JPH041056B2 - - Google Patents
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- JPH041056B2 JPH041056B2 JP29881085A JP29881085A JPH041056B2 JP H041056 B2 JPH041056 B2 JP H041056B2 JP 29881085 A JP29881085 A JP 29881085A JP 29881085 A JP29881085 A JP 29881085A JP H041056 B2 JPH041056 B2 JP H041056B2
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- spring
- steels
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Description
〔産業上の利用分野〕
本発明は、ばね用鋼、特に自動車等の懸架装置
に用いられる耐へたり性、耐疲労性に優れたばね
用鋼に関するものである。 〔従来技術〕 この種のばね用鋼は、自動車用として懸架用ば
ね、あるいはエンジンの弁ばねの素材として多量
に使用されているが、一般機械においても緩衝あ
るいはエネルギ蓄積のためのばね素材として広く
使用されている。 これらのばね用鋼に要求される性能の中でも最
も重要なものは、繰返し使用後の信頼性すなわち
耐疲労性と、エネルギ蓄積能の劣化すなわちいわ
ゆる「へたり」と呼ばれる現象に対する抵抗性で
ある。 特に、近年自動車等の輸送機械においては、走
行エネルギの低減のために各部品の軽量化が進め
られており、ばねにおいてもその設計応力を高め
て軽量化を達成するという傾向が顕著になつてき
た。 このような要請にこたえるために、ばね用鋼も
JIS−SUP6よりSi含有量が高く、耐へたり性が
優れたSUP7が広く使用されるようになつてき
た。しかし、さらに軽量化を進めるため、SUP7
より優れた耐へたり性を有するばね用鋼として、
例えば特公昭59−41502あるいは特開昭60−
103155公報に開示されているように、SUP7に
V、Nbを1種以上含有させたばね用鋼が開発さ
れ使用されている。 〔解決しようとする問題点〕 しかし、自動車等の軽量化に対する要請はます
ます高まり、前記SUP7にV、Nbを1種以上含
有させたばね用鋼と同等あるいはさらに高性能
で、より高い応力のもとでの使用に耐えられ、耐
へたり性、耐疲労性のさらに優れたばね用鋼の開
発が望まれていた。 〔問題点を解決するための手段〕 本発明者は前記の軽量化に対する厳しい要請に
十分に対応でき、耐へたり性、耐疲労性において
さらに優れたばね用鋼を得るべく、耐へたり性、
耐疲労性に及ぼす各種元素の影響について研究を
重ねた結果、前記V、Nbのほか、特に固溶N、
すなわち他の元素と結合していないNは、鋼中に
おいて侵入型として結晶内に固溶し、特に転位付
近に侵入し易い元素であること、このようにNが
侵入した転位は移動が困難となることからへたり
が減少し、耐へたり性を大巾に改善することを見
出した。また、Alは比較的安価な非鉄金属であ
るが、その適量添加は溶解時の脱酸作用のほか、
溶鋼中のNと結合してAlNを生成し、焼入時の
結晶粒粗大化を防止し、かつ耐力比、絞り値を向
上させるという優れた作用を有する元素である。 以上の知見に基づき、本発明者は、FeにC、
Si、Mn、Cr、特にN、固溶NおよびAlの特定量
を含有させ、さらにこれにV、Nbのうちの1種
ないし2種を含有させることによつて耐へたり性
の優れたばね用鋼素材の化学成分を特定したこと
を特徴とする耐へたり性の優れたばね用鋼を発明
した。 すなわち、本発明の第1は重量比にして、C;
0.5〜0.8%、Si;1.4〜2.5%、Mn;0.5〜1.5%、
Cr;0.2〜1%、Al;0.015〜0.05%、N;0.012〜
0.03%を含有し、かつ固溶N;0.003%以上で、
残部Feならびに不純物元素からなるものであり、
