JPH04313367A - 潤滑性および成形加工性に優れた亜鉛系めっき鋼板 - Google Patents

潤滑性および成形加工性に優れた亜鉛系めっき鋼板

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JPH04313367A
JPH04313367A JP10479491A JP10479491A JPH04313367A JP H04313367 A JPH04313367 A JP H04313367A JP 10479491 A JP10479491 A JP 10479491A JP 10479491 A JP10479491 A JP 10479491A JP H04313367 A JPH04313367 A JP H04313367A
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俊之 大熊
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正明 山下
Toyofumi Watanabe
豊文 渡辺
Tatsuya Miyoshi
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、その表面上に潤滑油
等を塗布しなくても、優れた潤滑性および成形加工性を
有する、亜鉛めっき鋼板または亜鉛系合金めっき鋼板(
以下、「亜鉛系めっき鋼板」と略称する)に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】亜鉛系めっき鋼板は、耐食性に優れてい
ることから、各種の産業分野において広く使用されてい
る。このような亜鉛系めっき鋼板を、複写機等の事務機
器、音響機器、家庭電気製品等の材料として使用する場
合には、亜鉛系めっき鋼板に対して、種々のプレス成形
加工が施され、また、モータカバー、カートリッジ式タ
ンク等の材料として使用する場合には、亜鉛系めっき鋼
板に対して、絞り成形加工が施される。
【0003】亜鉛系めっき鋼板の成形加工性は、冷延鋼
板に比べて劣る。その原因は、プレス等による成形加工
時の、金型に対する亜鉛系めっき鋼板の摺動抵抗が、冷
延鋼板のそれよりも大きいためである。そこで、亜鉛系
めっき鋼板の成形加工性を向上させ、成形加工後の外観
を良好にならしめるために、一般に、亜鉛系めっき鋼板
の表面上に、潤滑油や防錆油を塗布することが行われて
いる。しかしながら、亜鉛系めっき鋼板の表面上に、潤
滑油等を塗布することは、製造工程を煩雑にし、且つ、
作業環境を悪化させる。のみならず、潤滑油等を塗布し
て成形加工した場合でも、成形加工条件が厳しい場合に
は、成形物にかじりが発生して、耐食性が劣化すること
がある。
【0004】一方、亜鉛系めっき鋼板の耐食性を、より
向上させるために、亜鉛系めっき層の表面上に、クロメ
ート被膜、または、クロメート被膜および樹脂被膜が形
成されたクロメート処理亜鉛系めっき鋼板が知られてい
る。このようなクロメート処理亜鉛系めっき鋼板の、成
形加工を施さない平板状での耐食性は、良好である。し
かしながら、潤滑油等を塗布しないで成形加工を施すと
、クロメート被膜に剥離や黒化現象が発生し、耐食性お
よび表面性状が劣化する。従って、クロメート処理亜鉛
系めっき鋼板の場合においても、成形加工を施す場合に
は、その表面上に、潤滑油等を塗布することが必要とさ
れている。
【0005】上述した問題を解決し、その表面上に潤滑
油等を塗布しなくても、優れた潤滑性および成形加工性
を有し、且つ、耐食性の良好な表面処理鋼板の開発が従
来から要求されており、例えば、次のような表面処理鋼
板が提案されている。 ■  特開昭61−227178 号 鋼板の表面上に形成されたクロメート被膜の上に、固体
潤滑剤として、黒鉛および/または二硫化モリブデンを
含有する水系アクリル樹脂被膜が形成された、潤滑性に
すぐれた表面処理鋼板(以下、先行技術1という)。
【0006】■  特開昭62−289275 号鋼板
の表面上に、潤滑剤として高融点のフッ素系樹脂パウダ
