JPH09169078A - 電着塗装性およびプレス成形性に優れた樹脂塗装鋼板 - Google Patents

電着塗装性およびプレス成形性に優れた樹脂塗装鋼板

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JPH09169078A
JPH09169078A JP33081795A JP33081795A JPH09169078A JP H09169078 A JPH09169078 A JP H09169078A JP 33081795 A JP33081795 A JP 33081795A JP 33081795 A JP33081795 A JP 33081795A JP H09169078 A JPH09169078 A JP H09169078A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電着塗装後の外観に優れた電着塗膜を形成す
ることができ、かつプレス成形性にも優れている樹脂塗
装鋼板を提供する。 【解決手段】 樹脂皮膜によって被覆された樹脂塗装鋼
板であって、樹脂皮膜は、ウレタン系樹脂、潤滑剤、無
機コロイド化合物と共に、シランカップリング剤を固形
分で1.0〜20重量%含むものであり、かつ樹脂皮膜
の付着量が0.1〜1.5g/m2 である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、家庭用電気製品、
建材、家具、自動車用部材等に使用される電着塗装性お
よびプレス成形性に優れた樹脂塗装鋼板に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】家電メーカーや自動車メーカーでは、亜
鉛または亜鉛系めっき鋼板の耐食性等を改善するために
鋼板表面に樹脂皮膜を形成させた樹脂塗装鋼板が広く用
いられている。しかし、これらの樹脂塗装鋼板は、電着
塗装を施すとピンホールや凹凸等の欠陥が生じて商品の
価値が著しく低下するといった問題が従来から指摘され
てきた。すなわち樹脂皮膜は導電性が低く電気抵抗が高
いので、電着塗装中は、樹脂皮膜の欠陥部といった電気
抵抗の小さい部分に電流が集中してスパークが発生し、
このスパークの発熱が電着塗膜を変質させるため、平滑
な電着塗膜が得られないのである。
【0003】この問題解決のため、種々の組成の有機樹
脂あるいは有機・無機複合型樹脂を樹脂皮膜用組成物と
して用いた樹脂塗装鋼板が提案されている。例えば皮膜
用組成物として、ウレタン化エポキシ樹脂、親水性ポリ
アミド樹脂、シリカ粒子等を含むもの(特公平3−32
638号)、ポリアミド、ポリアミン、ポリイミン樹脂
の少なくとも1種とシリカの凝集粒子をバインダーであ
るエポキシ樹脂に配合したもの(特開平7−76785
号)等が挙げられる。これらの提案によって、電着塗装
後に中塗りや上塗り塗装が行われるため比較的薄い電着
塗膜を形成するだけで良いエポキシ系カチオン電着塗装
工程においては、ピンホールや表面凹凸等の欠陥発生は
ある程度抑えられる様になってきた。しかし、耐候性等
の特性が良くワンコート(電着塗装のみ)で厚い塗膜を
形成するために用いられるアクリル系カチオン電着塗料
の場合、ピンホールの発生は抑えられず、ユーザーが満
足できる塗装後外観は依然として得られていない。
【0004】一方、樹脂塗装鋼板は、プレス油を用いな
くても良好なプレス加工性が発揮できるため、プレス加
工の際のプレス油飛散による環境悪化を改善する目的
で、特に強加工される製品や加工後に脱脂を省略する製
品に適用されている。このようなプレス加工性を重視し
た樹脂皮膜の素材としては、本願発明と同一出願人によ
って、ウレタン変成ポリオレフィン樹脂に固体潤滑剤と
してフッ素系樹脂粒子とシリカ粒子を添加したもの(特
開平03−17189号)、ウレタン系樹脂に球状ワッ
クス粒子とシリカ粒子を添加したもの(特開平6−29
2859号)、ウレタン系樹脂に球状ワックス粒子と鎖
状シリカを添加したもの(特開平7−171498号)
等が提案されており、これらの樹脂を被覆した樹脂塗装
鋼板が広く用いられている。しかしこれらの樹脂塗装鋼
板に電着塗装を施すと、やはりピンホール等の塗膜欠陥
や塗料のはじき等の問題が発生するため、改善が強く要
望されていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明では、塗
装後の外観に優れた電着塗膜を形成することができ、か
