JPH06100601A - アルカリ水溶液に対する溶解性の高い低置換度ヒドロキシプロピルセルロース及びその製造法 - Google Patents

アルカリ水溶液に対する溶解性の高い低置換度ヒドロキシプロピルセルロース及びその製造法

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JPH06100601A JP24989192A JP24989192A JPH06100601A JP H06100601 A JPH06100601 A JP H06100601A JP 24989192 A JP24989192 A JP 24989192A JP 24989192 A JP24989192 A JP 24989192A JP H06100601 A JPH06100601 A JP H06100601A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 ヒドロキシプロピル置換度が 0.2〜0.9 の範
囲にあり、8重量%の水酸化ナトリウム水溶液の2重量
%濃度の20℃における粘度が1000センチポイズ以上であ
る低置換度ヒドロキシプロピルセルロース。この低置換
度ヒドロキシプロピルセルロースを、第3級ブチルアル
コール85〜92重量%と残部の水とからなる混合媒体の特
定量と特定量のアルカリとを、セルロースに反応しアル
カリセルロースとした後、これに特定量のプロピレンオ
キシドを特定の条件下で反応させることにより製造す
る。 【効果】 アルカリ水溶液に対する溶解性が高く、水へ
の溶解性が低いため特に錠剤のコーティングに有効で、
且つ錠剤の崩壊性も保持する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アルカリ水溶液に極め
て良く溶け、その水溶液の透明性が優れ、かつフィル
ム、塗膜を容易に形成しうる低置換度ヒドロキシプロピ
ルセルロース及びその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術及びその課題】セルロースエーテルの検討
は、過去の研究をたどれば数限りなくある。特にヒドロ
キシアルキルセルロースに関する製造法は、それらの誘
導体が種々の用途に極めて有用であるため、膨大な数の
提案がなされている。
【0003】ヒドロキシプロピルセルロース(以下HP
Cと略記する)もその例外ではなく、製造法に関しては
多数の提案がなされている。一般にセルロースエーテル
は、水溶性で、水溶液の増粘効果、保護コロイド効果を
生むために用いられているが、このHPCは水溶性であ
るだけでなく有機溶媒に可溶で、フィルム形成能に優れ
ているため、錠剤のコーティング等に用いられてきた。
しかし、従来のHPCは、有機溶剤に可溶とするため、
そのヒドロキシプロピル置換度が3以上、好ましくは3.
5 以上なければならず、当然、製造法に関する提案もこ
れらの置換度を有するHPCについてのものであった。
【0004】ところが、近年になって有機溶剤及び水に
不溶なHPCが、錠剤のコーティングに適していること
や、錠剤の崩壊性に優れていることが見出され、その用
途に低置換度HPCを利用する提案がなされている。し
かし、低置換度HPCの製造法に関しては、特公昭57−
59857 号に記載されているだけである。その内容は、置
換度が0.05から0.40で、かつ20℃における水可溶部分が
10重量%以下、20℃における8%水酸化ナトリウム水溶
液可溶部分が90重量%以上、8%水酸化ナトリウム水溶
液の2重量%濃度の20℃における粘度が5から500 セン
チポイズであるHPCに関するものである。たしかに、
この公報に示されている低置換度HPCは錠剤の崩壊性
には優れているが、塗膜形成時の溶媒への溶解性が悪い
ため塗膜強度が出ないこと、また、単独使用では塗膜の
均一性が出ないため、その使用時には高置換度のHPC
と併用するなどの手段が取られていた。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、これらの
問題を解決すべく鋭意検討した結果、低置換度HPCの
製造時に反応触媒として用いるアルカリの濃度を調整
し、また、反応溶媒として第3級ブチルアルコールをセ
ルロースに対して特定の割合となるように使用すること
により、塗膜形成時のアルカリ溶媒への溶解性に優れ、
かつ良好な錠剤の崩壊性をも有する低置換度HPCが得
られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】すなわち本発明は、ヒドロキシプロピル置
換度が 0.2〜0.9 の範囲にあり、8重量%水酸化ナトリ
ウム水溶液中2重量%濃度の溶液の25℃における粘度が
1000センチポイズ以上であるアルカリ水溶液に対する溶
解性の高い低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、並
びに第3級ブチルアルコール85〜92重量%と残部の水と
からなる混合媒体をセルロース重量に対して10〜20重量
倍と、セルロースの無水グルコース単位あたり 0.8〜1.
