JPH046477B2 - - Google Patents
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- JPH046477B2 JPH046477B2 JP61243780A JP24378086A JPH046477B2 JP H046477 B2 JPH046477 B2 JP H046477B2 JP 61243780 A JP61243780 A JP 61243780A JP 24378086 A JP24378086 A JP 24378086A JP H046477 B2 JPH046477 B2 JP H046477B2
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Description
〔産業上の利用分野〕
本発明はアーク溶接用複合ワイヤに関する。
〔従来の技術〕
アーク溶接用複合ワイヤは近年CO2溶接に用い
る単純断面形状の細径ワイヤを主体に急速に普及
して来た。この理由は細径ワイヤに比較的大きな
電流を流すため溶接能率が高く、コスト低減効果
が大きいこと、また充填フラツクスの主成分をル
チールとしているために、すぐれたアーク特性と
スラグ物性により安定したアークが保持されて、
良好な溶接が容易に行なえることなどにある。特
に立向、上向溶接などが多く採用される造船業に
於ては、本発明者らが先に開発した技術(特開昭
57−72795号)により複合ワイヤによるCO2溶接
が、下向溶接から、立向上進、立向下進、上向姿
勢まで同一電流で容易にできるようになつたた
め、現在では主要な溶接法として広く採用されて
いる。 〔発明が解決しようとする問題点〕 この様な用途において全姿勢溶接性を強調し、
美麗な溶接ビードを得るべく、溶融スラグの融点
を高くしようとすると、必然的に充填フラツクス
の成分もTiO2、ZrO2、Al2O3、MgOといつた高
融点酸化物の配合比が高くならざるを得ない。し
かしワイヤの断面が第6図a,bの様な単純な形
状の細径複合ワイヤでは、高融点酸化物の配合比
を高めると、充填した高融点フラツクスが外皮よ
りも溶融が遅れて、未溶融のまま溶接時にアーク
柱に突き出し、溶融池に不規則に移行する結果、
スパツタを多発させる原因となつている。 この現象は全姿勢溶接時のアーク状態を改良す
る目的でNa、K等のアーク安定剤を組合せ添加
した複合ワイヤにおいて特に顕著である。これは
NaK、Liといつたアーク安定剤を添加するとア
ーク長が長くなるので、外皮金属のみ溶融して充
填フラツクスが未溶融のままアーク柱内で溶け残
り、スパツタが却つて多く発生するものと考えら
れる。 この問題を解決するため本発明者らは、高融点
フラツクスを充填して美麗な溶接ビードの得られ
る複合ワイヤにおいて、スパツタの少ない良好な
溶接を実現するために種々の研究を進めて来た。
その結果、フレーク状鉄粉を用いることによりア
ーク状態を根本的に改良し、未溶融フラツクスの
突き出しを防止し、スパツタの発生を減少できる
という知見を得て、先に特許出願をおこなつた。
(特願昭61−6698号)。 しかしその後の研究によりアーク状態を根本的
に改良するには、鉄粉の形状効果はもとより鉄酸
化物含有量が低い鉄粉を用いることにより未溶融
フラツクスの突き出しを防止し、スパツタの発生
を減少できるという知見を得た。また、合わせて
C含有量の低い鉄粉を用いることにより、複合ワ
イヤの伸線時における断線が解消されることも確
認され、本発明をなしたものである。 本発明は上述した、従来のアーク溶接用複合ワ
イヤ使用時の未溶融フラツクスの突き出しを解消
し、スパツタの発生を大幅に減少させるととも
に、伸線時の断線を解消させるアーク溶接用複合
ワイヤの提供を目的とする。 〔問題点を解決するための手段〕 本発明に係るアーク溶接用複合ワイヤは、鉄酸
化物が2.0重量%以下、Cが0.050重量%以下の鉄
粉を10重量%から35重量%含有したルチール系フ
ラツクスを金属外皮に充填したことを特徴とする
ものであり、更に上記成分で且つ下記(1)式で定義
する形状の鉄粉を5重量%から35重量%含有した
フラツクスを金属外皮に充填したことを特徴とす