第2は第1発明の鋼にV:0.03〜0.5%、Nb0.01
〜0.5%のうち1種ないし2種を含有させ第1発
明の鋼の耐へたり性をさらに向上させたものであ
る。 つぎに、本発明鋼の化学成分限定理由について
説明する。 Cは焼入、焼もどしによりばねとして必要な硬
さを確保する元素であり、少なくとも0.5%以上
含有させる必要があり下限を0.5%とした。しか
し、Cを含有しすぎると焼入時に焼き割れが発生
し易くなるため上限を0.8%とした。 Siはフエライト中に固溶することにより素地の
強度を上げ、耐へたり性を改善する元素である
が、1.4%未満では十分な効果が得られないため
下限を1.4%とした。しかし、Siを2.5%を越えて
含有させても耐へたり性向上の効果が飽和し、か
つ熱処理時、遊離炭素を生じ易くなるため上限を
2.5%とした。 Mnは焼入性の向上に有効な元素であるが、ば
ねの中心部まで十分に焼きが入るためには0.5%
以上含有させる必要があるので下限を0.5%とし
た。しかし、1.5%を越えて含有させると靭性の
劣化が著しいため上限を1.5%とした。 CrはMnと同様に焼入性を向上させ、かつ脱炭
防止に効果のある元素であり、これらの効果を得
るには0.2%以上含有させる必要があり下限を0.2
%とした。しかし、Crを1%を越えて含有させ
ると耐へたり性向上効果が阻害されるので上限を
1%とした。 Alは本発明鋼の特徴の一つをなす重要な元素
であつて、溶解時には脱酸剤として作用するほ
か、溶鋼中のNと結合してAlNを生成し、焼入
時の結晶粒粗大化を防止し、かつ耐力比、絞り値
を向上させる作用がある。第1図に示したように
Al含有量が0.015%未満では結晶粒が粗大化し、
かつ必要な耐力比が得られないため、下限を
0.015%とした。しかし、Alを0.05%を越えて含
有させると鋼の清浄度を害し耐疲労性が損なわれ
るため上限を0.05%とした。 Nは前記AlNを生成し、結晶粒を微細化する
ほか、鋼中において侵入型として結晶内に固溶
し、Nが侵入した転位は移動が困難となることか
ら、耐力比、耐へたり性を改善する元素である。
また、Nを含有した鋼は焼入、焼もどしを施した
後、セツチング、シヨツトピーニングという冷間
加工を行い、ついで150〜300℃で時効処理を施す
ことによつて、転位密度を増加させるとともに転
位を固定し、耐へたり性を向上させることができ
る。Nのこのような耐へたり性、耐力比改善効果
を得るためには、0.012%以上含有させる必要が
あるので、下限を0.012%とした。しかし、Nを
0.03%を越えて含有させると、鋼塊の鋳造時にN
が泡となり、ブロホールが発生し材料の内部欠陥
を誘発するため上限を0.03%とした。 固溶Nには前記のとおり、歪時効処理により耐
へたり性を改善する作用がある。第2図は冷間成
形したばねに時効処理を施した場合の固溶N量と
残留剪断歪との関係を示す研究結果であるが、図
から明らかなように、固溶N量の増加により残留
剪断歪は小さくなり、特に固溶N量が0.003%以
上になると残留剪断歪が8.5×10-4以下となつて、
優れた耐へたり性が得られることを見出した。こ
のため固溶Nの下限を0.003%とした。また、第
3図は鋼のAl、N含有量に基づいて固溶N量を
求めるとともに、逆に固溶N量からAl、N含有
量の下限を規制する手段を示すものである。すな
わち、第3図の溶解度曲線ZはLog[Al]×[N]=
−7400/T+1.95(Darkenによる式)に基づいて
焼入温度860℃におけるAl、Nの溶解度を示した
ものであり、例えば供試鋼XのAl含有量0.031%
(横軸)と、N含有量0.0165%(縦軸)から図上
にこれに対応する点Xを求め、ついでこの点Xか
ら勾配14/27(N、Alの原子量比)の直線を引
き、前記Al、Nの溶解度曲線Zとの交点Yを求
めると、この交点Yは縦軸上の値0.004%が固溶
N量である。また、固溶N量0.003%以上を得る
ためには、Al、N含有量が第3図の点ハ、ニを
結ぶ直線より上方に位置するようにそれぞれ下限
