JPH055187A - オーステイナイト系ステンレス製硬質ねじ - Google Patents

オーステイナイト系ステンレス製硬質ねじ

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JPH055187A
JPH055187A JP3194858A JP19485891A JPH055187A JP H055187 A JPH055187 A JP H055187A JP 3194858 A JP3194858 A JP 3194858A JP 19485891 A JP19485891 A JP 19485891A JP H055187 A JPH055187 A JP H055187A
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明 吉野
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正昭 田原
Haruo Senbokutani
春男 仙北谷
Kenzo Kitano
憲三 北野
Teruo Minato
輝男 湊
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ねじ自体の表面硬度を高め、しかもねじ込み
時間の短縮等を実現する。 【構成】 ステンレス材製ねじ本体の表面層を窒化層に
形成し、この窒化層の表面をメツキ被膜または樹脂被膜
で被覆する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、表面層が硬質の窒化
層に形成され、この表面層がメツキ被膜または樹脂被膜
で被覆されているオーステイナイト系ステンレス製硬質
ねじに関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、ねじとしては各種のものがあ
り、図3,図4,図5に示すように、軽量鉄鋼板のよう
な下地材に石膏ボード,耐熱ボード等を取り付けるため
に用いられるタツピングねじ20、ドリリングタツピン
グねじ21、ドライウオールスクリユー22など各種の
ものがある。上記タツピングねじ20は、ねじ径よりも
小さな穴を下地材に開け、これにねじ込まれるものであ
り、またドリリングタツピングねじ21やドライウオー
ルスクリユー22などは下地穴を全く設けず、ねじ先の
ドリルや刃先によつてそれ自身で穿孔しねじ止めするも
のである。この種のねじの材質は、従来から鉄等の浸炭
品やステンレス材から構成されている。特に、この種の
ステンレス材でもニツケルを全く含まないマルテンサイ
ト系のSUS410が多用されている。このような材質
のねじは、一般にそのまま使用されることは少なく、各
種のメツキがなされて使用されるが、このようにメツキ
が施されていても、錆が発生し易い、あるいは硫酸,硝
酸などの酸や酸性雨に対する耐蝕性が悪い等の難点があ
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】一方、上記のようなマ
ルテンサイト系のステンレス以外に、オーステイナイト
系のステンレス材(ニツケルを7〜19重量%含有して
いる)があげられ、この種のステンレス材は、表面が不
働態膜となり耐蝕性が極めて大であることから、通常は
メツキ等をせずそのまま使用されている。ところが、こ
のようなオーステイナイト系ステンレスは基本的に表面
硬度が小さいことから、先に述べた各種の用途に使用す
る場合、強度的に大きな制約がある。
【0004】そこで、本発明者らはこのような欠点を改
善する目的で、上記オーステイナイト系ステンレス材の
表面を窒化して窒化膜を形成することにより、表面硬度
を高める方法を開発しすでに特許出願している(特願平
1−177660)。このような窒化処理のなされたス
テンレス材は、表面硬度が極めて大きくなるものの、窒
化処理によつて、上記用途に使用する場合、穿孔時間が
長くなるという弊害やねじの頭飛びや折損が発生すると
いう弊害が生じる。また、表面の窒化層が錆びる欠点も
現れる。
【0005】この発明は、このような事情に鑑みなされ
たもので、オーステイナイト系ステンレス材からなるね
じの表面層を窒化層に形成して、表面硬度を高くすると
同時に、窒化層の表面にメツキまたは樹脂被膜を施すこ
とにより潤滑性を付与して、穿孔時間が長くなる等の欠
点を解消することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、この発明のオーステイナイト系ステンレス製硬質ね
じは、オーステイナイト系ステンレス材製のねじ本体の
表面層が窒化層に形成され、この表面層がメツキ被膜ま
たは樹脂被膜で被覆されているという構成をとる。
【0007】
【作用】すなわち、この発明のオーステイナイト系ステ
ンレス製硬質ねじは、上記のように表面層が窒化層に形
成されていることから表面硬度が大であり、ねじに求め
られる各種の用途に使用した場合に高強度となる。しか
も、その窒化層の表面がメツキ被膜または樹脂被膜で被
覆されていることからメツキ被膜または樹脂被膜の潤滑
性によつて穿孔時間の大幅な短縮化も実現できるように
なる。また、窒化層自体の錆の発生が上記メツキ被膜ま
たは樹脂被膜の存在により防止され、長期間湿潤雰囲気
下に保管しておいても錆が生じないという利点を有する
ようになる。また、窒化層の表面にメツキ被膜を施すと
きには、窒化層の表面にステンレス材と同等の光沢を付
与しうるようになる。
【0008】つぎに、実施例について説明する。
【0009】まず、実施例に使用する熱処理炉を用意す
る。この炉1は、図1に示すように、外殻2内に設けた
ヒータ3の内側に内容器4を入れたピツト炉で、ガス導
入管5と排気管6が挿入されている。ガス導入管5には
ボンベ15,16から流量計17、バルブ18等を経由
してガスが供給される。内部の雰囲気はモータ7で回転
するフアン8によつて攪拌される。ワーク10は金属製
のコンテナ11に入れて炉内に装入される。図中、13
は真空ポンプ、14は除害装置である。この炉中にフツ
素を含む反応ガス、例えばNF3 とN2 との混合ガスを
導入し、所定の反応温度に加熱すると、NF3 は250
〜400℃の温度で活性基のフツ素を発生し、これによ
り鋼材表面の有機,無機系の汚染を除去すると同時に、
このフツ素が鋼材表面のFe,クロム生地ないしはFe
O,Fe3 4 , Cr2 3等の酸化物と迅速に反応し
て、例えば次式に示す如く、表面にFeF2, FeF3 ,
CrF2 , CrF4 等の化合物を金属組織中に含むごく
薄いフツ化膜が形成される。
【0010】FeO+2F→FeF2 +1/2O2 Cr2 3 +4F→2CrF2 +3/2O2
【0011】この反応により、ワーク10表面の酸化皮
膜はフツ化膜に変換され、表面に吸着されていたO2
除去される。そして、このようなフツ化膜は、O2 ,
2 ,2 Oが存在しない場合、600℃以下の温度で安
定であつて、後続の窒化処理までの間における金属素地
への酸化皮膜の形成やO2 の吸着を防止すると考えられ
る。また、上記フツ化膜は、ワーク10表面だけでな
く、炉材表面に対しても形成されることとなることか
ら、その安定な膜による保護作用によつて炉材表面に対
する損傷が最少限になる。
【0012】このように、フツ素を含有する反応ガスで
処理したワーク10は、引き続き480〜700℃の窒
化温度に加熱され、NH3 あるいはNH3 と炭素源を有
するガス(例えばRXガス)との混合ガスを上記加熱状
態で添加すると、フツ化膜はH2 または微量の水分によ
つて還元除去あるいは破壊除去(上記RXガスの導入に
先立つて、N2 +H2 の混合ガスとして炉中に導入され
る)され、ワーク10の表面に活性な金属素地が形成さ
れる。
【0013】このように、活性な金属素地が形成される
と同時に活性なN原子が吸着されて金属内に侵入,拡散
してゆき、その結果、表面にCrN,Fe2 N,Fe3
N,Fe4 N等の窒化物を含有する化合物層(窒化層)
が形成される。この後、メツキ被膜または樹脂被膜を形
成する。メツキ被膜としては、亜鉛メツキ被膜,ニツケ
ル亜鉛メツキ被膜,スズメツキ被膜等各種のメツキ被膜
があげられ、その厚みは25〜1μm、好適には5±3
μmに設定される。上記各種のメツキと光沢クロメート
とを組み合わせて上記メツキ+光沢クロメートからなる
被膜を形成してもよい。樹脂被膜としては、フツソ樹脂
被膜,塩化ビニル樹脂被膜,ポリエチレン,ポリプロピ
レン等のポリオレフイン樹脂被膜等の熱可塑性樹脂被膜
があげられ、その厚みは25〜1μm、好適には3±2
μmに設定される。また、フエノール樹脂,エポキシ樹
脂等の熱硬化性樹脂被膜も用いられる。これらの樹脂被
膜は、ねじ本体を上記樹脂の溶液中に浸漬,またはスプ
レーし加熱乾燥する等により形成される。
【0014】つぎに、上記処理炉を用い、具体的につぎ
のようにしてねじ本体を処理した。
【0015】
【実施例1】ワークとしてのSUS305系ステンレス
製タツピングドリルねじをトリクロロエチレン洗浄した
後、図1に示す処理炉1に入れ、NF3 を2重量%含有
するN2 ガス雰囲気で300℃で15分間保持した。そ
の後700℃に加熱し、50%NH3 +50%N2 の混
合ガスを炉内に導入して5時間窒化処理を行い、しかる
のち空冷して取り出した。
【0016】得られたワークの窒化層の厚みは均一で、
その硬度は、基材の部分が270〜290Hvであるの
に対し、表面硬度が700〜800Hvであつた。
【0017】つぎに、上記のようにして、窒化処理がな
された試料を亜鉛ポツト炉(図示せず)に入れて、亜鉛
メツキ+光沢クロメート被膜を形成した。この場合、被
膜の厚みは5μmに設定した。つぎに、得られた試料を
さらにSi−O−R基を含有する有機,無機複合コーテ
イング液に浸漬し、5μmのコーテイング被膜を形成し
た。
【0018】このようにして得られた試料(タツピング
ドリルねじ)のねじ山では図2に示すように、窒化層B
の上にメツキ被膜Cが積層形成されていた。そして、上
記のようにして得られた試料10本を、窒化処理のみを
行つた比較例品(10本)を対照として冷間圧延鋼板S
PCCに対して2.3t ,1.6t のねじ込みテストを
行つた。その結果は、表1のとおりである。なお、ねじ
込みテストはJISにもとづいて行つた。
【0019】
【表1】
【0020】
【実施例2】実施例1のタツピングねじに代えて、SU
S316のドライウオールねじを用いた。そして、上記
実施例1と同様にして窒化処理をしたのち、ニツケル+
亜鉛メツキ+光沢クロメート処理をし、さらにSi−O
−R基を含有する有機,無機のコーテイング液に浸漬し
た。このようにして得られた実施例品について、窒化処
理のみを行つたものを対照品として、塩水噴霧試験を行
つた。その結果は、下記の表2のとおりである。
【0021】
【表2】
【0022】また、本発明品(実施例品)を5%沸騰H
2 SO4テストに供したが、減耗量は8g/m2 hと極
めて低かつた。
【0023】
【実施例3】実施例1で用いたと同じタツピングドリル
ねじを用い、これに実施例1と同様にして窒化層を形成
した。他方、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)
の微粉末をナフサに分散(濃度10重量%)させた分散
液を用意した。つぎに、この分散液に上記窒化層の形成
されたタツピングドリルねじを浸漬し、ナフサ溶剤を揮
散させたのち、加熱炉(図示せず)に入れ、360〜3
80℃で焼成しフツ素樹脂被膜(厚み5μm)を形成し
た。
【0024】得られた実施例品について、JISにもと
づくねじ込みテストおよび塩水噴霧試験を行つた結果、
それぞれ実施例1品,実施例2品と同様の成績が得られ
た。
【0025】なお、上記の実施例では、いずれも窒化処
理に先立つてNF3ガスで前処理をしているが、これに
代えてBF3 ,CF4 ,HF,SF6 ,F2 ,CH2
2 ,CH3 F,C2 6 ,WF6 ,CHF3 ,SiF4
等の単独もしくは混合物からなるものを用いてもよい
し、これらの少なくとも一つとNF3 とを併用してもよ
い。また、フツ素系ガスとしては、上記のガスだけでは
なく、BF3 ,CF4 ,HF,SF6 ,C2 6 ,WF
6 ,CHF3 ,SiF4 等のFを含む化合物を熱クラツ
キング装置に導入し、分解生成したF2 を用いるように
してもよい。上記BF3 等の化合物をクラツキングして
用いる場合は、加熱冷却炉の手前側にクラツキング装置
を設け、上記化合物を熱クラツキングしたのち、N2
混合し、加熱冷却炉に導入することが行われる。本発明
におけるフツ素系ガスには、上記のようにして分解生成
したF2も含まれる。このようなフツ素ガス雰囲気下
(ガス濃度は0.05〜20重量%、好適なのは2〜7
重量%、より好適なのは3〜5重量%)で上記ステンレ
ス材を150〜600℃、好適には300〜500℃の
温度に加熱保持して鋼材表面を処理したのち、公知の窒
化用ガス、例えばアンモニアを用いて窒化処理(または
浸炭窒化処理)が行われる。なお、このようにNF3
のフツ素系ガスで前処理せずに、直接窒化層を形成する
ようにしても差し支えはない。また、上記の実施例で
は、メツキ被膜を電気メツキ法によるニツケル−亜鉛メ
ツキと光沢クロメートメツキとによつて形成している
が、上記ニツケル−亜鉛メツキに代えて無電解ニツケル
メツキを用いてもよい。また、光沢クロメートメツキを
取り止め、ニツケル−亜鉛メツキまたは亜鉛メツキない
しは錫メツキもしくは無電解ニツケルメツキのみでメツ
キ被膜を構成するようにしても差し支えはない。なお、
メツキ法としては電気メツキ,溶融メツキ,無電解メツ
キ法等を広く利用することができる。また、上記樹脂被
膜は単層のみでなく、2種以上の樹脂被膜を重ねた複合
層であつてもよい。また、被膜形成に使用する樹脂は、
単独重合体のみならず前記例示の樹脂の共重合体であつ
ても差し支えはない。
【0026】
【発明の効果】以上のように、この発明のオーステイナ
イト系ステンレス製硬質ねじは、表面層が窒化層に形成
されていることから、表面硬度が極めて大でありねじ込
み等に際して好適である。特に、表面層がメツキ被膜で
被覆されており、そのメツキ被膜の潤滑作用により上記
ねじ込み性の大幅な改善を実現できるようになる。しか
も、上記メツキ被膜によつて錆易い窒化層が外気から遮
断され、したがつて、湿潤雰囲気下で長期間保管する場
合における錆の発生が防止できるようになる。また、メ
ツキ被膜により光沢が付与されることから、外観もステ
ンレス材と同様光沢のある状態となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に用いる熱処理炉の構成図である。
【図2】この発明の一実施例のねじ山の倍率500倍の
断面電子顕微鏡写真を模式的に示す図である。
【図3】この発明の対象となるねじの説明図である。
【図4】この発明の対象となるねじの説明図である。
【図5】この発明の対象となるねじの説明図である。
【符号の説明】
A 金属素地 B 窒化層 C メツキ被膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 仙北谷 春男 大阪府富田林市藤沢台1丁目3−306−404 (72)発明者 北野 憲三 大阪府河内長野市小山田町1498−1 (72)発明者 湊 輝男 和歌山県橋本市城山台3丁目38−2

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】 オーステイナイト系ステンレス材製のね
    じ本体の表面層が窒化層に形成され、この表面層がメツ
    キ被膜または樹脂被膜で被覆されてなるオーステイナイ
    ト系ステンレス製硬質ねじ。 【請求項2】 メツキ被膜が、亜鉛メツキ被膜,ニツケ
    ル−亜鉛メツキ被膜またはスズメツキ被膜上に光沢クロ
    メート被膜が積重形成されて構成されている請求項1記
    載のオーステイナイト系ステンレス製硬質ねじ。
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