JPH0533102A - 被研削性にすぐれた高硬度高速度工具鋼 - Google Patents
被研削性にすぐれた高硬度高速度工具鋼Info
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- JPH0533102A JPH0533102A JP19140791A JP19140791A JPH0533102A JP H0533102 A JPH0533102 A JP H0533102A JP 19140791 A JP19140791 A JP 19140791A JP 19140791 A JP19140791 A JP 19140791A JP H0533102 A JPH0533102 A JP H0533102A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 難削材の切削に使用する高硬度高速度工具鋼
であって、耐摩耗性とともに靭性が高く、かつ被研削性
のすぐれた工具材料を提供すること。 【構成】 特定の合金組成を選択し、一次晶出する炭化
物を粒状のM2C型にし、その転換反応によりVCを微
細に晶出させることによって靭性と被研削性を高め、熱
処理を好適に行なって硬さと強度を確保する。
であって、耐摩耗性とともに靭性が高く、かつ被研削性
のすぐれた工具材料を提供すること。 【構成】 特定の合金組成を選択し、一次晶出する炭化
物を粒状のM2C型にし、その転換反応によりVCを微
細に晶出させることによって靭性と被研削性を高め、熱
処理を好適に行なって硬さと強度を確保する。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は高速度工具鋼、とくに切
削の困難な硬い材料を加工する工具をつくるための高速
度工具鋼であって、工具製造の際の研削が容易な工具鋼
に関する。
削の困難な硬い材料を加工する工具をつくるための高速
度工具鋼であって、工具製造の際の研削が容易な工具鋼
に関する。
【0002】
【従来の技術】機械加工の対象とする材料のうち、HR
C40を越える高硬度プレハードン材や、炭化物を多量
に含む型材など、難削材とよばれる切削加工の困難なも
のが増えている。 これに対応して切削工具の硬度を高
めたり耐摩耗性を向上させるために、工具材料として、
SKH57系の高V−高Co高速度工具鋼や、AISI
−M41〜M42級の高C−含Co鋼が使用されてい
る。
C40を越える高硬度プレハードン材や、炭化物を多量
に含む型材など、難削材とよばれる切削加工の困難なも
のが増えている。 これに対応して切削工具の硬度を高
めたり耐摩耗性を向上させるために、工具材料として、
SKH57系の高V−高Co高速度工具鋼や、AISI
−M41〜M42級の高C−含Co鋼が使用されてい
る。
【0003】しかし、前者は研削性が低く、刃付に当っ
て研磨焼けが生じやすく、焼けによる軟化でせっかくの
高硬度が生かされないことが多い。 また後者は、研削
性についてはあまり問題がないが、靭性が不足でチッピ
ングや折損を起しやすく、それを避けるため硬さを低く
して使用せざるを得ない場合が多い。
て研磨焼けが生じやすく、焼けによる軟化でせっかくの
高硬度が生かされないことが多い。 また後者は、研削
性についてはあまり問題がないが、靭性が不足でチッピ
ングや折損を起しやすく、それを避けるため硬さを低く
して使用せざるを得ない場合が多い。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
したような高速度工具鋼の技術の現状を打破し、適正な
熱処理によりHRC69〜70の高い硬度を実現し、か
つ被研削性がすぐれていて研磨焼けを生じることがな
く、従って高硬度を生かすことができ、靭性も高い高速
度工具鋼を提供することにある。
したような高速度工具鋼の技術の現状を打破し、適正な
熱処理によりHRC69〜70の高い硬度を実現し、か
つ被研削性がすぐれていて研磨焼けを生じることがな
く、従って高硬度を生かすことができ、靭性も高い高速
度工具鋼を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の被研削性にすぐ
れた高硬度高速度工具鋼は、基本的には、C:0.64
〜1.74%、Si:0.02〜0.33%、Mn:
0.10〜0.50%、Cr:3.0〜5.0%、M
o:3.0〜10.0%、W:10.0%以下、V:
1.0〜2.0%およびCo:5.0〜15.0%を含
有し、N:0.060%以下であり、残部が実質上Fe
からなる合金組成を有する高速度工具鋼であって、合金
成分の間で下記の量的関係が満たされるものを A)14≦Weq≦24 ただし Weq=2[Mo%]+[W%] B)Weq−10≦10[V%]≦Weq−4 C)11[ΔC%]+4[Si%]≧−0.68 D)50[ΔC%]+250[Si%]≦72.5 E)−0.18≦ΔC%≦+0.10 ただし ΔC%=C%−Ceq Ceq=0.06[Cr%]+0.063[Mo%]+0.033[W%] +0.2[V%] F)F≧7.30 ただし F=−0.90[Mo%][C%]−0.45[W%][C%] +2.4[C%]+0.84[Mo%]+0.92[W%] +2[V%−1]1/2+5.45[Si%]+32.7[N%] G)L≧20.55 ただし L=12.2[Mo%]−10.4[Mo%]2−3[W%]+7[V%] −25[Si%] 適正焼入れ後、最大硬さが得られる高温焼戻し温度より
少なくとも20℃高い焼戻し温度で焼戻しして、HRC
69以上の高硬度にしたことを特徴とする。
れた高硬度高速度工具鋼は、基本的には、C:0.64
〜1.74%、Si:0.02〜0.33%、Mn:
0.10〜0.50%、Cr:3.0〜5.0%、M
o:3.0〜10.0%、W:10.0%以下、V:
1.0〜2.0%およびCo:5.0〜15.0%を含
有し、N:0.060%以下であり、残部が実質上Fe
からなる合金組成を有する高速度工具鋼であって、合金
成分の間で下記の量的関係が満たされるものを A)14≦Weq≦24 ただし Weq=2[Mo%]+[W%] B)Weq−10≦10[V%]≦Weq−4 C)11[ΔC%]+4[Si%]≧−0.68 D)50[ΔC%]+250[Si%]≦72.5 E)−0.18≦ΔC%≦+0.10 ただし ΔC%=C%−Ceq Ceq=0.06[Cr%]+0.063[Mo%]+0.033[W%] +0.2[V%] F)F≧7.30 ただし F=−0.90[Mo%][C%]−0.45[W%][C%] +2.4[C%]+0.84[Mo%]+0.92[W%] +2[V%−1]1/2+5.45[Si%]+32.7[N%] G)L≧20.55 ただし L=12.2[Mo%]−10.4[Mo%]2−3[W%]+7[V%] −25[Si%] 適正焼入れ後、最大硬さが得られる高温焼戻し温度より
少なくとも20℃高い焼戻し温度で焼戻しして、HRC
69以上の高硬度にしたことを特徴とする。
【0006】この工具鋼は、上記した基本的な合金組成
に加えて、下記の任意に添加する合金元素のグループの
一方または両方を含有する合金組成を有していてもよ
い: I)REM:0.60%以下、Y:2.0%以下、Z
r:2.0%およびHf:2.0%からえらんだ1種ま
たは2種、および II)Ni:2.0%以下、Cu:1.0%以下および
B:0.05%からえらんだ1種または2種以上。
に加えて、下記の任意に添加する合金元素のグループの
一方または両方を含有する合金組成を有していてもよ
い: I)REM:0.60%以下、Y:2.0%以下、Z
r:2.0%およびHf:2.0%からえらんだ1種ま
たは2種、および II)Ni:2.0%以下、Cu:1.0%以下および
B:0.05%からえらんだ1種または2種以上。
