JPH0214159B2 - - Google Patents
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- JPH0214159B2 JPH0214159B2 JP669886A JP669886A JPH0214159B2 JP H0214159 B2 JPH0214159 B2 JP H0214159B2 JP 669886 A JP669886 A JP 669886A JP 669886 A JP669886 A JP 669886A JP H0214159 B2 JPH0214159 B2 JP H0214159B2
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Description
〔産業上の利用分野〕
本発明はアーク溶接用複合ワイヤに関する。
〔従来の技術〕
アーク溶接用複合ワイヤは近年CO2溶接に用い
る単純断面形状の細径ワイヤを主体に急速に普及
して来た。この理由は細径ワイヤに比較的大きな
電流を流すため溶接能率が高くコスト低減効果が
大きいこと、また充填フラツクスの主成分をルチ
ールとしているためにすぐれたアーク特性とスラ
グ物性により安定したアークが保持されて良好な
溶接が容易に行なえることなどにある。特に立
向、上向溶接などが多く採用される造船業に於て
は本発明者らが開発した技術(特開昭57−72795
号)により複合ワイヤによるCO2溶接が、下向溶
接から、立向上進、立向下進、上向姿勢まで同一
電流で容易にできるようになつたため、現在では
主要な溶接法として広く採用されている。 この様な用途において全姿勢溶接性を強調し、
美麗な溶接ビードを得るべく、溶融スラグの融点
を高くしようとすると、必然的に充填フラツクス
の成分もTiO2、ZrO2、Al2O3、MgOといつた高
融点酸化物の配合比が高くならざるを得ない。し
かしワイヤの断面が第4図a,bの様な単純な形
状の細径複合ワイヤでは、高融点酸化物の配合比
を高めると充填した高融点フラツクスが外皮より
溶融が遅れて未溶融のまま溶接時にアーク柱に突
き出し、溶融池に不規則に移行する結果スパツタ
を多発させる原因となつている。この現象は全姿
勢溶接時のアーク状態を改良する目的でNa、K
等のアーク安定剤を組合せ添加した複合ワイヤで
特に顕著である。 これはNa、K、Liといつたアーク安定剤を添
加するとアーク長が長くなるので外皮金属のみ溶
融して充填フラツクスが未溶融のままアーク柱内
で溶け残り、スパツタが却つて多く発生するもの
と考えられる。この問題を解決するため本発明者
らは高融点フラツクスを充填して美麗な溶接ビー
ドの得られる複合ワイヤに於て、スパツタの少な
い良好な溶接を実現するために種々の研究を進め
て来た。即ち、酸化物、弗化物、炭酸塩といつた
従来から検討されて来た成分の調整のみによつて
はもはやアーク現象を根本的に改良することは不
可能であることが判り、これまではフラツクス充
填率の調整の目的で添加されていた鉄粉とか、合
金元素の添加といつた目的で添加されていた金属
粉の形態についても検討を加えた。その結果、金
属粉の形状はアーク現象に大きな影響を及ぼすこ
とを確認し、特願昭60−71640号に於て線状金属
粉が未溶融フラツクスの突出しを防止し、スパツ
タの発生を著しく減少させることを明らかにした
ところであるが、その後の研究によりフレーク状
にした金属粉の添加によつても同様の効果のある
ことが確認され本発明をなしたものである。 〔発明が解決しようとする問題点〕 本発明は上述した、従来のアーク溶接用複合ワ
イヤ使用時の、未溶融フラツクスの突出をなく
し、スパツタの発生を少なくするアーク溶接用複
