JPH0564590B2 - - Google Patents
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- JPH0564590B2 JPH0564590B2 JP12660986A JP12660986A JPH0564590B2 JP H0564590 B2 JPH0564590 B2 JP H0564590B2 JP 12660986 A JP12660986 A JP 12660986A JP 12660986 A JP12660986 A JP 12660986A JP H0564590 B2 JPH0564590 B2 JP H0564590B2
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Description
〔産業上の利用分野〕
この発明は、低温から高温までの広い温度範囲
において優れた制振作用を発揮する制振材に関す
るものである。 〔従来の技術〕 一般に制振材、特に制振鋼板は、2枚の鋼板の
間に粘弾性物質層を介在させ、全体を一体化して
構成されており、鋼板に加えられる定常振動ない
し衝撃に基づく振動エネルギーを上記粘弾性物質
層で吸収し、内部摩擦による熱エネルギーに変換
して騒音を減殺する(制振作用)ものである。こ
の種の制振鋼板は、車両等のオイルパン、シリン
ダヘツドカバー、遮蔽板、モートルケース等に広
く使用されている。制振鋼板の制振作用は、上記
のように、2枚の鋼板の間に介在している粘弾性
物質層自体の制振作用に基づくものであつて、そ
の制振作用の尺度として一般に損失係数(η)が
用いられており、その損失係数ηの値で制振作用
が評価される。損失係数ηは大きく、かつ低温か
ら高温までの広い範囲にわたつて変わらないこと
が好ましい。すなわち、上記制振鋼板は、低温か
ら高温までの広い温度範囲において使用されるも
のであり、特に自動車用のものは、厳寒地や酷暑
地まで対応することが求められ、低温(−30℃程
度)域からかなりの高温域までも優れた制振作用
を発揮することが要求される。 このように、制振鋼板の性能は、粘弾性物質層
自体の損失係数ηによつて大きく左右されるもの
であり、従来から、上記粘弾性物質として、合成
樹脂またはゴムが使用されている。合成樹脂は、
特有の粘弾性的特徴、すなわち弾性率、損失係数
ηの温度依存性が大であるという特徴をもつた
め、このような合成樹脂を粘弾性物質層として構
成した制振鋼板は、損失係数ηの温度依存性が大
であり、ガラス転移温度(通常、常温もしくはそ
れ以上の温度域にある)付近でシヤープなピーク
を有するとともに、制振効果を発揮する温度領域
が狭いという欠点を有している。これは、主に合
成樹脂の弾性率が急激に低下することを起因す
る。しかも、合成樹脂は、その品温が上昇してガ
ラス転移温度を超えると溶融状態になり、かかる
合成樹脂を粘弾性物質層として構成された制振鋼
板は、損失係数ηの急激な低下を招く。したがつ
て、広い温度範囲において優れた制振作用を発揮
することができず、ガラス転移温度近傍の温度に
おいてのみ優れた制振作用を発揮するにすぎな
い。特に、ガラス転移温度を超えると上記ηが急
激に低下するため、高温では使用できない。他
方、ゴムを粘弾性物質層とした制振鋼板も、その
損失係数ηが、ガラス転移温度付近で最大になる
が、ゴムのガラス転移温度は一般に0℃よりも低
いところにあるため、常温ないしは常温以上の高
い温度領域においては、優れた制振作用を発揮し
えない。しかし、ゴムは三次元的に架橋されてい
るため、品温が上昇しガラス転移温度を超えて
も、溶融状態にならず、合成樹脂のように急激に
損失係数ηが低下することはない。このゴムの損
失係数η−温度曲線および合成樹脂の損失係数η
−温度曲線を第1図に示す。図において、曲線
A′が合成樹脂のそれであり、曲線B′がゴムのそ
れである。第1図から明らかなように、合成樹脂
は、常温ないしそれ以上の温度領域内におけるガ
ラス転移温度近傍で優れた制振作用を発揮するも
のの、損失係数ηの温度依存性が高いためそれを
外れた温度領域では制振作用が急激に低下する。
これに対して、ゴムはその損失係数ηの温度依存
性が低いため、温度変化による制振作用の変動は
比較的少ないものの、常温ないしそれ以上の温度
領域では損失係数ηが小さくなるため、この温度
領域においては充分な制振作用が得られない。 〔発明が解決しようとする問題点〕 このように、合成樹脂およびゴムは上記のよう
な損失係数η−温度特性を有しているため、それ
を粘弾性物質として用いた従来の制振鋼板は、低
温から高温までの広い温度範囲の制振作用をなし
えず、比較的狭い温度範囲での制振作用をなしえ
るにすぎなかつた。 この発明は、低温から高温までの広い温度範囲
において優れた制振作用を発揮する制振材を提供
することを目的とする。 〔問題点を解決するための手段〕 上記の目的を達成するため、この発明の制振材
は、剛性基板の基板面に粘弾性物質層が形成され
た制振材であつて、上記粘弾性物質層が、下記の
(A)成分100重量部に対して(B)成分5〜80重量部を
反応させた粘弾性反応生成物と、上記粘弾性反応
生成物における(A)成分100重量部に対して5〜80
重量部の割合になるように配合された非熱硬化型
フエノール樹脂とによつて実質的に構成されてい
るという構成をとるものである。 (A) アクリロニトリルから誘導される反覆単位を
10〜60重量%含むニトリル系ゴム。 (B) 下記の一般式(1)または(2)で表されるアクリル
酸系化合物。 〔式(1),(2)において、Rは一価の有機基であ
る。〕 すなわち、上記制振材における粘弾性物質層
は、上記のニトリル系ゴムと上記一般式(1),(2)で
表されるアクリル酸系化合物(モノマー)との粘
弾性反応生成物ならびに非熱硬化型フエノール樹
脂を主体として構成されている。そして、この粘
弾性反応生成物は、その生成反応中における上記
アクリル酸系化合物(モノマー)の重合、鎖状化
ならびにその生成鎖状体の、ニトリル系ゴム分子
鎖における二重結合部分に対する結合の結果、グ
ラフト重合体となつており、この分子構造と、ニ
トリル系ゴムおよびアクリル酸系化合物を上記の
割合で反応させることによるグラフト重合体の構
成成分比の特定とにより、低温から高温まで高い
損失係数ηを示す。そして、この粘弾性反応生成
物に対して、これと相溶性のよい上記非熱硬化型
フエノール樹脂を上記特定の比率で配合すること
により、上記各温度における損失係数ηの絶対値
が向上するとともに、損失係数ηのピーク温度が
高温側へシフトし、同時に損失係数ηの高温にお
ける温度依存性が低下し高温域におけるηの値の
一定化効果が得られるようになるのである。した
がつて、それを用いた制振材は、上記温度範囲の
全体、とりわけ高温域において、強力な制振作用
を発揮するようになるのである。 上記粘弾性反応生成物の合成に使用するニトリ
ル系ゴムは、アクリロニトリル共重合体
(NBR)、アクリロニトリル、イソプレン共重合
体(NIR)もしくはアクリロニトリル−ブタジ
エン−イソプレン三元共重合体(NBIR)または
これらを適宜に組み合わせたものであり、アクリ
ロニトリルから誘導される反覆単位を10〜60重量
%含むものであることが必要である。すなわち、
アクリロニトリルから誘導される反覆単位が10〜
60重量%、残部がブタジエン、イソプレンから誘
導される反覆単位であるニトリル系ゴムを使用す
ることにより初めて、そのニトリル系ゴム中の二
重結合(ブタジエン、イソプレンから誘導される
反覆単位中に存在する)の数が適正になり、そこ
にアクリル酸系化合物鎖状体が結合して所定のグ
ラフト重合体が得られるようになるからである。 上記ニトリル系ゴムと反応させるアクリル酸系
化合物(モノマー)としては、下記の一般式(1)ま
たは(2)で表されるものが使用される。 〔式(1),(2)において、Rは一価の有機基であ
る。〕 上記一価の有機基Rの具体例としては、メチル
基、エチル基、ブチル基等のアルキル基のほか、
シクロアルキル基、2−ヒドロキシアルキル基、
テトラヒドロフルフリル基、アリル基、グリシジ
ル基、ジメチルアミノ基があげられる。また、ジ
エチレングリコール、テトラエチレングリコール
等の多価アルコールの残基もあげられる。 上記アクリル酸系化合物(モノマー)の重合開
始剤としては、ジアルキルパーオキサイド、ハイ
ドロパーオキサイド、パーオキシエステル、パー
オキシケタール等、通常広く使用されている有機
過酸化物からなる熱重合開始剤が用いられる。 上記粘弾性反応生成物と配合する非熱硬化型フ
エノール樹脂は、ノボラツク型フエノール樹脂な
いしその変性樹脂である。この種の樹脂は、上記
粘弾性反応生成物との相溶性が良好なことに加
え、熱硬化型フエノール樹脂(レゾール型フエノ
ール樹脂)を用いると、加熱により硬化が促進さ
れ、粘弾性体が硬くなりすぎ、目的とする制振効
果が得られないのに対し、粘弾性反応生成物に対
して上記のような割合で配合することにより弾性
率を適度に高めるとともに、損失係数ηのピーク
温度を高温側にシフトさせ、同時に上記損失係数
ηの高温における温度依存性を低下させるのであ
る。このような効果の発現は、各種ノボラツク型
フエノール樹脂ないしその変性樹脂のなかでも、
特にカシユー変性ノボラツク型フエノール樹脂が
顕著であり、これを使用することが好ましい。 また、上記粘弾性物質層の形成対象となる、剛
性をもつ基板としては、通常使用されている鋼板
があげられるが、それ以外に、FRP等の剛性を
もつプラスチツク板等も用いられる。 この発明の制振材は、上記のような原材料を用
い、例えば、つぎのようにして製造される。すな
わち、上記のニトリル系ゴムとアクリル酸系化合
物(モノマー)とを、前者100重量部(以下「部」
と略す)に対して後者が5〜80部になるように配
合するとともに、上記非熱硬化型フエノール樹脂
を、ニトリル系ゴム100部に対して5〜80部の割
合になるように配合する。 ニトリル系ゴムとアクリル酸系化合物の相互の
割合を上記のように設定することにより、両者の
反応によつて得られる粘弾性反応生成物中におい
て、ニトリル系ゴムから誘導される反覆単位(a)と
アクリル酸系化合物から誘導される反覆単位(b)と
が重量基準で、(a):(b)=100:5〜100:80の割合
になる。アクリル酸系化合物の使用割合が前記の
割合を下まわると、反覆単位(b)が、上記範囲を下
まわつて粘弾性反応生成物がゴム性を強め、その
損失係数ηが高温域で低くなつて高温域における
制振作用が小さくなる。逆に、上記範囲を上まわ
ると粘弾性反応生成物が樹脂性を強め、その損失
係数ηが常温近傍で低くなつて常温近傍における
制振作用が小さくなる。したがつて、反覆単位(a)
と(b)の比率を、上記のように(a):(b)=100:5〜
100:80の割合に設定することが重要であり、そ
のためには、ニトリル系ゴムとアクリル酸系化合
物とを上記のような割合で配合する必要がある。
また、非熱硬化型フエノール樹脂を上記の割合で
配合することにより、上記粘弾性反応生成物の分
子鎖の、ニトリル系ゴムから誘導される反覆単位
(a)に対して、非熱硬化型フエノール樹脂が、5〜
80重量%(以下「%」と略す)になるのである。 上記のようにしてニトリル系ゴム、アクリル酸
系化合物および非熱硬化型フエノール樹脂を配合
する場合、同時に上記アクリル酸系化合物(モノ
マー)の熱重合開始剤となる有機過酸化物や補強
充填剤、老化防止剤、軟化剤を適当量配合する。
つぎに、上記配合物を、ロールに掛けて薄いシー
ト状に形成し、粘弾性物質層との被着面に加硫接
着剤が塗布されている2枚の鋼板の間に挟み、加
硫(加熱プレス)する。この加硫加熱により、熱
重合開始剤が作用してアクリル酸系化合物(モノ
マー)が熱重合し鎖状化すると同時に、ニトリル
系ゴム分子中の二重結合部分に結合してニトリル
系ゴムとグラフト重合体を形成し、これと共存す
る非熱硬化型フエノール樹脂とともに粘弾性物質
層を形成する。その結果、目的とする制振鋼板が
得られる。 また、上記ニトリル系ゴム、アクリル酸系化合
物、非熱硬化型フエノール樹脂等の配合物を、公
知の溶媒で溶解してペースト状化し、被着面に加
硫接着剤が塗布されている2枚の鋼板のうちの1
枚の被着面に塗布して乾燥したのち、その上に残
る鋼板を重ね、その状態で加硫(加熱プレス)し
圧着するようにしてもよい。このようにする場合
には、極めて薄い粘弾性物質層をもつ制振鋼板が
得られる。 なお、粘弾性物質層は上記のように2枚の鋼板
の間に形成するだけでなく、1枚の鋼板上に形成
するようにしてもよい。この場合にも、粘弾性物
質層の作用により、優れた制振効果が得られる。 〔発明の効果〕 以上のように、この発明は、制振作用を発揮さ
せるための粘弾性物質層を、ニトリル系ゴムとア
クリル酸系化合物とを前記の割合で反応させたグ
ラフト構造の粘弾性反応生成物と、非熱硬化型フ
エノール樹脂との所定比率の配合物を主体として
構成しており、上記粘弾性反応生成物が低温から
高温まで高い損失係数ηを示し、かつ非熱硬化型
フエノール樹脂が、上記損失係数ηの各温度にお
ける絶対値の向上および損失係数ηのピーク温度
の高温側へのシフトならびにηの高温における温
度依存性の低下作用を発揮するため、上記損失係
数ηの値が全体に高くなり、低温側から高温側の
広い温度領域においてピークを保ち続けるように
なる。したがつて、上記配合物を用いた制振材
は、上記温度範囲内のいずれの温度であつても強
力的な制振作用を発揮する。特に、上記配合物の
損失係数ηは、高温側の広い温度領域において均
一的にピーク値ないしその近傍の値を示すため、
高温域において強力な共振作用が最大限に発揮さ
れ、これは制振材が自動車エンジンルーム等の
120℃程度の温度になる個所に多用されることを
考慮すると、極めて重要な効果といいうるのであ
る。そのうえ、上記配合物には、耐油性に富んだ
ニトリル系ゴムが含まれているため耐油性にも富
んでおり、したがつて、この発明の制振材は実用
性に極めて富んでいる。また、上記配合物は、機
械強度等も優れているため、この発明の制振材は
剪断等の機械加工にも充分耐え得るのである。 つぎに、実施例について比較例と併せて説明す
る。 〔実施例1〜9、比較例1,2〕 下記の第1表に示す原料を同表に示すような割
合で配合し、その配合物を、バンバリーミキサー
を用いて混練し形成ロールに掛けて厚み0.4mmの
シートに形成した。これを、粘弾性物質被着面に
加硫接着剤が塗布されている2枚の鋼板(厚み
0.7mm)の間に挟み、150℃、10分間加熱プレス
(加硫)し制振鋼板を得た。得られた制振鋼板の
構造を第2図に示す。図において、1は鋼板、2
は粘弾性物質層である。
において優れた制振作用を発揮する制振材に関す
るものである。 〔従来の技術〕 一般に制振材、特に制振鋼板は、2枚の鋼板の
間に粘弾性物質層を介在させ、全体を一体化して
構成されており、鋼板に加えられる定常振動ない
し衝撃に基づく振動エネルギーを上記粘弾性物質
層で吸収し、内部摩擦による熱エネルギーに変換
して騒音を減殺する(制振作用)ものである。こ
の種の制振鋼板は、車両等のオイルパン、シリン
ダヘツドカバー、遮蔽板、モートルケース等に広
く使用されている。制振鋼板の制振作用は、上記
のように、2枚の鋼板の間に介在している粘弾性
物質層自体の制振作用に基づくものであつて、そ
の制振作用の尺度として一般に損失係数(η)が
用いられており、その損失係数ηの値で制振作用
が評価される。損失係数ηは大きく、かつ低温か
ら高温までの広い範囲にわたつて変わらないこと
が好ましい。すなわち、上記制振鋼板は、低温か
ら高温までの広い温度範囲において使用されるも
のであり、特に自動車用のものは、厳寒地や酷暑
地まで対応することが求められ、低温(−30℃程
度)域からかなりの高温域までも優れた制振作用
を発揮することが要求される。 このように、制振鋼板の性能は、粘弾性物質層
自体の損失係数ηによつて大きく左右されるもの
であり、従来から、上記粘弾性物質として、合成
樹脂またはゴムが使用されている。合成樹脂は、
特有の粘弾性的特徴、すなわち弾性率、損失係数
ηの温度依存性が大であるという特徴をもつた
め、このような合成樹脂を粘弾性物質層として構
成した制振鋼板は、損失係数ηの温度依存性が大
であり、ガラス転移温度(通常、常温もしくはそ
れ以上の温度域にある)付近でシヤープなピーク
を有するとともに、制振効果を発揮する温度領域
が狭いという欠点を有している。これは、主に合
成樹脂の弾性率が急激に低下することを起因す
る。しかも、合成樹脂は、その品温が上昇してガ
ラス転移温度を超えると溶融状態になり、かかる
合成樹脂を粘弾性物質層として構成された制振鋼
板は、損失係数ηの急激な低下を招く。したがつ
て、広い温度範囲において優れた制振作用を発揮
することができず、ガラス転移温度近傍の温度に
おいてのみ優れた制振作用を発揮するにすぎな
い。特に、ガラス転移温度を超えると上記ηが急
激に低下するため、高温では使用できない。他
方、ゴムを粘弾性物質層とした制振鋼板も、その
損失係数ηが、ガラス転移温度付近で最大になる
が、ゴムのガラス転移温度は一般に0℃よりも低
いところにあるため、常温ないしは常温以上の高
い温度領域においては、優れた制振作用を発揮し
えない。しかし、ゴムは三次元的に架橋されてい
るため、品温が上昇しガラス転移温度を超えて
も、溶融状態にならず、合成樹脂のように急激に
損失係数ηが低下することはない。このゴムの損
失係数η−温度曲線および合成樹脂の損失係数η
−温度曲線を第1図に示す。図において、曲線
A′が合成樹脂のそれであり、曲線B′がゴムのそ
れである。第1図から明らかなように、合成樹脂
は、常温ないしそれ以上の温度領域内におけるガ
ラス転移温度近傍で優れた制振作用を発揮するも
のの、損失係数ηの温度依存性が高いためそれを
外れた温度領域では制振作用が急激に低下する。
これに対して、ゴムはその損失係数ηの温度依存
性が低いため、温度変化による制振作用の変動は
比較的少ないものの、常温ないしそれ以上の温度
領域では損失係数ηが小さくなるため、この温度
領域においては充分な制振作用が得られない。 〔発明が解決しようとする問題点〕 このように、合成樹脂およびゴムは上記のよう
な損失係数η−温度特性を有しているため、それ
を粘弾性物質として用いた従来の制振鋼板は、低
温から高温までの広い温度範囲の制振作用をなし
えず、比較的狭い温度範囲での制振作用をなしえ
るにすぎなかつた。 この発明は、低温から高温までの広い温度範囲
において優れた制振作用を発揮する制振材を提供
することを目的とする。 〔問題点を解決するための手段〕 上記の目的を達成するため、この発明の制振材
は、剛性基板の基板面に粘弾性物質層が形成され
た制振材であつて、上記粘弾性物質層が、下記の
(A)成分100重量部に対して(B)成分5〜80重量部を
反応させた粘弾性反応生成物と、上記粘弾性反応
生成物における(A)成分100重量部に対して5〜80
重量部の割合になるように配合された非熱硬化型
フエノール樹脂とによつて実質的に構成されてい
るという構成をとるものである。 (A) アクリロニトリルから誘導される反覆単位を
10〜60重量%含むニトリル系ゴム。 (B) 下記の一般式(1)または(2)で表されるアクリル
酸系化合物。 〔式(1),(2)において、Rは一価の有機基であ
る。〕 すなわち、上記制振材における粘弾性物質層
は、上記のニトリル系ゴムと上記一般式(1),(2)で
表されるアクリル酸系化合物(モノマー)との粘
弾性反応生成物ならびに非熱硬化型フエノール樹
脂を主体として構成されている。そして、この粘
弾性反応生成物は、その生成反応中における上記
アクリル酸系化合物(モノマー)の重合、鎖状化
ならびにその生成鎖状体の、ニトリル系ゴム分子
鎖における二重結合部分に対する結合の結果、グ
ラフト重合体となつており、この分子構造と、ニ
トリル系ゴムおよびアクリル酸系化合物を上記の
割合で反応させることによるグラフト重合体の構
成成分比の特定とにより、低温から高温まで高い
損失係数ηを示す。そして、この粘弾性反応生成
物に対して、これと相溶性のよい上記非熱硬化型
フエノール樹脂を上記特定の比率で配合すること
により、上記各温度における損失係数ηの絶対値
が向上するとともに、損失係数ηのピーク温度が
高温側へシフトし、同時に損失係数ηの高温にお
ける温度依存性が低下し高温域におけるηの値の
一定化効果が得られるようになるのである。した
がつて、それを用いた制振材は、上記温度範囲の
全体、とりわけ高温域において、強力な制振作用
を発揮するようになるのである。 上記粘弾性反応生成物の合成に使用するニトリ
ル系ゴムは、アクリロニトリル共重合体
(NBR)、アクリロニトリル、イソプレン共重合
体(NIR)もしくはアクリロニトリル−ブタジ
エン−イソプレン三元共重合体(NBIR)または
これらを適宜に組み合わせたものであり、アクリ
ロニトリルから誘導される反覆単位を10〜60重量
%含むものであることが必要である。すなわち、
アクリロニトリルから誘導される反覆単位が10〜
60重量%、残部がブタジエン、イソプレンから誘
導される反覆単位であるニトリル系ゴムを使用す
ることにより初めて、そのニトリル系ゴム中の二
重結合(ブタジエン、イソプレンから誘導される
反覆単位中に存在する)の数が適正になり、そこ
にアクリル酸系化合物鎖状体が結合して所定のグ
ラフト重合体が得られるようになるからである。 上記ニトリル系ゴムと反応させるアクリル酸系
化合物(モノマー)としては、下記の一般式(1)ま
たは(2)で表されるものが使用される。 〔式(1),(2)において、Rは一価の有機基であ
る。〕 上記一価の有機基Rの具体例としては、メチル
基、エチル基、ブチル基等のアルキル基のほか、
シクロアルキル基、2−ヒドロキシアルキル基、
テトラヒドロフルフリル基、アリル基、グリシジ
ル基、ジメチルアミノ基があげられる。また、ジ
エチレングリコール、テトラエチレングリコール
等の多価アルコールの残基もあげられる。 上記アクリル酸系化合物(モノマー)の重合開
始剤としては、ジアルキルパーオキサイド、ハイ
ドロパーオキサイド、パーオキシエステル、パー
オキシケタール等、通常広く使用されている有機
過酸化物からなる熱重合開始剤が用いられる。 上記粘弾性反応生成物と配合する非熱硬化型フ
エノール樹脂は、ノボラツク型フエノール樹脂な
いしその変性樹脂である。この種の樹脂は、上記
粘弾性反応生成物との相溶性が良好なことに加
え、熱硬化型フエノール樹脂(レゾール型フエノ
ール樹脂)を用いると、加熱により硬化が促進さ
れ、粘弾性体が硬くなりすぎ、目的とする制振効
果が得られないのに対し、粘弾性反応生成物に対
して上記のような割合で配合することにより弾性
率を適度に高めるとともに、損失係数ηのピーク
温度を高温側にシフトさせ、同時に上記損失係数
ηの高温における温度依存性を低下させるのであ
る。このような効果の発現は、各種ノボラツク型
フエノール樹脂ないしその変性樹脂のなかでも、
特にカシユー変性ノボラツク型フエノール樹脂が
顕著であり、これを使用することが好ましい。 また、上記粘弾性物質層の形成対象となる、剛
性をもつ基板としては、通常使用されている鋼板
があげられるが、それ以外に、FRP等の剛性を
もつプラスチツク板等も用いられる。 この発明の制振材は、上記のような原材料を用
い、例えば、つぎのようにして製造される。すな
わち、上記のニトリル系ゴムとアクリル酸系化合
物(モノマー)とを、前者100重量部(以下「部」
と略す)に対して後者が5〜80部になるように配
合するとともに、上記非熱硬化型フエノール樹脂
を、ニトリル系ゴム100部に対して5〜80部の割
合になるように配合する。 ニトリル系ゴムとアクリル酸系化合物の相互の
割合を上記のように設定することにより、両者の
反応によつて得られる粘弾性反応生成物中におい
て、ニトリル系ゴムから誘導される反覆単位(a)と
アクリル酸系化合物から誘導される反覆単位(b)と
が重量基準で、(a):(b)=100:5〜100:80の割合
になる。アクリル酸系化合物の使用割合が前記の
割合を下まわると、反覆単位(b)が、上記範囲を下
まわつて粘弾性反応生成物がゴム性を強め、その
損失係数ηが高温域で低くなつて高温域における
制振作用が小さくなる。逆に、上記範囲を上まわ
ると粘弾性反応生成物が樹脂性を強め、その損失
係数ηが常温近傍で低くなつて常温近傍における
制振作用が小さくなる。したがつて、反覆単位(a)
と(b)の比率を、上記のように(a):(b)=100:5〜
100:80の割合に設定することが重要であり、そ
のためには、ニトリル系ゴムとアクリル酸系化合
物とを上記のような割合で配合する必要がある。
また、非熱硬化型フエノール樹脂を上記の割合で
配合することにより、上記粘弾性反応生成物の分
子鎖の、ニトリル系ゴムから誘導される反覆単位
(a)に対して、非熱硬化型フエノール樹脂が、5〜
80重量%(以下「%」と略す)になるのである。 上記のようにしてニトリル系ゴム、アクリル酸
系化合物および非熱硬化型フエノール樹脂を配合
する場合、同時に上記アクリル酸系化合物(モノ
マー)の熱重合開始剤となる有機過酸化物や補強
充填剤、老化防止剤、軟化剤を適当量配合する。
つぎに、上記配合物を、ロールに掛けて薄いシー
ト状に形成し、粘弾性物質層との被着面に加硫接
着剤が塗布されている2枚の鋼板の間に挟み、加
硫(加熱プレス)する。この加硫加熱により、熱
重合開始剤が作用してアクリル酸系化合物(モノ
マー)が熱重合し鎖状化すると同時に、ニトリル
系ゴム分子中の二重結合部分に結合してニトリル
系ゴムとグラフト重合体を形成し、これと共存す
る非熱硬化型フエノール樹脂とともに粘弾性物質
層を形成する。その結果、目的とする制振鋼板が
得られる。 また、上記ニトリル系ゴム、アクリル酸系化合
物、非熱硬化型フエノール樹脂等の配合物を、公
知の溶媒で溶解してペースト状化し、被着面に加
硫接着剤が塗布されている2枚の鋼板のうちの1
枚の被着面に塗布して乾燥したのち、その上に残
る鋼板を重ね、その状態で加硫(加熱プレス)し
圧着するようにしてもよい。このようにする場合
には、極めて薄い粘弾性物質層をもつ制振鋼板が
得られる。 なお、粘弾性物質層は上記のように2枚の鋼板
の間に形成するだけでなく、1枚の鋼板上に形成
するようにしてもよい。この場合にも、粘弾性物
質層の作用により、優れた制振効果が得られる。 〔発明の効果〕 以上のように、この発明は、制振作用を発揮さ
せるための粘弾性物質層を、ニトリル系ゴムとア
クリル酸系化合物とを前記の割合で反応させたグ
ラフト構造の粘弾性反応生成物と、非熱硬化型フ
エノール樹脂との所定比率の配合物を主体として
構成しており、上記粘弾性反応生成物が低温から
高温まで高い損失係数ηを示し、かつ非熱硬化型
フエノール樹脂が、上記損失係数ηの各温度にお
ける絶対値の向上および損失係数ηのピーク温度
の高温側へのシフトならびにηの高温における温
度依存性の低下作用を発揮するため、上記損失係
数ηの値が全体に高くなり、低温側から高温側の
広い温度領域においてピークを保ち続けるように
なる。したがつて、上記配合物を用いた制振材
は、上記温度範囲内のいずれの温度であつても強
力的な制振作用を発揮する。特に、上記配合物の
損失係数ηは、高温側の広い温度領域において均
一的にピーク値ないしその近傍の値を示すため、
高温域において強力な共振作用が最大限に発揮さ
れ、これは制振材が自動車エンジンルーム等の
120℃程度の温度になる個所に多用されることを
考慮すると、極めて重要な効果といいうるのであ
る。そのうえ、上記配合物には、耐油性に富んだ
ニトリル系ゴムが含まれているため耐油性にも富
んでおり、したがつて、この発明の制振材は実用
性に極めて富んでいる。また、上記配合物は、機
械強度等も優れているため、この発明の制振材は
剪断等の機械加工にも充分耐え得るのである。 つぎに、実施例について比較例と併せて説明す
る。 〔実施例1〜9、比較例1,2〕 下記の第1表に示す原料を同表に示すような割
合で配合し、その配合物を、バンバリーミキサー
を用いて混練し形成ロールに掛けて厚み0.4mmの
シートに形成した。これを、粘弾性物質被着面に
加硫接着剤が塗布されている2枚の鋼板(厚み
0.7mm)の間に挟み、150℃、10分間加熱プレス
(加硫)し制振鋼板を得た。得られた制振鋼板の
構造を第2図に示す。図において、1は鋼板、2
は粘弾性物質層である。
【表】
上記のようにして得られた制振鋼板を幅30mm、
長さ300mmに切断し、メカニカルインピーダンス
法によつて各温度での損失係数η(周波数500Hz)
を測定し、その損失係数η−温度曲線を第3図お
よび第4図に示した。これらの図において、曲線
A〜Iは実施例1〜9に対応し、曲線Jは比較例
1、曲線Kは比較例2、曲線Lは粘弾性物質層と
してエチレン−酢ビ共重合樹脂を用いた市販制振
鋼板のそれである。曲線A〜Iと曲線J〜Kとの
対比より、実施例の制振鋼板は、いずれも、比較
例のものとは異なり、低温から高温150℃)まで
の広い温度範囲において高い値の損失係数ηを呈
し、かつその損失係数ηが、特に高温域において
均一的でピークないしその近傍の値を示してお
り、その温度領域内において特に強力な制振作用
を発揮しうることがわかる。なお、上記損失係数
ηは0.03以上あれば実用に供しうるとされている
のであり、実施例品は、いずれの温度域において
もそれをはるかに凌駕しているのである。
長さ300mmに切断し、メカニカルインピーダンス
法によつて各温度での損失係数η(周波数500Hz)
を測定し、その損失係数η−温度曲線を第3図お
よび第4図に示した。これらの図において、曲線
A〜Iは実施例1〜9に対応し、曲線Jは比較例
1、曲線Kは比較例2、曲線Lは粘弾性物質層と
してエチレン−酢ビ共重合樹脂を用いた市販制振
鋼板のそれである。曲線A〜Iと曲線J〜Kとの
対比より、実施例の制振鋼板は、いずれも、比較
例のものとは異なり、低温から高温150℃)まで
の広い温度範囲において高い値の損失係数ηを呈
し、かつその損失係数ηが、特に高温域において
均一的でピークないしその近傍の値を示してお
り、その温度領域内において特に強力な制振作用
を発揮しうることがわかる。なお、上記損失係数
ηは0.03以上あれば実用に供しうるとされている
のであり、実施例品は、いずれの温度域において
もそれをはるかに凌駕しているのである。
第1図はゴムと樹脂の損失係数η−温度曲線
図、第2図はこの発明の実施例品の構造を説明す
る断面図、第3図および第4図はその損失係数η
−温度曲線を説明する説明図である。 1……鋼板、2……粘弾性物質層。
図、第2図はこの発明の実施例品の構造を説明す
る断面図、第3図および第4図はその損失係数η
−温度曲線を説明する説明図である。 1……鋼板、2……粘弾性物質層。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 剛性基板の基板面に粘弾性物質層が形成され
た制振材であつて、上記粘弾性物質層が、下記の
(A)成分100重量部に対して(B)成分5〜80重量部を
反応させた粘弾性反応生成物と、上記粘弾性反応
生成物における(A)成分100重量部に対して5〜80
重量部の割合になるように配合された非熱硬化型
フエノール樹脂とによつて実質的に構成されてい
ることを特徴とする制振材。 (A) アクリロニトリルから誘導される反覆単位を
10〜60重量%含むニトリル系ゴム。 (B) 下記の一般式(1)または(2)で表されるアクリル
酸系化合物。 〔式(1),(2)において、Rは一価の有機基であ
る。〕 2 剛性基板が鋼板である特許請求の範囲第1項
記載の制振材。 3 非熱硬化型フエノール樹脂がカシユー変性ノ
ボラツク型フエノール樹脂である特許請求の範囲
第1項または第2項記載の制振材。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP12660986A JPS62280035A (ja) | 1986-05-30 | 1986-05-30 | 制振材 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP12660986A JPS62280035A (ja) | 1986-05-30 | 1986-05-30 | 制振材 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPS62280035A JPS62280035A (ja) | 1987-12-04 |
| JPH0564590B2 true JPH0564590B2 (ja) | 1993-09-14 |
Family
ID=14939430
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP12660986A Granted JPS62280035A (ja) | 1986-05-30 | 1986-05-30 | 制振材 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPS62280035A (ja) |
Families Citing this family (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2777922B2 (ja) * | 1990-02-20 | 1998-07-23 | 富士通株式会社 | 磁気ディスク装置 |
-
1986
- 1986-05-30 JP JP12660986A patent/JPS62280035A/ja active Granted
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPS62280035A (ja) | 1987-12-04 |
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Legal Events
| Date | Code | Title | Description |
|---|---|---|---|
| LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |