JPH05277205A - フロン物質の連続分解分離方法および装置 - Google Patents

フロン物質の連続分解分離方法および装置

Info

Publication number
JPH05277205A
JPH05277205A JP13731192A JP13731192A JPH05277205A JP H05277205 A JPH05277205 A JP H05277205A JP 13731192 A JP13731192 A JP 13731192A JP 13731192 A JP13731192 A JP 13731192A JP H05277205 A JPH05277205 A JP H05277205A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cfc
substance
reaction
gas
separating
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP13731192A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2634534B2 (ja
Inventor
Teruji Nikaido
輝司 二階堂
Takeshi Oyama
毅 大山
Kuninobu Ootake
邦信 大竹
Shigeru Morikawa
茂 森川
Koutetsu Chiyou
興哲 趙
Hisashi Sakai
久 坂井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tokyo Electric Power Co Holdings Inc
Original Assignee
Tokyo Electric Power Co Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tokyo Electric Power Co Inc filed Critical Tokyo Electric Power Co Inc
Publication of JPH05277205A publication Critical patent/JPH05277205A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2634534B2 publication Critical patent/JP2634534B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Physical Or Chemical Processes And Apparatus (AREA)
  • Fire-Extinguishing Compositions (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 反応効率を高め、連続的にフロン物質を化学
的処理なしで分解分離する方法、装置を提供すること。 【構成】 CFC11、12、113、114および115をUVラン
プ(185nm付近のスペクトルを持つ熱陰極型低圧水銀
ランプ)1とその周囲にそれと同心円状に光反応塔2を
設け、塔2内等の反応系全体を減圧下にCFC単独また
はCFCと共に酸素ガス、空気等を反応系に導入し、そ
の混合ガスを循環ポンプ4により循環させ、反応生成物
の内、液体状のものまたは固体状のものは液体状固体状
反応生成物溜7で回収し、気体状のものはフッ素樹脂状
のものをろ過するためのフィルタ9、CFCと他のガス
を分離するためのガス分離膜10、添加物質と生成物質を
分離するガス分離膜11、さらに必要によりガス状生成物
を分離するためのガス分離膜12、13、14を複数個設けて
分離する。分離膜はポリイミド中空糸膜製が好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はフロン物質(以下、CF
Cと言うことがある。)の分解装置に関するもので、特
に紫外光を用いて効率よくフロン物質を分解し、資源化
処理するフロン物質の分解分離装置に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】冷凍機、冷蔵庫、空調機、エアロゾル、
電子部品やドライクリーニングの洗浄剤等に使用されて
いるCFCが大気中に放出され、成層圏まで上昇し、そ
こで太陽光により光分解され、遊離された塩素原子がオ
ゾン層を破壊すると言われている。また、CFCの1分
子当たりの赤外線吸収断面積はCO2分子よりも2桁近
く大きく、CFCによる地球温暖化効果は1分子当たり
CO2の1〜2万倍に達すると推定している研究報告も
ある。
【0003】そこでCFCの使用量の削減の必要性が叫
ばれているが、現在のCFC削減対策としては、大気へ
の放出を抑制する方法とCFC代替化方法がある。その
うち大気への放出を抑制する方法はa)回収、再利用方
法とb)分解方法に分けられるが、使用済みCFCは分
解することが現実的な対策であり、これまで、主に次の
ようなフロン物質分解方法が検討されている。
【0004】(1)燃焼法:メタンなどの燃焼熱の大き
な燃料を約800℃以上のフロン物質の燃焼の場に共存
させる方法。 (2)触媒法:ゼオライト等の触媒を用いて300〜5
00℃の比較的低温で分解させる方法。 (3)還元法:燃焼の前処理として特定フロン物質の成
分の中から塩素、フッ素を取り除く方法。 (4)プラズマ法:高温プラズマの反応器によって、高
速で大量に、かつ無差別にフロン物質を分解する方法。 (5)超臨界法:水が臨界点(臨界温度374℃、臨界
圧力218atm)を超えると、強い加水分解力を呈す
ることに着目した方法。 (6)モノマー変換法:化学反応によりフロン物質の形
態をフッ素樹脂等の原料モノマーに変化させる方法。 (7)光分解法(i)気体法:気体状のフロン物質に汎
用の低圧水銀ランプを照射し、光分解反応でフロン物質
を分解する。分解生成ガスの塩素は鉄粉で塩化鉄として
捕捉する。(ii)液体法:CH3ONaまたはNaOH
を含むCH3OHに液体状のフロン物質を加え、汎用の
高圧水銀ランプを照射し、分解生成物の塩素をNaCl
の形で捕捉する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前記したような各種フ
ロン物質分解法が試みられているが、未だ実用化には至
っていない。その中で光分解法の気体法が常温常圧に近
い条件で、フロン物質を分解できる優れた方法であるこ
とに着目した。しかし、現状の研究方法では、種々の難
点がある。たとえば、山口大学の小倉教授らの開発した
