JPH05290880A - ナトリウム−硫黄電池の正極容器用材料およびその製造方法 - Google Patents
ナトリウム−硫黄電池の正極容器用材料およびその製造方法Info
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- JPH05290880A JPH05290880A JP4087218A JP8721892A JPH05290880A JP H05290880 A JPH05290880 A JP H05290880A JP 4087218 A JP4087218 A JP 4087218A JP 8721892 A JP8721892 A JP 8721892A JP H05290880 A JPH05290880 A JP H05290880A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】高温の硫黄、多硫化ナトリウムに対する耐食性
を向上させたナトリウム−硫黄電池の正極容器用材料お
よびその製造方法の提供。 【構成】(1) Cが0.55wt%以下の炭素鋼、またはこれに
5wt%以下のMoおよび/または12wt%以下のCrを含有さ
せた低合金鋼の母材最表面にクロムカーバイドを主体と
し厚さが25μm 以上のクロマイズド層を有することを特
徴とする耐食性に優れたナトリウム−硫黄電池用正極材
料。 (2) 上記組成の母材に予め浸炭処理を施し、その表層部
の炭素濃度を 0.7〜1.5wt%とした後、1000〜1150℃の
温度でクロマイジング処理を施しその表面上にクロムカ
ーバイドを主体とする被膜層を形成することを特徴とす
る耐食性に優れたナトリウム−硫黄電池用正極材料の製
造方法。 【効果】正極容器の腐食を防止でき、従来の電池に比較
して正極容器の耐久性が著しく高まる。
を向上させたナトリウム−硫黄電池の正極容器用材料お
よびその製造方法の提供。 【構成】(1) Cが0.55wt%以下の炭素鋼、またはこれに
5wt%以下のMoおよび/または12wt%以下のCrを含有さ
せた低合金鋼の母材最表面にクロムカーバイドを主体と
し厚さが25μm 以上のクロマイズド層を有することを特
徴とする耐食性に優れたナトリウム−硫黄電池用正極材
料。 (2) 上記組成の母材に予め浸炭処理を施し、その表層部
の炭素濃度を 0.7〜1.5wt%とした後、1000〜1150℃の
温度でクロマイジング処理を施しその表面上にクロムカ
ーバイドを主体とする被膜層を形成することを特徴とす
る耐食性に優れたナトリウム−硫黄電池用正極材料の製
造方法。 【効果】正極容器の腐食を防止でき、従来の電池に比較
して正極容器の耐久性が著しく高まる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、ナトリウム−硫黄電
池において硫黄および多硫化ナトリウムと接する正極材
料、特に硫黄および多硫化ナトリウムに対し優れた耐食
性を有する正極容器用材料およびその製造方法に関す
る。
池において硫黄および多硫化ナトリウムと接する正極材
料、特に硫黄および多硫化ナトリウムに対し優れた耐食
性を有する正極容器用材料およびその製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】ナトリウム−硫黄電池の電池反応は、2
Na+ xS= Na2Sx で表される。放電時には電子を遊離
してイオン化した溶融ナトリウムが正極側に移動し、溶
融硫黄と反応して多硫化ナトリウムとなり正極室に貯蔵
される。この過程において外部回路に上記電池を接続す
ると、電子が負極から正極に移動し約2Vの起電力を発
生する。なお、溶融硫黄は電子伝導性を持たないので、
正極容器中に多孔質の導伝材を充填して、容器外より流
入する電子が正極容器の内部に浸入できるようにする。
一方、充電時には、放電時とは逆の反応が起こり、ナト
リウムおよび硫黄が生成される。即ち、上記電池の起電
力以上の電圧を両極間に印加し、正極容器内で多硫化ナ
トリウムを形成している溶融ナトリウムをイオン化し固
体電解質を通して負極側に戻し電子を受け取らせて中性
化させる。なお、電池として作動する温度は多硫化ナト
リウムの融点の関係から 300〜350 ℃程度が選択され
る。
