JPH0587232B2 - - Google Patents
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- JPH0587232B2 JPH0587232B2 JP12759187A JP12759187A JPH0587232B2 JP H0587232 B2 JPH0587232 B2 JP H0587232B2 JP 12759187 A JP12759187 A JP 12759187A JP 12759187 A JP12759187 A JP 12759187A JP H0587232 B2 JPH0587232 B2 JP H0587232B2
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- Purification Treatments By Anaerobic Or Anaerobic And Aerobic Bacteria Or Animals (AREA)
Description
(産業上の利用分野)
本発明は新規な微生物、具体的には、置換およ
び非置換の縮合多環芳香族炭化水素化合物を酸化
的に資化して、有用化合物に転換する能力を示
す、シユードモナス・プチダ(Pseudomonas
putida)種に属する新規な細菌菌株に関する。 (従来の技術) 従来、芳香族炭化水素、特にコールタール中に
含まれている縮合多環芳香族化合物(例、ナフタ
レン、アントラセン、フエナントレン、あるいは
これらのアルキル置換化合物など)に対する微生
物の作用に関しては、環境汚染防止の観点から、
微生物の異化作用によるこれらの化合物の分解に
ついて多くの研究がなされており、芳香族炭化水
素化合物の分解性菌としてシユードモナス
(Pseudomonas)属およびアルカリゲネス
(Alcaligenes)属に属する細菌を中心に多数の細
菌が知られている。 一方、微生物によつて行なわれる省エネルギー
的な物質変換能、すなわち資化作用に着目する
と、コールタール中に含まれる種々の物質を原料
とし、これを微生物の資化作用により有用物質に
転換できれば、資源エネルギーの有効利用の面で
大変有利かつ重要であると考えられる。しかし、
芳香族炭化水素化合物、特に多環芳香族化合物
は、脂肪族化合物と比較して微生物による酵素反
応を受けにくいために、多環芳香族炭化水素化合
物を原料とした微生物学的手法による有用物質の
生成に関する研究はそれほど多くない。 多環芳香族炭化水素化合物の微生物学的資化に
関する従来技術としては、ナフタレンから微生物
作用により医薬品等の原料であるサリチル酸を製
造することが古くから知られている(特公昭43−
20704号公報)。また、最近になり、シユードモナ
ス属の細菌を利用してビフエニルをヒドロキシ化
し、フエニルフエノールに転換することも提案さ
れている(特公昭60−38116号公報)。 (発明が解決しようとする問題点) 上記の従来の微生物学的な多環芳香族化合物の
製造例にあつては、原料となる芳香族化合物が置
換基を持たない2環式化合物といつた比較的簡単
な構造の物質である。これに置換基が導入された
物質を原料とした場合には、微生物中の酵素が基
質特異性を示すために、非置換化合物と同様に酵
素反応を生じさせることは容易ではない。また、
フエナントレン、アントラセンなどの3環以上の
縮合多環化合物の酵素反応も、同様の理由から容
易ではない。さらに、本発明者らが先に提案した
上記の欠点が解決された新規細菌菌株シユードモ
ナス・スツツチエリ(Pseudomonas stutzeri)
5Aの例(特願昭62−39925号)では、目的物の生
成速度が必ずしも十分でない。 本発明の目的は、芳香族炭化水素化合物、特に
コールタール中に含まれる各種芳香族炭化水素成
分、たとえば、非置換ナフタレンおよびアルキル
置換ナフタレン、ならびにアントラセン、フエナ
ントレンなどの3環式芳香族炭化水素化合物をも
基質として利用でき、これらの化合物を別の有用
化合物に転換させる能力を有する新規微生物を提
供することである。 (問題点を解決するための手段) 本発明者らは、上記のような能力を有する微生