ーが配合された熱硬化性粉体塗料を塗布し、次いで、フ
ッ素系樹脂の融点以下の温度によって焼き付けることに
より、その表面上に、フッ素系樹脂パウダーが露出する
被膜が形成された表面処理鋼板(以下、先行技術2とい
う)。
【0007】■  特開平1−110140 号亜鉛系
めっき鋼板の表面上に、予めチタネートカップリング処
理が施された、グラファイト、二硫化モリブデン等の無
機系固体潤滑剤、および、コロイダルシリカを含有する
、水溶性または水分散性のアクリル・エポキシ系樹脂被
膜が形成された表面処理鋼板(以下、先行技術3という
)。
【0008】■  特開平2−140294 号亜鉛系
めっき鋼板の表面上に、プレス成形加工時の黒化現象を
抑制するための、モンタンワックス酸化物の薄い被膜が
形成された表面処理鋼板(以下、先行技術4という)。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上述した先行技術には
、次のような問題がある。■  先行技術1の表面処理
鋼板の場合には、水系アクリル樹脂被膜中に含有されて
いる潤滑剤によって、潤滑性および成形加工性の多少の
向上は認められる。しかしながら、成形加工条件が厳し
い場合には、成形加工時の摩擦熱により、アクリル樹脂
被膜が劣化して、ダイスへの焼きつきや被膜の黒化が避
けらない。従って、表面上に、潤滑油等が塗布された従
来の亜鉛系めっき鋼板に比べて、潤滑性および成形加工
性が劣る。これは、水系アクリル樹脂と無機系固体潤滑
剤との組合せによる限界であると考えられる。更に、被
膜中に、潤滑剤として、黒鉛および/または二硫化モリ
ブデンが含有されているために、被膜の色調が黒みを帯
び、白色系の外観を得ることができない。
【0010】■  先行技術2の表面処理鋼板の場合に
は、被膜を構成する樹脂組成として、粉体塗料が使用さ
れているために、均一な厚さの被膜を形成することが困
難であり、特に、数μm 以下の薄い被膜を形成するこ
とはできない。更に、潤滑剤として添加されるフッ素樹
脂パウダーを、1μm 以下の微粒子とすることが困難
であるために、被膜中および被膜表面に、フッ素樹脂パ
ウダーが露出した状態で存在することになる。その結果
、必ずしも、フッ素樹脂パウダーが、成形加工時の潤滑
性向上に寄与しないばかりか、逆に、フッ素樹脂パウダ
ーが被膜から脱離して、ピンホールの発生を招く問題が
生ずる。
【0011】■  先行技術3の表面処理鋼板の場合に
は、グラファイト、二硫化モリブデン等の無機系固体潤
滑剤と、樹脂成分との親和性および密着性が多少改良さ
れる。しかしながら、成形加工条件が厳しい場合には、
先行技術1と同様に、表面上に潤滑油等が塗布された従
来の亜鉛系めっき鋼板よりも、潤滑性および成形加工性
が劣る。
【0012】■  先行技術4の表面処理鋼板の場合に
は、潤滑性を付与するモンタンワックスの軟化点が低い
。従って、成形加工時の摩擦熱によって、表面温度が1
00 〜150℃の高温になると、皮膜にべた付きや脱
落が生じ、良好な耐食性が得られない。
【0013】上述した先行技術のほかにも、特定の樹脂
に任意の潤滑剤が添加された潤滑性被膜を有する表面処
理鋼板が提案されている。しかしながら、このような表
面処理鋼板は、ベースとなる樹脂の性質(例えば、水系
、粉体、熱可塑性、熱硬化性等)、および、被膜の形成
方法(例えば、常温乾燥、高温焼き付け等)により、潤
滑性向上効果が制約される。即ち、どのような潤滑剤を
使用しても潤滑性向上効果が得られるものでなく、ベー
スとなる樹脂の性能に適する特定の潤滑剤を組み合わせ
ることによって、初めて満足し得る潤滑性および成形加
工性の向上効果が得られるものであり、その性能は限定
される。
【0014】従って、この発明の目的は、上述した問題
を解決し、表面に潤滑油等を塗布することなく、優れた
潤滑性および成形加工性が発揮され、摩擦熱が発生する
厳しい条件で成形加工が施されても、被膜に損傷や黒化
が生じない、潤滑性および成形加工性に優れた亜鉛系め
っき鋼板を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段〕本発明者等
は、上述した問題を解決すべく鋭意研究を重ねた。その
結果、亜鉛系めっき層の少なくとも1つの表面上に、溶
剤系熱硬化性樹脂と、所定の融点および分子量を有する
ポリエチレン微粉末とが所定の割合で配合された塗料を
塗布し、これを加熱し硬化させた樹脂被膜を形成させれ
ば、潤滑性および成形加工性に優れた亜鉛系めっき鋼板
が得られることを知見した。 【0016】この発明は、上記知見に基づいてなされた
ものであって、この発明は、亜鉛めっき鋼板および亜鉛
系合金めっき鋼板の少なくとも1つの亜鉛系めっき層の
上に、潤滑剤を含有する樹脂からなる塗料を塗布し、次
いで、これを加熱し硬化させることによって、前記鋼板
の少なくとも1つの亜鉛系めっき層の表面上に樹脂被膜
が形成されている亜鉛系めっき鋼板において、前記樹脂
被膜のための塗料は、溶剤系熱硬化性樹脂と、120 
℃以下の融点を有する、平均分子量が5,000 以下
のポリエチレン微粉末とからなっており、前記ポリエチ
レン微粉末の含有量は、前記溶剤系熱硬化性樹脂の固形
分100 重量部に対して5〜30重量部の範囲内であ
り、そして、このような塗料からなる前記樹脂被膜の厚
さは、鋼板の片面当たり、0.3 〜3.0 μm の
範囲内であることに特徴を有するものである。
【0017】
【作用】この発明において、亜鉛系めっき層の表面上に
形成される樹脂被膜のための塗料中に、ベース樹脂とし
て溶剤系熱硬化性樹脂を使用する理由は、次ぎの通りで
ある。■  溶剤系熱硬化性樹脂は、水系樹脂に比較し
て、樹脂中に添加される潤滑剤および防錆剤等の添加剤
との相容性、および、塗料としての長期安定性に優れて
いる。■  熱可塑性樹脂と異なり、熱硬化性樹脂には
融点が存在しないので、高温時の機械的強度が高い。従
って、このような樹脂からなる塗料によって被膜を形成
すれば、プレス成形加工時の摩擦熱により鋼板の温度が
上昇しても、被膜の剥離や変形が生じにくい。
【0018】溶剤系熱硬化性樹脂は、ビスフェノール型
エポキシ樹脂、多官能型エポキシ樹脂、オイルフリーア
ルキド樹脂などのエステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタ
ン樹脂(ポリオール)、または、上述した各樹脂の変成
誘導体のうちの少なくとも1つと、各種のアミン化合物
、アミノ樹脂、イソシアネート化合物のうちの少なくと
も1つとを組み合わせた加熱硬化が可能な組成物からな
っている。このような組成の樹脂は、これを所定の溶剤
によって希釈した塗料を、亜鉛系めっき層の表面上に塗
布しそして加熱することによって、架橋硬化される。
【0019】ポリエチレン微粉末は、連続プレス成形加
工等によって生じる、かじり、鋼板の破断等を防止して
、鋼板に対し、摺動、変形および摩耗に対する抵抗を付
与し、鋼板および金型の損傷を防止する作用を有してい
る。従って、塗料中に潤滑剤として添加する。
【0020】ポリエチレンは、一般に、平均分子量が数
百から数百万である結晶性熱可塑性樹脂であり、そのガ
ラス転移点は約−100 ℃であって常温よりも低く、
その融点は90〜140 ℃であって、常温では柔軟な
性質を有している。更に、その臨界表面張力は約30d
yne/cm であり、表面エネルギーが低いので、濡
れ性および付着性が低いことから、潤滑作用を有してい
る。しかしながら、本発明のように、亜鉛系めっき層の
表面上に形成される樹脂被膜のための塗料中に、潤滑剤
として含有させる場合には、塗料の分散性および薄膜形
成性の観点から、その粒径が、20μm以下好ましくは
10μm 以下、より好ましくは約5μm の微粉末で
あることが必要であり、このような微粉末でないポリエ
チレンでは、初期の効果が得られない。
【0021】ポリエチレン微粉末の融点は、潤滑性に影
響する。即ち、その融点が高いほど、常温近傍における
力学的強度即ち変形抵抗が高く、ポリエチレン微粉末を
含有する樹脂被膜の潤滑性(摺動性)が低下する。従っ
て、この発明において使用する、潤滑剤としてのポリエ
チレン微粉末の融点は、120 ℃以下、好ましくは、
90〜110 ℃の範囲内であることが必要である。
【0022】ポリエチレン微粉末の分子量と溶融粘度と
は密接に関連し、その分子量が高くなるほど溶融粘度が
高くなり、加熱焼き付けによる樹脂被膜の形成時に、充
分なフローが得られない。従って、分子量が高いポリエ
チレン微粉末では、平滑な樹脂被膜を形成することがで
きず、潤滑性およびプレス成形加工時の耐被膜損傷性が
低下する。溶剤系熱硬化性樹脂をベースとした塗料は、
樹脂被膜形成時に架橋させるために、150 〜250
 ℃の範囲内の温度に加熱されるが、この加熱時に、樹
脂被膜中のポリエチレン微粉末をフローさせて、これを
無定形またはディスク状にすることが、樹脂被膜の潤滑
性およびプレス成形加工性の観点から好ましい。
【0023】本発明者等の研究の結果、熱硬化性樹脂に
分散させた潤滑剤としてのポリエチレン微粉末のフロー
性は、140 〜150 ℃の範囲内の温度における溶
融粘度と密接に関連し、140 〜150 ℃の温度に
おける溶融粘度が100 〜1,000cpsの範囲内
であるポリエチレン微粉末が、最適なフロー性を有する
ことがわかった。即ち、前記溶融粘度が100cps未
満では、形成された被膜がべと付き、空隙の生成を促進
する問題が生ずる。一方、前記溶融粘度が1,000c
psを超えると、充分なフローが行われずに、ベース樹
脂の架橋硬化が進行する。この結果、平滑な樹脂皮膜表
面が得られず、プレス成形加工時の抵抗増加、潤滑剤脱
離、空隙発生等を招く問題が生ずる。
【0024】潤滑剤としてのポリエチレン微粉末の含有
量は、溶剤系熱硬化性樹脂の固形分100 重量部に対
して、5 〜30重量部の範囲内とすべきである。ポリ
エチレン微粉末の含有量が、溶剤系熱硬化性樹脂の固形
分100 重量部に対して5重量部未満では、潤滑性の
向上効果が得られない。一方、30重量部を超えると、
樹脂被膜自体の凝集力および強度が低下する結果、成形
加工時に樹脂被膜の剥離が増加する問題が生ずる。より
好ましいポリエチレン微粉末の含有量は、溶剤系熱硬化
性樹脂の固形分100 重量部に対して、10〜20重
量部の範囲内である。
【0025】塗料中には、上述したベース樹脂およびポ
リエチレン微粉末のほかに、必要に応じて他の成分、例
えば、顔料、染料などの着色剤、界面活性剤、安定剤等
を含有させてもよい。上述したように、この発明におい
ては、樹脂被膜中に、潤滑剤としてのポリエチレン微粉
末が含有されているので、この発明の亜鉛系めっき鋼板
に対し、潤滑油等を塗布しないでプレス成形加工を施し
ても、樹脂被膜は殆ど損傷せずに、そのまま存在する。 従って、樹脂皮膜自体の防錆効果を充分に発揮させるこ
とができる。
【0026】この発明において、潤滑のための樹脂被膜
が形成されるべき鋼板は、その少なくとも1つの表面上
に亜鉛めっき層を有する亜鉛めっき鋼板、亜鉛の外に、
ニッケル、鉄、マンガン、モリブデン、コバルト、アル
ミニウム、クロム、シリコン等のうちの少なくとも1つ
の成分を含有する亜鉛合金めっき層を有する亜鉛合金め
っき鋼板、または、上述した亜鉛めっき層または亜鉛合
金めっき層の複数層を有する複層亜鉛系めっき鋼板であ
ってもよい。
【0027】この発明において、上述した亜鉛系めっき
鋼板の亜鉛系めっき層の上に、中間層としてクロメート
被膜を形成し、このようなクロメート被膜の上に、最上
層として上述した樹脂被膜を形成すれば、耐食性が向上
し、且つ、樹脂被膜の形成も良好になる。クロメート被
膜の形成は、塗布、電解処理、反応処理等、既知のどの
ような手段で行ってもよい。
【0028】クロメート被膜の付着量は、金属クロム換
算で、鋼板片面当たり5〜200mg/m2の範囲内と
することが好ましい。クロメート被膜の量が、金属クロ
ム換算で、鋼板片面当たり5mg/m2 未満では、耐
食性の向上効果が得られない。一方、クロメート被膜の
量が、金属クロム換算で、鋼板片面当たり200mg/
m2を超えると、その量に見合った耐食性向上効果が得
られない。のみならず、鋼板の変形を伴う曲げ加工やプ
レス成形加工が施された場合に、クロメート被膜の凝集
破壊が発生する。クロメート被膜の、より好ましい量は
、金属クロム換算で、鋼板片面当たり10〜150mg
/m2の範囲内である。
【0029】亜鉛系合金めっき層と、最上層の樹脂被膜
との間に、上述したクロメート被膜のほか、潤滑剤を含
まない他の樹脂被膜が形成されていてもよい。この場合
、最上層の樹脂被膜との合計量が5μm 好ましくは3
μm を超えない範囲内であることが必要である。最上
層の樹脂被膜との合計量が5μm を超えると、溶接に
よる接合が困難になる。
【0030】亜鉛系めっき鋼板の少なくとも1つの表面
に対する樹脂被膜の形成は、次のようにして行われる。 即ち、亜鉛系めっき層の少なくとも1つの表面上、また
は、亜鉛系めっき層の上に形成されたクロメート被膜の
少なくとも1つの表面上に、ロールコーター、カーテン
フローコーターまたはスプレー塗装等の既知の方法によ
って、上述した組成の塗料を塗布し、または、上述した
組成の塗料中に亜鉛系めっき鋼板を浸漬した後、ロール
や空気の吹きつけにより絞って、所定量の被膜を形成す
る。次いで、これを、熱風炉や誘導加熱装置により、1
50 〜250 ℃の温度に加熱することによって、溶
剤を飛ばし、樹脂の架橋硬化を施す。かくして、亜鉛系
めっき鋼板の少なくとも1つの表面上に、樹脂被膜が形
成される。
【0031】亜鉛系めっき鋼板の少なくとも1つの表面
上に形成された樹脂被膜の厚さは、鋼板片面当たり、0
.3 〜3.0 μm の範囲内とすべきである。樹脂
被膜の厚さが、鋼板片面当たり0.3 μm 未満では
、成形加工時に、亜鉛系めっき層が受ける損傷を防止す
ることができない。一方、樹脂被膜の厚さが、鋼板片面
当たり3.0 μmを超えると、溶接性が劣化し、且つ
、成形加工条件が特に厳しい場合には、樹脂皮膜の剥離
量が増加して、金型への付着や、焼き付け等の問題が生
ずる。
【0032】次ぎに、この発明を、実施例により、比較
例と対比しながら説明する。
【実施例1】この発明の範囲内の亜鉛系めっき鋼板およ
びこの発明の範囲外の亜鉛系めっき鋼板を製造するため
の塗料の材料として、下記材料を準備した。
【0033】(1)樹脂 ■  メラミン硬化型ポリエステル樹脂■  イソシア
ネート硬化型ポリウレタン樹脂■  尿素樹脂硬化型エ
ポキシ樹脂 ■  水系のアクリル系エマルジョン樹脂
【0034】
(2)潤滑剤 A  融点:105℃、150 ℃での溶融粘度:20
0cps 、分子量:1,500のポリエチレン微粉末 B  融点:115℃、150 ℃での溶融粘度:70
0cps 、分子量:3,000のポリエチレン微粉末 C  融点:130℃、150 ℃での溶融粘度:3,
000cps 、分子量:5,000のポリエチレン微
粉末 D  融点:133℃、150 ℃での溶融粘度:30
,000cps、分子量:10,000 のポリエチレ
エン微粉末E  融点:160℃のポリプロピレン微粉
末F  融点: 70℃のパラフィンワックスG  融
点:325℃のポリ四フッ化エチレン粉末H  グラフ
ァイト微粉末 I  二硫化モリブデン微粉末
【0035】板厚0.8mm 、めっき量20g/m2
の電気亜鉛めっき鋼板の亜鉛めっき層の両面を、アルカ
リで脱脂し、次いで、亜鉛めっき層の上に、クロメート
処理液をロールコーティング法により塗布した後、加熱
、乾燥して、亜鉛めっき層の上に、金属クロム換算で5
0mg/m2 の量のクロメート被膜を形成した。
【0036】上述した樹脂■〜■と、前記樹脂の固形分
100 重量部に対して10重量部の量の潤滑剤Aまた
はBとからなる塗料を、上記電気亜鉛めっき鋼板の両面
に形成されたクロメート被膜の上に、ロールコーティン
グ法により塗布した。次いで、これを、誘導加熱装置に
より200 ℃の温度まで加熱して、クロメート被膜の
上に、厚さ約1.5 μm の樹脂被膜を形成した。こ
のようにして、第1表に示す、この発明の範囲内の亜鉛
系めっき鋼板(以下、「本発明鋼板」という)No. 
1〜4を調製した。また、クロメート被膜を形成するこ
となく、亜鉛めっき層の上に、直接上述した方法により
樹脂皮膜を形成して、第1表に示す本発明鋼板No. 
5,6を調製した。
【0037】比較のために、この発明の範囲外の樹脂ま
たは潤滑剤を、樹脂の固形分100 重量部に対して潤
滑剤を10重量部の割合で含有する塗料により、上記と
同じように、クロメート被膜の上に、または、直接亜鉛
めっき層の上に厚さ約1.5 μm の樹脂被膜を形成
し、この発明の範囲外の亜鉛系めっき鋼板(以下、「比
較用鋼板」という)No. 1〜10、および、樹脂被
膜を有せず、クロメート被膜の上にプレス油を2g/m
2 塗布した比較用鋼板No. 11を、第1表に併せ
て示すように調製した。
【0038】上述した本発明鋼板および比較用鋼板の各
々について、潤滑性、プレス成形性、および、傷つき・
黒化性を、以下に述べる性能試験によって評価した。評
価結果を第1表に併せて示す。
【0039】(1) 潤滑性 引っ張り試験機によって、面圧:50Kg/cm2、引
き抜き速度:100mm/min の条件で、平板状の
試験片を引き抜き、そのときの動摩擦係数を調べて、潤
滑性を評価した。評価基準は、次ぎの通りである。 ○:動摩擦係数 0.10 未満、  ◇:動摩擦係数
 0.10 〜0.30、 ×:動摩擦係数 0.30 以上。
【0040】(2) プレス成形性 円板状の試験片を、ブランク径:120mm、ポンチ径
:50mm 、ダイス径:51.91mm、しわ押さえ
力: 1トンの条件で、ポンチを使用しダイスを通過さ
せることによりカップ状に成形したときの、試験片の外
径変化率を調べて、プレス成形性を評価した。評価基準
は、次ぎの通りである。 ○:10% 以上、      ◇:5〜10% 、 
     ×:5% 未満。
【0041】(3) 傷つき・黒化性 円板状の試験片を、ブランク径:100mm、ポンチ径
:50mm 、ダイス径:51.91mm、しわ押さえ
力: 1トンの条件で、ポンチを使用しダイスを通過さ
せることによりカップ状に成形したときの、試験片の外
観を目視により調べて、傷つき・黒化性を評価した。評
価基準は、次ぎの通りである。 ○:殆ど変化なく良好、          ◇:傷つ
き・黒化が少し発生、 ×:傷つきおよび黒化が激しく発生。
【0042】
【0043】第1表から明らかなように、水系樹脂から
なる塗料を使用した比較用鋼板No.1は、プレス成形
性および傷つき・黒化性が悪かった。潤滑剤として、そ
の融点が本発明の範囲を超えて高いポリエチレン微粉末
を含有する塗料を使用した比較用鋼板No. 2および
3は、潤滑性およびプレス成形性が悪かった。本発明の
潤滑剤以外の潤滑剤を含有する塗料を使用した比較用鋼
板No. 4〜8は、潤滑性、プレス成形性および傷つ
き・黒化性の何れかが悪く、特に、比較用鋼板No. 
7、8の潤滑性およびプレス成形性は、潤滑油を塗布し
た従来の比較用鋼板No. 9よりも悪かった。潤滑剤
を含有しない塗料を使用した比較用鋼板No. 9およ
び10は、潤滑性およびプレス成形性が悪く、傷つき・
黒化性の試験においては、試験片が破断したため成形が
不可能で試験を行うことができなかった。これに対して
、本発明鋼板No. 1〜6は、潤滑性、プレス成形性
および傷つき黒化性のすべてにおいて、優れていた。
【0044】
【実施例2】実施例1と同様のクロメート被膜がその両
面に形成された鋼板の、前記クロメート被膜の上に、前
述した樹脂■即ちメラミン硬化型ポリエステル樹脂と、
その固形分100 重量部に対して、潤滑剤Aをこの発
明の範囲の割合で含有する塗料を、実施例1と同様の方
法により塗布し次いで加熱して、クロメート被膜の上に
樹脂被膜を形成した。このようにして、第2表に示す本
発明鋼板No. 7〜10を調製した。
【0045】比較のために、潤滑剤を含有しない塗料を
使用した比較用鋼板No. 12、潤滑剤Aの含有量が
本発明の範囲外である塗料を使用した比較用鋼板No.
 13、14、被膜の厚さが本発明の範囲外である比較
用鋼板No. 15、16、および、クロメート被膜の
量が本発明の範囲外である比較用鋼板No. 17を、
第2表に併せて示すように調製した。
【0046】上述した本発明鋼板および比較用鋼板の各
々について、潤滑性、プレス成形性、傷つき・黒化性、
および、耐食性を、前述した性能試験によって評価した
。なお、耐食性は、JIS Z 2371に基づく塩水
噴霧試験により白錆の発生するまでの時間を調べ、これ
によって評価した。評価結果を第3表に示す。
【0047】
【0048】
【0049】第2表および第3表から明らかなように、
潤滑剤を含有しない塗料を使用した比較用鋼板No. 
12、および、潤滑剤の含有量が本発明の範囲を外れて
少ない塗料を使用した比較用鋼板No.13 は、潤滑
性、プレス成形性および傷つき・黒化性が何れも悪かっ
た。潤滑剤の含有量が本発明の範囲を外れて多い塗料を
使用した比較用鋼板No.14 は、被膜の凝集力低下
に基づく剥離量の増加のため、傷つき・黒化性および耐
食性が悪かった。
【0050】樹脂被膜量が本発明の範囲を外れて少ない
比較用鋼板No. 15は、潤滑性、プレス成形性、傷
つき・黒化性および加工性がすべて悪かった。樹脂被膜
量が本発明の範囲を外れて多い比較用鋼板No. 16
は、プレス成形性および傷つき・黒化性が悪かった。ク
ロメート被膜の量が本発明の範囲を外れて多い比較用鋼
板No. 17は、プレス成形性および傷つき・黒化性
が悪かった。
【0051】これに対して、本発明鋼板No. 7〜1
0は、潤滑性、プレス成形性、傷つき・黒化性および耐
食性のすべてにおいて、優れていた。
【0052】
【発明の効果】以上述べたように、この発明の亜鉛系め
っき鋼板によれば、表面に潤滑油等を塗布しなくても、
優れた潤滑性および成形加工性が発揮され、摩擦熱が発
生する厳しい条件で成形加工が施されても、被膜に損傷
や黒化が生ぜず、且つ、耐食性も良好である、工業上有
用な効果が発揮される。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】  亜鉛めっき鋼板および亜鉛系合金めっ
    き鋼板の少なくとも1つの亜鉛系めっき層の上に、潤滑
    剤を含有する樹脂からなる塗料を塗布し、次いで、これ
    を加熱し硬化させることによって、前記鋼板の少なくと
    も1つの亜鉛系めっき層の表面上に樹脂被膜が形成され
    ている亜鉛系めっき鋼板において、前記樹脂被膜のため
    の塗料は、溶剤系熱硬化性樹脂と、120 ℃以下の融
    点を有する、平均分子量が5,000 以下のポリエチ
    レン微粉末とからなっており、前記ポリエチレン微粉末
    の含有量は、前記溶剤系熱硬化性樹脂の固形分100 
    重量部に対して5〜30重量部の範囲内であり、そして
    、このような塗料からなる前記樹脂被膜の厚さは、鋼板
    の片面当たり、0.3 〜3.0 μm の範囲内であ
    ることを特徴とする、潤滑性および成形加工性に優れた
    亜鉛系めっき鋼板。
  2. 【請求項2】  前記亜鉛系めっき層の上に、金属クロ
    ム換算で、鋼板の片面当たり5〜200mg/m2の範
    囲内の量のクロメート被膜が形成され、前記クロメート
    被膜の上に前記樹脂被膜が形成されている、請求項1記
    載の亜鉛系めっき鋼板。
  3. 【請求項3】  前記ポリエチレン微粉末の、140 
    〜150 ℃における溶融粘度は100 〜1,000
    cpsの範囲内である、請求項1または2記載の亜鉛系
    めっき鋼板。
  4. 【請求項4】  前記溶剤系熱硬化性樹脂は、ビスフェ
    ノール型エポキシ樹脂、多官能型エポキシ樹脂、オイル
    フリーアルキド樹脂などのエステル樹脂、アクリル樹脂
    、ウレタン樹脂(ポリオール)、または、上述した各樹
    脂の変成誘導体のうちの少なくとも1つと、各種のアミ
    ン化合物、アミノ樹脂、イソシアネート化合物のうちの
    少なくとも1つとを組み合わせた加熱硬化が可能な組成
    物からなっている、請求項1または2記載の亜鉛系めっ
    き鋼板。
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