JPH05252980A - T細胞の機能を阻害する作用を有するモノクローナル抗体 - Google Patents

T細胞の機能を阻害する作用を有するモノクローナル抗体

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JPH05252980A
JPH05252980A JP19214691A JP19214691A JPH05252980A JP H05252980 A JPH05252980 A JP H05252980A JP 19214691 A JP19214691 A JP 19214691A JP 19214691 A JP19214691 A JP 19214691A JP H05252980 A JPH05252980 A JP H05252980A
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cell
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thy
antibody
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Koji Nishimura
村 孝 司 西
Sonoko Kakio
生 園 子 垣
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 細胞障害性Tリンパ球による細胞障害などの
T細胞の機能を阻害でき、T細胞上のThy−1分子の
機能を研究するのに有用なモノクローナル抗体を提供す
ることを目的とする。 【構成】 本発明のモノクローナル抗体は、Thy−1
分子と細胞骨格タンパク質とを認識し、かつT細胞の機
能を阻害する作用を有するものであることを構成とす
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、Thy−1分子と細胞
骨格タンパク質とを認識し、かつT細胞の機能を阻害す
る作用を有するモノクローナル抗体に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】細胞同士のインターラクションは、リン
パ球の分化や生育、エフェクター細胞の機能、リンパ球
のホーミング、炎症等の種々の免疫反応において必須で
ある。たとえば、T細胞の抗原特異的な反応性は、T細
胞レセプター−CD3複合体経由の標的細胞あるいは抗
原提示細胞とT細胞とのインターラクションが引金とな
っている。最近、CD4、CD8、LFA−1、CD
2、LFA−3等の補助分子の大部分が免疫グロブリン
かインテグリンのいずれかのスーパーファミリーに属
し、これらの補助分子が細胞のインターラクションにお
いて重要な役割を担っていることが明らかにされた。こ
れらの報告によれば、T細胞上の補助分子と他の細胞上
の対応するリガンド分子とが相互に作用し合って免疫的
インターラクションを促進して細胞同士の接着を強化し
ているのではないか、と考えられる。
【0003】ところで、Thy−1分子は、主にマウス
のT細胞や脳組織で発現されるアロ抗原として同定され
たものであるが、現在ではこの分子も基本的には免疫グ
ロブリンのスーパーファミリーに属すると考えられてい
る。Williamsは、Thy−1の分子構造から、Thy−
1分子が細胞のインターラクションに直接的に関与して
いる可能性を示唆している(Nature, 314,579(1985)
)。また一方、Thy−1分子に対するモノクローナ
ル抗体がT細胞の増殖を引き起こすという事実から、T
hy−1分子が信号伝達分子として重要な役割を演じて
いるであろうことが従来既に支持されている。さらに、
Thy−1分子に対する抗体が、赤血球細胞とマウスの
T細胞とによるロゼット形成を阻害するという事実も、
Thy−1分子が細胞のインターラクションにおいて重
要な役割を果たしているであろうことを強く示唆してい
る。しかし、Thy−1分子がT細胞の免疫制御的なイ
ンターラクションに関与しているという直接的な証拠は
未だに報告されていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上述のようなThy−
1分子の機能を研究するための試薬として、Thy−1
分子に対するモノクローナル抗体(抗Thy−1.1抗
体および抗Thy−1.2抗体)が作製されて既に市販
されている。本発明者らの実験によれば、これらの市販
の抗体は、細胞障害性Tリンパ球(cytotoxic T lympho
cyte:CTL)による細胞障害などのT細胞の機能を阻
害できず、よって、これら市販の抗体はT細胞上のTh
y−1分子の機能を研究する試薬としては充分適当なも
のであるとは言い難い。また、Thy−1.1分子とビ
メンチン分子とに交差反応性を示す抗体、およびThy
−1.2分子とアクチン分子とに交差反応性を示す抗体
も知られているが、このような抗体がT細胞の機能を阻
害できるか否かは全く検討されていない。
【0005】よって、本発明の目的は、T細胞の機能を
阻害でき、T細胞上のThy−1分子を研究するのに有
用なモノクローナル抗体を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成すべく研
究を重ねた結果、本発明者らは、Thy−1分子と細胞
骨格タンパク質、特にアクチン分子、とを共に認識しう
る抗体が上記目的に適ったモノクローナル抗体であるこ
とを見い出し、さらに、そのような特徴を有する抗体を
効率よく取得する方法を確立し、本発明を完成するに至
った。すなわち、本発明は、Thy−1分子と細胞骨格
タンパク質とを認識し、かつT細胞の機能を阻害する作
用を有するモノクローナル抗体(以下、本発明の抗体と
称することもある)を提供するものである。
【0007】以下、本発明を詳しく説明する。 1.本発明の抗体の特性 本発明の抗体の典型的なものは、下記の特性を有するも
のである。 クラス:IgMに属する。 交差反応性:Thy−1分子および細胞骨格タンパク
質であるアクチンを認識する。したがって、Thy−1
分子とアクチン分子のそれぞれの分子中に存在する共通
または類似する抗原決定基を認識しているものと予想さ
れる。 T細胞の機能を阻害する作用:T細胞のPMAによる
凝集の阻止作用および/または細胞障害性Tリンパ球に
よる細胞障害の阻止作用を有する。 本発明の抗体は、基本的には上記の〜の特性を充足
するものであるが、必ずしもすべての特性を充足する必
要はなく、少なくともおよびの特性を充足すれば充
分である。したがって、およびの特性を充足するモ
ノクローナル抗体も本発明の抗体の範畴に属する。
【0008】2.本発明の抗体の製造法 本発明の抗体は公知の方法を適宜応用することにより容
易に製造することができる。使用する免疫源としては、
細胞骨格タンパク質、特にアクチンを含有するものであ
れば特に限定されない。具体的には、精製アクチン、ア
クチンを含有する細胞抽出物、アクチンを含有する生細
胞などを免疫源として使用することができる。なお、生
細胞を免疫源として使用する場合、細胞表面にThy−
1分子が発現されていないものを使用するのが好まし
く、このような生細胞としてはフィブロザルコーマ(fi
brosarcoma)WEHI164(ATCC CRL1751)等のザル
コーマ細胞が例示できる。
【0009】免疫源を投与する動物としては、特に制限
されず、ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ラット、マウス、
モルモット、イヌ、ブタ、ウサギ、サル、ハト、ニワト
リなどの動物を使用することができる。特にマウス、ラ
ット、モルモット、ウサギ、ヤギなどが取り扱い上好都
合である。
【0010】このような動物への免疫源の投与は常法に
従って行えばよい。すなわち、完全フロイントアジュバ
ンド、不完全フロイントアジュバンド、ミョウバンアジ
ュバンド、水酸化アルミニウムアジュバンド、百日咳菌
アジュバンドなどの各種アジュバンドと上述の免疫源と
の懸濁液または免疫源そのものを上記動物の静脈内、腹
腔内、皮下または皮内に投与すればよい。免疫源として
細胞を使用する場合の投与量は、1×106 〜108
胞/匹程度が適当である。初回投与後、1〜4週間おき
に1〜5回程度の上記と同様の追加免疫を行うことによ
り、動物体内で細胞骨格タンパク質に対する免疫を誘導
する。次に、免疫を獲得した動物からの脾細胞、リンパ
節細胞、末梢血リンパ球などの抗体産生細胞を常法によ
り取得する。
【0011】抗体産生細胞と融合させるミエローマ細胞
としては、マウス、ラット、ヒトなどの種々の動物に由
来し、当業者が一般に入手可能な株化細胞を使用する。
使用する細胞株としては、薬剤抵抗性を有し、未融合の
状態では選択培地で生存できず、抗体産生細胞と融合し
た状態でのみ生存できる性質を有するものが好ましい。
通常、8−アザグアニン耐性株が用いられ、この細胞株
はヒポキサンチン−グアニンホスフォリボシルトランス
フェラーゼ(Hypoxanthine guaninephosphoribosyl tra
nsferase)を欠損し、ヒポキサンチン・アミノプテリン
・チミジン(HAT)培地に生育できない。また細胞の
性質として免疫グロブリンを分泌しない、いわゆる非分
泌型の細胞株であることが好ましい。
【0012】ミエローマ細胞株の具体例としては、P3x6
3Ag8(ATCC TIB-9)、P3x63Ag8U.1(P3U1)(ATCC CRL-
1597 )、P3x63Ag8. 653 (ATCC CRL-1580 )、P2/NSI/
1-Ag4-1(ATCC TIB-18 )、Sp2/O-Ag14(ATCC CRL-15
8)などのマウスミエローマ細胞株、210. RCY.Ag1. 2.