物を自然界より検索した結果、シユードモナス属
に属する細菌菌種にこのような能力をもつものが
あることを見出し、本発明を完成させた。 すなわち、本発明により、シユードモナス属に
属する細菌菌株であつて、非置換ナフタレンなら
びに1−もしくは2−メチルナフタレン、2,3
−ジメチルナフタレンなどのアルキル置換ナフタ
レン類、さらにはフエナントレン、アントラセン
などの3環式芳香族炭化水素化合物を酸化的に資
化する能力を有する、新規菌株シユードモナス・
プチダ(Pseudomonas putida)9−Ant(微工研
菌寄第9350号)が提供される。 本発明者らが分離した本発明に係る新規菌株の
菌学的性質を次に記載する。 シユードモナス・プチダ9−Autの菌学的性質 (a) 形態 細胞の形と大きさ:桿菌、 (0.6〜0.9)×(1.3〜1.8)(μm) 運動性の有無と鞭毛の着生状態:有り、極鞭
毛(3本) 細胞の多形性および胞子の有無:共に無し グラム染色性:陰性 (b) 各種培地における生育状態 肉汁寒天平板培養:生育良好、乳白色、円形
湿光 肉汁寒天斜面培養:生育良好、乳白色、起伏
のあるコロニー 肉汁液体培養:生育良好、沈渣有り(小片
状) 肉汁ゼラチン穿刺培養:表層部で生育、小片
状の菌膜散乱、液化しない リトマス・ミルク:リトマスを還元、アルカ
リ性化(微弱) (c) 生理学的性質
び非置換の縮合多環芳香族炭化水素化合物を酸化
的に資化して、有用化合物に転換する能力を示
す、シユードモナス・プチダ(Pseudomonas
putida)種に属する新規な細菌菌株に関する。 (従来の技術) 従来、芳香族炭化水素、特にコールタール中に
含まれている縮合多環芳香族化合物(例、ナフタ
レン、アントラセン、フエナントレン、あるいは
これらのアルキル置換化合物など)に対する微生
物の作用に関しては、環境汚染防止の観点から、
微生物の異化作用によるこれらの化合物の分解に
ついて多くの研究がなされており、芳香族炭化水
素化合物の分解性菌としてシユードモナス
(Pseudomonas)属およびアルカリゲネス
(Alcaligenes)属に属する細菌を中心に多数の細
菌が知られている。 一方、微生物によつて行なわれる省エネルギー
的な物質変換能、すなわち資化作用に着目する
と、コールタール中に含まれる種々の物質を原料
とし、これを微生物の資化作用により有用物質に
転換できれば、資源エネルギーの有効利用の面で
大変有利かつ重要であると考えられる。しかし、
芳香族炭化水素化合物、特に多環芳香族化合物
は、脂肪族化合物と比較して微生物による酵素反
応を受けにくいために、多環芳香族炭化水素化合
物を原料とした微生物学的手法による有用物質の
生成に関する研究はそれほど多くない。 多環芳香族炭化水素化合物の微生物学的資化に
関する従来技術としては、ナフタレンから微生物
作用により医薬品等の原料であるサリチル酸を製
造することが古くから知られている(特公昭43−
20704号公報)。また、最近になり、シユードモナ
ス属の細菌を利用してビフエニルをヒドロキシ化
し、フエニルフエノールに転換することも提案さ
れている(特公昭60−38116号公報)。 (発明が解決しようとする問題点) 上記の従来の微生物学的な多環芳香族化合物の
製造例にあつては、原料となる芳香族化合物が置
換基を持たない2環式化合物といつた比較的簡単
な構造の物質である。これに置換基が導入された
物質を原料とした場合には、微生物中の酵素が基
質特異性を示すために、非置換化合物と同様に酵
素反応を生じさせることは容易ではない。また、
フエナントレン、アントラセンなどの3環以上の
縮合多環化合物の酵素反応も、同様の理由から容
易ではない。さらに、本発明者らが先に提案した
上記の欠点が解決された新規細菌菌株シユードモ
ナス・スツツチエリ(Pseudomonas stutzeri)
5Aの例(特願昭62−39925号)では、目的物の生
成速度が必ずしも十分でない。 本発明の目的は、芳香族炭化水素化合物、特に
コールタール中に含まれる各種芳香族炭化水素成
分、たとえば、非置換ナフタレンおよびアルキル
置換ナフタレン、ならびにアントラセン、フエナ
ントレンなどの3環式芳香族炭化水素化合物をも
基質として利用でき、これらの化合物を別の有用
化合物に転換させる能力を有する新規微生物を提
供することである。 (問題点を解決するための手段) 本発明者らは、上記のような能力を有する微生
物を自然界より検索した結果、シユードモナス属
に属する細菌菌種にこのような能力をもつものが
あることを見出し、本発明を完成させた。 すなわち、本発明により、シユードモナス属に
属する細菌菌株であつて、非置換ナフタレンなら
びに1−もしくは2−メチルナフタレン、2,3
−ジメチルナフタレンなどのアルキル置換ナフタ
レン類、さらにはフエナントレン、アントラセン
などの3環式芳香族炭化水素化合物を酸化的に資
化する能力を有する、新規菌株シユードモナス・
プチダ(Pseudomonas putida)9−Ant(微工研
菌寄第9350号)が提供される。 本発明者らが分離した本発明に係る新規菌株の
菌学的性質を次に記載する。 シユードモナス・プチダ9−Autの菌学的性質 (a) 形態 細胞の形と大きさ:桿菌、 (0.6〜0.9)×(1.3〜1.8)(μm) 運動性の有無と鞭毛の着生状態:有り、極鞭
毛(3本) 細胞の多形性および胞子の有無:共に無し グラム染色性:陰性 (b) 各種培地における生育状態 肉汁寒天平板培養:生育良好、乳白色、円形
湿光 肉汁寒天斜面培養:生育良好、乳白色、起伏
のあるコロニー 肉汁液体培養:生育良好、沈渣有り(小片
状) 肉汁ゼラチン穿刺培養:表層部で生育、小片
状の菌膜散乱、液化しない リトマス・ミルク:リトマスを還元、アルカ
リ性化(微弱) (c) 生理学的性質
【表】
【表】
【表】
(作用)
本発明者らは、アルキル置換および非置換の縮
合多環芳香族炭化水素化合物に対して酸化能を有
する本発明の細菌菌株について、上記の菌学的性
質に基づいて、バージーズ・マニユアル・オブ・
システマテイツク・バクテリオロジー
(Bergey'sMannual of Systematic
Bacteriology),Vol.1(1984)に記載の基準に従
つて公知の菌株との異同を検討した結果、シユー
ドモナス・プチダ種に属する新規な菌株と認め、
シユードモナス・プチダ9−Antと命名した。こ
の菌株は微工研菌寄第9350号として工業技術院微
生物工業技術研究所に寄託・保管されている。 本発明の細菌菌株の培養に使用する培地は、こ
の菌株が良好に成育し、かつ原料となる芳香族炭
化水素化合物を基質として十分に微生物反応を進
行させるものであれば、いかなる組成の培地であ
つてもよく、また、菌体増殖用と反応用に異なる
2種類の培地を用いてもよい。 この時に用いる培地は、培地成分として、適当
な炭素源、窒素源および無機塩などを含有しう
る。 炭素源としては、反応用の培地の場合、原料と
なる多環芳香族炭化水素化合物を単独で利用でき
る。所望により、さらに本発明の菌株が利用でき
る任意の炭素源を追加の炭素源として併用しう
る。かかる追加の炭素源として利用できる有機物
には、上記の菌学的性質において示したように、
グリセリン、エタノールなどの有機化合物、グル
コース、フラクトースなどの炭水化物、クエン酸
などの有機酸が挙げられる。追加の炭素源として
好適な有機化合物の例はグリセリンである。菌体
増殖用の培地の場合には、縮合多環芳香族炭化水
素化合物に限らず、上述したような本発明の菌株
が利用できる1種または2種以上の炭素化合物を
任意に炭素源として利用できる。 窒素源としては、特に限定されないが、硫酸ア
ンモニウム、硝酸アンモニウムなどの無機窒素化
合物、およびペプトンなど有機窒素源が利用でき
る。有機窒素化合物を用いる場合、これには炭素
も含まれているので、菌体増殖用培地にあつては
別の炭素源は必ずしも必要でない。 無機塩類としては、各種のリン酸塩、硫酸マグ
ネシウムなどが使用できる。さらに、微量の重金
属塩(例、鉄塩、マンガン塩など)を培地に含有
させてもよい。 培養方法としては、振盪培養法、深部通気攪拌
培養法などの方法により行うことができる。培養
温度は25〜35℃、pHは中性付近、培養日数は反
応の進行に応じて決めることができるが、通常は
5〜10日が適当である。この時に、原料となる芳
香族化合物は水に難溶性であるために、ポリオキ
シエチレンソルビタンなどの各種の界面活性剤を
培地に添加することも可能である。また、必要に
応じて、消泡剤を添加してもよい。 培養終了後、培養液からの目的物の分離・精製
は、一般の有機化合物の分離・精製と同様に、溶
媒抽出、カラムクロマトグラフイー、中和、濃
縮、結晶化などの当業者に周知の手段を適宜組合
わせて行うことができる。たとえば、培養液から
菌体を遠心分離によつて除いた後、酸性とし、酢
酸エチル、クロロホルムなどの有機溶媒によつて
抽出する。得られた抽出液からカラムクロマトグ
ラフイーあるいは再結晶などの方法によつて目的
物を単離することができる。 本発明によるシユードモナス・プチダ種に属す
る新規菌株は、後出の参考例に例示するように、
ナフタレン、2,3−ジメチルナフタレン、1−
メチルナフタレン、2−メチルナフタレン、フエ
ナントレン、アントラセンなどの非置換もしくは
アルキル置換縮合多環式芳香族炭化水素化合物に
酸化的に作用して、開環および酸化反応により、
環の一つ少ない1,2−ヒドロキシ酸などのヒド
ロキシル基とカルボキシル基が芳香環の隣接炭素
原子にそれぞれ結合した化合物に変換させること
ができる。上に例示した多環式炭化水素化合物を
基質として本発明の菌株を培養した場合に得られ
る生成物は、それぞれ、2−ヒドロキシ安息香酸
(サリチル酸)、4,5−ジメチル−2−ヒドロキ
シ安息香酸、3−メチル−2−ヒドロキシ安息香
酸、4−メチル−2−ヒドロキシ安息香酸、1−
ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、3−ヒドロキシ−
2−ナフトエ酸である。これらの芳香族ヒドロキ
シ酸は、医薬品、農薬、染料などの原料として有
用である。 以下、実施例により本発明をさらに具体的に説
明する。 実施例 1 茨城県鹿島郡で採取した土壌(約0.5g)を10cm3
の滅菌水に懸濁し、十分に攪拌した後、放置し
た。得られた土壌懸濁液上清(1cm3)を、0.1%
のアントラセンを加えた下記組成のSN培地から
なる分離用培地(50cm3)に加え、30℃で7日間振
盪培養した(集積培養)。SN培地は、pH調節
後に濾過および滅菌してから使用した。 SN培地の組成 硫酸アンモニウム 5g リン酸水素2カリウム 2g リン酸2水素ナトリウム 2g 硫酸マグネシウム・7水塩 0.1g 硫酸第一鉄・7水塩 0.1g 硫酸マンガン・7水塩 0.1g 酵母エキス 10mg イオン交換水 1 pH 8 集積培養Iで得られた培養液の上清(1cm3)
を、0.1%のアントラセンおよび0.01%のグリセ
リンを添加したSN培地に加え、集積培養Iと同
様の培養条件で培養した(集積培養)。この集
積培養で得られた培養液の1白金耳を滅菌水で
希釈した後、SCD寒天培地(大五栄養(株)製)上
に展開し、30℃で2日間培養した。生じたコロニ
ーの形状・色合い等の外観を目視により識別し、
3種類の菌株を得た。これらの菌株をそれぞれ集
積培養と同様の培地に植菌し、30℃での培養を
続けてアントラセンに対する反応性を検討し、こ
の化合物を変換させる能力を有する9−Ant菌を
得た。 次の参考例は、本発明の新規菌株の反応例を示
すものである。 参考例 1 本参考例は、本発明の菌株を利用したアントラ
センの3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸への変換
を例示する。 実施例1に示したSN培地に0.05%のグリセリ
ンを添加した菌体増殖用培地50cm3に、普通寒天培
地上のシユードモナス・プチダ9−Antの1白金
耳を接種した。30℃で1夜振とう培養を行つた
後、基質としてアントラセンを50mg添加した。30
℃で5日間反応を行つた後、反応液の高速液体ク
ロマトグラフイー(HPLC)分析の結果、この反
応液は酸化生成物として3−ヒドロキシ−2−ナ
フトエ酸を76mg/の量で含有していた。 参考例 2 本参考例は、本発明の菌株を利用したフエナン
