JPH0542427B2 - - Google Patents
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- JPH0542427B2 JPH0542427B2 JP59145510A JP14551084A JPH0542427B2 JP H0542427 B2 JPH0542427 B2 JP H0542427B2 JP 59145510 A JP59145510 A JP 59145510A JP 14551084 A JP14551084 A JP 14551084A JP H0542427 B2 JPH0542427 B2 JP H0542427B2
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- naphthylglycine
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Description
(産業上の利用分野)
本発明は、半合成β−ラクタム抗生物質などの
医薬の合成中間体として有用なD−ナフチルグリ
シンの前駆物質となる新規化合物N−カルバモイ
ル−D−ナフチルグリシンに関する。さらに詳し
くは本発明は、(1)一般式() 〔式中、α炭素はR配置を示す〕 で表わされるN−カルバモイル−D−ナフチルグ
リシン。 式()に属する化合物としては、
医薬の合成中間体として有用なD−ナフチルグリ
シンの前駆物質となる新規化合物N−カルバモイ
ル−D−ナフチルグリシンに関する。さらに詳し
くは本発明は、(1)一般式() 〔式中、α炭素はR配置を示す〕 で表わされるN−カルバモイル−D−ナフチルグ
リシン。 式()に属する化合物としては、
【式】
で表わされるN−カルバモイル−D−(1−ナフ
チル)グリシンと、
チル)グリシンと、
【式】で表わされるN
−カルバモイル−D−(2−ナフチル)グリシン
が該当する。及び、(2)一般式 で表わされる5−ナフチルヒダントインを、微生
物の菌体内酵素を利用して生化学的に加水分解す
ることによりN−カルバモイル−D−ナフチルグ
リシンを製造する方法に関する。 (発明が解決しようとする問題点) 本発明者らは、先に5−フエニルヒダントイン
または5−(置換フエニル)ヒダントイン類に微
生物酵素を作用させてN−カルバモイル−D−フ
エニルグリシンまたはその置換誘導体を製造する
方法を特願昭51−11575号、特願昭51−145748号
および特願昭52−48717号として出願し、天然ア
ミノ酸類またはそれらの置換誘導体に対応する5
−置換ヒダントイン類から同様にしてN−カルバ
モイル−D−α−アミノ酸類を製造する方法を特
願昭51−157713号として出願した。また5−チエ
ニルヒダントインに、微生物酵素を作用させてN
−カルバモイル−D−チエニルグリシンを製造す
る方法を特願昭53−30062号として出願した。本
発明は前記技術の発展の一つとして5−ナフチル
ヒダントインへの適用を確認したものである。 本発明の目的化合物N−カルバモイル−D−ナ
フチルグリシンは、医薬などの合成中間体として
有用なD−ナフチルグリシン合成の前駆物質であ
り、文献未記載の新規な化合物である。 (問題点を解決するための手段及び作用効果) 本発明の要点は次式で表わされる。 上記のように、本発明は5−ナフチルヒダント
インに、ヒダントイン環を立体特異的に加水分解
してN−カルバモイル−D−ナフチルグリシンを
生成させる能力を有する微生物の培養物、菌体ま
たは菌体処理物をPH7〜10の水性媒体中で作用さ
せることを特徴とする新規化合物N−カルバモイ
ル−D−ナフチルグリシン及びその製造法に関す
るものである。 この場合、基質の5−ナフチルヒダントインが
5−(1−ナフチル)ヒダントイン、5−(2−ナ
フチル)ヒダントインのいずれの場合にでも本発
明を適用することができ、それぞれN−カルバモ
イル−D−(1−ナフチル)グリシン、N−カル
バモイル−D−(2−ナフチル)グリシンを生成
する。 本発明の方法を利用することにより、安価な微
生物酵素源を用いてDL−5−ナフチルヒダント
インの全量をほぼ定量的にD体のN−カルバモイ
ル−D−ナフチルグリシンに変換させることも可
能である。N−カルバモイル−D−ナフチルグリ
シンは、例えば亜硝酸との反応によつて高収率で
D−ナフチルグリシンに変換されるので、本発明
はD−ナフチルグリシンの工業的製法として極め
て有利な手段を提供するものである。以下に本発
明を詳細に説明する。 本発明で原料として用いられる5−ナフチルヒ
ダントインは、通常は、化学合成で得られるDL
体を使用するのが適当である。DL−5−ナフチ
ルヒダントインは、公知のヒダントイン合成法
(別名Bucherer−Berg法)を利用して、例えば
1、または2−ナフトアルデヒドに青酸ソーダと
重炭酸アンモニウムを反応させることによつてそ
れぞれ、5−(1−ナフチル)ヒダントインまた
は5−(2−ナフチル)ヒダントインを合成する
ことができる。 本発明で使用される微生物は、5−ナフチルヒ
ダントインのヒダントイン環を立体特異的に加水
分解してN−カルバモイル−D−ナフチルグリシ
ンを生成させる能力を有するもので、自然界に存
在する野生株、公的な微生物保存機関に保存され
ている菌株、あるいはそれから人工的に変異誘導
した微生物などから、前記能力の有無を調べるこ
とによつて選択されるものである。 この能力の検定方法としては、例えば次のよう
な方法が用いられる。先づ微生物の培養物2mlを
遠心分離して菌体を集め、それを2mlの0.9%食
塩水で洗浄後再び遠心分離して菌体を集菌する。
この分離した菌体(湿重量40〜200mg)を濃度0.5
