ばしたりスケ
ール剥離性を大きくするので、いずれも3.0%
を上限とした。 REM、Ca、Mg:これらの元素は、脱酸剤およ
び脱硫剤として有効に作用し、熱間加工性を高
める効果がある。しかし、多すぎると塩化物高
温腐食を却つて促進させるように働くので、そ
れぞれの添加上限をREM:0.05%、Ca:0.02
%、Mg:0.02%とした。 S:不純物としてのSは少ないほどよく、とくに
0.03%を超えると、熱間加工性や溶接性を劣化
させるので、この量は0.03%以下にする必要が
ある。 P:Pは、溶接性に悪影響を及ぼす不純物成分で
あり、0.03%を超えると、本発明のNi、Mo、
Siの上述した関係を満足しても溶接割れを生じ
るため、0.03%以下にする必要がある。 この他、本発明合金においては、Al、Cu、
Ti、Nbを各々0.5%以下添加してもよく、それに
よつて上述の主要成分添加の効果に特別の変化を
生じない。 次に、溶接性の観点から上記成分組成を検討す
ると、Ni−Si−Moの関係はつぎのように規定さ
れることが必要である。 すなわち、第1図は、溶接性に及ぼすMo、Ni
量依存性を示す図である。溶接性の試験は、第1
表に示す本発明合金と17%Cr−3%Si−Feを基
本にMo、Niを種々変化させた合金の2.0mmt板
を用いて突合わせ拘束TIG溶接を行い、100mm
のビード長さ割れ率で評価したものである。ベー
ス合金(17%Cr−3%Si−Fe)の場合、10Mo+
3Ni165の条件のときに割れの発生がないこと
が判る。ベース合金(17%Cr−3%Si−Fe)か
らSiを1.5%に変化させた場合、第1図の境界線
は点線(10Mo+3Ni=135)に移動する。Si含有
量を1.5%増大させるとNi量を約10%増大させる
必要があり、Si量依存性を加味すると、結局
10Mo+3Ni105+20Siとなる。従つて、Moを
含まない場合は、3Ni105+20Siを満たす必要
がある。 次に、本発明合金の製造方法、とくに熱処理の
条件を中心に説明する。 上述の如き成分組成よりなる合金素材(インゴ
ツト)は、均質化熱処理が必要である。それは次
のような理由による。すなわち、Siを多く含む
Fe−Cr−Ni系合金では、鋳込みのままでは、熱
間加工性が著しく劣化する場合がある。これは、
凝固偏析が原因でSiとNiの低融点の共晶を生ず
るためと考えられるので、これに対しては高温熱
処理による均質化でこの熱間脆化を防止できるか
らであり、また本発明製造方法においてその処理
は不可欠である。 このような理由の下に行われるこの熱処理の条
件は、1150℃〜1280℃の温度範囲で t・exp(−1443/T−1814)1 (但し、tは均熱時間(分)、Tは加熱温度
(℃))である。 第2図は、熱間加工性についての検討結果を示
す図であり、第1表中の本発明合金(No.1)の大
気溶解インゴツトを用いて、1150〜1280℃の範囲
でソーキング処理を行い、超高温引張りによる絞
り値を調査したものである。なお、高温引張り試
験は、1000〜1200℃で行い、その中で絞り値の最
小値により評価した。この図より、本発明合金の
場合、t・exp(−1443/T−1814)1の範囲の熱処 理を施すと、加工性が良好になることが判つた。 〔実施例〕 この実施例は、表1に示す成分組成の合金(No.