合ワイヤの提供を目的とする。 〔問題点を解決するための手段〕 本発明に係るアーク溶接用複合ワイヤは脱酸性
元素と共に(1)式で定義するフレーク状金属粉を5
重量%(以下%と表示する)以上含有したフラツ
クスを金属外皮に充填したことを特徴とする。 3≦W1/t …(1) ここでW1:フレーク状金属粉の最大幅径 t:フレーク状金属粉の最大厚さ 以下に本発明アーク溶接用複合ワイヤを上記構
成とした理由につき詳細に説明する。 〔作用〕 本発明ワイヤではフレーク状金属粉を添加する
が、本発明で云うフレーク状金属粉とは次の(1)式
を満足する形状の金属粉のことである。 3≦W1/t …(1) ここでW1は金属粉の最大幅径であつて、tは
最大厚さである。即ちフレーク状金属粉とは最大
幅径が最大厚さの3倍以上ある偏平な金属粉のこ
とである。尚、最大幅径とは最大長径に直角な方
向の中で最大の値を意味し、最大厚さとは最大長
径と最大幅径が作る平面又は曲面に直角方向の中
で最大の値を最大厚さという。 本発明で(1)式を満足するフレーク状金属粉を添
加する理由は通常の球形又は不定形の金属粉に比
べ未溶融フラツクスの突出しを減少する効果が極
めて大きく、またスパツタの減少効果も大きいた
めである。即ち、ルチール30%、珪砂5%、アル
ミナ5%、ジルコンサンド2%、カリ長石1.5%、
Fe−Mn20%、Fe−Si10%及び鉄粉26.5%からな
る一般的なルチール系フラツクスに於て鉄粉の最
大幅径と最大厚さの比を種々変化させることによ
つて複合ワイヤのアーク現象を詳細に観察した。
この場合、外皮金属には軟鋼材を用い、ワイヤ全
重量に対し前記フラツクスを15%充填し、第4図
aに示す単純断面形状の1.6mmφのワイヤを試作
し、CO2シールドにて250A−26Vの立向上進溶接
を行ない未溶融フラツクスの突出し長さとスパツ
タ発生量を測定した。尚、未溶融フラツクスの突
出し長さは高速度カメラによる写真撮影より求
め、スパツタの発生量は銅製容器で囲つて溶接す
ることにより全量捕集し、1分当りの発生量とし
て評価した。第1図は上記で得られたフラツクス
中の鉄粉の形状と未溶融フラツクスの突出し長さ
及びスパツタ量との関係を示す図であつて、第1
図の実験結果によると鉄粉の最大幅径と最大厚さ
の比W1/tが1.5以下では未溶融フラツクスの突
出し長さはワイヤ径の2倍程であつて、スパツタ
も多く、W1/tが1.5〜3でも未溶融フラツクス
の突出しとスパツタの減少効果は少ない。W1/
tが3以上では未溶融フラツクスの突出しはワイ
ヤ径以下まで減少する。この結果スパツタの発生
量も大幅に減少し僅か1〜2g/分程度になる。
最大幅径W1と最大厚さtの比W1/tを大きくす
ることによつてアーク現象が改善される理由は
W1/tの比が1に近い場合に比べ鉄粉の比表面
積が著しく大きいため、添加量が同量であつても
鉄粉同志の接触機会が多く通電し易くなるためと
考えられる。即ち、フラツクス中に電流が流れる
ためこれまで外皮金属のみから発生したアークが
ワイヤ断面の内部からも発生する様になり充填フ
ラツクスの溶融を促進する結果、未溶融フラツク
スのアーク柱への突出しが防止され、スパツタの
減少が図られるのである。従つて、本発明ワイヤ
では3≦W1/tを満足するフレーク状金属粉を
使用するものである。尚、最大幅径W1はフラツ
クスの充填性を考慮して1mm以下が望ましい。最
大幅径が1mmを越すと、同時に配合添加している
他のフラツクス原料が微粉末であることが多いの
でフラツクスの粒度構成が大きく違うことになり
成分偏析の恐れが生じる。従つて、フレーク状金
属粉の最大幅径は1mm以下が望ましい。 かかるフレーク状金属粉を本発明ワイヤでは5
%以上フラツクス中に含有させる。これはルチー
