JPH0587693A - 自動二輪車用ロードシミユレーシヨン装置における乗員荷重付与構造 - Google Patents

自動二輪車用ロードシミユレーシヨン装置における乗員荷重付与構造

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JPH0587693A
JPH0587693A JP3143624A JP14362491A JPH0587693A JP H0587693 A JPH0587693 A JP H0587693A JP 3143624 A JP3143624 A JP 3143624A JP 14362491 A JP14362491 A JP 14362491A JP H0587693 A JPH0587693 A JP H0587693A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 乗員がシートに乗車した状態での実走行路面
負荷を忠実に再現することができるロードシミュレーシ
ョン装置における乗員荷重付与構造を提供する。 【構成】 自動二輪車の後輪支持用のアクスル(5)
を、該アクスルの後方に配置された反力治具(25)に
より、左右に適宜間隔をあけて配置された平行リンクア
ーム(26)を有するリンク機構を介して上下動自在に
支持するとともに、前記アクスルを、加振機(14)に
よって上下方向に加振する自動二輪車用のロードシミュ
レーション装置において、自動二輪車のシート(49)
の上部には、搭乗者相当の第1の重り(50)と運転者
相当の第2の重り(51)とをそれぞれ前後方向にずら
して載置し、それら第1、第2の重りどうしを左右の平
行リンクアーム(52,53)によって互いに上下動自
在に連結し、かつ前記第1の重りを前記反力治具から前
方へ延びる左右の平行リンクアーム(54,55)によ
って上下動自在に支持した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動二輪車に対して実
走行路面負荷をテストベンチにて再現できるロードシミ
ュレーション装置に係わり、詳しくは、そのようなロー
ドシミュレーション装置において乗員が乗っている場合
とほぼ同じ状態の実走行路面負荷を再現することができ
るロードシミュレーション装置における乗員荷重付与構
造に関する。
【0002】
【従来の技術】ロードシミュレーション装置は、完成車
の実走行路面負荷をテストベンチで再現できることか
ら、自動車等車両の開発における有効な装置として、性
能評価、耐久テスト等に幅広く利用されている。ところ
で、従来知られている自動二輪車用ロードシミュレーシ
ョン装置は、シートの上部に乗員と同程度の重さを持つ
重りを固定的に搭載することが一般的であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この場
合、重りがシートに対して一体的に動いてしまい、実際
の運転者のようにシートに対して若干の時間遅れをもっ
て上下動するといった動きを再現することは難しい。
【0004】また、重りを単にシート上に載せただけで
加振することも考えられるが、この場合、車体を強く加
振するときに重りがシートからずれてしまい、左右のバ
ランスが崩れたり、重りがシートからずり落ちてしまう
等の不具合がある。
【0005】本発明は上記事情に鑑みてなされたもの
で、乗員がシートに乗車した状態での実走行路面負荷を
忠実に再現することができるロードシミュレーション装
置における乗員荷重付与構造を提供することを目的とす
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明で
は、自動二輪車の後輪支持用のアクスルを、該アクスル
の後方に配置された反力治具から前方へ延びる、左右に
適宜間隔をあけて配置された平行リンクアームを有する
リンク機構を介して上下動自在に支持するとともに、前
記アクスルを、加振機によって上下方向に加振する自動
二輪車用のロードシミュレーション装置において、前記
自動二輪車のシートの上部に、運転者相当の重りを載置
し、該重りを前記反力治具から前方に延びる左右の平行