気体光分解法は、真空下にフロン物質と水蒸気の混合物
を内部に50Wの市販低圧水銀ランプを備えた光反応セ
ルに導き、反応させるものである。そして、反応ガスを
鉄粉末を含むカラムを通して塩素ラジカルを捕捉し、未
反応フロン物質は再度紫外光による反応系に循環させる
方法である。しかし、この方法ではフロン物質の分解の
後の反応生成物の処理に鉄粉末を含むカラムを用いるた
めバッチ処理しかできないこと、あるいは塩素ガスを再
生するにはやっかいな化学的処理をしなければならない
こと、さらに光分解反応に必要でない波長を多く含む汎
用の低圧水銀ランプを使用するため反応効率が低いこと
等の改良すべき点が多い。そこで、本発明の目的は前記
気体光分解法を改良し、反応効率を高め、連続的にフロ
ン物質を化学的処理なしで分解分離する方法、装置を提
供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は次の
主要構成で達成される。すなわち、ガス状のフロン物質
に紫外線を照射してフロン物質を分解する方法におい
て、連続的に供給される各フロン物質毎に最も高い分解
率を達成する特定波長を持つ紫外線を照射し、反応生成
物と未反応フロン物質を分離膜で連続的に分離すること
を特徴とするフロン物質の連続分解分離方法、または、
フロン物質を連続的に導入するフロン物質導入部を持
ち、ガス状のフロン物質を最も高い分解率で分解する特
定波長を持つ紫外線を照射する反応塔と、該反応塔で生
成した反応生成物と未反応フロン物質とを連続的に分離
する分離膜を持つ分離器と、該未反応フロン物質を前記
反応塔に再循環させる流路とを備えたフロン物質の連続
分解分離装置である。
【0007】本発明で分解されるフロン物質を例示する
とCFC11(CCl3F)、CFC12(CCl
22)、CFC113(CCl2F−CClF2)、CF
C114(CClF2−CClF2)、CFC115(C
ClF2−CF3)等である。
【0008】塩素ガスとフッ素系高分子物質のみをフロ
ン分解生成物とすることが期待される。550〜190
nmの範囲の波長での測定では、これらの特定フロン総
てが220nmより短波長の紫外線を吸収し、その吸収
した紫外線によりフロン分解できることが判明した。さ
らに最短波長の190nm付近に最大の吸収があること
が判明した。
【0009】また、フロン物質の分解反応促進物質とし
て酸素、空気またはエチレンジクロライドを加えると分
解効率が著しく高まる。例えば、193nmの波長をも
つArFエキシマレーザーで、酸素共存による効果を塩
素ガス生成量で無添加の場合と比較すると、酸素添加に
より最大3〜13倍増加する。また、酸素の効果は酸素
の添加量と共に増加し、分圧0.2程度で飽和する。ま
た、空気を共存させた場合も同様の結果を得た。エチレ
ンジクロライドを添加するとフロン物質の分解が激しす
ぎて、その詳細は測定不能であった。
【0010】また、紫外線照射に用いるランプは、18
5nm付近に輝線スペクトルをもつランプである冷陰極
型低圧水銀ランプまたは熱陰極型低圧水銀ランプ、ある
いはArFエキシマレーザーや重水素ランプを用いるこ
とができる。特定フロンの分解効率を塩素発生量より前
記ランプの性能を調べた結果、重水素ランプは低圧水銀
ランプと比較して非常に塩素発生量が小さく、低圧水銀
ランプでは、冷陰極型のランプが汎用の熱陰極型ランプ
と比較して約6倍の塩素発生量(W・h当り)があり、
冷陰極型低圧水銀ランプが最も優れていることが判明し
た。
【0011】また、冷陰極型低圧水銀ランプを用いて、
酸素無添加の場合も実験し酸素添加の場合と比較したと
ころ、酸素添加により最大で75倍の塩素ガス生成量を
得ることができた。
【0012】分解生成物としてガス成分とフッ素系高分
子物質が生成する。この内、ガスの主成分は低圧水銀ラ
ンプの種類ならびに酸素の有無の相違にかかわらず、塩
素ガスであった。また、二酸化炭素の発生は認められな
かった。
【0013】生成ガス(Cl2)と未反応特定フッ素と
の分離に用いるガス分離膜としてはシリコーン中空糸
膜、ポリイミド中空糸膜およびフッ素系高分子中空糸膜
が使用可能であるが、酸素の存在下でのCFCの連続分
解による塩素分離法ではポリイミド中空糸膜が好結果を
示した。特にポリイミド中空糸膜モジュールのみを15
0℃に保って使用すると非常に優れた分解性能を示し
た。
【0014】
【作用】本発明により各フロン物質はそれぞれに応じて
最も分解効率のよい波長(CFC11、CFC12、C
FC113、CFC114、CFC115では190n
m付近の紫外線で分解される。そして、フロン物質の分
解反応生成物と未反応フロン物質および分解反応生成物
と反応促進物質はシリコーン中空糸膜やポリイミド中空
糸膜等の分離膜を用いることで分離される。未反応フロ
ン物質は反応塔に再循環され、反応生成物は分離膜から
反応系外に取り出される。こうして、化学的処理を行う
ことなくフロン物質の分解と反応生成物の分離を連続的
に行うことができる。
【0015】本発明のCFCの紫外光による分解反応解
析のため、パソコンMOPAC/386(MOPAC
Ver 5.02、東レシステムセンター社製)を用い
て分子軌道法(PM3)により計算を実施した結果、次
の結論を得た。
【0016】(i)CFC5種とCFCラジカルのC−
Cl、C−F、C−C結合の強さを計算すると、CFC
5種とCFCラジカル(塩素解離ラジカル)の相違にか
かわらず、C−Cl結合が約10eV、C−F結合が約
14.5eV、C−C結合が約12eVが得られ、紫外
線の波長を限定すれば結合エネルギーの一番小さいC−
Cl結合のみ光解離する可能性が高い。
【0017】(ii)CFC5種と前記CFCラジカルの
光分解反応(Cl解離)のポテンシャル曲線を求めた結
果、CFCは図15(光励起:曲線S0→S1、解離状態
への転換:曲線S1→T1、塩素原子解離:曲線T1)に
示すように、また前記CFCラジカルは図16(光励
起:曲線D0→D2、解離状態への転換:曲線D2→Q、
塩素原子解離:曲線Q)に示すように、各励起状態の極
小点付近で塩素解離曲線と交差し(曲線S1と曲線T1
交差および曲線D2と曲線Qの交差)、特定のUVによ
り塩素原子を解離することが示される。
【0018】(iii)CFC5種の光分解反応(下記の
式(1))と前記CFCラジカルの光分解反応(下記の
式(2))に必要な励起エネルギーがそれぞれ次の値を
取り、CFC115を除くCFC4種のUVの最大吸収
波長領域が190nm付近に集中したことと対応すると
