JPH05238943A - キサンチンオキシダーゼ阻害剤 - Google Patents

キサンチンオキシダーゼ阻害剤

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Abstract

(57)【要約】 【構成】 緑色植物、殊に麦類植物の緑葉成分に由来す
るキサンチンオキシダーゼ阻害剤。 【効果】 本阻害剤は毒性が極めて少なく医薬において
有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は緑色植物の緑葉成分中に
含まれるキサンチンオキシダーゼ阻害剤に関する。
【0002】
【従来の技術及び課題】キサンチンオキシダーゼは生体
内における核酸代謝系で重要な酵素であるが、しかし、
その作用の結果として、疾病の原因ともなる生成物であ
る活性酸素、尿酸を生成する。例えば、血栓形成による
虚血部位においてはヒポキサンチンが蓄積し、キサンチ
ンデヒドロゲナーゼがキサンチンオキシダーゼに変換さ
れる。この虚血部位において血栓の消失が起こるとき、
血管に血液が流入して、ヒポキサンチン、キサンチンオ
キシダーゼ及び酸素の共存状態となり、O2 -及び・OH
といった活性酸素を生成し、各種の疾病の原因ともな
る。更に、キサンチンより生成する尿酸は痛風の原因と
もなる。痛風の治療法の一つとして高尿酸血症の治療を
行う場合、尿酸排泄剤と尿酸産生抑制剤を用いることが
あり、その際尿酸産生抑制剤としてアロピリノールが用
いられる。アロピリノールはキサンチンオキシダーゼ阻
害剤であり、副作用として胃腸障害、発診、白血球減
少、血小板減少、肝障害等が生じ、動物実験においては
催奇形成も報告されている。
【0003】本発明者らは、従来より緑色植物、例えば
イネ科植物、殊に麦類植物の緑葉中に存在する生理活性
物質について研究を行ってきたが、今回、該緑葉中にキ
サンチンオキシダーゼ活性を阻害する物質が存在するこ
とを見い出し、該物質に富む成分の抽出及び該物質の単
離、精製にも成功し本発明を完成するに至った。
【0004】
【発明の開示】かくして、本発明によれば、緑色植物の
緑葉成分に由来するキサンチンオキシダーゼ阻害剤が提
供される。
【0005】以下、本発明のキサンチンオキシダーゼ阻
害剤についてさらに詳細に説明する。なお、本明細書に
おける含水アルコールの含水率%はv/v%によるもの
である。
【0006】原料となる緑色植物としては、イネ科植
物、殊に麦類植物が好適であるが、それ以外に、クロー
バー、アルファルファ、ケール、ホウレン草、レタス、
パセリ、セロリ、キャベツ、白菜、水菜、ピーマン、ニ
ンジン緑葉、大根緑葉、ササ、アシタバなどの牧草類、
野菜類、山野草類植物;さらに、スピルリナ、クロレ
ラ、ワカメ、青ノリなどの淡水産もしくは海水産緑色藻
類、等もまた使用することができる。
【0007】本発明において好適に使用される麦類植物
としては、大麦が最も適しているが、その他に、小麦、
裸麦、エン麦、ハト麦、トウモロコシ、キビ、イタリア
ンダイグラスなどもまた使用することができる。
【0008】本発明では、これら緑色植物、好ましくは
イネ科植物、殊に麦類植物の中でも成熟期前に収穫した
若い植物の新鮮な茎及び/又は葉の部分(本明細書では
これらを総称して「緑葉」という)が特に適している。
【0009】緑色植物、例えば麦類植物の緑葉はまず、
ミキサー、ジューサー等の機械的破砕手段によって搾汁
し、必要に応じて、篩別、濾過等の手段によって粗固形
分を除去することにより搾汁液(以下、これを「青汁」
という)を調製する。
【0010】このようにして調製される青汁はそれをさ
らに凍結乾燥、噴霧乾燥等の適当な乾燥手段で乾燥する
ことにより青汁粉末とすることができる。
【0011】上記の如くして得られる青汁又は青汁粉末
は以下に述べる如き抽出処理に付すことにより本発明に
キサンチンオキシダーゼ阻害剤を得ることができる。
【0012】まず、上記の如くして得られる青汁又は青
汁粉末は充分量の水又はn−ヘキサンで抽出処理する。
この抽出処理は通常室温で行なうことができ、場合によ
っては2回又はそれ以上繰り返し行なってもよく、それ
によって水可溶性成分又はn−ヘキサンに実質的に不溶
性の成分を分離回収する。回収された抽出成分はこの段
階で前記と同様にして乾燥し固形化することができる。
【0013】かくして得られる水可溶性成分又はn−ヘ
キサン不溶性成分を次いで含水率が0〜80%、好まし
くは10〜70%、さらに好ましくは15〜50%の含
水エタノール、例えば含水率20%の含水エタノールで
抽出処理を行ない、該含水エタノールに可溶性の成分を
分離回収する。
【0014】この含水エタノールによる抽出処理は、前
記の如くして調製される青汁もしくはそれから水不溶性
成分を完全に除去した緑葉の水溶性成分又はそれらを凍
結乾燥、噴霧乾燥等の適当な乾燥手段で乾燥して得られ
る粉末に対して直接行なうこともできる。
【0015】このようにして回収された含水エタノール
可溶性成分は、キサンチンオキシダーゼ阻害活性を有し
ており、そのままで或いは濃縮又は溶媒を留去した後
に、キサンチンオキシダーゼ阻害剤として使用すること
ができる。
【0016】さらに、本発明によれば所望に応じて、上
記含水エタノール可溶成分を適当な吸着剤、例えばSt
yrene−DVB樹脂吸着剤(例えば、ローム・アン
ド・ハース社製、アンバーライトR吸着剤XAD−2)
等で処理し且つ含水率0〜80%、好ましくは20〜7
0%、さらに好ましくは30〜60%の含水メタノール
で溶離処理を行なうことによって、該含水メタノールに
可溶性の成分を回収することができる。これによってさ
らにキサンチンオキシダーゼ阻害活性に優れた画分を取
得することができる。
【0017】このようにして回収される含水メタノール
可溶性成分は、そのまま或いは濃縮又は溶媒を除去した
後に、そのキサンチンオキシダーゼ阻害剤を有効成分と
して薬剤に配合することもできる。
【0018】さらにまた、このようにして緑色植物、例
えば、大麦の緑葉から回収される含水メタノール可溶性
成分は、例えば、含水率が30〜70%、好ましくは4
0〜60%の含水メタノールを用いて再結晶精製するこ
とにより、キサンチンオキシダーゼ阻害剤の本体を微黄
色結晶として取得することができる。このようにして単
離されたキサンチンオキシダーゼ阻害剤の本体は、NM
R、質量分析等の分析の結果、下記式
【0019】
【化2】
【0020】で示される構造を有する2′−O−グルコ
シル−イソビテキシンであることが同定された(後記参
考例1参照)。このようにして単離されたキサンチンオ
キシダーゼ阻害剤は、本阻害剤を有効成分とする薬剤に
調製することができる。
【0021】上記構造式又はこれに類する構造を有する
キサンチンオキシダーゼ阻害剤が、麦類植物をはじめと
する緑色植物の緑葉中に含まれており、それが本発明に
おけるキサンチンオキシダーゼ阻害剤の有効成分をなし
ている。
【0022】緑色植物、殊に麦類植物から抽出される本
発明のキサンチンオキシダーゼ阻害剤は、毒性が極めて
少なく、医薬として例えば尿酸産生抑制剤として使用す
ることが期待される。
【0023】
【実施例】以下、参考例及び実施例により本発明をさら
に具体的に説明する。
【0024】参考例1(活性成分の分画と調製) 成熟期前の大麦の青汁の凍結乾燥粉末20gにn−ヘキ
サン500mlを加え常温で約5分間よく撹拌した後、
不溶成分を遠心分離(8000rpm、10min)に
より分離し、さらに分離した不溶成分にn−ヘキサン5
00mlを加え、同様の操作を繰り返しn−ヘキサン不
溶成分を得た。
【0025】この不溶成分に、含水率20%のエタノー
ル500mlを加え常温で約5分間よく撹拌した後、不
溶分を濾別する。濾別した不溶分を再度含水率20%の
エタノール500mlで同様に処理し、得られる濾液を
合わせて、減圧下に溶媒を留去する。これによって含水
率20%エタノール抽出物13.0gを得た。
【0026】この含水率20%エタノール抽出物をアン
バーライトXAD−2カラムに吸着させた後、蒸留水、
含水率がそれぞれ80、60、40、20及び0v/v
%の含水メタノール、ならびにアセトンで順次離溶さ
せ、溶出液を得た。
