JPH0474360B2 - - Google Patents
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- JPH0474360B2 JPH0474360B2 JP61276497A JP27649786A JPH0474360B2 JP H0474360 B2 JPH0474360 B2 JP H0474360B2 JP 61276497 A JP61276497 A JP 61276497A JP 27649786 A JP27649786 A JP 27649786A JP H0474360 B2 JPH0474360 B2 JP H0474360B2
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Description
[産業上の利用分野]
本発明は新規な生理活性物質に関するものであ
る。更に詳しくは、ヒト由来のマクロフアージ様
細胞を培養することによつて産生される、細胞分
化誘導作用を有する蛋白性のヒト由来の生理活性
物質(以下、細胞分化誘導物質と略記)に関する
ものである。本発明の化学物質は、細胞分化誘導
作用を有していることから腫瘍細胞、特に白血病
細胞を正常細胞に分化誘導させ、その増殖能を消
失させる作用を有していることから癌の治療に使
用し得るものである。 [従来の技術] 免疫反応をつかさどつている細胞群の中で、最
近マクロフアージ(以下Mφと略す)が注目され
るようになつてきた。Mφが、どん食作用による
抗原の処理を始めとして、生体の防御機構の中
で、中心的な役割を演じていることが、明らかに
なつてきたからである。また、細胞外からの刺激
に応じて、Mφが、インターロイキン−1、癌壊
死因子、コロニー形成刺激因子など、多種の重要
な生理活性物質を産生することが知られてきた。 血液細胞は、造血幹細胞より、増殖分化を繰り
返し、成熟して機能細胞へ到達するのである。こ
の分化成熟の過程で増殖能をもち、腫よう化して
しまつたものが白血病細胞である。このような腫
よう細胞を正常な機能をもつた細胞へと分化を誘
導するのが、分化誘導能をもつた物質であり、こ
れら分化誘導能をもつた物質を用いることによ
り、新しい癌の治療方法を開発できるものとし
て、近年、注目されている。 分化誘導能をもつた物質としては、安全性の高
い蛋白性の物質、特にヒト由来の蛋白性の物質が
期待を集め、近年活発に研究がなされている。現
在までに、ヒト末梢血リンパ球をレクチンで刺激
することにより、分化誘導活性が生成されること
が報告されている(ジヤーナル ナシヨナル カ
ンサー インステチユート(J.National Cancer
Institute)67巻、1225頁(1981年)、カンサー
リサーチ(Cancer Research)42巻、3928頁
(1982年))。しかしながらこれらの報告において、
ヒト末梢血リンパ球から得られたものは、セフア
デツクスG−75(フアルマシア社、スウエーデン)
を用いたゲルろ過分画法によつて分子量25000と
40000の蛋白性物質であることが報告されている
のみであつたが、その後の研究において、公開特
許公報、昭60−28934号に示される分子量45000〜
60000または100000、等電点5〜7の物質であり、
トリプシンに感受性を示し、熱に不安定な物質で
あるとされた。一方、ヒト−T−リンパ球性白血
病細胞の培養上清中に見いだされた分化誘導活性
は、アクリルアミドゲル電気泳動法によつて、分
子量50000〜60000の蛋白性の物質に由来するもの
とされたが、単離工程中で、その活性の約60〜90
%が失われた(日本組織培養学会要旨、43頁、
(1983年))。 [発明が解決しようとする問題点] このように、ヒト末梢血リンパ球およびヒト−
T−リンパ球性白血病細胞から生成される分化誘
導活性は、その活性をもたらす物質の性質はほと
んどわかつていないか、熱や蛋白質分解酵素に強
い感受性を示す不安定な物質であつた。 また、これらの活性は弱く、ビタミンA誘導体
などが共存しないと、白血病細胞に充分な分化を
誘導することができなかつた。 [問題点を解決するための手段] 本発明者らは、上記先行知見を認識し、マクロ
フアージ(Mφ)系の細胞が、より安定性に優れ
た、強い細胞分化誘導作用を有する蛋白性の生理
活性物質を産生するとの作業仮説に基いて、鋭意
検討を続けてきた。その結果、ヒトのMφ前駆細
胞に作用して、単独で、Mφへと分化を誘導しう
る活性を有するヒト由来の蛋白性の細胞分化誘導
物質を見いだし、本発明を完成するに至つた。 [発明の内容] すなわち、本発明は下記の特性を有する、白血
病細胞に対して細胞分化誘導作用を有するヒト由
来の蛋白性の生理活性物質を提供するものであ
る。 a 分子量 50000±5000 (ゲル濾過法) 50000±5000 (SDS−ポリアクリルアミド電
気泳動法) b レクチンカラムへの吸着性 レンチルレクチ
ンカラム、コンカナバリンAカラムに吸着する c 熱安定性 70℃1時間で失格しない d 還元剤による影響 活性が低下する e PH安定性 PH2〜10の範囲で安定である。 f トリプシンおよびプロナーゼEによる酵素反
応によつて分化誘導活性の低下が認められない 本発明において、細胞分化誘導物質とはヒト由
来のMφ又はMφ様細胞が産生する物質であつて、
in vitroで少なくともマウスM−1細胞を分化さ
せ、どん食能を誘起する能力を有するものを意味
する。 本発明で用いられるMφ様細胞とは、末梢血単
球、組織Mφ,Mφ前駆細胞をin vitroで分化誘導
剤の作用によりMφ様細胞に変化したものなどを
用いることができる。Mφ前駆細胞とは、分化誘
導剤の作用により始めてMφ様細胞に変化する細
胞又は本来Mφの性質の一部を有しているが、分
化誘導剤の作用により更にMφの性質を有するよ
うに変化する細胞を意味する。Mφ前駆細胞は、
白血病患者から分離した初代細胞及び株化細胞な
どから得られるが、株化細胞が大量に得やすく好
ましい。本発明で用いられる株化細胞の例として
は、HL−60細胞(ネイチヤー(Nature)、270
巻、347頁(1977年))THP−1細胞(インター
ナシヨナル ジヤーナル カンサー(Int.J.
Cancer)26巻、171頁(1980年))、Mono−1−
207細胞(ウイルヒヨーズ アルヒーフ アー
パソロジカル アナトミー ヒストパソロジー
(Virchows Arch.A Path.Anat.and Histol.)