トレンの1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸への変
換を例示する。 フエナントレンを基質として用いて、参考例1
と同様に反応を行つた。30℃で5日間反応させた
ところ、得られた反応液は酸化生成物として1−
ヒドロキシ−2−ナフトエ酸を658mg/の量で
含有していた。 参考例 3 本参考例は、本発明の菌株を利用した1−メチ
ルナフタレンの3−メチル−2−ヒドロキシ安息
香酸(3−メチルサリチル酸)への変換を例示す
る。 1−メチルナフタレンを基質として用いて、参
考例1と同様に反応を行つた。30℃で5日間反応
させたところ、得られた反応液は酸化生成物とし
て3−メチルサリチル酸を91mg/の量で含有し
ていた。 (発明の効果) 本発明による新規微生物、シユードモナス・プ
チダ9−Ant菌株は、上に例示したように、アル
キル置換ナフタレンや縮合3環式炭化水素化合物
(フエナントレン、アントラセン)を基質として
培養することができ、それにより各種の芳香族ヒ
ドロキシ酸が微生物学的手法で生産される。これ
らのヒドロキシ酸は医農薬品、染料などの原料と
して有用な化学品であるが、従来はフエノール類
もしくはヒドロキシナフタレン類を原料としてコ
ルベ・シユミツト法により高温・高圧下で化学的
に合成されており、そのためかなり高価とならざ
るを得なかつた。本発明の新規微生物を利用すれ
ば、コールタールから分離された安価な芳香族炭
化水素化合物を原料として利用し、省エネルギー
的な微生物酸化法で目的とする各種ヒドロキシ酸
を製造することができるので、ヒドロキシ酸を安
価に提供することが可能となる。また、この方法
により、コールタール成分の有効利用も同時に図
られる。
合多環芳香族炭化水素化合物に対して酸化能を有
する本発明の細菌菌株について、上記の菌学的性
質に基づいて、バージーズ・マニユアル・オブ・
システマテイツク・バクテリオロジー
(Bergey'sMannual of Systematic
Bacteriology),Vol.1(1984)に記載の基準に従
つて公知の菌株との異同を検討した結果、シユー
ドモナス・プチダ種に属する新規な菌株と認め、
シユードモナス・プチダ9−Antと命名した。こ
の菌株は微工研菌寄第9350号として工業技術院微
生物工業技術研究所に寄託・保管されている。 本発明の細菌菌株の培養に使用する培地は、こ
の菌株が良好に成育し、かつ原料となる芳香族炭
化水素化合物を基質として十分に微生物反応を進
行させるものであれば、いかなる組成の培地であ
つてもよく、また、菌体増殖用と反応用に異なる
2種類の培地を用いてもよい。 この時に用いる培地は、培地成分として、適当
な炭素源、窒素源および無機塩などを含有しう
る。 炭素源としては、反応用の培地の場合、原料と
なる多環芳香族炭化水素化合物を単独で利用でき
る。所望により、さらに本発明の菌株が利用でき
る任意の炭素源を追加の炭素源として併用しう
る。かかる追加の炭素源として利用できる有機物
には、上記の菌学的性質において示したように、
グリセリン、エタノールなどの有機化合物、グル
コース、フラクトースなどの炭水化物、クエン酸
などの有機酸が挙げられる。追加の炭素源として
好適な有機化合物の例はグリセリンである。菌体
増殖用の培地の場合には、縮合多環芳香族炭化水
素化合物に限らず、上述したような本発明の菌株
が利用できる1種または2種以上の炭素化合物を
任意に炭素源として利用できる。 窒素源としては、特に限定されないが、硫酸ア
ンモニウム、硝酸アンモニウムなどの無機窒素化
合物、およびペプトンなど有機窒素源が利用でき
る。有機窒素化合物を用いる場合、これには炭素
も含まれているので、菌体増殖用培地にあつては
別の炭素源は必ずしも必要でない。 無機塩類としては、各種のリン酸塩、硫酸マグ
ネシウムなどが使用できる。さらに、微量の重金
属塩(例、鉄塩、マンガン塩など)を培地に含有
させてもよい。 培養方法としては、振盪培養法、深部通気攪拌
培養法などの方法により行うことができる。培養
温度は25〜35℃、pHは中性付近、培養日数は反
応の進行に応じて決めることができるが、通常は
5〜10日が適当である。この時に、原料となる芳