Na+ xS= Na2Sx で表される。放電時には電子を遊離
してイオン化した溶融ナトリウムが正極側に移動し、溶
融硫黄と反応して多硫化ナトリウムとなり正極室に貯蔵
される。この過程において外部回路に上記電池を接続す
ると、電子が負極から正極に移動し約2Vの起電力を発
生する。なお、溶融硫黄は電子伝導性を持たないので、
正極容器中に多孔質の導伝材を充填して、容器外より流
入する電子が正極容器の内部に浸入できるようにする。
一方、充電時には、放電時とは逆の反応が起こり、ナト
リウムおよび硫黄が生成される。即ち、上記電池の起電
力以上の電圧を両極間に印加し、正極容器内で多硫化ナ
トリウムを形成している溶融ナトリウムをイオン化し固
体電解質を通して負極側に戻し電子を受け取らせて中性
化させる。なお、電池として作動する温度は多硫化ナト
リウムの融点の関係から 300〜350 ℃程度が選択され
る。
【0003】正極容器材料としては炭素鋼、または低合
金鋼が使用されるが、正極容器内に貯蔵される Na2Sx
およびSが非常に激しい腐食性の物質であるので、炭素
鋼あるいは低合金鋼では耐食性が充分でなく、著しい硫
化腐食が生じる場合があり、電池寿命および安全性の上
で大きな問題となっている。そこで、上記のような正極
容器の耐食性を向上させる目的で、正極容器内表面にク
ロム(Cr)めっきを施すこと (特開平2−142066号公
報) およびコバルト(Co)合金を被覆すること (特開平
2−142065号公報) が提案されている。しかし、これら
の方法には次のような問題点がある。
金鋼が使用されるが、正極容器内に貯蔵される Na2Sx
およびSが非常に激しい腐食性の物質であるので、炭素
鋼あるいは低合金鋼では耐食性が充分でなく、著しい硫
化腐食が生じる場合があり、電池寿命および安全性の上
で大きな問題となっている。そこで、上記のような正極
容器の耐食性を向上させる目的で、正極容器内表面にク
ロム(Cr)めっきを施すこと (特開平2−142066号公
報) およびコバルト(Co)合金を被覆すること (特開平
2−142065号公報) が提案されている。しかし、これら
の方法には次のような問題点がある。
【0004】Crめっきでは母材とめっき皮膜との密着力
が弱く、電池の作動温度では母材とめっき皮膜との熱膨
張の差に起因する皮膜剥離が懸念される。Co合金の被覆
には主にプラズマ溶射法を用いるが、コーティングの際
に空気が侵入して溶射皮膜中に気泡ができる。従って、
溶融 Na2Sx がこの気泡を通じて浸透し母材を腐食させ
るおそれがある。
が弱く、電池の作動温度では母材とめっき皮膜との熱膨
張の差に起因する皮膜剥離が懸念される。Co合金の被覆
には主にプラズマ溶射法を用いるが、コーティングの際
に空気が侵入して溶射皮膜中に気泡ができる。従って、
溶融 Na2Sx がこの気泡を通じて浸透し母材を腐食させ
るおそれがある。
【0005】一方、鋼材に高温耐食性を付与する方法と
してクロマイジング処理が知られている。この方法は、
母材の上にめっき層等を載せるのではなく、母材自体に
Crを拡散浸透させて表層部をCrリッチにして耐食性を向
上させるのであるから、皮膜の剥離という問題がない。
そこで、このクロマイジング処理を正極容器用材料の製
造に利用する発明が英国特許第2017389 号明細書に提案
されている。同明細書に示される発明は、炭素鋼を母材
とし、その表面にCrが60%を超えるCr−Fe−C(炭素)
の層を形成させることを主眼とするものであるが、この
層の組成および厚さが適切でないと、後述するように正
極容器用材料として十分な耐食性が得られない。
してクロマイジング処理が知られている。この方法は、
母材の上にめっき層等を載せるのではなく、母材自体に
Crを拡散浸透させて表層部をCrリッチにして耐食性を向
上させるのであるから、皮膜の剥離という問題がない。
そこで、このクロマイジング処理を正極容器用材料の製
造に利用する発明が英国特許第2017389 号明細書に提案
されている。同明細書に示される発明は、炭素鋼を母材
とし、その表面にCrが60%を超えるCr−Fe−C(炭素)
の層を形成させることを主眼とするものであるが、この
層の組成および厚さが適切でないと、後述するように正
極容器用材料として十分な耐食性が得られない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】耐食性の向上を図るた
めに、正極容器の内表面にクロマイジング処理を施すの
は有効であるが、溶融した硫黄と多硫化ナトリウムの混
合体のなかで、十分な耐食性を持つ皮膜構造およびその
ような皮膜を形成させるための処理条件は不明である。
例えば、クロマイズド層の厚みが不適切で、使用中にク
ロマイズド層が局部的に破壊された場合、腐食が加速度
的に進行すると予想させる。従来、クロマイジング処理
鋼材の電気化学的な観点からの耐食性に関してはあまり
検討がなされておらず、電池を長時間使用した場合のク
ロマイズド層の溶出などの問題を含めて、適切な処理条
件を確立しなければ、耐久性においても十分な正極容器
用材料は得られない。
めに、正極容器の内表面にクロマイジング処理を施すの
は有効であるが、溶融した硫黄と多硫化ナトリウムの混
合体のなかで、十分な耐食性を持つ皮膜構造およびその
ような皮膜を形成させるための処理条件は不明である。
例えば、クロマイズド層の厚みが不適切で、使用中にク
ロマイズド層が局部的に破壊された場合、腐食が加速度
的に進行すると予想させる。従来、クロマイジング処理
鋼材の電気化学的な観点からの耐食性に関してはあまり
検討がなされておらず、電池を長時間使用した場合のク
ロマイズド層の溶出などの問題を含めて、適切な処理条
件を確立しなければ、耐久性においても十分な正極容器
用材料は得られない。
【0007】本発明の課題は、正極容器材料として、硫
黄および多硫化ナトリウムに対する特に高温での耐食性
に優れた材料を提供することであり、具体的な目的は、
十分な耐久性をもつクロマイズド層を備えた正極容器用
材料とその製造方法を提供することにある。
黄および多硫化ナトリウムに対する特に高温での耐食性
に優れた材料を提供することであり、具体的な目的は、
十分な耐久性をもつクロマイズド層を備えた正極容器用
材料とその製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、下記
(1) の正極容器用材料と、(2) のその製造方法にある。
(1) の正極容器用材料と、(2) のその製造方法にある。
【0009】(1) C含有量が0.55重量%以下の炭素鋼、
またはC含有量が0.55重量%以下で、かつ5重量%以下
のMoおよび12重量%以下のCrの一方または両方を含有す
る低合金鋼を母材とし、その母材の最表面にクロムカー
バイドを主成分とする厚さ25μm 以上のクロマイズド層
を有することを特徴とする耐食性に優れたナトリウム−
硫黄電池の正極容器用材料。
またはC含有量が0.55重量%以下で、かつ5重量%以下
のMoおよび12重量%以下のCrの一方または両方を含有す
る低合金鋼を母材とし、その母材の最表面にクロムカー
バイドを主成分とする厚さ25μm 以上のクロマイズド層
を有することを特徴とする耐食性に優れたナトリウム−
硫黄電池の正極容器用材料。
【0010】(2) C含有量が0.55重量%以下の炭素鋼、
またはC含有量が0.55重量%以下で、かつ5重量%以下
のMoおよび12重量%以下のCrの一方または両方を含有す
る低合金鋼の母材の表面に予め浸炭処理を施し、表層部
の炭素濃度を 0.7〜1.5 重量%とした後、さらに1000〜
1150℃の温度でクロマイジング処理を施し、その母材最
表面に厚さ25μm 以上のクロムカーバイドを主体とする
クロマイズド層を形成することを特徴とする耐食性に優
れたナトリウム−硫黄電池の正極容器用材料の製造方
法。
またはC含有量が0.55重量%以下で、かつ5重量%以下
のMoおよび12重量%以下のCrの一方または両方を含有す
る低合金鋼の母材の表面に予め浸炭処理を施し、表層部
の炭素濃度を 0.7〜1.5 重量%とした後、さらに1000〜
1150℃の温度でクロマイジング処理を施し、その母材最
表面に厚さ25μm 以上のクロムカーバイドを主体とする
クロマイズド層を形成することを特徴とする耐食性に優
れたナトリウム−硫黄電池の正極容器用材料の製造方
法。
【0011】
【作用】本発明者らは、ナトリウム−硫黄電池の正極容
器材料をクロマイジング処理してその耐食性を改善する
研究を進め、その過程で以下のような知見を得た。
器材料をクロマイジング処理してその耐食性を改善する