考えられる。 CFC11 :85.17kcal/mol CFC12 :84.10kcal/mol CFC113 :83.34kcal/mol CFC114 :80.41kcal/mol CFC115 :78.40kcal/mol CFC11・ :90.67kcal/mol CFC12・ :98.47kcal/mol CFC113・:101.45kcal/mol CFC114・:83.94kcal/mol
【0019】(iv)ビラジカル(R:)同士の付加反応
(二重結合生成反応)のポテンシャルエネルギー曲線は
ポテンシャル障壁なしに容易に進行することが示され
る。さらに、二重結合含有分子とラジカルとの結合は図
17に示すように、容易に常温付近の熱反応として進行
することが推定される。そして、これと同様な付加反応
が逐次起こり、分解生成物同士の高分子化反応が進行し
てフッ素樹脂類似物が生成しているものと推定される。
【0020】(v)前記高分子化反応以外の種々の熱反
応が常温常圧で可能であるかポテンシャル曲線を計算
し、その極大値と極小値とから活性化エネルギーを求め
ると、 RCl→R・+Cl・ (1) R・→R:+Cl・ (2) R+Cl・→R・+Cl2 (3) R+Cl・→R・+Cl・ (4) の反応は常温付近での熱反応では起こらないこと、逆に
(1)〜(3)の逆反応は容易に常温で起きることが推
定された。
【0021】このことから、常温付近の反応条件では光
励起しなければ、塩素解離反応が起こり得ないこと、お
よび光解離したものも一部逆反応で元の分子に戻る可能
性があること等と対応しているものと思われる。
【0022】
【実施例】本発明の実施例を以下説明する。まず、始め
に、CFCを分解する紫外光波長の選択と、その強度な
ど最適照射条件と照射方法の検討を行った。 (1)CFCの紫外吸収スペクトル CFC11、12、113、114および115の紫外
域におけるスペクトルの測定は、気体状のCFCについ
ては、UV測定用ガスセル(材質:パイレックス、光路
長:10cm、内容積:100ml、窓材:合成石英)
に一定圧力封入後、室温下でUV測定装置(島津製UV
−2100、分解能1nm)にて測定波長190〜50
0nmの範囲で吸収の変化を測定した。また、液体状の
CFCについては、室温で蒸気圧分の試料を上記ガスセ
ルに注入して測定を行った。
【0023】(2)紫外光によるCFCの分解 CFC11、12、113、114および115の紫外
光による分解は、図1に示す実験装置を用いて分解を試
みた。すなわち、紫外線ランプ1として32Wの254
nmを中心とする発振波長の低圧水銀ランプまたはAr
Fエキシマレーザー(Lambda Physik社
製、EMG103MSC、発振波長:193nm)を用
いた。
【0024】前記紫外線ランプ1の周囲にそれと同心円
状に光反応塔2(合成石英製、内容積1000ml)を
設ける。この光反応塔2内等の反応系全体を真空ポンプ
3で減圧にして流量計5で反応混合物の循環量を測定し
ながら、CFC単独またはCFCと共に反応促進剤とし
て、酸素ガス、空気またはエチレンクロライド等を反応
系に導入する。ここで、循環ポンプ4はCFC、反応促
進剤の反応塔2への供給と反応混合物の循環のために用
い、流量計5で前記ガスからなる反応ガスの循環量を検
出する。反応塔2内の温度は温度計6で測定する。また
反応生成物の内、液体状のものまたは固体状のものは液
体状固体状反応生成物溜7で回収し、気体状のものはフ
ッ素樹脂状のものをろ過するためのフィルタ9、CFC
と他のガスを分離するためのガス分離膜10、添加物質
と生成物質を分離するためのガス分離膜11、その他、
さらに必要によりガス状生成物を分離するためのガス分
離膜12、13、14を複数個設ける。
【0025】なお、ガス分離膜10で分離されたCFC
と分離膜11で分離された添加物質は再度反応塔2に循
環される。ArFエキシマレーザー使用の場合は同心円
状の光反応器ではなく、UV測定用ガスセル(材質:パ
イレックス(コーニング社製ホウ酸ガラスの商標
名))、光路長:10cm、内容積:100ml、窓
材:合成石英)を用いた。
【0026】(3)光分解による生成物の確認 塩素(Cl2)の生成量はCFC分解中に逐次190〜
500nmの範囲でUV分光光度計(島津製作所(株)
製:UV−2100)によりモニターした。また、CF
CならびにCFCの紫外光による分解生成物について
は、ガスクロマトグラフィ(島津製作所(株)製GC−
14A)を用いて確認した。また、赤外線吸収スペクト
ル装置(島津製作所(株)製IR−408)を用いて、
試料20Torr分をガスセル(窓材:KBr、光路
長:10cm、内容積:98ml)にCFC並びに分解
生成物を充填して、定性分析を行った。さらに、ガスク
ロマトグラム、赤外吸収スペクトルで同定できない物質
を調べるために、質量分析計(日本真空(株)製マスフ
ィルター型質量分析計)により測定圧力10-5Torr
以下の範囲でCFCの分解生成物の同定を試みた。
【0027】(4)生成物の分離回収 ガス状生成物(Cl2)の分離にはガス分離膜10〜1
4としてシリコーンゴム系中空糸ガス分離膜(永柳工業
(株)製)(中空糸:シリコーンゴム、ハウジング:ポ
リカーボネート、接着剤:エポキン樹脂)、ポリイミド
中空糸(宇部興産(株)製)およびフッ素系高分子中空
糸(旭硝子(株)製)のガス分離膜を用いた。
【0028】ただし、紫外光によるCFCの分解実験で
得られる生成物の量が僅少であり、後述のようにCFC
の光分解では塩素が主生成物であることが判明したの
で、別にCFC−Cl2、CFC−Cl2−N2の混合ガ
スを調製し、前記分解膜を介して室温でCl2とCFC
の分解比を求めた。本実施例の分解分離装置において
は、中空糸膜厚60および80μm、膜面積それぞれ
0.37および0.35m2、膜本数いずれも3000
本のものを用いた。
【0029】ガス分離の評価は分離膜からの通過ガスと
透過ガスのUV吸収スペクトルをUV分光光度計により
測定しCFCとCl2の吸光度の比を各々比較すること
により行った。
【0030】(5)CFCの紫外線吸収スペクトル 光化学反応が起こるためには、反応物質が光を吸収しな
くてはならない。物質に吸収された光のみが、光化学反
応を引き起こす。そこで、まず、各CFCについてUV
スペクトルを調べた。
【0031】CFC11、12、113、114および
115のいずれも、220nm以下の短波長の紫外光を
吸収する。図2にCFC113の測定範囲でピーク値1
90nmのUV吸収スペクトルを示すが、他の前記CF
Cも190nmにピーク値を持つほぼ同様な吸収曲線を
描く。また、それらの紫外吸収断面積をCFCによって
異なることが知られている。すなわち、紫外吸収断面積
の大きさの順列はCFC11>CFC113=CFC1
2>CFC114>CFC115となっている(J.P
hys.Chem.,82,1(1978)))。これ
は塩素原子の存在が影響しているものと推定される。す
なわちCFCの有する塩素原子はCFC11(CCl3
Fで3個)、CFC12(CCl22で2個)、CFC
113(CCl2F−CClF2で3個)、CFC114
(CClF2−CClF2で2個)、CFC115(CC
lF2−CF3で1個)であり、塩素原子が少ないほど紫
外吸収断面積が減少していることが分かる。こうして、
前記CFCすべてが220nmより短波長の紫外光を照
射すれば紫外光を吸収し、光分解の可能性のあることが
示唆された。
【0032】(6)CFCの紫外レーザー光による分解 CFC5種のいずれもが220nm以下の紫外光を吸収
することが明らかになったため、CFC11、12、1
13、114および115について、レーザー光(波長
193nm)の照射により、それぞれの光分解特性につ
いて検討した。波長193nmにおいて、CFC5種の
うち吸収断面積の中位にあるCFC12および114に
ついてレーザー強度60mJ、パルス繰り返し数10H
zで光分解を試みたところ、レーザーのショット数を重
ねるごとに、CFC固有の吸収強度が減少していること
が明らかになった。
【0033】波長205〜250nmの範囲では、CF
C12のオリジナルなスペクトル以外に分解生成物によ
る吸収スペクトルは見当たらず(図示せず。)、CFC
12の分解のみで他の生成物は生成していないことが分
かる。一方、CFC114では、CFC114の吸収ス
ペクトル以外に230nm付近に新しい吸収スペクトル
が現れてくることから、この波長域に光吸収を持つ分解
生成物が生じていることが分かる(図示せず。)。
【0034】しかし、波長を185〜550nmに拡げ
てみるとUV吸収スペクトルに変化が認められ、図3
(a)、(b)にそれぞれCFC12(50Torr)
および114(300Torr)のUV吸収スペクトル
を示すように、いずれも塩素分子に相当する330nm
に極大を有するスペクトルが認められている。このこと
から、CFC12および114は光分解し、塩素分子を
生成することが確認された。
【0035】また、UV吸収スペクトルでは、同定でき
ないものもあるため、CFCの光分解生成物をガスクロ
マトグラフィで分析したところ、図4にCFC12の例
を示すように、チャート上に塩素分子以外の新たな生成
物のスペクトルが認められる。このガスクロマトグラフ
ィの条件では塩素分子が検出されないため、これらのも
のはいずれも塩素分子に該当するものでなく、むしろ炭
素−フッ素で構成されるフッ素化合物と考えられる。
【0036】同様に、CFC11(600Torr)、
CFC113(150Torr)およびCFC115
(600Torr)についてArFレーザー光を照射し
ていくと、時間の経過とともに、330nmの塩素分子
の吸収スペクトルは増加し、CFCの分解が進んでいる
ことが分かる。図5にその代表例としてCFC115の
ArFレーザー光による分解後のUV吸収スペクトルを
示す。また、前記文献(J.Phys.Chem.,8
2,1(1978))ではCFC115のUVによる分
解はほとんど認められないと記載されているが、我々の
実験では図5に示すように塩素分子が生成していること
が確認された。
【0037】また、特に図示していないが、CFC1
1、12および113のいずれもがレーザー強度を10
0mJにすると、60mJの場合に認められなかったレ
ーザー光入射窓に薄膜が形成されており、CFCの吸収
断面積が高いためにラジカルが多量生成し、フッ素樹脂
類似体のような生成物が窓板付近に生成したものと考え
られる。この時、フッ素化合物の一種であるバイトン臭
がしており、生成物はメタノール、アセトンに溶解しな
いことから、フッ素系の高分子が生成したものと推察さ
れる。
【0038】このように、5種のCFCのいずれもが1
93nmのレーザー光により光分解し、主生成物として
塩素分子が生成していること、およびガスクロマトグラ
ムにみられるように、C−F−(Cl)からなる生成物
を与えていることから、CFCの光分解の可能性が確認
された。
【0039】(7)光照射の波長、光源によるCFCの
光分解の変化 次に、光源を単一波長でパルス状に発振するレーザー光
から、多くの輝線を有し連続光の水銀ランプにしたとき
のCFCの光分解について検討した。低圧水銀ランプ
(32W、UV強度7W(254nm)、1.4W(1
93nm))を用い、照射時間120分(試料体積15
00ml)、温度25℃の条件下では、図6に代表例と
して示すCFC12の場合のように、いずれのCFCも
UV吸収スペクトル330nmに極大を有する塩素分子
の生成が認められる。しかし、レーザー光照射にみられ
たガスクロマトグラム上での光分解後の生成物は認めら
れなかった。これは、レーザー光の場合は単位面積当た
りの紫外光強度が高いので、反応性の高いラジカル(C
l・)が高密度に生成され、このラジカルの二量化(2
Cl・→Cl2)などの高分子化を誘起しやすいための
考えられる。このため、光強度によって、CFCの分解
生成物を選択することができると言える。
【0040】なお、燃焼法やプラズマ分解法によるCF
C分解では、図示していないが光分解法にくらべ、非常
に多くの分解生成物が生じることを確認しているので、
光分解方法は他の分解方法より、CFCを資源化するの
に有効な優れた方法である。
【0041】低圧水銀ランプには発振方式の違いにより
冷陰極型と熱陰極型があるが、両者のCFC分解性能の
比較テストをCFC12−O2系でのCl2生成量につい
て行った。その結果を表1に示す。
【0042】
【表1】
【0043】表1に示すように冷陰極型水銀ランプのほ
うが熱陰極型のものより約6倍のCFC分解率を示し
た。これは冷陰極型水銀ランプが185nm付近の紫外
光を効率良く放射しているためと推定される。そこで、
以後の実験には冷陰極型低圧水銀ランプを用いた。
【0044】また、低圧水銀ランプの254nmの紫外
光の相対強度は40℃付近に極大値を有するので、CF
Cの分解反応も40℃付近で行うことが望ましいと考え
られる。さらに、185nm付近の紫外光はO2やO3
吸収帯と重なりが非常に大きいので、水銀ランプの光源
部付近のO2やO3を除去するため、水銀ランプの光源部
にN2ガスをパージするとCFCのCl2生成率は1.2
倍に増加した。
【0045】(8)反応促進物質添加効果 (i)O2の添加効果 CFCの光分解効率を高める目的で、O2分子、空気な
らびにHeをCFCに対し、ガス分圧として1/3等量
〜等量加えたところ、図7、図8に示すCFC12の例
に見られるように、光源をレーザー光、あるいは水銀ラ