ル28%、珪砂2%、アルミナ4%、酸化ジルコニ
ウム3%、NaF1%、Fe−Si7%、Fe−Mn15%、
鉄粉40%からなるフラツクスを基本とし、このフ
ラツクス中の鉄粉をW1/tが5〜8のフレーク
状鉄粉で5、10、20、30、40%まで置換配合し第
4図aの単純断面の軟鋼外皮にワイヤ全重量に対
し15%充填し、1.6mmφのCO2溶接用の複合ワイ
ヤを試作、第1図と同様のワイヤ評価試験を行な
つた。試験結果を示す第2図によれば未溶融フラ
ツクスの突出し長さはフレーク状鉄粉のフラツク
ス中への添加量が5%でワイヤ径程度に減少し、
20%の添加でワイヤ径の1/2まで減少することが
知られる。この傾向はフレーク状鉄粉を40%まで
添加しても変らない。 スパツタの発生量は未溶融フラツクスの突出し
がワイヤ径程度となるフレーク状鉄粉5%の添加
で約60%減少し、20%の添加で約80%も減少し
た。従つて、本発明ワイヤではフレーク状金属粉
を5%以上フラツクスに含有させる。添加量の上
限についてはフレーク状金属粉の添加目的から判
断して判る様に、多ければ多い程アーク改善効果
は発揮される方向に行くので特に定めるものでは
ない。例えば金属粉系ワイヤの場合は鉄粉と脱酸
性元素のみから構成されているので、この円の鉄
粉のみをフレーク状態で添加しても添加量は80%
を越えることがあり、また後述する様に脱酸性元
素をもフレーク状で添加することができるので、
フレーク状金属粉100%のフラツクスも可能であ
る。この様な効果を有するフレーク状鉄粉は球形
又は不定形の通常の鉄粉を加圧して偏平にする方
法、金属塊をピーリング又はスクラツチしてこれ
を切断する方法、金属箔を裁断する方法などによ
つて製造されるが、表面は水素還元等により酸化
被膜を除去し活性にしておくことが粉体の通電性
を高める上で望ましい。 上記の通り本発明者らはフレーク状鉄粉を用い
て複合ワイヤのアーク現象の改善を図り、スパツ
タの減少を達成したが、同様の効果が鉄粉のみで
なく、他の金属、例えばAl、Ni、Cu、Mg等に
よつても実現できることを確認した。この場合充
填するフレーク状金属粉の材質は外皮と同じか電
気抵抗の小さい金属である。フレーク状金属粉の
電気抵抗が外皮金属より大きい場合は、フレーク
状金属粉同志が接触していたとしても電気抵抗の
より小さい外皮金属部により多くの電流は流れる
ので、添加効果は小さい。しかし、フレーク状金
属粉の電気抵抗が外皮金属より小さいとフレーク
状金属粉にも多くの電流が流れるので、充填フラ
ツクス部分からもアークが発生するため、充填フ
ラツクスの強制的な溶融が起こり、未溶融フラツ
クスの突出しの解消とスパツタの減少を図ること
ができる。 なお、上記フレーク状金属粉を含有したフラツ
クスの金属外皮への添加はワイヤ全重量に対し、
50%以下が望ましい。 50%を越して添加するとワイヤ断面積に対する
フラツクスの占める比率が大きくなりすぎるた
め、ワイヤの伸線時に断線が多発し、生産性を著
しく損うのでフラツクスの充填率は50%以下が望
ましい。 本発明ワイヤに用いる脱酸性元素は通常Si、
Mnを基本とするが、この他必要に応じてAl、
Mg、Ti、Zr等を使用することもできる。これら
脱酸性元素の添加は従来通り粉粒状で添加する
他、フレーク状で添加することもできる。その添
加量はシールドガスの種類、適用鋼種に応じて適
宜増減すれば良い。 尚、本発明ワイヤは、ルチールを主成分とし珪
砂、アルミナ、マグネシヤ等の高融点酸化物を含
有するガスシールド溶融用複合ワイヤに於てその
特徴を良く発揮するが螢石、弗化バリウム等の金
属弗化物を主成分とするガスシールド溶接用及び
ノーガス溶接用ワイヤに於てもフレーク状金属粉