【0007】
【作用】本発明の高速度工具鋼は、鋼中の炭化物のうち
バナジウムの炭化物VCが被研削性に対して最も大きな
影響を与えることに着目し、その微細化を意図して完成
したものである。 VCは硬質であるため工具に耐摩耗
性を与える重要な役割を果すが、一方で一次炭化物(晶
出炭化物)が巨大になりやすく、巨大にしてしまうと被
研削性が損われる。
バナジウムの炭化物VCが被研削性に対して最も大きな
影響を与えることに着目し、その微細化を意図して完成
したものである。 VCは硬質であるため工具に耐摩耗
性を与える重要な役割を果すが、一方で一次炭化物(晶
出炭化物)が巨大になりやすく、巨大にしてしまうと被
研削性が損われる。
【0008】工具鋼を溶製したとき、凝固に当って晶出
する共晶炭化物をM2C型にしておくと、この炭化物は
Vが固溶しやすいから、鍛造や圧延時の加熱によって、
M2C→M6C+MC(VC)の反応により微細なVCを
析出させることが可能なはずである。 言い換えれば、
一次VCが晶出せず、すべてのVCが上記の炭化物変換
反応で析出するVCであるようにすれば、被研削性が向
上することが期待できる。 発明者らは、このような期
待を実現すべく、一次VCの晶出限界を検討した。 そ
の結果、それはV量およびW当量Weq=2[Mo%]
+[W%]と密接な関係があり、それらの値が前記した
条件を満たせば、一次VCが晶出しないことがわかっ
た。
する共晶炭化物をM2C型にしておくと、この炭化物は
Vが固溶しやすいから、鍛造や圧延時の加熱によって、
M2C→M6C+MC(VC)の反応により微細なVCを
析出させることが可能なはずである。 言い換えれば、
一次VCが晶出せず、すべてのVCが上記の炭化物変換
反応で析出するVCであるようにすれば、被研削性が向
上することが期待できる。 発明者らは、このような期
待を実現すべく、一次VCの晶出限界を検討した。 そ
の結果、それはV量およびW当量Weq=2[Mo%]
+[W%]と密接な関係があり、それらの値が前記した
条件を満たせば、一次VCが晶出しないことがわかっ
た。
【0009】すなわち、Weqは十分な切削性能を得る
のに必要な炭化物量を確保するために14%以上としな
ければならず、一方、熱間加工性を損わないよう24%
までとすべきである(前記条件A)。 V量は、まず耐
摩耗性を得、前記の式M2C→M6C+MCの反応を起す
に必要な最少量として1.0%の下限があり、かつ耐摩
耗性にとって必要なVC量を確保する条件として10
[V%]≧Weq−10があり、次に、一次VCが晶出
しない限度として2.0%の上限と、10[V%]≦W
eq−4が定められた(前記条件B)。 これを図示す
れば図1のとおりであって、WeqとV量とは図1の斜
線の領域になければならない。
のに必要な炭化物量を確保するために14%以上としな
ければならず、一方、熱間加工性を損わないよう24%
までとすべきである(前記条件A)。 V量は、まず耐
摩耗性を得、前記の式M2C→M6C+MCの反応を起す
に必要な最少量として1.0%の下限があり、かつ耐摩
耗性にとって必要なVC量を確保する条件として10
[V%]≧Weq−10があり、次に、一次VCが晶出
しない限度として2.0%の上限と、10[V%]≦W
eq−4が定められた(前記条件B)。 これを図示す
れば図1のとおりであって、WeqとV量とは図1の斜
線の領域になければならない。
【0010】難削材を加工するための工具鋼は、いうま
でもなく高い硬度をもたなければならず、本発明では、
適正な焼入れ焼戻しにより到達するレベルを、HRC6
9〜70に置いた。 適正な焼入れ焼戻しとは、炭化物
を十分に固溶させて、焼戻し時の残留オーステナイトの
分解や炭化物の析出硬化により高い硬さを生じ、結晶粒
の粗大化や溶融相の現出など、いわゆる過熱組織による
極端な靭性低下のない焼入れ温度を選択し、かつ、図2
に示したような焼戻し硬さ曲線において最大硬さを得ら