を規制する必要がある。 V、Nbは鋼中において炭化物を形成し、これ
ら炭化物が焼入、焼もどし過程で微細な炭化物と
して析出し、これが鋼中において転位の動きを阻
止し、耐へたり性を改善する。また、焼入時の加
熱において、オーステナイト中に溶解されなかつ
た炭化物は、オーステナイト結晶粒を微細化する
とともに、その粗大化を防止するものであり、こ
れらの効果を得るにはVは0.03%以上、Nbは0.01
%以上含有させる必要があり、その下限をVは
0.03%、Nbは0.01%とした。しかし、V、Nbと
もに0.5%を越えて含有させると、オーステナイ
ト中に溶解されないV、Nbの未溶解炭化物量が
増加し、疲労強度を低下させる恐れがあるため
V、Nbともに上限を0.5%とした。 〔作用〕 以上に述べたところから明らかなように、適量
のNはAlNとして結晶粒の粗大化を阻止し、ま
た固溶Nが転位の移動を妨げ、適量のAlは前記
AlNとしての作用を示し、またV、Nbは炭化物
として析出して同様に転位の動きを阻止するとと
もにオーステナイト結晶粒を微細化する。 〔発明の効果〕 本発明によれば、特に前記諸元素が及ぼす作用
および処理の総合効果として、後述の実施例から
明らかなように、高Siばね用鋼の耐へたり性、耐
疲労性を著しく改善することができた。したがつ
て、ばね用素材として設計応力を高め、高応力下
での使用に耐えることができるので、自動車等の
軽量化促進に十分に対応することができる。ま
た、比較的安価なAlを効果的に活用したため、
製造費を低減させることができるので、高い実用
性を有する。 〔実施例〕 つぎに、本発明鋼の特徴を、従来鋼、比較鋼と
比べて実施例によつて明らかにする。 第1表はこれらの供試鋼の化学成分を示すもの
である。 第1表においてA〜G鋼は本発明鋼、H〜J鋼
は比較鋼、K、L鋼は従来鋼である。 第2表は第1表の供試鋼を素材として、焼入、
焼もどし処理を施したものの機械的性質、結晶粒
度について示したものである。焼入、焼もどしに
際しては、本発明鋼、比較鋼、従来鋼ともに同一
硬さが得られるようにした。引張り強さ、0.2%
耐力、伸び、絞りはJIS4号試験片を用いて測定
し、結晶粒度は900℃で20分加熱後、油焼入を施
したものについて測定した。 第2表から明らかなように、引張り強さについ
ては、本発明鋼A〜G鋼は従来鋼K、L鋼と比べ
て
に用いられる耐へたり性、耐疲労性に優れたばね
用鋼に関するものである。 〔従来技術〕 この種のばね用鋼は、自動車用として懸架用ば
ね、あるいはエンジンの弁ばねの素材として多量
に使用されているが、一般機械においても緩衝あ
るいはエネルギ蓄積のためのばね素材として広く
使用されている。 これらのばね用鋼に要求される性能の中でも最
も重要なものは、繰返し使用後の信頼性すなわち
耐疲労性と、エネルギ蓄積能の劣化すなわちいわ
ゆる「へたり」と呼ばれる現象に対する抵抗性で
ある。 特に、近年自動車等の輸送機械においては、走
行エネルギの低減のために各部品の軽量化が進め
られており、ばねにおいてもその設計応力を高め
て軽量化を達成するという傾向が顕著になつてき
た。 このような要請にこたえるために、ばね用鋼も
JIS−SUP6よりSi含有量が高く、耐へたり性が
優れたSUP7が広く使用されるようになつてき
た。しかし、さらに軽量化を進めるため、SUP7
より優れた耐へたり性を有するばね用鋼として、
例えば特公昭59−41502あるいは特開昭60−
103155公報に開示されているように、SUP7に
V、Nbを1種以上含有させたばね用鋼が開発さ
れ使用されている。 〔解決しようとする問題点〕 しかし、自動車等の軽量化に対する要請はます
ます高まり、前記SUP7にV、Nbを1種以上含
有させたばね用鋼と同等あるいはさらに高性能
で、より高い応力のもとでの使用に耐えられ、耐
へたり性、耐疲労性のさらに優れたばね用鋼の開
発が望まれていた。 〔問題点を解決するための手段〕 本発明者は前記の軽量化に対する厳しい要請に
十分に対応でき、耐へたり性、耐疲労性において
さらに優れたばね用鋼を得るべく、耐へたり性、
