JPH06102006B2 - 醸造用原料米の調整方法と醸造方法 - Google Patents

醸造用原料米の調整方法と醸造方法

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JPH06102006B2
JPH06102006B2 JP3626991A JP3626991A JPH06102006B2 JP H06102006 B2 JPH06102006 B2 JP H06102006B2 JP 3626991 A JP3626991 A JP 3626991A JP 3626991 A JP3626991 A JP 3626991A JP H06102006 B2 JPH06102006 B2 JP H06102006B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は清酒の原料である醸造用
原料米の調整方法と清酒醸造法に関する。
【0002】
【従来の技術】醸造用原料米には澱粉のほか、水分、蛋
白質、脂質及びリン、カリウムなどの無機物質が含まれ
ている。このなかでは脂質は清酒酵母による香気エステ
ルの生成に影響を及ぼし、特に不飽和脂肪酸はその生成
を阻害するといわれている。通常、玄米中には脂質が3
%程度含まれており、その大部分が表層に近い部分に存
在するので、玄米の表面を機械的に削除する精米が行わ
れている。精米した醸造用原料米には表面に糠が付着し
ているので図5(イ)に示すように、洗浄した後、浸
漬、蒸きょう(水蒸気に熱と湿度とを加えること)の操
作を行う。精米歩合は一般に普通酒では70〜75パー
セントで、吟醸酒では35〜60パーセントであり、精
米が醸造用原料米の利用率を大きく低下させる原因とな
っている。この問題点を解決するため、精米歩合を低く
して脂質を選択的に抽出分離する方法が考えられる。醸
造用原料米の表層に近い部分の脂質は遊離脂肪酸であ
り、n−ヘキサン等の有機溶媒で抽出できる。しかし、
溶媒の残留による酒質の低下のみならず、毒性の問題も
あり、安易に適用することはできない。このため、抽出
を二酸化炭素で行う試みが提案されている。この方法は
特開昭60−188053号公報に開示されているよう
に、二酸化炭素を所定の圧力、温度下で液体又は超臨界
状態とし、醸造用原料米中の脂質を抽出する能力を付加
するようにしたものである。二酸化炭素は無害であり、
圧力と温度を制御するのみで、抽出や分離をできるの
で、醸造用原料米の脱脂に適した方法といえる。具体的
には、図5(ロ)に示すように、80〜85%まで精米
した醸造用原料米に液体又は超臨界状態の二酸化炭素を
接触させ、醸造原料米中の脂質を、一般清酒に使われて
いる70%精白米と同程度にまで脱脂する。脱脂した醸
造用原料米は旧来の方法と同様に表面の糠を除去する目
的で洗浄したのち、浸漬、蒸きょうして調整が完了す
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、本発明者らが
上記二酸化炭素による抽出を実験したところ、二酸化炭
素の使用量が多い割には脱脂の効果が小さいことが判明
した。さらに、精米歩合を大きくしたことに起因して、
二酸化炭素抽出では除去が困難な蛋白質及び無機質が残
存しやすく、これらの物質が醸造後の酒質に悪影響を及
ぼすことが判明した。本発明の目的は前記従来技術の欠
点を解決し、醸造用原料米を機械的な精米で多量に削除
することなく、脂質を二酸化炭素によって効果的に除去
する調整方法を提供することにある。また、必要に応じ
て醸造用原料米中に残存する蛋白質、及び無機質をも低
減し得る醸造用原料米の調整方法を提供することにあ
り、さらにそれら調整した米を用いて清酒醸造を行うこ
とに関する。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、精米後の醸造
用原料米を洗浄、浸漬、蒸きょうの順序で処理する醸造
用原料米の調整方法において、前記洗浄、浸漬、蒸きょ
うの各操作のうち、いずれかの操作のあとに前記醸造用
原料米を液体または超臨界状態の二酸化炭素と接触させ
る抽出操作を加えたことを特徴とする。洗浄及び浸漬操
作は醸造用水、及びアルカリ、酸で加工した醸造用水の