ンプ(冷陰極型)とした場合の如何によらず、CFCに
分子を添加したときには塩素分子の生成量が著しく
増加し、O2の添加効果が認められる。表2、表3に示
すように、O2添加量によって塩素分子の増加量は異な
るが、レーザー光照射の場合は、2〜13倍の範囲で添
加効果が、また水銀ランプの場合には最大で75倍に達
することがわかった。
【0046】
【表2】
【0047】
【表3】
【0048】また、CFC12とCFC114の(冷陰
極型)水銀ランプホトリシスにおけるO2の添加効果を
図9に示すように、O2分圧はCFC12系では10
%、CFC114系では5%にCl2生成量の極大値を
持ち、CFC全体にO2分圧として10%までは濃度依
存性が認められるものの、それ以上では特に効果は認め
られていない。このことは酸素を約20%含有する空気
で充分反応促進効果があるものと予測されるので、空気
を反応促進物質として添加した場合について検討した。
検討結果は図示していないが、O2分子のみの場合に比
べ塩素分子の生成は若干低くなるものの、空気でもCF
Cを効率よく光分解できることが明らかになった。この
ことは、一定量のO2が系内に含有されていればよいこ
とを示唆し、図9の結果とも一致している。
【0049】また、反応系にO3−O2(4%O3濃度)
を入れて、次にO3−O2の供給を止めてCFC12を入
れたところ250nmに極大吸収域を持つO3は15分
間でUV光に完全に分解されるが、その15分間のCl
生成量はO2添加に比べ、1.3倍増加していた。
【0050】(ii)He、EDCの添加効果 エネルギートランスファーとしてHe−Neレーザーや
CO2レーザーに使用されるHeを添加した場合には、
本条件下では特に添加効果は認められなかったが、CF
Cのみの場合に見られる反応セルの窓のくもり防止がで
きるなどCFCの分解率を高める以外の効果が認められ
た。
【0051】次に、EDC(エチレンジクロライド、C
24Cl2)をCFC12(700Torr)に対し5
OTorr添加したところ、白煙が生じ、著しく光重合
が起こっていることが分かった。しかし、白煙の発生に
伴って反応セルのくもりなどが生じるため吸収分光分析
が行えず、CFCの減少量や塩素分子の生成量の確認が
できなかった。EDCのレーザーホトリシスについて
は、ドイツのマックスプランク研究所ですでに研究さ
れ、塩化ビニルモノマー(C23Cl)が連鎖反応によ
って、1個の光子により5000の塩ビモノマーが生成
することが知られており、この場合も何らかの連鎖反応
が進行している可能性も考えられる。
【0052】(9)生成物の確認と反応機構の解析 (i)ガス状生成物 CFC11、12、113、114および115に対し
て波長193nmのレーザー光および既知の水銀ランプ
を紫外光として照射した場合、いずれも塩素分子が生成
し、さらにフッ素化合物の生成が認められたことは既に
述べたとおりであるが、CFCにO2分子を添加する
と、生成物の分布が変化することがガスクロマトグラム
により確認された(図11)。そこで、各CFCはつぎ
のような分解過程を示しているものと推定される。 CFC11→CFC12とCFC114を生成 (CCl3F→CCl22、CClF2−CClF2) CFC12→CFC114 (CCl22→CClF2−CClF2) CFC113→CFC12、CFC11 (CCl2FClF2→CCl22+CCl3F) CFC114→CFC115、CFC11と他に3つの
フッ素化合物 (CClF2−CClF2→CClF2−CF3+CCl3
F+3Clmn) CFC115→CFC12と他の2つのフッ素化合物 (CClF2−CF3→CCl22+CCl22+2Cl
mn) ただし、l、mおよびnは自然数である。すなわち、図
10のような相関図が描ける。したがって、フッ素化合
物と塩素分子のみを回収しながらCFCを光反応系に循
環するシステムを確立することが、可能なことを示して
いる。
【0053】一方、O2分子を添加した場合は、いずれ
の場合もガスクロマトグラムではCO2が確認され、ま
た光照射後のピーク数がCFCのみの場合と異なってお
り、反応の進行がO2を添加することにより異なること
が示唆された。図11には、レーザー光を照射した時の
2の添加の有無によるガスクロマトグラムの変化を示
している。質量分析計(Massスペクトル)および赤
外吸収装置(IRスペクトル)を用いて光照射後のスペ
クトルをそれぞれ測定したところ、Massスペクトル
からはCFC12−O2系、CFC114−O2系ともに
Cl2、CF2に基づく質量数のピークの増加が確認され
た。また、すべてのCFCにおいてレーザ光のみを照射
した後のIRスペクトルは未照射のものとは差異がなか
ったが、O2を添加した場合には光分解後、酸ハロゲン
化物のC=Oの伸縮振動が、CFC11を除くCFCに
ついてはCF2やCF3に帰属するピークが認められた。
ただし、2350cm-1にCO2の吸収スペクトルが観
測されなかったのでガスクロで検出されたCO2はCF2
OやCFClOなどが高温のカラム内で化学変化したも
のと考えられる。
【0054】これらのことにより、O2分子を添加する
ことにより(CF2nまたはCF2誘導体が生成しやす
くなっていることが示唆される。従って、CFC11に
ついても従来酸化分解として知られる(5)式による反
応とは異なっていることが推察される。 CCl3F+O3=CO2+Cl2ClF (5)
【0055】次に、CFCの塩素についての転化率を求
めた。現状では、生成物がすべて同定、確認されていな
いため、5種のCFCの塩素の生成は、(6)〜(1
0)式で進行すると仮定して、CFCの塩素についての
転化率を求めた。 [CFC11] 2CCl3F→C22Cl2+2Cl2 (6) [CFC12] 2CCl22→C24+2Cl2 (7) [CFC113] CF2ClCCl2F→CF2=CFCl+Cl2 (8) [CFC114] CClF2CClF2→C24+Cl2 (9) [CFC115] 2CClF2CF3→C410+Cl2 (10) これらの反応式による5種のCFCの塩素についての転
化率(CFCの分解モル数基準)は表4のように示すこ
とができる。なお、反応条件等は表2に準じている。
【0056】
【表4】
【0057】(ii)固体状生成物 反応器2の内壁面等に付着する固体状生成物をテトラヒ
ドロフラン(THF)により溶解し、その可溶分をFT
−IR、熱重量測定、示差走査熱量測定(DSC)等で
生成物解析を行った。その結果、FT−IR吸収スペク
トルでは、ガス状生成物のそれと異なり、酸ハロゲン化
物やC−Clに基づく吸収のピークは現れず、C−Fと
C=Oに帰属するピークが観測されフッ素樹脂類似体で
あると考えられ、また、DSC曲線の192℃付近はフ
ッ素樹脂類似体の融点に対応していることから、固体状
生成物はフッ素樹脂類似体であると同定した。
【0058】(10)シリコーン中空糸膜によるガス分
離の検討 前述のように紫外光によるCFCの主分解生成分が塩素
分子であることが確認されたため、ここではCFCと塩
素ガスの分離をガス分離膜で行う方法を検討した。
【0059】ガス分離度の検討は、図12に示すバッチ
法(一定量封じ込めたCFC−Cl2混合ガスを減圧下
で分離膜モジュールを通して分離する方法)と、図13
に示す流通法の2つの方法で行った。バッチ法での結果
を表5に示す。
【0060】
【表5】
【0061】表5の結果から、シリコーン中空糸膜の膜
厚60μmと80μmのものを比較すると、膜厚60μ
mのシリコーン中空糸膜のほうが分離度が高く、また、
CFC12、114および115についての比較では、
CFC115が非常に分離度が良いことが分かった。な
お、表5の[Cl2/CFC]Pは分離膜の透過側(Pe
rmeate)のCFCに対する塩素モル濃度比(=吸
光度比)であり、[Cl2/CFC]Rは分離膜の通過側
すなわち非透過側(Reject)のCFCに対する塩
素モル濃度比(=吸光度比)である。したがって、[C
2/CFC]P/[Cl2/CFC]Rの値が1.00か
らはなれた値ほど分離度が大きいことを示す。
【0062】次に、図13に示すように下記〜の操
作からなる流通法で検討した。 反応系内を真空引きして後、常圧になるまでNを導
入する。 CFCとCl2を容積比約5:1の割合で混合し、6
0ml/minの流通量で分離膜モジュール(シリコー
ン中空糸膜:永柳工業(株)製、商品名:M−60、M
−80)に挿入し、石鹸膜流通計で流通を確認後、分離
膜の透過側(中空糸膜に垂直方向)および通過側(中空
糸の中を通過する方向)の流量が等しくなるように調整
する。 透過側および通過側から出たガスをそれぞれUVガス
セルに入れ、Cl2およびCFC濃度を測定する。その
結果は、表6にまとめて示している。
【0063】
【表6】
【0064】流通法においてもバッチ法と同様、中空糸
膜厚の依存性が認められている。CFC12−Cl2
では、分離度も1.87と高く、またCFC114−C
2系では膜厚80μmでは0.55と低い値を示して
いる。このように、ガス分離膜としての必要条件とされ
る分離比2.0以上、または0.5以下に近い値を示し
ていることから、シリコーン中空糸膜でのCFC−Cl
2混合ガスの分離が可能であることが本実験で確認され
た。
【0065】また、ポリイミド膜、フッ素樹脂膜でCF
C−Cl2ガスの分離実験をしたが、分離膜の透過側に
おいて、CFCだけでなく、Cl2も検出できず、シリ
コーン膜以上のものは得られなかった。
【0066】(11)CFCの連続分解とCl2連続分
離実験 以上の予備実験の結果をもとに図1の装置にCFC12
を連続的に導入して、各種の中空糸膜の連続分離テスト
を行った。32W低圧水銀ランプは冷陰極型ランプ(理
工科学(株)製)を用いて次の条件で連続分解、分離を
行った。 (i)シリコーン中空糸膜(永柳工業(株)製M−6
0、M−80) UV強度:7W(254nm)、1.4W(185n
m) 光分解システム流量 :140ml/min 分離膜流量 : 50ml/min 透過ガス排出流量 : 12ml/min CFC12流量 : 10ml/min O2流量 : 10ml/min (ii)ポリイミド中空糸膜(宇部興産(株)製UM−A
1) UV強度:7W(254nm)、1.4W(185n
m) 光分解システム流量 :100ml/min 分離膜流量 :150ml/min 透過ガス排出流量 : 10ml/min CFC12流量 : 10ml/min O2流量 : 10ml/min 図14にガス分離膜の通過ガス(中空糸膜の中空通路を
通過するガス)と透過ガス(中空糸膜の膜を横断して透
過するガス)のUV吸収スペクトルを示す。また、表7
にはCFC12とCl2ガスの分離度を示す。
【0067】
【表7】
【0068】反応開始後360分では図14(a)のシ
リコーン中空糸膜では通過(=非透過)ガスと透過ガス
のCl2ガスのUV吸収の極大値が330nmにあり、
CFC12の分離もなく、Cl2ガスが反応系内に多量
に残っていて分離度が高くないが、ポリイミド中空糸膜
では図14(b)に示すように非透過ガスと透過ガスの
Cl2ガスのUV吸収の極大値が同じ値であり、透過ガ
ス中にはCFC12が少量しか残っていないことを示し
ている。前節(10)の流通法によるCFC12−Cl
2系のCl2分離度はシリコーン中空糸膜では1.87で
あったのが、この連続法では1.22と低下しているこ
と、また、ポリイミド中空糸膜では前記流通法ではガス
分離能がなかったが、この連続法ではCl2ガスの分離
能が可能になった。この原因は明らかでないが、CFC
分離促進添加物質としてO2ガスが存在し、これが中空
糸膜の透過側にパージガスとして流れ出るためと推測さ
れる。
【0069】また、ポリイミド中空糸膜を150℃に昇
温させると分離度が270と高い値を示し、図14
(c)からも透過ガス側にCl2が多く含まれ、CFC
12がほとんど認められないことが分かる。したがっ
て、CFCの連続分解とCl2連続分離にはO2ガスの存
在下で150℃に昇温させたポリイミド中空糸膜を用い
るのが最適と考えられる。また、このプロセスにガス分
離の深冷分離方法を組み合わせると、混合ガスからCl
2ガスの99%高純度化が可能であると考えられる。
【0070】これを従来技術の山口大学の報告例(日本
化学会第59春季年会(1990年)の予稿集873
頁)と比較する。該報告例では50W低圧水銀ランプを
用いて2時間バッチ方式で運転してCl2が16.61
mmol発生したとあり、本実施例ではCFC12を3
2W低圧水銀ランプを用いてCl2が10ml/分発生
しているので、CFC113も同様であるとし、その3
つの塩素原子の全てまたは2つが解離しているとして、
ワット当たりの効率を比較計算すると本実施例の方法は
前記従来方法に比べ、10〜15倍の効率であることが
分かる。
【0071】
【発明の効果】本発明は次のような効果を奏する。 (1)分解反応の制御性が良く、紫外光照射の有無によ
りCFCの分解反応の開始と停止をコントロールでき
る。 (2)常温、常圧に近い状態でCFCの分解ができるの
で、簡単な処理方法で簡易な装置で行える。また、空気
や酸素等の光分解促進物質の存在下で光分解を行うと、
CFC分解効率が向上する。 (3)シリコーン中空糸膜、ポリイミド中空糸膜等から
なるガス分解膜を用いれば、CFCの光分解後の未反応
CFCと生成物のCl2を容易に連続的に分離でき、や