の添加は未溶融フラツクスの突出し解消とスパツ
タの減少に同様の効果のあることが判つた。ま
た、スラグ生成剤を全く含有しないか、少量しか
含有しないいわゆる金属粉系ワイヤに於てもフレ
ーク状金属粉の効果のあることが確認された。 金属外皮の組成は、軟鋼の他、被溶接物に合せ
てステンレス鋼、アルミニウム、ニツケル等とす
ることが可能である。 ワイヤの外皮断面形状は内部に折り込みを持た
ない第4図a及びbの単純形状の複合ワイヤに於
てフレーク状金属粉の添加効果は特に顕著である
が、同図c〜eのように内部に折り込みを有する
複雑断面の複合ワイヤに於ても少なからぬ効果を
発揮するのでワイヤの外皮断面形状については特
に限定するものではない。 〔実施例〕 本発明ワイヤの効果を実施例によつてさらに具
体的に説明する。 第1表に軟鋼外皮を用いて第4図のaの形状で
1.2mmφに試作したワイヤの構成を示し、第2表
に試験結果を示す。同表に於てNo.1〜8は本発明
になるワイヤであり、No.9、10は比較例である。
尚、フラツクス原料の内W1/tが1〜2の鉄粉
は通常使用している鉄粉であり、W1/tが3〜
5のFe粉、7〜10のAl粉及びMg粉は通常粉を加
圧して製造し、W1/tが12〜15の鉄粉は厚さ
0.05mmの薄片を裁断することにより製造し、実験
に用いた。 ワイヤの評価は240Aで上向すみ肉溶接を行な
いワイヤ径(d)の倍数で表わした未溶融フラツクス
の突出し長さとスパツタの発生量を測定すること
により行なつた。尚、シールドガスは全てCO2ガ
スを用いた。 第2表の試験結果より、本発明になる複合ワイ
ヤはいずれも未溶融フラツクスの突き出し長さが
ワイヤ径と同程度以下になつたため、上向姿勢に
おいてもスパツタの発生は2g/分以下と極めて
少なくなつていることが判る。これに対し、鉄粉
のW1/tが1〜2である従来鉄粉を25%添加し
たNo.9の比較例とフレーク状鉄粉を3%添加した
No.10の比較例では未溶融フラツクスの突出し長さ
がワイヤ径の1.4〜1.6倍もありスパツタの発生量
も4g/分前後と本発明に比べ多い。
る単純断面形状の細径ワイヤを主体に急速に普及
して来た。この理由は細径ワイヤに比較的大きな
電流を流すため溶接能率が高くコスト低減効果が
大きいこと、また充填フラツクスの主成分をルチ
ールとしているためにすぐれたアーク特性とスラ
グ物性により安定したアークが保持されて良好な
溶接が容易に行なえることなどにある。特に立
向、上向溶接などが多く採用される造船業に於て
は本発明者らが開発した技術(特開昭57−72795
号)により複合ワイヤによるCO2溶接が、下向溶
接から、立向上進、立向下進、上向姿勢まで同一
電流で容易にできるようになつたため、現在では
主要な溶接法として広く採用されている。 この様な用途において全姿勢溶接性を強調し、
美麗な溶接ビードを得るべく、溶融スラグの融点
を高くしようとすると、必然的に充填フラツクス
の成分もTiO2、ZrO2、Al2O3、MgOといつた高
融点酸化物の配合比が高くならざるを得ない。し
かしワイヤの断面が第4図a,bの様な単純な形
状の細径複合ワイヤでは、高融点酸化物の配合比
を高めると充填した高融点フラツクスが外皮より
溶融が遅れて未溶融のまま溶接時にアーク柱に突
き出し、溶融池に不規則に移行する結果スパツタ
を多発させる原因となつている。この現象は全姿
勢溶接時のアーク状態を改良する目的でNa、K
等のアーク安定剤を組合せ添加した複合ワイヤで
特に顕著である。 これはNa、K、Liといつたアーク安定剤を添
加するとアーク長が長くなるので外皮金属のみ溶
融して充填フラツクスが未溶融のままアーク柱内
で溶け残り、スパツタが却つて多く発生するもの
