JPH05319982A - 逐次蒸着膜作製法 - Google Patents

逐次蒸着膜作製法

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JPH05319982A
JPH05319982A JP5018919A JP1891993A JPH05319982A JP H05319982 A JPH05319982 A JP H05319982A JP 5018919 A JP5018919 A JP 5018919A JP 1891993 A JP1891993 A JP 1891993A JP H05319982 A JPH05319982 A JP H05319982A
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vapor deposition
electromagnetic wave
wave beam
thin film
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JP5018919A
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English (en)
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Yukio Watabe
行男 渡部
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Mitsubishi Kasei Corp
Mitsubishi Chemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 ターゲットに電磁波ビームを逐次照射して基
板上に二種類以上の金属元素を逐次堆積して化合物薄膜
を作製する方法において、ターゲット材料がビーム状に
噴出しない程度に低いエネルギー密度の電磁波ビームを
照射することを特徴とする逐次蒸着膜作製法。 【効果】 レーザー蒸着法において作製する薄膜の粒子
の発生をなくし、膜厚を均一化し、極めて精密な組成制
御をすることが可能であり、生産性よく、多元元素から
なる高品質セラミック薄膜を作製することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ターゲットに電磁波ビ
ームを照射して蒸発させ、所定の基板上に金属成分及び
酸素等からなるセラミック化合物薄膜を堆積させる方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、各種レーザーの発展とその応用は
目覚ましく、その重要な応用分野として大出力レーザー
の薄膜作製への応用が急速な発展を遂げている。このよ
うな薄膜作製方法として、通常レーザーアブレーション
として知られている方法(例えば、特開平2−1768
5号公報、Applied Physics Lett
ers 第54巻 No.11 第861−863頁、
参照)があり、酸化物超伝導薄膜の作製に検討されてい
る。
【0003】このレーザーアブレーション法では、大き
なエネルギー密度を持ったレーザーパルスをターゲット
に照射することによりターゲット材料を蒸発させて、基
板上にターゲット組成に近い組成を有する薄膜を作製す
ることができる。図1は、レーザー蒸着装置の一例を示
す概略模式図である。図1を用いてレーザー蒸着装置を
説明しながらレーザーアブレーション法についてより詳
しく説明する。
【0004】エキシマレーザー発生装置1からの紫外光
は、窒素パージされた光学ボックス2及び真空槽の窓5
を通って真空槽3内に入射される。この紫外光は、光学
ボックス内に配置された集光レンズ4によりターゲット
手前に集光されターゲット6に照射される。ターゲット
に照射された光は、ターゲット表面を局所的に短時間加
熱する(例えば、エキシマレーザーではパルス幅10〜
30nsecが一般的である)。この加熱を受けターゲ
ット表面から蒸発が始まり、ターゲット材料がターゲッ
トに対向して配置された基板8に向かって放出され、基
板上に堆積される。
【0005】レーザー蒸着装置のターゲットホルダー7