れる温度(図2における温度A)より、少なくとも20
℃高い温度、図2の斜線の領域で焼き戻しを行なうこと
である。 このような温度で焼戻す理由は、真空または
ガス雰囲気での焼戻しにおいては操業条件が低温度側へ
バラつきやすく、その結果生じる硬さ低下や組織の不安
定さを避けるという、実際上の動機にもとづくものであ
る。 ただし、温度Aより過度に高い温度で焼戻すと、
折角の高硬度を減殺することになるから、そのようなこ
とのないよう操業を管理しなければならない。
でもなく高い硬度をもたなければならず、本発明では、
適正な焼入れ焼戻しにより到達するレベルを、HRC6
9〜70に置いた。 適正な焼入れ焼戻しとは、炭化物
を十分に固溶させて、焼戻し時の残留オーステナイトの
分解や炭化物の析出硬化により高い硬さを生じ、結晶粒
の粗大化や溶融相の現出など、いわゆる過熱組織による
極端な靭性低下のない焼入れ温度を選択し、かつ、図2
に示したような焼戻し硬さ曲線において最大硬さを得ら
れる温度(図2における温度A)より、少なくとも20
℃高い温度、図2の斜線の領域で焼き戻しを行なうこと
である。 このような温度で焼戻す理由は、真空または
ガス雰囲気での焼戻しにおいては操業条件が低温度側へ
バラつきやすく、その結果生じる硬さ低下や組織の不安
定さを避けるという、実際上の動機にもとづくものであ
る。 ただし、温度Aより過度に高い温度で焼戻すと、
折角の高硬度を減殺することになるから、そのようなこ
とのないよう操業を管理しなければならない。
【0011】炭素量およびケイ素量についていえば、焼
戻し硬さHRC69〜70を確保するため焼入時の固溶
C量や炭化物生成量を増大する必要から、まず高C量を
採用する。 この高C化とは、含有C量とC当量Ceq
=0.06[Cr%]+0.063[Mo%]+0.0
33[W%]+0.2[V%]との差、ΔC%=[C
%]−Ceqを増大させることである。 鋼中のSiは
鋼中の炭化物M6C中に固溶するため、Siを増大する
ことはCを増大することと同様の効果がある。C量とS
i量との関係について検討した結果、前記のWeqの範
囲内で焼戻し硬さHRC69以上を確保するには、11
[ΔC%]+4[Si%]≧−0.68(前記条件C)
をみたすべきことを見出した。
戻し硬さHRC69〜70を確保するため焼入時の固溶
C量や炭化物生成量を増大する必要から、まず高C量を
採用する。 この高C化とは、含有C量とC当量Ceq
=0.06[Cr%]+0.063[Mo%]+0.0
33[W%]+0.2[V%]との差、ΔC%=[C
%]−Ceqを増大させることである。 鋼中のSiは
鋼中の炭化物M6C中に固溶するため、Siを増大する
ことはCを増大することと同様の効果がある。C量とS
i量との関係について検討した結果、前記のWeqの範
囲内で焼戻し硬さHRC69以上を確保するには、11
[ΔC%]+4[Si%]≧−0.68(前記条件C)
をみたすべきことを見出した。
【0012】ところで、高C化および高Si化は工具の
靭性低下につながるので、この点の対策を考えなければ
ならない。 出願人は、高C化により低下する靭性を低
Si化によって補うことをさきに提案したが、難削材の
加工や切削作業の無人化に耐える切削工具を提供するに
は、それでもなお靭性が不足である。 実際的な限界と
しては、靭性を抗折力(試験片3×5×30mm、支点
間20mmの三点曲げ試験による)であらわしたときに
2800MPaを確保することであり、HRC69以上
でこの靭性を実現するには、50[ΔC%]+250
[Si%]≦72.5(前記条件D)をみたすことが必
要である。
靭性低下につながるので、この点の対策を考えなければ
ならない。 出願人は、高C化により低下する靭性を低
Si化によって補うことをさきに提案したが、難削材の
加工や切削作業の無人化に耐える切削工具を提供するに
は、それでもなお靭性が不足である。 実際的な限界と
しては、靭性を抗折力(試験片3×5×30mm、支点
間20mmの三点曲げ試験による)であらわしたときに
2800MPaを確保することであり、HRC69以上
でこの靭性を実現するには、50[ΔC%]+250
[Si%]≦72.5(前記条件D)をみたすことが必
要である。
【0013】ΔCの値は、これが増大してある限界を越
えると、焼入時の残留オーステナイト量が過大になり、
逆に焼戻し硬さの低下が始まる。 この限界は0.10
%である。 ΔCとSiの量の関係を示せば図3のとお
りであって、縦軸と3本の直線で囲まれた四角形の内部
を採用することになる。 この図からさらに、Siの上
限値0.33%が導き出される。
えると、焼入時の残留オーステナイト量が過大になり、
逆に焼戻し硬さの低下が始まる。 この限界は0.10
%である。 ΔCとSiの量の関係を示せば図3のとお
りであって、縦軸と3本の直線で囲まれた四角形の内部
を採用することになる。 この図からさらに、Siの上
限値0.33%が導き出される。
【0014】Siは、靭性の点からは低い量であること
が好ましいが、本来は脱酸剤であって、低すぎると精錬
中に溶鋼の酸素ポテンシャルが高くなって清浄度が低下
することがあるので、下限値として0.02%を設け
た。 従って、Si量は0.02〜0.33%の範囲と
なる。 ΔCおよびSiに関する図3においては、前記
の四角形の内部でさらに斜線を施した領域を使用する。
ΔCは、図3における2本の直線の交点で最小とな
る。 この値は−0.18%であるから、前記したΔC
量の範囲−0.18〜+0.10%が与えられる。
が好ましいが、本来は脱酸剤であって、低すぎると精錬
中に溶鋼の酸素ポテンシャルが高くなって清浄度が低下
することがあるので、下限値として0.02%を設け
た。 従って、Si量は0.02〜0.33%の範囲と
なる。 ΔCおよびSiに関する図3においては、前記
の四角形の内部でさらに斜線を施した領域を使用する。
ΔCは、図3における2本の直線の交点で最小とな
る。 この値は−0.18%であるから、前記したΔC
量の範囲−0.18〜+0.10%が与えられる。
【0015】このようにしてΔCが与えられると、C量
はΔC+Ceqであるから、Ceqの最大および最小を
与えるCr,Mo,WおよびVの値を前記の範囲からえ
らんで計算することにより、C:0.64〜1.74%
の範囲が定められる。
はΔC+Ceqであるから、Ceqの最大および最小を
与えるCr,Mo,WおよびVの値を前記の範囲からえ
らんで計算することにより、C:0.64〜1.74%
の範囲が定められる。
【0016】W量とMo量のバランスについて説明する
と、さきに述べたように炭化物の転換反応を利用して共
晶炭化物を微細化することが肝要なところ、これを実現
するためには前記のF≧7.30(条件F)をみたすこ
とが必要である。また、凝固時に骨状の巨大な炭化物が
晶出することを防ぐには、やはり前記したL≦20.5
5(条件G)がみたされなければならない。 これらの
関係は、図4および図5にみる結果から帰納的に得られ
たものであって、図4(V=1.3%の場合)において
も図5(V=1.5%の場合)においても、曲線Fおよ
びLによって囲まれた斜線の領域にあってはじめて羽毛
状の共晶炭化物が析出し、それが前記の炭化物転換反応
を行なって、粒状のM6Cと微細VCとを析出させる。
図4の白丸、図5の黒丸は、代表的な合金組成をそれ
ぞれあらわしている。
と、さきに述べたように炭化物の転換反応を利用して共
晶炭化物を微細化することが肝要なところ、これを実現
するためには前記のF≧7.30(条件F)をみたすこ
とが必要である。また、凝固時に骨状の巨大な炭化物が
晶出することを防ぐには、やはり前記したL≦20.5
5(条件G)がみたされなければならない。 これらの
関係は、図4および図5にみる結果から帰納的に得られ