3(Y3-Ag1. 2. 3)(ATCC CRL-1631 )などのラットミ
エローマ細胞株、U-266-AR1 (Proc. Natl. Acad. Sci.
U.S.A., 77,5429(1980))、GM1500(Nature, 288, 488
(1980) )、KR-4(Proc. Natl. Acad.Sci. U.S.A., 7
9, 6651 (1982) )などのヒトミエローマ細胞株を例示
することができる。
【0013】細胞融合にあたっては、抗体産生細胞に適
合したミエローマ細胞を選定する。細胞融合は、イーグ
ルの最少必須培地(MEM)、ダルベッコ変法イーグル
培地(DMEM)、RPMI 1640培地などの動物
細胞培養用培地中で1×106 〜108 細胞/mlのミ
エローマ細胞と抗体産生細胞を混合比1:4〜10に混
合し、37℃で1〜10分間細胞同士を接触させること
により効率よく融合を行うことができる。細胞融合を促
進させるために、平均分子量1000〜6000のポリ
エチレングリコール(PEG)、ポリビニールアルコー
ル、センダイウイルスなどの融合促進剤を使用すること
ができる。また、電気パルスを利用した市販の細胞融合
装置を用いて抗体産生細胞とミエローマ細胞とを融合さ
せることもできる。
【0014】細胞融合処理後の細胞から目的とするハイ
ブリドーマを選別する手段としては、選択的培地におけ
る細胞の選択的増殖を利用する方法を用いることができ
る。たとえば、細胞懸濁液を15%ウシ胎児血清(FC
S)含有RPMI 1640培地などで適当に希釈後、
マイクロプレート上に1×103 〜106 細胞/ウエル
程度まき、各ウエルに選択培地(たとえば、HAT培地
など)を加え、以後適当に選択培地を交換して培養を行
う。ミエローマ細胞として8−アザグアニン耐性株、選
択培地としてHAT培地を用いた場合は、未融合のミエ
ローマ細胞は培養10日目ぐらいまでに死滅し、正常細
胞である抗体産生細胞もイン・ビトロ(in vitro)では
長期間生育できないので、培養10〜14日目から生育
してくる細胞をハイブリドーマとして得ることができ
る。
【0015】T細胞の機能を阻害する作用を有するモノ
クローナル抗体を産生するハイブリドーマの選別は、後
述実施例に詳述したごとくホルボールエステル(特に、
ホルボールミリステートアセテート:PMA)が誘導す
るT細胞凝集反応の阻害を検討する方法により実施する
ことができる。すなわち、通常の胸腺T細胞またはコン
カナバリンAなどにより幼若化させたT細胞を用いて、
ハイブリドーマの培養上清をPMAによる幼若化T細胞
の凝集反応系に共存させてPMAによるT細胞の凝集を
抑制したハイブリドーマをT細胞の機能を阻害する作用
を有するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ
として選別する。次に、選別したハイブリドーマの培養
上清またはその培養上清から精製したモノクローナル抗
体を用いて、ハイブリドーマの産生するモノクローナル
抗体がThy−1分子および細胞骨格タンパク質(特に
アクチン)を認識するものであることを後述の実施例に
記載したようなイムノブロッテング法や免疫沈降法によ
り確認する。イムノブロッテング法および免疫沈降法は
常法を適宜応用して行うことができる。ハイブリドーマ
のクローニングは、限界希釈法、軟寒天法、フィブリン
ゲル法、蛍光励起セルソーター法などにより行うことが
できる。
【0016】このようにして取得したハイブリドーマか
ら本発明の抗体を産生する方法としては、通常の細胞培
養法や腹水形成法などが採用されうる。細胞培養法にお
いては、ハイブリドーマを10〜15%FCS含有RP
MI1640培地、無血清培地などの通常の動物細胞培
養用培地中で常法にしたがって培養し、その培養上清液
から抗体を取得することができる。腹水から回収する方
法では、ハイブリドーマと腫瘍組織適合性が一致する動
物に、プリスタン(2,6,10,14−テトラメチル
ペンタデカン)などの鉱物油を腹腔内に投与した後、た
とえばマウスの場合にはハイブリドーマを約106細胞
/匹程度腹腔内投与する。ハイブリドーマは10〜18
日ほどで腹水腫瘍を形成し、血清および腹水中に高濃度
に抗体を生産する。
【0017】抗体の精製が必要とされる場合には、硫安
塩析法、DEAEセルロースなどの陰イオン交換体を利
用するイオン交換クロマトグラフィー、プロテインAー
セファロースなどを用いるアフィニティークロマトグラ
フィー、分子ふるいクロマトグラフィーなどの公知の方
法を適宜に選択または組み合わせることにより抗体を精
製することができる。
【0018】3.本発明の抗体の有用性 本発明の抗体は前記1で示したような、従来の抗体には
認められない特性を有するために、ヒトを含む動物のT
hy−1分子またはThy−1相等分子の分子免疫学的
研究用試薬、特にT細胞同士の接着や細胞障害の発現に
おけるThy−1分子の役割などを研究するための試薬
として有用である。
【0019】
【実施例】以下実施例を示し、本発明をより具体的に説
明する。 (1)本発明の抗体の調製 SDラット(雌、5〜8週令)に2×107 個のマウス
フィブロザルコーマWEHI164細胞(ATCC CRL175
1)を2回腹腔投与し、さらに4×107 個の上記細胞
を腹腔内投与して最終免疫した。それぞれの免疫は2週
間間隔で行った。WEHI164細胞で免疫したSDラ
ットから常法にしたがって脾臓細胞を調製し、この脾臓
細胞とラットミエローマP3X63Ag8.653細胞
(ATCC CRL-1580 )とを公知の方法(Cell.Immunol., 9
4,122(1985) )に従って融合した。細胞融合処理10日
後、培養上清を採取し、幼若化T細胞凝集の阻害作用を
有する抗体を下記の方法でスクリーニングした。
【0020】(T細胞凝集の阻害試験)BALB/cマ
ウスの脾臓細胞を2.5 μg/mlのコンカナバリンA(Co
nA)と二日間培養し、ConAを洗浄によって除去し
た後200 U/mlの組換えインターロイキン2の存在下でさ
らに二日間培養した。このようにして調製したConA
幼若細胞はほとんど凝集しない。しかし、ウェル当り5
×104 個のConA幼若細胞を 20ng/mlのPMA存在
下で培養するとConA幼若細胞は凝集し始め、PMA
刺激後1時間半から2時間で平衡に達する。この性質を
利用して、連続希釈したハイブリドーマの培養上清また
は連続希釈したモノクローナル抗体溶液をウエルに加え
てモノクローナル抗体のT細胞凝集の阻害活性を決定す
る。
【0021】1536個のハイブリドーマの培養上清に
ついてPMA誘導T細胞凝集の阻害活性をスクリーニン
グした結果、それらのうちただひとつのモノクローナル
抗体TN14(「TN14mAb」と略す)が顕著なT
細胞凝集に対する阻害効果を示した(図1E)。図1A
に示されているように、ConAによって誘導された幼
若T細胞は弱い非特異的な凝集しか示さない。しかし、
ConA幼若細胞を20ng/ml PMAで刺激してやると、
図1Bに示されているように刺激1時間後には強い凝集
反応を示す。PMA誘導T細胞凝集は、LFA−1−I
CAM−1関与免疫反応であることがマウスおよびヒト
の系で報告されており、ConA幼若細胞の凝集は抗L
FA−1モノクローナル抗体の添加によって完全に阻害
された(図1C)。こうした阻害は抗CD4モノクロー
ナル抗体では認められなかった(図1D)。しかし、T
N14mAbを培養液に添加することにより、抗LFA
−1モノクローナル抗体と同様にT細胞の凝集を阻害し
た(図1E)。また、50%阻害を起こすために必要な
