JPH05340714A - トンネル顕微鏡装置 - Google Patents

トンネル顕微鏡装置

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JPH05340714A
JPH05340714A JP35250492A JP35250492A JPH05340714A JP H05340714 A JPH05340714 A JP H05340714A JP 35250492 A JP35250492 A JP 35250492A JP 35250492 A JP35250492 A JP 35250492A JP H05340714 A JPH05340714 A JP H05340714A
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JP35250492A
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English (en)
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Futoshi Katsuki
太 香月
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Nippon Steel Corp
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Sumitomo Metal Industries Ltd
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  • Measurement Of Length, Angles, Or The Like Using Electric Or Magnetic Means (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 探針と試料との間の相対振動を低レベルに抑
え、さらに先端の損傷に伴う探針及び試料の交換を容易
化して、高精度での安定した観察を短時間にて行えるよ
うにする。 【構成】 探針支持台4にアクチュエータ素子7,7,
7により支持された探針ホルダ8に、試料との対向側に
一端を開口させて保持溝10を形成し、この保持溝10内
に、探針ホルダ8の上面にその基端部をネジ止め固定さ
れた板ばね11の先端を侵入させ、一側の側壁に弾接させ
る。探針2は、これを固設する薄肉の固定板20と共に保
持溝10に差し込むことにより、保持溝10の側壁とこれに
弾接する板ばね11との間に挾持固定される。板ばね11と
しては、リン青銅等の靱性に優れた材料からなる高剛性
のばねを用い、探針2と探針ホルダ8とを、ネジ止め等
の直接的な固定の場合と同等に一体化させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高真空中において試料
表面に探針を近接させたとき、両者間に流れるトンネル
電流を利用して前記試料の表面構造を観察すべく用いら
れるトンネル顕微鏡装置に関する。
【0002】
【従来の技術】各種金属材料等、導電性を有する試料の
表面構造を原子レベルにて観察し得る観察手段として、
例えば、「Sang-ill Park and C.F.Quate, Rev.Sci.Ins
trum,58, Novemver 1987,2010」等に示されたトンネル
顕微鏡装置がある。これは、鋭利な先端を有する探針を
観察すべき試料の表面に近接させておき、これらの間に
高真空下にて所定のバイアス電圧VT を印加したとき、
次式にて表されるトンネル電流IT が流れる現象を利用
するものである。
【0003】
【数1】
【0004】(1)式から明らかなようにトンネル電流
T は探針と試料との距離Sに対して指数関数的に変化
する。例えば探針と試料との距離Sが 0.1nm近づくとト
ンネル電流IT は10倍になる。従って探針と試料との距
離Sの変化はpmレベルに止めなければ、原子構造からの
信号であるトンネル電流IT を正確に測定することは困
難である。
【0005】図9は、従来のトンネル顕微鏡装置の要部
の構成を示す模式図である。本図に示す如くトンネル顕
微鏡装置は、高真空状態に維持された観察室内に設置し
た基台1上に、探針2及び試料3を夫々固定支持するた
めの各別の固定装置(探針固定装置4及び試料固定装置
5)とを備えてなる。探針固定装置4と試料固定装置5
とは、後者の背部に設けたマイクロメータヘッド6の操
作により、相互に接近又は離反可能となっている。
【0006】探針固定装置4は、ピエゾ素子等の通電に
応じて伸縮する性質を有する複数のアクチュエータ素子
7,7…により支持された探針ホルダ8を備えており、
探針2は、試料固定装置5に固定された試料3の一面
(被観察面)に向けて突出する態様にて前記探針ホルダ
8にネジ止め固定してある。この固定により探針2は、
前記アクチュエータ素子7,7…の伸縮に応じて探針ホ
ルダ8と共に、試料3の被観察面内の2方向(X,Y方
向)と、被観察面に直交する方向(Z方向)とに走査可
能となっている。
【0007】以上の如きトンネル顕微鏡装置による観察
は、まず、図9に示す如く探針固定装置4から離反した
位置にある試料固定装置5に試料3を固定し、マイクロ
メータヘッド6を操作して、該試料3の被観察面を探針
ホルダ8から突出する探針2の先端に近接せしめた後、
探針2と試料3との間に一定のバイアス電圧VT を印加
しつつ、対応するアクチュエータ素子7,7を伸縮させ
て探針2をX方向及びY方向に走査し、この間に探針2
と試料3との間に流れるトンネル電流IT を検出して、
この検出電流をフィードバック信号として、探針2の先
端と試料3の被観察面との離隔距離を一定に保つべく探
針2をZ方向に走査せしめる手順にて行われる。
【0008】試料3の被観察面の表面構造は、X方向及
びY方向の走査範囲内において、探針2をZ方向に走査
するためのアクチュエータ素子7への印加電圧を画像信
号として利用し、例えば、CRTディスプレイ上に画面
表示されるようになっており、この表示内容、又は表示
画面のプリントアウト結果の視認により被観察面の表面
構造を知り得ることになる。
【0009】このようなトンネル顕微鏡装置において
は、前記(1)式に明らかな如く、探針2と試料3との
間に流れるトンネル電流IT が両者の離隔距離Sの大小
に極めて敏感に反応することから、マイクロメータヘッ
ド6の操作による初期の離隔距離の設定が重要であると
共に、床面振動等の外部振動の影響により探針2と試料
3との間に生じる相対振動を可及的に抑えることが必要
となる。
【0010】従来のトンネル顕微鏡装置においては、外
部振動の影響を排除するため、前述した如く、探針固定
装置4と試料固定装置5とを共通の基台1上に固設する
と共に、アクチュエータ素子7,7…を介して探針固定
装置4に支持された探針ホルダ8へのネジ止めにより探
針2を強固に固定して、これら全てをユニット化する一
方、図9に示す如く、空気ばね式の除振台1a,1a…によ
り基台1を支持する構造を採用している。
【0011】この構造によれば、基台1を含む前記ユニ
ットの固有振動数を高くでき、これに対して十分に低い
固有振動数を有する除振台1a,1a…を採用することによ
り、外部振動に伴って探針2と試料3との間に生じる相
対振動を略完全に防止できるようになり、高精度での安
定した観察が可能となる。
【0012】一方、トンネル顕微鏡装置による被観察面
の表面構造の分解能は、探針2の先端形状、特に、先端
の曲率半径R及びこの先端に連なる部分の開き角度(コ
ーンアングル)θに依存することが知られており、高精
度での観察を可能とするためには、先端形状の管理が重
要である。
【0013】例えば図10に示す如く、試料3の被観察面
に存在する長さL、深さhなる矩形の凹部に沿って探針
2を走査せしめた場合、この結果として得られるイメー
ジは、矩形形状ではなく、前記長さLに略等しい長辺
と、これよりも2Δrだけ短い短辺とを有する台形とな
る。トンネル顕微鏡装置の分解能は、次式にて表される
Δrにより評価される。
【0014】 Δr≒R+(h−R)tanθ …(2)
【0015】図12は(2)式により求められる曲率半径
Rと、走査型トンネル顕微鏡(Scanning Tunneling Micr
oscope,STM) の分解能Δrとの関係を表すグラフであ
る。図12より明らかな如く曲率半径Rが大きくなると分
解能Δrは著しく低下している。そこで分解能の向上の
ためには、曲率半径R及びコーンアングルθを小さくす
ること、即ち、鋭利な先端形状を有する探針2を用いる
ことが重要であり、従来から、電解研磨法(Field Ion M
icroscope,Elsevier Scientific Publishing Co.,New Y
ork,(1965)119.) により作製され、10nm前後の曲率半径
Rを有する探針2が用いられている。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】ところが、以上の如く
作製された探針2を用い、該探針2と試料3との相対振
動を抑制したとしても、観察動作中における探針2の先
端と試料3の表面との離隔距離Sは数nm程度に保つ必要
があることから、わずかな振動が観察に影響を及ぼす。
また観察動作中、更にはこれに先立って行われる試料3
の固定、及び探針2と試料3との位置決め操作に際し、
試料3との衝突により探針2の先端が損傷する虞は大き
い。
【0017】そして探針2の先端に損傷が生じた場合、
所望の分解能が得られなくなることから、新しい探針2
との速やかな交換が要求されるが、従来のトンネル顕微
鏡装置においては、試料3との間の相対振動を抑制すべ
く探針2が探針ホルダ8にネジ止め固定してあるため、
前記観察室の高真空状態を維持したまま探針2を交換す
ることは非常に困難であり、この交換の都度、観察室の
真空が破壊され、観察が可能な超高真空状態への復帰ま
でには、通常の真空系において24時間程度という多大な
時間を要する難点があった。
【0018】また、一般的な建物の床は数十Hz以下、振
幅10μm 程度で振動している。この床振動の影響を探針
及び試料が直接受けた場合、探針と試料との距離が変化
しトンネル電流が安定して測定できない。例えばωHz,
振幅10μm で振動する床の変位をXexとし、このような
床の上に質量M,固有振動数ω0 の物体の変位をXとす
ると、この物体に生じる振動は次式にて表される(JVS
T,A5(1987)3313)。 X/Xex=[(1+H2 Ω2 )/{(1−Ω2 2 +H2 Ω2 }]1/2 …(3) 但し、Ω=ω/ω0 (Ω:規格化振動数) ω0 =k/M(k:物体の弾性定数,M:物体の質量) H=C/Mω0 (C:減衰項) さらに伝達関数の定義から床振動に対する物体の振動は
次式にて表される。 Z=20 log[(X−Xex)/Xex]…(4) 但し、Z:伝達関数
【0019】(4)式により得られる規格化振動数Ωと
伝達関数Zとの関係を図13に示す。図13より明らかな如
く規格化振動数Ωが小さい程、即ち物体の固有振動数ω
0 が床振動の周波数ωに近づく程、伝達関数Zは大き
く、床振動の影響を受けやすい。この結果、探針と試料
との間の振動は増大し、安定にトンネル電流等の原子構
造からの信号を測定することが困難である。このため従
来装置では、探針及び試料をネジ又は強力な磁石で固定
し探針,試料間の距離変動を抑制していた。しかしなが
ら、ネジで固定した場合は上述のように探針又は試料を
交換する際に一旦真空を破壊しなければならず、効率が
悪かった。また磁石で固定した場合は探針,試料の周囲
に生じる磁界が探針,試料間の電子の運動に影響を及ぼ
すためトンネル電流等の信号を正確に得ることが困難で
あった。
【0020】本発明は斯かる事情に鑑みてなされたもの
であり、探針と試料との相対振動の抑制に影響を及ぼす
ことなく交換が容易な探針及び試料の支持構造を備え、
またこれらの交換のための探針及び試料の搬出入を観察
室の真空をリークすることなく行えるトンネル顕微鏡装
置を提供することを目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】本発明に係るトンネル顕
微鏡装置は、高真空状態に維持された観察室の内部に、
試料を固定支持する試料固定装置と、該試料の一面に沿
っての移動、及び同面に接離する向きへの移動自在に探
針を保持する探針ホルダとを備え、前記探針の先端とこ
れに近接する前記試料との間に流れるトンネル電流に基
づいて前記一面の表面構造を観察し得るようになしたト
ンネル顕微鏡装置において、前記探針ホルダは、前記試
料との対向面にその一端を開口させてなる保持溝と、こ
の保持溝の一側壁に弾接し、該側壁との間に前記探針を
挾持固定する固定ばねとを具備することを特徴とするト
ンネル顕微鏡装置。
【0022】第2発明に係るトンネル顕微鏡装置は、第
1発明において、前記試料を固定する試料ホルダと該試
料ホルダを弾性的に保持する試料ホルダ保持部材とから
なる前記試料固定装置を備え、前記試料ホルダ保持部材
は試料面を探針の長手方向と垂直に固定する固定ばねを
具備することを特徴とする。
【0023】第3発明に係るトンネル顕微鏡装置は、第
1発明において、前記観察室にゲートバルブを介して連
設された試料導入室と、外部からの操作により両室間で
の移動可能に装備された搬送手段と、該搬送手段の移動
端に装着され、前記探針の保持部を有する搬送治具とを
備え、前記観察室に、前記探針ホルダと前記搬送治具と
の間にて前記探針の受渡しを行うマニピュレータを備え
ることを特徴とする。
【0024】第4発明に係るトンネル顕微鏡装置は、高
真空状態に維持された観察室の内部に、試料を固定支持
する試料固定装置と、該試料の一面に沿っての移動、及
び同面に接離する向きへの移動自在に探針を保持する探
針ホルダとを備え、前記探針の先端とこれに近接する前
記試料との間に流れるトンネル電流に基づいて前記一面
の表面構造を観察し得るようになしたトンネル顕微鏡装
置において、前記試料を固定する試料ホルダと該試料ホ
ルダを弾性的に保持する試料ホルダ保持部材とからなる
前記試料固定装置を備え、前記試料ホルダ保持部材は試
料面を探針の長手方向と垂直に固定する固定ばねを具備
することを特徴とする。
【0025】第5発明に係るトンネル顕微鏡装置は、第