たものであって、図4(V=1.3%の場合)において
も図5(V=1.5%の場合)においても、曲線Fおよ
びLによって囲まれた斜線の領域にあってはじめて羽毛
状の共晶炭化物が析出し、それが前記の炭化物転換反応
を行なって、粒状のM6Cと微細VCとを析出させる。
図4の白丸、図5の黒丸は、代表的な合金組成をそれ
ぞれあらわしている。
【0017】Nは、F≧7.30の条件をみたすために
は、若干存在した方が好都合であるが、含有量が多くな
るとVCを粗大化させる傾向がみられるから、0.06
%の限界を置いた。
は、若干存在した方が好都合であるが、含有量が多くな
るとVCを粗大化させる傾向がみられるから、0.06
%の限界を置いた。
【0018】Crは、焼入性確保のため3.0%以上添
加する。 多量に過ぎると硬さが低下し、鍛造性も不良
になるから8.0%を上限とする。
加する。 多量に過ぎると硬さが低下し、鍛造性も不良
になるから8.0%を上限とする。
【0019】Mnは脱酸脱硫剤として、また焼入性を高
める成分として、0.1%以上添加する。 0.5%の
上限は、熱間加工性の低下を理由に置いたものである。
める成分として、0.1%以上添加する。 0.5%の
上限は、熱間加工性の低下を理由に置いたものである。
【0020】Coは、熱処理後の硬さを向上させる成分
であって、効果は5%以上で顕著であるが、次第に飽和
してくるので、15%以内の添加に止める。
であって、効果は5%以上で顕著であるが、次第に飽和
してくるので、15%以内の添加に止める。
【0021】上記の必須成分に加えて任意に添加するこ
とのできる合金成分の作用と組成範囲の限定理由は、つ
ぎのとおりである。 I)REM,Y,Zr,Hf 鋼中の不純物SおよびPと結合し、熱間加工性および靭
性を向上させる。また、Nと結合してVCの微細化にも
役立つ。 多量に過ぎると鋼の清浄度を害し、靭性もか
えって低下するから、REMは0.60%、Y,Zrお
よびHfは2.0%を上限とした。
とのできる合金成分の作用と組成範囲の限定理由は、つ
ぎのとおりである。 I)REM,Y,Zr,Hf 鋼中の不純物SおよびPと結合し、熱間加工性および靭
性を向上させる。また、Nと結合してVCの微細化にも
役立つ。 多量に過ぎると鋼の清浄度を害し、靭性もか
えって低下するから、REMは0.60%、Y,Zrお
よびHfは2.0%を上限とした。
【0022】II)Ni,Cu,B
NiおよびCuは基地を強化して強度および靭性を高
め、Bは焼入性を高めるから、Niは2.0%以下、C
uは1.0%以下、Bは0.05%以下の範囲で、添加
するのもよい。 この限度を超えて添加しても、効果は
それ以上にならない。
め、Bは焼入性を高めるから、Niは2.0%以下、C
uは1.0%以下、Bは0.05%以下の範囲で、添加
するのもよい。 この限度を超えて添加しても、効果は
それ以上にならない。
【0023】
【実施例】下記の組成(重量%、残部Fe)の合金を溶
製した。 比較例は、既知のモリブデン系高速度工具鋼
のひとつである。
製した。 比較例は、既知のモリブデン系高速度工具鋼
のひとつである。
【0024】
実施例No.1 実施例No.2 比 較 例
C 1.11 1.20 1.14
Si 0.18 0.14 0.59
Mn 0.30 0.29 0.31
Cr 4.19 4.28 3.92
Mo 6.24 5.88 8.61
W 6.00 7.04 2.09
V 1.27 1.54 1.75
Co 7.95 7.93 7.96
N 0.028 0.031 0.022
ΔC 0.013 0.032 −0.05
Weq 18.48 18.80 19.31
熱間圧延ののちVCの晶出状況をしらべたところ、実施
例2例はともに微細な二次晶が認められ、期待した炭化
物転換反応が起ったことがわかった。 一方、比較例で
は巨大な炭化物が生成していた。
例2例はともに微細な二次晶が認められ、期待した炭化
