【発明の詳細な説明】
大形回転電機のための導体巻線装置
この発明は、約20MVA特に約50MVA以上の電気入力又は出力を有する大
形回転電機特にタービン発電機のための導体巻線装置に関し、この導体巻線は部
分的にスロット中に挿入された巻線バーから成る。
通常の巻線バーの構造の詳細な説明は例えばドイツ連邦共和国特許第31028
49号明細書に記載されている。それによれば巻線バーは導電性の一般には銅の
一つ又は複数の棒及び棒を囲む絶縁層から成り、これらの棒は全体として又は部
分的に冷却媒体を導(ために中空とすることができる。この絶縁層は一般に導体
装置が例えば雲母のような強固な絶縁材料を含み含浸可能なテープにより巻かれ
ることにより製造され、テープ層は例えば合成樹脂のような液状の硬化可能な充
填剤を含浸され、最後に充填剤が硬化される。含浸された絶縁材料は硬化前には
全く形状安定性を有しないので、硬化は巻線バーを入れられたプレス金型の中で
行われる。
大形回転電機のための導体巻線装置の組立は従来技術によれば、巻線バーが支持
体に加工されたスロット中に挿入され、そしてスロットが適当な装置により閉鎖
され、個々の巻線バーが導体巻線を形成するために電気的に相互に接続されるよ
うに行われる。
大形回転電機の駆動の際に巻線バーは大きい力にさらされる。静止した巻線バー
の場合にはまず第1に磁力が問題となり、回転する巻線バーの場合には遠心力の
追加が重要である。スロット中に巻線バーを固定するための方法は例えばドイツ
連邦共和国特許出願公開筒3[116996号公報に記載されている6巻線バー
を遊びなくスロット中に固定するために、十分に負荷能力のあるスロット閉鎖装
置のほかにばね弾性要素がスロット中に組み込まれる。
大形回転電機のための巻線バーの絶縁の特に経済的な製造方法として、類似の形
で既に小形変圧器などの製造のために知られているいわゆる全含浸法が近年開発
された。全含浸法の工程ではまず事前に充填剤を含浸せずに導体巻線を備えた支
持体が完全に組み立てられ、特に巻線バーは含浸されていない絶縁材料外被によ
り囲まれ、続いて全体として含浸される。巻線バーは組み込み完了状態で初めて
充填剤含浸を受けるので、組み込み前の含浸工程における形に忠実な絶縁層の高
額な製作費が不要である。
全含浸法はそれに伴う費用が少なくない(特に含浸しようとする装置のための含
浸槽を収容する数メートルの寸法を有する容器が必要である)が、多くの長所を
有する。即ち充填剤が十分に流動性でさえあれば、充填剤は含浸の際に装置中に
残っているすべての間隙を充填し、従って硬化が行われた後に単一の緻密な固体
を形成することができる。それにより優れた電気的特性特に絶縁体の高い品質が
保証される。更に硬化された充填剤はスロット中での巻線バーの固定のために寄
与するので、スロット閉鎖装置に対する要求を場合によってはかなり低減するこ
とができる。また場合によってはスロット中の巻線バーの位置を固定する補助的
なばね要素を省略できるので、電気出力容量に対する要求が与えられた場合に従
来の機械に比べて小型にすることが可能である。
導体巻線装置の含浸のために通常は、装置の運転温度より明らかに高い温度で硬
化する充填剤特に合成樹脂が用いられる。運転温度は特に水冷式大形回転電機の
場合に100”C前後の範囲にあるので、一般に硬化温度が約100”Cないし
約200@C望ましくは約150’C前後の範囲にある充填剤が用いられる。
硬化のために含浸された装置を硬化温度に相当するか又は僅かにそれより高い温
度に加熱すべきである。一般的に約150°Cの温度への加熱は事情によっては
支持体の熱に基づく顕著な形状変化を招くおそれがあり、このことは特に含浸の
硬化完了後の冷却の際に問題となるおそれがある。冷却の際には成る程度の収縮
が起こり支持体中に引張応力が発生する。この引張応力は硬化された充填剤の脆
性に応じて間隙発生を招くおそれがある。一方ではこの種の間隙により強度が著
しく損なわれるおそれがあり、他方では間隙中に運転の際にグロー放電が発生す
るおそれがある。グロー放電は絶縁物の品質を損なうばかりでなく時間の経過と
共に絶縁層の損傷を招くおそれがある。
従ってこの発明の課題は、コントロールできないような亀裂の形成が防止され、
それによりグロー放電の発生がそれに由来する損傷と共に防止されるような導体
巻線装置を提供することにある。
この課題は、導体巻線を備える支持体から成り、その際導体巻線が部分的にスロ
ット中に挿入された導体バーから成り、各導体バーが絶縁層により囲まれた導体
装置を有するような、大形回転電機のための充填剤を含浸可能な導体巻線装置に
おいて、この発明に基づき、各巻線バーが第1の半導体層により覆われ、各巻線
バーと各スロット壁との間には、第1の半導体層と電気的に接続された少なくと
も一つの第2の半導体層及び分離層が設けられ、その際分離層により第1の半導
体層と少なくとも一つの第2の半導体層との間の充填剤に基づ(付着が低減され
ることにより解決される。
この発明によれば、硬化された充填剤中の熱膨張及び収縮過程に起因する亀裂形
成があらかじめ定められた領域中に集中させられ、その際この領域ではグロー放
電を誘発する過度な電界強度が生じるおそれがないということが保証される。
この領域は巻線バーを収容する支持体のスロット中で硬化された充填剤が分離層
と接触する領域により与えられる。充填剤は分離層と全く又は僅かしか付着しな
いので、材料の損傷を起こすことなく各接触個所に間隙が発生できる。充填剤と
分離層との接触域が電気的に相互に接続された二つの半導電性層の間に存在する
ので、接触域はほぼ一定の電位が存在する領域である。従ってグロー放電はそこ
では発生せず、その結果接触域における亀裂による充填剤の絶縁品質の低下がほ
ぼ防止される。スロット中への分離層の導入によりその強度に関してスロット中
の他の領域より劣る領域が生じるが、しかし推定上のこの弱点は特に考慮するJ
必要はなく従ってこの発明の対象ではない。なぜならばスロット中に巻線バーを
固定するためのすべての公知の手段が利用できるからである。装置の長い寿命の
ために必要な優れた機械的特性は当業者によ(知られた手段により達成すること
ができる。
分離層の主な構成部分は充填剤に濡れない分離剤である。この種の分離剤として
は充填剤として合成樹脂が用いられる場合に、例えば油状又はグリース状の物質
、ポリテトラフルオロエチレン、シリコーンコンパウンドなどが考えられる。
この種の分離剤を適当な支持体上に塗布する、例えば布に分離剤を含浸するか又
はフィルムに構成部分として分離剤を添加するのが有利である。更に場合によっ
ては適当な添加物により半導電性にしたポリテトラフルオロエチレンなどのよう
な濡れない物質から成るフィルムを使用することもできる。
この発明の有利な構成では、特に試験済みの工程においてこの発明に基づ(装置
の製造を可能にするために、巻線バーの第1の半導体層が、半導電性布特に導電
性顔料を添加したプラスチックから成る織物又は不織布から成り絶縁層上に巻き
付けられたテープにより形成される。従って半導体層の材料は一般に絶縁材料を
含むテープを用いた巻き付は層により生じる絶縁層の材料に似ており、半導体層
の材料の加工は絶縁層の被覆と同じ方法で行うことができる。それにより合理的
な加工が可能である。少な(とも一つの第2の半導体層を半導電性布又はフィル
ムから成り巻線バー上に巻かれたテープとして構成することも同一の目的に役立
つ。
この発明の有利な構成では、含浸の際に充填剤に基づく第1の半導体層と少なく
とも一つの第2の半導体層との付着が分離層のために完全には妨げられず、でき
る限り広い面積に分散して半導体層の間に接触個所が残っている。これらの接触
個所では半導体層は相互に電気的に接続することができ、接触を確保する装置は
そのほかに必要でない。また分離層を貫く第1の半導体層と少なくとも一つの第
2の半導体層との電気的接続は、分離層と充填剤との接触域での最善の電位均一
化を保証する。なぜならば層の電気的接続を最適に短く保つことができ、比較的
大きいループを介する必要がないからである。
半導体層相互の完全には中断されない付着は、分離層と充填剤との接触域の強度
が成る程度残ることも保証する。この強度は装置の安定性を全体として補助し、
特に運転時に非常に高い負荷を受ける装置の場合には望ましい。
場合によってはそれ自体半導電性である分離層を用いることもできる。半導電性
分離層として特に半導電性顔料を含む分離剤を用いるか、又は分離剤を含浸した
半導電性布又は半導電性フィルムを用いることができる。
この発明の別の有利な構成は、分離層を半導体層のうちの一つの材料と統合する
、特に分離層を半導体層の被膜として分離剤により構成することにある。こうし
て導体巻線装置への分離層の導入が相応の半導体層と同時に行われ、導体巻線装
置の製造過程が実質的に簡単化される。この発明の有利な実施態様では各巻線バ
ーが第1の半導体層上に被覆されたテープの形の分離層を有し、その際テープが
充填剤に濡れない分離剤を含む。分離層を形成するテープを第1の半導体層上に
巻き付けるのが特に有利である。それにより巻線バーへの分離層の導入は通常の
方法の枠内で可能である。
第1の半導体層と少なくとも一つの第2の半導体層との特別に良好な電気的接続
は、導電性棒の形の少なくとも一つの接触導体の組み込みにより達成され、この
接触導体は第1の半導体層とばかりでな(少なくとも一つの第2の半導体層とも
電気的に接続するように、分離層と共に第1の半導体層上に取り付けられる。
その際テープが第1の半導体層の周囲への巻き付けの際に交互に接触導体の上及
び下へ導かれるように、少な(とも一つの接触導体を分離層形成テープと共に巻
線バーの第1の半導体層上に固定するのが特に有利である。この構成によっても
大きいループを回避する第1の半導体層と少なくとも一つの第2の半導体層との
電気的接続が可能となる。それにより各半導体層間の分離層と充填剤との接触域
での電位の不変性が特に保証され、この発明の目的に特に叶う装置が得られる。
この発明の別の有利な構成によれば、少なくとも一つの第2の半導体層が、半導
電性材料から成り少な(とも一つのスロット壁を覆う内張りにより与えられる。
この構成の枠内では各巻線バーに固有の第2の半導体層を設けることは必要でな
い。巻線バー当たりの明らかに少ない所要空間が結果として得られるので。
導体巻線装置を所定の負荷容量に対して特にコンパクトに構成するか、又は別の
観点から例えば大形回転電機の巻線装置に与えられた機能に関して最適化するこ
とが可能である。スロットの内張りに対しては既に述べた半導電性布が好適であ
る。このような構成の有利な実施態様ではスロット内張りは、例えば被膜の形で
又は既に述べたスロット内張り上に半導電性布をかぶせた別の内張りの形で分離
層を設けることができる。その際すべてのスロット壁のスロット内張りに分離層
を設けることは必ずしも必要でない。この発明に基づく長所はスロット内張りが
分離層を備えた唯一のスロット壁に設けられるときに既に発揮される。それによ
り導体巻線装置と分離層を有しないスロット壁との強固な付着が、装置の強度向
上のために補助的に寄与する。
この発明は、充填剤特に硬化される合成樹脂を含浸された大形回転電機のための
導体巻線装置を、部分的に支持体のスロット中に挿入された巻線バーから成る導
体巻線を備えた支持体の形で提供し、その際支持体の各スロットが電気的に遮蔽
された少なくとも一つの領域を有し、この領域の強度はスロット中の他の領域に
比べて減少している。例えば熱的膨張及び収縮過程により起こる充填剤の亀裂は
強度の小さい前記領域中に生じやすい。この領域ではほとんど電位勾配が生じな
いので、亀裂中の火花発生が実際上防止され、装置の電気的品質の低下が防止さ
れる。更に亀裂形成の起こりやすい領域が良好に限定されるので、亀裂形成にも
かかわらず装置の機械的強度の低下を強度を高める手段の適当な利用により回避
することができる。
この発明は、充填剤特に硬化性の合成樹脂による含浸後に大形回転電機の部分と
して特に固定子又は回転子として特に適している導体巻線装置を提供する。なぜ
ならばこの導体巻線装置は所定の負荷容量に対し特にコンパクトな形を得ると共
に優れた電気的特性を備える特別な堅固さを有するからである。
この発明の詳細な説明を以下図面に示した実施例により行う。
第1図は、含浸のために準備されたこの発明に基づ(導体巻線装置の部分図を示
す。
第2図は、この発明に基づ(装置への組み込みのために特に適した巻線i<−の
一実施例を示す。
第3図は、特別に有利に構成されたこの発明に基づく装置の部分図を示す。
第1図に示すように、支持体1は巻線バー3を収容するために用いられるスロッ
ト2を備え、巻線バー3の挿入後に当業者に種々の構成で知られているこの発明
の対象ではない適当なスロット閉鎖装置4により閉鎖される。その際支持体1は
例えば回転子のように一体の又は二、三の要素だけから組み立てられたブロック
から成るか、又は例えば固定子に対してよく用いられるように多数の個々の板5
から組み立てることができる。その際両者の混合形式も自明のように当業者によ
り実施可能である。
巻線バー3は主構成部分として絶縁層7により囲まれた導体装置6を備える。
導体装置6は少なくとも一つの導電性棒特に銅棒から成り、所定の運転負荷に応
じて冷却媒体などを案内する流路を有することができる。絶縁層7は一般にテー
プの巻き付は層から成り、テープは例えば雲母のような絶縁材料を備え、例えば
合成樹脂のような充填剤を含浸可能である。充填剤含浸の完了後に絶縁層7はほ
ぼ緻密で均一な固体となり、この固体内部にはテープの繊維組織が絶縁材料と共