は回転可能であることが好ましく、場合によってはター
ゲットホルダーに複数のターゲット6を配置し、各ター
ゲット自身を回転させるとともに異なったターゲット間
の位置交換が可能であるような機能を有していてもよ
い。基板ホルダー9は、通常回転可能であり、加熱機能
を有している。実際に酸化物超伝導薄膜を作製するとき
には、真空槽には酸素などの酸化ガスをガス導入口から
供給する。また、ターゲットと基板ホルダーの間には通
常シャッター10が設けられている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従来のレーザーアブレ
ーション法では、作製する薄膜の金属組成がターゲット
の組成と同一組成又はほぼ同じ組成となることが大きな
利点であり、このために通常パルス当たり2J/cm2
以上の大きなエネルギー密度を有するレーザーを照射し
て蒸着が行われている。しかし、このような条件で蒸着
を行うと薄膜表面に粒子が生成したり、均一な膜厚を有
する薄膜が作製できないという問題があった。一方、パ
ルス当たり極めて低いエネルギー密度を有するレーザー
を照射して蒸着を行った場合は、作製される薄膜の金属
組成がターゲットの組成から大きくずれてしまったり、
不純物相が形成されてしまうため、好ましくないと考え
られていた。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記の問題
点を解決すべく鋭意検討したところ、ターゲットにパル
ス当たりのエネルギー密度が低い電磁波ビームを逐次照
射することにより、ターゲット表面からビーム状に元素
が噴出するのを防ぎ粒の発生を抑制し、作製される薄膜
の膜圧分布を均一化できることを見出し本発明に到達し
た。
【0008】即ち、本発明の要旨は、ターゲットに電磁
波ビームを逐次照射して基板上に二種類以上の金属元素
を逐次堆積して化合物薄膜を作製する方法において、タ
ーゲット材料がビーム状に噴出しない程度に低いエネル
ギー密度の電磁波ビームを照射することを特徴とする逐
次蒸着膜作製法に存する。
【0009】本発明の蒸着法は、結晶構造がペロブスカ
イトの構造に類似している希土類元素、一種類のアルカ
リ土類金属元素、遷移金属元素からなる酸化物のうちY
Ba 2Cu3O7 型(123構造)と称される結晶構造を
持つ物質や(Ln,M)2CuO4 (Lnは希土類元素を
示し、Mはアルカリ土類金属元素を示す)型(214構
造)と称される結晶構造を持つ物質の薄膜作製に有効で
ある。これらの物質は希土類元素や銅を他の元素で置換
しても、電気特性は変化することがあるが蒸着特性はほ
とんど変化しないことが知られている。例えばYBa2
Cu3O7 型の酸化物は、希土類元素や銅を他の元素で
置換すると適正基板温度には数十度の差があるものの蒸
着条件はほぼ同じである。
【0010】したがって、本発明の蒸着方法は、これら
の種々の物質のレーザー蒸着にも十分有効である。ま
た、このことは、例えばBi2Sr2Ca(n-1)CunO
(2n+4+d)(nは1、2又は3であり、dは0<d<1で
ある。)で示されるBi系銅酸化物超伝導体でも同様で
ある。さらに、本発明の蒸着方法は、他の多くのセラミ
ック(金属元素とN、P、O、S、Se、Te、F、C
l、Br、I等の低沸点元素との化合物)薄膜作製にも
十分な効果があると考えられる。
【0011】本発明の蒸着法においては、通常、金属元
素を一種類のみ含有するターゲットを目的とするセラミ
ック薄膜を構成する金属元素の種類だけ準備し逐次蒸着
に用いる。また、ターゲットが二種類以上の金属元素を
含有する場合は、該金属元素のうち任意の二種類の金属
元素の沸点と融点が近いことが好ましいが特に融点の差
がすべて500℃以内であるターゲットを用いることが
好ましい。用いるターゲットとしては、金属ターゲッ
ト、上記条件を満たす合金ターゲット、それらの酸化
物、窒化物等のセラミック化合物のターゲット等が挙げ
られる。
【0012】図2及び図3に従来のレーザーアブレーシ
ョン法と本発明の蒸着法の電磁波ビーム照射時のターゲ
ット近傍の様子を模式的に示す。従来のレーザーアブレ
ーション法では電磁波ビーム照射によりターゲット内部