るものである。 3≦W1/t≦200 ……(1) ここで W1:鉄粉の最大幅径 t:鉄粉の最大厚さ 〔作用〕 以下に本発明アーク溶接用複合ワイヤを上記構
成とした理由につき詳細に説明する。(以下重量
%を単に%と表示する。) 先ず鉄粉中の鉄酸化物の含有量を2.0%以下に
規定した理由について説明する。本発明者らは鉄
酸化物含有量が0.5、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、
3.5、4.0、4.5、5.0%で、且つC含有量が0.015%
である鉄粉を、TiO2:35%、SiO2:2%、
ZrO2:5%、MgO:3%、NaF:0.5%、
K2TiO3:1%、Fe−Si:7%、Fe−Mn:15%、
Fe−Al:3%なるフラツクス全重量に対して
28.5%添加し、このフラツクスをワイヤ全重量に
対し16%充填し、第6図aに示す単純断面形状の
1.6mmφの複合ワイヤを試作した。なお1は金属
外皮、2はフラツクスである。 この試作ワイヤを用いて250A−26VでV溝開
先を立向上進溶接し、未溶融フラツクスの突き出
し長さとスパツタ量を測定した。ここで未溶融フ
ラツクスの突き出し長さは、高速度カメラによる
写真撮影により求め、スパツタは銅製容器で囲つ
て溶接することにより全量捕集し、1分間当たり
の発生量として評価した。 この測定結果を示す第1図によれば、未溶融フ
ラツクスの突き出し長さは鉄粉中の鉄酸化物含有
量が3.0%以上ではワイヤ径(d)の2倍以上もある
が、2.5%ではワイヤ径(d)程度に減少し、さらに
2.0%以下ではワイヤ径(d)の1/2まで減少すること
が理解される。 また、スパツタの発生量は、鉄酸化物が3.0%
以上では1分間当たり4.5g前後で非常に多発し、
2.5%で約50%減少し、さらに2.0%以下では70%
以上も減少した。 即ち鉄粉中の鉄酸化物が2.5%以上では、鉄粉
表面の酸化被膜により通電しにくく、充填フラツ
クスと外皮金属との間に絶縁作用をもたらし、外
皮金属の外側から溶接チツプによつて給電された
電流は、主として外皮金属のみ流れる。この結果
外皮金属が充填フラツクスよりも先に溶融し、未
溶融フラツクスの突き出しは長く、スパツタ発生
量は多くなる。遂に鉄酸化物が2.0%以下では鉄
粉の通電性が向上し、フラツクス中に電流が通じ
ると、これまで外皮金属のみから発生したアーク
がワイヤ断面の内部からも発生するようになり、
充填フラツクスの溶融を促進する結果、未溶融フ
ラツクスのアーク柱への突き出しが防止され、ス
パツタの減少が図られる。従つて本発明ワイヤで
は、鉄酸化物含有量が2.0%以下の鉄粉が良い。 次にフレーク鉄粉中のC含有量を0.050%以下
に規定した理由について説明する。本発明者らは
C含有量が0.010%、0.020、0.030、0.040、0.050、
0.060、0.070、0.080、0.090、0.100%で且つ鉄酸
化物含有量が1.5%である鉄粉を用い、前述と同
じフラツクス配合比で、ワイヤ全重量に対し16%
充填し、第6図aに示す単純断面形状の1.6mmφ
の複合ワイヤを試作して、この複合ワイヤ伸線時
の断線回数を調査した。調査結果を第2図に示
す。尚断線調査は、ワイヤ径3.2mmφから1ダイ
ス約20%の減面率で1.6mmφまで、1tonの複合ワ
イヤを伸線速度500m/分で行つた。 調査結果を示す第2図によれば、C含有量が
0.05%以下では断線は発生しなかつたが、0.06%
を超えるとほぼ直線的に断線が発生した。この原
因は、C含有量が高くなると充填フラツクス中に
分散している鉄粉が変形しにくくなり、ワイヤ外
皮のみが圧延されて断線するものと考えられる。
従つて本発明ワイヤでは、C含有量が0.050%以
下の鉄粉が良い。 次にかかる鉄粉を、10%から35%含有させるこ
とを規定した理由について説明する。即ち鉄酸化
物含有量が1.0%、C含有量が0.030%である鉄粉
を、TiO2:28%、SiO2:2%、Al2O3:4%、
ZrO2:3%、NaF:1%、Fe−Si:7%、Fe−
Mn:15%、鉄酸化物含有量が4.0%、C含有量が
0.050%の鉄粉40%からなるフラツクスに5、10、
20、30、40%まで置換配合し、第6図aの単純断
面の軟鋼外皮にワイヤ全重量に対し15%充填し、
1.6mmφの複合ワイヤを試作し、第1図と同様の
ワイヤ評価試験を行つた。 測定結果を示す第3図によれば、未溶融フラツ
クスの突き出し長さは鉄粉のフラツクス中への添
加量が5%では、まだワイヤ径(d)の1.4倍もある
が、10%の添加ではワイヤ径の約1/2まで減少す
ることが理解される。この傾向は、鉄粉を40%ま
で添加しても変らない。 スパツタの発生量は未溶融フラツクスの突き出
しがワイヤ径(d)の1.4倍となる鉄粉5%の添加で
約50%減少し、10%の添加では約75%も減少し
た。従つて本発明ワイヤでは、鉄酸化物含有量が
2.0%以下、C含有量が0.050%以下の鉄粉を10%
から35%フラツクスに含有させる。添加量の上限
については、ルチール系フラツクスの特性を維持
するために35%以下とする。 次に第2の本発明において鉄粉の形状を次の(1)
式に規定し、且つ当該鉄粉を5%から35%含有さ
せることを規定した理由について説明する。 3≦W1/t≦200 (1) ここで W1:鉄粉の最大幅径 t:鉄粉の最大厚さ 本発明で(1)式を満足する鉄粉を添加する理由
は、鉄酸化物含有量が2.0%以下、C含有量が
0.050%以下の球形又は不定形の鉄粉に比べ、少
量で未溶融フラツクスの突き出しを減少する効果
が極めて大きく、スパツタの減少効果も大きいた
めである。即ち、前述した鉄酸化物含有量が1.0
%、C含有量が0.030%である鉄粉を、最大幅径
W1と最大厚さtとの比が5〜8になる様に加圧
しフレーク状にした。この鉄粉を前述したフラツ
クス配合比に5、10、20、30、40%まで置換配合
し、第6図aの単純断面の軟鋼外皮にワイヤ全重
量に対し15%充填し、1.6mmφの複合ワイヤを試
作し第1図、第3図と同様のワイヤ評価試験を行
つた。その試験結果を第4図に示す。 尚、第7図に示すようにフレーク状にした鉄粉
3の最大幅径W1とは最大長径W2に直角な方向の
中での最大の値を意味し、最大厚さtとは最大長
径W2と最大幅径W1とが作る平面又は曲面に直角
方向の中で最大の値をいう。 第4図より未溶融フラツクスの突き出し長さ
は、フレーク状鉄粉のフラツクス中への添加量が
5%でワイヤ径(d)以下に減少し、10%の添加でワ
イヤ径(d)の1/2まで減少した。またスパツタ発生
量は、5%で約70%減少し、10%では80%減少し
ていることが理解される。即ち、第3図、第4図
より、加工前の鉄粉では未溶融フラツクスの突き
出し長さをワイヤ径(d)以下に減少させるには、鉄
粉を10%置換するのに対し、フレーク状に加工し
た鉄粉では5%置換で成し得ることが理解され
る。 この効果の差は、フレーク状に加工した鉄粉の
方が鉄粉の比表面積が大きく、添加量が少くても
鉄粉同志の接触機会が多くなり、通電し易くなる
ためと考えられる。しかしながら鉄粉の最大幅径
W1と最大厚さtとの比W1/tが3未満の場合で
は、上記した効果がないことが次の試験から理解
される。 即ち、鉄酸化物含有量が1.0%、C含有量が
0.030%である鉄粉の最大幅径W1と最大厚さtと
の比を種々変化させ、これらの鉄粉をTiO2:28
%、SiO2:2%、Al2O3:3%、MgO:3%、
K2TiO3:1%、MgF2:1%、Fe−Si:7%、
Fe−Mn:15%、鉄酸化物含有量が4.0%、C含有
量が0.050%の鉄粉40%からなるフラツクスに5
%置換配合し、第6図aの単純断面の軟鋼外皮に
ワイヤ全重量に対し15%充填し、1.6mmφの複合
ワイヤを試作した。この試作ワイヤを用いて第1
図、第3図、第4図と同様のワイヤ評価試験を行
つた。 この測定結果を示す第5図より最大幅径W1と
最大厚さtとの比W1/tが3未満では、未溶融
フラツクスの突き出し及びスパツタの減少に効果
は少い。W1/tが3以上で鉄粉の形状効果が現
れ、未溶融フラツクスの突き出しはワイヤ径(d)以
下になりスパツタも減少することが判る。 従つて、鉄酸化物含有量が2.0%以下、C含有
量が0.050%以下で且つW1/tが3以上のフレー
ク状鉄粉を5%から35%フラツクスに含有させ
る。なおフレーク状鉄粉の添加量の上限について
はルチール系フラツクスの特性を維持するために
35%とする。また最大幅径W1は、フラツクスの
充填性を考慮して1mm以下が望ましい。最大幅径
W1が1mmを越すと、同時に配合添加している他
のフラツクス原料が微粉末であることが多いの
で、フラツクスの粒度構成が大きく違うことにな
り、成分偏析の恐れが生じる。従つてフレーク状
鉄粉の最大幅径W1は1mm以下が望ましい。さら
に最大幅径W1と最大厚さtとの比W1/tの上限
については、W1/tが大きければ大きい程同じ
添加量では鉄粉の比表面積が増加するので、鉄粉
同志の接触機会が多く、充填フラツクスへの通電
が良くなり、アーク改善効果は発揮される方向に
行くが、W1/tが200を超えると嵩密度が極端に
小さくなり、他の充填フラツクスとの偏析が生じ
易いので、W1/tは200以下とする。 この様な効果を有するフレーク状鉄粉3は、球
形又は不定形の通常の鉄粉を加圧して偏平にする
方法、金属塊をピーリング又はスクラツチしてこ
れを切断する方法、金属箔を裁断する方法などに
よつて製造される。 なお、本発明における鉄粉を含有した、フラツ
クスの金属外皮への添加は、ワイヤ全重量に対
し、50%以下が望ましい。50%を超して添加する
と、ワイヤ断面積に対するフラツクスの占める比
率が大きくなりすぎるためワイヤの伸線時に断線
が多発し、生産性を著しく損うので、フラツクス
の充填率は、50%以下が望ましい。 また、本発明複合ワイヤの断面形状は特に限定
するものでなく、第6図b〜eの様に合せ目を持
たない単純断面や、内部に折り込みを有する複雑
断面の複合ワイヤにも適用できる。 〔実施例〕 本発明の効果を実施例によつて更に具体的に説
明する。 第1表に軟鋼外皮を用いて第6図aに示す形状
で1.2mmφに試作した複合ワイヤの構成を示し、
第2表に試験結果を示す。尚ワイヤの評価は、下
記に示す溶接条件で自動水平すみ肉溶接を行い、
未溶融フラツクスの突き出し長さの測定と、スパ
ツタ発生量の測定とを行つた。またワイヤ試作時
の断線の有無も調査した。 溶接条件 溶接電流:270A DC(+) アーク電圧:30V 溶接速度:35cm/分 シールドガス:CO2、20/分 母材:T型すみ肉(無機ジンクプライマー塗装鋼
板:20μ塗付) チツプ−母材間距離=25mm
る単純断面形状の細径ワイヤを主体に急速に普及
して来た。この理由は細径ワイヤに比較的大きな
電流を流すため溶接能率が高く、コスト低減効果
が大きいこと、また充填フラツクスの主成分をル
チールとしているために、すぐれたアーク特性と
スラグ物性により安定したアークが保持されて、
良好な溶接が容易に行なえることなどにある。特
に立向、上向溶接などが多く採用される造船業に
於ては、本発明者らが先に開発した技術(特開昭
57−72795号)により複合ワイヤによるCO2溶接
が、下向溶接から、立向上進、立向下進、上向姿
勢まで同一電流で容易にできるようになつたた
め、現在では主要な溶接法として広く採用されて
いる。 〔発明が解決しようとする問題点〕 この様な用途において全姿勢溶接性を強調し、
美麗な溶接ビードを得るべく、溶融スラグの融点
を高くしようとすると、必然的に充填フラツクス
の成分もTiO2、ZrO2、Al2O3、MgOといつた高
融点酸化物の配合比が高くならざるを得ない。し
かしワイヤの断面が第6図a,bの様な単純な形
状の細径複合ワイヤでは、高融点酸化物の配合比
を高めると、充填した高融点フラツクスが外皮よ
りも溶融が遅れて、未溶融のまま溶接時にアーク
柱に突き出し、溶融池に不規則に移行する結果、
スパツタを多発させる原因となつている。 この現象は全姿勢溶接時のアーク状態を改良す
る目的でNa、K等のアーク安定剤を組合せ添加
した複合ワイヤにおいて特に顕著である。これは
NaK、Liといつたアーク安定剤を添加するとア
ーク長が長くなるので、外皮金属のみ溶融して充
填フラツクスが未溶融のままアーク柱内で溶け残
り、スパツタが却つて多く発生するものと考えら
れる。 この問題を解決するため本発明者らは、高融点
フラツクスを充填して美麗な溶接ビードの得られ
る複合ワイヤにおいて、スパツタの少ない良好な
溶接を実現するために種々の研究を進めて来た。
その結果、フレーク状鉄粉を用いることによりア
ーク状態を根本的に改良し、未溶融フラツクスの
突き出しを防止し、スパツタの発生を減少できる
という知見を得て、先に特許出願をおこなつた。
(特願昭61−6698号)。 しかしその後の研究によりアーク状態を根本的