いずれかを使用する。抽出操作は、容器に充填した醸造
用原料米に対して二酸化炭素を上向流で接触させること
が好ましい。抽出操作の前に醸造用原料米を粉砕するこ
とがより一層好ましい。
【0005】
【作用】精米後の醸造用原料米を洗浄することによっ
て、精米時に醸造原料米の表面に付着した糠が除去され
る。糠には脂質が多く含まれているので、糠を除去した
のち、二酸化炭素による抽出を行うと、脂質の抽出効率
が向上する。洗浄及び浸漬操作においてアルカリまたは
酸で加工した水を用いると糠の除去のみならず、後段の
抽出操作では除去が困難な蛋白質及び無機質の低減も可
能であり、醸造後の酒質に好影響をもたらす。抽出操作
は、容器に充填した醸造用原料米に対して二酸化炭素を
上向流で接触させると、抽出効果が向上する。抽出操作
の前に醸造用原料米が粉砕すると、粉砕によって醸造用
原料米の単位当たりの表面積が増加し、抽出効果がより
一層増加する。
【0006】
【実施例】図1に本発明の実施態様を示す。精米後の醸
造用原料米を洗浄、浸漬、蒸きょうの順序で処理する前
記図5(イ)に示した従来の醸造用原料米の調整方法に
対して、図1(イ)は洗浄と浸漬の間に抽出操作を加え
たもの、図1(ロ)は浸漬と蒸きょうの間に抽出操作を
加えたもの、図1(ハ)は蒸きょうのあとに抽出操作を
加えたものである。
【0007】精米歩合は従来の約70%に比べ、本発明
の場合は80〜90%で充分であり、その分、醸造用原
料米の利用率を上げることができる。洗浄及び浸漬操作
は醸造用水、アルカリ及び酸で加工した醸造用水のいず
れかを使用する。アルカリ水としては例えば炭酸カリウ
ムの希薄溶液を用いる。また、有機酸水としては例えば
乳酸水を用いるが、他のアルカリ及び酸でも効果があ
る。蒸きょう操作は従来の方法と同様とする。抽出操作
は、前記いずれかの操作のあとに前記醸造用原料米を液
体又は超臨界状態の二酸化炭素と接触させることによっ
て行う。抽出操作を前記図5(ロ)に示したように洗浄
操作の前に行うと、醸造用原料米の表面に付着した糠が
悪影響して効果が低下する。前記洗浄、浸漬、蒸きょう
のいずれかの操作のあとでは、すなわち洗浄米、浸漬米
及び蒸米の水分が増加し、この水分も抽出の効果を低減
させる原因となる。しかし、本発明者らの実験によれ
ば、糠による悪影響が水分のそれよりも大きいことが判
明した。抽出に先だって醸造用原料米を粉砕することが
好ましい。粉砕は、図1(イ)場合には洗浄直前または
抽出直前、図1(ロ)の場合には洗浄直前又は直後、並
びに抽出直前、図1(ハ)の場合には、洗浄直前、直
後、又は浸漬直後のいずれの時期におこなってもよい。
図1(ハ)の場合に、蒸きょうの直後に粉砕を行うと醸
造用原料米が糊状となるので好ましくない。また、浸漬
前に粉砕を行うと、浸漬時に醸造用原料米中の澱粉が流
出しやすいので、最も好ましくは、精米、洗浄、浸漬、
粉砕、抽出、蒸きょうの順で調整を行い、醸造に供す
る。 予備実験例1 精米歩合92%の醸造用原料米を充分に水洗したのち、
含水率が12〜42%の範囲で異なる試料を作製し、超
臨界状態の二酸化炭素を上向流又は下向流で接触させ、
抽出を行った。この時の抽出条件は圧力280Kg/cm2
温度20°Cであった。なお、醸造用原料米の含水率1
2%はその表面に水分が付着していない状態の値であ
る。
【0008】実験の結果を図2に示す。含水率が大きく
なるにつれて抽出後の試料中の粗脂肪含有量が増加し抽
出効果が低下することが分かる。図中、線Aは二酸化炭
素が上向流の場合を線Bは下向流の場合を示す。図から
明らかなように、二酸化炭素を上向流で接触させると抽
出効果が向上する。 予備実験例2 精米歩合85%の醸造用原料米を洗浄せずに直接抽出し
た場合(従来法)と、充分に洗浄したのち、水分を約2
5%に調整し、その後抽出した場合(本発明)とを比較
した。抽出条件は予備実験例1と同様とした。
【0009】実験の結果を図3に示す。図中、線Cは洗
浄せずに直接抽出した場合(従来法)、線Dは洗浄せず
に直接抽出し、その後、洗浄した場合(従来法)、線E
は洗浄したのち、抽出した場合(本発明)を示す。本発
明によれば抽出に使用する二酸化炭素の量を0.8kg/k
g 米とすれば、醸造用原料米の粗脂肪含有率量を0.1
%程度とすることができる。この粗脂肪含有率量0.1
%は精米歩合70〜75%の醸造用原料米を洗浄したと
きの、粗脂肪含有率量と同等である。一方、従来法によ
れば抽出に使用する二酸化炭素の量が0.8kg/kg 米の
ときは、洗浄後においても粗脂肪含有率量は0.17%
であり、本発明法と同等の0.1%程度とするために
は、約3kg/kg 米の二酸化炭素が必要となる。 予備実験例3 試料である醸造用原料米の精米歩合を90%とした以外
は、予備実験例2と同一の実験を行った。その結果を図
4に示す。図中、線Fは洗浄せずに直接抽出した場合
(従来法)、線Gは洗浄せずに直接抽出し、その後、洗
浄した場合(従来法)、線Hは洗浄したのち、抽出した
場合(本発明法)を示す。図から明らかなように、予備
実験例2と同様の傾向を示す。しかし、本発明に係る方
法でも抽出後の醸造用原料米の粗脂肪含有率量は0.3
%程度であり、脂肪の効果が不充分であることがわかっ
た。そこで、醸造用原料米を洗浄後、粉砕し、そののち
に抽出する追加実験を行った。その結果を図4中、線
I、J、Kで示す。線Iは粉砕の粒度を24メッシュ以
下にした場合、線Jは粉砕の粒度を48メッシュ以下と
した場合、線Kは粉砕の粒度を100メッシュ以下とし
た場合である。抽出前に醸造用原料米を粉砕することに
よって、抽出後の醸造用原料米の粗脂肪含有率量を著し
く低減でき、粉砕の程度は48メッシュ以下にすればよ
いことがわかる。 比較実験例1 各種実験方法で醸造用原料米の調整方法を行った。結果
を表1に示す。同表において、実験a、b、cは図5
(イ)に示した従来の方法、実験d、eは図5(ロ)に
示した抽出を洗浄前に行う従来の方法、実験f〜pは、
図1(イ)(ロ)(ハ)に示した本発明に係る方法であ
る。実験は同一種の醸造用原料米を用い、同表に示すよ
うに精米歩合、粉砕の有無、抽出時の醸造用原料米の含
水率、二酸化炭素の使用量を変化させて行った。粉砕を
行う場合には、すべて抽出操作の直前に行った。洗浄は
醸造用水を用い、浸漬、蒸きょうは各実験とも同一の条
件で行った。抽出操作における二酸化炭素の圧力、温度
の条件は予備実験例1と同一とした。また、二酸化炭素
は予備実験例1の結果に基づき醸造用原料米に対して上
向流で接触させるようにした。同表において、粗脂肪含
有量の値は各実験ともすべての調整が終了(実験a〜m
では蒸きょう、実験n、pでは抽出)したのちの、醸造
用原料米中の値を示す。表1から、本発明を実施した場
合に醸造用原料米の粗脂肪含有量を効果的に低減させる
ことができ、抽出に必要な二酸化炭素の量も少なくてよ
いことがわかる。特に、抽出操作の直前に粉砕を行った
場合には精米歩合90%のものに対しても従来の精米歩
合70%の場合と同等の粗脂肪含有量にでき、醸造用原
料米の利用率が飛躍的に向上する。
【0010】
【表1】 比較実験例2 本発明の洗浄及び浸漬操作において、洗浄水及び浸漬水
に醸造用水以外のアルカリ及び酸で加工した水を用いて
米中の蛋白質及び鉄の除去を行った結果を示す。白米1
00g(平成元年度、福井産・精米歩合90%)を、濃
度5000ppmの乳酸及び2000ppmの炭酸カリ
ウムを用いて15°C、30°C、40°C、50°C
で、12時間浸漬し、浸漬後、水切りしさらに水洗後、
米中の粗蛋白質及び鉄を測定した。尚、対照として、精
米歩合90%同じ白米を醸造用水で上記と同様の処理条
件で洗浄及び浸漬し、又同様に精米歩合73%の白米を
醸造用水で洗浄及び浸漬したものを用い、粗蛋白質量及
び鉄含量を比較した。その結果を示したものが表2であ
る。この表2から90%精白米を50°Cで乳酸浸漬す
ることにより粗蛋白含量は73%の白米とほぼ同等の値
となり、鉄は73%の白米よりは若干多いが、減少して
いることがわかる。又、乳酸濃度の違いによる粗蛋白及
び鉄の除去効果を示したのが表3である。この表3から
乳酸5000ppm以上で目的の粗蛋白及び鉄の含量と
なることがわかる。
【0011】
【表2】
【0012】
【表3】 実施例2 前記した各予備及び比較実験例を基に清酒醸造試験を行
った。すなわち、精米歩合90%に精米した米を洗浄
し、0.5%乳酸溶液に一晩浸漬した。浸漬後、洗浄水
