JPH0610140B2 - 安定化抗体複合体の製造方法 - Google Patents

安定化抗体複合体の製造方法

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JPH0610140B2
JPH0610140B2 JP62240995A JP24099587A JPH0610140B2 JP H0610140 B2 JPH0610140 B2 JP H0610140B2 JP 62240995 A JP62240995 A JP 62240995A JP 24099587 A JP24099587 A JP 24099587A JP H0610140 B2 JPH0610140 B2 JP H0610140B2
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Description

【発明の詳細な説明】 抗原へ特異的に結合する機能をもつ抗体と、各種化合物
とを共有結合した複合体は、多方面に用いられる。例え
ば、生体内の特定の組織、例えば悪性腫瘍に特異性をも
つ抗体に、γ線放出性の放射性同位元素(以下RIとい
う)を結合した物質を結合させるか、抗体に先ずキレー
ト化剤を結合し、得られた複合体にγ線放出性の金属核
種をキレート化して得られるRI標識抗体は、生体内に
投与すると、腫瘍に放射活性を集積させるので、癌の画
像診断に用いることができる。また、抗体にβ線放出性
のRIを結合した放射性物質を結合させるか、抗体・キ
レート化剤複合体にβ線放出性の金属核種をキレート化
して得られるRI標識抗体は腫瘍に選択的に作用する癌
治療薬となる。
さらに、抗体に生物活性物質を結合した複合体も、選択
性が高い薬物となる。例えば、抗腫瘍抗体と制癌薬ある
いはその他の細胞毒性物質とを結合した複合体は、同じ
く腫瘍に選択的に作用する癌治療薬となる。抗体は蛍光
物質や酵素を結合した複合体は、例えば、診断薬や免疫
・生化学試薬として用いられる。また将来発生するニー
ズに対して、さらに新しい複合体が考案されよう。
抗体に物質を結合させる場合に多用されている方法は、
物質をアシル化反応により抗体に結合する方法である。
例えば、RI標識抗体の作製においては、125I標識抗
体を得るために、放射性物質のボルトンハンター試薬
を、その活性エステル基で抗体に反応させる方法がよく
用いられる(A.E.Bolton and W.M.Hunter,Biochem.J.13
3,529-539(1973)参照)。また、111In標識抗体を得る
ためには、例えば、ジエチレントリアミンペンタアセチ
ック アシッド(DTPAと省略する)を混合酸無水物
としたのち、アシル化反応により抗体に結合し、得られ
た複合体に111Inをキレート化させる方法が用いられ
る(B.A.Khaw,J.T.Fallon,H.W.Strauss,E.Haber,Scienc
e,209,295参照)。
また、抗体と生物活性物質の複合体の製造においても、
例えば制癌薬メソトレキセートの結合方法(P.N.Kulkar
ni,A.H.Blair,T.I.Ghose,Cancer Research,41,2700‐27
06(1981)参照)で例示されるごとく、生物活性物質の含
有するカルボキシル基を活性エステルや混合酸無水物と
したのち、アシル化反応により抗体に結合して製造され
る。
さらに、細胞毒リシンのA鎖を抗体に結合するには、先
ず架橋剤、例えばN−サクシンイミジル−3−(2−ピ
リジルジチオ)プロピオネートを用いて活性ジスルフィ
ド基を導入し、かくして導入された活性ジスルフィド基
にリシンA鎖が含有するチオール基を反応させ、新たな
ジスルフィド結合を形成させる方法が用いられる(K.A.