物転換反応が起ったことがわかった。 一方、比較例で
は巨大な炭化物が生成していた。
【0025】実施例No.1およびNo.2、ならびに
比較例の供試材につき、1200℃または1220℃の
焼入れののち、500〜580℃の種々の温度で焼戻し
をして、硬さを測定した。 その結果を、それぞれ図6
および図7に示す。
比較例の供試材につき、1200℃または1220℃の
焼入れののち、500〜580℃の種々の温度で焼戻し
をして、硬さを測定した。 その結果を、それぞれ図6
および図7に示す。
【0026】次に、実施例において硬さがHRC69以
上の条件をみたした熱処理条件、すなわち焼入れ120
0℃−焼戻し540,560または580℃のものにつ
いて、靭性のめやすとして抗折力を測定した。 そのデ
ータを硬さとの関係において示せば、図8のとおりであ
る。
上の条件をみたした熱処理条件、すなわち焼入れ120
0℃−焼戻し540,560または580℃のものにつ
いて、靭性のめやすとして抗折力を測定した。 そのデ
ータを硬さとの関係において示せば、図8のとおりであ
る。
【0027】最後に、研削性をつぎの試験条件によって
しらべた。 試験片サイズ:10×10×50mm 試験機:ならい研削盤 砥石:WA−120 送り:0.02mm/ストローク 切込み:0.3mm×5回 砥石周速:1370m/mm 研削油:なし(乾式) 研削比はつぎのとおりであって、実施例はともに目標
とする値15を超えていた。 実施例No.1 実施例No.2 比較例(MH64) 硬さ 69.0 69.2 68.6 研削比 16.0 15.2 13.9
しらべた。 試験片サイズ:10×10×50mm 試験機:ならい研削盤 砥石:WA−120 送り:0.02mm/ストローク 切込み:0.3mm×5回 砥石周速:1370m/mm 研削油:なし(乾式) 研削比はつぎのとおりであって、実施例はともに目標
とする値15を超えていた。 実施例No.1 実施例No.2 比較例(MH64) 硬さ 69.0 69.2 68.6 研削比 16.0 15.2 13.9
【0028】
【発明の効果】本発明の高速度工具鋼は、硬さがHRC
69以上のレベルを確保し、それと高い靭性とを両立さ
せたものである。 この工具鋼は被研削性がすぐれてい
て研磨焼けの心配がないから、高い硬さを生かして耐摩
耗性のよい工具を与えることができる。 従ってこの材
料は、エンドミルをはじめとする種々の用途に好適であ
る。
69以上のレベルを確保し、それと高い靭性とを両立さ
せたものである。 この工具鋼は被研削性がすぐれてい
て研磨焼けの心配がないから、高い硬さを生かして耐摩
耗性のよい工具を与えることができる。 従ってこの材
料は、エンドミルをはじめとする種々の用途に好適であ
る。
【図1】 本発明の高速度工具鋼における成分組成の限
定理由を説明する目的で示した図であって、V量とWe
qとの関係を示すグラフ。
定理由を説明する目的で示した図であって、V量とWe
qとの関係を示すグラフ。
【図2】 本発明の高速度工具鋼の熱処理条件を説明す
る目的で示した、焼戻し硬さ曲線のグラフ。
る目的で示した、焼戻し硬さ曲線のグラフ。
【図3】 図1と同様な目的で示した図であって、ΔC
とSi量との関係を示すグラフ。
とSi量との関係を示すグラフ。
【図4】 高速度工具鋼におけるMo量とW量の関係に
よって、一次晶出する共晶炭化物の形状がどのように異
なるかを示すグラフ。
よって、一次晶出する共晶炭化物の形状がどのように異
なるかを示すグラフ。
【図5】 図4と同様のグラフ。
【図6】 本発明の実施例のデータであって、焼入れ焼
戻し後の硬さを示すグラフ。
戻し後の硬さを示すグラフ。
【図7】 図6と同様のグラフ。
【図8】 本発明の実施例のデータであって、硬さと抗
折力の関係を示すグラフ。
折力の関係を示すグラフ。
Claims (3)
- 【請求項1】 C:0.64〜1.74%、Si:0.