と考えられる。この問題を解決するため本発明者
らは高融点フラツクスを充填して美麗な溶接ビー
ドの得られる複合ワイヤに於て、スパツタの少な
い良好な溶接を実現するために種々の研究を進め
て来た。即ち、酸化物、弗化物、炭酸塩といつた
従来から検討されて来た成分の調整のみによつて
はもはやアーク現象を根本的に改良することは不
可能であることが判り、これまではフラツクス充
填率の調整の目的で添加されていた鉄粉とか、合
金元素の添加といつた目的で添加されていた金属
粉の形態についても検討を加えた。その結果、金
属粉の形状はアーク現象に大きな影響を及ぼすこ
とを確認し、特願昭60−71640号に於て線状金属
粉が未溶融フラツクスの突出しを防止し、スパツ
タの発生を著しく減少させることを明らかにした
ところであるが、その後の研究によりフレーク状
にした金属粉の添加によつても同様の効果のある
ことが確認され本発明をなしたものである。 〔発明が解決しようとする問題点〕 本発明は上述した、従来のアーク溶接用複合ワ
イヤ使用時の、未溶融フラツクスの突出をなく
し、スパツタの発生を少なくするアーク溶接用複
合ワイヤの提供を目的とする。 〔問題点を解決するための手段〕 本発明に係るアーク溶接用複合ワイヤは脱酸性
元素と共に(1)式で定義するフレーク状金属粉を5
重量%(以下%と表示する)以上含有したフラツ
クスを金属外皮に充填したことを特徴とする。 3≦W1/t …(1) ここでW1:フレーク状金属粉の最大幅径 t:フレーク状金属粉の最大厚さ 以下に本発明アーク溶接用複合ワイヤを上記構
成とした理由につき詳細に説明する。 〔作用〕 本発明ワイヤではフレーク状金属粉を添加する
が、本発明で云うフレーク状金属粉とは次の(1)式
を満足する形状の金属粉のことである。 3≦W1/t …(1) ここでW1は金属粉の最大幅径であつて、tは
最大厚さである。即ちフレーク状金属粉とは最大
幅径が最大厚さの3倍以上ある偏平な金属粉のこ
とである。尚、最大幅径とは最大長径に直角な方
向の中で最大の値を意味し、最大厚さとは最大長
径と最大幅径が作る平面又は曲面に直角方向の中
で最大の値を最大厚さという。 本発明で(1)式を満足するフレーク状金属粉を添
加する理由は通常の球形又は不定形の金属粉に比
べ未溶融フラツクスの突出しを減少する効果が極
めて大きく、またスパツタの減少効果も大きいた
めである。即ち、ルチール30%、珪砂5%、アル
ミナ5%、ジルコンサンド2%、カリ長石1.5%、
Fe−Mn20%、Fe−Si10%及び鉄粉26.5%からな
る一般的なルチール系フラツクスに於て鉄粉の最
大幅径と最大厚さの比を種々変化させることによ
つて複合ワイヤのアーク現象を詳細に観察した。
この場合、外皮金属には軟鋼材を用い、ワイヤ全
重量に対し前記フラツクスを15%充填し、第4図
aに示す単純断面形状の1.6mmφのワイヤを試作
し、CO2シールドにて250A−26Vの立向上進溶接
を行ない未溶融フラツクスの突出し長さとスパツ
タ発生量を測定した。尚、未溶融フラツクスの突
出し長さは高速度カメラによる写真撮影より求
め、スパツタの発生量は銅製容器で囲つて溶接す
ることにより全量捕集し、1分当りの発生量とし
て評価した。第1図は上記で得られたフラツクス
中の鉄粉の形状と未溶融フラツクスの突出し長さ
及びスパツタ量との関係を示す図であつて、第1
図の実験結果によると鉄粉の最大幅径と最大厚さ
の比W1/tが1.5以下では未溶融フラツクスの突
出し長さはワイヤ径の2倍程であつて、スパツタ
も多く、W1/tが1.5〜3でも未溶融フラツクス
の突出しとスパツタの減少効果は少ない。W1/
tが3以上では未溶融フラツクスの突出しはワイ
ヤ径以下まで減少する。この結果スパツタの発生