TN14mAbの濃度は、1.5 μg/mlであった。
【0022】このようにしてスクリーニングして得られ
たハイブリドーマを用いて腹水形成法によって、TN1
4mAbを調製し、これを50%硫酸アンモニウムによ
る塩析およびセファロースCL−6Bカラムクロマトグ
ラフィによって精製した。また、常法によりTN14m
Abのクラスを検索した結果、IgMであった。
【0023】(2)TN14mAbの認識する抗原の分
各種細胞(骨髄細胞(BM)、胸線細胞(THY )、リンパ
節細胞(LN)、脾臓細胞(SP)、脾臓T細胞(T )、脾
臓B細胞(B )、マクロファージ(M φ)、ヌードマウ
ス脾臓細胞(Nu-SP )、胎児胸線細胞(FT)、胎児肝細
胞(FL)、胸線上皮細胞株(C3HTE1)および繊維芽細胞
様細胞株(Fib-1 ))とTN14mAbとの反応性をフ
ローサイトメトリーを用いて分析した。図2に示すよう
に、TN14mAbは、マウス胸線細胞、リンパ節細
胞、ナイロン透過性脾臓T細胞と反応したが、骨髄細
胞、脾臓B細胞、マクロファージ、ヌードマウス脾臓細
胞、胎児肝細胞はと反応しなかった。また、胸線上皮細
胞株(C3HTE1)や繊維芽細胞株(Fib-1 )等の非リンパ
球細胞とも反応せず、これらの結果からTN14mAb
は主としてT細胞と反応することが明らかになった。次
に、TN14mAbに反応する抗原とLFA−1または
ICAM−1抗原との間の発現パターンの違いを調べ
た。図3に示すようにLFA−1抗原及びICAM−1
抗原はどちらも骨髄細胞に強く発現されているのに対
し、TN14mAbと反応する抗原は発現されていなか
った。これらの結果から、TN14mAbは、LFA−
1−ICAM−1依存のT細胞の凝集を阻害するにもか
かわらず、LFA−1およびICAM−1とは異なる細
胞接着因子を認識していることが明らかになった。
【0024】なお、実験に使用した細胞は、以下のよう
にして調製した。胸線細胞、リンパ節細胞、脾臓細胞、
骨髄細胞は成熟BALB/cマウスから公知文献(Eur.
J.Immunol., 18,97(1988) )に記載の方法に従って調製
した。胎児T細胞と肝臓細胞は14日めのBALB/c
胎児から常法により調製した。T細胞はナイロンウール
カラムを通過させることによりエンリッチした。また、
ナイロン吸着性で補体と抗Thy−1モノクローナル抗
体による処理に抵抗性の脾臓細胞をB細胞源として用い
た。マクロファージはOK−432を注射したマウスの
腹膜腔から抗Thy−1および抗B220モノクローナ
ル抗体を結合した磁気ビーズを用いてエンリッチした
(Cell.Immunol., 94,122(1985) )。繊維芽細胞様の細
胞株Fib−1はBALB/cマウスのリンパ節から常
法により得た。胸線上皮細胞株 C3HTE1 はC3H/HeN マウ
スの胸線から調製した。
【0025】(3)TN14mAbの認識する抗原の同
TN14mAbの認識する抗原の同定を以下に示すウェ
スタンブロッティング分析法及び免疫沈降法を用いて行
った。 (ウェスタンブロッティング分析法)胸線細胞または骨
髄細胞を可溶化バッファー(2%トライトン−X10
0、0.5%デオキシコレート、0.02%アザイド、
5mMイオドアセトアミド、0.2mM PMSF、
0.2U/mlアプロチニン)で可溶化して総細胞溶解
液を作製した。溶解した細胞から得た蛋白をラエムリの
方法(Nature, 227 ,680(1970))を用いて5〜15%グ
ラジエントSDSポリアクリルアミドゲル上で電気泳動
により分離し、ニトロセルロース膜に転写した。得られ
たニトロセルロース膜を0.05%のツイン20を含む
PBS(Tween−PBS)で洗浄し、3%BSAを
含むPBSで37℃15分処理し、再度Tween−P
BSで洗浄後、バッファー(2%正常ウサギ血清、0.