371巻、15頁(1976年))などが挙げられる。ここ
で用いられる分化誘導剤としては、Mφ様細胞へ
変化し得るMφ前駆細胞をMφ様細胞への変化を
誘導する物質を意味し、例えば、ホルボールエス
テル類、メゼレインのようなジテルペン系化合
物、テレオシジンなどが挙げられる。ホルボール
エステル類では、4β−ヒドロキシ体が好ましく、
中でも、12−O−テトラデカノイルホルボール−
13−アセテート(以下、TPAと略記する)が特
に好ましい。 本発明において用いられるMφ活性化物質とし
ては、ビタミンA誘導体(例えば、ビタミンA
酸、ビタミンAアルコール、ビタミンAアセテー
ト、ビタミンAパルミテート)、ジメチルスルホ
キシド、酪酸ナトリウム塩、ハイドロコーチゾ
ン、グラム陰性菌由来のリポポリサツカライド
(以下LPSと略す)、リピツドA,BCG菌などの
菌体壁、ムラミルジペプチドなどが挙げられ、そ
れぞれ単独、あるいは適宜組み合わせて用いるこ
とにより、Mφを活性化させ、細胞分化誘導物質
の産生を促すことができる。これらMφ活性化物
質の中でも、約1〜5000ng/ml、好ましくは約
100〜3000ng/ml、より好ましくは約500〜
2000ng/mlのビタミンA誘導体、中でもビタミ
ンA酸の使用が特に好ましい。 細胞分化誘導物質産生に充分な時間、ヒト由来
のMφ様細胞を培養した後、培養上清を収集し、
遠心分離により細胞屑を除去すれば、細胞分化誘
導物質を含む溶液が得られる。この細胞分化誘導
物質を含む溶液を生化学的分離操作における常
法、限外ろ過による濃縮、透析脱塩、陰イオン交
換体によるイオン交換クロマトグラフイー、ゲル
ろ過、電気泳動等を適宜組み合わせて精製するこ
とにより、高純度の細胞分化誘導物質を得ること
ができる。 細胞分化誘導物質の活性の測定は、in vitroで
マウス骨髄性白血病細胞M−1細胞に、どん食能
を誘起する効果を測定することにより行なう。本
発明者らが用いている方法は、林の方法(トキシ
コロジーフオーラム、7巻、50頁、(1984年))を
改良したものである。即ち、増殖期にあるM−1
細胞 5×105cells/ml(培地:イーグルMEM
+2培量ビタミン・アミノ酸+10%牛胎児血清)
浮遊液に細胞分化誘導物質溶液(試験液)を混
じ、その1mlを10mlガラス管にとり、横に倒し
て、炭酸ガス培養器中で、37℃で2日間培養液、
遠心処理(1000rpm,10分間)を施し、上澄み液
を捨て、血清を含まない培養液1mlを加えて再び
細胞を懸濁し、2μ/mlの濃度のポリスチレ
ン・ラテツクス粒子(1.004μm:積水化学社製)
を加え攪はんした後、さらに4時間培養する。こ
の細胞をPBS1mlでよく洗浄、遠心し、細胞外の
ラテツクス粒子を除去する。この操作を2回繰り
返したのち、遠心管の底に沈殿した細胞をピペツ
トで吸い上げ、スライドガラス上に1滴落とす。
これに0.5%エオシン液1滴を加え、カバーガラ
スをのせ、顕微鏡で観察する。赤く染色される死
細胞を除き、生細胞のみについて、ラテツクス粒
子をどん食した細胞と非どん食細胞とを計数し、
どん食細胞の比率を求める。試験液を適宜希釈し
て、上記の測定を行ない、どん食細胞の比率が10
%になるのに必要な、細胞分化誘導物質の試料の
希釈率の逆数をもつて、本発明における細胞分化
誘導物質の活性量を1単位(U)/mlと定義す
る。以下本発明における細胞分化誘導物質の活性
量は、このどん食能測定法によつて測定した単位
で示されている。 上記の細胞の培養により産生される、本発明の
細胞分化誘導物質の性質を詳しく述べる。 A 分子量:50000±5000(ゲルろ過法) ダルベツコリン酸緩衝液(塩化カリウム0.2
g/、塩化ナトリウム8g/、リン酸第1カ
リウム0.2g/、リン酸第2ナトリウム1.15
g/、PH7.4)に0.01%ポリエチレングリコー
ルを添加した溶液にて平衡化したSuperose6+
Superose12(フアルマシア社(スエーデン)製)
を用いるゲルろ過法により分画し、M−1細胞で
のどん食能の誘起による細胞分化誘導活性を測定
する。 B 分子量:50000±5000(SDS−ポリアクリルア
ミド電気泳動法) Segrestらの方法[メソツド イン エンザイ
モロジー(Method in Enzymology)28−B
巻、54頁(1972年)]に従い、トリス/グリシ
ン/SDS(PH8.3)で、電気泳動を行なつた。標準
分子量キツト(フアルマシア社製)を用いて分子
量検量線を作成し、分画したゲルからの抽出物の
M−1細胞のどん食能誘起活性評価により分子量
を決定する。 以上の結果より、本発明の細胞分化誘導物質は
サブ・ユニツト構造をとつていない物質であるこ
とが分かる。 C 等電点:6.5±1.0(等電点電気泳動法) アトー株式会社製の等電点電気泳動装置
(SJ1071EC型)を用い、フアルマライト(フアル
マシア社製、PH4〜8)とグリセロールを含む5
%ポリアクリルアミド平板ゲルを作成する。陽極
側に0.04M DL−グルタミン酸、陰極側に0.2M
L−ヒスチジンを使用して、700Vで50分間の前
泳動を行なう。続いて試料を付与し、700Vで1
時間、500Vで16時間泳動を行なう。泳動終了後
ゲルを2.5mm巾で切り出し、次いで各ゲル片を
0.15M塩化ナトリウムを含む0.02Mトリスー塩酸
緩衝液(PH8.2)0.2mlで抽出し、各抽出液につい
て、M−1細胞を用いた細胞分化誘導活性の評価
を行なう。 D 熱安定性 本発明の細胞分化誘導物質を0.01%ポリエチレ
ングリコールを添加したPH7.4リン酸緩衝液にて
3倍に希釈し、所定の時間、所定の温度にて加熱
した後、M−1細胞を用いた細胞分化誘導活性の
評価を行なう。本発明の細胞分化誘導物質は70
℃、1時間の処理において、その活性を失なず、
熱的に安定な生理活性物質である。 E レクチンカラムへの吸着性 市販の各種レクチン固定化樹脂を市販セパコー
ルミニカラム(バイオラツド社製)に充填し
150mMの塩化ナトリウムを含む50mMリン酸緩
衝液(PH7.5)で充分に洗浄後、本発明の細胞分
化誘導物質試料を添加し、同緩衝液にて洗浄す
る。次いで、各種糖類を含む溶離液で溶出を行な
う。コンカナバリン−A、および、レンチルレク
チンのカラムを用いた場合に、レクチンカラムへ
の吸着が認められ、いずれのカラムにおいても
0.2Mα−メチル−d−マンノシド溶液により、細
胞分化誘導活性が溶出する。 F ジスルフイド結合の還元剤による影響 ジスルフイド結合の還元剤としてジチオスレイ
トール(DTT)、又は、2−メルカプトエタノー
ル(2−ME)を、本発明になる細胞分化誘導物
質の溶液中に加え、37℃で、4時間反応させる。
反応後、M−1細胞に対するどん食能誘起活性を
測定する。50mMのジチオスレイトールを添加し
た場合に、活性が低下する。 G PH安定性 本発明になる細胞分化誘導物質を含む溶液に、
4倍量の各種PHの緩衝液を添加し、24時間、37℃
に加温した後、PHを中性にもどし、M−1細胞に
対する細胞分化誘導活性を測定する。PH2〜10の
範囲において、活性の低下は認められない。 H 蛋白分解酵素安定性 本発明になる細胞分化誘導物質を含む溶液(PH
7.4)に蛋白分解酵素トリプシン、または、プロ
ナーゼ−E(200単位)を添加し、37℃にて、3時
間反応させる。反応後において、M−1細胞に対
する細胞分化誘導活性の低下は認められない。上
記実験に0.1%SDSを添加したこと以外は、同一
の条件にて、蛋白分解酵素の効果を検討すると、
0.1%SDSの添加時のプロナーゼ−Eにより、細
胞分化誘導活性が消失することが認められる。 I ヒト白血病細胞に対する生理作用 牛胎児血清を10%含むRPMI−1640培地にヒト
単球性白血病細胞(THP−1)、ヒト前骨髄性白