耐疲労性に及ぼす各種元素の影響について研究を
重ねた結果、前記V、Nbのほか、特に固溶N、
すなわち他の元素と結合していないNは、鋼中に
おいて侵入型として結晶内に固溶し、特に転位付
近に侵入し易い元素であること、このようにNが
侵入した転位は移動が困難となることからへたり
が減少し、耐へたり性を大巾に改善することを見
出した。また、Alは比較的安価な非鉄金属であ
るが、その適量添加は溶解時の脱酸作用のほか、
溶鋼中のNと結合してAlNを生成し、焼入時の
結晶粒粗大化を防止し、かつ耐力比、絞り値を向
上させるという優れた作用を有する元素である。 以上の知見に基づき、本発明者は、FeにC、
Si、Mn、Cr、特にN、固溶NおよびAlの特定量
を含有させ、さらにこれにV、Nbのうちの1種
ないし2種を含有させることによつて耐へたり性
の優れたばね用鋼素材の化学成分を特定したこと
を特徴とする耐へたり性の優れたばね用鋼を発明
した。 すなわち、本発明の第1は重量比にして、C;
0.5〜0.8%、Si;1.4〜2.5%、Mn;0.5〜1.5%、
Cr;0.2〜1%、Al;0.015〜0.05%、N;0.012〜
0.03%を含有し、かつ固溶N;0.003%以上で、
残部Feならびに不純物元素からなるものであり、
第2は第1発明の鋼にV:0.03〜0.5%、Nb0.01
〜0.5%のうち1種ないし2種を含有させ第1発
明の鋼の耐へたり性をさらに向上させたものであ
る。 つぎに、本発明鋼の化学成分限定理由について
説明する。 Cは焼入、焼もどしによりばねとして必要な硬
さを確保する元素であり、少なくとも0.5%以上
含有させる必要があり下限を0.5%とした。しか
し、Cを含有しすぎると焼入時に焼き割れが発生
し易くなるため上限を0.8%とした。 Siはフエライト中に固溶することにより素地の
強度を上げ、耐へたり性を改善する元素である
が、1.4%未満では十分な効果が得られないため
下限を1.4%とした。しかし、Siを2.5%を越えて
含有させても耐へたり性向上の効果が飽和し、か
つ熱処理時、遊離炭素を生じ易くなるため上限を
2.5%とした。 Mnは焼入性の向上に有効な元素であるが、ば
ねの中心部まで十分に焼きが入るためには0.5%
以上含有させる必要があるので下限を0.5%とし
た。しかし、1.5%を越えて含有させると靭性の
劣化が著しいため上限を1.5%とした。 CrはMnと同様に焼入性を向上させ、かつ脱炭
防止に効果のある元素であり、これらの効果を得
るには0.2%以上含有させる必要があり下限を0.2
%とした。しかし、Crを1%を越えて含有させ
ると耐へたり性向上効果が阻害されるので上限を
1%とした。 Alは本発明鋼の特徴の一つをなす重要な元素
であつて、溶解時には脱酸剤として作用するほ
か、溶鋼中のNと結合してAlNを生成し、焼入
時の結晶粒粗大化を防止し、かつ耐力比、絞り値
を向上させる作用がある。第1図に示したように
Al含有量が0.015%未満では結晶粒が粗大化し、
かつ必要な耐力比が得られないため、下限を
0.015%とした。しかし、Alを0.05%を越えて含
有させると鋼の清浄度を害し耐疲労性が損なわれ
るため上限を0.05%とした。 Nは前記AlNを生成し、結晶粒を微細化する
ほか、鋼中において侵入型として結晶内に固溶
し、Nが侵入した転位は移動が困難となることか
ら、耐力比、耐へたり性を改善する元素である。
また、Nを含有した鋼は焼入、焼もどしを施した
後、セツチング、シヨツトピーニングという冷間
加工を行い、ついで150〜300℃で時効処理を施す
ことによつて、転位密度を増加させるとともに転
位を固定し、耐へたり性を向上させることができ
る。Nのこのような耐へたり性、耐力比改善効果
を得るためには、0.012%以上含有させる必要が
あるので、下限を0.012%とした。しかし、Nを
0.03%を越えて含有させると、鋼塊の鋳造時にN
が泡となり、ブロホールが発生し材料の内部欠陥
を誘発するため上限を0.03%とした。 固溶Nには前記のとおり、歪時効処理により耐
へたり性を改善する作用がある。第2図は冷間成