%のDL−5−(2−ナフチル)ヒダントイン懸濁
液2mlに加えてPH7〜10、温度30〜40℃に保つて
10〜40時間反応させる。反応後、適宜希釈しp−
ジメチルアミノベンズアルデヒドの濃塩酸溶液を
加えて発色させ、その液を遠心分離して菌体等の
不溶物を除き、次いで上澄液の吸光度を430nm
で測定して反応液中のN−カルバモイル−(2−
ナフチル)グリシン生成量を求める。 このようにして比較的高い変換率を示した菌株
については、実験規模を大きくして再度5−(2
−ナフチル)ヒダントインの加水分解反応を行な
い、生成したN−カルバモイル−(2−ナフチル)
グリシンを単離して、それがD体であると認めら
れた菌株を本発明に使用する微生物として採用す
る。このようにして得られた微生物は5−(1−
ナフチル)ヒダントインに対応しても同様に作用
しN−カルバモイル−(1−ナフチル)グリシン
を生成する。 本発明で使用する微生物は、細菌、方線菌、か
び、酵母および不完全菌の中から上記の検定に合
格するものが選ばれるが、本発明者らの研究によ
れば分類学的にみても極めて広範囲の種属の中に
見出すことができる。それら菌株の具体的な例示
は、既に特開昭51−11575号、特願昭51−145748
号、特願昭51−157713号、特願昭52−48717号お
よび特願昭53−30062号の明細書中に記載されて
いるが、5−ナフチルヒダントインに対して特に
高活性を示す微生物で細菌に属するものとして
は、アエロバクター属、アグロバクテリウム属、
バチルス属、ブレビバクテリウム属、コリネバク
テリウム属、ミクロバクテリウム属、シユードモ
ナス属など;放線菌に属するものとしては、アク
チノミセス属、ミコバクテリウム属、ノカルデイ
ア属、ストレプトミセス属などの中に見出されて
いる。 本発明の方法は、微生物の菌体またはその処理
物の形態で菌体内酵素の作用を利用するものであ
るが、この酵素は天然栄養源を含有する通常の培
地で微生物を培養することによつて菌体内に生成
蓄積させることができる。培養は通常液体培地で
行なわれるが、固体表面培養によつても行なうこ
とができる。培地には通常、資化し得る炭素源、
窒素源および各微生物の生育に必要な無機塩なら
びに栄養素とを含有させるが、更に各種のピリミ
ジン系核酸塩基類またはそれらの誘導体、或いは
各種のヒダントイン類を0.05〜0.3%添加して所
望の酵素を適応的に増強させることが望ましい。
酵素誘導効果の高いピリミジン系核酸塩基類とし
ては、ウラシル、シトシンおよびチミンがあり、
それらの誘導体としてはジヒドロウラシル、ジヒ
ドロチミンなどがある。またヒダントイン類の中
ではヒダントイン、DL−5−メチルヒダントイ
ンなどが比較的好ましい。しかし多くの微生物に
共通して、実用的に最も好ましい酵素誘導基質は
ウラシルである。培養条件は、使用する微生物の
至適生育条件に応じて温度20〜65℃、PH4〜11の
範囲が用いられる。培養中には通気撹拌を行なつ
て微生物の生育を促進させることもできる。 5−ナフチルヒダントインの加水分解反応に
は、前記のようにして培養した微生物を培養物、
菌体または菌体処理物の形態で使用する。通常微
生物の培養液をそのまま反応に使用することがで
きるが、培養液中の成分が障害になる場合や酵素
量を多く用いたい場合には、培養液から分離した
菌体を使用すればよい。菌体は生菌体のままで使
用目的を達するが、貯蔵あるいは取扱いの便宜か
ら凍結乾燥菌体として用いることもできる。また
菌体そのものでなく、菌体破砕物や菌体抽出物の
ような菌体処理物の状態で使用することも可能で
ある。更に上記の菌体または菌体処理物を公知の
方法で固定化したものも使用することができる。 5−ナフチルヒダントインに微生物の培養物、
菌体または菌体処理物を作用させるには、通常水
性媒体中で両者を混合する方法が用いられる。5
−ナフチルヒダントインの反応液中での濃度につ
いては特に制限はないが、1〜30%程度の高濃度
では基質は完全には溶解しない。しかし反応の進
行に伴つて5−ナフチルヒダントインが逐次溶解
していくので何ら支障にはならない。 本発明において用いられる微生物酵素の真の基
質はD体であり、D体の5−ナフチルヒダントイ
ンのみが選択的に加水分解されて、カルバモイル
体に変換される。一般に、5−置換ヒダントイン
は、容易にラセミ化しやすい性質を有することが
知られているが、本酵素反応条件のような穏和な
条件においても、基質である5−ナフチルヒダン
トインは、実際、酵素反応中常にラセミ化状態に
あり、酵素反応の進行に伴つてD体が消費されて
も、加水分解されないL体の迅速なラセミ化によ
り反応系には常にD体が補給される。このように
ラセミ化反応が酵素反応と併行して進むというこ
とから、L体も間接的な基質とみなすことができ
る。従つて原料の5−ナフチルヒダントインは、
DL体、D体、L体のいずれであつても、実際的
な効果には殆んど差がないことになる。一方、生
成物であるN−カルバモイル−D−ナフチルグリ
シンは全くラセミ化されることはない。これらの
結果として、酵素反応の基質として、DL体、D
体またはL体のいずれを用いても生成物として
は、常にD体のN−カルバモイル−ナフチルグリ
シンを、対掌体基質を残すことなく、ほぼ定量的
な収率で得ることも可能である。 水性媒体中で5−ナフチルヒダントインの立体
特異的加水分解反応を行なう際に、実用上好まし
いPHの範囲は7〜10であり、特に好ましいのは8
〜9である。活性の高い微生物を使用して、この
ような条件で反応を行なえば非常に高収率で目的
物を得ることができる。PH7未満では反応速度は
極めて小さく、PH10を超えると好ましくない副反
応を生じるので、いずれも実用性には乏しい。PH