2発明において、前記観察室にゲートバルブを介して連
設された試料導入室と、外部からの操作により両室間で
の移動可能に装備された搬送手段と、該搬送手段の移動
端に装着され、前記試料の保持部を有する搬送治具とを
備え、前記観察室に、前記試料固定装置と前記搬送治具
との間にて前記試料の受渡しを行うマニピュレータを備
えることを特徴とする。
【0026】
【作用】第1発明にあっては、探針ホルダに、その一側
壁に弾接する固定ばねを備えた保持溝が形成してあり、
探針の取付けは、固定ばねと側壁との間への差し込みに
より、また探針の取外しは、固定ばねと側壁との間から
の引き抜きにより夫々行われる。取付け後の探針は、固
定ばねのばね力により前記側壁との間に挾持固定される
が、高剛性の固定ばねの採用により探針と探針ホルダと
はネジ止め固定と同等に一体化されて、試料に対する探
針の相対振動を十分に抑制できる。
【0027】第2発明にあっては、前記探針固定装置と
前記試料固定装置とを共に備えることにより、床振動に
よる影響をより低減することが可能となる。
【0028】第3発明にあっては、観察室に連設された
試料導入室に両室間にて移動可能な搬送手段と、この搬
送手段に取付け可能であって探針の保持部を有する搬送
治具とを設け、探針の交換に際しては、開放された試料
導入室内にて前記搬送治具に交換用の探針を保持させ、
搬送手段の動作により観察室内に搬入して、観察室内部
のマニピュレータにより探針ホルダに受け渡す一方、探
針ホルダに保持された探針をマニピュレータにより搬送
治具に受け渡し、搬送手段の動作により試料導入室に搬
出して、この試料導入室のみを開放して交換済みの探針
を取り出すことにより、観察室の高真空を維持したまま
での探針の交換を実現する。
【0029】更に、探針は薄肉の固定板に取付け、探針
の取扱いをこの固定板と共に行うことにより、探針ホル
ダとの脱着、並びにこれらと搬送治具との間での受渡し
を一層確実化できる。
【0030】第4発明にあっては、試料ホルダ保持部材
に、その一側壁に弾接し試料面を探針の長手方向と垂直
に固定する固定ばねを備え、試料を固定した試料ホルダ
を、弾性的に保持する構成となしてあるので、試料の取
付けは、固定ばねと側壁との間への差し込みにより、ま
た試料の取外しは、固定ばねと側壁との間からの引き抜
きにより夫々行われる。取付け後の試料は、固定ばねの
ばね力により前記側壁との間に挾持固定され、高剛性の
固定ばねの採用により試料と試料ホルダ保持部材とは一
体化されて、試料ホルダの共振振動数は高く、探針に対
する試料の相対振動を十分に抑制できる。
【0031】第5発明にあっては、観察室に連設された
試料導入室に両室間にて移動可能な搬送手段と、この搬
送手段に取付け可能であって試料の保持部を有する搬送
治具とを設け、試料の交換に際しては、開放された試料
導入室内にて前記搬送治具に交換用の試料を固定する試
料ホルダを保持させ、搬送手段の動作により観察室内に
搬入して、観察室内部のマニピュレータにより試料ホル
ダ保持部材に受け渡す一方、試料ホルダに保持された試
料をマニピュレータにより搬送治具に受け渡し、搬送手
段の動作により試料導入室に搬出して、この試料導入室
のみを開放して交換済みの試料を取り出すことにより、
観察室の高真空を維持したままでの試料の交換を実現す
る。
【0032】更に、試料はフックを取り付けた試料ホル
ダに固定して、試料の取扱いをこの試料ホルダと共に行
うことにより、試料ホルダ保持部材との脱着、並びにこ
れらと搬送治具との間での受渡しを一層確実化できる。
【0033】
【実施例】以下本発明をその実施例を示す図面に基づい
て詳述する。本発明に係るトンネル顕微鏡装置(以下本
発明装置という)の基本構成は、図9に示す従来のそれ
と同様であり、後述する構成により高真空状態に維持さ
れた観察室A(図7参照)の内部に、空気ばね式の除振
台1a,1a…を介して支持された基台1と、該基台1上の
探針固定装置4及び試料固定装置5とを備えてなる。探
針固定装置4に後述する如く固定された探針2と、試料
固定装置5に固定された試料3とは、試料固定装置5の
背部に設けたマイクロメータヘッド6の操作により、相
互に接近又は離反可能となっている。
【0034】図2は、試料固定装置5と対向する側から
の探針固定装置4の拡大斜視図である。図示の如く探針
固定装置4は、棒状をなす3本のアクチュエータ素子
7,7,7により支持された探針ホルダ8を備えてい
る。該探針ホルダ8には、これの上面から所定の深さを
有し、試料固定装置5と対向する側に一端を開口させて
保持溝10が形成してあり、この保持溝10内には、探針ホ
ルダ8の上面にその基端部をネジ止め固定された板ばね
11の先端側が適長侵入せしめられ、一側の側壁に弾接さ
せてある。
【0035】探針2は、図2中に別個に示す如く、一端
縁に全幅に亘る屈曲部を備えた薄肉の固定板20の他側
に、側縁から所定長突出する態様にて固設してあり、該
探針2の探針ホルダ8への固定は、観察室A内に設けた
後述するマニピュレータMにより固定板20の前記屈曲部
を把持させ、図中に矢符にて示す如く、該固定板20と共
に探針ホルダ8の保持溝10に差し込むことにより行わ
れ、これにより探針2は、先端を試料固定装置5側に向
けた状態で、保持溝10の側壁とこれに弾接する板ばね11
との間に挾持固定される。
【0036】図3は、探針2の固定状態を示す正面図で
ある。板ばね11は、リン青銅等の靱性に優れた材料から
なる高剛性のばねであり、この板ばね11と保持溝10との
間に挾持固定された探針2は、ネジ止め等の直接的な固
定の場合と同等に探針ホルダ8と一体化されるようにな
してある。
【0037】探針2は、トンネル電流の通電に伴う発熱
に耐えると共に、前述した如く高精度での先端加工が必
要なことから、タンタル、モリブデン等、加工性に優れ
た高融点の金属製としてあり、該探針2を固定する固定
板20は、板ばね11と保持溝10との間への差し込みが確実
に行えるように、探針2と同種の材料からなる 0.5mm前
後の厚さを有する薄板からなる。
【0038】前記アクチュエータ素子7,7,7は、ピ
エゾ素子等の通電に応じて伸縮する性質を有する素子で
あり、探針ホルダ8を相異なる3方向から支持してお
り、各アクチュエータ素子7,7,7の伸縮に応じて、
探針ホルダ8に保持された探針2は、これの先端に対向
する試料3の一面内にて互いに直交する2方向(X,Y
方向)と、同面に直交する方向(Z方向)とに走査可能
となっている。
【0039】図4は試料固定装置5を示す斜視図であ
る。試料固定装置5は、例えば1側面が正方形の直方体
であり、この1側面に試料3をネジ等で固定する試料ホ
ルダ5a(図4(a))と、例えば側面がL字型を呈し、この
L字型の2側面に囲まれる部分に前記試料ホルダ5aを保
持する試料ホルダ保持部材5b(図4(b))とから構成され
ている。試料ホルダ5aの、試料3を固定する側面の反対
側面上部には、マニピュレータMにより把持するための
フック51が取り付けられている。一方試料ホルダ保持部
材5bの正面側には、板ばね52, 52がその基端側をL字型
底部の正面に固定され先端側は上方へ臨む態様で取り付
けられている。図5はこの板ばね52, 52によって試料ホ
ルダ5aを弾持している状態を示す側面図である。
【0040】図6はマニピュレータMの先端部及びその
把持方法を示す説明図である。図6(a) に示す如くマニ
ピュレータMの先端部は2つの把持部材を対照的に備
え、一方の把持部材の下部には試料ホルダ5aのフック51
(又は探針ホルダ8の屈曲部)が嵌入する約 0.5mmの切
れ込みがある。そして図6(b) に示す如くこの先端部を
開いてフック51(又は探針ホルダ8の屈曲部)を前記切
れ込みに嵌入する。その後図6(c) に示す如く先端部を
閉じ搬送する。
【0041】以上の如く構成された本発明装置による観
察は、試料固定装置5に試料3を固定し、該試料3の被
観察面と探針2の先端とを、マイクロメータヘッド6の
操作により数nm程度に近接せしめた後、両者間に所定の
バイアス電圧VT を印加し、対応するアクチュエータ素
子7,7の伸縮により探針2をX方向及びY方向に走査
して、この間に探針2と試料3との間に流れるトンネル
電流IT を検出し、これを一定に保つべく探針2をZ方
向に走査せしめる手順にて行われ、前記被観察面の表面
構造は、Z方向の走査のために対応するアクチュエータ
素子7に印加される電圧を画像信号として利用し、例え
ば、X,Y方向の全走査範囲に亘ってCRTディスプレ
イ上に画面表示されるようになっている。
【0042】本発明装置においては、アクチュエータ素
子7,7,7を介して探針固定装置4に支持された探針
ホルダ8に、板ばね11のばね力により探針2が強固に固
定されており、また試料固定装置5に板ばね52のばね力
により試料3が強固に固定されている。そして、これら
は共通の基台1上に探針固定装置4と試料固定装置5と
が固設されていることにより、前述した観察動作中、十
分に高い固有振動数にて一体的に振動するユニットとし
て挙動する。従って基台1を支持する前記除振台1a,1a
…として低い固有振動数を有するものを採用することに
より、高精度での安定した観察が可能である。
【0043】また探針ホルダ8への探針2の取り付け
は、前述した如く、保持溝10への固定板20の差し込みに
より、同じく取り外しは、固定板20の引き抜きにより、
共に容易に行え、先端の損傷に伴う探針2の交換を速や
かに行い得る。さらに試料ホルダ保持部材5bへの試料3
の取り付けは、前述した如く、試料ホルダ保持部材5bと
板ばね52, 52との間への試料ホルダ5aの差し込みによ
り、同じく取り外しは、試料ホルダ5aの引き抜きによ
り、共に容易に行え、試料3の交換を速やかに行い得
る。
【0044】以上の如き本発明装置は、図7に示す如く
構成された観察室Aの内部に構成されている。観察室A
は、排気管12を介して真空ポンプ13に接続され、該真空
ポンプ13の動作により常時高真空状態に維持されてい
る。この観察室Aには、小容積の試料導入室Bがゲート
バルブ14を介して連設してあり、両室A,Bは、ゲート
バルブ14の開放により相互に連通されるようになってい
る。
【0045】試料導入室Bは、その中途に排気弁15を備
えた排気管16を介して前記真空ポンプ13に接続され、ま
た、その中途に吸気弁17を備えた吸気管18を介して外気
に連通されており、排気弁15を開放し吸気弁17を閉止し
たときには、真空ポンプ13の動作により観察室Aと同等
の真空状態となり、逆に排気弁15を閉止し吸気弁17を開
放したときには、外気との連通により大気圧状態となる
ようにしてある。
【0046】試料導入室Bの一側には開閉扉19が設けて
あり、観察対象となる試料3の導入及び導出は、ゲート
バルブ14を閉止して観察室Aとの連通を断ち、吸気弁17
を開放して試料導入室Bの内部を大気圧状態とした後、
前記開閉扉19を開放して行われる。試料導入室Bには、
このように導入される試料3を観察室Aに搬入すると共
に、観察済みの試料3を観察室Aから搬出するための搬
送手段として、トランスファロッド30が備えられてい
る。
【0047】該トランスファロッド30は、試料導入室B
の外部にその基端を固定され、その中途に周設された固
定フランジ31を介して試料導入室Bのゲートバルブ14と
対向する外壁面に固定してあり、両固定位置間にて生じ
るマグネットカプラ32の動作により、試料導入室B内に
延設された出力ロッド33を進退動作させる構成となって
いる。出力ロッド33の先端は、該ロッド33の進出動作時
に、図中に破線にて示す如く、ゲートバルブ14を経て観
察室Aの内部にまで達するようになしてあり、この先端
部には搬送治具9が装着してある。
【0048】而して、試料導入室Bに導入される試料3
は、出力ロッド33先端の搬送治具9に保持され、トラン
スファロッド30の進出動作により観察室Aに搬入された
後、該観察室Aの内部に設けられたマニピュレータM
(図6参照)に受け渡されて試料固定装置5に取り付け
られる。逆に観察済みの試料3は、前記マニピュレータ
Mの動作により試料固定装置5から取り外されて搬送治
具9に受け渡された後、トランスファロッド30の退入動
作により試料導入室Bに搬出される。
【0049】本発明装置においては、トランスファロッ
ド30の先端に装着されて試料3の搬出入に供される搬送
治具9が、前述した如く行われる探針2の交換に際して
も利用すべく、図8に示す構成となっている。
【0050】図示の如く搬送治具9は、一側端面にトラ
ンスファロッド30を嵌挿して固定するための嵌挿孔90を
備え、また上面には矩形断面を有する適宜深さの凹部91
を備えている。該凹部91の一側には、細幅の保持溝92が
連設されており、この保持溝92内には、前記探針ホルダ
8における保持溝10の場合と同様に、搬送治具9の上面
にその基端部をネジ止め固定された板ばね93の先端側が
適長侵入せしめられており、一側の側壁に弾接させてあ
る。さらに搬送治具9の上面には、試料ホルダ5aが嵌入
する形状,大きさの保持溝94が前記保持溝92と所定間隔
を隔てて並設されている。
【0051】以上の如き搬送治具9は、試料3の搬送に
際しては、搬送すべき試料3が固定された試料ホルダ5a
を前記保持溝94に収納して用いられる一方、探針2の搬
送に際しては、該探針2が固設された固定板20を、図示
の如く、探針2の先端を凹部91側に向けた状態で保持溝
92に差し込み、該保持溝92の側壁とこれに弾接する板ば
ね93との間に挾持固定せしめて用いられる。
【0052】これにより探針2は、固定板20を介して搬
送治具9に確実に保持され、探針2の先端は、凹部91の
周壁にて囲まれた状態となるから、トランスファロッド
30の進退動作に伴う観察室Aへの搬入及び観察室Aから
の搬出に際し、前記先端を完全に保護することができ
る。さらに探針及び試料を同時に導入することができる
ため、真空破壊の回数を低減でき作業効率が著しく向上
する。
【0053】なお本実施例においては、試料3の搬送手
段であるトランスファロッド30を探針2の搬送手段とし
て利用し、またこれに装着して用いる搬送治具9を試料
3用のそれと共用しているが、探針2又は試料3に専用
の搬送手段及び搬送治具を別個に設けてもよい。
【0054】また本実施例においては、探針ホルダ8に
探針2を固定する、又は試料ホルダ保持部材5bに試料ホ
ルダ5aを固定する固定ばねとして板ばね11を用いたが、
コイルばね等の他の種類のばねを用いることも可能であ
る。更に本実施例においては、探針ホルダ8への取り付
け及び取り外しに際しての取扱いを容易化するため探針
2を薄肉の固定板20に固設する構成としたが、この固定
板20に換えて棒状又はブロック状の固定部材を用いても
よく、またマニピュレータMにより探針2そのものを取
り扱うようにしてもよい。さらに本実施例においては、
試料ホルダ5aの形状を直方体とし、試料ホルダ保持部材
5bの形状をL字型としたが、これらに限られるものでは
なく、他の形状とすることも可能である。
【0055】図9は以上の如き構成の本発明装置により
グラファイト単結晶(0001)面を観察した映像を示す写真
である。床振動又は磁場の影響がある場合は明瞭に観察
することが困難であるグラファイトの原子構造が明瞭に
観察されている。図9において凸の1つ1つがグラファ
イトの原子に対応しており、その間隔は0.25nmである。
このように本発明装置によれば床振動の影響を完全に消
去することが可能である。
【0056】
【発明の効果】以上詳述した如く本発明装置において
は、探針ホルダが保持溝とこれの一側壁に弾接する固定
ばねを備えており、探針の取り付け及び取り外しが、固
定ばねと側壁との間への差し込み、及び固定ばねと側壁
との間からの引き抜きにより夫々容易に行える一方、取
り付け後の探針は、固定ばねのばね力により前記側壁と
の間に強固に挾持固定されるから、試料に対する探針の
相対振動を十分に抑制できる。
【0057】また、試料ホルダ保持部材はこの一側壁に
弾接する固定ばねを備えており、試料の取り付け及び取
り外しが、固定ばねと試料ホルダ保持部材の側壁との間
への差し込み、及び固定ばねと側壁との間からの引き抜
きにより夫々容易に行える一方、取り付け後の試料は、
固定ばねのばね力により前記側壁との間に強固に挾持固
定されるから、探針に対する試料の相対振動を十分に抑
制できる。
【0058】さらに観察室に連設された試料導入室に両
室間にて移動可能な搬送手段と、この搬送手段に装着さ
れ探針及び/又は試料の保持部を有する搬送治具とが設
けてあり、先端の損傷に伴う探針及び/又は試料の交換
に際し、搬送治具に探針及び/又は試料を保持させ搬送
手段を動作させることにより、観察室の高真空を維持し
たままの搬出入が可能となり、前述した探針及び/又は
試料の支持構造の改良との相乗効果により、交換時間の
短縮化が図れ、高精度での安定した観察が短時間にて行
える等、本発明は優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るトンネル顕微鏡装置の要部の構成
を示す模式的側面図である。
【図2】本発明装置の探針支持構造を示す斜視図であ
る。
【図3】本発明装置における探針の固定状態を示す正面
図である。
【図4】本発明装置の試料支持構造を示す斜視図であ
る。
【図5】本発明装置における試料の固定状態を示す正面
図である。
【図6】マニピュレータの先端部及びその把持方法を示
す説明図である。
【図7】本発明装置における観察室と試料導入室と両室
間の搬送手段の構成を示す平面図である。
【図8】本発明装置における搬送治具の一例を示す斜視
図である。
【図9】本発明装置によるグラファイトの観察結果を示
す写真である。
【図10】従来のトンネル顕微鏡装置の要部の構成を示
す模式的側面図である。
【図11】探針の先端形状と分解能との関係を示す説明
図である。
【図12】探針先端の曲率半径と分解能との関係を示す
グラフである。
【図13】規格化振動数と伝達係数との関係を示すグラ
フである。
【符号の説明】
1 基台 2 探針 3 試料 4 探針固定装置 5 試料固定装置 5a 試料ホルダ 5b 試料ホルダ保持部材 7 アクチュエータ素子 8 探針ホルダ 9 搬送治具 10 保持溝 11 板ばね 20 固定板 30 トランスファロッド A 観察室 B 試料導入室 M マニピュレータ 51 フック 52 板ばね
【手続補正書】
【提出日】平成5年6月28日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図9
【補正方法】変更
【補正内容】
【図9】本発明装置によるグラファイトの結晶構造を示
す写真である。
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図9
【補正方法】変更
【補正内容】
【図9】

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高真空状態に維持された観察室の内部
    に、試料を固定支持する試料固定装置と、該試料の一面
    に沿っての移動、及び同面に接離する向きへの移動自在
    に探針を保持する探針ホルダとを備え、前記探針の先端