形したばねに時効処理を施した場合の固溶N量と
残留剪断歪との関係を示す研究結果であるが、図
から明らかなように、固溶N量の増加により残留
剪断歪は小さくなり、特に固溶N量が0.003%以
上になると残留剪断歪が8.5×10-4以下となつて、
優れた耐へたり性が得られることを見出した。こ
のため固溶Nの下限を0.003%とした。また、第
3図は鋼のAl、N含有量に基づいて固溶N量を
求めるとともに、逆に固溶N量からAl、N含有
量の下限を規制する手段を示すものである。すな
わち、第3図の溶解度曲線ZはLog[Al]×[N]=
−7400/T+1.95(Darkenによる式)に基づいて
焼入温度860℃におけるAl、Nの溶解度を示した
ものであり、例えば供試鋼XのAl含有量0.031%
(横軸)と、N含有量0.0165%(縦軸)から図上
にこれに対応する点Xを求め、ついでこの点Xか
ら勾配14/27(N、Alの原子量比)の直線を引
き、前記Al、Nの溶解度曲線Zとの交点Yを求
めると、この交点Yは縦軸上の値0.004%が固溶
N量である。また、固溶N量0.003%以上を得る
ためには、Al、N含有量が第3図の点ハ、ニを
結ぶ直線より上方に位置するようにそれぞれ下限
を規制する必要がある。 V、Nbは鋼中において炭化物を形成し、これ
ら炭化物が焼入、焼もどし過程で微細な炭化物と
して析出し、これが鋼中において転位の動きを阻
止し、耐へたり性を改善する。また、焼入時の加
熱において、オーステナイト中に溶解されなかつ
た炭化物は、オーステナイト結晶粒を微細化する
とともに、その粗大化を防止するものであり、こ
れらの効果を得るにはVは0.03%以上、Nbは0.01
%以上含有させる必要があり、その下限をVは
0.03%、Nbは0.01%とした。しかし、V、Nbと
もに0.5%を越えて含有させると、オーステナイ
ト中に溶解されないV、Nbの未溶解炭化物量が
増加し、疲労強度を低下させる恐れがあるため
V、Nbともに上限を0.5%とした。 〔作用〕 以上に述べたところから明らかなように、適量
のNはAlNとして結晶粒の粗大化を阻止し、ま
た固溶Nが転位の移動を妨げ、適量のAlは前記
AlNとしての作用を示し、またV、Nbは炭化物
として析出して同様に転位の動きを阻止するとと
もにオーステナイト結晶粒を微細化する。 〔発明の効果〕 本発明によれば、特に前記諸元素が及ぼす作用
および処理の総合効果として、後述の実施例から
明らかなように、高Siばね用鋼の耐へたり性、耐
疲労性を著しく改善することができた。したがつ
て、ばね用素材として設計応力を高め、高応力下
での使用に耐えることができるので、自動車等の
軽量化促進に十分に対応することができる。ま
た、比較的安価なAlを効果的に活用したため、
製造費を低減させることができるので、高い実用
性を有する。 〔実施例〕 つぎに、本発明鋼の特徴を、従来鋼、比較鋼と
比べて実施例によつて明らかにする。 第1表はこれらの供試鋼の化学成分を示すもの
である。 第1表においてA〜G鋼は本発明鋼、H〜J鋼
は比較鋼、K、L鋼は従来鋼である。 第2表は第1表の供試鋼を素材として、焼入、
焼もどし処理を施したものの機械的性質、結晶粒
度について示したものである。焼入、焼もどしに
際しては、本発明鋼、比較鋼、従来鋼ともに同一
硬さが得られるようにした。引張り強さ、0.2%
耐力、伸び、絞りはJIS4号試験片を用いて測定
し、結晶粒度は900℃で20分加熱後、油焼入を施
したものについて測定した。 第2表から明らかなように、引張り強さについ
ては、本発明鋼A〜G鋼は従来鋼K、L鋼と比べ
て
【表】
同等あるいはそれ以上の値を示した。耐力比につ
いては、本発明鋼の中でもV、Nbを含有するD
〜G鋼が従来鋼に比べて優れていた。また、比較
鋼H、I鋼は耐力比が0.92程度と従来鋼と同様に
低いものであり、J鋼は0.2%耐力、絞り、耐力
比が低く、結晶粒が粗大化していた。 また、第1表の供試鋼を素材として、圧延によ
り12mmφの線材を製造し、ついでパテンチング処
理、焼なまし処理を施した後、引き抜きにより
