JPH0576954B2 - - Google Patents
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- JPH0576954B2 JPH0576954B2 JP8644903A JP4490386A JPH0576954B2 JP H0576954 B2 JPH0576954 B2 JP H0576954B2 JP 8644903 A JP8644903 A JP 8644903A JP 4490386 A JP4490386 A JP 4490386A JP H0576954 B2 JPH0576954 B2 JP H0576954B2
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- JP
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- platinum
- complex
- group
- fatty acid
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-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C07—ORGANIC CHEMISTRY
- C07F—ACYCLIC, CARBOCYCLIC OR HETEROCYCLIC COMPOUNDS CONTAINING ELEMENTS OTHER THAN CARBON, HYDROGEN, HALOGEN, OXYGEN, NITROGEN, SULFUR, SELENIUM OR TELLURIUM
- C07F15/00—Compounds containing elements of Groups 8, 9, 10 or 18 of the Periodic Table
- C07F15/0006—Compounds containing elements of Groups 8, 9, 10 or 18 of the Periodic Table compounds of the platinum group
- C07F15/0086—Platinum compounds
- C07F15/0093—Platinum compounds without a metal-carbon linkage
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61P—SPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
- A61P31/00—Antiinfectives, i.e. antibiotics, antiseptics, chemotherapeutics
- A61P31/04—Antibacterial agents
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61P—SPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
- A61P35/00—Antineoplastic agents
Landscapes
- Organic Chemistry (AREA)
- Chemical & Material Sciences (AREA)
- Health & Medical Sciences (AREA)
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- Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
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- Public Health (AREA)
- Veterinary Medicine (AREA)
- Communicable Diseases (AREA)
- Oncology (AREA)
- Acyclic And Carbocyclic Compounds In Medicinal Compositions (AREA)
- Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)
Description
産業上の利用分野
本発明は白金()錯体に関する。更に詳しく
は、抗菌作用並びに制癌作用を有し、特に制癌剤
として有用な新規脂溶性白金()錯体並びにそ
の製造方法に関する。 従来の技術 近年の医学、薬学における進歩は目覚しく、従
来不治の病とされ、高い死亡率を示した病気など
もかなりの程度まで、抑制、治癒されるに至つ
た。このような状況の下で、癌による死亡率が一
躍クローズアツプされたが、いまのところ充分な
対応策が開発されていないのが現状である。 従来の癌の治療法としては、外科手術による患
部部位の切除、放射線治療、医薬投与による化学
療法などの他、最近では免疫療法、インターフエ
ロン療法並びに外科手術の新しい技術として
YAGレーザー等のレーザーの利用などが注目さ
れている。 しかしながら、上記治療法の中で、外科手術並
びに放射線療法などは局所療法であつて、初期の
段階あるいは未だ転移のない状態においてはかな
り有効な手段であるが、特に進行性癌、即ち全身
に転移した癌並びに系統的疾患、即ち全身の一定
の系統が次々に冒される白血病、悪性リンパ腫な
どにあつてはまつたく無力である。一方、後者に
たいしては化学療法のみが有効な治療法であり、
今日では癌の種類によつては化学療法のみで治癒
可能なものもある。また、外科手術後の付加的療
法として、あるいは放射線療法などと組み合わせ
て利用した場合の化学療法の有用性は既に認めら
れており、今後の進歩が最も期待されている療法
である。 そこで、従来から各種の制癌剤が開発されてい
るが、これらはその特性が異なり、またこれらが
有効な癌の種類も異なつている。従来公知のもの
としては、例えば腺癌(消化器、卵巣など)に対
してはマイトマイシンC、アドリアマイシンなど
が、悪性リンパ腫に対してはビンクリスチン、ブ
レオマイシンなどが、また急性白血病に対しては
サイトシンアラビノシド、L−アスパラギナーゼ
などが知られている。 癌の化学療法は、一般的感染症における細菌の
場合と同様に、癌細胞が生体に寄生したものであ
るとの根拠に基づいている。即ち、癌細胞は正常
細胞が何等かの原因で変異したものであり、一旦
体内に形成されると自律的な増殖を示す寄生細胞
と考えられている。 ところで、この癌細胞と正常細胞とは生物学
的・生化学的に差があるとはいえ、それも単なる
量的差にすぎず、これらの間の質的な差異が明確
にされていない現状においては、化学療法により
正常細胞までも損傷を受けてしまう可能性が高
く、これが薬物(制癌剤)による種々の副作用と
して顕在化されることになる。その結果、制癌剤
によつて癌細胞のみの増殖を抑制したり、破壊す
ることは極めて困難であつた。 発明が解決しようとする問題点 以上述べたように、癌は現在の医学において絶
対治療法を開発しなければならない第1のターゲ
ツトであるが、外科療法、放射線療法などは今後
の新たな進展が望み難い状態にある。そこで、今
後の発展、特に進行癌、系統的疾患の治療におい
て、あるいは外科的切除後の付加的療法、放射線
療法などとの組合せによる治療法とし期待される
化学治療用の医薬を開発することは、医学、薬学
の発展はもとより、癌で苦しむ多くの患者を救済
する上で大きな意義を有する。尚、このような医
薬としては癌細胞に特異的・選択的に作用するも
をであることが必要である。 そこで、本発明の目的は癌細胞に対して特異
的・選択的に作用し、副作用の少ない新規な白金
()錯体を提供することにある。また、その製
造方法を提供することも本発明の目的の一つであ
る。 問題点を解決するための手段 本発明者等は、制癌剤として利用されつつある
公知の白金()錯体の詳しい検討を行い、これ
らの副作用に代表される上記のような問題はこれ
らの錯体が水溶性であることに主に起因してお
り、これらを脂溶性化することによつて癌細胞に
対する特異的・選択的作用を呈する白金()錯
体が得られるのではないか、との着想に基づき、
各種脂溶性白金()錯体を得た。 即ち、本発明の脂溶性白金()錯体は以下の
一般式()で示される:
は、抗菌作用並びに制癌作用を有し、特に制癌剤
として有用な新規脂溶性白金()錯体並びにそ
の製造方法に関する。 従来の技術 近年の医学、薬学における進歩は目覚しく、従
来不治の病とされ、高い死亡率を示した病気など
もかなりの程度まで、抑制、治癒されるに至つ
た。このような状況の下で、癌による死亡率が一
躍クローズアツプされたが、いまのところ充分な
対応策が開発されていないのが現状である。 従来の癌の治療法としては、外科手術による患
部部位の切除、放射線治療、医薬投与による化学
療法などの他、最近では免疫療法、インターフエ
ロン療法並びに外科手術の新しい技術として
YAGレーザー等のレーザーの利用などが注目さ
れている。 しかしながら、上記治療法の中で、外科手術並
びに放射線療法などは局所療法であつて、初期の
段階あるいは未だ転移のない状態においてはかな
り有効な手段であるが、特に進行性癌、即ち全身
に転移した癌並びに系統的疾患、即ち全身の一定
の系統が次々に冒される白血病、悪性リンパ腫な
どにあつてはまつたく無力である。一方、後者に
たいしては化学療法のみが有効な治療法であり、
今日では癌の種類によつては化学療法のみで治癒
可能なものもある。また、外科手術後の付加的療
法として、あるいは放射線療法などと組み合わせ
て利用した場合の化学療法の有用性は既に認めら
れており、今後の進歩が最も期待されている療法
である。 そこで、従来から各種の制癌剤が開発されてい
るが、これらはその特性が異なり、またこれらが
有効な癌の種類も異なつている。従来公知のもの
としては、例えば腺癌(消化器、卵巣など)に対
してはマイトマイシンC、アドリアマイシンなど
が、悪性リンパ腫に対してはビンクリスチン、ブ
レオマイシンなどが、また急性白血病に対しては
サイトシンアラビノシド、L−アスパラギナーゼ
などが知られている。 癌の化学療法は、一般的感染症における細菌の
場合と同様に、癌細胞が生体に寄生したものであ
るとの根拠に基づいている。即ち、癌細胞は正常
細胞が何等かの原因で変異したものであり、一旦
体内に形成されると自律的な増殖を示す寄生細胞
と考えられている。 ところで、この癌細胞と正常細胞とは生物学
的・生化学的に差があるとはいえ、それも単なる
量的差にすぎず、これらの間の質的な差異が明確
にされていない現状においては、化学療法により
正常細胞までも損傷を受けてしまう可能性が高
く、これが薬物(制癌剤)による種々の副作用と
して顕在化されることになる。その結果、制癌剤
によつて癌細胞のみの増殖を抑制したり、破壊す
ることは極めて困難であつた。 発明が解決しようとする問題点 以上述べたように、癌は現在の医学において絶
対治療法を開発しなければならない第1のターゲ
ツトであるが、外科療法、放射線療法などは今後
の新たな進展が望み難い状態にある。そこで、今
後の発展、特に進行癌、系統的疾患の治療におい
て、あるいは外科的切除後の付加的療法、放射線
療法などとの組合せによる治療法とし期待される
化学治療用の医薬を開発することは、医学、薬学
の発展はもとより、癌で苦しむ多くの患者を救済
する上で大きな意義を有する。尚、このような医
薬としては癌細胞に特異的・選択的に作用するも
をであることが必要である。 そこで、本発明の目的は癌細胞に対して特異
的・選択的に作用し、副作用の少ない新規な白金
()錯体を提供することにある。また、その製
造方法を提供することも本発明の目的の一つであ
る。 問題点を解決するための手段 本発明者等は、制癌剤として利用されつつある
公知の白金()錯体の詳しい検討を行い、これ
らの副作用に代表される上記のような問題はこれ
らの錯体が水溶性であることに主に起因してお
り、これらを脂溶性化することによつて癌細胞に
対する特異的・選択的作用を呈する白金()錯
体が得られるのではないか、との着想に基づき、
各種脂溶性白金()錯体を得た。 即ち、本発明の脂溶性白金()錯体は以下の
一般式()で示される:
【式】
ただし、該一般式()においてR1およびR2
は有機基置換または無置換のアンミンを表し、但
しこれら2個のアンミンは2価の有機基を介して
連結されていてもよく、R3は飽和または不飽和
高級脂肪酸残基(アシルオキシ基)を表す。上記
本発明の白金()錯体においてR1およびR2で
示される有機基置換アンミンにおける有機基並び
にこれら2つのアンミンを2価の有機基を介して
連結する場合の2価の有機基とは、従来からジア
ンミン白金()錯体系制癌剤におけるアンミン
部分(RNH2)の置換基として使用されているも
のが挙げられる。 即ち有機基としては、例えばイソプロピル基の
如き炭素原子数1〜5のアルキル基及び例えばシ
クロプロピル基、シクロヘキシル基の如き炭素原
子数3〜7のシクロアルキル基が挙げられる。一
方、2価の有機基としては、例えば1,2−シク
ロヘキシレン基等のシクロアルキレン基及び例え
ば2,2−ペンタメチレン−トリメチレン基:
は有機基置換または無置換のアンミンを表し、但