香族化合物は水に難溶性であるために、ポリオキ
シエチレンソルビタンなどの各種の界面活性剤を
培地に添加することも可能である。また、必要に
応じて、消泡剤を添加してもよい。 培養終了後、培養液からの目的物の分離・精製
は、一般の有機化合物の分離・精製と同様に、溶
媒抽出、カラムクロマトグラフイー、中和、濃
縮、結晶化などの当業者に周知の手段を適宜組合
わせて行うことができる。たとえば、培養液から
菌体を遠心分離によつて除いた後、酸性とし、酢
酸エチル、クロロホルムなどの有機溶媒によつて
抽出する。得られた抽出液からカラムクロマトグ
ラフイーあるいは再結晶などの方法によつて目的
物を単離することができる。 本発明によるシユードモナス・プチダ種に属す
る新規菌株は、後出の参考例に例示するように、
ナフタレン、2,3−ジメチルナフタレン、1−
メチルナフタレン、2−メチルナフタレン、フエ
ナントレン、アントラセンなどの非置換もしくは
アルキル置換縮合多環式芳香族炭化水素化合物に
酸化的に作用して、開環および酸化反応により、
環の一つ少ない1,2−ヒドロキシ酸などのヒド
ロキシル基とカルボキシル基が芳香環の隣接炭素
原子にそれぞれ結合した化合物に変換させること
ができる。上に例示した多環式炭化水素化合物を
基質として本発明の菌株を培養した場合に得られ
る生成物は、それぞれ、2−ヒドロキシ安息香酸
(サリチル酸)、4,5−ジメチル−2−ヒドロキ
シ安息香酸、3−メチル−2−ヒドロキシ安息香
酸、4−メチル−2−ヒドロキシ安息香酸、1−
ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、3−ヒドロキシ−
2−ナフトエ酸である。これらの芳香族ヒドロキ
シ酸は、医薬品、農薬、染料などの原料として有
用である。 以下、実施例により本発明をさらに具体的に説
明する。 実施例 1 茨城県鹿島郡で採取した土壌(約0.5g)を10cm3
の滅菌水に懸濁し、十分に攪拌した後、放置し
た。得られた土壌懸濁液上清(1cm3)を、0.1%
のアントラセンを加えた下記組成のSN培地から
なる分離用培地(50cm3)に加え、30℃で7日間振
盪培養した(集積培養)。SN培地は、pH調節
後に濾過および滅菌してから使用した。 SN培地の組成 硫酸アンモニウム 5g リン酸水素2カリウム 2g リン酸2水素ナトリウム 2g 硫酸マグネシウム・7水塩 0.1g 硫酸第一鉄・7水塩 0.1g 硫酸マンガン・7水塩 0.1g 酵母エキス 10mg イオン交換水 1 pH 8 集積培養Iで得られた培養液の上清(1cm3)
を、0.1%のアントラセンおよび0.01%のグリセ
リンを添加したSN培地に加え、集積培養Iと同
様の培養条件で培養した(集積培養)。この集
積培養で得られた培養液の1白金耳を滅菌水で
希釈した後、SCD寒天培地(大五栄養(株)製)上
に展開し、30℃で2日間培養した。生じたコロニ
ーの形状・色合い等の外観を目視により識別し、
3種類の菌株を得た。これらの菌株をそれぞれ集
積培養と同様の培地に植菌し、30℃での培養を
続けてアントラセンに対する反応性を検討し、こ
の化合物を変換させる能力を有する9−Ant菌を
得た。 次の参考例は、本発明の新規菌株の反応例を示
すものである。 参考例 1 本参考例は、本発明の菌株を利用したアントラ
センの3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸への変換
を例示する。 実施例1に示したSN培地に0.05%のグリセリ
ンを添加した菌体増殖用培地50cm3に、普通寒天培
地上のシユードモナス・プチダ9−Antの1白金
耳を接種した。30℃で1夜振とう培養を行つた
後、基質としてアントラセンを50mg添加した。30
℃で5日間反応を行つた後、反応液の高速液体ク
ロマトグラフイー(HPLC)分析の結果、この反
応液は酸化生成物として3−ヒドロキシ−2−ナ
フトエ酸を76mg/の量で含有していた。 参考例 2 本参考例は、本発明の菌株を利用したフエナン
トレンの1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸への変