に改良するには、鉄粉の形状効果はもとより鉄酸
化物含有量が低い鉄粉を用いることにより未溶融
フラツクスの突き出しを防止し、スパツタの発生
を減少できるという知見を得た。また、合わせて
C含有量の低い鉄粉を用いることにより、複合ワ
イヤの伸線時における断線が解消されることも確
認され、本発明をなしたものである。 本発明は上述した、従来のアーク溶接用複合ワ
イヤ使用時の未溶融フラツクスの突き出しを解消
し、スパツタの発生を大幅に減少させるととも
に、伸線時の断線を解消させるアーク溶接用複合
ワイヤの提供を目的とする。 〔問題点を解決するための手段〕 本発明に係るアーク溶接用複合ワイヤは、鉄酸
化物が2.0重量%以下、Cが0.050重量%以下の鉄
粉を10重量%から35重量%含有したルチール系フ
ラツクスを金属外皮に充填したことを特徴とする
ものであり、更に上記成分で且つ下記(1)式で定義
する形状の鉄粉を5重量%から35重量%含有した
フラツクスを金属外皮に充填したことを特徴とす
るものである。 3≦W1/t≦200 ……(1) ここで W1:鉄粉の最大幅径 t:鉄粉の最大厚さ 〔作用〕 以下に本発明アーク溶接用複合ワイヤを上記構
成とした理由につき詳細に説明する。(以下重量
%を単に%と表示する。) 先ず鉄粉中の鉄酸化物の含有量を2.0%以下に
規定した理由について説明する。本発明者らは鉄
酸化物含有量が0.5、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、
3.5、4.0、4.5、5.0%で、且つC含有量が0.015%
である鉄粉を、TiO2:35%、SiO2:2%、
ZrO2:5%、MgO:3%、NaF:0.5%、
K2TiO3:1%、Fe−Si:7%、Fe−Mn:15%、
Fe−Al:3%なるフラツクス全重量に対して
28.5%添加し、このフラツクスをワイヤ全重量に
対し16%充填し、第6図aに示す単純断面形状の
1.6mmφの複合ワイヤを試作した。なお1は金属
外皮、2はフラツクスである。 この試作ワイヤを用いて250A−26VでV溝開
先を立向上進溶接し、未溶融フラツクスの突き出
し長さとスパツタ量を測定した。ここで未溶融フ
ラツクスの突き出し長さは、高速度カメラによる
写真撮影により求め、スパツタは銅製容器で囲つ
て溶接することにより全量捕集し、1分間当たり
の発生量として評価した。 この測定結果を示す第1図によれば、未溶融フ
ラツクスの突き出し長さは鉄粉中の鉄酸化物含有
量が3.0%以上ではワイヤ径(d)の2倍以上もある
が、2.5%ではワイヤ径(d)程度に減少し、さらに
2.0%以下ではワイヤ径(d)の1/2まで減少すること
が理解される。 また、スパツタの発生量は、鉄酸化物が3.0%
以上では1分間当たり4.5g前後で非常に多発し、
2.5%で約50%減少し、さらに2.0%以下では70%
以上も減少した。 即ち鉄粉中の鉄酸化物が2.5%以上では、鉄粉
表面の酸化被膜により通電しにくく、充填フラツ
クスと外皮金属との間に絶縁作用をもたらし、外
皮金属の外側から溶接チツプによつて給電された
電流は、主として外皮金属のみ流れる。この結果
外皮金属が充填フラツクスよりも先に溶融し、未
溶融フラツクスの突き出しは長く、スパツタ発生
量は多くなる。遂に鉄酸化物が2.0%以下では鉄
粉の通電性が向上し、フラツクス中に電流が通じ
ると、これまで外皮金属のみから発生したアーク
がワイヤ断面の内部からも発生するようになり、
充填フラツクスの溶融を促進する結果、未溶融フ
ラツクスのアーク柱への突き出しが防止され、ス
パツタの減少が図られる。従つて本発明ワイヤで
は、鉄酸化物含有量が2.0%以下の鉄粉が良い。 次にフレーク鉄粉中のC含有量を0.050%以下
に規定した理由について説明する。本発明者らは
C含有量が0.010%、0.020、0.030、0.040、0.050、
0.060、0.070、0.080、0.090、0.100%で且つ鉄酸
化物含有量が1.5%である鉄粉を用い、前述と同
じフラツクス配合比で、ワイヤ全重量に対し16%
充填し、第6図aに示す単純断面形状の1.6mmφ
の複合ワイヤを試作して、この複合ワイヤ伸線時
の断線回数を調査した。調査結果を第2図に示
す。尚断線調査は、ワイヤ径3.2mmφから1ダイ
ス約20%の減面率で1.6mmφまで、1tonの複合ワ
イヤを伸線速度500m/分で行つた。 調査結果を示す第2図によれば、C含有量が
0.05%以下では断線は発生しなかつたが、0.06%
を超えるとほぼ直線的に断線が発生した。この原
因は、C含有量が高くなると充填フラツクス中に
分散している鉄粉が変形しにくくなり、ワイヤ外
皮のみが圧延されて断線するものと考えられる。
従つて本発明ワイヤでは、C含有量が0.050%以
下の鉄粉が良い。 次にかかる鉄粉を、10%から35%含有させるこ
とを規定した理由について説明する。即ち鉄酸化
物含有量が1.0%、C含有量が0.030%である鉄粉
を、TiO2:28%、SiO2:2%、Al2O3:4%、
ZrO2:3%、NaF:1%、Fe−Si:7%、Fe−
Mn:15%、鉄酸化物含有量が4.0%、C含有量が
0.050%の鉄粉40%からなるフラツクスに5、10、
20、30、40%まで置換配合し、第6図aの単純断
面の軟鋼外皮にワイヤ全重量に対し15%充填し、
1.6mmφの複合ワイヤを試作し、第1図と同様の
ワイヤ評価試験を行つた。 測定結果を示す第3図によれば、未溶融フラツ
クスの突き出し長さは鉄粉のフラツクス中への添
加量が5%では、まだワイヤ径(d)の1.4倍もある
が、10%の添加ではワイヤ径の約1/2まで減少す
ることが理解される。この傾向は、鉄粉を40%ま
で添加しても変らない。 スパツタの発生量は未溶融フラツクスの突き出
しがワイヤ径(d)の1.4倍となる鉄粉5%の添加で
約50%減少し、10%の添加では約75%も減少し
た。従つて本発明ワイヤでは、鉄酸化物含有量が
2.0%以下、C含有量が0.050%以下の鉄粉を10%
から35%フラツクスに含有させる。添加量の上限
については、ルチール系フラツクスの特性を維持
するために35%以下とする。 次に第2の本発明において鉄粉の形状を次の(1)
式に規定し、且つ当該鉄粉を5%から35%含有さ
せることを規定した理由について説明する。 3≦W1/t≦200 (1) ここで W1:鉄粉の最大幅径 t:鉄粉の最大厚さ 本発明で(1)式を満足する鉄粉を添加する理由
は、鉄酸化物含有量が2.0%以下、C含有量が
0.050%以下の球形又は不定形の鉄粉に比べ、少
量で未溶融フラツクスの突き出しを減少する効果
が極めて大きく、スパツタの減少効果も大きいた
めである。即ち、前述した鉄酸化物含有量が1.0
%、C含有量が0.030%である鉄粉を、最大幅径
W1と最大厚さtとの比が5〜8になる様に加圧
しフレーク状にした。この鉄粉を前述したフラツ
クス配合比に5、10、20、30、40%まで置換配合
し、第6図aの単純断面の軟鋼外皮にワイヤ全重
量に対し15%充填し、1.6mmφの複合ワイヤを試
作し第1図、第3図と同様のワイヤ評価試験を行
つた。その試験結果を第4図に示す。 尚、第7図に示すようにフレーク状にした鉄粉
3の最大幅径W1とは最大長径W2に直角な方向の
中での最大の値を意味し、最大厚さtとは最大長
径W2と最大幅径W1とが作る平面又は曲面に直角
方向の中で最大の値をいう。 第4図より未溶融フラツクスの突き出し長さ
は、フレーク状鉄粉のフラツクス中への添加量が
5%でワイヤ径(d)以下に減少し、10%の添加でワ
イヤ径(d)の1/2まで減少した。またスパツタ発生
量は、5%で約70%減少し、10%では80%減少し
ていることが理解される。即ち、第3図、第4図
より、加工前の鉄粉では未溶融フラツクスの突き
出し長さをワイヤ径(d)以下に減少させるには、鉄
粉を10%置換するのに対し、フレーク状に加工し
た鉄粉では5%置換で成し得ることが理解され
る。 この効果の差は、フレーク状に加工した鉄粉の
方が鉄粉の比表面積が大きく、添加量が少くても
鉄粉同志の接触機会が多くなり、通電し易くなる
ためと考えられる。しかしながら鉄粉の最大幅径
W1と最大厚さtとの比W1/tが3未満の場合で
は、上記した効果がないことが次の試験から理解
される。 即ち、鉄酸化物含有量が1.0%、C含有量が
0.030%である鉄粉の最大幅径W1と最大厚さtと
の比を種々変化させ、これらの鉄粉をTiO2:28
%、SiO2:2%、Al2O3:3%、MgO:3%、
K2TiO3:1%、MgF2:1%、Fe−Si:7%、
Fe−Mn:15%、鉄酸化物含有量が4.0%、C含有
量が0.050%の鉄粉40%からなるフラツクスに5
%置換配合し、第6図aの単純断面の軟鋼外皮に
ワイヤ全重量に対し15%充填し、1.6mmφの複合
ワイヤを試作した。この試作ワイヤを用いて第1
図、第3図、第4図と同様のワイヤ評価試験を行
つた。 この測定結果を示す第5図より最大幅径W1と
最大厚さtとの比W1/tが3未満では、未溶融
フラツクスの突き出し及びスパツタの減少に効果
は少い。W1/tが3以上で鉄粉の形状効果が現
れ、未溶融フラツクスの突き出しはワイヤ径(d)以
下になりスパツタも減少することが判る。 従つて、鉄酸化物含有量が2.0%以下、C含有
量が0.050%以下で且つW1/tが3以上のフレー
ク状鉄粉を5%から35%フラツクスに含有させ
る。なおフレーク状鉄粉の添加量の上限について
はルチール系フラツクスの特性を維持するために
35%とする。また最大幅径W1は、フラツクスの
充填性を考慮して1mm以下が望ましい。最大幅径
W1が1mmを越すと、同時に配合添加している他
のフラツクス原料が微粉末であることが多いの
で、フラツクスの粒度構成が大きく違うことにな
り、成分偏析の恐れが生じる。従つてフレーク状
鉄粉の最大幅径W1は1mm以下が望ましい。さら
に最大幅径W1と最大厚さtとの比W1/tの上限
については、W1/tが大きければ大きい程同じ
添加量では鉄粉の比表面積が増加するので、鉄粉
同志の接触機会が多く、充填フラツクスへの通電
が良くなり、アーク改善効果は発揮される方向に
行くが、W1/tが200を超えると嵩密度が極端に
小さくなり、他の充填フラツクスとの偏析が生じ
易いので、W1/tは200以下とする。 この様な効果を有するフレーク状鉄粉3は、球
形又は不定形の通常の鉄粉を加圧して偏平にする
方法、金属塊をピーリング又はスクラツチしてこ
れを切断する方法、金属箔を裁断する方法などに
よつて製造される。 なお、本発明における鉄粉を含有した、フラツ
クスの金属外皮への添加は、ワイヤ全重量に対
し、50%以下が望ましい。50%を超して添加する
と、ワイヤ断面積に対するフラツクスの占める比
率が大きくなりすぎるためワイヤの伸線時に断線
が多発し、生産性を著しく損うので、フラツクス
の充填率は、50%以下が望ましい。 また、本発明複合ワイヤの断面形状は特に限定
するものでなく、第6図b〜eの様に合せ目を持
たない単純断面や、内部に折り込みを有する複雑
断面の複合ワイヤにも適用できる。 〔実施例〕 本発明の効果を実施例によつて更に具体的に説
明する。 第1表に軟鋼外皮を用いて第6図aに示す形状
で1.2mmφに試作した複合ワイヤの構成を示し、
第2表に試験結果を示す。尚ワイヤの評価は、下
記に示す溶接条件で自動水平すみ肉溶接を行い、
未溶融フラツクスの突き出し長さの測定と、スパ
ツタ発生量の測定とを行つた。またワイヤ試作時
の断線の有無も調査した。 溶接条件 溶接電流:270A DC(+) アーク電圧:30V 溶接速度:35cm/分 シールドガス:CO2、20/分 母材:T型すみ肉(無機ジンクプライマー塗装鋼
板:20μ塗付) チツプ−母材間距離=25mm
【表】
【表】
*印は比較例
以上説明した如く、本発明によれば、溶接時に
おける未溶融フラツクスの突き出しを大幅に減少
させることができるため、スパツタ発生量の大幅
な減少を図ることができ、溶接効率の向上ととも
に溶接品質が向上する。
おける未溶融フラツクスの突き出しを大幅に減少
させることができるため、スパツタ発生量の大幅
な減少を図ることができ、溶接効率の向上ととも
に溶接品質が向上する。
第1図は、鉄粉中の鉄酸化物含有量と未溶融フ
ラツクスの突き出し長さ及びスパツタ量との関係
を示す図、第2図は、鉄粉中のC含有量と伸線時
の断線回数との関係を示す図、第3図は、フラツ
クス中への鉄粉添加量と未溶融フラツクスの突き
出し長さ及びスパツタ量との関係を示す図、第4
図は、フラツクス中のフレーク状鉄粉添加量と未
溶融フラツクスの突き出し長さ及びスパツタ量と
の関係を示す図、第5図は鉄粉形状と未溶融フラ
ツクスの突き出し長さ及びスパツタ量との関係を
示す図、第6図a〜eは各種の態様の複合ワイヤ
の断面図、第7図はフレーク状鉄粉の形状を示す
模式図である。 1……金属外皮、2……フラツクス、3……フ
レーク状鉄粉。
ラツクスの突き出し長さ及びスパツタ量との関係
を示す図、第2図は、鉄粉中のC含有量と伸線時
の断線回数との関係を示す図、第3図は、フラツ
クス中への鉄粉添加量と未溶融フラツクスの突き
出し長さ及びスパツタ量との関係を示す図、第4
図は、フラツクス中のフレーク状鉄粉添加量と未
溶融フラツクスの突き出し長さ及びスパツタ量と
の関係を示す図、第5図は鉄粉形状と未溶融フラ
ツクスの突き出し長さ及びスパツタ量との関係を
示す図、第6図a〜eは各種の態様の複合ワイヤ
の断面図、第7図はフレーク状鉄粉の形状を示す
模式図である。 1……金属外皮、2……フラツクス、3……フ
レーク状鉄粉。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 鉄酸化物が2.0重量%以下、Cが0.05重量%
以下の鉄粉を10重量%から35重量%含有したルチ
ール系フラツクスを金属外皮に充填したことを特
徴とするアーク溶接用複合ワイヤ。 2 鉄酸化物が2.0重量%以下、Cが0.05重量%
以下で且下記(1)式で定義する形状の鉄粉を5重量
%から35重量%含有したルチール系フラツクスを
金属外皮に充填したことを特徴とするアーク溶接
用複合ワイヤ。 3≦W1/t≦200 ……(1) ここで W1:鉄粉の最大幅径 t:鉄粉の最大厚さ
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP24378086A JPS6397397A (ja) | 1986-10-14 | 1986-10-14 | ア−ク溶接用複合ワイヤ |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP24378086A JPS6397397A (ja) | 1986-10-14 | 1986-10-14 | ア−ク溶接用複合ワイヤ |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPS6397397A JPS6397397A (ja) | 1988-04-28 |
| JPH046477B2 true JPH046477B2 (ja) | 1992-02-05 |
Family
ID=17108860
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP24378086A Granted JPS6397397A (ja) | 1986-10-14 | 1986-10-14 | ア−ク溶接用複合ワイヤ |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPS6397397A (ja) |
Family Cites Families (4)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JPS59104291A (ja) * | 1982-12-06 | 1984-06-16 | Kobe Steel Ltd | ガスシ−ルドア−ク溶接用フラツクス入りワイヤ |
| JPS61169195A (ja) * | 1985-01-22 | 1986-07-30 | Kobe Steel Ltd | 鉄粉系フラツクス入りワイヤ |
| JPS61180696A (ja) * | 1985-02-05 | 1986-08-13 | Kobe Steel Ltd | 鉄粉系太径フラツクス入りワイヤ |
| JPS61229495A (ja) * | 1985-04-04 | 1986-10-13 | Nippon Steel Corp | ア−ク溶接用複合ワイヤ |
-
1986
- 1986-10-14 JP JP24378086A patent/JPS6397397A/ja active Granted
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPS6397397A (ja) | 1988-04-28 |
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