っかいな化学的処理を行う必要がなくなる。しかも分解
生成物が純度が高いので、その場で再資源化できる。 (4)以上のように、CFCの連続分解反応が簡単な方
法で行えるので、反応装置がシンプルとなり、コンパク
トな装置で分解が行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例のCFC分解反応装置を示す
図である。
【図2】 CFC113のUV吸収スペクトルである。
【図3】 CFC12とCFC114のレーザ光分解後
のUV吸収スペクトルである。
【図4】 CFC12のレーザ光分解後のガスクロトグ
ラム変化である。
【図5】 CFC115のレーザ光分解後のUV吸収ス
ペクトル変化である。
【図6】 CFC12の水銀ランプ照射後のUV吸収ス
ペクトルである。
【図7】 CFC12のレーザ光分解におけるO2添加
効果を示すUV吸収スペクトルである。
【図8】 CFC12の水銀ランプ照射におけるO2
加効果を示すスペクトルである。
【図9】 CFCにおける水銀ランプ照射におけるO2
添加効果の濃度依存性を示す図である。
【図10】 CFCの光分解機構を説明する図である。
【図11】 レーザ光分解によるO2添加効果を示すC
FCのガスクロマトグラムである。
【図12】 シリコーン中空糸膜によるバッチ式のCF
C分離プロセスの説明図である。
【図13】 シリコーン中空糸膜による流通式のCFC
分離プロセスの説明図である。
【図14】 各種中空糸膜による連続式のCFC分離プ
ロセスのUV吸収スペクトルである。
【図15】 CFC12の光分解反応の分子軌道法によ
るポテンシャルエネルギーの計算結果である。
【図16】 CFC12ラジカルの光分解反応の分子軌
道法によるポテンシャルエネルギーの計算結果である。
【図17】 CFC12ラジカルの高分子化過程の分子
軌道法によるポテンシャルエネルギーの計算結果であ
る。
【符号の説明】
1…紫外線ランプ、2…反応塔、3…真空ポンプ、4…
循環ポンプ、5…流量計、6…温度計、7…液体状固体
状反応生成物溜、9…フィルタおよび固体状生成物溜、
10…フロンと他のガスとのガス分離膜、11…添加物
質(反応促進ガス、反応制御ガス)と生成物質とのガス
分離膜、12、13、14…生成物質のガス分離膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 森川 茂 京都府京都市下京区中堂寺南町17 京都リ サーチパーク 株式会社関西新技術研究所 内 (72)発明者 趙 興哲 京都府京都市下京区中堂寺南町17 京都リ サーチパーク 株式会社関西新技術研究所 内 (72)発明者 坂井 久 京都府京都市下京区中堂寺南町17 京都リ サーチパーク 株式会社関西新技術研究所 内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ガス状のフロン物質に紫外線を照射して
    フロン物質を分解するフロン物質分解方法において、 連続的に供給される各フロン物質毎に最も高い分解率を
    達成する特定波長を持つ紫外線を照射し、反応生成物と
    未反応フロン物質を分離膜で連続的に分離することを特
    徴とするフロン物質の連続分解分離方法。
  2. 【請求項2】 ガス状のフロン物質に紫外線を照射して
    フロン物質を分解するフロン物質分解方法において、 連続的に供給される各フロン物質毎に最も高い分解率を
    達成する特定波長を持つ紫外線を反応促進ガスの存在下
    に照射し、反応生成物と未反応フロン物質を分離膜で連
    続的に分離することを特徴とするフロン物質の連続分解
    分離方法。
  3. 【請求項3】 フロン物質を連続的に導入するフロン物
    質導入部を持ち、ガス状のフロン物質を最も高い分解率
    で分解する特定波長を持つ紫外線を照射する反応塔と、
    該反応塔で生成した反応生成物と未反応フロン物質とを
    連続的に分離する分離膜を持つ分離器と、該未反応フロ
    ン物質を前記反応塔に再循環させる流路とを備えたこと
    を特徴とするフロン物質の連続分解分離装置。
  4. 【請求項4】 フロン物質を連続的に導入するフロン物
    質導入部と反応促進ガスの導入部を持ち、ガス状のフロ
    ン物質を最も高い分解率で分解する特定波長を持つ紫外
    線を照射する反応塔と、該反応塔で生成した反応生成物
    と未反応フロン物質とを連続的に分離する分離膜を持つ
    分離器と、該未反応フロン物質を前記反応塔に再循環さ
    せる流路とを備えたことを特徴とするフロン物質の連続
    分解分離装置。
JP4137311A 1991-11-21 1992-05-28 フロン物質の連続分解分離方法および装置 Expired - Lifetime JP2634534B2 (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3-306297 1991-11-21
JP30629791 1991-11-21

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH05277205A true JPH05277205A (ja) 1993-10-26
JP2634534B2 JP2634534B2 (ja) 1997-07-30

Family

ID=17955406

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP4137311A Expired - Lifetime JP2634534B2 (ja) 1991-11-21 1992-05-28 フロン物質の連続分解分離方法および装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2634534B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN115372303A (zh) * 2022-09-02 2022-11-22 国网陕西省电力有限公司电力科学研究院 一种温室气体gwp测试装置及测试方法

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS63267420A (ja) * 1987-04-27 1988-11-04 Ebara Res Co Ltd 硫化水素を含有するガス混合物の処理方法及び装置
JPH0321325A (ja) * 1989-06-16 1991-01-30 Mitsubishi Heavy Ind Ltd フロン蒸気の処理方法