研究を進め、その過程で以下のような知見を得た。
【0012】耐食性の向上を図るために、正極容器の内
側表面にクロマイジング処理を施した場合、形成される
クロマイズド層は外層がクロムカーバイド層、内層がク
ロム合金層からなる二層構造になる。このクロマイズド
層において、耐食性の向上に寄与できるのは、外層のク
ロムカーバイド層である。そして、通常のクロマイジン
グ処理で得られるクロムカーバイド層の厚みはせいぜい
10〜15μm 程度である。しかし、この程度のクロムカー
バイド層の厚みでは正極容器としての耐食性が充分でな
く、この層が局部的に破壊されると、腐食が加速度的に
進行する。即ち、クロムカーバイド層は外方成長 (母材
表面から外向きに成長していく) であるため、母材表面
に炭化物、酸化物等の介在物があるとその部分には均一
なクロムカーバイド層がコーティングされず、皮膜中に
ピンホールが残る。また、正極容器の材料となる鋼材と
クロムカーバイドとの熱膨張差により被膜にヘアクラッ
ク(微細亀裂) が発生する。これらが原因で、クロムカ
ーバイド層の厚みが足りない場合には、正極容器として
長時間の使用に耐える耐食性が得られないのである。
側表面にクロマイジング処理を施した場合、形成される
クロマイズド層は外層がクロムカーバイド層、内層がク
ロム合金層からなる二層構造になる。このクロマイズド
層において、耐食性の向上に寄与できるのは、外層のク
ロムカーバイド層である。そして、通常のクロマイジン
グ処理で得られるクロムカーバイド層の厚みはせいぜい
10〜15μm 程度である。しかし、この程度のクロムカー
バイド層の厚みでは正極容器としての耐食性が充分でな
く、この層が局部的に破壊されると、腐食が加速度的に
進行する。即ち、クロムカーバイド層は外方成長 (母材
表面から外向きに成長していく) であるため、母材表面
に炭化物、酸化物等の介在物があるとその部分には均一
なクロムカーバイド層がコーティングされず、皮膜中に
ピンホールが残る。また、正極容器の材料となる鋼材と
クロムカーバイドとの熱膨張差により被膜にヘアクラッ
ク(微細亀裂) が発生する。これらが原因で、クロムカ
ーバイド層の厚みが足りない場合には、正極容器として
長時間の使用に耐える耐食性が得られないのである。
【0013】ナトリウム−硫黄電池の正極容器用材料
は、極めて腐食性の強いNa2Sx およびSと長時間しかも
高温状態で接触する。このような苛酷な使用条件下にお
いて十分な耐久性を備えた正極容器用材料としては、ク
ロムカーバイド層の厚みが25μm 以上でなければならな
い。このような厚みになれば、クロムカーバイド層は横
方向にも成長し、母材表面に介在物が存在してもそれを
覆ってコーティングできる。また、皮膜中に多少のピン
ホールやヘアクラックが生じても耐食性を損なう実害は
ほとんどなくなる。なお、ここで言うクロムカーバイド
層とは主にCr23C6もしくは Cr7C3からなる層、あるいは
外層がCr23C6、内層がCr7C3 からなるものである。
は、極めて腐食性の強いNa2Sx およびSと長時間しかも
高温状態で接触する。このような苛酷な使用条件下にお
いて十分な耐久性を備えた正極容器用材料としては、ク
ロムカーバイド層の厚みが25μm 以上でなければならな
い。このような厚みになれば、クロムカーバイド層は横
方向にも成長し、母材表面に介在物が存在してもそれを
覆ってコーティングできる。また、皮膜中に多少のピン
ホールやヘアクラックが生じても耐食性を損なう実害は
ほとんどなくなる。なお、ここで言うクロムカーバイド
層とは主にCr23C6もしくは Cr7C3からなる層、あるいは
外層がCr23C6、内層がCr7C3 からなるものである。
【0014】クロムカーバイド層の厚みは鋼中のC量の
増加とともに厚くなる。しかし、正極容器は、絞り加工
によって円筒状に成形されるのであるから、母材の鋼に
は優れた絞り加工性も要求される。従って、母材鋼中の
C含有量を0.55重量%よりも多くすることはできない。
そこで、本発明では、母材鋼のC含有量を0.55重量%以
下に抑え、その表層部だけに予め浸炭処理を施してC含
有量を高め、その後クロマイジング処理を行って25μm
以上の厚みのカーバイド層を得ることとした。
増加とともに厚くなる。しかし、正極容器は、絞り加工