01M PBS、0.1%BSA、0.1%ゼラチン、
0.1%アザイド、1mM MgCl2 含有)中で2
3℃、30分放置した。反応後、膜をTween−PB
Sで洗浄し、各種抗体溶液と23℃、1時間反応させ、
Tween−PBSで3〜5回洗浄し、ペルオキシダー
ゼを結合したウサギ抗ラット免疫グロブリン抗体溶液と
23℃、1時間反応させた。反応後、膜をTween−
PBSで5回洗浄し、抗体と反応したバンドをDABと
過酸化水素を加えて発色させた。
【0026】(免疫沈降法)ミッチェルらの方法(Mol.
Immunol.,18,207(1981) )を用いて細胞表面蛋白を125
I で標識した。PBS、20mM KI溶液そしてP
BS(0.02%ヘモグロビン及び5mMイオドアセト
アミド含有)で順次洗浄した後、ウェスタンブロッティ
ング分析法で使用した可溶化バッファーを用いて細胞を
可溶化した。15000回転で15分間遠心分離した
後、非特異的な結合蛋白を除去するために上清をラット
免疫グロブリン結合セファロース4Bビーズと4℃で1
時間反応させた。その後、上清をTN14mAb結合セ
ファロース4Bビーズと4℃で1時間反応させた。反応
後、セファロース4Bを2%SDS単独あるいは2%S
DSと5%2−MEを含む検体用バッファーに懸濁し、
5〜15%グラジエントSDSポリアクリルアミドゲル
上で電気泳動を行った。段階的な免疫沈降の場合、まず
細胞溶解液を抗Thy−1モノクローナル抗体(4A
3)結合セファロース4Bビーズで2回吸着させた後、
TN14mAb結合セファロース4Bビーズを用いて免
疫沈降させ、以下上記と同様に処理して電気泳動を行っ
た。電気泳動終了後、ゲルを染色液(50%メタノー
ル、10%酢酸、0.25%クーマシーブリリアントブ
ルーG−250含有)を用いて染色した。染色後、ゲル
を脱色乾燥し、コダック X−Omat AR フィル
ムを用いて−80℃でオートラジオグラフィーを行っ
た。
【0027】TN14mAbが認識する抗原の同定をウ
エスタンブロッティング分析法により分析した結果、図
4A−3に示すように、TN14mAbは胸線細胞溶解
液中の43Kdの一本のバンドと反応した。しかし予測
に反し、TN14mAbはフローサイトメトリーを用い
た分析ではTN14mAbと反応しなかった骨髄細胞か
ら得られた細胞溶解液に対しても同様の反応を示した
(図4A−4)。TN14mAbと43Kd蛋白の反応
パターンは還元状態でも非還元状態でも同様であった。
このようなTN14mAbの矛盾した反応パターンは調
べたすべての細胞で同様であった。同様の条件下でGK
1.5モノクローナル抗体およびH013抗Thy−1
モノクローナル抗体(IgM)などは43Kd蛋白と反
応を示さなかった(図4A−1およびA−2)。TN1
4mAbがT細胞表面分子と特異的な反応性を示すにも
かかわらず、様々な細胞の溶解液と反応するという事実
は、TN14mAbがある種の細胞質蛋白を認識してい
ることを強く示唆している。TN14mAbが反応する
細胞質蛋白の分子量から判断してTN14mAbが細胞
骨格蛋白であるアクチンと反応している可能性が考えら
れた。これを確認するため市販の精製アクチンを用いた
ウエスタンブロッティング分析を行った(図4B)。T
N14mAbは精製アクチン(図4B−1)に対して胸
線細胞溶解液(図4B−2)と同様の特異的反応を示し
た。アクチンと結合する能力を有するDNase結合セ
ファロース4Bビーズで胸線細胞溶解液を事前に吸着処
理した場合、TN14mAb反応性の43Kdのバンド
は消失した(図4B−3)。また、TN14mAbの細
胞溶解液に対する反応性は、TN14mAbを事前にア
クチン結合セファロース4Bビーズで処理した場合にも
消失した(図4B−4)。これらの結果からTN14m
Abは細胞骨格蛋白アクチンを認識していると結論し
た。
【0028】次に、免疫沈降実験から、図5に示すよう
に、TN14mAbは分子量28−30Kdの蛋白質を
免疫沈降した(図5−D)。TN14mAbの反応性分
布パターンと分子のサイズから判断して、TN14mA
bの反応する蛋白はT細胞のマーカーであるThy−1
分子であろうと考えられた。これを確認するため、抗T
hy−1モノクローナル抗体(4A3)を用いて段階的
な免疫沈降を行った。その結果、抗Thy−1モノクロ
ーナル抗体(4A3)は最初の沈降で分子量30Kd程
度のThy−1分子を沈降した(図5−A)。二度目の
沈降では反応するバンドは著しく減少した(図5−
B)。Thy−1分子の減少に並行してTN14mAb
と反応するバンドも完全に消失した(図5−C)。この
結果からTN14mAbが、アクチンに加えThy−1
分子とも反応することが示された。さらに、図6に示す
ように、アクチンの添加はTN14mAbのThy−1
分子に対する結合を大きく阻害した(図6−A)。対照
的に、アクチンは他の抗Thy−1.2抗体、抗Thy
−1.1抗体、抗LFA−1抗体、抗ICAM−1抗体
とは競合せず(図6−B〜E)、TN14mAbがTh
y−1分子のユニークなアクチン関連エピトープを認識
している事が明かとなった。
【0029】(4)TN14mAbのT細胞細胞障害の
阻止作用 TN14mAbのT細胞細胞障害の阻止作用を以下の方
法で検討した。 (細胞障害性T細胞(CTL)の誘導と細胞障害性試
験)BALB/cマウスの脾臓細胞(5×106 /well
)を60μg/mlのマイトマイシンCで処理した C3H/HeN
マウス脾臓細胞(2.5×106 /well )と一緒にコー
スター6穴プレートを用いて4日間培養して初代培養C
TLを取得した。細胞障害性は公知の方法(J.Immuno
l., 142 ,2155(1989) )に従って4時間の51Cr遊離試験
により決定した。細胞障害性の割合は、以下の式によっ
て算出した。 モノクローナル抗体(mAb)のCTL活性に対する阻
害効果は細胞障害試験培養液にモノクローナル抗体を加
えることによって決定した。阻害率は、以下の式によっ
て算出した。
【0030】その結果を図7に示す。従来の報告(Pro
c.Natl.Acad.Sci.USA.,78,4535(1981))と同様に抗LF
A−1モノクローナル抗体の添加は原生のRDM−4リ
ンフォーマ細胞に対するCTL活性を強く阻害した。ま
た、TN14mAbの添加もCTL活性を阻害した。し
かし、IgM抗Thy−1.2モノクローナル抗体H0
13の添加はCTL活性に対して弱い阻害活性しか示さ
なかったことからTN14mAbによる阻害が抗Thy
−1mAbの非特異的な効果によるものではないことが
裏付けられた。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、PMA誘導ConA幼若細胞の凝集の
各種抗体による阻害の様子を示したものである。 (A)ConA幼若細胞(5×104 cells/well )の
み、無添加 (B)(A)にPMA添加 (C)(A)にPMAおよび抗LFA−1モノクローナ
ル抗体添加 (D)(A)にPMAおよび抗CD4モノクローナル抗
体添加 (D)(A)にPMAおよびTN14mAb添加
【図2】図2は、TN14mAbとFITC結合抗ラッ
ト免疫グロブリン抗体を用いて種々の正常細胞を染色
し、それをファックスキャン(FACScan)を用い
て分析して得た正常リンパ球および非リンパ球細胞上の
TN14mAb反応抗原の分布パターンを示したもので
ある。点線は非染色コントロ−ルのパターンを示し、実
線は染色時のパターンを示す。 (A)骨髄細胞、(B)胸線細胞、(C)リンパ節細
胞、(D)脾臓細胞 (E)脾臓T細胞、(F)脾臓B細胞、(G)マクロフ
ァージ (H)ヌードマウス脾臓細胞、(I)胎児胸線細胞、
(J)胎児肝細胞 (K)胸線上皮細胞株 C3HTE1、(L)繊維芽細胞様細
胞株 Fib-1
【図3】図3は、TN14mAb、抗LFA−1モノク
ローナル抗体または抗ICAM−1モノクローナル抗体
のいずれかの抗体とFITC結合抗ラット免疫グロブリ
ン抗体とを用いて種々の正常細胞を染色し、それをファ
ックスキャンを用いて分析した時の結果を示したもので