リンクアームによって上下動自在に支持したことを特徴
とする。
【0007】請求項2記載の発明では、請求項1記載の
発明に加えて、前記自動二輪車のシートの上部には、搭
乗者相当の第1の重りと運転者相当の第2の重りとをそ
れぞれ前後方向にずらして載置し、それら第1、第2の
重りどうしを左右の平行リンクアームによって互いに上
下動自在に連結し、かつ前記第1の重りを前記反力治具
から前方へ延びる左右の平行リンクアームによって上下
動自在に支持したことを特徴とする。
【0008】
【作用】請求項1記載の発明では、自動二輪車の後部が
加振機によって上下方向に強制的に加振されるとき、シ
ート上に載置された重りはシートに対して完全に独立に
支持されているので、シートの上下動に伴いそれと若干
の時間遅れをもって、それに追従するように上下動す
る。すなわち、重りは、シート上に乗った乗員と略同じ
動きをする。
【0009】また、このとき、重りは反力治具から延び
る左右の平行リンクアームによって支持されているので
左右方向の移動が規制される。このため、自動二輪車に
対しボトミングを起こす程度の強い加振を行っても、重
りがシートから左右方向にずれることがない。また、こ
の重りを支持する平行リンクアームを、車体の後輪支持
用のアクスルを支持する反力治具から延ばしているの
で、重りを支持する平行リンクアームと車体後部のアク
スルを支持する平行リンクアームとは同様な動きをする
こととなり、重りは車体シートに対して前後方向にずれ
ることもない。
【0010】請求項2記載の発明では、自動二輪車の後
部が加振機によって上下方向に強制的に加振されると
き、シート上に載置された第1および第2の重りは、シ
ートに対して完全に独立に支持されており、しかもそれ
ら重りどうしも単にリンクアームを介して連結されてい
るだけであって上下方向に関してはともに自由に上下動
するので、それら両方の重りはあたかもタンデム状態に
ある乗員と同様な動きをすることとなる。したがって、
実際に二人乗の状態と同様な走行路面負荷を与えること
ができる。
【0011】また、このとき、両重りは互いに平行リン
クアームによって連結されていること、および第1の重
りが反力治具から延びる左右の平行リンクアームによっ
て支持されてので、それら両重りは車体シートに対して
左右方向および前後方向にずれることがなく、それら重
りがシートからずれ落ちることもない。
【0012】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図面を参照して説
明する。図1は本発明にかかる乗員荷重付与構造を備え
る自動二輪車用ロードシミュレーション装置の側面図で
ある。
【0013】符号1は加振対象となる自動二輪車を示
し、該車両の前後の車輪はあらかじめ取り外されてい
る。2は自動二輪車の車体フレーム(図示略)に回転自
在に支持される前側のアクスルであり、該アクスル2は
テレスコピックタイプのサスペンション3に支持されて
いる。5は後側のアクスルであり、該アクスル5はリン
ク機構と組み合わされたリヤクッション(図示略)に揺
動自在に支持されるリヤフォーク6に取り付けられてい
る。
【0014】また10は前記自動二輪車1の前後のアク
スル2,5を直接加振するアクスル加振手段である。該
アクスル加振手段10は、実際にアクスルを加振する機
械的部分11と、該機械的部分11を制御する制御器1
2とから構成される。
【0015】アクスル加振手段の機械的部分11は、自
動二輪車1の後側のアクスル5を上下方向に加振する第
1の加振機14と、前側のアクスル2を上下方向に加振
する第2の加振機15と、前側のアクスル2を前後方向
に加振する第3の加振機16とから構成されている。そ
れら加振機14,15,16には例えば引張および圧縮
双方の力が付与できる複動形の油圧シリンダが利用され
る。
【0016】加振機14,15のピストンロッド14
a,15aの先端には連結棒17,17の一端がそれぞれ
ピン結合され、それら連結棒17,17の他端はそれぞ
れアクスル2,5にピン結合されている。また、加振機
16のピストンロッド16aの先端にはリンク16aaを