量も大幅に減少し僅か1〜2g/分程度になる。
最大幅径W1と最大厚さtの比W1/tを大きくす
ることによつてアーク現象が改善される理由は
W1/tの比が1に近い場合に比べ鉄粉の比表面
積が著しく大きいため、添加量が同量であつても
鉄粉同志の接触機会が多く通電し易くなるためと
考えられる。即ち、フラツクス中に電流が流れる
ためこれまで外皮金属のみから発生したアークが
ワイヤ断面の内部からも発生する様になり充填フ
ラツクスの溶融を促進する結果、未溶融フラツク
スのアーク柱への突出しが防止され、スパツタの
減少が図られるのである。従つて、本発明ワイヤ
では3≦W1/tを満足するフレーク状金属粉を
使用するものである。尚、最大幅径W1はフラツ
クスの充填性を考慮して1mm以下が望ましい。最
大幅径が1mmを越すと、同時に配合添加している
他のフラツクス原料が微粉末であることが多いの
でフラツクスの粒度構成が大きく違うことになり
成分偏析の恐れが生じる。従つて、フレーク状金
属粉の最大幅径は1mm以下が望ましい。 かかるフレーク状金属粉を本発明ワイヤでは5
%以上フラツクス中に含有させる。これはルチー
ル28%、珪砂2%、アルミナ4%、酸化ジルコニ
ウム3%、NaF1%、Fe−Si7%、Fe−Mn15%、
鉄粉40%からなるフラツクスを基本とし、このフ
ラツクス中の鉄粉をW1/tが5〜8のフレーク
状鉄粉で5、10、20、30、40%まで置換配合し第
4図aの単純断面の軟鋼外皮にワイヤ全重量に対
し15%充填し、1.6mmφのCO2溶接用の複合ワイ
ヤを試作、第1図と同様のワイヤ評価試験を行な
つた。試験結果を示す第2図によれば未溶融フラ
ツクスの突出し長さはフレーク状鉄粉のフラツク
ス中への添加量が5%でワイヤ径程度に減少し、
20%の添加でワイヤ径の1/2まで減少することが
知られる。この傾向はフレーク状鉄粉を40%まで
添加しても変らない。 スパツタの発生量は未溶融フラツクスの突出し
がワイヤ径程度となるフレーク状鉄粉5%の添加
で約60%減少し、20%の添加で約80%も減少し
た。従つて、本発明ワイヤではフレーク状金属粉
を5%以上フラツクスに含有させる。添加量の上
限についてはフレーク状金属粉の添加目的から判
断して判る様に、多ければ多い程アーク改善効果
は発揮される方向に行くので特に定めるものでは
ない。例えば金属粉系ワイヤの場合は鉄粉と脱酸
性元素のみから構成されているので、この円の鉄
粉のみをフレーク状態で添加しても添加量は80%
を越えることがあり、また後述する様に脱酸性元
素をもフレーク状で添加することができるので、
フレーク状金属粉100%のフラツクスも可能であ
る。この様な効果を有するフレーク状鉄粉は球形
又は不定形の通常の鉄粉を加圧して偏平にする方
法、金属塊をピーリング又はスクラツチしてこれ
を切断する方法、金属箔を裁断する方法などによ
つて製造されるが、表面は水素還元等により酸化
被膜を除去し活性にしておくことが粉体の通電性
を高める上で望ましい。 上記の通り本発明者らはフレーク状鉄粉を用い
て複合ワイヤのアーク現象の改善を図り、スパツ
タの減少を達成したが、同様の効果が鉄粉のみで
なく、他の金属、例えばAl、Ni、Cu、Mg等に
よつても実現できることを確認した。この場合充
填するフレーク状金属粉の材質は外皮と同じか電
気抵抗の小さい金属である。フレーク状金属粉の
電気抵抗が外皮金属より大きい場合は、フレーク
状金属粉同志が接触していたとしても電気抵抗の
より小さい外皮金属部により多くの電流は流れる
ので、添加効果は小さい。しかし、フレーク状金
属粉の電気抵抗が外皮金属より小さいとフレーク
状金属粉にも多くの電流が流れるので、充填フラ
ツクス部分からもアークが発生するため、充填フ