によって円筒状に成形されるのであるから、母材の鋼に
は優れた絞り加工性も要求される。従って、母材鋼中の
C含有量を0.55重量%よりも多くすることはできない。
そこで、本発明では、母材鋼のC含有量を0.55重量%以
下に抑え、その表層部だけに予め浸炭処理を施してC含
有量を高め、その後クロマイジング処理を行って25μm
以上の厚みのカーバイド層を得ることとした。
【0015】母材を予め浸炭処理しておくことは、次の
ような予想外の効果をもつ。即ち、浸炭処理の際に母材
表層部に生成するセメンタイト層が、クロマイジング処
理後の冷却過程で生じる熱応力の緩和層として働き、ク
ロマイジング層中のヘアクラックの発生が防止されるの
である。
ような予想外の効果をもつ。即ち、浸炭処理の際に母材
表層部に生成するセメンタイト層が、クロマイジング処
理後の冷却過程で生じる熱応力の緩和層として働き、ク
ロマイジング層中のヘアクラックの発生が防止されるの
である。
【0016】本発明の正極容器用材料の母材となる鋼
は、C含有量が0.55重量%以下、好ましくは0.02〜0.50
重量%の炭素鋼、または、これにCrとMoの1種または2
種を添加した鋼である。なお、これらの外に、Mn、Si等
の通常の鋼の成分は当然に含まれていてよい。Mnおよび
Siの好ましい含有量は、それぞれ 0.2〜2重量%および
0.05〜2重量%である。C含有量の上限を0.55重量%と
する理由は前述のとおりである。
は、C含有量が0.55重量%以下、好ましくは0.02〜0.50
重量%の炭素鋼、または、これにCrとMoの1種または2
種を添加した鋼である。なお、これらの外に、Mn、Si等
の通常の鋼の成分は当然に含まれていてよい。Mnおよび
Siの好ましい含有量は、それぞれ 0.2〜2重量%および
0.05〜2重量%である。C含有量の上限を0.55重量%と
する理由は前述のとおりである。
【0017】母材鋼中にCrが存在すると、クロマイジン
グ処理の際に鋼中のCrの拡散が速くなり、クロムカーバ
イド層が形成されやすくなって、クロマイジング処理時
間を短くすることができる。ただし、Cr含有量が12重量
%を超えるとその効果は飽和する。また、母材鋼中にMo
を添加するとNa2Sx およびSに対する耐食性が向上す
る。ただし、Moの含有量が5重量%を超えても上記の効
果はそれ以上増大しない。従って、CrおよびMoはそれぞ
れ12重量%以下、5重量%以下の範囲で一方または両方
を必要に応じて含有させればよい。なおCrおよびMoの好
ましい含有量は、それぞれ 0.5〜12重量%および 0.1〜
5重量%である。
グ処理の際に鋼中のCrの拡散が速くなり、クロムカーバ
イド層が形成されやすくなって、クロマイジング処理時
間を短くすることができる。ただし、Cr含有量が12重量
%を超えるとその効果は飽和する。また、母材鋼中にMo
を添加するとNa2Sx およびSに対する耐食性が向上す
る。ただし、Moの含有量が5重量%を超えても上記の効
果はそれ以上増大しない。従って、CrおよびMoはそれぞ
れ12重量%以下、5重量%以下の範囲で一方または両方
を必要に応じて含有させればよい。なおCrおよびMoの好
ましい含有量は、それぞれ 0.5〜12重量%および 0.1〜
5重量%である。
【0018】上記のような組成を有する母材に予め浸炭
処理を施す。浸炭処理には、固体浸炭、液体浸炭、ガス
浸炭等があり、そのいずれの浸炭法でも効果があるが、
固体浸炭がコスト的には有利である。
処理を施す。浸炭処理には、固体浸炭、液体浸炭、ガス
浸炭等があり、そのいずれの浸炭法でも効果があるが、
固体浸炭がコスト的には有利である。
【0019】浸炭処理条件は、表層部の炭素濃度が 0.7
〜1.5 重量%になるように選ばなければならない。固体
浸炭法の場合には1000℃から1100℃までの温度域で10分
程度処理することにより上記の炭素濃度が得られる。表
層部の炭素濃度が 0.7重量%未満では25μm 以上の厚み
のカーバイド層を得ることが困難である。他方、浸炭層
のCが 1.5重量%を超えるような処理では、母材の内部
まで浸炭が進んで母材の内部にセメンタイトが生成し、
母材の耐衝撃性が低下する。
〜1.5 重量%になるように選ばなければならない。固体
浸炭法の場合には1000℃から1100℃までの温度域で10分
程度処理することにより上記の炭素濃度が得られる。表
層部の炭素濃度が 0.7重量%未満では25μm 以上の厚み
のカーバイド層を得ることが困難である。他方、浸炭層
のCが 1.5重量%を超えるような処理では、母材の内部
まで浸炭が進んで母材の内部にセメンタイトが生成し、
母材の耐衝撃性が低下する。
【0020】引き続いて、この母材にクロマイジング処
理を施す。クロマイジング処理としては、粉末パック
法、溶融塩法、ガス法のいずれも採用できるが、粉末パ
ック法により1000〜1150℃の温度で処理する方法が最適
である。本発明では、クロムカーバイド主体の層を25μ
m 以上(好ましくは30〜100 μm)の厚みで生成させるこ
とが必須である。この厚みを得る望ましい条件は次のと
おりである。
理を施す。クロマイジング処理としては、粉末パック
法、溶融塩法、ガス法のいずれも採用できるが、粉末パ
ック法により1000〜1150℃の温度で処理する方法が最適
である。本発明では、クロムカーバイド主体の層を25μ
m 以上(好ましくは30〜100 μm)の厚みで生成させるこ
とが必須である。この厚みを得る望ましい条件は次のと
おりである。
【0021】浸透剤としては、65〜95重量%の金属クロ
ムあるいはフェロクロムと、5〜35重量%の焼結防止剤
であるアルミナ (Al2O3)と、これらの合計量に対して1
〜3重量%のフラックスであるハロゲン化物(NH4Cl、NH
4Br 、NaCl等) を混合してなるものを用いるのがよい。
これは、浸透剤中の金属クロムあるいはフェロクロムの
量が65重量%未満では安定したクロムカーバイドの形成
が生じ難く、95重量%を超えると金属クロムあるいはフ
ェロクロムどうしの融着が生じてしまうからである。な
お、アルミナの量は金属クロムあるいはフェロクロムの
量により相対的に決まる。
ムあるいはフェロクロムと、5〜35重量%の焼結防止剤
であるアルミナ (Al2O3)と、これらの合計量に対して1
〜3重量%のフラックスであるハロゲン化物(NH4Cl、NH
4Br 、NaCl等) を混合してなるものを用いるのがよい。
これは、浸透剤中の金属クロムあるいはフェロクロムの
量が65重量%未満では安定したクロムカーバイドの形成
が生じ難く、95重量%を超えると金属クロムあるいはフ
ェロクロムどうしの融着が生じてしまうからである。な
お、アルミナの量は金属クロムあるいはフェロクロムの
量により相対的に決まる。
【0022】処理温度は、前記のとおり1000〜1150℃の
範囲とする。処理温度が1000℃未満では十分なCrの析出
反応が起こらずクロムカーバイドの成長が起きない。一
方、1150℃を超えるとクロムカーバイドが熱分解を起こ
し安定して厚くならない。
範囲とする。処理温度が1000℃未満では十分なCrの析出
反応が起こらずクロムカーバイドの成長が起きない。一
方、1150℃を超えるとクロムカーバイドが熱分解を起こ
し安定して厚くならない。
【0023】上記の処理によって25μm 以上の厚みを有
するクロムカーバイド層の皮膜が得られる。しかもこの
処理では、浸炭およびクロマイジング処理の反応は表面
層のみにとどまるので母材の機械的特性に悪影響を及ぼ
すことはない。
するクロムカーバイド層の皮膜が得られる。しかもこの
処理では、浸炭およびクロマイジング処理の反応は表面
層のみにとどまるので母材の機械的特性に悪影響を及ぼ
すことはない。
【0024】正極容器の形状は円筒状であり素材として
鋼管が用いられる。この内面処理をする場合は、浸炭処
理法としては、木炭と炭酸バリウムを用いた固体浸炭法
が適当であり、またクロマイジング処理法としては、金
属クロム、塩化アンモニウムおよびアルミナの混合粉末
からなる浸透剤中に埋めて処理する粉末パック法が適当
である。すなわち、素材鋼管の内部に浸炭剤を充填し浸
炭処理を行い、処理が終わったら浸炭剤を排出し、次に
浸透剤を充填しクロマイジング処理を実施する。その後
鋼管を必要な長さに切断加工し正極容器にする。
鋼管が用いられる。この内面処理をする場合は、浸炭処
理法としては、木炭と炭酸バリウムを用いた固体浸炭法
が適当であり、またクロマイジング処理法としては、金
属クロム、塩化アンモニウムおよびアルミナの混合粉末
からなる浸透剤中に埋めて処理する粉末パック法が適当
である。すなわち、素材鋼管の内部に浸炭剤を充填し浸
炭処理を行い、処理が終わったら浸炭剤を排出し、次に
浸透剤を充填しクロマイジング処理を実施する。その後
鋼管を必要な長さに切断加工し正極容器にする。
【0025】
【実施例】正極容器材料 (母材) として表1(1) および
(2) に示す組成の供試材を準備した。表1(2) の No.10
〜13は母材鋼のC含有量が本発明で規定する範囲外の例
であり、 No.14〜17はクロマイジング処理条件が不適当
な例である。No.18 は、浸炭処理もクロマイジング処理
もしていない母材である。これらを比較材とし、表1
(1) の本発明材とともに腐食試験ならびに加工性試験を
行った。なお、浸炭処理は、70重量%の木炭と30重量%
の炭酸バリウムとからなる浸炭剤を用いた固体浸炭法に
より、1000℃で10分間行った。クロマイジング処理は、
80重量%のCr、18重量%のAl2O3 及び2重量%のNH4Cl
の浸透剤を用いた粉末パック法によった。
(2) に示す組成の供試材を準備した。表1(2) の No.10
〜13は母材鋼のC含有量が本発明で規定する範囲外の例
であり、 No.14〜17はクロマイジング処理条件が不適当
な例である。No.18 は、浸炭処理もクロマイジング処理
もしていない母材である。これらを比較材とし、表1
(1) の本発明材とともに腐食試験ならびに加工性試験を
行った。なお、浸炭処理は、70重量%の木炭と30重量%
の炭酸バリウムとからなる浸炭剤を用いた固体浸炭法に
より、1000℃で10分間行った。クロマイジング処理は、
80重量%のCr、18重量%のAl2O3 及び2重量%のNH4Cl
の浸透剤を用いた粉末パック法によった。
【0026】図1に腐食試験装置の概略断面を示す。腐
食試験容器1にα−アルミナ製タンマン管2を入れ、そ
の内部の多硫化ナトリウム3中に上記供試材の試験片4
を浸漬し、試験容器1を電気炉で加熱し 350℃で 500時
間保持して腐食試験を行った。耐食性は表1(2) のNo.1
8 の腐食量を 100とする相対比較で評価した。
食試験容器1にα−アルミナ製タンマン管2を入れ、そ
の内部の多硫化ナトリウム3中に上記供試材の試験片4
を浸漬し、試験容器1を電気炉で加熱し 350℃で 500時
間保持して腐食試験を行った。耐食性は表1(2) のNo.1
8 の腐食量を 100とする相対比較で評価した。
【0027】加工性試験は引張試験によって行い、破断
部の絞りを測定し、耐食性と同じくNo.18 の絞り値を 1
00として各材料の絞り値を相対比較して加工性を評価し
た。
部の絞りを測定し、耐食性と同じくNo.18 の絞り値を 1
00として各材料の絞り値を相対比較して加工性を評価し
た。
【0028】表1(1) および(2) に試験結果をまとめて
示す。
示す。
【0029】
【表1(1)】
【0030】
【表1(2)】
【0031】表1(1) および(2) に示すとおり、No.1〜
9 の本発明材は未処理の母材No.10に較べて格段に
耐食性が向上している。しかも加工性 (絞り値) は未
処理の母材と同様に高い。一方、比較材の No.10〜13は
母材のC含有量が高すぎるために加工性が劣る。また N
o.14および17はクロマイジング処理の温度が不適当であ
るため、クロムカーバイド層の厚みが不足し、耐食性の
向上が不十分である。
9 の本発明材は未処理の母材No.10に較べて格段に
耐食性が向上している。しかも加工性 (絞り値) は未
処理の母材と同様に高い。一方、比較材の No.10〜13は
母材のC含有量が高すぎるために加工性が劣る。また N
o.14および17はクロマイジング処理の温度が不適当であ
るため、クロムカーバイド層の厚みが不足し、耐食性の
向上が不十分である。
【0032】本発明材は全て従来材に比較して腐食量が
少なく、腐食試験後のピッテイング個数も少なく極めて
良好な特性を示している。これらの本発明材で実際の電
池を作製し実機試験を行った結果、十分な耐久性および
電池性能が得られた。
少なく、腐食試験後のピッテイング個数も少なく極めて
良好な特性を示している。これらの本発明材で実際の電
池を作製し実機試験を行った結果、十分な耐久性および
電池性能が得られた。
【0033】
【発明の効果】本発明のクロマイジング処理を施した材