に入っている。
この発明によれば巻線バー3の絶縁層7は第1の半導体層8により囲まれ、この
半導体層8上には少なくとも巻線バー3のスロット壁11に向かう側面に、装置
に含浸しようとする充填剤に全く又はほとんど濡れない材料から成る分離層9が
張り付けられている。分離層9は分離層9及び第1の半導体層8上にかぶせられ
た第2の半導体層10により巻線バー3上に固定されている。
支持体1、巻線バー3及びスロット閉鎖装置4から成る巻線装置が完全に組み立
てられると、巻線装置は硬化可能な合成樹脂又は類似の充填剤により全体として
含浸され、充填剤が硬化される。硬化のために本来の充填剤には多くの場合相応
の化学薬品が添加混合され、硬化過程の誘起のために通常の合成樹脂の場合には
約150″Cの範囲の所定の温度に充填剤を加熱することが必要である。硬化が
行われた後に装置は再び冷却される。その際熱的収縮過程に基づき装置内部に特
にスロット2内部に、場合によっては亀裂形成を招くおそれのある引張応力が生
じる。
この発明の重要な要素は、支持体lの各スロット2の中で発生する亀裂を所定の
領域に集中させ、更にこの領域ではグロー放電を誘発する過度の電界強度が発生
するおそれがないように配慮することである。この領域は硬化した充填剤が分離
層9と接触するスロット2中の領域により形成される。充填剤は分離層9と全(
又は少ししか付着しないので、材料の損傷を招くことなく各接触個所に間隙が生
じ得る。分離層9は第1の半導体層8又は第2の半導体層10から成り相互に結
合された導電性の二つの層の間に囲まれているので、分離層9従って充填剤と分
離層9との間の接触域は電位の無い領域中に存在する。電界従ってグローl!j
、iiiがこの領域中で発生するおそれがないので、優れた電気的品質が保証さ
れる。スロット2中への分離層9の導入によりその強度に関してスロット2中の
他の領域より劣る個所が生じるが、しかし推定上のこの弱点を考慮することは必
要でない。充填剤の含浸を受けない支持体1のスロット2中で巻線バー3を固定
するために用いることができるすべての手段が利用される。特に長い寿命をもた
らす優れた機械的特性が保証される。
第2図は、この発明で用いることができるような巻線バー3の特別な構造を示す
、この実施例の特徴は、巻線バー3の絶縁層7上の第1の半導体層8の周囲に巻
き付けられた分離層9がテープの形をとることである。
第1の半導体層8と第2の半導体層10との間の導電接続は、第1図に示す実施
例では第1の半導体層8と第2の半導体層10とが相互に部分的に接触すること
により保証されたが、第2図に示す巻線バー3の場合にはこれは導電性材料特に
銅から成る補助の接触導体13によりもたらされ、接触導体13は分離層9上に
巻き付けられた第1の半導体層8及び第2の半導体層10に交互に接触するよう
に、分離層9と共に第1の半導体層8上に設けられている。それによりこの種の
巻線バー3はその全周において、熱応力から生じる亀裂がグロー放電などに対し
て守られた領域に集中することを保証する。
第3図は、この発明に基づく導体巻線装置の有利な構成を示す。巻線バー3は第
1の半導体層8だけを有し、巻線バー3の外側領域中に組み込まれる分離層9の
代わりに、スロット壁11が分離層9のように充填剤に濡れないスロット内張り
14を有し、それにより亀裂の形成を制限するための領域がスロット壁11の周
囲の領域へ移される。スロット内張り14の領域での電位均一化は、巻線バー3
の第1の半導体層8が支持体lと導電接続されることによりもたらされる。この
ことはスロット底12がスロット内張りI4を有せず、それにより第1の半導体
層8がスロット底12を介して支持体lと電気的に接続することにより行われる
のが合目的的である。スロット底12に対してスロット内張り14を省略できな
い場合には、例えばスロット底12のために第2図に示したのと同様に電気的接
続を保証する接触導体13により貫かれたスロット内張り14を使用することが
考えられる。
各実施例では二つの巻線バー3を備えるスロット2だけを紹介した。自明のよう
にこの発明は二つの巻線バー3を備える装置ばかりでなく、周知の方法で説明の
ためにだけ用いられた図示の実施例から考えられるすべての装置を含む。
この発明は、電気的損失の最小化及び寿命の向上を考膚して特別の方法で全含浸
の長所の利用を可能にするような、大形回転電機のための導体巻線装置を提供す
る。
国際調査報告 ol、rlr+v QQlonA<G□□kPCT/DE 89
100456