の加熱が起こる(図2の(a))。エネルギー密度が低
い電磁波ビームを照射した場合はアブレーションは起こ
らないが(図2の(b))、エネルギー密度が高い電磁
波ビームを照射した場合はターゲット内部の加熱が爆発
的に起こりターゲット材料がビーム状に噴出する(図2
の(c)及び(d))。このように従来のレーザーアブ
レーション法は、しきい値の存在する現象と考えられて
いるが、同時にターゲット表面が加熱されることによる
ターゲット材料の蒸発も起こっている(図3の(a)、
(b)及び(c))。
【0013】本発明の蒸着法においては、エネルギー密
度が上記しきい値以下である電磁波ビームを照射し、タ
ーゲット材料がビーム状に噴出しないようにする。例え
ば、通常のターゲットではパルス幅約10nsec、
0.01J/cm2 の極めて低いエネルギー密度のレー
ザー光を用いた場合は、蒸着速度は著しく低下するが、
通常ターゲット材料がビーム状に噴出することはない。
また、ターゲット表面が加熱される効果のみ用いても、
電磁波ビームの繰り返し周波数や大きさを大きくするこ
とにより、十分な蒸着速度を得ることもできる。
【0014】ここで、レーザーアブレーション法により
作製される薄膜の膜厚分布は、図4に示すようにターゲ
ット内部の加熱が爆発的に起こりターゲット材料がビー
ム状に噴出したことに由来する極めて幅の狭いピーク状
の膜厚分布成分(以下「ピーク成分」と呼ぶ。図中xで
ある。)とターゲット表面が加熱されることによるター
ゲット材料の蒸発に由来する幅の広い膜厚分布成分(以
下「熱成分」と呼ぶ。図中yである。)からなる。
【0015】上記しきい値は、10-4torr以下の圧
力下、雰囲気ガスに散乱を受けない条件下で様々なエネ
ルギー密度の電磁波ビームをターゲットに照射し、膜厚
分布が0≦ピーク成分x≦0.05×熱成分yとなるよ
うなエネルギー密度の最大値として求めることができ
る。より簡便な定義としては、蒸着速度の測定をし、最
大蒸着速度を持つ蒸着速度の近傍で、1cm2 の領域が
照射される大きさの電磁波ビームに対して、パルス当り
の蒸着速度が0.01mMol/m2 以下となるパルス
当りのエネルギー密度と定義できる。この時、蒸着速度
は基板ターゲット間距離と雰囲気ガス圧でほぼ決まるの
で、基板ターゲット間距離8cmでガス圧100mto
rrの場合に定義した。この値は、ターゲットを構成す
る材料によりそれぞれ異なっている。さらに、粒を改善
するためには、0.001mMol/m2 以下が好まし
く、また実用的な観点からは0.00001mMol/
m2以上が好ましい。
【0016】本発明の蒸着法は、高真空中で行えば一種
のMBE法と見做すこともできるが、蒸着雰囲気を自由
に選択できる、高融点物質も容易に蒸着できる、装置内
の設計が極めて単純にできるためコストが低くなる等の
点で従来のMBE法より優れている。また、近年、レー
ザーMBE法と称する方法が知られている(第10回新
機能素子シンポジウム予行集[Extended Ab
stract of 10Symposium on
FED]、61頁〜66頁)が、この方法は実質的に雰
囲気ガス(反応ガス)を活性なものとし、雰囲気ガス圧
を低くしたレーザーアブレーション法であり、本発明の
蒸着法とは異なっている。
【0017】レーザーアブレーション法では、複数のタ
ーゲットに同時に電磁波ビームを照射して加熱すること
も、逐次電磁波ビームを照射して加熱することもでき
る。このうち、前者の方法は後者の方法において電磁波
ビームの数を増やせば容易に実施することができ、ま
た、後者の方法は、例えばターゲットホルダーに回転機
能を付与して電磁波ビームを異なるターゲットに照射可
能にする等既存のレーザー蒸着装置を改良することによ
り容易に実施することができるためコスト的にも有利で
ある。以下、後者の逐次蒸着の場合について説明する。
なお、本発明の蒸着法と従来の蒸着源(エフュージョン
セル、電子ビーム蒸着源等)を組み合わせることもでき
る。
【0018】まず、逐次蒸着を行う場合、パルス状の電
磁波ビームを用いた方が異なったターゲットに対する電
磁波ビーム照射時間を制御したり、電磁波ビームを照射
するターゲットを換えるのに好都合であり、また、ター