切りをし、粉砕機(フィッツミル)で粉砕後、圧力28
0Kg/cm2、温度20°C、炭酸ガス量0.8Kg/Kg 米で
超臨界抽出することにより醸造用原料米を調整した。こ
の米1Kgを用い耐熱性液化アミラーゼで液化後、醸造試
験を行った。また、対照として、73%精白米の蒸米よ
り三段仕込、浸漬米より液化仕込を行った。図6に示す
ように発酵も対照とほぼ同様に経過し、上槽後の分析結
果及び貯蔵テストによる結果(表4)においても対照と
ほとんど差のない結果が得られた。又、パネラー12人
による利酒結果(表5)においても対照と有意差のない
清酒が得られ、乳酸浸漬し且つ超臨界炭酸ガス処理した
米を用いることにより、品質を損なうことなくしかも原
料コストの低減を図ることのできる清酒醸造法が確立で
きた。
【0013】
【表4】 対照1:本方法と同様浸漬米を液化して醸造したもの 対照2:米を三段仕込みで醸造したもの
【0014】
【表5】 *最も良好なものを1、良いものを2、やや劣るものを
3、最も劣るものを4として採点
【0015】
【発明の効果】本発明は、そのまま、あるいは精米後の
醸造用原料米を洗浄、浸漬、蒸きょうの順序で処理する
醸造用原料米の調整方法において、前記洗浄、浸漬、蒸
きょうの各操作のうち、いずれかの操作のあとに前記醸
造用原料米を液体または超臨界状態の二酸化炭素と接触
させる抽出操作を加えたので、醸造用原料米を機械的な
精米で多量に削除することなく、脂質を二酸化炭素によ
って効果的に除去することができる。また、上記の調整
方法において、洗浄及び浸漬操作にアルカリ及び酸で加
工した水を用いると、糠の除去のみならず、後段の抽出
では除去が困難な蛋白質及び無機質の低減も可能であ
り、醸造後の酒質に好影響をもたらす。抽出操作は、容
器に充填した醸造用原料米に対して二酸化炭素を上向流
で接触させると、抽出効果が向上する。抽出操作の前に
醸造用原料米を粉砕すると、粉砕によって醸造用原料米
の単位量当たり表面積が増加し、抽出効果がより一層増
加する。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の実施例を示すブロック系統図
【図2】図2は予備実験例1の結果を示すグラフ
【図3】図3は予備実験例2の結果を示すグラフ
【図4】図4は予備実験例3の結果を示すグラフ
【図5】図5は従来方法に係る醸造用原料米の調整方法
を示すブロック系統図
【図6】図6は実施例2の発酵過程を示すグラフ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 伊藤 真実 東京都千代田区内神田1丁目1番14号 日 立プラント建設株式会社内 (72)発明者 山寺 利夫 東京都千代田区内神田1丁目1番14号 日 立プラント建設株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】醸造用原料米をそのまま、あるいは精米
    後、次の工程の洗浄、浸漬、蒸きょうの各操作のうち、
    いずれかの操作のあとに前記醸造用原料米を液体または
    超臨界状態の二酸化炭素と接触させる抽出操作を加える
    ことを特徴とする醸造用原料米の調整方法。
  2. 【請求項2】前記洗浄、浸漬操作はアルカリ又は酸で加
    工した水のいずれかを使用することを特徴とする請求項
    1の醸造用原料米の調整方法。
  3. 【請求項3】前記抽出操作は、容器に充填した製造用原
    料米に対して二酸化炭素を上向流で接触させることを特
    徴とする請求項1の醸造用原料米の調整方法。
  4. 【請求項4】前記抽出操作の前に醸造用原料米を粉砕す
    ることを特徴とする請求項1の醸造用原料米の調整方
    法。
  5. 【請求項5】前記請求項1〜請求項4のいずれかの調整
    方法により得られた米を用いることを特徴とする酒類の
    醸造方法。
JP3626991A 1991-03-01 1991-03-01 醸造用原料米の調整方法と醸造方法 Expired - Lifetime JPH06102006B2 (ja)

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