【0027】各溶出液は減圧蒸留にて溶媒を留去し、そ
の結果、水抽出物4.77g、20%メタノール抽出物
180mg、40%メタノール抽出物131mg、60
%メタノール抽出物199mg、80%メタノール抽出
物32mg、100%メタノール抽出物165mg、ア
セトン抽出物0.87mgを得た(ここで、メタノール
の%は含水メタノール中のメタノール濃度v/v%であ
る)。
【0028】上記の如くして得られた60%メタノール
抽出物を、さらに60%メタノールを用いて再結晶し、
180mgの微黄色の結晶を得た。この結晶の構造決定
を質量分析及びNMRにより行った。
【0029】質量分析はFAB−MS:VG ZAB−
2F、(Xenon Gun)(Jon Tech)型
質量分析装置を用いて行い、図1に示す結果が得られ
た。この質量スペクトルからm/z=595に[M+H
+]のピークがみられ、分子量は594であることが決
定され、元素分析の結果と併せて考慮するとき、本物質
の分子式はC27H30O15であると判断される。
【0030】本物質の紫外線吸収スペクトルをH2O及
びメタノール中で測定したところ、それぞれ図2及び図
3に示すようになりフラボノイドグルコシドの吸収を示
した。
【0031】赤外線吸収スペクトルをJASCO FT
/IR−7000SによりKBr法を適用して測定した
結果を図4に示す。3422cm-1にOH基の存在を示
している。
【0032】本物質は常法により塩酸−メタノールで加
水分解するときグルコースを1分子遊離して、イソビテ
キシンを生成した。
【0033】さらに、本物質の13C−NMRスペクトル
(500MHz)を、本物質25mgを用いてGE O
MEGA 300型核磁気共鳴スペクトル吸収測定装置
によりテトラメチルシラン[TMS,(CH3)4Si]
を内部標準として用いて測定し、図5に示す結果を得
た。図5においては、化学シフトをδで表示した。本物
質はMeOH−d4中で27炭素原子に対するシグナル
を与え、イソビテキシンの13C−NMRの標準値[Ra
marathnam,N.,Osawa,T.,Nami
ki,M.and Kawasakishi,S.:
J.Agric.Food Chem.,37、316
−319(1989)]を基礎として次の構造式である
と同定した。
【0034】
【化3】
【0035】本物質は、この構造式により、2′−O−
グルコシル−イソビテキシンと命名する。
【0036】参考例2(活性成分の分画と調製) 成熟期前の小麦の青汁の凍結乾燥粉末20gを参考例1
と同様に処理して60%メタノール抽出物118mgを
得た。さらに該抽出物を60%メタノールにより再結晶
を繰り返して106mgの白色の結晶を得た。本物質は
参考例1に示したと同じ構造の物質であった。
【0037】参考例3(活性成分の分画と調製) 成熟期前のコンフリーの青汁の凍結乾燥粉末20gを参
考例1と同様に処理して60%メタノール抽出物40m
gを得た。さらに該抽出物を60%メタノールにより再
結晶を繰り返して37mgの白色の結晶を得た。本物質
は参考例1に示したと同じ構造の物質であった。
【0038】実施例1 1mlの石英セルに下記の組成 リン酸カリウム緩衝液 37.5mM EDTA・2Na 0.1mM キサンチン 0.1mM キサンチンオキシダーゼ阻害剤 0.1mM の反応液0.98mlを注加し、30℃に加温した後、
キサンチンオキシダーゼ溶液20μlを加え、直ちに2
95nmの吸光度を測定した。
【0039】なお、キサンチンオキシダーゼ阻害剤とし
て、前記参考例1で得られる含水率20%エタノール抽
出物をそれに含まれる2′−O−グルコシルイソビテキ
シンの量に換算して0.1mMとなる量で使用した。
【0040】一方、対照(ブランク)として、上記キサ
ンチンオキシダーゼ阻害剤の代りに、該阻害剤(含水率
20%エタノール抽出物)と同容量のリン酸カリウム緩
衝液を用い、上記と同様の操作を繰り返して295nm
の吸光度を測定した。
【0041】両者の吸光度の測定結果(吸光度の経時的
変化をプロットしたグラフの勾配の比較)から、上記含
水率20%エタノール抽出物の阻害率は97%であっ
た。
【0042】実施例2 実施例1において含水率20%エタノール抽出物の代り
に単離した2′−O−グルコシルイソビテキシン0.1
mMを用いる以外、実施例1と同様にしてキサンチンオ
キシダーゼ阻害効果を測定したところ、その阻害率は9
5%であった。
【0043】実施例3 大麦若葉の緑葉を洗浄した後、搾汁して得られた青汁を
噴霧乾燥、凍結乾燥等の乾燥方法により粉末化した青汁
粉末3kgをヘキサン60リットルにて2回抽出を繰り
返し、得られるヘキサン不溶部分に水30リットルを加
えて抽出し、水可溶性成分を噴霧乾燥し、1.4kgの
噴霧乾燥物を得た。次いで、本乾燥粉末に含水率20%
の含水エタノール30リットルを加えて、含水率20%
の含水エタノール可溶性成分900gを得、エタノール
を留去した。さらに、これに含水率40%の含水メタノ
ールを30リットル加えて、含水率40%の含水メタノ
ール可溶性成分を抽出後、メタノールを留去して含水率
40%の含水メタノール可溶性成分720gを得た。
【0044】この含水率40%の含水メタノール可溶性
成分をキサンチンオキシダーゼ阻害剤として、2′−O
−グルコシルイソビテキシン換算で0.1mMの量で用
い、実施例1と同様にして阻害率を測定した結果、阻害
率は98%であった。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は参考例1で得られた2′−O−グルコシ
ル−イソビテキシンのFAB−MS法による測定チャー
トを示す。
【図2】図2は2′−O−グルコシル−イソビテキシン
のH2O系における紫外部吸収スペクトルである。
【図3】図3は2′−O−グルコシル−イソビテキシン
のメタノール系における紫外部吸収スペクトルである。
【図4】図4は2′−O−グルコシル−イソビテキシン
の赤外線吸収スペクトルである。
【図5】図5は2′−O−グルコシル−イソビテキシン
の13C−NMRの測定結果を示す図である。
【図6】図5は2′−O−グルコシル−イソビテキシン
の13C−NMRの測定結果を示す図である。
【図7】図5は2′−O−グルコシル−イソビテキシン
の13C−NMRの測定結果を示す図である。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 緑色植物の緑葉成分であって、n−ヘキ
    サンに実質的に不溶性で且つ含水率が0〜80%の含水
    エタノールに可溶性である成分よりなるキサンチンオキ
    シダーゼ阻害剤。
  2. 【請求項2】 緑色植物の緑葉の水可溶性成分であっ
    て、含水率が0〜80%の含水エタノールに可溶性であ
    る成分よりなるキサンチンオキシダーゼ阻害剤。
  3. 【請求項3】 含水エタノールが含水率15〜50%の
    エタノールである請求項1または2記載のキサンチンオ
    キシダーゼ阻害剤。
  4. 【請求項4】 緑色植物が麦類植物である請求項1〜3
    のいずれかに記載されたキサンチンオキシダーゼ阻害
    剤。
  5. 【請求項5】 緑色植物の緑葉成分であって、n−ヘキ
    サンに実質的に不溶性で且つ含水率が0〜80%の含水
    エタノールに可溶性であり、さらに含水率が0〜80%
    の含水メタノールに可溶性である成分よりなるキサンチ
    ンオキシダーゼ阻害剤。
  6. 【請求項6】 含水エタノールが含水率15〜50%の
    エタノールである請求項5記載のキサンチンオキシダー
    ゼ阻害剤。
  7. 【請求項7】 含水メタノールが含水率10〜70%の
    含水メタノールである請求項5または6記載のキサンチ
    ンオキシダーゼ阻害剤。
  8. 【請求項8】 緑色植物が麦類植物である請求項5〜7
    のいずれかに記載のキサンチンオキシダーゼ阻害剤。
  9. 【請求項9】 下記式 【化1】 で示される2′−O−グルコシル−イソビテキシンを有
    効成分として含有することを特徴とするキサンチンオキ
    シダーゼ阻害剤。
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