つプレス成形性にも優れている樹脂塗装鋼板を提供する
ことを課題とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の電着塗装性およ
びプレス成形性に優れた樹脂塗装鋼板は、樹脂皮膜によ
って被覆された樹脂塗装鋼板であって、その樹脂皮膜
は、ウレタン系樹脂、潤滑剤、無機コロイド化合物と共
に、シランカップリング剤を固形分で1.0〜20重量
%含むものであり、かつ樹脂皮膜の付着量が0.1〜
1.5g/m2 であるところに要旨を有する。
【0007】シランカップリング剤として、(メタ)ア
クリロイル基、ビニル基、アミノ基、エポキシ基よりな
る群から選択される1個以上の官能基を有する基と、S
i原子に直結する3個のアルコキシ基を有する化合物を
1種、または2種以上用いることが、電着塗装性向上の
ための本発明の好ましい実施態様である。
【0008】樹脂皮膜中における固形分換算で、潤滑剤
は0.5〜20重量%、また無機コロイド化合物は1〜
30重量%含まれていると、より優れたプレス成形性を
得ることができる。潤滑剤としては、ポリエチレンワッ
クス、パラフィンワックス等のワックス類;フッ素樹
脂、塩化ビニル樹脂等の潤滑性樹脂;ステアリン酸亜
鉛、ステアリン酸カルシウム等の金属石けん類;黒鉛、
二硫化モリブデン、窒化ホウ素、メラミン・シアヌル酸
付加物(例えば、三菱油化製「MCA」)等の劈開性を
有する固体潤滑剤等を1種または2種以上使用すること
が推奨される。無機コロイド化合物としては、シリカゾ
ル、アルミナゾル、チタニアゾル、ジルコニウムゾル等
の1種または2種以上の使用が好適である。
【0009】
【発明の実施の形態】上記のように、本発明の電着塗装
性およびプレス成形性に優れた樹脂塗装鋼板は、樹脂皮
膜として、ウレタン系樹脂とシランカップリング剤を組
み合わせたものを選択し、さらにこの樹脂皮膜の最適付
着量を見出したところに最大のポイントを有する。本発
明ではこの構成の採用によって、プレス油を使わずにプ
レス加工ができ、脱脂やりん酸塩処理電着塗装前処理も
不要で、しかも電着塗装後の外観に優れるという高性能
な樹脂塗装鋼板を提供することに成功した。以下本発明
を詳細に説明する。
【0010】本発明の樹脂塗装鋼板では、樹脂皮膜の主
体となる樹脂成分としてウレタン系樹脂を使用する。ア
クリル樹脂やポリエステル樹脂に比べ、得られる樹脂皮
膜の物性(密着性、耐衝撃性、加工性)等に優れるから
である。ウレタン系樹脂としては特に限定されず、ウレ
タン系塗料として市販されているもの、イソシアネート
モノマーと種々のポリオールによって合成されるもの
等、いずれも用いることができ、特に、得られる樹脂皮
膜のショアーD硬度(JIS−K7215により測定)
が30〜70であり、鉛筆硬度がH以上となるものがプ
レス加工性および耐食性の点から好ましく使用できる。
なお、ウレタン系樹脂成分としては、プレス加工性およ
び耐食性を損なわない範囲で、各種の変成が行われたも
のでもよい。
【0011】本発明では、シランカップリング剤の添加
によって、樹脂塗装鋼板の電着塗装性が飛躍的に向上す
ることが見出されたため、樹脂皮膜中にシランカップリ
ング剤が1〜20重量%含まれていることを必須要件と
した。シランカップリング剤の添加によって、電着塗膜
と樹脂皮膜の密着性そして樹脂皮膜と鋼板の密着性が向
上し得られる塗装鋼板は高性能なものとなる。これは、
シランカップリング剤中の有機官能基によって、ウレタ
ン系樹脂と鋼板表面が化学的に結合して密着性を向上さ
せる作用と、シランカップリング剤の官能基が架橋剤的
に働くことにより緻密な皮膜が形成される作用と、水の
存在下でシランカップリング剤が加水分解して生成する
親水性のシラノール基によって水系の電着塗料との親和
性が高まり、樹脂皮膜表面と電着塗料との濡れ性が向上
する作用等の相乗効果によるものと考えられる。
【0012】またシランカップリング剤の添加によっ
て、電着塗膜の外観が非常に美麗なものとなるが、これ
は、シランカップリング剤の添加によって樹脂皮膜の表
面に微細な凹凸が生成し、この凹部が通電点となり得る
ためであると推測される。
【0013】本発明におけるシランカップリング剤とし
ては、アルコキシ基か塩素といった加水分解性基と、官
能基を有するシラン化合物であれば特に限定されず使用
することができる。中でも本発明で好ましく利用できる
のは、官能基自身の反応性や、ウレタン系樹脂中の官能
基(例えばカルボキシル基やヒドロキシル基)との反応
性に優れた(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アミノ
基、エポキシ基よりなる群から選択される1個以上の官
能基を有する基と、Si原子に直結した3個のアルコキ
シ基(メトキシ基および/またはエトキシ基)を有する
化合物である。ウレタン系樹脂との相溶性が良く、しか
も液安定性の良い最も好ましいシランカップリング剤の
具体例としては、γ−(メタクリロキシプロピル)トリ
メトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシ
ル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロ
ピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエト
キシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメ
トキシシラン等であり、これらの1種または2種以上を
使用することができる。
【0014】シランカップリング剤は、樹脂皮膜中に
1.0〜20重量%含まれるべきである。1.0重量%
より少ない場合は、樹脂皮膜の通電点が確保できず、電
着塗料の樹脂皮膜への浸透性が不充分となって電着塗装
性が改善されない。また、樹脂皮膜が緻密に形成されな
いため、耐食性および加工時の耐疵付き性が劣ったもの
となる。一方、20重量%を超えると、樹脂皮膜表面の
凹凸が大きくなり過ぎて電着塗膜の外観を損ない、また
耐食性が劣化する。より好ましいシランカップリング剤
の量は5〜20重量%である。
【0015】本発明では、上記ウレタン系樹脂と、シラ
ンカップリング剤の他に、潤滑剤と無機コロイド化合物
も必須的に樹脂皮膜中に含まれる。潤滑剤はプレス成形
性向上のために必要な成分である。プレス成形の際、樹
脂塗装鋼板は金型との間で厳しい摺動を受けるが、ウレ
タン系樹脂とシランカップリング剤のみからなる樹脂皮
膜では表面の摩擦が大き過ぎる。このため金型と鋼板と
の摺動部では局部的に200℃を超える高温になり、皮
膜の一部が軟化・分解して、疵付きが発生する。潤滑剤
を加えることにより、樹脂皮膜表面の摩擦係数が低下し
て潤滑性が向上するので、耐疵付き性、プレス成形性は
良好になる。
【0016】潤滑剤の種類は特に限定されないが、ポリ
エチレンワックス、パラフィンワックス等のワックス
類;フッ素樹脂、塩化ビニル樹脂等の潤滑性樹脂;ステ
アリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の金属石けん
類;黒鉛、二硫化モリブデン、窒化ホウ素、メラミン・
シアヌル酸付加物(例えば、三菱油化製「MCA」)等
の劈開性を有する固体潤滑剤等を1種または2種以上用
いることが推奨される。
【0017】潤滑剤の含有量は、樹脂皮膜中0.5〜2
0重量%(固形分)であることが好ましい。潤滑剤が
0.5重量%よりも少ないときには、得られる樹脂皮膜
の潤滑性やプレス成形性の充分な向上が望めず、一方2
0重量%を超えると、潤滑性能の点では特に問題がない
ものの、得られる樹脂皮膜と鋼板との密着性が悪くな
り、プレス加工時に皮膜が剥離して金型に付着すること
による黒化現象が起こるため好ましくない。より好まし
い潤滑剤の含有量は、1〜10重量%である。
【0018】次に本発明において用いられる無機コロイ
ド化合物について述べる。無機コロイド化合物として
は、シリカゾル、アルミナゾル、チタニアゾル、ジルコ
ニウムゾルの1種もしくは2種以上用いることができ
る。無機コロイド化合物を樹脂皮膜に含有させることに
より、シランカップリング剤の加水分解基と反応し、よ
り緻密な皮膜が形成するので、耐食性が向上する上、プ
レス成形時の樹脂皮膜の疵付きを抑制する。
【0019】無機コロイド化合物は、樹脂皮膜中1〜3
0重量%(固形分)含有させることが好ましい。1重量
%より少ないと、得られる皮膜の耐食性およびプレス成
形時の耐疵付き性が不充分となり、30重量%を超える
と、無機コロイド化合物が増摩剤として作用するように
なり、皮膜の摩擦係数を高めて潤滑性を低下させ、その
結果加工後の外観を劣化させることがある。特に無機コ
ロイド化合物の効果を最大限に発揮させるには、含有量
を5〜20重量%の範囲にすることが推奨される。
【0020】本発明においては、上記各種成分からなる
樹脂皮膜を鋼板表面に設けるに当たり、各種成分の作用
を効果的に発現させるために、樹脂皮膜の付着量を0.