JPH03221121A (ja) * 1990-01-24 1991-09-30 Central Glass Co Ltd ハロゲン化炭化水素類の分解方法

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS63267420A (ja) * 1987-04-27 1988-11-04 Ebara Res Co Ltd 硫化水素を含有するガス混合物の処理方法及び装置
JPH0321325A (ja) * 1989-06-16 1991-01-30 Mitsubishi Heavy Ind Ltd フロン蒸気の処理方法
JPH03221121A (ja) * 1990-01-24 1991-09-30 Central Glass Co Ltd ハロゲン化炭化水素類の分解方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN115372303A (zh) * 2022-09-02 2022-11-22 国网陕西省电力有限公司电力科学研究院 一种温室气体gwp测试装置及测试方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2634534B2 (ja) 1997-07-30

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Burkholder et al. Chemical kinetics and photochemical data for use in atmospheric studies; evaluation number 19
US4593050A (en) Ultraviolet light assisted fluorination of polymer surfaces
Petersen et al. Infrared molecular lasers pumped by electronic‐vibrational energy transfer from Br (42 P 1/2): CO2, N2O, HCN, and C2H2
Ravishankara et al. Atmospheric lifetime, its application and its determination: CFC-substitutes as a case study
Jacox The reaction of F atoms with methane in an argon matrix
Slagle et al. Kinetics of free radicals produced by infrared multiphoton-induced decomposition. 2. Formation of acetyl and dichlorofluoromethyl radicals and their reactions with nitrogen dioxide
CN111214955B (zh) 碳同位素分离方法及利用其的碳同位素浓缩方法
Toy et al. Photosonochemical decomposition of aqueous 1, 1, 1‐trichloroethane
Xu et al. Direct measurement of fluorocarbon radicals in the thermal destruction of perfluorohexanoic acid using photoionization mass spectrometry
US3933980A (en) Process for removing ethylenically unsaturated chlorinated hydrocarbons from gas streams
US7659522B2 (en) Method of purifying the used O-18 enriched cyclotron target water and apparatus for the same
Pflieger et al. Diagnosing the plasma formed during acoustic cavitation in [BEPip][NTf 2] ionic liquid
US3904500A (en) Hydrogen isotope separation from water
JP2634534B2 (ja) フロン物質の連続分解分離方法および装置
Lyman Laser-Induced Molecular Dissociation Applications in Isotope Separation and Related Processes
US4257860A (en) Deuterium enrichment by selective photoinduced dissociation of a multihalogenated organic compound
US4220510A (en) Method for separating isotopes in the liquid phase at cryogenic temperature
Fenter et al. Kinetics of the dichloromethyl and chloromethyl association reactions with molecular oxygen between 298 and 448 K and from 1 to 760 Torr of total pressure
Ma et al. Highly selective 13C separation by CO2-laser-induced IRMPD of CF2Cl2/HI and CF2ClBr/HI mixtures
Cadman et al. Reactions of hot halomethyl radicals
Sugita et al. Enrichment of 13C by IRMPD of CBr2F2
Kato et al. Radical reaction mechanisms in infrared multiphoton dissociation of UF6 with scavenger gases
US4213836A (en) Laser-induced separation of hydrogen isotopes in the liquid phase
JP2015157230A (ja) 処理装置および方法
EP0417327A1 (en) Enrichment of carbon thirteen