Krolick,C.Villemez,P.Isakson,J.W.Uhr. and E.S.Vite
tta,Proc.Natl.Acad.Sci.USA.,77,5419‐5423(1980)参
照)。
しかしながら、抗体またはそのフラグメントにアシル化
反応により各種物質を結合させる、従来用いられている
複合体製造方法は、それらに共通する問題点をもつ。そ
れは、カルボキシル基及びその誘導基による抗体のアシ
ル化反応は、必ずしも抗体のアミノ基のみならず水酸基
等の他の官能基とも反応し、安定なアミド結合の他に、
エステル結合等の比較的開裂され易い不安定な結合をも
生成することである。そのため抗体複合体より、抗体に
結合させた物質が遊離し、さまざまな問題が発生する。
例えば、先ず、複合体が保存中に分解劣化する問題が生
じる。γ線またはβ線放出性の核種を抗体・キレート化
剤複合体に結合させたRI標識抗体では、人に投与した
とき、それぞれ抗体より離れたRIが非特異的なγ線画
像を与えたり、或いは殺細胞作用の選択性の減少と抗腫
瘍効果の減退をきたす。さらに抗体と抗癌剤等との複合
体でも、腫瘍選択性の減少および/または抗腫瘍効果の
減退の問題が発生する。
本発明者らは、従来の方法では避けがたいかかる不都合
をきたす事のない安定な抗体・物質複合体の製造方法を
開発すべく鋭意研究した結果、抗体またはそのフラグメ
ントにアシル化反応により、所望の物質を導入する場合
に、物質は抗体のアミノ基以外の水酸基等の官能基とも
反応し、結合した物質の一部が抗体から遊離する不安定
な複合体を与えるが、かかる反応で生成した結合の多く
は、生成物を水溶性アミンで処理することにより開裂せ
しめることができ、かかるアミン処理を施した抗体複合
体はその安定性が優れていることを見い出して、本発明
に到つた。
すなわち本発明は、抗体またはそのフラグメントをアシ
ル化し、しかる後に生成物を水溶性アミンで処理するこ
とを特徴とする、抗体またはそのフラグメントとアシル
化官能基を有する物質との安定な複合体の製造方法であ
る。
本発明において、アシル化反応により物質を結合する抗
体は、その特異性については、いかなる抗原やハプテン
に対する抗体でもよい。すなわち、例えば、癌,細菌,
ウイルス,カビ,マイコプラズマ,寄生虫に対する抗
体,病原性物質,腫瘍関連物質に対する抗体,腫瘍関連
抗原,細胞の分化抗原,組織適合性抗原,その他の細胞
膜抗原に対する抗体,毒素,酵素,アレルゲン,ホルモ
ン,薬物,その他の生物活性物質に対する抗体等を用い
ることができる。また本発明において、抗体は、例え
ば、動物を抗原やハプテンで免疫して作るポリクローナ
ル抗体でも、あるいは、細胞融合や、EBウイルスを用
いる抗体産生細胞の形質転換法等によつて作られるモノ
クローナル抗体でもよい。モノクローナル抗体は、細胞
融合法やウイルス形質転換法により、さまざまな抗原に
対し特異性の明確な高純度の抗体を多量に得ることがで
きるという利点を有する。
また、本発明方法はいかなるクラス,サブクラスの抗体
にも適用することができる。すなわち、抗体にはIgG,I
gA,IgM,IgDおよびIgEのクラスが知られており、さら
にIgGにはIgG1,IgG2a,IgG2b,IgG3のサブクラスが、I
gAにはIgA1,IgA2のサブクラスが、IgMにはIgM1,IgM2
のサブクラスがあるが、これらのどのクラス,サブクラ
スの抗体であっても本発明の抗体として用いることがで
きる。抗体は分子全体を用いてもよいが、その抗原結合
部分を含むフラグメントを用いることができる。かかる
フラグメントとしては、例えばIgM抗体の単量体IgMsやI
gAの単量体,抗体分子をペプシンで分解することによっ
て得られる2価のフラグメントF(ab′)2,パパインで
分解することによって得られる1価のフラグメントFab
等を挙げることができる。
本発明において好適に用いられる水溶性アミンは広範囲
のアミンから選択することができるが、特に好適なアミ
ンは、アンモニア,ヒドロキシルアミン,低級アルキル
アミン,低級アルキルジアミン等であり、後2者の具体
例としては、メチルアミン,エチルアミン,n−プロピ
ルアミン,N−エチルメチルアミン等を挙げることがで
きる。
本発明方法において、アシル化官能基を有する物質と
は、抗体またはそのフラグメントに安定に導入すること
が必要であってしかもアシル化官能基を有する物質であ
ればいかなる物質でもよく、広範囲に及ぶが、その例と
して、放射性物質,生物活性物質,キレート化剤,蛍光
物質,架橋剤を挙げることができる。これらの物質は元
々アシル化官能基を持っている物質でも、アシル化官能
基を持つように化学変換された物質でもよい。
本発明方法におけるアシル化官能基を有する物質として
の生物活性物質には、細胞毒性物質,抗腫瘍性物質,抗
菌性物質,抗ウイルス性物質,抗カビ性物質,抗マイコ
プラズマ性物質,抗寄生虫性物質,ホルモン,酵素等が
含まれる。
かかるアシル化官能基を有する物質におけるアシル化官
能基とは、カルボキシル基またはその活性化誘導基であ
り、しかしてカルボキシル基の活性化誘導基には、一般
式[I]、 で表わされる活性エステル基,活性アミド基,酸アジド
基,酸無水物基,酸ハライド等がある。すなわち、式
[I]においてZは、活性エステル基を形成するアルコ
キシ基,活性アミド基を形成するアシルオキシ基または
アルコキシカルボニルオキシ基,酸ハライド基を形成す
るハロ基等であり、その具体例としては、2,4−ジニト
ロフェノキシ基 4−ニトロフェノキし基 N−サクシンイミジルオキシ基 N−(5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミジ
ル)オキシ基 等のアルコキシ基,N−イミダゾリル基 等のアミノ基,イソバレリルオキシ基 ピバリルオキシ基 等のアシルオキシ基,エトキシカルボニルオキシ基 イソブトキシカルボニルオキシ基 等のアルコキシカルボニルオキシ基等を挙げることがで
きる。また式[I]で表わされる酸ハライド基を形成す
るZは、ハロゲン原子であり、塩素原子,臭素原子等で
ある。
本発明方法において好適に用いられるアシル化官能基を
有する物質の具体例としては、放射性物質としては、ボ
ルトンハンター試薬 等を、キレート化剤としては、ジエチレントリアミンペ
ンタ酢酸 その混合酸無水物 並びに分子内無水物 2,6−ジオキソ−N−(カルボキシメチル)−モルホリ
等を、生物活性物質としては、ニトロソウレア誘導体 等を、架橋剤では、N−サクシンイミジル3−(2−ピ
リジルジチオ)プロピオネート(SPDP, N−サクシンイミジル4−(N−マレイミド)ブチレー
N−サクシンイミジルm−(N−マレイミド)ベンゾエ
ート 等を挙げることができる。
本発明の、抗体またはそのフラグメントとアシル化官能
基を有する物質との安定な複合体の製造方法は、2つの
反応よりなり、第一の反応は、抗体またはそのフラグメ
ントを、アシル化官能基を有する物質によりアシル化す
る反応であり、第二の反応は、第一の反応の生成物を水
溶性アミンで処理し、アシル化官能基を有する物質が抗
体のアミノ基以外の水酸基等と反応して生成した比較的
不安定な結合を開裂する反応である。第二の反応は第一
の反応の生成物に一旦透析やゲル過等の精製の操作を
施した後に行ってもよいが、多くの場合、第一の反応の
生成物を何ら精製することなく引き続いて第二の反応を
行うことができる。
先ず第一のアシル化反応では、pHは4〜10の範囲、反応
温度は−4〜40℃の範囲から選択し、緩衝液中で行うの
が好ましい。反応に用いるアシル化官能基を有する物質
の量は、モル比で抗体またはそのフラグメントの1〜10
00倍からアシル化剤の性質やアシル化の目的に応じ適宜
選択される。アシル化反応の生成物は、必要により、透
析,ゲル過,硫安沈澱法,エタノール沈澱法,イオン
交換クロマトグラフィー,等電点沈澱法等の方法によっ
て行われる。
第二の、アシル化官能基を有する物質が抗体のアミノ基
以外の水酸基等と反応して生成した比較的不安定な結合
を開裂する反応は、例えば0〜40℃で、pH6〜10の条件
下、0.001〜5Mの濃度に水溶性アミンを添加して行う
ことができ、所要時間は1時間〜5日間である。なお、
特に好ましいpHと水溶性アミンノ濃度は、pH7〜10,0.
01〜1Mである。
以上のごとくにして生成した抗体複合体の精製は、透
析,ゲル過,硫安沈澱法,エタノール沈澱法,イオン
交換クロマトグラフィー,等電点沈澱法等の方法より適
宜選択して行うことができる。
次に本発明をより詳しく説明するために実施例を記載す
るが、本発明はもとよりこれらに限定されるものではな
い。
参考例1 デキストラン,ポリ−L−リジン(PLL),及びサク
シニル化免疫グロブリンとメソトレキセート(MTX)
N−サクシンイミジルエステル(MTX−OSu)との反
応、並びに、生成した複合体における、これらの高分子
物質とMTX間の結合の安定性 デキストランに40倍モルのMTX−OSuを、0.1Mホウ酸
緩衝液(pH 8.6)中、25℃で20時間反応させてMTX/
デキストラン モル結合比7.7のデキストラン−MTX
複合体を得た。一方、PLLに20倍モルのMTX−OSu
を、リン酸緩衝化食塩水(pH 7.4)中、25℃で4.5時間
反応させて、MTX/PLLモル結合比14.3のPLL−
MTX複合体を得た。すなわち、MTX−OSuは水酸基
よりもアミノ基に対して反応性が高いが、水酸基に対し
てもかなり反応する。(抗体をアシル化したとき、アシ
ル基は水酸基よりもアミノ基に多く導入されるが、水酸
基にも導入されることを示す。) 上記のデキストラン−MTX及びPLL−MTX複合体
を0.1Mホウ酸緩衝液(pH 9.0)中で、0.1Mヒドロキシル
アミンとインキユベートし、リン酸緩衝化食塩水(pH
7.2)(PBS)に対して24時間透析後、複合体に残っ
ているMTXを372nmの吸光度より定量した。デキスト
ランとMTX間のエステル結合は開裂し易く、25℃で24
時間インキユベーションで97%のMTXはデキストラン
より遊離して除かれた。(ヒドロキシルアミン非存在下
での遊離は、37℃で24時間のインキユベーシヨン後52%
にとどまった。)これに対し、PLLとMTX間のアミ
ド結合は安定で、25℃で24時間インキユベーション後、
遊離したMTXは9%に過ぎなかった。(抗体のアシル
化により抗体に導入されたアシル基の内、アミノ基に導
入されたアシル基を残して水酸基に導入されたアシル基
を選択的に、ヒドロキシルアミン処理によって、除去し
得ることを示す。) 参考例2 サクシニル化免疫グロブリンとMTX−OSuの反応、並
びに、生成した複合体における、免疫グロブリンとMT
X間の結合の安定性 ウサギγ−グロブリン(RGG)に994倍モルの無水コ
ハク酸を、0.1Mホウ酸緩衝液(pH 8.6)中、20℃で1時
間反応させた後、ヒドロキシルアミンを0.1M濃度に加え
て37℃で24時間処理し、PBSに対して透析して、アミ
ノ基の93%がサクシニル化された{佐竹ら[K.Satake e
t al.,J.Biochem.,Tokyo,47,654‐660(1960)]及びGold
farbら[A.R.Goldfarb,et al., Biochem.5,2570‐2574
(1966)参照]の方法により遊離アミノ基を定量}RGG
を得た。
かくして得たサクシニル化RGGに50倍モルのMTX−
OSuを、0.1Mホウ酸緩衝液(pH 8.0)中、4℃で4時間
反応させた後、PBSに対して透析し、MTX/RGG
モル結合比17.9の複合体を得た。MTXの定量は、372n
mの吸光度を測定して行った。またグロブリンの定量
は、複合体の280nmの吸光度より372nmの吸光度の2.52倍
の値(結合しているMTXに由来する280nmの吸光度)
を差し引いてグロブリンに由来する280nmの吸光度を求
めて行った。
上記のサクシニル化RGG−MTX複合体を0.1Mホウ酸
緩衝液(pH 9.0)中で、0.1Mヒドロキシルアミンと4℃
で3目間インキュベーションした。86%のMTXはこの
間遊離し、MTX/RGGのモル結合比は2.5に低下し
た。(抗体のアミノ基以外の水酸基等の官能基もアシル
化反応を受けるが、かかる反応で導入されたアシル基は
ヒドロキシルアミン処理によってスムーズに除き得るこ
とを示す。) 実施例1 マウス乳癌MM46に対するマウスIgG2aモノクローナル抗
体(抗MM46抗体)にMTX−OSuを反応させて製造した
複合体(MTX/IgGモル結合比4.6)を、0.1Mホウ酸緩
衝液(pH 9.0)中で、0.1Mヒドロキシルアミンと37℃で
インキュベーションした後、PBSに対して透析した。
24時間のインキュベーションにより41%のMTXが複合
体より遊離除去されたが、さらに2日間インキュベーシ
ョンを続けても僅か3%のMTXが遊離されたに過ぎな
かった。この結果は、抗体に結合したMTXには、ヒド
ロキシルアミン処理によって除去されないMTX(アミ
ノ基にアミド結合で結合したMTX)と、除去されるM
TX(水配基等にエステル結合等で結合したMTX)と
があることを示す。また、一旦ヒドロキシルアミン処理
を行えば、以後はMTXの遊離が少ない安定な複合体が
得られることを示す。
実施例2 ヒトメラノーマに対するマウスモノクローナル抗体(抗
メラノーマ抗体)に8倍モルのMTX−OSuを、70mMホ
ウ酸緩衝液(pH 8.4)中、4℃で4時間反応させ、MT
X−OSuに対して30倍モルのグリシンを加えて反応を停
止させた後、反応液を二分して、一つをPBSに対して
透析して抗メラノーマ抗体−MTX複合体を得た。ま
た、他方の反応液を、ヒドロキシルアミンを0.1Mになる
ように加えて25℃で24時間インキュベーションし、その
後PBSに対して透析して、水酸基等に不安定な結合で
結合したMTXを除いた、安定化抗メラノーマ抗体−M
TX複合体を作製した。
ヒドロキシルアミンで処理しない抗メラノーマ抗体−M
TX複合体は、培養マウス乳癌MM46細胞に対して、細胞
外でMTXを遊離することに基づく非特異的な細胞毒性
を示したが(2.5×104個/mlのMM46細胞を、複合体を5.
0 μM加えて、3日間培養したとき、生細胞の数は、複
合体を加えないで培養したときの10%であった)、ヒド
ロキシルアミンで処理した、安定化抗メラノーマ抗体−
MTX複合体は、培養マウス乳癌MM46細胞に対して非特
異的細胞毒性を示さなかった。
実施例3 抗ヒトメラノーマ抗体に0.3倍モルのボルトンハンター
試薬(N−サクシンイミジル3−[p−ヨード
125I)フェニル]プロピオネート)を、0.1モル ホ
ウ酸緩衝液(pH 8.5)中、0℃で20分間反応させ、グリ
シンを加えて反応を停止させた後、0.1M NaClと0.25%
ゼラチンを含む50mMリン酸緩衝液(pH 7.5)を用いてセ
ファデックスG−25によるゲル過を行い、125I標識
抗ヒトメラノーマ抗体を得た。
ボルトンハンター試薬を抗ヒトメラノーマ抗体に対し0.
5倍モル用い、反応液をセファデックスG−25によりゲ
ル過する前にヒドロキシルアミンを0.1M濃度に加え、
pHを調整後、25℃で24時間インキュベーションする他は
上記と同様にして、125I標識抗ヒトメラノーマ抗体を
作製した。
125I標識抗ヒトメラノーマ抗体の一部を37℃で2日
間インキュベーションした後、セファデックスG−25に
よるゲル過を行つた。ゲル過により、ヒドロキシル
アミン処理を行っていない標識抗体では、21%の放射活
性が低分子画分へ移行したが、ヒドロキシルアミン処理
を行った標識抗体では放射活性の低分子画分への移行は
2%に過ぎなかった。すなわちヒドロキシルアミン処理
により放射活性の遊離が少ない標識抗体が製造できた。
実施例4 抗ヒトメラノーマ抗体に50倍モルの下記式で表わされる
ジエチレントリアミンペンタ酢酸(DTPA)の分子内
環状酸無水物を、0.25M リン酸 緩衝液(pH 7.5)中で、室温で5分反応させ、その後、
0.1Mホウ酸緩衝液(pH 9.0)に溶かしたヒドロキシルア
ミンを0.1M濃度になるように加え、25℃で24時間インキ
ユベーションした後、0.5M酢酸緩衝液(p 6.0)中でセ
ファデックスG50によりゲル過を行い、未反応のDT
PAを除いた。次いで、0.5Mの酢酸緩衝液(pH 6.0)に
溶かした。かくして製造したDTPA化抗体(7mg蛋白
/mlの溶液1ml)を、最終濃度1M酢酸緩衝液となるよ
うに2M酢酸緩衝液(pH 6.0)を加えたキャリアの含ま
れていない[111In]塩化インジウム溶液(5mCi)に
加え、37℃で15分反応させた。反応液より、75mM酢酸緩
衝液(pH 5.0)中でキレックス(Chelex)100カラム
[ニューヨーク バイオラッド社(Bio-Rad Laboratori
es)を用いて遊離の111Inを除き、非活性3.6 mCi/mg
蛋白の111In標識抗体を得た。
反応液のヒドロキシルアミンによる処理を行わない他は
上記と同様にして、非活性4mCi/mg蛋白の111In標識
抗体を得た。
かくして製造した2種の111In標識抗体を37℃で48時
間インキュベーションした後、PBS中でセファデック
スG50によるゲル過を行った。抗体−DTPA複合体
の段階でヒドロキシルアミン処理を行わなかった111
n標識抗体で、測定時点での放射活性の内20%が低分子
画分へ移行したが、ヒドロキシルアミン処理を行った
111In標識抗体では放射活性の低分子画分への移行は
3%に過ぎなかった。
実施例5 PBSに溶解したRGGに、架橋剤N−サクシンイミジ
ル3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネート(SPD
P)を12倍モル添加して、23℃で1時間反応させた。
反応液を二分し、一方はそのままPBS中でセファデッ
クスG−25によるゲル過を行って低分子画分を除去し
た。他方は0.4Mホウ酸緩衝液(pH 9.0)を1/5容添加し
てpHを調整し、さらにヒドロキシルアミンを0.1M濃度に
なるように加えて25℃24時間インキュベートした後、同
様にゲル過を行った。こうして、前者では1分子当り
7.6個の3−(2−ピリジルジチオ)プロピル基(PD
P基)を結合したRGGが得られ、ヒドロキシルアミン
処理した後者では、1分子当り4.9個のPDP基を結合
したRGGが得られた。尚、PDP基の定量はジチオス
レイトールを添加(最終濃度5mM)して放出された2−
メルカプトピリジンに由来する343nmの吸光度測定によ
り行った[T.Stuchburyら,Biochem.J.,151, 417‐432,
(1975)]。また、RGGの定量は280nmの吸光度をPD
P基の量で補正し実施した。
こうして製造した2種のPDP基導入RGGを、過滅
菌しPBS中37℃で48時間インキュベーションした後、
PBS中でセファデックスG−25によるゲル過を行っ
た。
上記の如くRGGとPDP基の定量を行ったところ、ヒ
ドロキシルアミン処理を行わなかった方ではRGG1分
子当りのPDP基が6.4に低下したのに対し、ヒドロキ
シルアミン処理を行った方はRGG1分子当りのPDP
基が4.7とほとんど変化しなかった。
即ち、このことはヒドロキシルアミン処理により安定な
PDP基導入γ−グロブリンが得られることを示してい
る。

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】抗体またはそのフラグメントをアシル化
    し、しかる後に生成物を水溶性アミンで処理することを
    特徴とする、抗体またはそのフラグメントとアシル化官
    能基を有する物質との安定な複合体の製造方法。
  2. 【請求項2】抗体がモノクローナル抗体である、特許請
    求の範囲第1項記載の抗体複合体の製造方法。
  3. 【請求項3】水溶性アミンがアンモニア,ヒドロキシル
    アミン,低級アルキルアミン,低級アルキレンジアミン
    である、特許請求の範囲第1項または第2項記載の抗体
    複合体の製造方法。
  4. 【請求項4】アシル化官能基を有する物質が生物活性物
    質またはその誘導体である、特許請求の範囲第1項,第
    2項または第3項記載の抗体複合体の製造方法。
  5. 【請求項5】生物活性物質が殺細胞効果を示す物質であ
    る、特許請求の範囲第4項記載の抗体複合体の製造方
    法。
  6. 【請求項6】殺細胞効果を示す物質が抗腫瘍性物質であ
    る、特許請求の範囲第5項記載の抗体複合体の製造方
    法。
  7. 【請求項7】アシル化官能基を有する物質が放射性物質
    である、特許請求の範囲第1項,第2項または第3項記
    載の抗体複合体の製造方法。
  8. 【請求項8】アシル化官能基を有する物質がキレート化
    剤である、特許請求の範囲第1項,第2項または第3項
    記載の抗体複合体の製造方法。
  9. 【請求項9】アシル化官能基を有する物質が架橋剤であ
    る、特許請求の範囲第1項,第2項または第3項記載の
    抗体複合体の製造方法。
  10. 【請求項10】アシル化官能基がカルボキシル基または
    その活性化誘導基である、特許請求の範囲第1項,第2
    項,第3項,第4項,第7項,第8項または第9項記載
    の抗体複合体の製造方法。
  11. 【請求項11】抗体またはそのフラグメントをアシル化
    し、しかる後に生成物を、pH7〜10の水溶液中、0.01〜
    1Mの水溶性アミンで処理することを特徴とする、特許
    請求の範囲第1項記載の抗体複合体の製造方法。
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