しこれら2個のアンミンは2価の有機基を介して
連結されていてもよく、R3は飽和または不飽和
高級脂肪酸残基(アシルオキシ基)を表す。上記
本発明の白金()錯体においてR1およびR2で
示される有機基置換アンミンにおける有機基並び
にこれら2つのアンミンを2価の有機基を介して
連結する場合の2価の有機基とは、従来からジア
ンミン白金()錯体系制癌剤におけるアンミン
部分(RNH2)の置換基として使用されているも
のが挙げられる。 即ち有機基としては、例えばイソプロピル基の
如き炭素原子数1〜5のアルキル基及び例えばシ
クロプロピル基、シクロヘキシル基の如き炭素原
子数3〜7のシクロアルキル基が挙げられる。一
方、2価の有機基としては、例えば1,2−シク
ロヘキシレン基等のシクロアルキレン基及び例え
ば2,2−ペンタメチレン−トリメチレン基:
【式】
1,1−ペンタメチレン(エチレン)基:
【式】
1,2−テトラメチレン(トリメチレン)基:
【式】
1,2−ジフエニルエチレン基等の、炭素原子数
1〜5のアルキル、炭素原子数2〜6のアルキレ
ンまたはフエニル基等の置換基を有していてもよ
い炭素原子数2〜3のアルキレン基並びに例えば
1,2−フエニレン基等の、炭素原子数1〜5の
アルキル、炭素原子数1〜5のアルコキシ又はハ
ロゲン原子等の置換基を有していてもよい1,2
−フエニレン基等が挙げられる。 本発明の脂溶性白金錯体において、前記2価の
有機基が例えば1,2−シクロヘキシレン基等で
ある場合には、異性体、即ちシス体およびトラン
ス体が存在するが、本発明の白金錯体はこれら異
性体のいずれであつてもよく、またこれらの混合
物であつてもよい。 上記一般式()の本発明の白金()錯体に
おいて、R3で示される飽和または不飽和高級脂
肪酸残基としては、炭素原子数10〜24の脂肪酸残
基が挙げられ、更に具体的には、例えばカプリン
酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、
ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノ
セリン酸等の飽和脂肪酸の残基、および例えばオ
レイン酸、リノレイン酸等の炭素原子数16〜20の
不飽和脂肪酸の残基等が挙げられる。 上記一般式()の白金()錯体は、例えば
以下のような反応式に従つて合成することができ
る。
1〜5のアルキル、炭素原子数2〜6のアルキレ
ンまたはフエニル基等の置換基を有していてもよ
い炭素原子数2〜3のアルキレン基並びに例えば
1,2−フエニレン基等の、炭素原子数1〜5の
アルキル、炭素原子数1〜5のアルコキシ又はハ
ロゲン原子等の置換基を有していてもよい1,2
−フエニレン基等が挙げられる。 本発明の脂溶性白金錯体において、前記2価の
有機基が例えば1,2−シクロヘキシレン基等で
ある場合には、異性体、即ちシス体およびトラン
ス体が存在するが、本発明の白金錯体はこれら異
性体のいずれであつてもよく、またこれらの混合
物であつてもよい。 上記一般式()の本発明の白金()錯体に
おいて、R3で示される飽和または不飽和高級脂
肪酸残基としては、炭素原子数10〜24の脂肪酸残
基が挙げられ、更に具体的には、例えばカプリン
酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、
ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノ
セリン酸等の飽和脂肪酸の残基、および例えばオ
レイン酸、リノレイン酸等の炭素原子数16〜20の
不飽和脂肪酸の残基等が挙げられる。 上記一般式()の白金()錯体は、例えば
以下のような反応式に従つて合成することができ
る。
【化】
【式】
(ここで、R1、R2およびR3は上記定義通りであ
り、Mはアルカリ金属を表す)。 即ち、ジス−ジクロロジアンミンプラチナ
()(A)を(B)のようなジアコ体(aqua from)に
転化(硝化)し、該ジアコ体を所定の飽和または
不飽和高級脂肪酸のアルカリ金属塩と反応させる
ことにより、目的とするジアンミンプラチナ
()の飽和または不飽和高級脂肪酸誘導体を得
ることができる。前記硝化は、例えば硝酸銀
(AgNO3)などの公知の硝化剤を用いて実施する
ことができる。また、前記アルカリ金属として
は、特にナトリウム、カリウムを用いることが好
ましい。 (A)→(B)の反応は、一般に遮光条件下で行われ、
またこの反応は室温近傍で充分に進行する。尚、
(A)の化合物を反応溶媒中に溶解させるためには、
硝酸銀を添加する前に、該化合物を60〜80℃に加
熱することが好ましい。更に反応時間は反応温度
に依存して多少変化するが、一般には3時間程度
で充分な収率を達成することができる。 また(B)→()の反応も、上記と同様に遮光条
件下で行うことが好ましく、ほぼ室温近傍の温度
下で反応時間は3週間前後である。 出発物質のシス−ジクロロ置換または未置換ジ
アンミンプラチナ()は公知の物質であつて、
例えばジクロロシクロヘキサン−1,2−ジアン
ミンプラチナ()はテイー・エー・コナーズ、
エム・ジヨーンズ等(T.A.Connors、M.Jones.
et.al)、の論文〔ケミカル&バイオロジカルイン
ターラクシヨンズ(Chem.Biol.Interactions)、
1972、5、415〕に記載されている。 本発明の白金()錯体は脂溶性であり、従来
の水溶性白金()錯体と異なつて、特異的・選
択的に癌細胞に作用する制癌剤もしくは抗菌剤と
して大いに期待できる。また、このように脂溶性
であることは、従来から臨床上肝、子宮、卵管等
の造影剤として広く利用されているリピオドール
を始めとする各種造影剤をキヤリヤとして用いる
ことにより、該誘導体をより一層患部特異的で持
続的かつ徐放性の薬剤として利用することを可能
とする。上記の造影剤の1例として、リピオドー
ルはヨウ素化されたケシ油脂肪酸のエチルエステ
ル(Iodinated poppy fatty acid ethyl ester)
であり、一般にI2含有率38%(W/W)、比重
1.275〜1.290、粘度27〜43センチストークスで、
LD50(家兎)は7g/Kg(i.v.)であることが知
られている。このものは癌細胞近傍で長時間安定
に滞留することが知られており、従つて、上記の
ように本発明の脂溶性錯体である白金()錯体
と組合せて用いた場合には癌細胞もしくはその極
近傍のみに、特異的にかつ持続的に制癌剤を作用
させることが可能となる。 本発明の白金()錯体は、一般に成人に対し
て1mg〜3g/日の投与量とすることができ、投
与形式としては静脈内投与(i.v.)、経口投与(p.