    とこれに近接する前記試料との間に流れるトンネル電流
    に基づいて前記一面の表面構造を観察し得るようになし
    たトンネル顕微鏡装置において、前記探針ホルダは、前
    記試料との対向面にその一端を開口させてなる保持溝
    と、この保持溝の一側壁に弾接し、該側壁との間に前記
    探針を挾持固定する固定ばねとを具備することを特徴と
    するトンネル顕微鏡装置。
  2. 【請求項2】 前記試料を固定する試料ホルダと該試料
    ホルダを弾性的に保持する試料ホルダ保持部材とからな
    る前記試料固定装置を備え、前記試料ホルダ保持部材は
    試料面を探針の長手方向と垂直に固定する固定ばねを具
    備することを特徴とする請求項1記載のトンネル顕微鏡
    装置。
  3. 【請求項3】 前記観察室にゲートバルブを介して連設
    された試料導入室と、外部からの操作により両室間での
    移動可能に装備された搬送手段と、該搬送手段の移動端
    に装着され、前記探針の保持部を有する搬送治具とを備
    え、前記観察室に、前記探針ホルダと前記搬送治具との
    間にて前記探針の受渡しを行うマニピュレータを備える
    ことを特徴とする請求項1記載のトンネル顕微鏡装置。
  4. 【請求項4】 高真空状態に維持された観察室の内部
    に、試料を固定支持する試料固定装置と、該試料の一面
    に沿っての移動、及び同面に接離する向きへの移動自在
    に探針を保持する探針ホルダとを備え、前記探針の先端
    とこれに近接する前記試料との間に流れるトンネル電流
    に基づいて前記一面の表面構造を観察し得るようになし
    たトンネル顕微鏡装置において、前記試料を固定する試
    料ホルダと該試料ホルダを弾性的に保持する試料ホルダ
    保持部材とからなる前記試料固定装置を備え、前記試料
    ホルダ保持部材は試料面を探針の長手方向と垂直に固定
    する固定ばねを具備することを特徴とするトンネル顕微
    鏡装置。
  5. 【請求項5】 前記観察室にゲートバルブを介して連設
    された試料導入室と、外部からの操作により両室間での
    移動可能に装備された搬送手段と、該搬送手段の移動端
    に装着され、前記試料の保持部を有する搬送治具とを備
    え、前記観察室に、前記試料固定装置と前記搬送治具と
    の間にて前記試料の受渡しを行うマニピュレータを備え
    ることを特徴とする請求項2記載のトンネル顕微鏡装
    置。
JP35250492A 1991-12-11 1992-12-09 トンネル顕微鏡装置 Pending JPH05340714A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP35250492A JPH05340714A (ja) 1991-12-11 1992-12-09 トンネル顕微鏡装置

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP35160991 1991-12-11
JP3-351609 1991-12-11
JP35250492A JPH05340714A (ja) 1991-12-11 1992-12-09 トンネル顕微鏡装置

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JPH05340714A true JPH05340714A (ja) 1993-12-21

Family

ID=26579446

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Application Number Title Priority Date Filing Date
JP35250492A Pending JPH05340714A (ja) 1991-12-11 1992-12-09 トンネル顕微鏡装置

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JP (1) JPH05340714A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH09318638A (ja) * 1996-05-27 1997-12-12 Jeol Ltd カンチレバーホルダ

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH09318638A (ja) * 1996-05-27 1997-12-12 Jeol Ltd カンチレバーホルダ

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