1〜1.5g/m2 とする必要がある。鋼板への付着量
が0.1g/m2 よりも少ない場合、目的とする潤滑効
果を得ることができず、プレス加工時の塗膜の疵付きが
大きい。また、耐食性も充分とは言えない。一方、付着
量が1.5g/m2 より多いと、プレス加工性・耐食性
は良好となるものの、電着塗装時にピンホールが発生し
外観を損ない、電着塗膜の密着性が低下する。従って、
電着塗装性、プレス成形性、耐食性を全ての特性をバラ
ンス良く発揮させるために、樹脂皮膜の付着量は0.1
〜1.5g/m2 と定めた。
【0021】本発明において使用される鋼板の種類は、
特に限定されない。好適には、例えば溶融めっき法、電
気めっき法、蒸着めっき法等の製造方法によって作製さ
れた亜鉛系めっき鋼板(純Znめっき、Zn−Niめっ
き、Zn−Feめっき、Zn−Crめっき等)、あるい
はこれらにクロメート処理等の表面処理が施されたもの
が挙げられる。
【0022】次に、本発明の樹脂塗装鋼板の製造方法に
ついて説明する。樹脂塗装鋼板は、ウレタン系樹脂、潤
滑剤、無機コロイド化合物およびシランカップリング剤
を必須成分として含む塗布液を、任意の塗布方法で、原
板鋼板(亜鉛系めっき鋼板やクロメート処理した亜鉛系
めっき鋼板等)の表面に塗布し、乾燥させることによっ
て製造すればよい。塗布方法には一切制限がなく、例え
ば、表面を清浄化し、あるいはクロメート処理を施した
亜鉛系めっき鋼板表面に、ロールコーター法、スプレー
法、カーテンフローコーター法等を用いて塗布する方法
が挙げられる。塗膜厚さの均一性や処理コスト、塗布効
率等を総合的に考慮して、最も実用上好ましいのは、ロ
ールコーターで塗布する方法である。なお、本発明の樹
脂塗装鋼板には、鋼板の片面のみ、または両面に樹脂皮
膜が形成されたもののいずれも含まれる。
【0023】塗布液は、溶液タイプ、エマルジョンタイ
プのいずれも使用可能であり、ウレタン系樹脂の樹脂塗
装鋼板の電着塗装性およびプレス成形性を大きく変化さ
せない範囲で、顔料、部分架橋剤、希釈溶媒、界面活性
剤、消泡剤、浸透剤、造膜助剤、増粘剤等の各種添加剤
を加えてもよい。
【0024】
【実施例】以下実施例によって本発明をさらに詳述する
が、下記実施例は本発明を制限するものではなく、前・
後記の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施することは全て
本発明の技術範囲に包含される。
【0025】実施例1…樹脂系の検討 まず、最適ベース樹脂を選択するために、樹脂系の検討
を行った。樹脂塗布用の原板として、電気亜鉛めっき鋼
板(亜鉛付着量:20g/m2 )にクロメート処理(C
r付着量:20mg/m2 )を施したものを用いた。一
方、樹脂皮膜形成用組成物(樹脂塗布液)に使用するベ
ース樹脂としては、ショアーD硬度51のウレタン系樹
脂(第一工業製薬社製スーパーフレックス)、アクリル
樹脂(大日本インキ化学社製ボンコート)、ポリエステ
ル樹脂(三井東圧化学社製アルマテックス)を選択し
た。それぞれの樹脂塗布液には、シランカップリング剤
としてγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン:
10重量%、潤滑剤としてポリエチレンワックス:10
重量%、無機コロイド化合物としてコロイダルシリカを
SiO2 として10重量%を配合した。樹脂塗布液を良
く撹拌して均一に混合・分散させた後、原板表面に絞り
ロールを用いて、乾燥後付着量1g/m2 となるように
塗布した。これを80℃で乾燥させて樹脂皮膜を形成さ
せ、樹脂塗装鋼板を得た。
【0026】得られた樹脂塗装鋼板は、動摩擦係数、プ
レス性能(疵付き、黒化)および耐食性の評価用供試材
と、電着塗装工程用の供試材に分けた。電着塗装条件は
以下の通りである。 電着塗料:日本油脂社製アクリルカチオン電着塗料「ア
クア4800」 浴温度 :28℃ 通電時間:2分間 通電電圧:160〜230V 塗膜膜厚:25μm 通電方法:ドカン法 水洗 :上水スプレー水洗 焼付条件:180℃×20分間
【0027】電着塗装後には、外観、密着性、耐衝撃性
の評価を行った。樹脂塗装鋼板と、樹脂・電着塗装鋼板