o.)、局所動注あるいは直腸投与などであり得る。
これらは通常の方法に従つて製剤化した固形剤、
座剤、注射剤(例えば常法に従つてリピオドール
などの造影剤に溶解又は懸濁したもの)など各種
の剤型として使用することができる。リピオドー
ルと本発明の白金()錯体を組み合わせて用い
る場合は、本白金()錯体0.1mg〜100mgをリピ
オドール1ml〜50mlに溶解又は懸濁して用いるこ
とが望ましい。 特に脂溶性白金()錯体のシクロヘキシルジ
アンミン誘導体については、リピオドールと組み
合せた場合に、より一層有効であることがわかつ
た。更に、造影剤と併用することは、診断と治療
とを同時に行うことを可能とするものであり、治
療中に患者における治療効果を治療と並行して調
べることができる。 かくして得られる本発明の白金()錯体の薬
効、即ち抗腫瘍活性はL1210−CDF1マウス系を
用い、ip−ipで調べた。即ち、1×104個のL1210
白血病細胞を前記マウスの腹腔内(ip)に移植
し、24時間後、および5日後にリピオドール0.3
mlまたは0.2ml中に白金()錯体を溶解した溶
液を注射により、腹腔内(ip)に投与した。投与
量については、第1表の如く各化合物あたり三種
について検討した。また、対照として何も投与し
ないものおよびピリオドールのみを投与したもの
についても検討し、また、公知の化合物である
CDDP(シス−ジクロロジアンミンプラチナ
())及びDACHP(ジクロロシクロヘキサン−
1,2−ジアンミンプラチナ())についても
リピオドールに分散させて検討した。以上の処理
後の各試験マウス群および対照マウス群の生存日
数を調べ、その値から平均生存日数(MST)、延
命率即ち試験マウス群の平均生存日数(T)と対照マ
ウス群の平均生存日数(C)との比(T/C)および
完全治癒個体数と試験個体数との比(CR)を求
めた。得られた結果は以下の表1に示す通りであ
る。
り、Mはアルカリ金属を表す)。 即ち、ジス−ジクロロジアンミンプラチナ
()(A)を(B)のようなジアコ体(aqua from)に
転化(硝化)し、該ジアコ体を所定の飽和または
不飽和高級脂肪酸のアルカリ金属塩と反応させる
ことにより、目的とするジアンミンプラチナ
()の飽和または不飽和高級脂肪酸誘導体を得
ることができる。前記硝化は、例えば硝酸銀
(AgNO3)などの公知の硝化剤を用いて実施する
ことができる。また、前記アルカリ金属として
は、特にナトリウム、カリウムを用いることが好
ましい。 (A)→(B)の反応は、一般に遮光条件下で行われ、
またこの反応は室温近傍で充分に進行する。尚、
(A)の化合物を反応溶媒中に溶解させるためには、
硝酸銀を添加する前に、該化合物を60〜80℃に加
熱することが好ましい。更に反応時間は反応温度
に依存して多少変化するが、一般には3時間程度
で充分な収率を達成することができる。 また(B)→()の反応も、上記と同様に遮光条
件下で行うことが好ましく、ほぼ室温近傍の温度
下で反応時間は3週間前後である。 出発物質のシス−ジクロロ置換または未置換ジ
アンミンプラチナ()は公知の物質であつて、
例えばジクロロシクロヘキサン−1,2−ジアン
ミンプラチナ()はテイー・エー・コナーズ、
エム・ジヨーンズ等(T.A.Connors、M.Jones.
et.al)、の論文〔ケミカル&バイオロジカルイン
ターラクシヨンズ(Chem.Biol.Interactions)、
1972、5、415〕に記載されている。 本発明の白金()錯体は脂溶性であり、従来
の水溶性白金()錯体と異なつて、特異的・選
択的に癌細胞に作用する制癌剤もしくは抗菌剤と
して大いに期待できる。また、このように脂溶性
であることは、従来から臨床上肝、子宮、卵管等
の造影剤として広く利用されているリピオドール
を始めとする各種造影剤をキヤリヤとして用いる
ことにより、該誘導体をより一層患部特異的で持
続的かつ徐放性の薬剤として利用することを可能
とする。上記の造影剤の1例として、リピオドー
ルはヨウ素化されたケシ油脂肪酸のエチルエステ
ル(Iodinated poppy fatty acid ethyl ester)
であり、一般にI2含有率38%(W/W)、比重
1.275〜1.290、粘度27〜43センチストークスで、
LD50(家兎)は7g/Kg(i.v.)であることが知
られている。このものは癌細胞近傍で長時間安定
に滞留することが知られており、従つて、上記の
ように本発明の脂溶性錯体である白金()錯体
と組合せて用いた場合には癌細胞もしくはその極
近傍のみに、特異的にかつ持続的に制癌剤を作用
させることが可能となる。 本発明の白金()錯体は、一般に成人に対し
て1mg〜3g/日の投与量とすることができ、投
与形式としては静脈内投与(i.v.)、経口投与(p.
o.)、局所動注あるいは直腸投与などであり得る。
これらは通常の方法に従つて製剤化した固形剤、
座剤、注射剤(例えば常法に従つてリピオドール
などの造影剤に溶解又は懸濁したもの)など各種
の剤型として使用することができる。リピオドー
ルと本発明の白金()錯体を組み合わせて用い
る場合は、本白金()錯体0.1mg〜100mgをリピ
オドール1ml〜50mlに溶解又は懸濁して用いるこ
とが望ましい。 特に脂溶性白金()錯体のシクロヘキシルジ
アンミン誘導体については、リピオドールと組み
合せた場合に、より一層有効であることがわかつ
た。更に、造影剤と併用することは、診断と治療
とを同時に行うことを可能とするものであり、治
療中に患者における治療効果を治療と並行して調
べることができる。 かくして得られる本発明の白金()錯体の薬
効、即ち抗腫瘍活性はL1210−CDF1マウス系を
用い、ip−ipで調べた。即ち、1×104個のL1210
白血病細胞を前記マウスの腹腔内(ip)に移植
し、24時間後、および5日後にリピオドール0.3
mlまたは0.2ml中に白金()錯体を溶解した溶
液を注射により、腹腔内(ip)に投与した。投与
量については、第1表の如く各化合物あたり三種
について検討した。また、対照として何も投与し
ないものおよびピリオドールのみを投与したもの
についても検討し、また、公知の化合物である
CDDP(シス−ジクロロジアンミンプラチナ
())及びDACHP(ジクロロシクロヘキサン−
1,2−ジアンミンプラチナ())についても
リピオドールに分散させて検討した。以上の処理
後の各試験マウス群および対照マウス群の生存日
数を調べ、その値から平均生存日数(MST)、延
命率即ち試験マウス群の平均生存日数(T)と対照マ
ウス群の平均生存日数(C)との比(T/C)および
完全治癒個体数と試験個体数との比(CR)を求
めた。得られた結果は以下の表1に示す通りであ
る。
【表】
【表】
【表】
上記試験結果から、リピオドール投与群および
対照群については、MST8.0〜10.0およびT/C
を100とし、これを基準値とした。これらの場合
には当然のことながらCRは0であつた。一方、
脂溶性白金()錯体投与群については、高投与
量群で毒性死が観察される場合もあつたが、それ
以下の投与群では、リグノセリン酸誘導体を除い
て良好なT/C値を示した。特に、ラウリン酸誘
導体855mg/Kg投与群で3/5、ミリスチン酸誘
導体167mg/Kg投与群で5/5、ステアリン酸誘
導体212mg/Kgで5/5、アラキジン酸誘導体225
mg/Kg投与群で5/5、ベヘン酸誘導体239mg/
Kg投与群で4/5、オレイン酸誘導体630mg/Kg
投与群で2/7の完全治癒が見られた。一方、公
知化合物であるCDDPとDACHPでは高投与量で
毒性が見られ、また、低投与量でも完全治癒は見
られなかつた。 上記結果は、配位子部位および脱離基の脂溶性
が抗腫瘍活性と密接な関係を有することを示唆し
ている。 また、本発明の脂溶性白金()錯体の1つで
あるシクロヘキシルジアンミン誘導体をリピオド
ールに溶かして生理食塩水中に加え、37℃でゆつ
くり振盪した場合、第1図に示したように、30日
以上にわたつて白金()錯体がリピオドールの
油層から水層に徐放されることが示された。ま
た、その他の誘導体についても同様な結果が得ら
れることも確認した。 実施例 以下、実施例により本発明の白金()錯体の
製造方法を更に具体的に説明する。しかしなが
ら、これら実施例により本発明の範囲は何等制限
されるものではない。 実施例 1 シクロヘキサ−1,2−ジアンミンプラチナ
()ジオレエートの合成 トランス体約70%とシス体約30%よりなるシク
ロヘキサン−1,2−ジアミンを原料として、前
記文献〔ケミカル&バイオロジカルインターラク
シヨンズ(Chem.Biol.Interactions)、1972、5、
415〕に記載の方法に従つて誘導したジクロロシ
クロヘキサン−1,2−ジアンミンプラチナ
()570mg(1.5ミリモル)を蒸留水80mlに懸濁
させ、70℃に加熱してその大部分を溶解させ、放
冷して室温に戻した後、該溶液に510mg(3ミリ
モル)の硝酸銀を10mlの水に溶解した水溶液を添
加し、遮光条件下で3時間撹拌を続けた。生成し
た塩化銀を、セライトを用いて濾別した後、洗浄
し、得られた濾液および洗液を合わせて次の反応
に供した。 912mg(3ミリモル)のオレイン酸ナトリウム
を水に分散させた水性懸濁液10mlに、上記アクア
型水溶液を加えて、遮光条件下で3週間撹拌を続
けた。生成した乳白色沈殿を濾過により回収し、
少量の水(10ml)で洗浄した後、減圧乾燥し、
1.2g(収率92%)の標記白金()錯体を得た。 M.P.151〜159℃(dec.) I.R.スペクトル(cm-1) 3180(b、m) 2845(s) 1380(m) 3060(b、m) 1590(m) 720(m) 2920(s) 1460(m) 1060(w) 実施例 2 実施例1と同じ操作を繰り返した。ただし、脂
肪酸のアルカリ金属塩として夫々カプリン酸ナト
リウム、ラウリン酸ナトリウム、ミリスチン酸ナ
トリウム、パルミチン酸ナトリウム、ステアリン
酸ナトリウム、アラキジン酸ナトリウム、ベヘン
酸ナトリウムおよびリグノセリン酸ナトリウムを
用い、以下の化合物を合成した。 ◇DACHPt()(OCOC3H19)2収率:61% M.P.198〜203℃(dec.) I.R.スペクトル(cm-1) 3170(b、m) 2840(m) 1380(s) 3070(b、m) 1595(b、s) 1060(w) 3020(s) 1460(m) 720(m) ◇DACHPt()(OCOC11H23)2収率72% M.P.199〜206℃(dec.) I.R.スペクトル(cm-1) 3180(b、m) 2840(s) 1380(s) 3085(b、m) 1580(s) 1060(w) 2910(s) 1470(m) ◇DACHPt()(OCOC13H27)2収率:92% M.P.178〜184℃(dec.) I.R.スペクトル(cm-1) 3170(b、m) 2840(s) 1380(s) 3080(b、m) 1590(s) 1060(w) 2910(s) 1470(m) 720(m) ◇DACHPt()(OCOC15H31)2収率:98% M.P.188〜200℃(dec.) I.R.スペクトル(cm-1) 3160(b、m) 2840(s) 1375(b、s) 3070(b、m) 1580(b、s) 1060(w) 2910(s) 1465(m) 715(m) ◇DACHPt()(OCOC17H35)2収率:53% M.P.192〜202℃(dec.) I.R.スペクトル(cm-1) 3180(b、m) 2840(s) 1470(m) 720(m) 3080(b、m) 1590(s) 1385(s) 2910(s) 1560(s) 1060(w) ◇DACHPt()(OCOC19H39)2収率:93% M.P.175〜182℃(dec.) I.R.スペクトル(cm-1) 3170(b、m) 2845(s) 1465(m) 715(m) 3060(b、m) 1595(m) 1385(m) 2910(s) 1560(m) 1060(w) ◇DACHPt()(OCOC21H43)2収率:88% M.P.200〜205℃(dec.) I.R.スペクトル(cm-1) 3180(b、m) 2845(s) 1385(m) 3060(b、m) 1560(m) 1060(w) 2910(s) 1470(m) 720(m) ◇DACHPt()(OCOC23H47)2収率:94% M.P.163〜169℃(dec.) I.R.スペクトル(cm-1) 3180(b、m) 2840(s) 1380(m) 3060(b、m) 1590(s) 1060(w) 2910(s) 1460(m) 720(m) 実施例 3 シス−ジアンミンプラチナ()ジパルミテー
トの合成 240mg(0.8ミリモル)のシス−ジクロロジアン
ミンプラチナ()を蒸留水30mlに懸濁させ、70
℃に加熱してその大部分を溶解させ、放冷して室
温に戻した後、272mg(1.6ミリモル)の硝酸銀を
10mlの水に溶解した溶液を上記原料溶液に撹拌下
で滴下した。その直後から乳白色の塩化銀の生成
が始まる。この溶液を遮光条件下で室温にて3時
間撹拌した。生成した塩化銀をセライトを用いて
濾別し、洗浄し、得られる濾液と洗液とを合わせ
て以下の反応に供した。 400mg(1.6ミリモル)のパルミチン酸ナトリウ
ムを水10mlに溶かした水溶液に、上記の水溶液を
加え、遮光条件下で室温にて3週間撹拌を続け
た。析出した乳白色沈殿を濾取し、少量のエーテ
ルで洗浄した後、減圧乾燥し、標記の白金()
錯体を収量0.52g(収率88%)で得た。 M.P.85〜87℃ I.R.スペクトル(cm-1) 3200(b、m) 1610(m) 1390(m) 720(m) 3090(b、m) 1590(m) 1350(m) 2910(s) 1550(m) 1100(w) 2840(s) 1465(m) 870(b、w) 実施例 4 実施例3の操作を繰り返して、ただしパルミチ
ン酸ナトリウムの代わりに夫々ミチスチン酸ナト
リウム、ステアリン酸ナトリウムおよびベヘン酸
ナトリウムを用いて、以下の白金()錯体を得
た。尚、以下の略号“CD”は「シスジアンミン」
を表す。 ◇CDPt()(OCOC13H27)2収率:48% M.P.:98〜102℃(dec.) I.R.スペクトル(cm-1) 3200(b、m) 1610(m) 1380(m) 720(w) 3080(b、m) 1585(m) 1350(m) 2910(s) 1550(m) 1100(w) 2840(s) 1465(m) 860(b、w) ◇CDPt()(OCOC17H35)2収率:82% M.P.:106〜108℃(dec.) I.R.スペクトル(cm-1) 3200(b、m) 1610(m) 1385(m) 720(m) 3090(b、m) 1590(m) 1350(m) 2910(s) 1550(m) 1100(w) 2840(s) 1465(m) 870(b、w) ◇CDPt()(OCOC21H43)2収率:91% M.P.:95〜97℃ I.R.スペクトル(cm-1) 3200(b、m) 2840(s) 1390(m) 720(m) 3090(b、m) 1560(m) 1105(w) 2910(s) 1470(m) 870(b、m) 実施例 5 エチレン−1,2−ジアンミンプラチナ()
ジミリステートの合成 860mg(2.63ミリモルアのジクロロレチレン−
1,2−ジアンミンプラチナ()を蒸留水140
mlに懸濁させ、70℃に加熱してその大部分を溶解
させ、放冷して室温に戻した後、該溶液に890mg
(5.26ミリモル)の硝酸銀を20mlの水に溶解した
水溶液を添加し、遮光条件下で4時間撹拌を続け
た。生成した塩化銀をセライトを用いて濾別した
後、洗浄し、得られた濾液および洗液を合わせて
次の反応に供した。 1.32g(5.26ミリモル)のミリスチン酸ナトリ
ウムを蒸留水150mlに懸濁させ、これに上記のア
クア型水溶液を加えて、遮光条件下で10日間撹拌
を続けた。生成した白色沈殿を濾過により回収
し、少量の蒸留水(20ml)で洗浄した後、減圧乾
燥し、収量1.58(収率86.4%)でエチレン−1,
2−ジアンミンプラチナ()ジミリステートを
得た。 M.P.175−180℃(dec.) I.R.スペクトル(cm-1) 3180(b、m) 3100(b、m) 2920(s) 2850(s) 1615(s) 1590(s) 1460(m) 1380(s) 1310(w) 1170(m) 1115(m) 1055(m) 870(w) 720(w) 尚、原料のジクロロエチレン−1,2−ジアン
ミンプラチナ()は、下記文献に従つて合成し
た〔ジヤーナル オブ ジ アメリカン ケミカ
ルソサイエテイー(J.Am.Chem.Soc.)、1953、
75、1840−1841〕。 発明の効果 かくして、本発明によれば脂溶性に優れた新規
な白金()錯体が提供される。これは制癌剤と
してあるいは抗菌剤として期待できるものであ
る。一般に、制癌剤に限らず、医薬に要求される
特性を患部特異性を有し、しかも正常細胞に悪影
響を及ぼさないことである。本発明の白金()
錯体は脂溶性であるので患部特異性を有すること
が期待され、また癌細胞近傍に選択的に長期滞留
する性質を有するリピオドールなどの造影剤と組
合せて使用することにより、より一層選択的に癌
細胞近傍に搬送され、そこで長期に亘り貯蔵され
ると共に徐放されて癌細胞に作用する制癌剤を得
ることが可能となる。即ち、本発明によれば極め
て有用な選択的作用を有し、かつ従来のシスプラ
チンの重篤な腎毒性を軽減した制癌剤を提供する
ことができる。
対照群については、MST8.0〜10.0およびT/C
を100とし、これを基準値とした。これらの場合
には当然のことながらCRは0であつた。一方、
脂溶性白金()錯体投与群については、高投与
量群で毒性死が観察される場合もあつたが、それ
以下の投与群では、リグノセリン酸誘導体を除い
て良好なT/C値を示した。特に、ラウリン酸誘
導体855mg/Kg投与群で3/5、ミリスチン酸誘
導体167mg/Kg投与群で5/5、ステアリン酸誘
導体212mg/Kgで5/5、アラキジン酸誘導体225
mg/Kg投与群で5/5、ベヘン酸誘導体239mg/
Kg投与群で4/5、オレイン酸誘導体630mg/Kg
投与群で2/7の完全治癒が見られた。一方、公
知化合物であるCDDPとDACHPでは高投与量で
毒性が見られ、また、低投与量でも完全治癒は見
られなかつた。 上記結果は、配位子部位および脱離基の脂溶性
が抗腫瘍活性と密接な関係を有することを示唆し
ている。 また、本発明の脂溶性白金()錯体の1つで
あるシクロヘキシルジアンミン誘導体をリピオド
ールに溶かして生理食塩水中に加え、37℃でゆつ
くり振盪した場合、第1図に示したように、30日
以上にわたつて白金()錯体がリピオドールの
油層から水層に徐放されることが示された。ま
た、その他の誘導体についても同様な結果が得ら
れることも確認した。 実施例 以下、実施例により本発明の白金()錯体の
製造方法を更に具体的に説明する。しかしなが
ら、これら実施例により本発明の範囲は何等制限
されるものではない。 実施例 1 シクロヘキサ−1,2−ジアンミンプラチナ
()ジオレエートの合成 トランス体約70%とシス体約30%よりなるシク
ロヘキサン−1,2−ジアミンを原料として、前
記文献〔ケミカル&バイオロジカルインターラク
シヨンズ(Chem.Biol.Interactions)、1972、5、
415〕に記載の方法に従つて誘導したジクロロシ
クロヘキサン−1,2−ジアンミンプラチナ
()570mg(1.5ミリモル)を蒸留水80mlに懸濁
させ、70℃に加熱してその大部分を溶解させ、放
冷して室温に戻した後、該溶液に510mg(3ミリ
モル)の硝酸銀を10mlの水に溶解した水溶液を添
加し、遮光条件下で3時間撹拌を続けた。生成し
た塩化銀を、セライトを用いて濾別した後、洗浄
し、得られた濾液および洗液を合わせて次の反応
に供した。 912mg(3ミリモル)のオレイン酸ナトリウム
を水に分散させた水性懸濁液10mlに、上記アクア
型水溶液を加えて、遮光条件下で3週間撹拌を続
けた。生成した乳白色沈殿を濾過により回収し、
少量の水(10ml)で洗浄した後、減圧乾燥し、
1.2g(収率92%)の標記白金()錯体を得た。 M.P.151〜159℃(dec.) I.R.スペクトル(cm-1) 3180(b、m) 2845(s) 1380(m) 3060(b、m) 1590(m) 720(m) 2920(s) 1460(m) 1060(w) 実施例 2 実施例1と同じ操作を繰り返した。ただし、脂
肪酸のアルカリ金属塩として夫々カプリン酸ナト
リウム、ラウリン酸ナトリウム、ミリスチン酸ナ
トリウム、パルミチン酸ナトリウム、ステアリン
酸ナトリウム、アラキジン酸ナトリウム、ベヘン
酸ナトリウムおよびリグノセリン酸ナトリウムを
用い、以下の化合物を合成した。 ◇DACHPt()(OCOC3H19)2収率:61% M.P.198〜203℃(dec.) I.R.スペクトル(cm-1) 3170(b、m) 2840(m) 1380(s) 3070(b、m) 1595(b、s) 1060(w) 3020(s) 1460(m) 720(m) ◇DACHPt()(OCOC11H23)2収率72% M.P.199〜206℃(dec.) I.R.スペクトル(cm-1) 3180(b、m) 2840(s) 1380(s) 3085(b、m) 1580(s) 1060(w) 2910(s) 1470(m) ◇DACHPt()(OCOC13H27)2収率:92% M.P.178〜184℃(dec.) I.R.スペクトル(cm-1) 3170(b、m) 2840(s) 1380(s) 3080(b、m) 1590(s) 1060(w) 2910(s) 1470(m) 720(m) ◇DACHPt()(OCOC15H31)2収率:98% M.P.188〜200℃(dec.) I.R.スペクトル(cm-1) 3160(b、m) 2840(s) 1375(b、s) 3070(b、m) 1580(b、s) 1060(w) 2910(s) 1465(m) 715(m) ◇DACHPt()(OCOC17H35)2収率:53% M.P.192〜202℃(dec.) I.R.スペクトル(cm-1) 3180(b、m) 2840(s) 1470(m) 720(m) 3080(b、m) 1590(s) 1385(s) 2910(s) 1560(s) 1060(w) ◇DACHPt()(OCOC19H39)2収率:93% M.P.175〜182℃(dec.) I.R.スペクトル(cm-1) 3170(b、m) 2845(s) 1465(m) 715(m) 3060(b、m) 1595(m) 1385(m) 2910(s) 1560(m) 1060(w) ◇DACHPt()(OCOC21H43)2収率:88% M.P.200〜205℃(dec.) I.R.スペクトル(cm-1) 3180(b、m) 2845(s) 1385(m) 3060(b、m) 1560(m) 1060(w) 2910(s) 1470(m) 720(m) ◇DACHPt()(OCOC23H47)2収率:94% M.P.163〜169℃(dec.) I.R.スペクトル(cm-1) 3180(b、m) 2840(s) 1380(m) 3060(b、m) 1590(s) 1060(w) 2910(s) 1460(m) 720(m) 実施例 3 シス−ジアンミンプラチナ()ジパルミテー
トの合成 240mg(0.8ミリモル)のシス−ジクロロジアン
ミンプラチナ()を蒸留水30mlに懸濁させ、70
℃に加熱してその大部分を溶解させ、放冷して室
温に戻した後、272mg(1.6ミリモル)の硝酸銀を
10mlの水に溶解した溶液を上記原料溶液に撹拌下
で滴下した。その直後から乳白色の塩化銀の生成
が始まる。この溶液を遮光条件下で室温にて3時
間撹拌した。生成した塩化銀をセライトを用いて
濾別し、洗浄し、得られる濾液と洗液とを合わせ
て以下の反応に供した。 400mg(1.6ミリモル)のパルミチン酸ナトリウ
ムを水10mlに溶かした水溶液に、上記の水溶液を
加え、遮光条件下で室温にて3週間撹拌を続け
た。析出した乳白色沈殿を濾取し、少量のエーテ
ルで洗浄した後、減圧乾燥し、標記の白金()
錯体を収量0.52g(収率88%)で得た。 M.P.85〜87℃ I.R.スペクトル(cm-1) 3200(b、m) 1610(m) 1390(m) 720(m) 3090(b、m) 1590(m) 1350(m) 2910(s) 1550(m) 1100(w) 2840(s) 1465(m) 870(b、w) 実施例 4 実施例3の操作を繰り返して、ただしパルミチ
ン酸ナトリウムの代わりに夫々ミチスチン酸ナト
リウム、ステアリン酸ナトリウムおよびベヘン酸
ナトリウムを用いて、以下の白金()錯体を得
た。尚、以下の略号“CD”は「シスジアンミン」
を表す。 ◇CDPt()(OCOC13H27)2収率:48% M.P.:98〜102℃(dec.) I.R.スペクトル(cm-1) 3200(b、m) 1610(m) 1380(m) 720(w) 3080(b、m) 1585(m) 1350(m) 2910(s) 1550(m) 1100(w) 2840(s) 1465(m) 860(b、w) ◇CDPt()(OCOC17H35)2収率:82% M.P.:106〜108℃(dec.) I.R.スペクトル(cm-1) 3200(b、m) 1610(m) 1385(m) 720(m) 3090(b、m) 1590(m) 1350(m) 2910(s) 1550(m) 1100(w) 2840(s) 1465(m) 870(b、w) ◇CDPt()(OCOC21H43)2収率:91% M.P.:95〜97℃ I.R.スペクトル(cm-1) 3200(b、m) 2840(s) 1390(m) 720(m) 3090(b、m) 1560(m) 1105(w) 2910(s) 1470(m) 870(b、m) 実施例 5 エチレン−1,2−ジアンミンプラチナ()
ジミリステートの合成 860mg(2.63ミリモルアのジクロロレチレン−
1,2−ジアンミンプラチナ()を蒸留水140
mlに懸濁させ、70℃に加熱してその大部分を溶解
させ、放冷して室温に戻した後、該溶液に890mg
(5.26ミリモル)の硝酸銀を20mlの水に溶解した
水溶液を添加し、遮光条件下で4時間撹拌を続け
た。生成した塩化銀をセライトを用いて濾別した
後、洗浄し、得られた濾液および洗液を合わせて
次の反応に供した。 1.32g(5.26ミリモル)のミリスチン酸ナトリ
ウムを蒸留水150mlに懸濁させ、これに上記のア
クア型水溶液を加えて、遮光条件下で10日間撹拌
を続けた。生成した白色沈殿を濾過により回収
し、少量の蒸留水(20ml)で洗浄した後、減圧乾
燥し、収量1.58(収率86.4%)でエチレン−1,
2−ジアンミンプラチナ()ジミリステートを
得た。 M.P.175−180℃(dec.) I.R.スペクトル(cm-1) 3180(b、m) 3100(b、m) 2920(s) 2850(s) 1615(s) 1590(s) 1460(m) 1380(s) 1310(w) 1170(m) 1115(m) 1055(m) 870(w) 720(w) 尚、原料のジクロロエチレン−1,2−ジアン
ミンプラチナ()は、下記文献に従つて合成し
た〔ジヤーナル オブ ジ アメリカン ケミカ
ルソサイエテイー(J.Am.Chem.Soc.)、1953、
75、1840−1841〕。 発明の効果 かくして、本発明によれば脂溶性に優れた新規
な白金()錯体が提供される。これは制癌剤と
してあるいは抗菌剤として期待できるものであ
る。一般に、制癌剤に限らず、医薬に要求される
特性を患部特異性を有し、しかも正常細胞に悪影
響を及ぼさないことである。本発明の白金()
錯体は脂溶性であるので患部特異性を有すること
が期待され、また癌細胞近傍に選択的に長期滞留
する性質を有するリピオドールなどの造影剤と組
合せて使用することにより、より一層選択的に癌
細胞近傍に搬送され、そこで長期に亘り貯蔵され
ると共に徐放されて癌細胞に作用する制癌剤を得
ることが可能となる。即ち、本発明によれば極め
て有用な選択的作用を有し、かつ従来のシスプラ
チンの重篤な腎毒性を軽減した制癌剤を提供する
ことができる。
添付第1図は本発明の脂溶性白金()錯体を
リピオドールに溶かして生理食塩水中に添加した
際にみられる白金()錯体の水層中への放出の
経時変化をプロツトしたグラフである。
リピオドールに溶かして生理食塩水中に添加した
際にみられる白金()錯体の水層中への放出の
経時変化をプロツトしたグラフである。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 一般式()で示される脂溶性白金()錯
体: 【化】 (ここで、 Rは炭素原子数が10〜24の飽和脂肪酸残基また
は炭素原子数が16〜20の不飽和脂肪酸残基を表
す)。 2 Rが炭素原子数10〜24の飽和脂肪酸残基であ
る特許請求の範囲第1項に記載の脂溶性白金
()錯体。 3 Rが炭素原子数10〜24の直鎖飽和脂肪酸残基
である特許請求の範囲第1項に記載の脂溶性白金
()錯体。 4 Rがミリスチン酸残基である特許請求の範囲
第1項に記載の脂溶性白金()錯体。
Applications Claiming Priority (2)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP60-43869 | 1985-03-06 | ||
| JP4386985 | 1985-03-06 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPS6296A JPS6296A (ja) | 1987-01-06 |
| JPH0576954B2 true JPH0576954B2 (ja) | 1993-10-25 |
Family
ID=12675703
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP61044903A Granted JPS6296A (ja) | 1985-03-06 | 1986-02-28 | 脂溶性白金(2)錯体 |
Country Status (8)
| Country | Link |
|---|---|
| US (1) | US6613799B1 (ja) |
| EP (1) | EP0193936B1 (ja) |
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