ある。点線は非染色コントロ−ルのパターンを示し、実
線は染色時のパターンを示す。 (使用した細胞) (使用したモノクローナル抗体) (A) 正常骨髄細胞 TN14mAb (B) 正常骨髄細胞 抗LFA−1モノクローナル抗体 (C) 正常骨髄細胞 抗ICAM−1モノクローナル抗体 (D) ヌードマウス骨髄細胞 TN14mAb (E) ヌードマウス骨髄細胞 抗LFA−1モノクローナル抗体 (F) ヌードマウス骨髄細胞 抗ICAM−1モノクローナル抗体
【図4】図4は、ウェスタンブロッティング分析の結果
を示したものである。 (試料) (使用したモノクローナル抗体) (A−1) 胸腺細胞溶解液 GK1.5モノクローナル抗体 (A−2) 骨髄細胞溶解液 GK1.5モノクローナル抗体 (A−3) 胸腺細胞溶解液 TN14mAb (A−4) 骨髄細胞溶解液 TN14mAb (B−1) ウサギアクチン TN14mAb (B−2) 胸腺細胞溶解液 TN14mAb (B−3) DNase 吸着処理 TN14mAb 胸腺細胞溶解液 (B−4) 胸腺細胞溶解液 アクチン−ビーズ吸着処理 TN14mAb
【図5】図5は免疫沈降試験の結果を示したものであ
る。 (A)抗Thy−1抗体(4A3)による一回目の免疫
沈降パターン (B)抗Thy−1抗体(4A3)による二回目の免疫
沈降パターン (C)抗Thy−1抗体(4A3)処理後、TN14m
Abによる免疫沈降パターン (D)TN14mAbによる免疫沈降パターン (E)ラット免疫グロブリン結合セファロース4Bビー
ズによる免疫沈降パターン
【図6】図6は、アクチン共存下でのTN14mAbの
Thy−1分子への反応性をファックスキャンを用いて
分析した時の結果を示したものである。図中、a線はコ
ントロ−ルのパターン、b線はアクチン非共存条件下の
パターン、c線はアクチン共存条件下のパターンを示
す。 (使用した細胞) (使用した抗体) (A) Thy-1.2+ MBL-2 Tリンパ球 TN14mAb (B) Thy-1.2+ MBL-2 Tリンパ球 抗Thy−1.2モノクローナル抗体 (C) Thy-1.1+ RDM-4 Tリンパ球 抗Thy−1.1モノクローナル抗体 (D) Thy-1.2+ MBL-2 Tリンパ球 抗LFA−1モノクローナル抗体 (E) Thy-1.2+ MBL-2 Tリンパ球 抗ICAM−1モノクローナル抗体
【図7】図7は各種抗体のT細胞細胞障害の阻止作用の
結果を示したものである。
フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12R 1:91)

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】Thy−1分子と細胞骨格タンパク質とを
    認識し、かつT細胞の機能を阻害する作用を有するモノ
    クローナル抗体。
  2. 【請求項2】T細胞の機能を阻害する作用が、T細胞の
    凝集の阻止作用である、請求項1記載の抗体。
  3. 【請求項3】T細胞の機能を阻害する作用が、T細胞の
    細胞障害の阻止作用である、請求項1記載の抗体。
  4. 【請求項4】認識する細胞骨格タンパク質がアクチンで
    ある、請求項1記載の抗体。
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CN108559729A (zh) * 2018-02-05 2018-09-21 上海科技大学 Fam49基因及其编码蛋白的应用

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CN108559729A (zh) * 2018-02-05 2018-09-21 上海科技大学 Fam49基因及其编码蛋白的应用
CN108559729B (zh) * 2018-02-05 2022-01-14 上海科技大学 Fam49基因及其编码蛋白的应用

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