血病細胞(HL−60)を37℃、炭酸ガス培養器中
でそれぞれ培養し、増殖期にある細胞をリン酸緩
衝液でよく洗浄する。該細胞を10%牛胎児血清お
よび10nMビタミンA酸を添加したRPMI−1640
培地(ビタミン、アミノ酸強化)に、それぞれ2
×105個/ml培地になるように懸濁する。細胞懸
濁液100μと細胞分化誘導物質溶液(試験液)
100μとの混合液を96穴プレートに入れ、37℃、
5%炭酸ガス混合空気の下で、3日間培養する。
0.2%ニトロブルーテトラゾリウム(NBT、シグ
マ社)の溶液(0.2μg/mlTPA含有培地)100μ
を加えて、更に45分間培養後、顕微鏡下で観察
する。青く沈着した色素を有する細胞がNBT還
元能陽性細胞として観察される。 本発明の細胞分化誘導物質と3日間培養するこ
とにより、THP−1細胞、HL−60細胞にNBT
還元能が誘導されるのみならず、ラテツクス粒子
どん食能、培養容器壁への付着能、酵母菌殺菌
能、酸性ホスフアターゼ活性、β−グルクロニダ
ーゼ活性など、Mφの特徴として、細胞鑑定に常
用される(「マニユアル オブ マクロフアージ
メソドロジー(Manual of Macrophage
Methodlogy)、マーセル デツカー社、米国、
1981年」「図解白血球、金芳堂、1982年」)各種指
標の活性の増強が認められる。 なお、これまでの説明で明らかなように、本発
明になる新規生理活性物質は、Mφ前駆細胞であ
るヒトおよびマウスの骨髄性白血病細胞に作用し
て、Mφ様細胞へと分化を誘導し、Mφに特有な
各種機能の昂進をもたらし、溶液中での分子量、
すなわちゲルろ過法の分子量が50000±5000であ
り、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動での
分子量も50000±5000であること、コンカナバリ
ン−A、レンチルレチン等のレクチンに対して結
合性を有することから、本発明の細胞分化誘導物
質は、サブ・ユニツト構造を有しない糖蛋白質で
あると考えられる。 次に本発明の細胞分化誘導物質の製造方法につ
いて詳しく述べる。 本発明で使用される細胞の培養には、高等動物
細胞の培養に適した各種合成培地が用いられる。
代表的な培地としては、例えばRPMI−1640培
地、イーグルのMEM培地、ダルベツコ変法の
MEM培地、α−MEM培地、Hamの培地、199
培地、McCoy54培地、Iscoveの培地などを単独
もしくは適宜混合した培地が用いられる。これら
の培地の組成は「細胞組織培養マニユアル、講談
社、1982年」に記載されている。これらの培地に
は、アルブミン、インシユリン、トランスフエリ
ンなどの血清由来の蛋白質、ヒト血清、牛胎児血
清、牛血清、馬血清などの動物血清を単独で、あ
るいは適宜組み合わせて添加してもよい。また、
必要に応じて、微生物による汚染を防止するため
に、例えばペニシリン10〜100単位/ml培地、硫
酸ストレプトマイシン10〜100μg/ml培地、硫
酸カナマイシン40〜60μg/ml培地などの抗生物
質を添加することができる。培養液のPHの制御
や、炭酸イオン濃度の調節のために、例えば10〜
60mMのヘペス[4−(2−ハドロキシエチル)−
1−ピペラジンエタンスルホン酸]などのPH緩衝
剤を使用してもよい。培養容器の材質は特に限定
しないが、プラスチツク、ガラスあるいは金属製
のものであつて、細胞の増殖が可能であり、細胞
の接着性に優れたものが好ましい。 細胞分化誘導物質を産生させるためには、適当
な培地を用いて、ヒト由来のMφ様細胞を、培養
容器面1cm2当たりに約5×104〜5×105個、好ま
しくは、約8×104〜3×105個となるように植え
込む。次いで、Mφ活性化物質を添加する。細胞
及びMφ活性化物質を含む培養容器を約35〜38
℃、好ましくは約37℃、約5〜10%炭酸ガス含有
空気中、湿度約90〜100%の条件の下で、40〜100
時間培養することにより、細胞分化誘導物質が産
生され、培養上清中に放出される。培地のPHは、
培養期間中約6.0〜7.5に維持することが好まし
い。また、Mφ前駆細胞を用いる場合には、動物
血清を含む適当な培地中にて、1〜24時間、Mφ
前駆細胞をMφ様細胞へと変化させうるTPAなど
の分化誘導剤約5〜5000ng/ml培地、好ましく
は約50〜1000ng/ml培地で処理することによ
り、Mφ様細胞へ変化させた後、分化誘導剤を洗
浄除去し、得られるMφ様細胞を使用し、上記の
ごとく培養することにより、細胞分化誘導物質を
取得する。 次に実施例を挙げて、本発明を更に具体的に説
明するが、本発明はこれらに限定されるものでな
いことは言うまでもない。なお以下の記載におい
て、「%」は特に記載しない限り容量パーセント
(V/V%)を表わす。また特に記載がない限り、
培養は37℃、湿度90〜100%、5%炭酸ガス含有
空気中で行なつた。 実施例 1 ヒト急性単球性白血病細胞THP−1細胞を、
10%の牛胎児血清、50単位/mlのペニシリン及び
50μg/mlのストレプトマイシンを含有する
RPMI−1640培地にて、細胞密度6×105個/ml
となるように、細胞浮遊液を調製し、その10mlを
100枚の組織培養用プラスチツク製ペトリデイツ
シユ(直径8cm)に植え込み、分化誘導剤とし
て、12−O−テトラデカノイルホルボール−13−
アセテート(TPA)を1μg/mlとなるように添
加し、37℃、5%炭酸ガス含有空気中で24時間培
養した。その後、培養液を除去し、TPAを含ま
ずMφ活性化物質としてビタミンA酸(RA)を
1μg/ml含む血清不含の新鮮RPMI−1640培地
(ペニシリン、ストレプトマイシンを含む)10ml
と置き換え、さらに培養を続けた。72時間後に各
デイツシユの培養上清を収集し、3000rpmで10分
間遠心し細胞屑を除去した後、上清中の細胞分化
誘導物質の活性を測定した。即ち、増殖期にある
M−1細胞5×105cells/ml(培地:イーグル
MEM+2培量ビタミン・アミノ酸+10%牛胎児
血清)浮遊液に得られた培養液を混じ、その1ml
を10mlガラス管にとり横に倒して、炭酸ガス培養
器中で37℃で2日間培養後、遠心処理
(1000rpm,10分間)を施し、上澄み液を捨て血
清を含まない培養液1mlを加えて再び細胞を懸濁
し、2μ/mlの濃度のポリスチレン・ラテツク
ス粒子(1.004μm:積水化学社製)を加え攪はん
した後、さらに4時間培養する。この細胞を
PBS1mlでよく洗浄し、遠心し、細胞外のラテツ
クス粒子を除去する。この操作を2回繰り返した
のち、遠心管の底に沈殿した細胞をピペツトで吸
い上げ、スライドガラス上に1滴落とす。これに
0.5%エオシン液1滴を加え、カバーガラスをの
せ、顕微鏡で観察する。赤く染色される死細胞を
除き、生細胞のみについて、ラテツクス粒子をど
ん食した細胞と非どん食細胞とを計数し、どん食
細胞の比率を求める。培養液を適宜希釈して、上
記の測定を行ない、どん食細胞の比率が10%にな
るのに必要な、培養液の希釈率の逆数をもつて、
1単位(U)/mlと定義される本発明の細胞分化
誘導物質の活性量は、得られた培養液において、
77単位/mlであつた。 得られた培養液のレクチンにたいする吸着性を
検討した。市販の各種レクチン固定化樹脂を市販
セパコールミニカラム(バイオラツド社製)に充
填し150mMの塩化ナトリウムを含む50mMリン
酸緩衝液(PH7.5)で充分に洗浄後、培養液試料
を添加し、同緩衝液にて洗浄し、次いで、各種糖
類を含む溶離液で溶出を行なつた。コンカナバリ
ン−A(Con−A)、および、レンチルレクチンの
カラムを用いた場合に、レクチンカラムへの吸着
が認められ、いずれのカラムにおいても0.2Mα−
メチル−d−マンノシド溶液により、細胞分化誘