7〜10が好ましい理由としては、本発明で利用さ
れる微生物酵素の至適PHが8〜9付近にあるこ
と、PHが増すにつれて基質の溶解度が増すこと、
ならびにヒダントイン環のラセミ化反応がアルカ
リ性において効果的に促進されることなどによつ
て結果的に5−ナフチルヒダントインからN−カ
ルバモイル−D−ナフチルグリシンへの変換速度
が増大することにある。反応の進行に伴つて媒体
のPHが低下するので、反応中、継続的に中和剤を
添加して至適PHに保持することが望ましい。中和
剤としては、アンモニア、苛性ソーダ、苛性カ
リ、炭酸ソーダなどが適当である。その他、目的
に応じて水性媒体に有機溶媒や界面活性剤を添加
して反応を行なわせることもできる。反応温度
は、使用する微生物の酵素に適した温度が採用さ
れるが、通常20〜70℃の範囲内にある。 加水分解によつて生成したN−カルバモイル−
D−ナフチルグリシンは、沈殿法あるいは陰イオ
ン交換樹脂を利用するなど、通常の方法により単
離することができるが、単離をしないでそのまま
鉱酸酸性下、亜硝酸と反応させることにより容易
にD−ナフチルグリシンに変換される。 D−ナフチルグリシンは半合成β−ラクタム抗
生物質等、医薬の製造中間体として重要な化合物
であるが、本発明による新規な方法により得られ
る新規な化合物N−カルバモイル−D−ナフチル
グリシンを用いることにより、その製造を工業的
に有利に行なうことができるのである。 (実施例) 以下実施例によつて本発明を具体的に説明する
が、本発明はこれらの例のみに限定されるもので
はない。 実施例 1 下記組成からなる栄養液体培地を調製し、綿栓
をした大型試験管に10mlずつ分注して120℃で15
分間蒸気殺菌を行なつた。 培地組成: 肉エキス 0.5%(重量%) 酵母エキス 0.5% ポリペプトン 1.0% NaCl 0.15% ウラシル 0.1% PH 7.0 予め、ブイヨン寒天スラントで30℃、24時間培
養した表−1に示す微生物を上記栄養液体培地に
一白金耳接種して33℃で24時間振とう下に培養を
行なつた。これらの培養液の4mlを用い、遠心分
離して得た生菌体を更に同量の0.9%食塩水で洗
浄したのち、再び遠心分離して集菌し、下記の反
応液成分として使用した。 反応液組成: (1) DL−5−(2−ナフチル)ヒダントインを
0.05M NaHCO3−Na2CO3緩衝液に加え、PH
8.7に調製した濃度8.85mM〔0.2%(w/v)〕
の基質懸濁液……4.0ml (2) 前記、40ml培養液より遠心分離、洗浄した生
菌体。 上記(1)と(2)を混合し、よく菌体を懸濁した反応
液を夫々共栓付小型試験管に入れ、緩く振とうし
ながら37℃で48時間反応させた。尚、対照として
基質懸濁液(1)に生菌体を加えないものを同様に反
応条件下においた。反応後、反応液をそれぞれ純
水で5倍に希釈した後、希釈液4.0mlに対し20%
トリクロル酢酸2.0ml、10%p−ジメチルアミノ
ベンズアルデヒドの12N塩酸溶液1.0mlを加えて
混合した。この黄色に発色した液を遠心分離して
不溶物を除き430nmの吸光度を測定してN−カ
ルバモイル−(2−ナフチル)グリシンを比色定
量した。その結果、反応液中に生成したN−カル
バモイル−(2−ナフチル)グリシンの量とDL−
5−(2−ナフチル)ヒダントインからの変換率
は、各微生物について夫々表−1に示す通りであ
つた。
が該当する。及び、(2)一般式 で表わされる5−ナフチルヒダントインを、微生
物の菌体内酵素を利用して生化学的に加水分解す
ることによりN−カルバモイル−D−ナフチルグ
リシンを製造する方法に関する。 (発明が解決しようとする問題点) 本発明者らは、先に5−フエニルヒダントイン
または5−(置換フエニル)ヒダントイン類に微
生物酵素を作用させてN−カルバモイル−D−フ
エニルグリシンまたはその置換誘導体を製造する
方法を特願昭51−11575号、特願昭51−145748号
および特願昭52−48717号として出願し、天然ア
ミノ酸類またはそれらの置換誘導体に対応する5
−置換ヒダントイン類から同様にしてN−カルバ
モイル−D−α−アミノ酸類を製造する方法を特
願昭51−157713号として出願した。また5−チエ
ニルヒダントインに、微生物酵素を作用させてN
−カルバモイル−D−チエニルグリシンを製造す
る方法を特願昭53−30062号として出願した。本
発明は前記技術の発展の一つとして5−ナフチル
ヒダントインへの適用を確認したものである。 本発明の目的化合物N−カルバモイル−D−ナ
フチルグリシンは、医薬などの合成中間体として
有用なD−ナフチルグリシン合成の前駆物質であ
り、文献未記載の新規な化合物である。 (問題点を解決するための手段及び作用効果) 本発明の要点は次式で表わされる。 上記のように、本発明は5−ナフチルヒダント
インに、ヒダントイン環を立体特異的に加水分解
してN−カルバモイル−D−ナフチルグリシンを
生成させる能力を有する微生物の培養物、菌体ま
たは菌体処理物をPH7〜10の水性媒体中で作用さ
せることを特徴とする新規化合物N−カルバモイ
ル−D−ナフチルグリシン及びその製造法に関す
るものである。 この場合、基質の5−ナフチルヒダントインが
5−(1−ナフチル)ヒダントイン、5−(2−ナ
フチル)ヒダントインのいずれの場合にでも本発
明を適用することができ、それぞれN−カルバモ
イル−D−(1−ナフチル)グリシン、N−カル
バモイル−D−(2−ナフチル)グリシンを生成
する。 本発明の方法を利用することにより、安価な微
生物酵素源を用いてDL−5−ナフチルヒダント
インの全量をほぼ定量的にD体のN−カルバモイ
ル−D−ナフチルグリシンに変換させることも可
能である。N−カルバモイル−D−ナフチルグリ
シンは、例えば亜硝酸との反応によつて高収率で
D−ナフチルグリシンに変換されるので、本発明
はD−ナフチルグリシンの工業的製法として極め
て有利な手段を提供するものである。以下に本発
明を詳細に説明する。 本発明で原料として用いられる5−ナフチルヒ
ダントインは、通常は、化学合成で得られるDL
体を使用するのが適当である。DL−5−ナフチ
ルヒダントインは、公知のヒダントイン合成法
(別名Bucherer−Berg法)を利用して、例えば
1、または2−ナフトアルデヒドに青酸ソーダと
重炭酸アンモニウムを反応させることによつてそ
れぞれ、5−(1−ナフチル)ヒダントインまた
は5−(2−ナフチル)ヒダントインを合成する
ことができる。 本発明で使用される微生物は、5−ナフチルヒ
ダントインのヒダントイン環を立体特異的に加水
分解してN−カルバモイル−D−ナフチルグリシ
ンを生成させる能力を有するもので、自然界に存
在する野生株、公的な微生物保存機関に保存され
ている菌株、あるいはそれから人工的に変異誘導
した微生物などから、前記能力の有無を調べるこ
とによつて選択されるものである。 この能力の検定方法としては、例えば次のよう
な方法が用いられる。先づ微生物の培養物2mlを
遠心分離して菌体を集め、それを2mlの0.9%食
塩水で洗浄後再び遠心分離して菌体を集菌する。
この分離した菌体(湿重量40〜200mg)を濃度0.5
%のDL−5−(2−ナフチル)ヒダントイン懸濁
液2mlに加えてPH7〜10、温度30〜40℃に保つて
10〜40時間反応させる。反応後、適宜希釈しp−
ジメチルアミノベンズアルデヒドの濃塩酸溶液を
加えて発色させ、その液を遠心分離して菌体等の
不溶物を除き、次いで上澄液の吸光度を430nm
で測定して反応液中のN−カルバモイル−(2−
ナフチル)グリシン生成量を求める。 このようにして比較的高い変換率を示した菌株
については、実験規模を大きくして再度5−(2
−ナフチル)ヒダントインの加水分解反応を行な
い、生成したN−カルバモイル−(2−ナフチル)
グリシンを単離して、それがD体であると認めら
れた菌株を本発明に使用する微生物として採用す
る。このようにして得られた微生物は5−(1−
ナフチル)ヒダントインに対応しても同様に作用
しN−カルバモイル−(1−ナフチル)グリシン
を生成する。 本発明で使用する微生物は、細菌、方線菌、か
び、酵母および不完全菌の中から上記の検定に合
格するものが選ばれるが、本発明者らの研究によ
れば分類学的にみても極めて広範囲の種属の中に
見出すことができる。それら菌株の具体的な例示
は、既に特開昭51−11575号、特願昭51−145748
号、特願昭51−157713号、特願昭52−48717号お
よび特願昭53−30062号の明細書中に記載されて
いるが、5−ナフチルヒダントインに対して特に
高活性を示す微生物で細菌に属するものとして
は、アエロバクター属、アグロバクテリウム属、
バチルス属、ブレビバクテリウム属、コリネバク
テリウム属、ミクロバクテリウム属、シユードモ
ナス属など;放線菌に属するものとしては、アク
チノミセス属、ミコバクテリウム属、ノカルデイ
ア属、ストレプトミセス属などの中に見出されて
いる。 本発明の方法は、微生物の菌体またはその処理
物の形態で菌体内酵素の作用を利用するものであ
るが、この酵素は天然栄養源を含有する通常の培
地で微生物を培養することによつて菌体内に生成
蓄積させることができる。培養は通常液体培地で
行なわれるが、固体表面培養によつても行なうこ
とができる。培地には通常、資化し得る炭素源、
窒素源および各微生物の生育に必要な無機塩なら
びに栄養素とを含有させるが、更に各種のピリミ
ジン系核酸塩基類またはそれらの誘導体、或いは
各種のヒダントイン類を0.05〜0.3%添加して所
望の酵素を適応的に増強させることが望ましい。
酵素誘導効果の高いピリミジン系核酸塩基類とし
ては、ウラシル、シトシンおよびチミンがあり、
それらの誘導体としてはジヒドロウラシル、ジヒ
ドロチミンなどがある。またヒダントイン類の中
ではヒダントイン、DL−5−メチルヒダントイ
ンなどが比較的好ましい。しかし多くの微生物に
共通して、実用的に最も好ましい酵素誘導基質は
ウラシルである。培養条件は、使用する微生物の
至適生育条件に応じて温度20〜65℃、PH4〜11の
範囲が用いられる。培養中には通気撹拌を行なつ
て微生物の生育を促進させることもできる。 5−ナフチルヒダントインの加水分解反応に
は、前記のようにして培養した微生物を培養物、
菌体または菌体処理物の形態で使用する。通常微
生物の培養液をそのまま反応に使用することがで
きるが、培養液中の成分が障害になる場合や酵素
量を多く用いたい場合には、培養液から分離した
菌体を使用すればよい。菌体は生菌体のままで使
用目的を達するが、貯蔵あるいは取扱いの便宜か
ら凍結乾燥菌体として用いることもできる。また
菌体そのものでなく、菌体破砕物や菌体抽出物の
ような菌体処理物の状態で使用することも可能で
ある。更に上記の菌体または菌体処理物を公知の
方法で固定化したものも使用することができる。 5−ナフチルヒダントインに微生物の培養物、
菌体または菌体処理物を作用させるには、通常水
性媒体中で両者を混合する方法が用いられる。5
−ナフチルヒダントインの反応液中での濃度につ
いては特に制限はないが、1〜30%程度の高濃度
では基質は完全には溶解しない。しかし反応の進
行に伴つて5−ナフチルヒダントインが逐次溶解
していくので何ら支障にはならない。 本発明において用いられる微生物酵素の真の基
質はD体であり、D体の5−ナフチルヒダントイ
ンのみが選択的に加水分解されて、カルバモイル
体に変換される。一般に、5−置換ヒダントイン
は、容易にラセミ化しやすい性質を有することが
知られているが、本酵素反応条件のような穏和な
条件においても、基質である5−ナフチルヒダン
トインは、実際、酵素反応中常にラセミ化状態に
あり、酵素反応の進行に伴つてD体が消費されて
も、加水分解されないL体の迅速なラセミ化によ
り反応系には常にD体が補給される。このように
ラセミ化反応が酵素反応と併行して進むというこ
とから、L体も間接的な基質とみなすことができ
る。従つて原料の5−ナフチルヒダントインは、
DL体、D体、L体のいずれであつても、実際的
な効果には殆んど差がないことになる。一方、生
成物であるN−カルバモイル−D−ナフチルグリ
シンは全くラセミ化されることはない。これらの
結果として、酵素反応の基質として、DL体、D
体またはL体のいずれを用いても生成物として
は、常にD体のN−カルバモイル−ナフチルグリ
シンを、対掌体基質を残すことなく、ほぼ定量的
な収率で得ることも可能である。 水性媒体中で5−ナフチルヒダントインの立体
特異的加水分解反応を行なう際に、実用上好まし
いPHの範囲は7〜10であり、特に好ましいのは8
〜9である。活性の高い微生物を使用して、この
ような条件で反応を行なえば非常に高収率で目的
物を得ることができる。PH7未満では反応速度は
極めて小さく、PH10を超えると好ましくない副反
応を生じるので、いずれも実用性には乏しい。PH
7〜10が好ましい理由としては、本発明で利用さ
れる微生物酵素の至適PHが8〜9付近にあるこ
と、PHが増すにつれて基質の溶解度が増すこと、
ならびにヒダントイン環のラセミ化反応がアルカ
リ性において効果的に促進されることなどによつ
て結果的に5−ナフチルヒダントインからN−カ
ルバモイル−D−ナフチルグリシンへの変換速度
が増大することにある。反応の進行に伴つて媒体
のPHが低下するので、反応中、継続的に中和剤を
添加して至適PHに保持することが望ましい。中和
剤としては、アンモニア、苛性ソーダ、苛性カ
リ、炭酸ソーダなどが適当である。その他、目的
に応じて水性媒体に有機溶媒や界面活性剤を添加
して反応を行なわせることもできる。反応温度
は、使用する微生物の酵素に適した温度が採用さ
れるが、通常20〜70℃の範囲内にある。 加水分解によつて生成したN−カルバモイル−
D−ナフチルグリシンは、沈殿法あるいは陰イオ
ン交換樹脂を利用するなど、通常の方法により単
離することができるが、単離をしないでそのまま
鉱酸酸性下、亜硝酸と反応させることにより容易
にD−ナフチルグリシンに変換される。 D−ナフチルグリシンは半合成β−ラクタム抗
生物質等、医薬の製造中間体として重要な化合物
であるが、本発明による新規な方法により得られ
る新規な化合物N−カルバモイル−D−ナフチル
グリシンを用いることにより、その製造を工業的
に有利に行なうことができるのである。 (実施例) 以下実施例によつて本発明を具体的に説明する
が、本発明はこれらの例のみに限定されるもので
はない。 実施例 1 下記組成からなる栄養液体培地を調製し、綿栓
をした大型試験管に10mlずつ分注して120℃で15
分間蒸気殺菌を行なつた。 培地組成: 肉エキス 0.5%(重量%) 酵母エキス 0.5% ポリペプトン 1.0% NaCl 0.15% ウラシル 0.1% PH 7.0 予め、ブイヨン寒天スラントで30℃、24時間培
養した表−1に示す微生物を上記栄養液体培地に
一白金耳接種して33℃で24時間振とう下に培養を
行なつた。これらの培養液の4mlを用い、遠心分
離して得た生菌体を更に同量の0.9%食塩水で洗
浄したのち、再び遠心分離して集菌し、下記の反
応液成分として使用した。 反応液組成: (1) DL−5−(2−ナフチル)ヒダントインを
0.05M NaHCO3−Na2CO3緩衝液に加え、PH
8.7に調製した濃度8.85mM〔0.2%(w/v)〕
の基質懸濁液……4.0ml (2) 前記、40ml培養液より遠心分離、洗浄した生
菌体。 上記(1)と(2)を混合し、よく菌体を懸濁した反応
液を夫々共栓付小型試験管に入れ、緩く振とうし
ながら37℃で48時間反応させた。尚、対照として
基質懸濁液(1)に生菌体を加えないものを同様に反
応条件下においた。反応後、反応液をそれぞれ純
水で5倍に希釈した後、希釈液4.0mlに対し20%
トリクロル酢酸2.0ml、10%p−ジメチルアミノ
ベンズアルデヒドの12N塩酸溶液1.0mlを加えて
混合した。この黄色に発色した液を遠心分離して
不溶物を除き430nmの吸光度を測定してN−カ
ルバモイル−(2−ナフチル)グリシンを比色定
量した。その結果、反応液中に生成したN−カル
バモイル−(2−ナフチル)グリシンの量とDL−
5−(2−ナフチル)ヒダントインからの変換率
は、各微生物について夫々表−1に示す通りであ
つた。
【表】
実施例 2
下記の組成からなる液体栄養培地を調製し、綿
栓付大型試験管に10mlずつ分注して120℃で20分
間蒸気殺菌を行なつた。 培地組成: グルコース 2.0%(重量%) ソイビーン・ミール 1.0% 酵母エキス 0.25% (NH4)2SO4 0.10% CaCO3 0.5% K2HPO4 0.4% 5−(2−メチルチオエチル)−ヒダントイン
0.1% PH 7.0 予め、ベネツト寒天スラントで28℃、72時間培
養した表−2に示す微生物を上記栄養液体培地に
接種して28℃で44時間振とう下に培養を行なつ
た。この培養液40mlから菌体を遠心分離し、以下
実施例1と同様の処理を行なつて洗浄生菌体を得
た。そして、この生菌体を用いて実施例1と同様
の反応液組成で、37℃で48時間緩やかな振とう下
に反応を行なつた。反応後も実施例1と同様に分
析を行ない、反応液中に生成したN−カルバモイ
ル−(2−ナフチル)グリシン量を定量した。そ
の結果と、DL−5−(2−ナフチル)ヒダントイ
ンからの変換率は、各微生物について夫々表−2
に示す通りであつた。
栓付大型試験管に10mlずつ分注して120℃で20分
間蒸気殺菌を行なつた。 培地組成: グルコース 2.0%(重量%) ソイビーン・ミール 1.0% 酵母エキス 0.25% (NH4)2SO4 0.10% CaCO3 0.5% K2HPO4 0.4% 5−(2−メチルチオエチル)−ヒダントイン
0.1% PH 7.0 予め、ベネツト寒天スラントで28℃、72時間培
養した表−2に示す微生物を上記栄養液体培地に
接種して28℃で44時間振とう下に培養を行なつ
た。この培養液40mlから菌体を遠心分離し、以下
実施例1と同様の処理を行なつて洗浄生菌体を得
た。そして、この生菌体を用いて実施例1と同様
の反応液組成で、37℃で48時間緩やかな振とう下
に反応を行なつた。反応後も実施例1と同様に分
析を行ない、反応液中に生成したN−カルバモイ
ル−(2−ナフチル)グリシン量を定量した。そ
の結果と、DL−5−(2−ナフチル)ヒダントイ
ンからの変換率は、各微生物について夫々表−2
に示す通りであつた。
【表】
実施例 3
下記組成からなる栄養液体培地を調製し2000ml
容肩付振とうフラスコに250mlずつ分注し、120℃
で20分間蒸気殺菌を行なつた。 培地組成: 肉エキス 0.5%(重量%) ポリペプトン 1.0% 酵母エキス 0.5% NaCl 0.3% ウラシル 0.1% MnCl2・4H2O 20ppm PH 7.0 これに同一組成寒天培地で33℃にて24時間培養
した表−3に示す微生物を上記栄養液体培地に接
種して33℃にて24時間振とう下に培養を行なつ
た。この培養液から菌体を遠心分離し、以下実施
例1と同様に処理を行なつて洗浄生菌体を得た。
この生菌体をDL−5−(2−ナフチル)ヒダント
イン1g/dlを含む0.05M NaHCO3−Na2CO3
緩衝液(PH8.7)50mlに全量添加し、33℃に20時
間緩やかな振とう下に保持、反応させた。反応
後、反応液を遠心分離し、その上清を得て、生成
したN−カルバモイル−(2−ナフチル)グリシ
ン量を高速液体クロマトグラフイーにより分離定
量した(カラム;日本分光Finepak SIL C18、
4.6×250mm、36mM KH2PO4を含む0.02M−
H3PO4(PH2.5):MeOH=7:3、検出210nm)。 更に、この上清のPHを濃塩酸で1.5〜2に調製
するとN−カルバモイル2−(2−ナフチル)グ
リシンが沈殿して析出した。この沈殿を取し、
更にエタノールで再結晶して得られたN−カルバ
モイル−(2−ナフチル)グリシンの比旋光度を
測定した。以上の結果を各使用微生物ごとに表−
3に示す。比旋光度の測定結果からN−カルバモ
イル−(2−ナフチル)グリシンはすべてD体で
あることが確認された。
容肩付振とうフラスコに250mlずつ分注し、120℃
で20分間蒸気殺菌を行なつた。 培地組成: 肉エキス 0.5%(重量%) ポリペプトン 1.0% 酵母エキス 0.5% NaCl 0.3% ウラシル 0.1% MnCl2・4H2O 20ppm PH 7.0 これに同一組成寒天培地で33℃にて24時間培養
した表−3に示す微生物を上記栄養液体培地に接
種して33℃にて24時間振とう下に培養を行なつ
た。この培養液から菌体を遠心分離し、以下実施
例1と同様に処理を行なつて洗浄生菌体を得た。
この生菌体をDL−5−(2−ナフチル)ヒダント
イン1g/dlを含む0.05M NaHCO3−Na2CO3
緩衝液(PH8.7)50mlに全量添加し、33℃に20時
間緩やかな振とう下に保持、反応させた。反応
後、反応液を遠心分離し、その上清を得て、生成
したN−カルバモイル−(2−ナフチル)グリシ
ン量を高速液体クロマトグラフイーにより分離定
量した(カラム;日本分光Finepak SIL C18、
4.6×250mm、36mM KH2PO4を含む0.02M−
H3PO4(PH2.5):MeOH=7:3、検出210nm)。 更に、この上清のPHを濃塩酸で1.5〜2に調製
するとN−カルバモイル2−(2−ナフチル)グ
リシンが沈殿して析出した。この沈殿を取し、
更にエタノールで再結晶して得られたN−カルバ
モイル−(2−ナフチル)グリシンの比旋光度を
測定した。以上の結果を各使用微生物ごとに表−
3に示す。比旋光度の測定結果からN−カルバモ
イル−(2−ナフチル)グリシンはすべてD体で
あることが確認された。
【表】
【表】
実施例 4
実施例3と同様の組成からなる栄養液体培地を
調製し、500ml容肩付振とうフラスコに100mlずつ
分注し120℃にて20分間蒸気殺菌を行なつた。こ
れに綿栓をした大型試験管にて、同一組成培地10
mlで33℃で24時間培養したバシルス・スピーシー
ズ(Bacillus species)KNK108(FERM P−
6056)を2.0ml接種し、33℃で24時間振とう培養
を行なつた。この培養液100mlを200ml容四ツ口丸
底フラスコに入れ、窒素通気下、撹拌しながら
DL−5−(2−ナフチル)ヒダントイン1.0gを
加え、37℃で20時間反応させた。反応中1.0N−
NaOH溶液を用いて反応系のPHを8.7に継続的に
調節した。反応後、液のPHを7.0に調整して遠心
分離を行ない、未反応基質や菌体等の不溶物を除
去した。こうして得られた上澄液の一部をとり実
施例3と同様に高速液体クロマトグラフイーで分
析した結果、生成N−カルバモイル−D−(2−
ナフチル)グリシン量は0.95gであり、変換率は
88.0%であつた。 更に上澄液のPHを濃塩酸で1.5〜2に調整する
とN−カルバモイル−D−(2−ナフチル)グリ
シンが沈殿をして析出した。この沈殿を取し、
更にエタノールで再結晶して無色針状結晶0.69g
を得た。以上のようにして得たN−カルバモイル
−D−(2−ナフチル)グリシンの比旋光度、融
点、IR、NMRの結果を以下に示す。 〔α〕25 D=−146.2(C=1、0.1N NH4OH) mp 205〜207℃(decomp.) IR(cm-1);3460、3300、1905、1685、1635、
1560、1310、1280、1180、1007、809、755、
478(KBr) NMRDMSO-d6(δppm);5.20(1H、d、CH)、5.66
(2H、s、NH2)、6.83(1H、d、NH)、7.4〜
7.9(7H、m、ナフタレン環) 実施例 5 実施例4と同様に培養したバシルス・スピーシ
ーズKNK−108(FERM P−6056)の培養液100
mlを200ml容四ツ口丸底フラスコに入れ窒素通気
下、撹拌しながらDL−5−(1−ナフチル)ヒダ
ントイン1.0gを加え、37℃20時間反応させた。
反応中1.0N−NaOH溶液を用いて反応系のPHを
8.7に継続的に調節した。反応後、液のPHを7.0に
調整して遠心分離を行ない、未反応基質や菌体等
の不溶物を除去した。こうして得られた上澄液の
一部をとり実施例3、4と同様に高速液体クロマ
トグラフイーで分析した結果、生成N−カルバモ
イル−D−(1−ナフチル)グリシン量は0.87g
であり、変換率は80.6モル%であつた。 更に上澄液のPHを濃塩酸で1.5〜2に調製する
とN−カルバモイル−D−(1−ナフチル)グリ
シンが沈殿をして析出した。この沈殿を取し、
更にエタノールで再結して白色粉末結晶0.61gを
得た。 以上のようにして得たN−カルバモイル−D−
(1−ナフチル)グリシンの比旋光度、融点、
IR、NMRの結果を以下に示す。 〔α〕25 D=−161.7(C=1、0.1N NH4OH) mp
214〜217℃(decomp.) IR(cm-1);3460、3300、1920、1680、1630、
1560、1403、1310、1279、1180、1150、1008、
800、775(KBr) NMRDMSO-d6(δppm);5.67(2H、s、NH2)、
5.98(1H、d、CH)、6.88(1H、d、NH)、7.4
〜8.2(7H、m、ナフタレン環)
調製し、500ml容肩付振とうフラスコに100mlずつ
分注し120℃にて20分間蒸気殺菌を行なつた。こ
れに綿栓をした大型試験管にて、同一組成培地10
mlで33℃で24時間培養したバシルス・スピーシー
ズ(Bacillus species)KNK108(FERM P−
6056)を2.0ml接種し、33℃で24時間振とう培養
を行なつた。この培養液100mlを200ml容四ツ口丸
底フラスコに入れ、窒素通気下、撹拌しながら
DL−5−(2−ナフチル)ヒダントイン1.0gを
加え、37℃で20時間反応させた。反応中1.0N−
NaOH溶液を用いて反応系のPHを8.7に継続的に
調節した。反応後、液のPHを7.0に調整して遠心
分離を行ない、未反応基質や菌体等の不溶物を除
去した。こうして得られた上澄液の一部をとり実
施例3と同様に高速液体クロマトグラフイーで分
析した結果、生成N−カルバモイル−D−(2−
ナフチル)グリシン量は0.95gであり、変換率は
88.0%であつた。 更に上澄液のPHを濃塩酸で1.5〜2に調整する
とN−カルバモイル−D−(2−ナフチル)グリ
シンが沈殿をして析出した。この沈殿を取し、
更にエタノールで再結晶して無色針状結晶0.69g
を得た。以上のようにして得たN−カルバモイル
−D−(2−ナフチル)グリシンの比旋光度、融
点、IR、NMRの結果を以下に示す。 〔α〕25 D=−146.2(C=1、0.1N NH4OH) mp 205〜207℃(decomp.) IR(cm-1);3460、3300、1905、1685、1635、
1560、1310、1280、1180、1007、809、755、
478(KBr) NMRDMSO-d6(δppm);5.20(1H、d、CH)、5.66
(2H、s、NH2)、6.83(1H、d、NH)、7.4〜
7.9(7H、m、ナフタレン環) 実施例 5 実施例4と同様に培養したバシルス・スピーシ
ーズKNK−108(FERM P−6056)の培養液100
mlを200ml容四ツ口丸底フラスコに入れ窒素通気
下、撹拌しながらDL−5−(1−ナフチル)ヒダ
ントイン1.0gを加え、37℃20時間反応させた。
反応中1.0N−NaOH溶液を用いて反応系のPHを
8.7に継続的に調節した。反応後、液のPHを7.0に
調整して遠心分離を行ない、未反応基質や菌体等
の不溶物を除去した。こうして得られた上澄液の
一部をとり実施例3、4と同様に高速液体クロマ
トグラフイーで分析した結果、生成N−カルバモ
イル−D−(1−ナフチル)グリシン量は0.87g
であり、変換率は80.6モル%であつた。 更に上澄液のPHを濃塩酸で1.5〜2に調製する
とN−カルバモイル−D−(1−ナフチル)グリ
シンが沈殿をして析出した。この沈殿を取し、
更にエタノールで再結して白色粉末結晶0.61gを
得た。 以上のようにして得たN−カルバモイル−D−
(1−ナフチル)グリシンの比旋光度、融点、
IR、NMRの結果を以下に示す。 〔α〕25 D=−161.7(C=1、0.1N NH4OH) mp
214〜217℃(decomp.) IR(cm-1);3460、3300、1920、1680、1630、
1560、1403、1310、1279、1180、1150、1008、
800、775(KBr) NMRDMSO-d6(δppm);5.67(2H、s、NH2)、
5.98(1H、d、CH)、6.88(1H、d、NH)、7.4
〜8.2(7H、m、ナフタレン環)
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 式() で表わされるN−カルバモイル−D−ナフチルグ
リシン。 2 式()の化合物が、式 で表わされるN−カルバモイル−D−(1−ナフ
チル)グリシンである特許請求の範囲第1項記載
の化合物。 3 式()の化合物が、式 で表わされるN−カルバモイル−D−(2−ナフ
チル)グリシンである特許請求の範囲第1項記載
の化合物。 4 5−ナフチルヒダントインに、ヒダントイン
環を立体特異的に加水分解してN−カルバモイル
−D−ナフチルグリシンを生成させる能力を有す
るアエロバクター属、アグロバクテリウム属、バ
チルス属、ブレビバクテリウム属、コリネバクテ
リウム属、ミクロバクテリウム属、シユードモナ
ス属、アクチノミセス属、ミコバクテリウム属、
ノカルデイア属またはストレプトミセス属に属す
る微生物の培養物、菌体または菌体処理物をPH7
〜10の水性媒体中で作用させることを特徴とする
N−カルバモイル−D−ナフチルグリシンの製造
法。 5 微生物の菌体として、生菌体または乾燥菌体
を使用する特許請求の範囲第4項記載の製造法。 6 微生物の菌体処理物として、菌体破砕物また
は菌体抽出物を使用する特許請求の範囲第4項記
載の製造法。 7 微生物の菌体または菌体処理物として、菌体
または、菌体処理物の固定化物を用いる特許請求
の範囲第4項、第5項または第6項記載の製造
法。 8 培地にピリミジン系核酸塩基類または、それ
らの誘導体を添加して培養し、ヒダントイン環を
立体特異的に加水分解する能力を増強させた微生
物を使用する特許請求の範囲第4項、第5項、第
6項または第7項記載の製造法。 9 5−ナフチルヒダントインがDL体である特
許請求の範囲第4項記載の製造法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP14551084A JPS6125491A (ja) | 1984-07-12 | 1984-07-12 | N−カルバモイル−d−ナフチルグリシン及びその製造法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP14551084A JPS6125491A (ja) | 1984-07-12 | 1984-07-12 | N−カルバモイル−d−ナフチルグリシン及びその製造法 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPS6125491A JPS6125491A (ja) | 1986-02-04 |
| JPH0542427B2 true JPH0542427B2 (ja) | 1993-06-28 |
Family
ID=15386912
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP14551084A Granted JPS6125491A (ja) | 1984-07-12 | 1984-07-12 | N−カルバモイル−d−ナフチルグリシン及びその製造法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPS6125491A (ja) |
Families Citing this family (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP4892762B2 (ja) * | 2007-11-01 | 2012-03-07 | 日本発條株式会社 | スライド操作装置 |
Family Cites Families (5)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JPS6055891B2 (ja) * | 1978-09-28 | 1985-12-07 | オリンパス光学工業株式会社 | 磁気再生装置 |
| JPS561909A (en) * | 1979-06-20 | 1981-01-10 | Hitachi Cable Ltd | Connecting method of optical fiber |
| JPS561910A (en) * | 1979-06-21 | 1981-01-10 | Tokyo Optical Co Ltd | High resolving power lens |
| JPS5642914A (en) * | 1979-09-18 | 1981-04-21 | Tokyo Shibaura Electric Co | Capacitor type molded insulating cylinder |
| JPS6129953A (ja) * | 1984-07-20 | 1986-02-12 | Panafacom Ltd | トレ−ス制御方式 |
-
1984
- 1984-07-12 JP JP14551084A patent/JPS6125491A/ja active Granted
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPS6125491A (ja) | 1986-02-04 |
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Legal Events
| Date | Code | Title | Description |
|---|---|---|---|
| LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |