JPH05310592A - 創傷治療剤及び医薬製剤 - Google Patents

創傷治療剤及び医薬製剤

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JPH05310592A
JPH05310592A JP4143743A JP14374392A JPH05310592A JP H05310592 A JPH05310592 A JP H05310592A JP 4143743 A JP4143743 A JP 4143743A JP 14374392 A JP14374392 A JP 14374392A JP H05310592 A JPH05310592 A JP H05310592A
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JP
Japan
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fibronectin
human
cellular fibronectin
human cellular
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JP4143743A
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English (en)
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Katsu Ito
東 克 伊
Akira Wada
田 章 和
Hitomi Nagakura
倉 ひ と み 長
Yasuo Kato
藤 泰 生 加
Takashi Sakamoto
本 貴 坂
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Nichirei Corp
Original Assignee
Nichirei Corp
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 ヒト細胞性フィブロネクチンを含有すること
を特徴とする製剤を提供する。 【構成】 ヒト細胞性フィブロネクチンは細胞株HUH
−6YMを用いて、増殖因子としてタンパク性因子を必
要とすることなく、大量に生産されるので、異種タンパ
ク質やウイルスの混入のないヒト細胞性フィブロネクチ
ン製剤が製造できる。このヒト細胞性フィブロネクチン
は角膜治療剤、創傷治癒促進剤などとして有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、肝芽腫由来変異株HU
H−6YM(微工研菌寄第12890号)より生産され
るヒト細胞性フィブロネクチンを有効成分として、含有
することを特徴とする創傷治療剤及びその医薬製剤に関
する。
【0002】
【従来の技術及び問題点】近年、ステロイド剤、抗生物
質などの新しい創傷治療剤が次々と出現してきている
が、これらは場合により創傷治癒遅延を生じたり、ある
いは欠損部に再生した上皮細胞が正常でない等の副作用
を示すものがあった。
【0003】一般にフィブロネクチンは、最初はcol
d insoluble globulinとして血漿
中に見い出された糖タンパク質で、細胞間の接着、移
動、癌化、創傷治癒など多様な生理活性を有することが
知られている。その種類としては、血漿中に存在する血
漿性フィブロネクチンと主に線維芽細胞が産生し組織中
に存在する細胞性フィブロネクチンの2種類が知られて
いる。
【0004】現在、フィブロネクチンは、角膜治療剤、
創傷治癒促進剤等の創傷治療剤及び化粧料として開発さ
れつつあるが、細胞性フィブロネクチンの大量生産法が
確立されていなかったために、血漿性フィブロネクチン
だけが用いられてきた。
【0005】しかし、血液より得られる血漿性フィブロ
ネクチンを大量に調製するためには、その原料の確保及
び均一性、さらにその精製品に対する原料由来の不純
物、例えば、ウイルス等の混入などの問題があり、副作
用等のない優れた薬理作用を示すフィブロネクチンが望
まれている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明者等は、副作用
のない優れた薬理作用を示すフィブロネクチンについて
鋭意研究を重ねた結果、ヒト肝芽腫由来変異株HUH−
6YM(微工研菌寄第12890号)より生産され、単
離されたヒト細胞性フィブロネクチンが副作用が少なく
かつ優れた薬理作用、例えば、細胞遊走活性及び角膜上
皮欠損治療促進作用等の従来のフィブロネクチンの持つ
薬理作用を有しかつ従来のものより優れた薬理作用を持
つことを見い出し本発明を完成した。
【0007】即ち、本発明は、ヒト肝芽腫由来変異株H
UH−6YM(微工研菌寄第12890号)より生産さ
れ単離されたヒト細胞性フィブロネクチンを有効成分と
することを特徴とする創傷治療剤及びその医薬製剤に関
する。本発明の創傷治療剤は、例えば細胞遊走活性及び
角膜上皮欠損治療促進作用等の従来のフィブロネクチン
が示すような薬理活性を示し、かつその活性が強く、し
かも副作用が弱い特徴を有している。
【0008】従って、本発明の創傷治療剤は、例えばす
り傷、切り傷、火傷、熱傷、凍傷、皮膚腫瘍、皮膚乾
燥、皮膚角化症、ひび切れ、あか切れ、皮膚炎、水虫の
ただれ、手術傷、角膜創傷等のほか、痔瘻、褥創等も含
めた各種の創傷の治療剤として、又にきび、歯槽膿漏、
日焼け等の炎症治療剤が包含される。
【0009】本発明の創傷治療剤は、細胞株HUH−6
YMより産生されるヒト細胞性フィブロネクチンとこれ
を有効成分として前述した各種の医薬用途に有効な医薬
製剤とすることができる。該医薬製剤は、通常ヒト細胞
性フィブロネクチン及び安定化剤と共に適当な医薬製剤
担体を配合して製剤組成物の形態に調製される。
【0010】該製剤担体としては使用形態に応じた製剤
を調製するのに通常慣用される充填剤、増量剤、結合
剤、付湿剤、崩壊剤、表面活性剤等の賦形剤乃至は希釈
剤をいずれも使用できる。
【0011】製剤組成物形態は、これがヒト細胞性フィ
ブロネクチン及び安定化剤を効果的に含有する状態であ
れば、特に限定は無く、例えば錠剤、粉末剤、顆粒剤、
丸剤等の固剤であってもよいが、通常液剤、懸濁剤、乳
剤等の注射剤形態とするのが好適である。またこれは使
用前に適当な担体の添加によって液状となし得る乾燥品
とするのが好ましく、特に凍結乾燥製剤とするのが好ま
しい。これらはいずれも常法に従い調製できる。
【0012】上記薬理組成物は配合する安定化剤として
は特に限定はなく、通常の蛋白の安定化剤を使用でき、
例えばアルブミン、アミノ酸、糖類、界面活性剤等が例
示できる。
【0013】安定化剤としてより具体的には、ヒト血清
アルブミン(HSA)等のアルブミン類、グリシン、ア
ラニン、バリン、システイン等の通常のL−型アミノ
酸、グルコース、マンノース、ガラクトース、果糖等の
単糖類、マンニトール、イノシトール、キシリクール等
の糖アルコール類、ショ糖、マルトース、乳糖等の二糖
類、デキストラン、ヒドロキシプロピルスターチ等の多
糖類、ポリオキシエチレングリコールソルビタンアルキ
ルエステル系、ポリオキシエチレンアルキルエーテル
系、ソルビタンモノアシルエステル系、脂肪酸グリセリ
ド系等の界面活性剤等が例示できるが、これらに限定さ
れるものではない。
【0014】これらは一種単独でも二種以上混合しても
用いることができ、アルブミン類と糖類の混合が好まし
い。より好ましくはヒト血清アルブミンとショ糖の組み
合わせが好ましい。
【0015】これらの添加量は特に制限されるものでは
ないが、ヒト細胞性フィブロネクチン1mg当たり各々
別個にアルブミン類では約0.01mg程度以上、好ま
しくは約0.1〜100mg程度の範囲、糖類では約
0.1mg程度以上、好ましくは約1mg〜1000m
g程度の範囲、界面活性剤は約0.0001mg程度以
上、好ましくは約0.001mg〜0.1mg程度の範
囲で添加されるのが適当である。
【0016】尚、上記においては担体として採用し得る
緩衝液としては、特に限定されるものではないが、例え
ば、クエン酸−リン酸ナトリウム、クエン酸−クエン酸
ナトリウム、酢酸−酢酸ナトリウム、リン酸二ナトリウ
ム−リン酸−ナトリウム、クエン酸−ホウ砂等のpH4
〜8、より好ましくはpH6〜8の各緩衝液を例示する
ことができる。
【0017】かくして得られる創傷治療剤の投与量は、
該製剤の投与方法、投与形態、使用目的、これを適用さ
れる患者の症状等に応じて適宜選択され、一定ではない
が、一般には有効成分0.00001〜10重量%程度
含有する製剤形態に調製される。例えば、点眼剤の場合
には10μg/ml程度〜10mg/ml程度、溶液剤
の場合には10μg/ml〜100mg/ml程度、軟
膏の場合には10μg/g程度〜100mg/g程度に
調製されるが、これらに限定されるものではない。
【0018】ヒト細胞性フィブロネクチンを有効成分と
する医薬製剤の特に好ましい具体例としては下記内容の
凍結乾燥製剤を例示することができる。当該凍結乾燥製
剤の各成分の配合量としては、通常 ヒト細胞性フィブロネクチン 0.1〜1.0mg/ml ヒト血清アルブミン 0.1〜10mg/ml ショ糖 5〜100mg/ml リン酸バッファー 0.01〜0.5M pH 6〜8 となる範囲に含まれるものが、特に安定性、溶解性、保
存性等の点で優れている。 これらの製剤はこれに含有
される有効成分量が一日成人一人当り約0.1μg〜約
60g程度となる範囲で投与するのが望ましい。該投与
は1日1回である必要はなく1日3〜6回に分けること
もできる。より具体的には点眼剤として1日3〜6回、
1回当たり約10μl〜約200μlを点眼したり、外
用剤として1日1〜6回、1回当たり約100mg〜約
10gを塗布できる。
【0019】上記各種形態の医薬製剤は、その形態に応
じた適当な投与経路、例えば注射剤形態の医薬製剤は静
脈内、筋肉内、皮下、皮内、腹腔内投与等により、液剤
形態の医薬製剤は点眼剤、点鼻剤として目又は鼻腔内へ
局所投与することもできる。
【0020】本発明治療剤の有効成分であるヒト細胞性
フィブロネクチンは新規物質であり、例えば、伊東等が
開発した方法で製造できる。伊東等はヒト肝芽腫から分
離されたHUH−6clone5(Japanese
Cancer Research Resources
Bank,細胞番号JCRB0401)からクローニ
ングを繰り返し、検討を行ったところ、タンパク質無添
加培地で培養が可能で、且つ限界なく継代培養できるヒ
ト肝芽腫由来変異株HUH−6YM(以下、細胞株HU
H−6YMという。)を見いだし、これを株化細胞とし
て確立した。
【0021】本株化細胞はHUH−6YMとして、FE
RM P−12890で微工研に寄託されている。
【0022】HUH−6YMの生物学的性質をまとめる
と以下の通りである。 ヒト肝芽腫由来細胞株HUH−6clone5由来の
変異株である。 アミノ酸、ビタミン類、糖類及び無機塩類から成る基
礎培地で増殖し、限界なく継代培養が可能である。すな
わち増殖因子としてタンパク性因子を必要としない細胞
株である。 ヒト細胞性フィブロネクチンを著量産生する。
【0023】次に細胞株HUH−6YMを培養し、ヒト
細胞性フィブロネクチンを製造する方法について説明す
る。
【0024】細胞株HUH−6YMの培養は、種培養と
してシャーレで培養する。継代を繰り返し、次の連続培
養で必要な細胞数を確保する。使用する培地としては、
市販されているe−RDF培地が適しているが、これに
限定されるものではなく、その成分に準じて調製される
培地はどのようなものでも使用可能である。また添加成
分としては、タンパク性因子は特に必要ないが、細胞に
悪影響を与えない限り、添加されていてもかまわない。
【0025】培養条件は、特に規定されるものではない
が、培養温度は36〜37℃で、気相条件は、シャーレ
等による種培養において5%程度のCO2を含有する空
気が適当である。しかし、連続培養においては特にCO