導活性が溶出した。 Con−Aカラムに吸着、溶出した細胞分化誘導
活性について、分子量、等電点の測定を行なつ
た。分子量測定のため、該細胞分化誘導物質の活
性画分を、ダルベツコ、リン酸緩衝液(塩化カリ
ウム0.2g/、塩化ナトリウム8g/、リン
酸第1カリウム0.2g/、リン酸第2ナトリウ
ム1.15g/、PH7.4)に0.01%ポリエチレングリ
コールを添加した溶液にて平衡化したSuperose6
+Superose12(フアルマシア社製)を用いるゲル
ろ過法により分画し、M−1細胞でのどん食能の
誘起による細胞分化誘導活性を測定したところ、
分子量50000±5000の画分に細胞分化誘導物質の
活性が認められた。 SDS−ポリアクリルアミド電気泳動法による分
子量測定のため、トリス/グリシン/SDS(PH
8.3)で、電気泳動を行なつた。標準分子量キツ
ト(フアルマシア社製)を用いて分子量検量線を
作成し、分画したゲルからの抽出物のM−1細胞
のどん食誘起活性評価により分子量を決定したこ
とろ、分子量50000±5000の画分に細胞分化誘導
物質の活性が認められた。 等電点測定のために、等電点電気泳動法を以下
の方法によつて行なつた。即ち、アトー株式会社
製の等電点電気泳動装置(SJ1071EC型)を用い、
フアルマライト(フアルマシア社製、PH4〜8)
とグリセロールを含む5%ポリアクリルアミド平
板ゲルを作成した。陽極側に0.04M DL−グルタ
ミン酸、陰極側に0.2M L−ヒスチジンを使用し
て、700Vで50分間の前泳動を行なつた。続いて
試料を付与し、700Vで1時間、500Vで16時間泳
動を行なつた。泳動終了後ゲルを2.5mm巾で切り
出し、次いで各ゲル片を0.15M塩化ナトリウムを
含む0.02Mトリス−塩酸緩衝液(PH8.2)0.2mlで
抽出し、各抽出液について、M−1細胞を用いた
細胞分化誘導活性の評価を行なつたところ、等電
点はPH:6.5±1.0であつた。次に示す方法によ
り、細胞分化誘導物質の熱安定性を検討した。培
養液に、0.01%ポリエチレングリコールを添加し
たPH7.4リン酸緩衝液にて3倍に希釈し、所定の
時間、所定の温度にて加熱した後、M−1細胞を
用いた細胞分化誘導活性の評価を行なつた。
る。更に詳しくは、ヒト由来のマクロフアージ様
細胞を培養することによつて産生される、細胞分
化誘導作用を有する蛋白性のヒト由来の生理活性
物質(以下、細胞分化誘導物質と略記)に関する
ものである。本発明の化学物質は、細胞分化誘導
作用を有していることから腫瘍細胞、特に白血病
細胞を正常細胞に分化誘導させ、その増殖能を消
失させる作用を有していることから癌の治療に使
用し得るものである。 [従来の技術] 免疫反応をつかさどつている細胞群の中で、最
近マクロフアージ(以下Mφと略す)が注目され
るようになつてきた。Mφが、どん食作用による
抗原の処理を始めとして、生体の防御機構の中
で、中心的な役割を演じていることが、明らかに
なつてきたからである。また、細胞外からの刺激
に応じて、Mφが、インターロイキン−1、癌壊
死因子、コロニー形成刺激因子など、多種の重要
な生理活性物質を産生することが知られてきた。 血液細胞は、造血幹細胞より、増殖分化を繰り
返し、成熟して機能細胞へ到達するのである。こ
の分化成熟の過程で増殖能をもち、腫よう化して
しまつたものが白血病細胞である。このような腫
よう細胞を正常な機能をもつた細胞へと分化を誘
導するのが、分化誘導能をもつた物質であり、こ
れら分化誘導能をもつた物質を用いることによ
り、新しい癌の治療方法を開発できるものとし
て、近年、注目されている。 分化誘導能をもつた物質としては、安全性の高
い蛋白性の物質、特にヒト由来の蛋白性の物質が
期待を集め、近年活発に研究がなされている。現
在までに、ヒト末梢血リンパ球をレクチンで刺激
することにより、分化誘導活性が生成されること
が報告されている(ジヤーナル ナシヨナル カ
ンサー インステチユート(J.National Cancer
Institute)67巻、1225頁(1981年)、カンサー
リサーチ(Cancer Research)42巻、3928頁
(1982年))。しかしながらこれらの報告において、
ヒト末梢血リンパ球から得られたものは、セフア
デツクスG−75(フアルマシア社、スウエーデン)
を用いたゲルろ過分画法によつて分子量25000と
40000の蛋白性物質であることが報告されている
のみであつたが、その後の研究において、公開特
許公報、昭60−28934号に示される分子量45000〜
60000または100000、等電点5〜7の物質であり、
トリプシンに感受性を示し、熱に不安定な物質で
あるとされた。一方、ヒト−T−リンパ球性白血
病細胞の培養上清中に見いだされた分化誘導活性
は、アクリルアミドゲル電気泳動法によつて、分
子量50000〜60000の蛋白性の物質に由来するもの
とされたが、単離工程中で、その活性の約60〜90
%が失われた(日本組織培養学会要旨、43頁、
(1983年))。 [発明が解決しようとする問題点] このように、ヒト末梢血リンパ球およびヒト−
T−リンパ球性白血病細胞から生成される分化誘
導活性は、その活性をもたらす物質の性質はほと
んどわかつていないか、熱や蛋白質分解酵素に強
い感受性を示す不安定な物質であつた。 また、これらの活性は弱く、ビタミンA誘導体
などが共存しないと、白血病細胞に充分な分化を
誘導することができなかつた。 [問題点を解決するための手段] 本発明者らは、上記先行知見を認識し、マクロ
フアージ(Mφ)系の細胞が、より安定性に優れ
た、強い細胞分化誘導作用を有する蛋白性の生理
活性物質を産生するとの作業仮説に基いて、鋭意
検討を続けてきた。その結果、ヒトのMφ前駆細
胞に作用して、単独で、Mφへと分化を誘導しう
る活性を有するヒト由来の蛋白性の細胞分化誘導
物質を見いだし、本発明を完成するに至つた。 [発明の内容] すなわち、本発明は下記の特性を有する、白血
病細胞に対して細胞分化誘導作用を有するヒト由
来の蛋白性の生理活性物質を提供するものであ
る。 a 分子量 50000±5000 (ゲル濾過法) 50000±5000 (SDS−ポリアクリルアミド電
気泳動法) b レクチンカラムへの吸着性 レンチルレクチ
ンカラム、コンカナバリンAカラムに吸着する c 熱安定性 70℃1時間で失格しない d 還元剤による影響 活性が低下する e PH安定性 PH2〜10の範囲で安定である。 f トリプシンおよびプロナーゼEによる酵素反
応によつて分化誘導活性の低下が認められない 本発明において、細胞分化誘導物質とはヒト由
来のMφ又はMφ様細胞が産生する物質であつて、
in vitroで少なくともマウスM−1細胞を分化さ
せ、どん食能を誘起する能力を有するものを意味
する。 本発明で用いられるMφ様細胞とは、末梢血単
球、組織Mφ,Mφ前駆細胞をin vitroで分化誘導
剤の作用によりMφ様細胞に変化したものなどを
用いることができる。Mφ前駆細胞とは、分化誘
導剤の作用により始めてMφ様細胞に変化する細
胞又は本来Mφの性質の一部を有しているが、分
化誘導剤の作用により更にMφの性質を有するよ
うに変化する細胞を意味する。Mφ前駆細胞は、
白血病患者から分離した初代細胞及び株化細胞な
どから得られるが、株化細胞が大量に得やすく好
ましい。本発明で用いられる株化細胞の例として
は、HL−60細胞(ネイチヤー(Nature)、270
巻、347頁(1977年))THP−1細胞(インター
ナシヨナル ジヤーナル カンサー(Int.J.
Cancer)26巻、171頁(1980年))、Mono−1−
207細胞(ウイルヒヨーズ アルヒーフ アー
パソロジカル アナトミー ヒストパソロジー
(Virchows Arch.A Path.Anat.and Histol.)
371巻、15頁(1976年))などが挙げられる。ここ
で用いられる分化誘導剤としては、Mφ様細胞へ
変化し得るMφ前駆細胞をMφ様細胞への変化を
誘導する物質を意味し、例えば、ホルボールエス
テル類、メゼレインのようなジテルペン系化合
物、テレオシジンなどが挙げられる。ホルボール
エステル類では、4β−ヒドロキシ体が好ましく、
中でも、12−O−テトラデカノイルホルボール−
13−アセテート(以下、TPAと略記する)が特
に好ましい。 本発明において用いられるMφ活性化物質とし
ては、ビタミンA誘導体(例えば、ビタミンA
酸、ビタミンAアルコール、ビタミンAアセテー
ト、ビタミンAパルミテート)、ジメチルスルホ
キシド、酪酸ナトリウム塩、ハイドロコーチゾ
ン、グラム陰性菌由来のリポポリサツカライド
(以下LPSと略す)、リピツドA,BCG菌などの
菌体壁、ムラミルジペプチドなどが挙げられ、そ
れぞれ単独、あるいは適宜組み合わせて用いるこ
とにより、Mφを活性化させ、細胞分化誘導物質
の産生を促すことができる。これらMφ活性化物
質の中でも、約1〜5000ng/ml、好ましくは約
100〜3000ng/ml、より好ましくは約500〜
2000ng/mlのビタミンA誘導体、中でもビタミ
ンA酸の使用が特に好ましい。 細胞分化誘導物質産生に充分な時間、ヒト由来
のMφ様細胞を培養した後、培養上清を収集し、
遠心分離により細胞屑を除去すれば、細胞分化誘
導物質を含む溶液が得られる。この細胞分化誘導
物質を含む溶液を生化学的分離操作における常
法、限外ろ過による濃縮、透析脱塩、陰イオン交
換体によるイオン交換クロマトグラフイー、ゲル
ろ過、電気泳動等を適宜組み合わせて精製するこ
とにより、高純度の細胞分化誘導物質を得ること
ができる。 細胞分化誘導物質の活性の測定は、in vitroで
マウス骨髄性白血病細胞M−1細胞に、どん食能
を誘起する効果を測定することにより行なう。本
発明者らが用いている方法は、林の方法(トキシ
コロジーフオーラム、7巻、50頁、(1984年))を
改良したものである。即ち、増殖期にあるM−1
細胞 5×105cells/ml(培地:イーグルMEM
+2培量ビタミン・アミノ酸+10%牛胎児血清)
浮遊液に細胞分化誘導物質溶液(試験液)を混
じ、その1mlを10mlガラス管にとり、横に倒し
て、炭酸ガス培養器中で、37℃で2日間培養液、
遠心処理(1000rpm,10分間)を施し、上澄み液
を捨て、血清を含まない培養液1mlを加えて再び
細胞を懸濁し、2μ/mlの濃度のポリスチレ
ン・ラテツクス粒子(1.004μm:積水化学社製)
を加え攪はんした後、さらに4時間培養する。こ
の細胞をPBS1mlでよく洗浄、遠心し、細胞外の
ラテツクス粒子を除去する。この操作を2回繰り
返したのち、遠心管の底に沈殿した細胞をピペツ
トで吸い上げ、スライドガラス上に1滴落とす。
これに0.5%エオシン液1滴を加え、カバーガラ
スをのせ、顕微鏡で観察する。赤く染色される死
細胞を除き、生細胞のみについて、ラテツクス粒
子をどん食した細胞と非どん食細胞とを計数し、
どん食細胞の比率を求める。試験液を適宜希釈し
て、上記の測定を行ない、どん食細胞の比率が10
%になるのに必要な、細胞分化誘導物質の試料の
希釈率の逆数をもつて、本発明における細胞分化
誘導物質の活性量を1単位(U)/mlと定義す
る。以下本発明における細胞分化誘導物質の活性
量は、このどん食能測定法によつて測定した単位
で示されている。 上記の細胞の培養により産生される、本発明の
細胞分化誘導物質の性質を詳しく述べる。 A 分子量:50000±5000(ゲルろ過法) ダルベツコリン酸緩衝液(塩化カリウム0.2
g/、塩化ナトリウム8g/、リン酸第1カ
リウム0.2g/、リン酸第2ナトリウム1.15
g/、PH7.4)に0.01%ポリエチレングリコー
ルを添加した溶液にて平衡化したSuperose6+
Superose12(フアルマシア社(スエーデン)製)
を用いるゲルろ過法により分画し、M−1細胞で
のどん食能の誘起による細胞分化誘導活性を測定
する。 B 分子量:50000±5000(SDS−ポリアクリルア
ミド電気泳動法) Segrestらの方法[メソツド イン エンザイ
モロジー(Method in Enzymology)28−B
巻、54頁(1972年)]に従い、トリス/グリシ
ン/SDS(PH8.3)で、電気泳動を行なつた。標準
分子量キツト(フアルマシア社製)を用いて分子
量検量線を作成し、分画したゲルからの抽出物の
M−1細胞のどん食能誘起活性評価により分子量
を決定する。 以上の結果より、本発明の細胞分化誘導物質は
サブ・ユニツト構造をとつていない物質であるこ
とが分かる。 C 等電点:6.5±1.0(等電点電気泳動法) アトー株式会社製の等電点電気泳動装置
(SJ1071EC型)を用い、フアルマライト(フアル
マシア社製、PH4〜8)とグリセロールを含む5
%ポリアクリルアミド平板ゲルを作成する。陽極
側に0.04M DL−グルタミン酸、陰極側に0.2M
L−ヒスチジンを使用して、700Vで50分間の前
泳動を行なう。続いて試料を付与し、700Vで1
時間、500Vで16時間泳動を行なう。泳動終了後
ゲルを2.5mm巾で切り出し、次いで各ゲル片を
0.15M塩化ナトリウムを含む0.02Mトリスー塩酸
緩衝液(PH8.2)0.2mlで抽出し、各抽出液につい
て、M−1細胞を用いた細胞分化誘導活性の評価
を行なう。 D 熱安定性 本発明の細胞分化誘導物質を0.01%ポリエチレ
ングリコールを添加したPH7.4リン酸緩衝液にて
3倍に希釈し、所定の時間、所定の温度にて加熱
した後、M−1細胞を用いた細胞分化誘導活性の
評価を行なう。本発明の細胞分化誘導物質は70
℃、1時間の処理において、その活性を失なず、
熱的に安定な生理活性物質である。 E レクチンカラムへの吸着性 市販の各種レクチン固定化樹脂を市販セパコー
ルミニカラム(バイオラツド社製)に充填し
150mMの塩化ナトリウムを含む50mMリン酸緩
衝液(PH7.5)で充分に洗浄後、本発明の細胞分
化誘導物質試料を添加し、同緩衝液にて洗浄す
る。次いで、各種糖類を含む溶離液で溶出を行な
う。コンカナバリン−A、および、レンチルレク
チンのカラムを用いた場合に、レクチンカラムへ
の吸着が認められ、いずれのカラムにおいても
0.2Mα−メチル−d−マンノシド溶液により、細
胞分化誘導活性が溶出する。 F ジスルフイド結合の還元剤による影響 ジスルフイド結合の還元剤としてジチオスレイ
トール(DTT)、又は、2−メルカプトエタノー
ル(2−ME)を、本発明になる細胞分化誘導物
質の溶液中に加え、37℃で、4時間反応させる。
反応後、M−1細胞に対するどん食能誘起活性を
測定する。50mMのジチオスレイトールを添加し
た場合に、活性が低下する。 G PH安定性 本発明になる細胞分化誘導物質を含む溶液に、
4倍量の各種PHの緩衝液を添加し、24時間、37℃
に加温した後、PHを中性にもどし、M−1細胞に
対する細胞分化誘導活性を測定する。PH2〜10の
範囲において、活性の低下は認められない。 H 蛋白分解酵素安定性 本発明になる細胞分化誘導物質を含む溶液(PH
7.4)に蛋白分解酵素トリプシン、または、プロ
ナーゼ−E(200単位)を添加し、37℃にて、3時
間反応させる。反応後において、M−1細胞に対
する細胞分化誘導活性の低下は認められない。上
記実験に0.1%SDSを添加したこと以外は、同一
の条件にて、蛋白分解酵素の効果を検討すると、
0.1%SDSの添加時のプロナーゼ−Eにより、細
胞分化誘導活性が消失することが認められる。 I ヒト白血病細胞に対する生理作用 牛胎児血清を10%含むRPMI−1640培地にヒト
単球性白血病細胞(THP−1)、ヒト前骨髄性白
血病細胞(HL−60)を37℃、炭酸ガス培養器中
でそれぞれ培養し、増殖期にある細胞をリン酸緩
衝液でよく洗浄する。該細胞を10%牛胎児血清お
よび10nMビタミンA酸を添加したRPMI−1640
培地(ビタミン、アミノ酸強化)に、それぞれ2
×105個/ml培地になるように懸濁する。細胞懸
濁液100μと細胞分化誘導物質溶液(試験液)
100μとの混合液を96穴プレートに入れ、37℃、
5%炭酸ガス混合空気の下で、3日間培養する。
0.2%ニトロブルーテトラゾリウム(NBT、シグ
マ社)の溶液(0.2μg/mlTPA含有培地)100μ