1〜No.10)を、大気誘導炉にて10Kgインゴツトと
し、熱間鍛造後冷間圧延して、2.0および0.5mmt
板にして試験に供した。高温腐食試験片は、厚さ
0.5mmt、幅20mm、長さ30mmに切断後、1100℃×
10分大気酸化して、次に示す高温腐食試験に供し
た。 高温腐食試験は、飽和食塩水浸漬(5分)→乾
燥(10分)→繰返し酸化(800℃×30分→空冷10
分50回)を1サイクルとして、4サイクル試験
し、その結果を第1表に示す。高温腐食試験結果
に明らかなように、本発明合金(No.1〜No.7)
は、比較合金(No.8〜No.10)に比べていずれも最
大侵食深さが小さく、それはNi%の小さいNo.8
合金、No.10合金や、Ni%は高いがSi%の小さい
No.9合金に比べた場合に顕著である。
金およびその製造方法に関し、特に高温下におい
て高濃度の塩化物含有物質と接触するような厳し
い腐食環境の下でも、なお優れた耐食性を示す
Fe−Ni系合金とそれの製造法について提案する。 近年、調理用電気器具類が普及してきたが、こ
れらは、例えば電気コンロの調理用ヒータ外部被
覆管の場合、塩化物による高温腐食(酸化や硫
化)や溶接性の問題があり、現在種々の研究、開
発が進められている。とくにこの種の分野に適合
する材料は、高温の塩化物存在下であるから、
NaClが鋼表面に接触すると、鋼中のFeとNaCl
とが反応して揮発性の高いNaFeCl4を発生して腐
食が促進されるので、通常の耐高温酸化性とは別
の視点で考察しなければならないものである。 〔従来の技術〕 上述の調理用ヒータ外部被覆管のように、醤油
や食塩などが付着しやすいものでは、それらが付
着したまま高温大気に曝されるとすれば、高温腐
食(乾食)を受けて、温度が高くなればなるほど
その損傷は著しくなる。 このような高温腐食を受けるシースヒータ外部
被覆管には、従来、NCF800(JIS G4901)材や
NCF600材などが使用されている。これに対し、
NCF800のVA材として、従来、Niを低く抑えた
鋼も提案されている。例えば、特公昭64−8695号
(塩化物の存在する高温乾食環境用鋼)において
は、Niは16〜30wt%(以下は単に「%」で表示
する。)の範囲で、特にMoやW、Vの添加によ
るNi低減効果を提案しており、また、特開昭64
−73056号では、Niが内部侵食を促進し有害であ
る旨、およびSiは耐酸化性に有効である旨を開示
している。さらに、特開昭63−65058号では、Si
量を多くしたことを特徴とする耐高温腐食性に優
れた鋼を提案している。 また、上掲のものの他、高温腐食に対する合金
元素の影響については、多くの報告例があり、例
えば、食塩を含む高温腐食環境でのCrの有害性
について、品田ら(第30回腐食防食討論会
(1983)p50〜53)の報告があり、またNiの耐食
性については、R.D.K.Misra et al(Oxdation of
Metals Val.25(1986)p83〜83)において、NiO
のNaClに対する保護性を報告している。さらに、
富士川らの(材料とプロセスVol.1(1988)
p1799)の報告では、3.5%Siを含んでいても550
℃以上で著しい侵食が生ずることを報告してい
る。 以上説明したように、塩化物を含む環境下での
高温腐食に対する合金元素の影響については、従
来、それぞれ有効性の面と有害性の面の両方が相
反する形で報告されていて、未だに確定していな
いのが実情である。 また、Siを含むFe−Cr−Ni系合金における溶
接性については、(溶接学会全国大会講演概要第
40集(1987)No.4.p128)によると、Moの添加が
効果がある旨報告されている。 〔発明が解決しようとする課題〕 さて、近年、一般家庭への200V配線が推進さ
れているが、、それに伴つて、電気ヒータの需要
拡大が見込まれている。特に、上述した調理用の
シースヒータも高電力化が進み、それの外部被覆
材も、JISのNCF600材のような高温用材料の使
用が多くなることが予想される。ところが、この
NCF600材は、コストおよび高温腐食性について
なお解決を必要とする大きな問題(塩化物含有高
温腐食環境における耐食性)を抱えており、最近
ではその代替材の出現が強く望まれているところ
である。 しかしながら、上述した特公昭64−8695号公報
などで提案されている鋼は、いずれも前記
NCF600材よりも耐食性が劣り、目標とする特性
が得られないのが実情である。しかも、これらの
合金については、対高温腐食性向上のため添加し
たSiとNiとの低融点共晶のために、熱間加工性
および溶接性が著しく劣化することが指摘されて
おり、今なおそれらについて解決を見るに至つて
いないのが実情である。 本発明の目的は、塩化物存在下の高温腐食環境
での耐食性に優れることはもちろん、溶接性にも
優れた材料を提供することにより、上述した先行
技術の課題を克服することにある。 〔課題を解決するための手段〕 上述した課題を解決するために鋭意研究した結
果、本発明者らは、塩化物を含む高温腐食環境下
での耐食性に対する合金元素の影響について、新
たな知見を得た。それは、単独添加の場合と異な
り、ある種の合金元素間では相乗作用が働くこと
によつて予期しない優れた作用効果を発揮する場
合があるということである。すなわち本発明にお
いては、16〜25%Crを含むFe−Cr−Ni系合金に
ついて、それら各添加元素相互の影響から次のこ
とが明らかとなつた。 (1) この3元系合金では、驚くことに、Ni:
35%という高Niにおいて、他に著しい障害を
招くことなく粒界侵食などの局部侵食が防止で
きる。 (2) そして、Siの作用について、Ni量が少ない
とピツト状の局部侵食を誘発する作用がある
が、Ni量を多くすると、却つて耐高温腐食性
が著しく向上する。 すなわち、本発明は、NiとSiの相乗作用に着
目したところに特徴があり、従来のNCF600材よ
りもNi量は少なくても、所定量以上でNiおよび
Siを同時添加することにより、却つて耐高温腐食
性に優れる合金を得ることができた点に着目して
完成した。 また、熱間加工性と同様、SiとNiの共晶生成
のため、溶接性が劣化する。しかし、溶接性改善
について、従来低Ni合金で知られていたMoの作
用と同時に、新たにNi35%の高Ni側では、Ni
を高くすると溶接性が改善することを新たに見い
出し、溶接性保持のためにはNi、Si、Moの間の
好適な定量的関係が存在することが判つた。 このような知見の下で、本発明は次の如きを要
旨構成とするFe−Ni系合金を開発した。 その第1のものは、C0.05%、Si:1.5〜4.5
%、Mn1.0%、Ni:35.0〜75.0%およびCr:
12.0〜25.0%を含有し、かつNiとSiとは次式;
3Ni105+20Siを満足するように含み、そして
不純物としてSを0.03%以下、Pを0.03%以下含
有し、残部がFeとその他の不純物とからなる耐
高温腐食性に優れるFe−Ni系合金であり、 その第2のものは、C0.05%、Si:1.5〜4.5
%、Mn1.0%、Ni:35.0〜75.0%、Cr:12.0〜
25.0%を含み、そしてMo6.0%、W3.0%およ
びV3.0%のうちから選ばれる少なくとも1種
以上を含有し、かつNi、MoおよびSiとが次式;
3Ni+10Mo105+20Siを満足するように含み、
そして不純物としてSを0.03%以下、Pを0.03%
以下含有し、残部がFeと不純物とからなる耐高
温腐食性に優れるFe−Ni系合金であり、 なお、上記各合金において、さらに、REM
0.05wt%、Ca0.02wt%およびMg0.02wt%の
うちのいずれか少なくとも1種以上を添加したこ
とを特徴とする耐高温腐食性に優れるFe−Ni系
合金もまた本発明合金である。 そして、これらの合金は、上記各成分組成にか
かる合金素材を、1150℃〜1280℃の温度範囲で t・exp(−1443/T−1814)1 (但し、tは均熱時間(分)、Tは加熱温度(℃)
である。)の均質化熱処理し、その後熱間加工を
施すことにより耐高温腐食性に優れるFe−Ni係
合金とすることができる。 〔作用〕 本発明者らの研究によると、耐高温腐食性に有
効なNiを35%以上含有するFe−Cr−Ni合金にお
いては、Siを1.5%以上含有させたときには、Ni
との相乗的作用により、通常のSi添加の効果を予
測の範囲を超えて著しく向上させることができ、
それは従来の低Ni−Cr−Fe系合金では得られな
かつた耐高温腐食性の高い合金となることが判つ
た。 以下に、本発明合金の成分組成の詳細につい
て、限定理由の説明に併せて説明する。 C:高温強度を得るためには必要な元素である
が、Cは高温でCr元素と結合し、粒界に
Cr23C6として析出し、粒界近傍にCr欠乏相を
形成するので高温塩腐食の進行を助長するとと
もに、休止時に凝縮水による粒界腐食が生じる
ので低い方が望ましく、上限を0.05%以下とし
た。 Si:本発明合金において、最も重要な作用を担う
元素であり、Ni35%で、このNiとの相乗作
用によつて耐食性に著しい効果を示す。それ
は、塩化物の存在する高温環境での耐食性改善
作用があるとされるSiの有する一般的な効果を
はるかに超えて発揮される。従つて、Ni≧35
%という条件の下で、その添加効果は1.5%を
下限として生ずる。一方、添加量が4.5%を超
えると、高Niの完全オーステナイト鋼の溶接
性を害し、またσなどの金属間化合物の析出を
促進するために高温長時間使用後の延性や靭性
を劣化するので、Si含有量は1.5〜4.5%と定め
た。 Mn:鋼の熱間加工性を維持するために必要な元
素であるが、1.0%を超えて含有させると塩化
物の存在する高温環境下での耐食性が劣化する
ようになることから、Mn含有量を1.0%以下と
定めた。なお、Mn含有量は、できれば0.1〜
0.5%に調整するのが好ましい。 Ni:塩化物を含む高温腐食環境での高温耐食性
を改善するのに極めて有効であり、特にこの
Ni含有量が35%以上で、Siの高温耐食性を飛
躍的に向上させる効果があり、それ以下では、
むしろ高Niとすることのデメリツトが助長さ
れてしまい好ましくない。従つて、Niは35%
以上とする。 また、このNiの添加は、CrやSi、Moなどか
ら成る金属間化合物の析出に対する組織安定性
および溶接性改善にも有効であり、この意味に
おいて、多いほどよく、50%以上がより好まし
い。 Cr:塩化物の存在する環境での高温耐食性およ
び900℃付近での一般耐酸化性改善に対して有
効であるが、その量が12%未満では塩化物によ
る高温腐食環境でもスケール剥離性が大きく、
所望の効果が得られないので、12%以上とす
る。しかし、多すぎると内部侵食を促進するの
で、25%を上限とする。好ましくは16.0〜20.0
%の範囲内がよい。 Mo:塩化物の存在する高温環境中での耐食性改
善に極めて有効に作用する元素の一つであると
共に、とくに内部侵食抑制および溶接性には有
効である。しかし、このMoの添加量が多すぎ
ると、逆にスケール剥離性が大きくなるので、
6.0%以下とする。好ましくは4%以下がよい。 W、V:塩化物存在下の耐高温腐食性に対して
Moと同様の効果がある。しかし、いずれの元
素も3.0%を超えて含有させると、金属間化合
物の析出を促して加工性に害を及ばしたりスケ
ール剥離性を大きくするので、いずれも3.0%
を上限とした。 REM、Ca、Mg:これらの元素は、脱酸剤およ
び脱硫剤として有効に作用し、熱間加工性を高
める効果がある。しかし、多すぎると塩化物高
温腐食を却つて促進させるように働くので、そ
れぞれの添加上限をREM:0.05%、Ca:0.02
%、Mg:0.02%とした。 S:不純物としてのSは少ないほどよく、とくに
0.03%を超えると、熱間加工性や溶接性を劣化
させるので、この量は0.03%以下にする必要が
ある。 P:Pは、溶接性に悪影響を及ぼす不純物成分で
あり、0.03%を超えると、本発明のNi、Mo、
Siの上述した関係を満足しても溶接割れを生じ
るため、0.03%以下にする必要がある。 この他、本発明合金においては、Al、Cu、
Ti、Nbを各々0.5%以下添加してもよく、それに
よつて上述の主要成分添加の効果に特別の変化を
生じない。 次に、溶接性の観点から上記成分組成を検討す
ると、Ni−Si−Moの関係はつぎのように規定さ
れることが必要である。 すなわち、第1図は、溶接性に及ぼすMo、Ni
量依存性を示す図である。溶接性の試験は、第1
表に示す本発明合金と17%Cr−3%Si−Feを基
本にMo、Niを種々変化させた合金の2.0mmt板
を用いて突合わせ拘束TIG溶接を行い、100mm
のビード長さ割れ率で評価したものである。ベー
ス合金(17%Cr−3%Si−Fe)の場合、10Mo+
3Ni165の条件のときに割れの発生がないこと
が判る。ベース合金(17%Cr−3%Si−Fe)か
らSiを1.5%に変化させた場合、第1図の境界線
は点線(10Mo+3Ni=135)に移動する。Si含有
量を1.5%増大させるとNi量を約10%増大させる
必要があり、Si量依存性を加味すると、結局
10Mo+3Ni105+20Siとなる。従つて、Moを
含まない場合は、3Ni105+20Siを満たす必要
がある。 次に、本発明合金の製造方法、とくに熱処理の
条件を中心に説明する。 上述の如き成分組成よりなる合金素材(インゴ
ツト)は、均質化熱処理が必要である。それは次
のような理由による。すなわち、Siを多く含む
Fe−Cr−Ni系合金では、鋳込みのままでは、熱
間加工性が著しく劣化する場合がある。これは、
凝固偏析が原因でSiとNiの低融点の共晶を生ず
るためと考えられるので、これに対しては高温熱
処理による均質化でこの熱間脆化を防止できるか
らであり、また本発明製造方法においてその処理
は不可欠である。 このような理由の下に行われるこの熱処理の条
件は、1150℃〜1280℃の温度範囲で t・exp(−1443/T−1814)1 (但し、tは均熱時間(分)、Tは加熱温度
(℃))である。 第2図は、熱間加工性についての検討結果を示
す図であり、第1表中の本発明合金(No.1)の大
気溶解インゴツトを用いて、1150〜1280℃の範囲
でソーキング処理を行い、超高温引張りによる絞
り値を調査したものである。なお、高温引張り試
験は、1000〜1200℃で行い、その中で絞り値の最
小値により評価した。この図より、本発明合金の
場合、t・exp(−1443/T−1814)1の範囲の熱処 理を施すと、加工性が良好になることが判つた。 〔実施例〕 この実施例は、表1に示す成分組成の合金(No.
1〜No.10)を、大気誘導炉にて10Kgインゴツトと
し、熱間鍛造後冷間圧延して、2.0および0.5mmt
板にして試験に供した。高温腐食試験片は、厚さ
0.5mmt、幅20mm、長さ30mmに切断後、1100℃×
10分大気酸化して、次に示す高温腐食試験に供し
た。 高温腐食試験は、飽和食塩水浸漬(5分)→乾
燥(10分)→繰返し酸化(800℃×30分→空冷10
分50回)を1サイクルとして、4サイクル試験
し、その結果を第1表に示す。高温腐食試験結果
に明らかなように、本発明合金(No.1〜No.7)
は、比較合金(No.8〜No.10)に比べていずれも最
大侵食深さが小さく、それはNi%の小さいNo.8
合金、No.10合金や、Ni%は高いがSi%の小さい
No.9合金に比べた場合に顕著である。
【表】
以上説明したように本発明は、塩化物を含む高
温腐食環境において優れた耐食性を有し、また溶
接性に優れたFe−Ni系合金を安価に提供するこ
とができる。それ故に本発明合金は、 (1) 電気コンロなどのシースヒータの外部被覆
管、 (2) ハロゲンやハロゲン化物を含むゴミ焼却炉な
どのボイラーや熱交換器、 (3) 高Si、高Ni含有鋼の板や帯、 を有利に製造するのに有効に用いられる。
温腐食環境において優れた耐食性を有し、また溶
接性に優れたFe−Ni系合金を安価に提供するこ
とができる。それ故に本発明合金は、 (1) 電気コンロなどのシースヒータの外部被覆
管、 (2) ハロゲンやハロゲン化物を含むゴミ焼却炉な
どのボイラーや熱交換器、 (3) 高Si、高Ni含有鋼の板や帯、 を有利に製造するのに有効に用いられる。
第1図は、3%Siおよび17〜23%Crを含有す
る合金の溶接割れ性に及ぼすNi、Mo量依存性を
示すグラフ、但し、○印は割れなしを、また●印
は割れ発生を示す。第2図は、本発明合金1のア
ズキヤスト材について、熱間加工性に及ぼすソー
キング条件の影響を示すグラフであり、超高温引
張り試験による絞り率で、○印は絞り>80%、△
印は50〜80%、×印は絞り<50%を示す。
る合金の溶接割れ性に及ぼすNi、Mo量依存性を
示すグラフ、但し、○印は割れなしを、また●印
は割れ発生を示す。第2図は、本発明合金1のア
ズキヤスト材について、熱間加工性に及ぼすソー
キング条件の影響を示すグラフであり、超高温引
張り試験による絞り率で、○印は絞り>80%、△
印は50〜80%、×印は絞り<50%を示す。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 C0.05wt%、Si:1.5〜4.5wt%、Mn
1.0wt%、Ni:35.0〜75.0wt%およびCr:12.0〜
25.0wt%を含有し、かつNiとSiとは次式; 3Ni105+20Si を満足するように含み、そして不純物としてSを
0.03wt%以下、Pを0.03wt%以下含有し、残部が
Feとその他の不純物とからなる耐高温腐食性に
優れるFe−Ni系合金。 2 C0.05wt%、Si:0.5〜4.5wt%、Mn
1.0wt%、Ni:35.0〜75.0wt%、Cr:12.0〜
25.0wt%を含み、そしてMo6.0wt%、W
3.0wt%およびV3.0wt%のうちから選ばれる少
なくとも1種以上を含有し、かつNi、Moおよび
Siとが次式; 3Ni+10Mo105+20Si を満足するように含み、そして不純物としてSを
0.03wt%以下、Pを0.03wt%以下含有し、残部が
Feと不純物とからなる耐高温腐食性に優れるFe
−Ni系合金。 3 請求項1または2に記載のものにおいて、さ
らに、REM0.05wt%、Ca0.02wt%および
Mg0.02wt%のうちのいずれか少なくとも1種
以上を添加したことを特徴とする耐高温腐食性に
優れるFe−Ni系合金。 4 請求項1、2、3のいずれかに記載された合
金素材を、1150℃〜1280℃の温度範囲で t・exp(−1443/T−1814)1 (但し、tは均熱時間(分)、Tは加熱温度(℃)
である。)の均質化熱処理を行い、その後熱間加
工を施すことを特徴とする耐高温腐食性に優れる
Fe−Ni系合金の製造方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP23558389A JPH03100134A (ja) | 1989-09-13 | 1989-09-13 | 耐高温腐食性に優れるFe―Ni系合金およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP23558389A JPH03100134A (ja) | 1989-09-13 | 1989-09-13 | 耐高温腐食性に優れるFe―Ni系合金およびその製造方法 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH03100134A JPH03100134A (ja) | 1991-04-25 |
| JPH0369977B2 true JPH0369977B2 (ja) | 1991-11-06 |
Family
ID=16988147
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP23558389A Granted JPH03100134A (ja) | 1989-09-13 | 1989-09-13 | 耐高温腐食性に優れるFe―Ni系合金およびその製造方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH03100134A (ja) |
Families Citing this family (4)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| SE529003E (sv) * | 2005-07-01 | 2011-10-11 | Sandvik Intellectual Property | Ni-Cr-Fe-legering för högtemperaturanvändning |
| JP4953343B2 (ja) * | 2006-03-30 | 2012-06-13 | 三井造船株式会社 | 耐高温腐食Ni基合金 |
| JP5391929B2 (ja) * | 2009-08-25 | 2014-01-15 | 三菱マテリアル株式会社 | Ni基合金製ハロゲン系ガス用ボンベのバルブ部材 |
| US20250171870A1 (en) * | 2022-03-01 | 2025-05-29 | Nippon Steel Stainless Steel Corporation | HIGH-Ni ALLOY THICK STEEL PLATE HAVING EXCELLENT WELD HIGH-TEMPERATURE CRACKING RESISTANCE, AND METHOD FOR PRODUCING SAME |
Family Cites Families (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JPH07116556B2 (ja) * | 1986-09-08 | 1995-12-13 | 日新製鋼株式会社 | 加工用オーステナイト系耐熱鋼 |
| JPS648695A (en) * | 1987-07-01 | 1989-01-12 | Hitachi Ltd | Printed circuit board processor |
-
1989
- 1989-09-13 JP JP23558389A patent/JPH03100134A/ja active Granted
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPH03100134A (ja) | 1991-04-25 |
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