料は、溶融硫黄および多硫化ナトリウムに対して耐食性
に優れ、しかも加工性も悪くない。従って、ナトリウム
−硫黄電池の正極容器用としてを用いることにより電池
の寿命を大幅に延長させることが可能である。本発明の
材料は、浸炭処理とクロマイジング処理を組み合わせた
本発明の方法で容易に、かつ比較的安価に製造すること
ができる。
料は、溶融硫黄および多硫化ナトリウムに対して耐食性
に優れ、しかも加工性も悪くない。従って、ナトリウム
−硫黄電池の正極容器用としてを用いることにより電池
の寿命を大幅に延長させることが可能である。本発明の
材料は、浸炭処理とクロマイジング処理を組み合わせた
本発明の方法で容易に、かつ比較的安価に製造すること
ができる。
【図1】正極容器用材料の腐食試験装置の概略断面図で
ある。
ある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 工藤 赳夫 大阪府大阪市中央区北浜4丁目5番33号住 友金属工業株式会社内 (72)発明者 大塚 伸夫 大阪府大阪市中央区北浜4丁目5番33号住 友金属工業株式会社内 (72)発明者 森 貞夫 東京都千代田区内幸町一丁目1番3号東京 電力株式会社内 (72)発明者 丸山 正 東京都千代田区内幸町一丁目1番3号東京 電力株式会社内 (72)発明者 近崎 充夫 茨城県日立市久慈町4026番地株式会社日立 製作所日立研究所内 (72)発明者 千葉 良照 茨城県日立市久慈町4026番地株式会社日立 製作所日立研究所内 (72)発明者 波東 久光 茨城県日立市幸町3丁目1番1号株式会社 日立製作所日立工場内
Claims (2)
- 【請求項1】炭素含有量が0.55重量%以下の炭素鋼、ま
たは炭素含有量が0.55重量%以下で、かつ5重量%以下
のモリブデンおよび12重量%以下のクロムの一方または
両方を含有する低合金鋼を母材とし、その母材の最表面
にクロムカーバイドを主成分とする厚さ25μm 以上のク
ロマイズド層を有することを特徴とする耐食性に優れた
ナトリウム−硫黄電池の正極容器用材料。 - 【請求項2】炭素含有量が0.55重量%以下の炭素鋼、ま
たは炭素含有量が0.55重量%以下で、かつ5重量%以下
のモリブデンおよび12重量%以下のクロムの一方または
両方を含有する低合金鋼の母材の表面に予め浸炭処理を
施し、表層部の炭素濃度を0.7〜1.5 重量%とした後、
さらに1000〜1150℃の温度でクロマイジング処理を施
し、その母材最表面にクロムカーバイドを主体とする厚
さ25μm 以上のクロマイズド層を形成することを特徴と
する耐食性に優れたナトリウム−硫黄電池の正極容器用
材料の製造方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP4087218A JPH05290880A (ja) | 1992-04-08 | 1992-04-08 | ナトリウム−硫黄電池の正極容器用材料およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP4087218A JPH05290880A (ja) | 1992-04-08 | 1992-04-08 | ナトリウム−硫黄電池の正極容器用材料およびその製造方法 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH05290880A true JPH05290880A (ja) | 1993-11-05 |
Family
ID=13908775
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP4087218A Pending JPH05290880A (ja) | 1992-04-08 | 1992-04-08 | ナトリウム−硫黄電池の正極容器用材料およびその製造方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH05290880A (ja) |
-
1992
- 1992-04-08 JP JP4087218A patent/JPH05290880A/ja active Pending
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