介して揺動板18の一端18bがピン結合されている。
揺動板18は、側面視三角形状に形成されたものであっ
て、中央基端部18aが支持体19の上部に回動自在に
支持されている。そして該揺動板18の他端18cは略
水平方向に延びる加振ロッド20の一端にピン結合さ
れ、該加振ロッド20の他端は前記前側のアクスル2に
ピン結合されている。
【0017】すなわち、第3の加振機16のピストンロ
ッド16aが上下方向に伸縮作動することにより、揺動
板18および加振ロッド20を介して自動二輪車の前側
のアクスル2が前後方向に加振される構造になってい
る。なお、前記加振ロッド20には荷重検出手段21が
介装されている。この荷重検出手段21は加振時の振動
を避けるために、できるだけ車体から離れる側(揺動板
18側)に介装される。
【0018】また、25は自動二輪車の車体の前後方向
の移動を規制する剛体の反力治具である。この反力治具
25には平行リンクアーム26、26を介して前記自動
二輪車の後側のアクスル5が連結されている(この構成
については、後に詳しく説明する)。
【0019】図2〜図5は前記後側のアクスル5の支持
構造の詳細を示している。すなわち、前記アクスル5の
外周であって、車体フレームから延びる左右のリヤフォ
ーク6,6の内側部分にはそれぞれスペーサ34が介在
され、該アクスル5の略中央部分に加振点Pが存する構
成になっている。
【0020】さらに、具体的に説明すると、図2および
図3に示すように、スペーサ34は、ボルト部材35と
それに螺合するナット部材36とから構成され、それら
部材を互いに相対回転することにより、該スペーサ34
自体の長さ調整が行えるようになっている。これによ
り、上記加振点Pがアクスル30の略中央に存するよう
に調整される。また、左右のスペーサ34の間には連結
部材37が嵌装され、該連結部材37の中央には第1の
加振機14から延びる連結棒17の先端が、連結部材3
9を介して球面支持されている。なお、40はリヤフォ
ーク6の外側からアクスル5の端部に螺合される固定用
のナットである。
【0021】また、後側のアクスル5はリンク機構41
を介して反力治具25により上下動自在かつ左右方向の
移動を規制された状態で支持されている。前記リンク機
構41は、適宜間隔をあけて平行に配置された左右のリ
ンクアーム26,26と、それらリンクアーム26,2
6を互いに連結するクロスメンバー43,43とから構
成されている。そして、これらの部材26,43を連結
部材44を介して互いに連結することによりリンク機構
41の全体の剛性を高める構成となっている。リンクア
ーム26の先端は連結部材39を介して前記アクスル5
の外周であってリヤフォーク6,6の内側部分に取り付
けられている。
【0022】リンクアーム26とクロスメンバー43と
の連結する連結部材44は、上下方向に重ね合わされる
3つの部材44a,44b,44cの間にリンクアーム2
6とクロスメンバー43とを挟み込み、ボルト45…で
それら部材を締め付ける構成になっている(図5参
照)。上下方向に重ね合わされる3つの部材44a〜4
4cの下面または上面には、リンクアーム26等に対し
て強固な連結が行われるように、リンクアーム26等の
外形に対応する円弧状の溝が形成されている。
【0023】また、左右のリンクアーム26,26は互
いの相対長さが調整可能に構成されている。すなわち、
図3に示すようにリンクアーム26は、同軸状に配置さ
れた第1のアーム26aと第2のアーム26bとがナット
部材46によって互いに連結された構成とされ、第1お
よび第2のアーム26a,26bの端部には互いに逆方向
に切られたおねじ部26aa,26bbが設けられ、ナット
部材46を正逆回転させることによりリンクアーム26
の全体長さが調整できるようになっている。なお、47
…は緩み止め防止用のナットである。
【0024】図6〜図8にも示すように、前記自動二輪
車のシート49の上部には、搭乗者相当の第1の重り5
0と運転者相当の第2の重り51とがそれぞれ前後にず
らされて載置されており、これら両重りは50,51は
左右の平行リンクアーム52,53によって互いに上下
動自在かつ左右方向の移動を規制された状態で連結支持
されている。また、後側の重り50は前記反力治具25
の上部から前方へ延びる左右の平行リンクアーム54,
55によって上下動自在かつ左右方向の移動を制された
状態で支持されている。
【0025】すなわち、前記第1および第2の重り5
0,51は、複数の重り片50a…,51a…を上下方
向に積み重ね、それらの四隅をボルト57によって互い
に連結された構造のものである。このため、必要に応じ
て重り片50a,51aの積み重ねる数を変えることに
より重りの荷重調整ができるようになっている。なお、
58は最上部の重り片50a,51aに取り付けられた
持ち運び用の把手である。
【0026】前記第1の重り50の最も下側の重り片5
0aには先端におねじ部60aが形成されたロッド60
が左右方向に貫通されており、該ロッド60の両端には
前記平行リンクアーム52、53の一端が、ロッド60
の外周に嵌合されたスペーサ61を挟んで、前記ロッド
60のねじ部60aにナット62が螺合されて固定され
ている。平行リンクアーム52,53の他端は、前記第
2の重り51の最下端の重り片51aを左右方向に貫通
するロッド64および該ロッド64の先端の捩部に螺合
されたナット65によって固定されている。なお、ロッ
ド64の外周にもスペーサ66が嵌合されている。前記
両ロッド60,64は、それぞれ第1および第2の重り
50,51の略中央を貫通している。
【0027】前記平行リンクアーム52,53はともに
同じ構造とされ、それぞれ長さ調整自在になっている。
すなわち、リンクアーム52,53は、図7に示すよう
に断面コ字状の雌型アーム52a,53aと、該雌型アー
ム52a,53aにスライド自在に嵌装された雄型アーム
52b,53bとから構成され、雄型アーム52b,53b
の長さ方向に所定間隔置きに設けられた孔52bb…,5
3bb…のうち適宜選択された2箇所に、ボルトおよびナ
ットが螺合されて締め付けられることにより所定長さに
設定されるようになっている。
【0028】さらに、図1に示すように前記反力治具2
5の上部にはブラケット68、68が左右方向に前記重
り50,51の幅と同程度の間隔をあけて取り付けら
れ、該ブラケット68,68に前記平行リンクアーム5
4,55の一端が上下方向に回動自在に連結されてい
る。この平行リンクアーム54,55の他端は前記後側
の重り50の最下端の重り片50aを貫通するロッド6
9および該ロッド69の先端のおねじ部69aに螺合さ
れたナット70によって回動自在に連結されている。7
1は、ロッド69の重り50の貫通部外周に嵌合される
スペーサである。
【0029】なお、この実施例では、重り50,51に
平行リンクアーム52,53,54,55を連結するの
に、重り50,51を貫通するようにロッド60,6
4,69を設け、このロッド60,64,69に前記平
行リンクアーム52,53,54,55を連結させる手
段をとっているが、これに限られることなく、図14に
示すように、重り51(50)にナット80を溶接によ
り固定し、このナット80の外周に平行リンクアーム5
2(53,54,55)の端部を遊嵌させて、外側から
ワッシャ81を介して抜止用のボルト82を螺合させる
ような手段を採ってもよい。
【0030】ここで、前記重り50,51を貫通するロ
ッド60,64,69はそれぞれ互いに平行に配置さ
れ、かつそれらロッドは平行リンクアーム52,53,
54,55に対して直交するように配置されている。な
お、平行リンクアーム54,55にも前記平行リンクア
ームと同じ構成の長さ調整機構が設けられている。
【0031】なお、平行リンクアーム54,55に付設
される長さ調整機構としては、図6および図7に示すも
のの他、図15に示すように、平行リンクアーム54,
55をパイプ状とし、それらの対向する端部に一方を逆
ねじとしたナット部85,85を設け、該ナット部8
5,85に、ロッド86の両端に設けたボルト部87を
螺合させ、必要に応じて該ロッド86を回動操作する構
成にしてもよい。なお、88は緩み止めのナットであ
る。
【0032】次に、図9〜図13を参照しながら上記構
造のロードシミュレーション装置による加振方法につい
て説明する。なお、アクスル加振手段10の制御器12
については、以下に説明する加振方法で明らかになるの
で単独の構成説明は省略する。
【0033】上記ロードシミュレーション装置において
第1〜第3の加振機14,15,16はそれぞれ変位制
御とする。変位制御は荷重制御に比べ高速度あるいは高
加速度の制御が行えることから、実走行路面負荷の再現
精度をより向上させることが可能になるためである。
【0034】ここで、上記ロードシミュレーション装置
では、反力治具25にピン結合された平行リンクアーム
26によって後側のアクスル5の前後方向の動きを規制
しており、図1に示すように第1,第2の加振機14,
15を作動させると平行リンンクアーム26の左端が円
弧状の軌跡を描くことに伴い、車体に対し予期せぬ前後
方向の圧縮荷重あるいは引張荷重を加えてしまうおそれ
がある。このような不具合をなくすための以下の習い制
御を行なっている。言い換えれば、以下の習い制御を行
なっているがゆえに、極めて簡単な構成の反力治具によ
る支持でありながら、第1〜第3の加振機14〜16に
よる高速度の変位制御が可能となる。
【0035】すなわち、制御器12内に組み込んである
コンピュータに、荷重検出手段21の値が常にゼロにな
るよう、第3の加振機16内の油圧シリンダを制御する
ための指令を出しておく。
【0036】次いで、コンピュータからの指令に基づき
第1,第2の加振機14,15を作動させてピストンロ
ッド14a,15aが最下点から最上点に至るまで低速
で移動させる(第3の加振機16を第1,第2の加振機
14,15に追従させて作動させることにより、荷重検
出手段21の値をつねにゼロに保つことができる程度の
速度で移動させる)。このときの第3の加振機16のピ
ストンロッド16aの軌跡をA/Dコンバータを介して
コンピュータのメモリに入力しておく。図9がその記憶
マップを表すものである。このように第1,第2の加振
機14,15の変位に関連させて第3の加振機16の変
位を入力しておく。
【0037】次いで、第3の加振機16を上記マップに
沿って作動する変位制御に切り換え、第1,第2の加振
機14,15を作動させて、それぞれのピストンロッド
14a,15aが加振中立点まで至るようにする。この
とき第3の加振機16は上記マップに沿った動きを行な
うこととなり、該第3の加振機16のピストンロッド1
6aは加振中立点まで至る。以下、各加振機14,1
5,16を後述する入力信号に基づき作動させること
で、自動二輪車に実走行路面負荷を加えることができ
る。
【0038】なお、上記加振機14,15,16を停止
させる場合にも、第3の加振機16に上記したマップに
沿った動きをさせて停止させる。なお、上記マップは一
つの車両に対して一度の学習によって得られるものであ
り、以後はこのマップに沿って何回でも安定して立ち上
げあるいは立ち下げることができる。
【0039】次に、実際の加振方法について説明する。
自動二輪車の濃縮耐久路テストでは、サスペンションの
ボトミングが起こりがちであり、最大負荷もこのボトミ
ングのときに発生する。強度/耐久性テストにとって、
実走行における最大負荷を忠実に再現できるか否かは重
要な問題である。
【0040】ところで、この種の加振システムで多く採
用されるコントロールプログラムは線形近似伝達関数の
成立を前提としており、サスペンションのボトミングの
ような非線形性の強い現象の再現には適さない。これに
対処するには、実走行時と同程度のボトミングを発生さ
せてこの時の伝達関数を計測するのが効果的である。
【0041】すなわち、図10に示すように、目標信号
Yを再現するためには、テスト信号Xaで計測された伝
達関数Gaよりも実走行時と同程度の大きさの信号Xbで
計測された伝達関数Gbの方が優れた近似度を持つ。こ
のような条件を満たす信号Xbは、目標信号Yのフーリ
エスペクトルの絶対値の分布を、テストベンチで再現し
得るテスト信号であり、このテスト信号Xbおよびそれ
から計測される伝達関数Gbは以下の手順に沿って求め
る(図11参照)。