ゲット以外の加熱が少ないので蒸発効率が良く不純物を
発生しにくい。また、連続発振電磁波ビームを用いる場
合は、図5に示すような構造のターゲットを回転させて
用いることにより組成制御することが可能である。図5
は、金属A:金属B:金属Cをx:y:zの原子比で含
有する薄膜を連続発振電磁波ビームを用いて作製するた
めのターゲットの例を示した図であり、それぞれの金属
の一定パワーに対する蒸発率をそれぞれa、b、cとす
るとターゲット中でそれぞれの金属が占める面積比は、
x/a:y/b:z/cである。
【0019】電磁波ビームとしては、材料によらず反射
率が低く且つ吸収係数が高く、効率よく光のエネルギー
が吸収されるため、紫外光が好ましい。本発明の蒸着法
に用いられる装置は、本質的に図1に示した既存のレー
ザー蒸着装置と同様のものを用いることができるが、電
磁波ビーム自体のパルス当たりのエネルギーにもよる
が、電磁波ビームのエネルギー密度を弱くするために、
もとのビーム径に対して2分の1程度となるような集光
能力が十分弱いレンズを用いる。あるいは、用いるビー
ム径を広げるレンズを用いるか、レンズを用いない。レ
ンズを用いなければ、一般に0.1J/cm2 程度のエ
ネルギー密度が得られる。
【0020】また、本発明の蒸着法に用いられる装置
は、パルス状の電磁波ビームを用いて逐次蒸着を行う場
合は、ターゲットの回転と電磁波ビームの発振が同期す
るようにして特定のターゲットに特定の周期で電磁波ビ
ームが照射されるようにする。この場合、基板上で目的
とする組成以外の蒸着物が長時間加熱されて存在すると
不純物相が生じるため、ある程度短時間で目的とする組
成が得られるように、異なったターゲットが高速で逐次
電磁波ビーム照射されることが好ましい。
【0021】本発明の蒸着法によれば、電磁波ビームを
照射するターゲットを極めて高速に換える場合(20回
/秒程度)は、逐次蒸着でも実質的に同時蒸着と見做せ
る条件にすることが可能である。また、各ターゲットへ
の投入エネルギー、電磁波ビームのエネルギー密度、照
射パルス数を変えることにより、組成の制御を行うこと
ができる。
【0022】本発明の蒸着法は、蒸着速度が適度に遅
く、制御性が高いため、特に逐次蒸着法を原子層レベル
の制御に発展させたlayer by layer蒸着
法に適している。このlayer by layer蒸
着法は、複数のターゲットを用意し、1原子層程度の薄
膜層を堆積する間だけ薄膜層の材料となるターゲットか
らターゲット材料を蒸発させ、次いで同様にして別のタ
ーゲットからターゲット材料を蒸発させ次の薄膜層を堆
積すると言う動作を繰り返す。
【0023】例えば、layer by layer蒸
着法でYBa2Cu3O7 のc軸配向膜を作製する場合
は、BaO又はBaターゲット、CuO又はCuターゲ
ット及びY2O3又はYターゲットを用意し、酸化雰囲気
中で、BaO又はBaターゲットにBaOがほぼ1原子
層蒸着するようなパルス数電磁波ビームを照射した後、
CuO又はCuターゲットにCuOがほぼ1原子層蒸着
するようなパルス数電磁波ビームを照射し、さらにBa
O又はBaターゲットにBaOがほぼ1原子層蒸着する
ようなパルス数電磁波ビームを照射した後、CuO又は
CuターゲットにCuOがほぼ1原子層蒸着するような
パルス数電磁波ビームを照射し、ついでY 2O3又はYタ
ーゲットにY−O層がほぼ1原子層蒸着するようなパル
ス数電磁波ビームを照射した後、CuO又はCuターゲ
ットにCuOがほぼ1原子層蒸着するようなパルス数電
磁波ビームを照射することを順次繰り返す。
【0024】これらの操作は、コンピューターによりタ
ーゲット選択を電磁波ビーム発振と同期させて、蒸着薄
膜内で荷電中性を保つようにある程度高速に行うことが
好ましい。また、結果として目的とする組成の蒸着物が
基板上に堆積されるのであれば、1原子層ずつ堆積する
必要はない。例えば、YBa2Cu3O7 薄膜を作製する
場合は蒸着1サイクル(好ましくは1格子分の膜厚以
下)の間にY:Ba:Cuが1:2:3の原子比で基板
に堆積されればよい。
【0025】本発明の逐次蒸着法における電磁波ビーム
照射方法の例(金属A、金属B及び金属Cを含む薄膜を
作製する場合)を図6、図7及び図8に示す。図6、
7、8に於て横軸は時間を示し、1サイクルと書いた部
分がターゲットホルダーの1回転に相当する。立て棒の
位置(時間)でターゲットがレーザー照射され、棒の長
さはレーザーエネルギー密度の大きさを示し、棒が長い
程大きい。図6は1サイクル中ターゲットAを3回、タ
ーゲットBを2回、ターゲットCを4回同一強度のレー
ザーエネルギー密度で照射した場合を示す。図7は1サ
イクル毎に各ターゲット上のレーザー照射位置をずらす
場合を示し、図8ではターゲット毎にレーザーエネルギ
ー密度を変えて1回づつレーザー照射する例を示す。
【0026】
【実施例】次に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に
説明するが、本発明はその要旨を越えないかぎり実施例
により限定されるものではない。
【0027】実施例1、2及び比較例1 実施例1、2及び比較例1で、ターゲットからの蒸着膜
厚分布が照射する電磁波ビームのエネルギー密度を変え
ることにより制御できることを調べた。Bi2Sr2Ca
Cu2O8ターゲットを用い、基板とターゲットの距離は
8cmとした。真空度は1×10-5torrであり、基
板温度は室温とした。作製された薄膜上の粒子はゴミ以
外全く存在しなかった。
【0028】図9及び図10に示すように、大きなエネ
ルギー密度(1.35J/cm2 )では極めて幅の狭い
ピーク状の膜厚分布成分(ピーク成分)と幅の広い膜厚
分布成分(熱成分)とが見られたが(比較例1)、エネ
ルギー密度が0.45J/cm2 の場合はピーク成分は
かなり減少し(実施例1)、エネルギー密度が0.2J
/cm2 の場合はピーク成分が消えてほぼ均一な膜厚分
布となった(実施例2)。図9において、点線は熱成分
の推定分布を示す。
【0029】実施例3及び比較例2 実施例1と同様にして、繰り返し周波数1又は2Hz、
レーザーの1パルス当りのエネルギーを230mJ又は
170mJ、ターゲット上のレーザーエネルギー密度
0.8J/cm2 、1.1J/cm2 、基板温度150
〜200℃、基板ターゲット間距離8cm、酸素圧10
0mtorrで蒸着を行った。ターゲットとしては、種
々の材料Y、Ba、YCu3、BaO、BaCO3 、C
uO、Y2O3、Cu2O 、Y2S3、BaS、CuS、C
u2S 、YF3 、YCl3 、BaCl2 、CuF2 、C
uCl2 、CuBr2 を用い、1cm2 の面積に1パル
ス当りのレーザーエネルギー密度が照射された時の1パ
ルス当りの蒸着速度を1m2 当りのモル数で示し、これ
と粒の発生抑制度合いをまとめた。
【0030】図11に示すように、極めて性質の異なっ
た種々の材料を用いたにも拘らず、広い範囲で粒の発生
と定義された蒸着率に相関が認められ、特に蒸着速度が
0.01mMol/m2 /(shot/cm2 )以上で
は粒の発生は著しく、0.001mMol/m2 /(s
hot/cm2 )ではかなり粒が抑制されだす。また同
ーエネルギーでは、金属特に金属元素を一種類のみ含有
するターゲットを用いた場合が、より粒が抑制され易
い。
【0031】この結果により、本逐次蒸着法では、基板
ターゲット間距離8cm、酸素圧100mtorrの条
件下で蒸着速度が0.001mMol/m2 /(sho
t/cm2 )以下になるように1パルス当りのレーザー
エネルギー密度を調整することが好ましく、さらに金属
ターゲットを用いることが好ましい。
【0032】実施例4 純度99.99%のCu粒と純度99.9%のY粒をモ
ル比1:1混合し、アルゴンガス中でアークメルト法で
融解してYCu合金を形成した。純度99.99%のC
u粒と純度99.9%のBa粒をモル比1:1混合し、
アルゴンガス中でアークメルト法で融解してBaCu合
金を形成した。
【0033】電磁波ビーム発生装置として、193nm
のレーザー光を発生するArFエキシマレーザー発生装
置を用い、複数のターゲットを固定可能なターゲットホ
ルダーを真空装置の外側からサーボモーターで駆動でき
るようにした。このサーボモーターはパルス発生器によ
り制御され、モーターからのエンコーダー出力と原点検