換を例示する。 フエナントレンを基質として用いて、参考例1
と同様に反応を行つた。30℃で5日間反応させた
ところ、得られた反応液は酸化生成物として1−
ヒドロキシ−2−ナフトエ酸を658mg/の量で
含有していた。 参考例 3 本参考例は、本発明の菌株を利用した1−メチ
ルナフタレンの3−メチル−2−ヒドロキシ安息
香酸(3−メチルサリチル酸)への変換を例示す
る。 1−メチルナフタレンを基質として用いて、参
考例1と同様に反応を行つた。30℃で5日間反応
させたところ、得られた反応液は酸化生成物とし
て3−メチルサリチル酸を91mg/の量で含有し
ていた。 (発明の効果) 本発明による新規微生物、シユードモナス・プ
チダ9−Ant菌株は、上に例示したように、アル
キル置換ナフタレンや縮合3環式炭化水素化合物
(フエナントレン、アントラセン)を基質として
培養することができ、それにより各種の芳香族ヒ
ドロキシ酸が微生物学的手法で生産される。これ
らのヒドロキシ酸は医農薬品、染料などの原料と
して有用な化学品であるが、従来はフエノール類
もしくはヒドロキシナフタレン類を原料としてコ
ルベ・シユミツト法により高温・高圧下で化学的
に合成されており、そのためかなり高価とならざ
るを得なかつた。本発明の新規微生物を利用すれ
ば、コールタールから分離された安価な芳香族炭
化水素化合物を原料として利用し、省エネルギー
的な微生物酸化法で目的とする各種ヒドロキシ酸
を製造することができるので、ヒドロキシ酸を安
価に提供することが可能となる。また、この方法
により、コールタール成分の有効利用も同時に図
られる。
Claims (1)
- 1 シユードモナス・プチダ種に属する細菌菌株
であつて、非置換およびアルキル置換縮合多環芳
香族炭化水素化合物を酸化的に資化する能力を有
する、微工研菌寄第9350号として寄託された新規
菌株シユードモナス・プチダ9−Ant菌。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP12759187A JPS63291575A (ja) | 1987-05-25 | 1987-05-25 | 新規微生物 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP12759187A JPS63291575A (ja) | 1987-05-25 | 1987-05-25 | 新規微生物 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPS63291575A JPS63291575A (ja) | 1988-11-29 |
| JPH0587232B2 true JPH0587232B2 (ja) | 1993-12-15 |
Family
ID=14963866
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP12759187A Granted JPS63291575A (ja) | 1987-05-25 | 1987-05-25 | 新規微生物 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPS63291575A (ja) |
Families Citing this family (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| CN113800714B (zh) * | 2021-09-15 | 2023-05-23 | 广东海洋大学 | 一种养殖原水处理和微生态重建的方法 |
-
1987
- 1987-05-25 JP JP12759187A patent/JPS63291575A/ja active Granted
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPS63291575A (ja) | 1988-11-29 |
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