【0042】まず、ホワイトノイズ、1/f2などの特
性を持つノイズ信号(入力信号)で車両を加振しこのと
きの伝達関数を測定する。伝達関数の測定には、例えば
第1の加振機14の振動に伴うものを求める場合にはリ
ヤフォーク6上のアクスル5の上方に当たる位置に加速
度計C1を取り付け、これによりリヤフォーク6の挙動
を測定し、この値と前記入力信号であるノイズ信号とか
ら求めることとなる。また第2あるいは第3の加振機1
5,16の伝達関数を測定する場合には、前側のアクス
ル2の上部に加速度計C2を、またフロントサスペンシ
ョン3のボトムブリッジの下側のインナーパイプ3aに
歪みゲージC3を貼り付け、それら各トランスデューサ
の値と前記入力信号とからそれぞれ求める。
【0043】次いで、測定した伝達関数から逆伝達関数
を算出する一方、あからじめ車両をテストトラック上で
走行させたときのリヤフォーク6等に設けたトランスデ
ューサにより計測した加速度あるいは歪みの実走データ
をフーリエ変換し、この値と前記逆伝達関数との積を求
め、その値をフーリエ逆変換して伝達関数測定用新ノイ
ズ信号を求め、このノイズ信号で車両を加振する。そし
て、このときの前記加速度計C1,C2あるいは歪みゲー
ジC3で測定された出力信号のフーリエスペクトル絶対
値の分布が実走のフーリエスペクトルの絶対値の分布に
近似しているか否か判断する。近似の程度が所定範囲内
に収まっていなければ、図11に示された反復修正を行
い、近似程度が所定範囲になるまで続ける。
【0044】そして、加振機による加振時の加速度計C
1,C2あるいは歪みゲージC3の出力信号のフーリエス
ペクトルの絶対値の分布が実走の分布に対し所定範囲内
に収まったとき、伝達関数測定用ノイズの各周波数に応
じたレベルを決定し、該伝達関数測定用ノイズ群で複数
回加振して伝達関数Gbを測定し、この伝達関数を基
に、実際の路面負荷を再現するための反復修正処理を行
う。
【0045】以上の加振制御では、実走行時と同程度の
ボトミングを発生させその時点での伝達関数を求めてこ
れを基に実際の路面走行負荷を再現するための反復修正
処理を行うため、非線形な応答系でも実走行路面負荷に
近い状態の加振が行える。
【0046】以上の制御は説明の便宜上、単軸を例に採
って説明したが、実際の加振は、図1でも示したように
第1〜第3の加振機14,15,16による3軸加振で
行なう。なお、多軸加振システムでは、チャンネル間の
クロストークを見込む必要がある。具体的には、第1の
加振機14を単独で数回テスト加振し、各トランスデュ
ーサ(リヤフォーク6やフロントフォーク3上に設ける
加速度計C1,C2、あるいはフロントフォーク3に貼り
付けた歪ゲージC3)の出力を測定することにより伝達
関数G11,G12,G13を得る。次いで、第2,第3の加
振機15,16についても同様の処理を行ない、結果と
して図5に示すような3×3の伝達関数マトリクスを得
る。すなわち、この式に示すように例えばトランスデユ
ーサ1(リヤフォーク6上に設けた加速度計)の出力Y
1は、 Y1=G111+G212+G313 であらわされる。
【0047】ここでGmnの表記において、mは加振機の
番号、nはトランスデユーサの番号を示す。そして、図
12に示す式から図13に示すように逆伝達関数マトリ
クスを用いた式を得る。これが3軸システムのシミュレ
ーション装置に関する基本式であり、これを基に入力信
号を得るのである。
【0048】上記加振によれば、第1の加振機14によ
る加振点Pをアクスル5の略中央部分に設定することに
より、アクスル5の中央部分を加振することができるた
め、自動二輪車に見られる特有な不具合、すなわち自動
車等の車両に比べて車幅が狭いことに起因する、シミュ
レーションの際に車体が左右に揺れてしまうという不具
合の発生を未然に防止することができる。また、シミュ
レーションの際に、自動二輪車の車体が左右に揺れて、
加振用のロッドがアクスル5近傍に存する消音器等の部
材に突き当たるといった不具合の発生も防止できる。
【0049】さらに、前側のアクスルを支持する左右の
フロントフォーク3に歪ゲージを貼り付け、これら歪ゲ