10.3mmφとし、ついで連続的に焼入、焼もどし処
理を行いオイルテンパー線を製造した。なお、焼
入、焼もどしに際しては、本発明鋼、比較鋼、従
来鋼ともに同一硬さが得られるようにした。この
オイルテンパー線の機械的性質、結晶粒度につい
ては、前記と同様な結果が得られた。 つぎに、前記供試鋼を素材とし、第3表に示す
諸元を有するコイルばねを成形し、その耐へたり
性を測定した。なお、コイリングを熱間で行つた
ものについては、前記ばね素材を所定の温度に加
熱し、ばねに成形した後、焼入、焼もどし処理を
行い、ついでシヨツトピーニングと、使用時の最
大荷重以上の荷重で押し付けセツチング処理を施
した後、250℃で30分時効処理し、第4表に示し
たような条件で締付へたり試験を行つた。また、
コイリングを冷間で行つたものについては、前記
ばね素材を所定の温度に加熱し、パテンチング処
理を施し、ついで焼なまし処理を行つた後、伸線
加工を行い、ついでオイルテンパー処理を施した
後、ばねに成形した。ついで400℃で低温焼なま
し処理を施した後、シヨツトピーニングを行い、
使用時の最大荷重以上の荷重で押し付けセツチン
グ処理を施した後、250℃で30分時効処理し、第
4表に示したような条件で締付へたり試験を行つ
た。 締付へたり試験とは、コイルばねをその線の表
面の最大剪断応力がある値(これを締付応力と呼
ぶ)になるようにたわませ、その状態を両端に配
設した平板とボルトにより固定し、一定時間(こ
れを締付時間と呼ぶ)ある環境温度下で保持した
後に、試験前と試験後のコイルばねのへたりを測
いては、本発明鋼の中でもV、Nbを含有するD
〜G鋼が従来鋼に比べて優れていた。また、比較
鋼H、I鋼は耐力比が0.92程度と従来鋼と同様に
低いものであり、J鋼は0.2%耐力、絞り、耐力
比が低く、結晶粒が粗大化していた。 また、第1表の供試鋼を素材として、圧延によ
り12mmφの線材を製造し、ついでパテンチング処
理、焼なまし処理を施した後、引き抜きにより
10.3mmφとし、ついで連続的に焼入、焼もどし処
理を行いオイルテンパー線を製造した。なお、焼
入、焼もどしに際しては、本発明鋼、比較鋼、従
来鋼ともに同一硬さが得られるようにした。この
オイルテンパー線の機械的性質、結晶粒度につい
ては、前記と同様な結果が得られた。 つぎに、前記供試鋼を素材とし、第3表に示す
諸元を有するコイルばねを成形し、その耐へたり
性を測定した。なお、コイリングを熱間で行つた
ものについては、前記ばね素材を所定の温度に加
熱し、ばねに成形した後、焼入、焼もどし処理を
行い、ついでシヨツトピーニングと、使用時の最
大荷重以上の荷重で押し付けセツチング処理を施
した後、250℃で30分時効処理し、第4表に示し
たような条件で締付へたり試験を行つた。また、
コイリングを冷間で行つたものについては、前記
ばね素材を所定の温度に加熱し、パテンチング処
理を施し、ついで焼なまし処理を行つた後、伸線
加工を行い、ついでオイルテンパー処理を施した
後、ばねに成形した。ついで400℃で低温焼なま
し処理を施した後、シヨツトピーニングを行い、
使用時の最大荷重以上の荷重で押し付けセツチン
グ処理を施した後、250℃で30分時効処理し、第
4表に示したような条件で締付へたり試験を行つ
た。 締付へたり試験とは、コイルばねをその線の表
面の最大剪断応力がある値(これを締付応力と呼
ぶ)になるようにたわませ、その状態を両端に配
設した平板とボルトにより固定し、一定時間(こ
れを締付時間と呼ぶ)ある環境温度下で保持した
後に、試験前と試験後のコイルばねのへたりを測
【表】
【表】
定するものである。コイルばねのへたりは、コイ
ルばねを一定の高さになるまで押し付けるのに要
する荷重の試験前と試験後の差ΔPを、次式によ
り線に残留した剪断歪Δγの値に換算して示した。 Δγ=8・D・ΔP/G・π・d3 D;コイル中心径(mm) G;横弾性率(Kgf/mm2) d;素線径(mm) 第5表は冷間でコイルに成形したもので、同表
から明らかなように、従来鋼K、L鋼の残留剪断
歪量が平均で10.3、10.8×10-4であり、また比較
鋼H〜J鋼が10.1〜9.7×10-4であるのに対して、
本発明鋼のへたり量は8.2〜5.7×10-4、特にD〜
G鋼では7.2〜5.7×10-4と従来鋼、比較鋼に比べ
て大巾に低いものであり、本発明鋼ではAl、N
やV、Nbを含有させることにより、耐へたり性
が顕著に向上した。 また、第6表は熱間でコイルに成形したもの
で、同表から明らかなように、本発明鋼A〜G鋼
は従来鋼K、L鋼、比較鋼H〜J鋼に比べて残留
剪断歪量が少なく、熱間で成形したコイルばねに
ついても優れた耐へたり性を有することが確認さ
れた。 さらに、本発明鋼であるA〜G鋼について、前
記第3表に示した諸元を有するコイルばね素線
に、剪断応力が10〜110Kgf/mm2と変動する負荷
を繰返し与え疲労試験を行つた結果、いずれのコ
イルばねも20万回繰返しをしても折損しなかつ
た。 尚、本発明鋼に施す時効処理温度は150〜300℃
が好ましい。これは時効処理温度により耐へたり
性の改善効果が影響され、第4図に示したよう
に、150℃以上の温度で時効処理を施すことによ
り残留剪断歪が大幅に減少し、優れた耐へたり性
が得られるからである。しかし、その温度が300
℃を越えると、過時効により軟化が始まるため残
留剪断歪が増大するので上限は300℃が適当であ
る。 以上の実施例から明らかのように、本発明鋼に
おいては、従来の高Siばね用鋼に適量のAl、N
を含有させ、またはさらにこれにV、Nbのうち
1種ないし2種の適量を含有させたものについ
て、焼入、焼もどし後、シヨツトピーニング、セ
ツチングという冷間加工を行い、ついで150〜300
℃で時効処理を施すことによつて、冷間でコイル
に成形したものも、熱間でコイルに成形したもの
もいずれもその耐へたり性を顕著に改善すること
ができた。
ルばねを一定の高さになるまで押し付けるのに要
する荷重の試験前と試験後の差ΔPを、次式によ
り線に残留した剪断歪Δγの値に換算して示した。 Δγ=8・D・ΔP/G・π・d3 D;コイル中心径(mm) G;横弾性率(Kgf/mm2) d;素線径(mm) 第5表は冷間でコイルに成形したもので、同表
から明らかなように、従来鋼K、L鋼の残留剪断
歪量が平均で10.3、10.8×10-4であり、また比較
鋼H〜J鋼が10.1〜9.7×10-4であるのに対して、
本発明鋼のへたり量は8.2〜5.7×10-4、特にD〜
G鋼では7.2〜5.7×10-4と従来鋼、比較鋼に比べ
て大巾に低いものであり、本発明鋼ではAl、N
やV、Nbを含有させることにより、耐へたり性
が顕著に向上した。 また、第6表は熱間でコイルに成形したもの
で、同表から明らかなように、本発明鋼A〜G鋼
は従来鋼K、L鋼、比較鋼H〜J鋼に比べて残留
剪断歪量が少なく、熱間で成形したコイルばねに
ついても優れた耐へたり性を有することが確認さ
れた。 さらに、本発明鋼であるA〜G鋼について、前
記第3表に示した諸元を有するコイルばね素線
に、剪断応力が10〜110Kgf/mm2と変動する負荷
を繰返し与え疲労試験を行つた結果、いずれのコ
イルばねも20万回繰返しをしても折損しなかつ
た。 尚、本発明鋼に施す時効処理温度は150〜300℃
が好ましい。これは時効処理温度により耐へたり
性の改善効果が影響され、第4図に示したよう
に、150℃以上の温度で時効処理を施すことによ
り残留剪断歪が大幅に減少し、優れた耐へたり性
が得られるからである。しかし、その温度が300
℃を越えると、過時効により軟化が始まるため残
留剪断歪が増大するので上限は300℃が適当であ
る。 以上の実施例から明らかのように、本発明鋼に
おいては、従来の高Siばね用鋼に適量のAl、N
を含有させ、またはさらにこれにV、Nbのうち
1種ないし2種の適量を含有させたものについ
て、焼入、焼もどし後、シヨツトピーニング、セ
ツチングという冷間加工を行い、ついで150〜300
℃で時効処理を施すことによつて、冷間でコイル
に成形したものも、熱間でコイルに成形したもの
もいずれもその耐へたり性を顕著に改善すること
ができた。
【表】
【表】
第1図は本発明鋼(C0.6−Si2.0−Mn0.8−
Cr0.4−N0.0150)のAl含有量(%)と結晶粒度
との関係を、第2図は冷間成形ばねに時効処理を
施した場合の固溶N量と残留剪断歪との関係を、
第3図はAlとNのオーステナイト中への溶解度
曲線を、第4図は残留剪断歪に及ぼす時効温度の
影響をそれぞれ示したグラフである。
Cr0.4−N0.0150)のAl含有量(%)と結晶粒度
との関係を、第2図は冷間成形ばねに時効処理を
施した場合の固溶N量と残留剪断歪との関係を、
第3図はAlとNのオーステナイト中への溶解度
曲線を、第4図は残留剪断歪に及ぼす時効温度の
影響をそれぞれ示したグラフである。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 重量比にして、C;0.5−0.8%、Si;1.4−2.5
%、Mn;0.5−1.5%、Cr;0.2−1%、Al;0.015
−0.05%、N;0.012−0.03%を含有し、残部Feな
らびに不純物元素からなる鋼であつて、前記Nの
うち0.003%以上が固溶Nである耐へたり性の優
れたばね用鋼。 2 重量比にして、C;0.5−0.8%、Si;1.4−2.5
%、Mn;0.5−1.5%、Cr;0.2−1%、Al;0.015
−0.05%、N;0.012−0.03%と、V:0.03−0.5%
及びNb;0.01−0.5%の少なくとも一元素とを含
有し、残部Feならびに不純物元素からなる鋼で
あつて、前記Nのうち0.003%以上が固溶Nであ
る耐へたり性の優れたばね用鋼。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP29881085A JPS62156251A (ja) | 1985-12-27 | 1985-12-27 | 耐へたり性の優れたばね用鋼 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP29881085A JPS62156251A (ja) | 1985-12-27 | 1985-12-27 | 耐へたり性の優れたばね用鋼 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPS62156251A JPS62156251A (ja) | 1987-07-11 |
| JPH041056B2 true JPH041056B2 (ja) | 1992-01-09 |
Family
ID=17864511
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP29881085A Granted JPS62156251A (ja) | 1985-12-27 | 1985-12-27 | 耐へたり性の優れたばね用鋼 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPS62156251A (ja) |
Families Citing this family (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2613601B2 (ja) * | 1987-09-25 | 1997-05-28 | 日産自動車株式会社 | 高強度スプリング |
| JP2510230B2 (ja) * | 1988-01-18 | 1996-06-26 | 新日本製鐵株式会社 | 高温へたり性の優れた自動車用懸架ばねの製造方法 |
-
1985
- 1985-12-27 JP JP29881085A patent/JPS62156251A/ja active Granted
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPS62156251A (ja) | 1987-07-11 |
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