2等を調製した空気の必要はない。
【0026】連続培養の方法は、特に限定されるもので
はないが、一般的な方法であるローラーボトルを用いた
方法で行うことが可能である。この場合、そのローラー
ボトル内の細胞数に応じて培地の交換を適切な時期に行
っていくものである。
【0027】このような方法で得られた細胞株HUH−
6YMの培養上清が、次の精製の原料となる。
【0028】細胞性フィブロネクチンの精製には、一般
的なタンパク質精製に用いられる方法を用いることがで
きるが、その1例をあげれば次の通りである。
【0029】まず培養上清に適当なプロテアーゼインヒ
ビターを添加し、次に遠心分離に付し細胞片等の不純物
を除去した後に、限外ロ過法によって濃縮を行い、培養
上清中の細胞性フィブロネクチンを適当な濃度にまで上
げる。これは次の精製を効率化するためである。濃縮さ
れた上清は、PBS(−)(Phosphate Bu
ffered Saline)で平衡化してゼラチンア
フィニティーカラムに負荷する。その後、PBS(−)
に6M尿素を溶解した緩衝液で溶出させ、その溶出画分
を得る。この画分中での細胞性フィブロネクチンの純度
は、電気泳動法による検定によると95%以上である
が、さらに純度を高めるためには、一般的なイオン交換
法などの他の方法を用いて高純度化することができる
が、細胞性フィブロネクチンは、通常PBS(−)のよ
うな緩衝液中では非常に溶解度が低いため、すべて尿素
存在下で分離操作を行う必要がある。
【0030】その後、尿素を除去し、ある濃度以上の細
胞性フィブロネクチン溶液を調製するために5%ショ糖
を含むリン酸緩衝液と緩衝液交換を行う。緩衝液で交換
を行う方法としては、一般的な方法である膜透析法や限
外ロ過を用いてダイアフィルトレーション法によって行
うことができる。
【0031】このようにして得られるヒト細胞性フィブ
ロネクチンは、二量体と単量体の混合物として得られ
る。細胞性フィブロネクチンの構造上の特徴としては、
還元条件下及び非還元条件下のSDSポリアクリルアミ
ドゲル泳動の分析によると、その分子量が血漿性フィブ
ロネクチン標品より大きく、また市販の抗細胞性フィブ
ロネクチン抗体と反応する。
【0032】以下にHUH−6YMを用いて製造したヒ
ト細胞性フィブロネクチンの諸性質を示す。 分子量 還元及び非還元状態におけるSDSポリアクリルアミド
ゲル電気泳動により二量体が470kd,単量体が24
5kdと225kdを示す、二量体と単量体の比が2:
1である。 等電点:pH5〜6 免疫学的特異性 市販の抗細胞性フィブロネクチン抗体(シグマ社製、M
ONOCLONALANTI−CELLULAR FI
BRONECTIN,Product No.F614
0)と反応し、抗ヒトフィブロネクチン抗体(宝酒造
製、clone30−8)とも反応する。また製造され
たヒト細胞性フィブロネクチンは、既に報告されている
細胞接着促進活性、ゼラチンビーズ凝集能及び細胞伸展
活性などフィブロネクチンの生物学的作用を有する。
【0033】以上のように細胞株HUH−6YMを用
い、タンパク質無添加培地で、大量の細胞を連続培養す
ることで、非常に有利にヒト細胞性フィブロネクチンを
製造することができる。
【0034】また、意外なことには、本HUH−6YM
が産生するフィブロネクチンは、細胞性フィブロネクチ
ンであることが明らかとなり、またこの細胞性フィブロ
ネクチンがショ糖溶液に対し高溶解性であることを見い
だした。
【0035】
【問題を解決するための手段】鋭意研究の結果、ヒト細
胞性フィブロネクチンの大量培養生産方法が確立され
た。そこで、本発明者らは、上記ヒト細胞性フィブロネ
クチンを用いてさまざまな生物学的活性について検討を
行ったところウサギの角膜上皮欠損モデルを用いた角膜
欠損治療促進実験において有効性が認められ、さらにヒ
ト血漿性フィブロネクチンより比活性が高いことが確認
された。
【0036】さらに、ボイデンチャンバー変法により細
胞遊走活性を測定したところ、上記細胞性フィブロネク
チンは、血漿性フィブロネクチンより高い細胞遊走活性
を有することが確認された。
【0037】またフィブロネクチンを含有する水溶液の
凍結乾燥において、細胞株HUH−6YMより産生され
るヒト細胞性フィブロネクチンを有効成分とする凍結乾
燥製剤は安定性が高く、特に安定化剤として二糖類及び
ヒトアルブミンを添加しておけば、凍結乾燥後の注射用
蒸留水への溶解時間が短縮され、また不溶物の残存ひい
ては白濁が消失すると共に凍結乾燥に対する上記細胞性
フィブロネクチンの安定性が相乗的に高まることを確認
した。
【0038】本発明は上記知見に基づき完成されたもの
であり、ヒト細胞性フィブロネクチンを含有することを
特徴とする創傷治療剤及びその医薬製剤に関するもので
ある。
【0039】
【発明の効果】本発明により、ヒト細胞性フィブロネク
チン製剤が提供された。本製剤は、血漿性フィブロネク
チンと同様な生物活性作用を有するが、その細胞遊走活
性が血漿フィブロネクチンより高いため、治療に用いる
場合の有効投与量が少ないという利点がある。
【0040】さらに本発明で用いたヒト細胞性フィブロ
ネクチンは、厳密に管理されたヒト細胞株の培養上清よ
り精製されるため、未知の不純物等の混入の危険も少な
い。
【0041】以下に参考例及び実施例を上げ、本発明を
具体的に説明する。
【0042】
【参考例】 【I.物質の生産】
【0043】種培養として、細胞株HUH−6YM(F
ERM P−12890)をe−RDF培地(極東製薬
製)を用いて継代培養した。培養は37℃で、5%CO
2を含む空気で、1ヶ月間行った。
【0044】培養上清を得るための連続培養は、175
0cm2のローラーボトル(ファルコン社製)1本当た
り1×108個の細胞を播種し、37℃、大気下で培養
した。播種後3週間までは、2〜3日間隔で、その後は
毎日ローラーボトル1本当たり500mlの培地を全量
交換し、得られた培養上清を回収した。連続培養は約3
ヵ月行った。(図1)
【0045】培養上清は、プロテアーゼインヒビターと
して5mMエチレンジアミン四酢酸ナトリウム(EDT
A)を添加した後、連続遠心分離し1500g、流速2
0L/分(国産製H600−S)により細胞断片等の不
純物を除去し上澄を回収した。
【0046】次に、分画分子量100k(フィルトロン
社製、型式OS100CO5)の限外ロ過膜を用いて先
の上澄の10倍濃縮液を調製した。
【0047】これを、PBS(−)で平衡化したゼラチ
ンセファロース4Bカラム(ファルマシア社製)負荷
し、PBS(−)で洗浄し、平衡化した。続いてPBS
(−)に6M尿素を溶解させた緩衝液で溶出を行った。
【0048】この溶出液中の細胞性フィブロネクチンの
純度は、還元状態下でのSDS−ポリアクリルアミドゲ
ル電気泳動法による検定の結果95%以上であった。
【0049】この溶出液を集め、分画分子量100kの
限外ロ過膜(フィルトロン社製、型式OS−100CO
l)を用いて、まず溶出液を濃縮し、続いてダイアフィ
ルトレーション法により、5%ショ糖を含む0.1Mリ
ン酸ナトリウム緩衝液と溶媒交換を行った。
【0050】以上のような方法で、ヒト細胞性フィブロ
ネクチン標品が得られた。
【0051】
【II. 物質の性質】(1)分子量
【0052】上記、ヒト細胞性フィブロネクチン標品の
分子量をSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動法によ
って、標準タンパク質及びヒト血漿性フィブロネクチン
標品(岩城硝子社製)と還元及び非還元状態下で比較し
た。
【0053】その結果、本発明のヒト細胞性フィブロネ
クチン標品の分子量は二量体が470kd、単量体が2
45kdと225kdと推定され、ヒト血漿性フィブロ
ネクチンよりも大きな分子量を有することが明らかにな
かった。(図2) (2)免疫学的反応性
【0054】ヒト血漿性フィブロネクチンには反応せ
ず、細胞性フィブロネクチンのみに反応する抗細胞性フ
ィブロネクチン(シグマ社製、Product No.