5 モルのアルカリとを、セルロースに反応させてアルカ
リセルロースとした後、これにセルロースの無水グルコ
ース単位当たり1.1から5.0 モルのプロピレンオキシド
を50〜70℃で2〜5時間反応させることを特徴とする上
記の低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの製造法を
提供するものである。
【0007】本発明に使用するセルロースは、通常化学
反応に用いられる木材パルプ、リンターなどいずれでも
よい。また、セルロースは反応に先立ちハンマーミル等
により解砕したものを使用することが好ましい。
【0008】本発明においては、まずセルロースを第3
級ブチルアルコールと水とからなる混合媒体中でアルカ
リを作用させてアルカリセルロースを生成させる(マー
セル化)が、使用する混合媒体の組成が第3級ブチルア
ルコールの第3級ブチルアルコールと水との合計に対す
る割合が85から92%の範囲のものが好ましい。この混合
媒体をセルロース重量に対し10から20重量倍使用する。
【0009】アルカリとしては、カセイソーダ、水酸化
カリウム、水酸化リチウムなど、各種のアルカリが使用
できるが、工業的にはカセイソーダの使用が望ましい。
アルカリの濃度は、本発明においては極めて重要であ
る。本発明に係る低置換度HPCを得るためには、アル
カリはセルロースの無水グルコース単位あたり0.8 モル
以上を必要とし、目的とするヒドロキシプロピル置換度
0.2〜0.9 の範囲においては、アルカリは反応に使用す
るセルロースの無水グルコース単位あたり1.5 モル以下
を使用すれば十分である。すなわち、アルカリの量がセ
ルロースの無水グルコース単位あたり0.8 モル以下だと
本発明の効果が得られず、一方、1.5 モル以上だと、効
果は変わらないが、中和時に多量の塩を生じて、洗浄に
労力が掛り、不経済である。なお、好ましいアルカリの
使用量はセルロースの無水グルコース単位あたり 1.0〜
1.4 モルである。また、マーセル化は10から15℃で1か
ら4時間行うことが望ましい。
【0010】次いで、上記のようにして得られたアルカ
リセルロースにプロピレンオキシドを反応させる。本発
明に使用するプロピレンオキシドは、セルロースの無水
グルコース単位あたり 1.1から5.0 モルである。また、
反応はヒドロキシプロピル置換度を 0.2〜0.9 とするた
めに、50から75℃で2から5時間行うことが必要であ
る。反応時間が2時間未満であると低置換度HPCの充
分な置換度が得られず、アルカリ水溶液に対する溶解性
が悪くなる。
【0011】反応終了後は、カセイソーダを無機酸で中
和し、アセトン水溶液又は水で生成物を洗浄することが
必要である。乾燥は105 ℃で数時間行えば十分である。
【0012】この様にして得られた低置換度HPCは、
無水グルコース単位当たり0.2〜0.9モルのヒドロキシプ
ロピル基を有し、極めて良好な塗膜形成能、塗膜強度、
錠剤の崩壊性を有する。先に述べた特公昭57−59857 号
には、ヒドロキシプロピル基の数がグルコース単位当た
り0.05〜0.4 のHPCが良好との記載がある。その理由
として、0.05以下だとアルカリ水溶液への溶解性が悪く
なり、一方、0.4 以上だと水への溶解性が増すため、崩
壊剤としての機能が損なわれる旨の記載がある。しかし
ながら、本発明者等の得た低置換度HPCは、ヒドロキ
シプロピル基置換度が0.4 以上であっても、水への溶解
性は増さず、一方、アルカリ水溶液にはほぼ完全に溶解
するという現象が見られた。これは、本発明の製造法に
起因する置換基の分布に関係しているものと考えられ
る。すなわち、本発明の製造法においてはアルカリの濃
度が濃いため、グルコースの6位の水酸基が選択的に反
応し、その結果として、溶解性の違いが現れるものと推
定される。
【0013】
【実施例】以下に、実施例で本発明の説明をするが、本
発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0014】実施例1 カッティングミルにて粉砕したリンター20重量部をセパ
ラブルフラスコにとり、t−ブチルアルコール 268重量
部と水20重量部を加えてスラリーとなした後、無水グル
コース単位当たり1.2 モルのカセイソーダを水12重量部
に溶解したカセイソーダ水溶液を添加し、攪拌しながら
1時間マーセル化を行った。このときt−ブチルアルコ
ールと水との合計に対するt−ブチルアルコールの割合
は89%であった。マーセル化の後、プロピレンオキシド
を無水グルコース単位あたり5モル添加し、70℃で3時
間反応を行った。反応後冷却し、硝酸で中和した後、脱
液し、70重量%アセトン水溶液400 重量部で4回洗浄し
た。洗浄後、105 ℃で乾燥した。
【0015】このようにして得られた低置換度HPCの
性状を表1に示す。尚、低置換度HPCの性状である
(1)ヒドロキシプロピル置換度(MS)、(2) 水溶液粘度及
び(3)水溶液透明度の測定方法は次の通りである。 (1) 置換度:三酸化クロムを用いてヒドロキシプロピル
基を酸化分解するか、ヨウ化水素酸を用いてヒドロキシ
プロピル基を遊離、ヨウ化し、これらの分解生成物を定
量することにより測定。 (2) 水溶液粘度:8%水酸化ナトリウム水溶液に試料を
2%の濃度で溶解させ、25℃でB型粘度計を用いて測
定。以下、表中では単に粘度と表記する。 (3) 水溶液透明度:高さ350 mm、内径25mm、厚さ2mmの
ガラス製円筒の底に厚さ2mmの良質ガラス板を密着させ
たものを外管とし、高さ300mm、内径15mm、厚さ2mmの
ガラス製円筒の底に厚さ2mmの良質ガラス板を密着させ
たものを内管とし、その外管に試液を入れ、これを巾1
mm、間隔1mmの15本の平行線を黒く書いた白紙の上に置
き、内管を上下してその上部から透視する時、線が判別
できなくなるときの内管の下端までの高さを測定する。
この操作を3回繰り返して得た平均値をmm単位で表す。
なお、表中では単に透明度と表記する。
【0016】実施例2及び比較例1 ヒドロキシプロピル化時間を下記の表1に示すようにし
た他は実施例1と全く同様にして低置換度HPCの製造
を行った。得られた低置換度HPCの性状を実施例1の
結果と併せて表1に示すが、ヒドロキシプロピル化を1
時間で行った比較例1では十分な置換度が得られず、ア
ルカリ水溶液の透明度は非常に悪かった。
【0017】
【表1】
【0018】実施例3〜5及び比較例2 ヒドロキシプロピル化反応を60℃で1時間行った後、70
℃に昇温し、その反応時間を下記の表2に示すように変
化させた他は実施例1と全く同様にして低置換度HPC
の製造を行った。得られた低置換度HPCの性状を表2
に示すが、比較例2のように60℃で1時間反応を行った
のみでは十分な置換度が得られず、生成物はアルカリ水
溶液にほとんど溶解しなかった。
【0019】
【表2】
【0020】実施例6〜8及び比較例3 ヒドロキシプロピル化反応時、プロピレンオキシドの仕
込量を下記の表3に示すようにし、反応を60℃で1時
間、次いで70℃で2時間行った他は実施例1と全く同様
にして低置換度HPCの製造を行った。得られた低置換
度HPCの性状を表3に示すが、比較例3のようにプロ
ピレンオキシドの仕込量を無水グルコース単位当り1モ
ルで反応を行うと十分な置換度が得られず、生成物はア
ルカリ水溶液にほとんど溶解しなかった。
【0021】
【表3】
【0022】比較例4 カセイソーダの仕込量を無水グルコース単位当たり0.75
モルとした他は実施例1と全く同様にして低置換度HP
Cの製造を行った。得られた低置換度HPCの置換度は
0.14で十分な置換度ではないため、生成物はアルカリ水
溶液にほとんど溶解しなかった。
【0023】比較例5 カセイソーダの仕込量を無水グルコース単位当たり1.8
モルとした他は実施例1と全く同様にして低置換度HP
Cの製造を行った。得られた低置換度HPCの置換度は
0.18で十分な置換度ではないため、生成物はアルカリ水
溶液にほとんど溶解しなかった。
【0024】比較例6 第3級ブチルアルコールと水の合計に対する第3級ブチ