の各性能評価結果を表1に示した。なお測定・評価方法
は以下の通りである。 (1)動摩擦係数の測定 樹脂塗装鋼板に対して、摺動試験装置を用いて加圧力1
50kgにおける摺動を行い、その荷重から動摩擦係数
を求めた。動摩擦係数は両面同時に測定し、測定結果は
両面の平均で表示した。 (2)プレス性能(疵付き、黒化) 単発プレス試験機を用いて樹脂塗装鋼板をプレス成形し
た後、成形品の摺動面の疵付きおよび黒化を評価した。
【0028】(3)耐食性 JIS Z 2371に記載された方法に準じて樹脂塗
装鋼板の塩水噴霧試験を行い、耐食性について調べた。
測定結果は平板裸材のSST白錆1%発生時間を示す。 (4)電着塗膜の外観 電着塗装後の塗膜の外観について、ゆず肌状であるか否
か、またピンホールの発生があるかないかを、目視によ
って総合的に評価した。
【0029】(5)電着塗装後の塗膜密着性 ・碁盤目試験 電着塗装後、鋼板表面にカッターナイフで1mm間隔の
碁盤目を設け、セロハンテープによる剥離試験を行っ
て、塗膜の剥離状況を目視評価した。 ・エリクセン試験 エリクセン試験装置を用いて、電着塗装後の鋼板を4.
5mm押し出した後、塗膜のクラックの発生状況を目視
評価した。
【0030】(6)耐衝撃性試験 デュポン衝撃試験装置を用い、重さ500g×ポンチ径
1/2インチの衝撃子を高さ300mmから落下させる
衝撃試験を行って、塗膜のクラック発生状況、またセロ
ハンテープ貼着後の塗膜の剥離状態を評価した。
【0031】
【表1】
【0032】表1から、ベース樹脂としてウレタン系樹
脂を使用すると、アクリル樹脂やポリエステル樹脂に比
べ、プレス性能、耐食性、電着塗装性に優れていること
が明らかである。
【0033】実施例2…シランカップリング剤の添加量
についての検討 次にシランカップリング剤の添加量を検討した。実施例
1で用いたウレタン系樹脂塗布液において、ポリエチレ
ンワックスとコロイダルシリカは種類、量とも変えず、
シランカップリング剤(γ−グリシドキシプロピルトリ
メトキシシラン)の量を表2に示した様に0〜20重量
%の範囲で変化させた。各樹脂塗布液を、実施例1と同
じ原板の表面に、絞りロールによって乾燥後付着量が1
g/m2となる様に塗布し、80℃で乾燥させて樹脂皮
膜を形成させ、樹脂塗装鋼板を得た。実施例1と同じ条
件で電着塗装も行い、樹脂塗装鋼板と樹脂・電着塗装鋼
板について実施例1と同様にして性能評価を行い、表2
にその結果を示した。表2から、シランカップリング剤
が1.0〜20.0重量%であれば、良好なプレス性能
と電着塗装性が得られることが確認された。
【0034】
【表2】
【0035】実施例3…潤滑剤の添加量についての検討 次に潤滑剤の添加量を検討した。実施例1で用いたウレ
タン系樹脂塗布液において、シランカップリング剤(γ
−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)とコロイ
ダルシリカは種類、量とも変えず、潤滑剤の種類と量を
表3および4に示した様に変化させた。各樹脂塗布液
を、実施例1と同じ原板の表面に、絞りロールによって
乾燥後付着量が1g/m2 となる様に塗布し、80℃で
乾燥させて樹脂皮膜を形成させ、樹脂塗装鋼板を得た。
また実施例1と同条件で電着塗装も行った。得られた樹
脂塗装鋼板と樹脂・電着塗装鋼板について実施例1と同
様にして性能評価を行い、結果を表3および4に示し
た。
【0036】
【表3】
【0037】
【表4】
【0038】表3および表4から、潤滑剤が含まれてい
ないとプレス性能が悪く、また多過ぎると電着塗装性が
悪化する傾向にあることがわかる。本発明例は、どの潤
滑剤においても優れたプレス特性と電着塗装性が得られ
た。
【0039】実施例4…無機コロイド化合物の添加量に
ついての検討 次に無機コロイド化合物の添加量を検討した。実施例1
で用いたウレタン系樹脂塗布液において、シランカップ
リング剤とポリエチレンワックスは種類、量とも変え
ず、無機コロイド化合物の種類と量を表5および6に示
した様に変化させた。各樹脂塗布液を、実施例1と同じ
原板の表面に、絞りロールによって乾燥後付着量が1g
/m2 となる様に塗布し、80℃で乾燥させて樹脂皮膜