を加えて、更に45分間培養後、顕微鏡下で観察
する。青く沈着した色素を有する細胞がNBT還
元能陽性細胞として観察される。 本発明の細胞分化誘導物質と3日間培養するこ
とにより、THP−1細胞、HL−60細胞にNBT
還元能が誘導されるのみならず、ラテツクス粒子
どん食能、培養容器壁への付着能、酵母菌殺菌
能、酸性ホスフアターゼ活性、β−グルクロニダ
ーゼ活性など、Mφの特徴として、細胞鑑定に常
用される(「マニユアル オブ マクロフアージ
メソドロジー(Manual of Macrophage
Methodlogy)、マーセル デツカー社、米国、
1981年」「図解白血球、金芳堂、1982年」)各種指
標の活性の増強が認められる。 なお、これまでの説明で明らかなように、本発
明になる新規生理活性物質は、Mφ前駆細胞であ
るヒトおよびマウスの骨髄性白血病細胞に作用し
て、Mφ様細胞へと分化を誘導し、Mφに特有な
各種機能の昂進をもたらし、溶液中での分子量、
すなわちゲルろ過法の分子量が50000±5000であ
り、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動での
分子量も50000±5000であること、コンカナバリ
ン−A、レンチルレチン等のレクチンに対して結
合性を有することから、本発明の細胞分化誘導物
質は、サブ・ユニツト構造を有しない糖蛋白質で
あると考えられる。 次に本発明の細胞分化誘導物質の製造方法につ
いて詳しく述べる。 本発明で使用される細胞の培養には、高等動物
細胞の培養に適した各種合成培地が用いられる。
代表的な培地としては、例えばRPMI−1640培
地、イーグルのMEM培地、ダルベツコ変法の
MEM培地、α−MEM培地、Hamの培地、199
培地、McCoy54培地、Iscoveの培地などを単独
もしくは適宜混合した培地が用いられる。これら
の培地の組成は「細胞組織培養マニユアル、講談
社、1982年」に記載されている。これらの培地に
は、アルブミン、インシユリン、トランスフエリ
ンなどの血清由来の蛋白質、ヒト血清、牛胎児血
清、牛血清、馬血清などの動物血清を単独で、あ
るいは適宜組み合わせて添加してもよい。また、
必要に応じて、微生物による汚染を防止するため
に、例えばペニシリン10〜100単位/ml培地、硫
酸ストレプトマイシン10〜100μg/ml培地、硫
酸カナマイシン40〜60μg/ml培地などの抗生物
質を添加することができる。培養液のPHの制御
や、炭酸イオン濃度の調節のために、例えば10〜
60mMのヘペス[4−(2−ハドロキシエチル)−
1−ピペラジンエタンスルホン酸]などのPH緩衝
剤を使用してもよい。培養容器の材質は特に限定
しないが、プラスチツク、ガラスあるいは金属製
のものであつて、細胞の増殖が可能であり、細胞
の接着性に優れたものが好ましい。 細胞分化誘導物質を産生させるためには、適当
な培地を用いて、ヒト由来のMφ様細胞を、培養
容器面1cm2当たりに約5×104〜5×105個、好ま
しくは、約8×104〜3×105個となるように植え
込む。次いで、Mφ活性化物質を添加する。細胞
及びMφ活性化物質を含む培養容器を約35〜38
℃、好ましくは約37℃、約5〜10%炭酸ガス含有
空気中、湿度約90〜100%の条件の下で、40〜100
時間培養することにより、細胞分化誘導物質が産
生され、培養上清中に放出される。培地のPHは、
培養期間中約6.0〜7.5に維持することが好まし
い。また、Mφ前駆細胞を用いる場合には、動物
血清を含む適当な培地中にて、1〜24時間、Mφ
前駆細胞をMφ様細胞へと変化させうるTPAなど
の分化誘導剤約5〜5000ng/ml培地、好ましく
は約50〜1000ng/ml培地で処理することによ
り、Mφ様細胞へ変化させた後、分化誘導剤を洗
浄除去し、得られるMφ様細胞を使用し、上記の
ごとく培養することにより、細胞分化誘導物質を
取得する。 次に実施例を挙げて、本発明を更に具体的に説
明するが、本発明はこれらに限定されるものでな
いことは言うまでもない。なお以下の記載におい
て、「%」は特に記載しない限り容量パーセント
(V/V%)を表わす。また特に記載がない限り、
培養は37℃、湿度90〜100%、5%炭酸ガス含有
空気中で行なつた。 実施例 1 ヒト急性単球性白血病細胞THP−1細胞を、
10%の牛胎児血清、50単位/mlのペニシリン及び
50μg/mlのストレプトマイシンを含有する
RPMI−1640培地にて、細胞密度6×105個/ml
となるように、細胞浮遊液を調製し、その10mlを
100枚の組織培養用プラスチツク製ペトリデイツ
シユ(直径8cm)に植え込み、分化誘導剤とし
て、12−O−テトラデカノイルホルボール−13−
アセテート(TPA)を1μg/mlとなるように添
加し、37℃、5%炭酸ガス含有空気中で24時間培
養した。その後、培養液を除去し、TPAを含ま
ずMφ活性化物質としてビタミンA酸(RA)を
1μg/ml含む血清不含の新鮮RPMI−1640培地
(ペニシリン、ストレプトマイシンを含む)10ml
と置き換え、さらに培養を続けた。72時間後に各
デイツシユの培養上清を収集し、3000rpmで10分
間遠心し細胞屑を除去した後、上清中の細胞分化
誘導物質の活性を測定した。即ち、増殖期にある
M−1細胞5×105cells/ml(培地:イーグル
MEM+2培量ビタミン・アミノ酸+10%牛胎児
血清)浮遊液に得られた培養液を混じ、その1ml
を10mlガラス管にとり横に倒して、炭酸ガス培養
器中で37℃で2日間培養後、遠心処理
(1000rpm,10分間)を施し、上澄み液を捨て血
清を含まない培養液1mlを加えて再び細胞を懸濁
し、2μ/mlの濃度のポリスチレン・ラテツク
ス粒子(1.004μm:積水化学社製)を加え攪はん
した後、さらに4時間培養する。この細胞を
PBS1mlでよく洗浄し、遠心し、細胞外のラテツ
クス粒子を除去する。この操作を2回繰り返した
のち、遠心管の底に沈殿した細胞をピペツトで吸
い上げ、スライドガラス上に1滴落とす。これに
0.5%エオシン液1滴を加え、カバーガラスをの
せ、顕微鏡で観察する。赤く染色される死細胞を
除き、生細胞のみについて、ラテツクス粒子をど
ん食した細胞と非どん食細胞とを計数し、どん食
細胞の比率を求める。培養液を適宜希釈して、上
記の測定を行ない、どん食細胞の比率が10%にな
るのに必要な、培養液の希釈率の逆数をもつて、
1単位(U)/mlと定義される本発明の細胞分化
誘導物質の活性量は、得られた培養液において、
77単位/mlであつた。 得られた培養液のレクチンにたいする吸着性を
検討した。市販の各種レクチン固定化樹脂を市販
セパコールミニカラム(バイオラツド社製)に充
填し150mMの塩化ナトリウムを含む50mMリン
酸緩衝液(PH7.5)で充分に洗浄後、培養液試料
を添加し、同緩衝液にて洗浄し、次いで、各種糖
類を含む溶離液で溶出を行なつた。コンカナバリ
ン−A(Con−A)、および、レンチルレクチンの
カラムを用いた場合に、レクチンカラムへの吸着
が認められ、いずれのカラムにおいても0.2Mα−
メチル−d−マンノシド溶液により、細胞分化誘
導活性が溶出した。 Con−Aカラムに吸着、溶出した細胞分化誘導
活性について、分子量、等電点の測定を行なつ
た。分子量測定のため、該細胞分化誘導物質の活
性画分を、ダルベツコ、リン酸緩衝液(塩化カリ
ウム0.2g/、塩化ナトリウム8g/、リン
酸第1カリウム0.2g/、リン酸第2ナトリウ
ム1.15g/、PH7.4)に0.01%ポリエチレングリ
コールを添加した溶液にて平衡化したSuperose6
+Superose12(フアルマシア社製)を用いるゲル
ろ過法により分画し、M−1細胞でのどん食能の
誘起による細胞分化誘導活性を測定したところ、
分子量50000±5000の画分に細胞分化誘導物質の
活性が認められた。 SDS−ポリアクリルアミド電気泳動法による分
子量測定のため、トリス/グリシン/SDS(PH
8.3)で、電気泳動を行なつた。標準分子量キツ
ト(フアルマシア社製)を用いて分子量検量線を
作成し、分画したゲルからの抽出物のM−1細胞
のどん食誘起活性評価により分子量を決定したこ
とろ、分子量50000±5000の画分に細胞分化誘導
物質の活性が認められた。 等電点測定のために、等電点電気泳動法を以下
の方法によつて行なつた。即ち、アトー株式会社
製の等電点電気泳動装置(SJ1071EC型)を用い、
フアルマライト(フアルマシア社製、PH4〜8)
とグリセロールを含む5%ポリアクリルアミド平
板ゲルを作成した。陽極側に0.04M DL−グルタ
ミン酸、陰極側に0.2M L−ヒスチジンを使用し
て、700Vで50分間の前泳動を行なつた。続いて
試料を付与し、700Vで1時間、500Vで16時間泳
動を行なつた。泳動終了後ゲルを2.5mm巾で切り
出し、次いで各ゲル片を0.15M塩化ナトリウムを
含む0.02Mトリス−塩酸緩衝液(PH8.2)0.2mlで
抽出し、各抽出液について、M−1細胞を用いた
細胞分化誘導活性の評価を行なつたところ、等電
点はPH:6.5±1.0であつた。次に示す方法によ
り、細胞分化誘導物質の熱安定性を検討した。培
養液に、0.01%ポリエチレングリコールを添加し
たPH7.4リン酸緩衝液にて3倍に希釈し、所定の
時間、所定の温度にて加熱した後、M−1細胞を
用いた細胞分化誘導活性の評価を行なつた。
【表】
ジスルフイド結合の還元剤による影響を検討す
るために、ジチオスレイトール(DTT)、又は、
2−メルカプトエタノール(2−ME)を、培養
液中に加え、37℃で、4時間反応させた。反応
後、M−1細胞に対するどん食能誘起活性を測定
した。
るために、ジチオスレイトール(DTT)、又は、
2−メルカプトエタノール(2−ME)を、培養
液中に加え、37℃で、4時間反応させた。反応
後、M−1細胞に対するどん食能誘起活性を測定
した。
【表】
PH安定性を次に示す。細胞分化誘導物質を含む
培養液に、4倍量のPH2,4,7.3,9,10の各
種緩衝液を添加し、24時間、37℃に加温した後、
PHを中性にもどし、M−1細胞に対する細胞分化
誘導活性を測定した。PH2〜10の範囲のいずれに
おいても活性の低下は認められなかつた。つい
で、蛋白分解酵素に対する安定性を検討した。細
胞分化誘導物質を含む培養液に蛋白分解酵素トリ
プシン、または、ブロナーゼ−E(200単位)を添
加し、37℃にて、3時間反応させた。反応後、M
−1細胞に対する細胞分化誘導活性を測定した
が、いずれの条件においても、活性の低下は認め
られなかつた。上記実験に0.1%SDSを添加した
こと以外は、同一の条件にて、蛋白分解酵素の効
果を検討したところ、0.1%SDSの添加時のプロ
ナーゼ−Eにより、細胞分化誘導活性が完全に消
失した。 さらに、ヒト白血病細胞に対する生理作用を確
認すべく、牛胎児血清を10%含むRPMI−1640培
地にヒト単球性白血病細胞(THP−1)、ヒト前
骨髄性白血病細胞(HL−60)を37℃、炭酸ガス
培養器中でそれぞれ培養し、増殖期にある細胞を
リン酸緩衝液でよく洗浄した後、10%牛胎児血清
および10nMビタミンA酸を添加したRPMI−
1640培地(ビタミン、アミノ酸強化)に、それぞ
れ2×105個/ml培地になるように懸濁した。細
胞懸濁液100μと培養液100μとの混合液を96
穴プレートに入れ、37℃、5%炭酸ガス混合空気
の下で、3日間培養した。0.2%ニトロブルーテ
トラゾリウム(NBT、シグマ社)の溶液(0.2μ
g/mlTPA含有培地)100μを加えて、更に45
分間培養下後、顕微鏡下で観察した。青く沈着し
た色素を有するNBT還元能陽性細胞が、THP−
1細胞において29%、HL−60細胞において21%
に観察された。 実施例 2 ヒト急性単球性白血病細胞THP−1細胞を、
10%の牛胎児血清、50単位/mlのペニシリン及び
50μg/mlのストレプトマイシンを含有する
RPMI−1640培地にて、細胞密度6×105個/ml
となるように、細胞浮遊液を調製し、その10mlを
1枚の組織培養用プラスチツク製ペトリデイツシ
ユに植え込み、TPAを100ng/mlとなるように
添加し、37℃、5%炭酸ガス含有空気中で24時間
培養した。その後で、培養液を除去し、TPAを
含まず、下表に示すMφ活性化物質(ビタミンA
酸(RA)、LPS、サクシニル化ConA(S−
ConA))を含む血清不含の新鮮RPMI−1640培地
(ペニシリン、ストレプトマイシンを含む)10ml
と置き換え、さらに培養を続けた。72時間に各デ
イツシユの培養上清を収集し、3000rpmで10分間
遠心した後、上清中の細胞分化誘導物質の活性を
測定した。細胞分化誘導物質の活性が20単位/ml
以上であつた培養上清について、Con−Aカラム
への吸着処理およびα−メチル−d−マンノシド
溶液による脱着処理により得られる活性画分は、
分子量50000(SDS−ポリアクリルアミド電気泳動
法)で、PH2〜10での処理により失活せずに、70
℃の加熱処理においても、その活性を保持してい
た。
培養液に、4倍量のPH2,4,7.3,9,10の各
種緩衝液を添加し、24時間、37℃に加温した後、
PHを中性にもどし、M−1細胞に対する細胞分化
誘導活性を測定した。PH2〜10の範囲のいずれに
おいても活性の低下は認められなかつた。つい
で、蛋白分解酵素に対する安定性を検討した。細
胞分化誘導物質を含む培養液に蛋白分解酵素トリ
プシン、または、ブロナーゼ−E(200単位)を添
加し、37℃にて、3時間反応させた。反応後、M
−1細胞に対する細胞分化誘導活性を測定した
が、いずれの条件においても、活性の低下は認め
られなかつた。上記実験に0.1%SDSを添加した
こと以外は、同一の条件にて、蛋白分解酵素の効
果を検討したところ、0.1%SDSの添加時のプロ
ナーゼ−Eにより、細胞分化誘導活性が完全に消
失した。 さらに、ヒト白血病細胞に対する生理作用を確
認すべく、牛胎児血清を10%含むRPMI−1640培
地にヒト単球性白血病細胞(THP−1)、ヒト前
骨髄性白血病細胞(HL−60)を37℃、炭酸ガス
培養器中でそれぞれ培養し、増殖期にある細胞を
リン酸緩衝液でよく洗浄した後、10%牛胎児血清
および10nMビタミンA酸を添加したRPMI−
1640培地(ビタミン、アミノ酸強化)に、それぞ
れ2×105個/ml培地になるように懸濁した。細
胞懸濁液100μと培養液100μとの混合液を96
穴プレートに入れ、37℃、5%炭酸ガス混合空気
の下で、3日間培養した。0.2%ニトロブルーテ
トラゾリウム(NBT、シグマ社)の溶液(0.2μ
g/mlTPA含有培地)100μを加えて、更に45
分間培養下後、顕微鏡下で観察した。青く沈着し
た色素を有するNBT還元能陽性細胞が、THP−
1細胞において29%、HL−60細胞において21%
に観察された。 実施例 2 ヒト急性単球性白血病細胞THP−1細胞を、
10%の牛胎児血清、50単位/mlのペニシリン及び
50μg/mlのストレプトマイシンを含有する
RPMI−1640培地にて、細胞密度6×105個/ml
となるように、細胞浮遊液を調製し、その10mlを
1枚の組織培養用プラスチツク製ペトリデイツシ
ユに植え込み、TPAを100ng/mlとなるように
添加し、37℃、5%炭酸ガス含有空気中で24時間
培養した。その後で、培養液を除去し、TPAを
含まず、下表に示すMφ活性化物質(ビタミンA
酸(RA)、LPS、サクシニル化ConA(S−
ConA))を含む血清不含の新鮮RPMI−1640培地
(ペニシリン、ストレプトマイシンを含む)10ml
と置き換え、さらに培養を続けた。72時間に各デ
イツシユの培養上清を収集し、3000rpmで10分間
遠心した後、上清中の細胞分化誘導物質の活性を
測定した。細胞分化誘導物質の活性が20単位/ml
以上であつた培養上清について、Con−Aカラム
への吸着処理およびα−メチル−d−マンノシド
溶液による脱着処理により得られる活性画分は、
分子量50000(SDS−ポリアクリルアミド電気泳動
法)で、PH2〜10での処理により失活せずに、70
℃の加熱処理においても、その活性を保持してい
た。
【表】
実施例 3
ヒト急性前骨髄性白血病細胞HL−60細胞を用
い、Mφ用細胞への分化誘導剤として、表−4に
示す、12−O−テトラデカノイルホルボール−13
−アセテート(TPA)、ホルボール−12,13−ジ
デカノエート(PDD)、メゼレイン(MEZ)、
Mφ活性化物質として、1μg/mlのビタミンA酸
を用いること以外は、実施例2と同様に培養を行
ない、培養上清を得た。 培養上清中の細胞分化誘導物質の活性を測定
し、その活性が認められる培養上清について以下