ラツクスの強制的な溶融が起こり、未溶融フラツ
クスの突出しの解消とスパツタの減少を図ること
ができる。 なお、上記フレーク状金属粉を含有したフラツ
クスの金属外皮への添加はワイヤ全重量に対し、
50%以下が望ましい。 50%を越して添加するとワイヤ断面積に対する
フラツクスの占める比率が大きくなりすぎるた
め、ワイヤの伸線時に断線が多発し、生産性を著
しく損うのでフラツクスの充填率は50%以下が望
ましい。 本発明ワイヤに用いる脱酸性元素は通常Si、
Mnを基本とするが、この他必要に応じてAl、
Mg、Ti、Zr等を使用することもできる。これら
脱酸性元素の添加は従来通り粉粒状で添加する
他、フレーク状で添加することもできる。その添
加量はシールドガスの種類、適用鋼種に応じて適
宜増減すれば良い。 尚、本発明ワイヤは、ルチールを主成分とし珪
砂、アルミナ、マグネシヤ等の高融点酸化物を含
有するガスシールド溶融用複合ワイヤに於てその
特徴を良く発揮するが螢石、弗化バリウム等の金
属弗化物を主成分とするガスシールド溶接用及び
ノーガス溶接用ワイヤに於てもフレーク状金属粉
の添加は未溶融フラツクスの突出し解消とスパツ
タの減少に同様の効果のあることが判つた。ま
た、スラグ生成剤を全く含有しないか、少量しか
含有しないいわゆる金属粉系ワイヤに於てもフレ
ーク状金属粉の効果のあることが確認された。 金属外皮の組成は、軟鋼の他、被溶接物に合せ
てステンレス鋼、アルミニウム、ニツケル等とす
ることが可能である。 ワイヤの外皮断面形状は内部に折り込みを持た
ない第4図a及びbの単純形状の複合ワイヤに於
てフレーク状金属粉の添加効果は特に顕著である
が、同図c〜eのように内部に折り込みを有する
複雑断面の複合ワイヤに於ても少なからぬ効果を
発揮するのでワイヤの外皮断面形状については特
に限定するものではない。 〔実施例〕 本発明ワイヤの効果を実施例によつてさらに具
体的に説明する。 第1表に軟鋼外皮を用いて第4図のaの形状で
1.2mmφに試作したワイヤの構成を示し、第2表
に試験結果を示す。同表に於てNo.1〜8は本発明
になるワイヤであり、No.9、10は比較例である。
尚、フラツクス原料の内W1/tが1〜2の鉄粉
は通常使用している鉄粉であり、W1/tが3〜
5のFe粉、7〜10のAl粉及びMg粉は通常粉を加
圧して製造し、W1/tが12〜15の鉄粉は厚さ
0.05mmの薄片を裁断することにより製造し、実験
に用いた。 ワイヤの評価は240Aで上向すみ肉溶接を行な
いワイヤ径(d)の倍数で表わした未溶融フラツクス
の突出し長さとスパツタの発生量を測定すること
により行なつた。尚、シールドガスは全てCO2ガ
スを用いた。 第2表の試験結果より、本発明になる複合ワイ
ヤはいずれも未溶融フラツクスの突き出し長さが
ワイヤ径と同程度以下になつたため、上向姿勢に
おいてもスパツタの発生は2g/分以下と極めて
少なくなつていることが判る。これに対し、鉄粉
のW1/tが1〜2である従来鉄粉を25%添加し
たNo.9の比較例とフレーク状鉄粉を3%添加した
No.10の比較例では未溶融フラツクスの突出し長さ
がワイヤ径の1.4〜1.6倍もありスパツタの発生量
も4g/分前後と本発明に比べ多い。
【表】
*印は比較例
以上の様に本発明になるアーク溶接用複合ワイ
ヤは従来問題とされていた複合ワイヤの未溶融フ
ラツクスの突出し現象を完全に解決することによ
つて、スパツタの大幅な減少をなし得たもので複
合ワイヤの一層の発展に寄与するものである。
ヤは従来問題とされていた複合ワイヤの未溶融フ
ラツクスの突出し現象を完全に解決することによ
つて、スパツタの大幅な減少をなし得たもので複
合ワイヤの一層の発展に寄与するものである。
第1図は鉄粉形状と未溶融フラツクスの突出し
長さ及びスパツタ量の関係を示す図、第2図はフ
ラツクス中のフレーク状鉄粉量と未溶融フラツク
スの突出し長さ及びスパツタ量の関係を示す図、
第3図はフレーク状金属粉の形状を示す模式図、
第4図a,bは内部に折り込みを持たない単純形
状の複合ワイヤの断面図、第4図c〜eは内部に
折り込みを有する複雑断面の複合ワイヤ断面図で
ある。 1……金属外皮、2……フラツクス。
長さ及びスパツタ量の関係を示す図、第2図はフ
ラツクス中のフレーク状鉄粉量と未溶融フラツク
スの突出し長さ及びスパツタ量の関係を示す図、
第3図はフレーク状金属粉の形状を示す模式図、
第4図a,bは内部に折り込みを持たない単純形
状の複合ワイヤの断面図、第4図c〜eは内部に
折り込みを有する複雑断面の複合ワイヤ断面図で
ある。 1……金属外皮、2……フラツクス。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 脱酸性元素と共に下記(1)式で定義するフレー
ク状金属粉を5重量%以上含有したフラツクスを
金属外皮に充填したことを特徴とするアーク溶接
用複合ワイヤ。 3≦W1/t …(1) ここでW1:フレーク状金属粉の最大幅径 t:フレーク状金属粉の最大厚さ 2 フレーク状金属粉は金属外皮と電気抵抗が同
じかより小さい金属であることを特徴とする特許
請求の範囲第1項記載のアーク溶接用複合ワイ
ヤ。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP669886A JPS62166099A (ja) | 1986-01-16 | 1986-01-16 | ア−ク溶接用複合ワイヤ |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP669886A JPS62166099A (ja) | 1986-01-16 | 1986-01-16 | ア−ク溶接用複合ワイヤ |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPS62166099A JPS62166099A (ja) | 1987-07-22 |
| JPH0214159B2 true JPH0214159B2 (ja) | 1990-04-06 |
Family
ID=11645551
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP669886A Granted JPS62166099A (ja) | 1986-01-16 | 1986-01-16 | ア−ク溶接用複合ワイヤ |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPS62166099A (ja) |
Families Citing this family (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JPS6466092A (en) * | 1987-09-03 | 1989-03-13 | Kawasaki Steel Co | Flux cored wire for arc welding |
-
1986
- 1986-01-16 JP JP669886A patent/JPS62166099A/ja active Granted
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPS62166099A (ja) | 1987-07-22 |
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