ルアルコールの割合を80%にした他は実施例1と全く同
様にして低置換度HPCの製造を行った。得られた低置
換度HPCの置換度は0.07で十分な置換度ではないた
め、生成物はアルカリ水溶液にほとんど溶解しなかっ
た。
【0025】比較例7 反応媒体を第3級ブチルアルコールのみとし、水を全く
添加しなかった他は実施例1と全く同様にして低置換度
HPCの製造を行った。得られた低置換度HPCの置換
度は0.04で十分な置換度ではないため、生成物はアルカ
リ水溶液にほとんど溶解しなかった。
【0026】実施例9,10 実施例3,4で得られた本発明の低置換度HPCの水へ
の溶解性を比較した。その結果を表4に示す。
【0027】
【表4】
【0028】比較例8 市販の低置換度HPC(信越化学工業 (株) 製L−HP
C、グレードLH21)について、実施例1と同様の方
法で置換度、水溶液粘度、水溶液透明度及び水への溶解
性を測定した。その結果を実施例3,4の低置換度HP
Cの結果と共に表5に示す。
【0029】
【表5】
【0030】表5から、本発明により得られた低置換度
HPCは市販の低置換度HPCに比べてその置換度が低
いものでも水可溶分は市販の低置換度HPCよりもやや
高く、アルカリ水溶液への溶解性については非常に優れ
ていることがわかる。
【0031】実施例11及び比較例9,10 上記実施例3,比較例2及び比較例8に示した低置換度
HPCを8%水酸化ナトリウム水溶液にその濃度が7%
になるように溶解し、温度0℃になるまで冷却放置した
後、ガラス板上にキャスティングし、これを20%硫酸ア
ンモニウム水溶液中で凝固し、塩を水洗により除去し、
70℃で乾燥を行いフィルムを作製した。得られたフィル
ムの膜厚、外観、透明性を評価した。フィルムの膜厚は
マイクロゲージにより測定した。またフィルムの外観、
透明性の評価の◎は良好、△は普通、×は不良を意味す
る。結果を表6に示す。
【0032】
【表6】
【0033】表6より、本発明の低置換度HPCからな
るフィルムは比較例のフィルムに比べ透明性及び均一性
が優れていることがわかる。
【0034】実施例12及び比較例11, 12 上記実施例3,比較例2及び比較例8に示した低置換度
HPCを崩壊剤として用いて錠剤を製造し、打錠試験を
行なった。錠剤の組成及び製剤条件は以下に示す通りで
ある。 (2) 製剤条件 ・打錠機:菊水製作所製、クリーンプレスコレクト19 ・成型条件:錠径8mmφ、錠剤厚み2mm、重量 250mg また、錠剤物性は以下の方法で測定した。結果を表7に
示す。 ・硬度:サンモント硬度計を使用 ・崩壊性:日本薬局方の試験法に準拠し、試験液は水
(22±1℃)を使用した。
【0035】
【表7】
【0036】表7より、実施例12の錠剤は比較例11及び
比較例12の錠剤と比べて、崩壊性と硬度が優れているこ
とがわかる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ヒドロキシプロピル置換度が 0.2〜0.9
    の範囲にあり、8重量%水酸化ナトリウム水溶液中2重
    量%濃度の溶液の25℃における粘度が1000センチポイズ
    以上であるアルカリ水溶液に対する溶解性の高い低置換
    度ヒドロキシプロピルセルロース。
  2. 【請求項2】 第3級ブチルアルコール85〜92重量%と
    残部の水とからなる混合媒体をセルロース重量に対して
    10〜20重量倍と、セルロースの無水グルコース単位あた
    り 0.8〜1.5 モルのアルカリとを、セルロースに反応さ
    せてアルカリセルロースとした後、これにセルロースの
    無水グルコース単位当たり1.1から5.0モルのプロピレン
    オキシドを50〜70℃で2〜5時間反応させることを特徴
    とする請求項1記載の低置換度ヒドロキシプロピルセル
    ロースの製造法。
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