の検討を行なつた。Con−Aカラムへの吸着およ
びα−メチル−d−マンノイド溶液による脱着処
理により得られる活性画分は、その分子量は約
50000(SDS−ポリアクリルアミド電気泳動法)で
あり、70℃での加熱処理においても、その活性を
失わなかつた。
い、Mφ用細胞への分化誘導剤として、表−4に
示す、12−O−テトラデカノイルホルボール−13
−アセテート(TPA)、ホルボール−12,13−ジ
デカノエート(PDD)、メゼレイン(MEZ)、
Mφ活性化物質として、1μg/mlのビタミンA酸
を用いること以外は、実施例2と同様に培養を行
ない、培養上清を得た。 培養上清中の細胞分化誘導物質の活性を測定
し、その活性が認められる培養上清について以下
の検討を行なつた。Con−Aカラムへの吸着およ
びα−メチル−d−マンノイド溶液による脱着処
理により得られる活性画分は、その分子量は約
50000(SDS−ポリアクリルアミド電気泳動法)で
あり、70℃での加熱処理においても、その活性を
失わなかつた。
【表】
実施例 4
ヘパリン1000単位を添加した健常人末梢血20ml
を2倍に希釈し、Ficoll Hipaque液(フアルマ
シア社)に上層し、800rpmにて、30分間、比重
遠心を行ない、中間層より、単核球を採取した。
該単核球を4℃に冷却した10%牛胎児血清含有
RPMI−1640培地で一晩前処理した組織培養用ペ
トリデイツシユ(直径8cm)10枚に植えつけた。 該デイツシユを、37℃、5%炭酸ガス含有空気
中で3時間培養した。無血清RPMI−1640培地に
て、洗浄し、非付着性細胞を除去した。デイツシ
ユ1枚当たり平均5×106個( 1×105個/cm2)
の細胞が得られた。得られた細胞の、90%以上が
単球であつた。 該デイツシユを、最終濃度として、ビタミンA
酸1μg/ml、LPS1μg/mlを添加した無血清
RPMI−1640培地(ビタミン・アミノ酸強化)15
mlにて置換し、37℃、5%炭酸ガス含有空気中
で、3日間培養した。 3日後、培養液を回収し、3000rpmにて遠心処
理して、細胞屑を除く。得られた培養液を、マウ
スM−1細胞のどん食能誘起活性を測定したとこ
ろ、44単位/mlであつた。 以上詳細に説明した、本発明の細胞分化誘導物
質を医薬品製造の常套手段、例えば加熱処理、ろ
過滅菌、凍結乾燥、分注等の処理を適宜施して製
剤化することにより、従来にない新しい医薬品を
得ることができる。
を2倍に希釈し、Ficoll Hipaque液(フアルマ
シア社)に上層し、800rpmにて、30分間、比重
遠心を行ない、中間層より、単核球を採取した。
該単核球を4℃に冷却した10%牛胎児血清含有
RPMI−1640培地で一晩前処理した組織培養用ペ
トリデイツシユ(直径8cm)10枚に植えつけた。 該デイツシユを、37℃、5%炭酸ガス含有空気
中で3時間培養した。無血清RPMI−1640培地に
て、洗浄し、非付着性細胞を除去した。デイツシ
ユ1枚当たり平均5×106個( 1×105個/cm2)
の細胞が得られた。得られた細胞の、90%以上が
単球であつた。 該デイツシユを、最終濃度として、ビタミンA
酸1μg/ml、LPS1μg/mlを添加した無血清
RPMI−1640培地(ビタミン・アミノ酸強化)15
mlにて置換し、37℃、5%炭酸ガス含有空気中
で、3日間培養した。 3日後、培養液を回収し、3000rpmにて遠心処
理して、細胞屑を除く。得られた培養液を、マウ
スM−1細胞のどん食能誘起活性を測定したとこ
ろ、44単位/mlであつた。 以上詳細に説明した、本発明の細胞分化誘導物
質を医薬品製造の常套手段、例えば加熱処理、ろ
過滅菌、凍結乾燥、分注等の処理を適宜施して製
剤化することにより、従来にない新しい医薬品を
得ることができる。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 下記の特性を有する、白血病細胞に対して細
胞分化誘導作用を有するヒト由来の蛋白性の生理
活性物質。 a 分子量 50000±5000 (ゲル濾過法) 50000±5000 (SDS−ポリアクリルアミド電
気泳動法) b レクチンカラムへの吸着性 レンチルレクチ
ンカラム、コンカナバリンAカラムに吸着す
る。 c 熱安定性 70℃1時間で失活しない。 d 還元剤による影響 活性が低下する。 e PH安定性 PH2〜10の範囲で安定である。 f トリプシンおよびプロナーゼEによる酵素反
応によつて分化誘導活性の低下が認められな
い。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP61276497A JPS63130600A (ja) | 1986-11-21 | 1986-11-21 | 生理活性物質 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP61276497A JPS63130600A (ja) | 1986-11-21 | 1986-11-21 | 生理活性物質 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPS63130600A JPS63130600A (ja) | 1988-06-02 |
| JPH0474360B2 true JPH0474360B2 (ja) | 1992-11-26 |
Family
ID=17570285
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP61276497A Granted JPS63130600A (ja) | 1986-11-21 | 1986-11-21 | 生理活性物質 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPS63130600A (ja) |
Families Citing this family (3)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JPS63129993A (ja) * | 1986-11-21 | 1988-06-02 | Agency Of Ind Science & Technol | ヒト由来生理活性物質の製造方法 |
| JPS63129994A (ja) * | 1986-11-21 | 1988-06-02 | Agency Of Ind Science & Technol | ヒト由来生理活性物質の製造法 |
| IL110195A (en) * | 1994-07-03 | 2003-10-31 | David Danon | Method and system for cultivating macrophages |
Family Cites Families (3)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JPS6028934A (ja) * | 1983-07-25 | 1985-02-14 | Green Cross Corp:The | 細胞分化誘導物質 |
| JPS63129993A (ja) * | 1986-11-21 | 1988-06-02 | Agency Of Ind Science & Technol | ヒト由来生理活性物質の製造方法 |
| JPS63129994A (ja) * | 1986-11-21 | 1988-06-02 | Agency Of Ind Science & Technol | ヒト由来生理活性物質の製造法 |
-
1986
- 1986-11-21 JP JP61276497A patent/JPS63130600A/ja active Granted
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPS63130600A (ja) | 1988-06-02 |
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Legal Events
| Date | Code | Title | Description |
|---|---|---|---|
| EXPY | Cancellation because of completion of term |