を形成させ、樹脂塗装鋼板を得た。また実施例1と同条
件で電着塗装も行った。得られた樹脂塗装鋼板と樹脂・
電着塗装鋼板について実施例1と同様にして性能評価を
行い、結果を表5および6に示した。
【0040】
【表5】
【0041】
【表6】
【0042】表5および表6から、無機コロイド化合物
が含まれていなくても、また多過ぎてもプレス性能と耐
食性が悪いことがわかる。本発明例は、どの無機コロイ
ド化合物においても優れたプレス特性と電着塗装性が得
られた。
【0043】実施例5…樹脂付着量についての検討 実施例1で用いたウレタン系樹脂塗布液を実施例1と同
じ原板の表面に、乾燥後付着量が0.05〜2.0g/
2 となる様に変化させて、絞りロールで塗布した。8
0℃で乾燥させて樹脂皮膜を形成させ、樹脂塗装鋼板を
製造した。実施例1と同条件の電着塗装(アクリル系)
と、下記条件でのエポキシ系電着塗装を行った。得られ
た樹脂塗装鋼板と樹脂・電着塗装鋼板について実施例1
と同様にして性能評価を行い、結果を表7に示した。 電着塗料:日本ペイント社製エポキシカチオン電着塗料
「U−100」 浴温度 :28℃ 通電時間:3分間 通電電圧:250V 塗膜膜厚:20μm 通電方法:ドカン法 水洗 :上水スプレー水洗 焼付条件:170℃×20分間、30秒間立ち上がり制
【0044】
【表7】
【0045】表7から、樹脂皮膜の付着量を0.1〜
1.5g/m2 とすることによって、プレス性能と電着
塗装性の両立が図れることが確認された。また、エポキ
シ系電着塗装ではアクリル系電着塗装より優れた結果が
得られた。一方、比較例7は、樹脂皮膜の効果が発現せ
ず、電着塗装後の外観のみが良好で、それ以外の項目は
全て劣る結果となった。比較例8では樹脂皮膜が厚いた
め、エポキシ系電着塗装(20μm)では特に問題はな
かったが、アクリル系電着塗装(25μm)では電着塗
膜にピンホールが発生し、外観や密着性が悪化した。
【0046】
【発明の効果】本発明の樹脂塗装鋼板は、ウレタン系樹
脂とシランカップリング剤、さらに潤滑剤および無機コ
ロイド化合物を含有する皮膜を鋼板表面に形成させたも
のであり、樹脂皮膜が被覆されたままで、外観や密着性
に優れた電着塗膜を形成することができる。また本発明
の樹脂塗装鋼板はプレス成形性にも優れており、プレス
成形時の塗油および脱脂作業や、電着塗装前処理(リン
酸塩処理等)が省略できるため、作業環境が改善される
と共に、省工程による生産性向上およびコストダウンが
可能になった。この樹脂塗装鋼板は優れた耐食性もあわ
せ持つので、例えばオーディオのシャーシ類に塗装無し
で使用する等、広範な用途展開が可能である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B05D 7/24 303 B05D 7/24 303B

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 樹脂皮膜によって被覆された樹脂塗装鋼
    板であって、樹脂皮膜は、ウレタン系樹脂、潤滑剤、無
    機コロイド化合物と共に、シランカップリング剤を固形
    分で1.0〜20重量%含むものであり、かつ樹脂皮膜
    の付着量が0.1〜1.5g/m2 であることを特徴と
    する電着塗装性およびプレス成形性に優れた樹脂塗装鋼
    板。
  2. 【請求項2】 シランカップリング剤が、(メタ)アク
    リロイル基、ビニル基、アミノ基、エポキシ基よりなる
    群から選択される1個以上の官能基を有する基と、Si
    原子に直結する3個のアルコキシ基を有する化合物の1
    種または2種以上である請求項1に記載の樹脂塗装鋼
    板。
  3. 【請求項3】 潤滑剤が樹脂皮膜中に固形分換算で0.
    5〜20重量%含まれている請求項1または2に記載の
    樹脂塗装鋼板。
  4. 【請求項4】 無機コロイド化合物が樹脂皮膜中に固形
    分換算で1〜30重量%含まれている請求項1〜3のい
    ずれかに記載の樹脂塗装鋼板。
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