02〜0.33%、Mn:0.10〜0.50%、C
r:3.0〜5.0%、Mo:3.0〜10.0%、
W:10.0%以下、V:1.0〜2.0%およびC
o:5.0〜15.0%を含有し、N:0.060%以
下であり、残部が実質上Feからなる合金組成を有する
高速度工具鋼であって、合金成分の間で下記の量的関係
が満たされるものを、 A)14≦Weq≦24 ただし Weq=2[Mo%]+[W%] B)Weq−10≦10[V%]≦Weq−4 C)11[ΔC%]+4[Si%]≧−0.68 D)50[ΔC%]+250[Si%]≦72.5 E)−0.18≦ΔC%≦+0.10 ただし ΔC%=C%−Ceq Ceq=0.06[Cr%]+0.063[Mo%]+0.033[W%] +0.2[V%] F)F≧7.30 ただし F=−0.90[Mo%][C%]−0.45[W%][C%] +2.4[C%]+0.84[Mo%]+0.92[W%] +2[V%−1]1/2+5.45[Si%]+32.7[N%] G)L≧20.55 ただし L=12.2[Mo%]−10.4[Mo%]2−3[W%]+7[V%] −25[Si%] 適正焼入れ後、最大硬さが得られる高温焼戻し温度より
少なくとも20℃高い焼戻し温度で焼戻しして、HRC
69以上の高硬度にしたことを特徴とする被研削性にす
ぐれた高硬度高速度工具鋼。 - 【請求項2】 合金が、前記組成に加えて、REM:
0.60%以下、Y:2.0%以下、Zr:2.0%以
下、およびHf:2.0%以下からえらんだ1種または
2種以上を含有する請求項1の高硬度高速度工具鋼。 - 【請求項3】 合金が、前記組成に加えて、Ni:2.
0%以下、Cu:1.0%以下、およびB:0.05%
以下からえらんだ1種または2種以上を含有する請求項
1または2の高硬度高速度工具鋼。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP19140791A JPH0533102A (ja) | 1991-07-31 | 1991-07-31 | 被研削性にすぐれた高硬度高速度工具鋼 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP19140791A JPH0533102A (ja) | 1991-07-31 | 1991-07-31 | 被研削性にすぐれた高硬度高速度工具鋼 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH0533102A true JPH0533102A (ja) | 1993-02-09 |
Family
ID=16274094
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP19140791A Pending JPH0533102A (ja) | 1991-07-31 | 1991-07-31 | 被研削性にすぐれた高硬度高速度工具鋼 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH0533102A (ja) |
Cited By (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| KR20150068912A (ko) * | 2013-12-12 | 2015-06-22 | 뵐러 에델슈탈 게엠베하 운트 코 카게 | 철-코발트-몰리브덴/텅스텐-질소-합금으로 이루어진 물체들의 제조 방법 |
| CN120082785A (zh) * | 2025-05-06 | 2025-06-03 | 蓬莱市超硬复合材料有限公司 | 一种高强度高韧合金材料及其制备方法和应用 |
-
1991
- 1991-07-31 JP JP19140791A patent/JPH0533102A/ja active Pending
Cited By (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| KR20150068912A (ko) * | 2013-12-12 | 2015-06-22 | 뵐러 에델슈탈 게엠베하 운트 코 카게 | 철-코발트-몰리브덴/텅스텐-질소-합금으로 이루어진 물체들의 제조 방법 |
| CN120082785A (zh) * | 2025-05-06 | 2025-06-03 | 蓬莱市超硬复合材料有限公司 | 一种高强度高韧合金材料及其制备方法和应用 |
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