出出力を電子回路に送り、それぞれのパルスを集計して
特定のパルス数に達した時に、レーザー駆動パルスをレ
ーザーに送り発振させた。これにより、個別のターゲッ
ト毎に特定の周期で特定のターゲットの特定の位置を
0.36度の精度でレーザー照射した。
【0034】ターゲットホルダーの回転方向の約52度
毎に、上記のYCu、BaCu、YCuターゲットの順
に取付け、MgO単結晶基板をターゲットから8cm離
してターゲットに対向させて基板ヒーター上に銀ペース
トで固定し真空槽を排気した。基板を約750℃に加熱
し、3×10-6torr以下にした状態で真空槽内にマ
スフローメーター(流量計)で流量70sccmで10
0mtorrに純酸素ガスを満たし20分間放置し、基
板温度を約600℃まで下げ、100mtorrに純酸
素ガスを満たした。
【0035】レーザーの1パルス当りのエネルギーを1
20mJ、ターゲット上のエネルギー密度を約0.7J
/cm2 に設定し、ターゲットホルダーを210rpm
で回転し、BaCuターゲットを1回転当り1回照射
し、第1、第2のYCuターゲットを1回転当り2回照
射し且つ回転する毎にターゲット毎に異なった角度でタ
ーゲットの照射位置をずらすように設定した。90分間
継続した後、真空槽に純酸素を1torr以上満たし即
座に基板加熱を停止し約30分間で200℃以下に冷却
した。得た薄膜を蛍光X線で元素分析したところ、Y:
Ba:Cuの組成比が1:2.2:2.9で推定膜厚約
500Åの薄膜が得られた。
【0036】この時、YCu、BaCuの1パルス当た
りの蒸着速度は夫々、1パルス当り約5×10-4mMo
l/m2 /(shot/cm2 、1×10-3mMol/
m2/(shot/cm2 )である。超伝導転移温度は
81Kであり、X線回折では、指数付けによりc軸配向
のYBa2Cu3O7 薄膜が得られていることが分かっ
た。SEM写真では、0.5〜1μm程度のBaCuの
粒が極くわずか見られたが他の粒や析出物は見られなか
った。
【0037】比較例3 99.9%のYBa2Cu3O7 粉を室温で200kg/
cm2 の圧力を加えてプレスし、空気中で950℃で1
0時間焼結して焼結体ターゲットを作製した。このター
ゲットを用いて実施例4と同様の実験を行った。蒸着時
間は30分間にした。但し、ターゲット上のエネルギー
ビーム照射部のパルス当りの平均エネルギー密度を約1
J/cm2 である。超伝導転移温度は82Kであり、薄
膜組成はY:Ba:Cu=1:1.8:2.7で、薄膜
上の粒の発生が顕著であり、100μm角当り数十個の
1μm以上の大きさの粒が観察された。
【0038】実施例5 実施例4と同様にして、アークメルト法でBaとYCu
3 合金を形成した。このターゲットを、ターゲットホル
ダーの回転方向に約52度毎に上記のCuY0. 33、B
a、CuY0.33、CuY0.33ターゲットの順に取付け、
実施例4と同様に蒸着を行った。但し、レーザーの1パ
ルス当りのエネルギーを150mJでターゲット上のビ
ーム形状を大きくし、ターゲット上のエネルギー密度を
約0.5J/cm2 弱に設定し、ターゲットホルダー回
転15rpmで、1回転当り各CuY0.33ターゲットを
15度照射し、Baターゲットを1度照射するように変
えて、30分間蒸着した。
【0039】得られた薄膜は真空槽から取り出した直後
は電気伝導性を有し、黒色であったが、大気にさらすと
数分間で変色し電気伝導性は消えた。この薄膜を蛍光X
線で元素分析したところ、Ba:Cu:Yの組成比が
1:1:0.05で推定膜厚約200Åであった。この
時、YCu0.33、Baの1パルス当たりの蒸着速度は夫
々、1パルス当り約2×10-4mMol/m2 /(sh
ot/cm2 、約7×10-3mMol/m2 /(sho
t/cm2 )である。X線回折では多結晶BaCuO2
の回折ピークのみ見られ、光学顕微鏡とSEM写真では
0.2μm程度の正方形の板状成長物と思える構造が見
られたが、粒特に0.3μm以上の大きさの粒は広い範
囲に亙り殆ど見られなかった。
【0040】
【発明の効果】 本発明は、レーザー蒸着法において作
製する薄膜の粒子の発生をなくし、膜厚を均一化し、極