F−6140)を用いてウエスタンブロッティング後の
免疫染色法により反応性の確認を行った。その結果、本
標品はこの特異抗体と反応した。またヒトフィブロネク
チン抗体(宝酒造製、clone30−8)とも反応し
た。
【0055】上記の分子量と免疫学的反応性より、本発
明で得られたフィブロネクチンは、ヒト細胞性フィブロ
ネクチンであると判断された。 (3)水溶性
【0056】既報によると、細胞性フィブロネクチンは
pH6から8の緩衝液に対し、非常に溶解性が低いこと
が報告されている。
【0057】本発明においては、細胞性フィブロネクチ
ンが、ショ糖を含む緩衝液に対し易溶性であることが見
いだされた。
【0058】ショ糖溶液に対する溶解性は次の表1に示
される。
【0059】
【表1】
【0060】
【実施例1】角膜上皮欠損治癒促進作用を測定するため
以下の実験を行った。まず、N2Wラビットの眼球に9
mm径のトイパンで傷をつけ、角膜上皮を剥離させた。
剥離18時間後より点眼を開始し、片眼にフィブロネク
チン溶液を、他眼にPBS(−)を点眼した。フィブロ
ネクチン溶液としては、参考例で得られたヒト細胞性フ
ィブロネクチンをPBS(−)溶液で希釈して、125
μg/ml、250μg/ml、500μg/ml及び
1mg/mlを調製し、対象としてヒト血液から精製さ
れたヒト血漿性フィブロネクチン溶液をPBS(−)溶
液で希釈して、250μg/ml、1mg/ml及び3
mg/mlの濃度に調製した。1回の点眼にはそれぞれ
の溶液を100μl用い、1時間毎に1回点眼し30時
間後まで点眼を行った。治癒率は、18時間後と30時
間後の時点で写真撮影を行い、角膜上皮欠損部の面積を
画像解析装置にて測定した。各々の眼について経過時間
とその時点の角膜上皮欠損面積をプロットし、最小二乗
法により治癒直線の傾きを算出し、その絶対値を治癒速
度(mm2/h)とした。さらにフィブロネクチン溶液
を点眼した治癒速度を、その片眼のPBS(−)を点眼
した治癒速度で割った値を100倍した数値を治癒速度
増加率(%)とした。その結果を図3に示す。
【0061】以上の結果により、ヒト細胞性フィブロネ
クチンはヒト血漿性フィブロネクチンより少量の投与に
よって有効であることが明らかとなった。さらに角膜上
皮欠損に対するヒト細胞性フィブロネクチンの有効濃度
は100μg/ml〜1mg/mlであった。
【0062】
【実施例2】ヒト細胞性フィブロネクチンとヒト血漿性
フィブロネクチンの細胞接着活性と細胞遊走活性をラビ
ット角膜上皮細胞を用いて測定した。実験に用いた角膜
上皮細胞は、酵素法により培養系に移し初代培養したも
のを用いた。
【0063】細胞接着活性は、0.1μg/ml〜10
0μg/mlの濃度になるように、ヒト細胞性及びヒト
血漿性フィブロネクチン溶液を調製し、96ウェルプレ
ートに各溶液を1ウェル当り100μl加え、37℃1
時間放置してフィブロネクチンをコートした。プレート
をPBS(−)で洗浄した後、1%BSA/PBS
(−)溶液を加え、フィブロネクチンをコートしたウェ
ルのブロッキングを行った。さらにPBS(−)でプレ
ートを洗浄した後、1ウェル当り1000個の角膜上皮
細胞を加え、37℃、1時間放置した。細胞を中性ホル
マリン溶液で固定化した後、クリスタルバイオレット染
色液で染色し、顕微鏡を用いて細胞数を計測した。その
結果を図4に示す。
【0064】その結果、細胞接着活性はヒト細胞性フィ
ブロネクチンとヒト血漿性フィブロネクチンの間では有
意な差は認められなかった。
【0065】次にボイデンチャンバー変法によって細胞
遊走活性の測定を行った。まず24ウェルプレートに0
〜100μg/mlの濃度になるようにTCM−199
培地で希釈したヒト細胞性及び血漿性フィブロネクチン
溶液を1ウェル当り0.5mlずつ入れた。そのウェル
にケモタキシスチャンバーを入れ、細胞浮遊液として
(2×105cells/ml)を1チャンバーに0.
2mlずつ加えた。そして5%CO2存在下の37℃イ
ンキュベーター内で6時間の培養を行った。ケモタキシ
スチャンバーを取り出し、内側の膜上の細胞を綿棒で剥
がしてPBS(−)で洗浄した。このチャンバー下面の
細胞を中性ホルマリン溶液で固定化した後、クリスタル
バイオレットで染色した。染色された細胞を100倍率
の顕微鏡下にて5視野の細胞数を計測し100倍した値
を遊走細胞数とする。その結果を図5に示す。
【0066】この結果より、細胞遊走活性は、ヒト血漿
性フィブロネクチンよりヒト細胞性フィブロネクチンの
方が高いことが確認された。
【0067】実施例1と2の結果より、ヒト細胞性フィ
ブロネクチンがヒト血漿性フィブロネクチンより角膜上
皮欠損治癒促進に対する有効必要量が少ないことは、ヒ
ト細胞性フィブロネクチンが高い細胞遊走活性を有する
ためと考えられる。
【0068】また、皮膚等の他の組織における上皮欠損
においてもヒト細胞性フィブロネクチンはヒト血漿性フ
ィブロネクチンよりも有効な治癒促進効果が期待でき
る。
【0069】
【実施例3】 ヒト細胞性フィブロネクチン凍結乾燥製剤の作製と再溶
解性 バイアルに、ヒト細胞性フィブロネクチン1.0mg/
ml、ショ糖50mg/ml、0.1Mリン酸緩衝液
(pH7.4)から成るヒト細胞性フィブロネクチン原
液1mlを採り、これにヒト血清アルブミン1.0mg
/ml、0.1Mリン酸緩衝液(pH7.4)から成る
ヒト血清アルブミン溶液1mlを添加し、(合計2m
l)、ヒト細胞性フィブロネクチン0.5mg/ml、
ショ糖25mg/ml、ヒト血清アルブミン0.5mg
/ml、0.1Mリン酸緩衝液(pH7.4)から成る
ヒト細胞性フィブロネクチン溶液を調製した。次に、こ
のヒト細胞性フィブロネクチン溶液を常法に従い凍結乾
燥し、ヒト細胞性フィブロネクチン凍結乾燥製剤を得
た。このヒト細胞性フィブロネクチン凍結乾燥製剤の外
観は良好(白色塊)であり、蒸留水2ml添加後のフィ
ブロネクチンの再溶解性も良好であった。
【0070】下記の表にて他の実施例と凍結乾燥後の外
観及び蒸留水2ml添加後の再溶解性を示す。
【0071】
【表2】
【図面の簡単な説明】
【図1】連続培養中において細胞株HUH−6YMが、
培養上清中に産生するヒト細胞性フィブロネクチン濃度
の培養期間に対する変化を示す図である。
【図2】本発明のヒト細胞性フィブロネクチンをSDS
ポリアクリルアミドゲル電気泳動にかけた結果を示す図
である。比較対照としては、ヒト血漿性フィブロネクチ
ン標品を用いた。
【図3】角膜上皮欠損治癒促進効果を示す図である。縦
軸に治癒速度増加率を、横軸に点眼溶液の各フィブロネ
クチン濃度を示す。
【図4】角膜上皮細胞接着活性を示す図である。縦軸に
接着細胞数を、横軸にプレートにコーティングしたフィ
ブロネクチン濃度を表す。
【図5】細胞遊走活性を示す図である。縦軸に遊走した
細胞数を、横軸に実験で用いたフィブロネクチン濃度を
示す。
フロントページの続き (72)発明者 坂 本 貴 滋賀県大津市見世2丁目19番15号

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ヒト肝芽腫由来変異株HUH−6YM
    (微工研菌寄第12890号)より生産されるヒト細胞
    性フィブロネクチンを有効成分として含有することを特
    徴とする創傷治療剤。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の有効成分を含有すること
    を特徴とする角膜治療剤。
  3. 【請求項3】 ヒト肝芽腫由来変異株HUH−6YM
    (微工研菌寄第12890号)より生産されるヒト細胞
    性フィブロネクチンを有効成分として含有し、更に安定
    化剤を含むことを特徴とする医薬品製剤。
JP4143743A 1992-05-11 1992-05-11 創傷治療剤及び医薬製剤 Pending JPH05310592A (ja)

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