ージの読みから左右のフロントフォークに加わる荷重が
等しくなるように、前記左右のリンクアーム26の長さ
調整を行い、その調整が完了した時点で左右のリンクア
ーム26どうしをクロスメンバー43によって剛に連結
する。これにより、その後のシミュレーションを行うと
きに、車体の左右方向の横振れを押さえた状態で加振す
ることができる。
【0050】また、自動二輪車が加振機14,15,1
6によって強制的に加振されるとき、シート49上に載
置された第1および第2の重り50,51はシート49
に対して完全に独立に支持されているので、シート49
の上下動に伴いそれと若干の時間遅れをもってそれに追
従するように上下動する。すなわち、重り50,51
は、実際に乗員がシート49上に乗ったときと同様な動
きをする。
【0051】また、このとき、第1の重り50は反力治
具25から延びる左右の平行リンクアーム54,55に
よって支持されているので左右方向の移動が規制され
る。このため、自動二輪車に対しボトミングを起こす程
度の強い加振を行っても、第1の重り50がシート49
から左右方向にずれることがない。また、この第1の重
り50を支持する平行リンクアーム54,55を、車体
の後輪支持用のアクスル5を支持する反力治具25から
延ばしているので、該平行リンクアーム54,55は車
体後部のアクスル5を支持する平行リンクアーム26,
26と同様な動きをすることとなり、このため重り50
はシート49に対して前後方向にずれることもない。ま
た、第1の重り50に平行リンクアーム52,53を介
して支持されている第2の重り51も、シート49に対
して前後方向にずれることがない
【0052】さらに、シート49上に載置された第1お
よび第2の重り50,51は、シート49に対して完全
に独立に支持されておりしかもそれら重り50,51ど
うしも単にリンクアーム52,53を介して連結されて
いるだけであって上下方向に関してはともに自由に動く
ので、それら両方の重り50,51はあたかもタンデム
状態にある乗員と同様な動きをする。したがって、実際
に乗員がシート上に乗ったときと同様な実走行路面負荷
を再現することができる。
【0053】なお、上記実施例では、第3の加振機16
を揺動板18およびリンク16aaを介して加振ロッド2
0に接続することにより軸線が上下方向に向くように配
置しているが、揺動板18を廃止し第3の加振機を軸線
が水平に向くように配置して加振ロッド20に直接接続
してもよい。
【0054】また、上記各実施例では、第1〜第3の加
振機14〜16により直接前後のアクスル2,5を加振
しているが、ホイールやハブ等のある程度の剛性を持つ
部材を介してアクスル2,5を加振するようにしてもよ
い。
【0055】さらに上記実施例では、シート49上に互
いに平行リンクアーム52,53により連結された2つ
の重り50,51を載置しているが、必ずしも2つ載置
する必要はなく、一つだけでもよい。
【0056】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば以下
の優れた効果を奏する。請求項1記載の発明では、自動
二輪車の後部が加振機によって上下方向に強制的に加振
されるとき、シート上に載置された重りはシートに対し
て完全に独立に支持されているので、シートの上下動に
伴いそれと若干の時間遅れをもって、それに追従するよ
うに上下動する。すなわち、重りは、シート上に乗った
乗員と略同じ動きをする。したがって、シート上に乗員
が搭乗している時と同様の走行路面負荷を再現すること
ができる。
【0057】また、このとき、重りは反力治具から延び
る左右の平行リンクアームによって支持されているので
左右方向の移動が規制される。このため、自動二輪車に
対しボトミングを起こす程度の強い加振を行っても、重
りがシートから左右方向にずれることがない。また、こ
の重りを支持する平行リンクアームを、車体の後輪支持
用のアクスルを支持する反力治具から延ばしているの
で、重りを支持する平行リンクアームと車体後部のアク
スルを支持する平行リンクアームとは同様な動きをする
こととなり、重りは車体シートに対して前後方向にずれ
ることもない。
【0058】請求項2記載の発明では、自動二輪車の後
部が加振機によって上下方向に強制的に加振されると
き、シート上に載置された第1および第2の重りは、シ
ートに対して完全に独立に支持されており、しかもそれ
ら重りどうしも単にリンクアームを介して連結されてい
るだけであって上下方向に関してはともに自由に上下動
するので、それら両方の重りはあたかもタンデム状態に
ある乗員と同様な動きをすることとなる。したがって、
実際に二人乗の状態と同様な走行路面負荷を与えること
ができる。
【0059】また、このとき、両重りは互いに平行リン
クアームによって連結されていること、および第1の重
りが反力治具から延びる左右の平行リンクアームによっ
て支持されてので、それら両重りは車体シートに対して
左右方向および前後方向にずれることがなく、それら重
りがシートからずり落ちることもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例のロードシミュレーション装置
の側面図である。
【図2】後輪支持用のアクスル回りの詳細斜視図であ
る。
【図3】車体後部の加振構造の平面図である。
【図4】上記アクスル回りの要部断面図である。
【図5】リンクアームとクロスアームとの連結構造を示
す斜視図である。
【図6】シート上に載置される乗員荷重付与構造の側面
図である。
【図7】同荷重付与構造の平面図である。
【図8】図6のAーA線に添う断面図である。
【図9】第3の加振機を変位制御する場合に用いる制御
マップである。
【図10】実施例の作用効果を示す図である。
【図11】加振制御(反復修正)の内容を示すフロー図
である。
【図12】多軸システムにおける伝達関数と入出力信号
の関係を示す図である。
【図13】多軸システムにおける逆伝達関数と入出力信
号の関係を示す図である。
【図14】シート上に載せる重りとそれを支持する平行
リンクアームとの連結構造の他の例を示す図である。
【図15】平行リンクアームの長さ調整機構の他の例を
示す断面図である。
【符号の説明】
1 自動二輪車 2 前側のアクスル 5 後輪支持用のアクスル 25 反力治具 26 平行リンクアーム 49 シート 50 第1の重り 51 第2の重り 52 平行リンクアーム 53 平行リンクアーム 54 平行リンクアーム 55 平行リンクアーム
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 保田 和豊 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会 社本田技術研究所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 自動二輪車の後輪支持用のアクスルを、
    該アクスルの後方に配置された反力治具から前方へ延び
    る左右に適宜間隔をあけて配置された平行リンクアーム
    を有するリンク機構を介して上下動自在に支持するとと
    もに、前記アクスルを、加振機によって上下方向に加振
    する自動二輪車用のロードシミュレーション装置におい
    て、 前記自動二輪車のシートの上部に、運転者相当の重りを
    載置し、該重りを前記反力治具から前方に延びる左右の
    平行リンクアームによって上下動自在に支持したことを
    特徴とする自動二輪車用ロードシミュレーション装置に
    おける乗員荷重付与構造。
  2. 【請求項2】 前記自動二輪車のシートの上部には、搭
    乗者相当の第1の重りと運転者相当の第2の重りとをそ
    れぞれ前後方向にずらして載置し、それら第1、第2の
    重りどうしを左右の平行リンクアームによって互いに上
    下動自在に連結し、かつ前記第1の重りを前記反力治具
    から前方へ延びる左右の平行リンクアームによって上下
    動自在に支持したことを特徴とする請求項1記載の自動
    二輪車用ロードシミュレーション装置における乗員荷重
    付与構造。
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