めて精密な組成制御をすることが可能であり、生産性よ
く、多元元素からなる高品質セラミック薄膜を作製する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】レーザー蒸着装置の一例を示す概略模式図。
【図2】従来のレーザーアブレーション法による電磁波
ビーム照射時のターゲット近傍の様子を模式的に示す
図。
【図3】本発明の蒸着法による電磁波ビーム照射時のタ
ーゲット近傍の様子を模式的に示す図。
【図4】レーザーアブレーション法により作製される薄
膜の膜厚分布を模式的に示す図。
【図5】本発明の蒸着法で連続発振電磁波ビームを用い
る場合に使用するターゲットの一例を示す概略図。
【図6】本発明の逐次蒸着法において電磁波ビームの照
射パルス回数で作製される薄膜の組成を制御する場合の
電磁波ビームの照射方法の一例を示す図。
【図7】本発明の逐次蒸着法において電磁波ビームの照
射パルス回数で作製される薄膜の組成を制御する場合の
電磁波ビームの照射方法のその他の例を示す図。
【図8】本発明の逐次蒸着法において電磁波ビームの照
射パルスエネルギー密度で作製される薄膜の組成を制御
する場合の電磁波ビームの照射方法の一例を示す図。
【図9】本発明の実施例及び比較例で得られた薄膜の膜
厚分布を示す図。
【図10】本発明の実施例及び比較例で得られた薄膜の
膜厚分布と電磁波ビームのエネルギー密度との関係を示
す図。
【図11】本発明の実施例及び比較例で得られた薄膜の
粒除去度合と規格化された蒸着速度の関係を示す図。
【符号の説明】
1 エキシマレーザー発生装置 2 光学ボックス 3 真空槽 4 集光レンズ 5 紫外光透過窓 6 ターゲット 7 ターゲットホルダー 8 基板 9 基板ホルダー 10 シャッター

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ターゲットに電磁波ビームを逐次照射し
    て基板上に二種類以上の金属元素を逐次堆積して化合物
    薄膜を作製する方法において、ターゲット材料がビーム
    状に噴出しない程度に低いエネルギー密度の電磁波ビー
    ムを照射することを特徴とする逐次蒸着膜作製法。
  2. 【請求項2】 ターゲットとして、金属元素を二種類以
    上含有し、且つ該金属元素のうち任意の二種類の金属元
    素の融点の差がすべて500℃以内であるターゲットを
    用いる請求項1記載の逐次蒸着膜作製法。
  3. 【請求項3】 ターゲットとして、金属元素を一種類の
    み含有するターゲットを複数用いる請求項1記載の逐次
    蒸着膜作製法。
  4. 【請求項4】 電磁波ビームが、パルス状の紫外レーザ
    ー光であり、ターゲット上のパルス当たりのエネルギー
    密度が0.5J/cm2 以下である請求項1記載の逐次
    蒸着膜作製法。
  5. 【請求項5】 ターゲットとして、(a)少なくとも一
    種類の希土類元素又はこれらの合金ターゲット、(b)
    少なくとも一種類のアルカリ土類金属又はこれらの合金
    ターゲット及び(c)少なくとも一種類の遷移金属元素
    又はこれらの合金ターゲットを用いる請求項1記載の逐
    次蒸着膜作製法。
  6. 【請求項6】 ターゲットとして、(a)ビスマス又は
    ビスマス合金ターゲット、(b)少なくとも一種類のア
    ルカリ土類金属又はこれらの合金ターゲット及び(c)
    少なくとも一種類の遷移金属元素又はこれらの合金ター
    ゲットを用いる請求項1記載の逐次蒸着膜作製法。
JP5018919A 1992-03-26 1993-02-05 逐次蒸着膜作製法 Pending JPH05319982A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008214732A (ja) * 2007-03-07 2008-09-18 Sumitomo Metal Mining Co Ltd 無機el素子および無機el発光層形成用のスパッタリングターゲット

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