JPH0610338B2 - ホウ素薄膜の形成方法 - Google Patents

ホウ素薄膜の形成方法

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JPH0610338B2
JPH0610338B2 JP18980185A JP18980185A JPH0610338B2 JP H0610338 B2 JPH0610338 B2 JP H0610338B2 JP 18980185 A JP18980185 A JP 18980185A JP 18980185 A JP18980185 A JP 18980185A JP H0610338 B2 JPH0610338 B2 JP H0610338B2
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Description

【発明の詳細な説明】 <産業上の利用分野> この発明は、基板面に対して高い密着性を有し、かつ結
晶性を自由に調節して被膜できるホウ素薄膜形成方法を
提供しようとするものである。
<従来の技術> ホウ素薄膜は硬度が高く、かつ半導体としての特性を有
するため、研磨工具の刃物表面に被着させたり、半導体
薄膜として利用されている。
しかし、ホウ素は六方晶系,正方晶系など数種の結晶形
のものが存在し、結晶形によつて薄膜と性質あるいは基
材に対する密着性も異なるので、目的に応じた結晶形を
もつ薄膜を形成する必要がある。
ホウ素薄膜を形成する方法として、従来から真空加熱蒸
着,電子ビーム蒸着,RFスパツタ蒸着,化学蒸着(以
下「CVD」という)などの方法が知られている。
<発明が解決しようとする問題点> しかし、上述した従来のホウ素薄膜形成方法は、基板と
被膜間の密着性に問題があり、不均一性,剥離等をおこ
しやすく、また薄膜の結晶純度,結晶形を調節すること
ができなかつた。たとえば日本化学会発行と学術雑誌
「日本化学会誌」(1983年)、No.5、pp639〜645
において、中村勝光氏の報告“デカボランの分子流領域
の圧力での熱分解によるホウ素薄膜の析出”中にB10H14
を用いてCVD法で350〜1200℃の基板上にホウ素薄膜
を形成させると、析出したホウ素薄膜はすべてアモルフ
アスであることが示されている。また、ホウ素を電子ビ
ーム蒸着や、RFスパツタリングして形成させたホウ素
薄膜もアモルフアスであり、基板に対する密着性の点で
も問題があつた。
高温でホウ素薄膜を形成する必要性は、CVD法の場合
に特に大であり、良質のホウ素薄膜を得るには少くとも
500℃以上に、基板を加熱する必要がある。これはホウ
素薄膜形成装置の保守およびホウ素薄膜形成の生産能率
を著しく阻害するものである。
また、上述したホウ素薄膜形成方法の他に、高エネルギ
ーのイオンビームでホウ素ターゲツトをスパツタリング
するイオンビームスパツタ法も考えられるが、ホウ素タ
ーゲツトの絶縁性が高く、照射したイオンビームの電荷
がホウ素ターゲツトに蓄積されて表面電荷を生じ、イオ
ンの入射を妨げるという問題があつた。
この発明は、以上に述べたような従来のホウ素薄膜形成
方法の問題点を除去するためになされたものであつて、
基板表面に密着性にすぐれ、かつ低温で結晶性を自由に
調節しながら薄膜形成できるホウ素薄膜形成方法を提供
しようとするものである。
<問題点を解決するための手段> 本発明者等は以上の目的を達成すべく種々研究を重ねる
過程において、ホウ素ターゲツトをイオンビームでスパ
ツタリングする代りに、ホウ素薄膜の導電性と関係な
く、薄膜の構成原子に影響を与えることができる高速原
子線をホウ素スパツタ膜に照射すれば、その照射条件に
より、被着したホウ素薄膜の結晶性,密着性を調節でき
るとの考の下に実験を重ね、本発明を完成することがで
きた。
すなわち、この発明は、ホウ素ターゲツトを高速原子線
でスパツタリングしながら、基板表面にスパツタ物質を
被着させると共に、被着スパツタ物質に高速原子線を照
射することを特徴とするものである。
この発明にかかるホウ素薄膜形成方法においては、基板
表面のスパツタ物質(ホウ素)に照射する高速原子線
は、基板表面に被着したスパツタ物質の構成原子の配列
状態、結晶性に影響を与える程度のエネルギーを有する
高速のものであることが望ましく、通常の原子線ではエ
ネルギーが低すぎ、一般に数キロエレクトロンボルト程
度のものが望ましく、数十キロエレクトロンボルト以上
の高速原子線では薄膜の結晶性にダメージ(damage)を
与えるので好ましくない。
また、高速原子線の種類としては、薄膜を形成するホウ
素と反応しない不活性の、たとえば窒素、アルゴン,ク
セノン,ヘリウム,ネオンなどの高速原子線が望まし
い。
さらに、ホウ素薄膜の結晶性や基板との密着性を調節す
るには、たとえばスパツタ物質のスパツタ速度,基板面
に照射する原子線の励起条件(電流密度、電圧条件等)
を調節することによつて実現できる。
<作 用> このように構成された、この発明にかかるホウ素薄膜形
成の機構は必ずしも明らかでないが次のように考えられ
る。
イ 基板に対する密着性 ホウ素ターゲツトからスパツタリングされたホウ素原子
3は、基板面に向けて照射された高速不活性原子2と衝
突し、その反跳で第1図に示すごとく基板1(第1図中
の黒印は基板構成原子)内に侵入する。
また、ターゲツトからスパツタされたホウ素原子3も基
板1内に注入され、基板1とホウ素薄膜間に混合相がで
き、この混合相によつて基板1とホウ素薄膜間の境界が
あいまいとなつて境界層が消滅することによつて基板に
対する密着性が向上する。
ロ 結晶性の改善 たとえばホウ素ターゲツトからスパツタリングされたホ
ウ素物質は第1図に示すように、基板方向に照射する高
速原子線源より放射された原子線がE=1(キロエレク
トロンボルト)のエネルギーをもつているとすれば、 E=K・T (エレクトロンボルト) ただし、Kはボルツマン定数を表わす。
により定まる等温温度T(107゜K)をもつている。
このようなエネルギーをもつた原子が固体中に照射され
ると、ホウ素スパツタ物質の表層は局所的に、しかも短
時間に昇温すると考えられる。また、高速原子線が照射
されたホウ素スパツタ物質表層の原子、分子は高温に加
熱されたと同様の影響を受け、アモルフアスホウ素から
六方晶あるいは正方晶系のホウ素に結晶性が改善される
ものと思われる。
また、この高速原子は基板に対し斜めに入射するので、
その運動エネルギにより基板に被着するホウ素原子の基
板面内の横方向のマイグレーシヨンを促進して結晶化を
図ることができる。
<実 施 例> つぎに、この発明の実施例について説明する。
第2図〜第3図はこの発明にかかるホウ素薄膜の形成に
使用する装置の構成を示し、第2図はこの発明のホウ素
薄膜形成に使用する装置のホウ素ターゲツト衝撃用高速
原子線源および基板面照射用高速原子線源の概略構成
図、第3図は第2図に示す高速原子線源の構造を示す拡
大図であり、第4図は高速原子線源から引き出されるビ
ームの中性化率測定装置の構成図、第5図は第3図に示
す高速原子線源から引き出される粒子線の中性化のため
に加える偏向電圧対コレクタ電流の特性図、第6図(a)
(b)はそれぞれ基板に形成されたホウ素薄膜が単結晶お
よび多結晶構造のものであることを示す電子回折写真、
第7図な基板面に高速原子線を照射しないで得られたホ
ウ素薄膜の結晶構造を示す電子回折写真である。
第2図に示す装置は、図示しない排気系によつて真空排
気される真空槽(非図示)内に組み込まれており、ター
ゲツト衝撃用高速原子線源7、基板面照射用高速原子線
源10、ホウ素ターゲツト6、薄膜形成用基板1とから
なり、各高速原子線源7,10には、ビーム放射口直後
に偏向電極11,12が設置されている。
基板面照射用高速原子線源7の役割は、主にホウ素薄
膜の結晶性のコントロール、基板に対するホウ素薄膜
の密着性向上を目的として使用される。
高速原子線源は、いかなる型式のものでも本発明は、こ
だわるものではないが、第3図に示すような構造のもの
が安価・簡便かつ効率良く高速原子を取り出すことがで
きる。
第3図に、この発明の一実施例にかかる高速原子線源装
置を示す。同図に示されるように、中空な円柱体である
カソードケースの両端面がカーソド15,16となると
共にこのカソード15,16が接地される一方、カソー
ド16にはガス導入口17が設けられている。カソード
ケースの内部には、その中央における上方及び下方に各
々丸棒状をなすアノード18が配置され、外部に設けら
れた電源30に接続している。一方、カソード15の中
央には原子線引き出し口19が設けられ、この原子線引
き出し口19に円筒状をなす中性化機構21が直結され
ている(第4図参照)。
上記構成を有する本実施例の高速原子線源装置は次の様
に使用する。
まず、ガス導入口17からカソードケース内に不活性ガ
ス又は活性ガスを導入して10-1Torr〜10-3Torr程度
とし、カソード15,16に対してアノード18を数1
00Vから数kVの高電位に保持する。すると、アノード
18、カソード15,16間でグロー放電が生起する一
方、この時カソード15,16から放出された電子がア
ノード18へ向けて加速し、2本のアノード18の中間
を通り越して反対側のカソード16,15へ達して速度
を失い、さらにアノード18へ向けて加速されて上述し
た振舞を繰り返す。いわゆるバルクハウゼン−クルツの
振動と名づけられる高周波振動がアノード18を中心と
してカソード15,16間で行われることとなり、この
ように振動する電子がガス分子と衝突して、効果的にプ
ラズマが形成されることとなる。形成されるプラズマ中
のプラスイオンはカソード15,16に引き付けられて
加速し、原子線引き出し口19を通つて円筒状をなす中
性化機構21に入射することとなる。入射した原子線が中
性化機構21内における側壁に衝突すると、側壁から原
子線衝撃により生じた二次電子と結合して中和し、高速
原子線となる。また、イオン線が中性化機構21の側壁
に衝突する際に電荷変換を行い、高速原子線となること
もある。更にバルクハウゼン−クルツの振動を行つてい
る電子が速度0となるカソード15付近で、イオンに結合
してこれを中和し、高速原子を作ることとなる。このよ
うな主なメカニズムにより、イオン線が高速原子線とな
つて中性化機構21から真空中へ放射されることとな
る。
なお、中性化機構21の材質としては、二次電子放射比
が高く、かつスパツタ率が小さなものが望ましい。二次
電子放射比が高ければ、イオンと再結合して高速原子と
する確率が大きくなり、中性化機構構成原子による汚染
を防ぐことができるからである。本実施例では、二次電
子放射比が0.5程度と高く、かつスパツタ率が0.1
程度と低い焼結グラフアイトにより中性化機構21を構
成した。また、本実施例では、アノード18として2本
の棒状のものを使用したが、バルクハウゼン−クルツの
振動をする原子やカソード15に向つて加速するイオン
の障害とならなければ、円環状その他の形状のものを使
用することができる。更に、本実施例では粒子線引き出
し口22及び中性化機構21はカソード15のみに設け
られていたが、これに限らず双方のカソード15,16
に設けても良い。
つぎに、上記実施例の高速原子線源から放射される粒子
線について実測した中性化率について説明する。中性化
率とは高速原子線源装置にArガスを導入した場合に線源
から引き出されるイオン線,高速原子線からなる粒子線
中における高速原子線の割合をいう。
中性化率の実測には第4図に示す装置を使用した。同図
に示されるように、中性化機構21の出口側においては
二枚のスリツト25,26が平行に設置されると共にこ
れらスリツト25,26の間における上方及び下方に平
行平板型の偏向電極27,28を配置してなるものであ
り、偏向電極27,28に印加される電圧Vdを変化させ
て、コレクタ29に流れる電流iを測定できるようにな
つている。ここで粒子線中に電子が含まれていないと仮
定すれば中性化率Rn0は次式(1)で表わされる。
但し、N0はコレクタに流入する高エネルギ粒子のイオン
電流換算値、 N+はコレクタに流入するイオンビーム電流値、 δは二次電子放射比、 i0は偏向電圧Vd=0の時のコレクタ電流、 idは偏向電圧を印加した時のコレクタ電流の飽和値であ
る。
第5図に、中性化率測定装置における偏向電圧Vd対コレ
クタ電流iの変化の状態を示すと、いずれと作動条件に
おいてもi0≒idであり、これを(1)式に入れるとRn0≒
1となる。
すなわち、この発明によれば、中性化率がほぼ100%
の高速原子線を引き出すことができる。
つぎに、上述した装置によるホウ素薄膜形成方法につい
て説明する。
まず、図示しない排気系を作動して真空槽(非図示)内
を1×10-7〜1×10-8Torr程度の真空にして、図示
外のガス供給源からガス導入管17を通してアルゴンガ
スをターゲツト用高速原子線源7内に導き、線源内を1
0-1〜10-2Torr程度のガス圧にする。ついで、高速原
子線源7のアノードとカソード間に数キロボルトと高電
圧を印加して放電をおこさせると、ビーム放出口19の
グラフアイトメツシュ越しにアルゴン高速原子線が中性
化機構21を通つてターゲツト6に向かつて照射され
る。この結果、照射されたアルゴン高速原子の衝撃によ
つて、ターゲツト6の表面からホウ素粒子がスパツタさ
れ、薄膜形成用基板1上面にホウ素スパッタ膜20が被着す
る。
上述のターゲツト用高速原子線源7の作動と同時に、基
板用高速原子線源10側のガス導入口を通して図示外の
ガス供給源から高速原子線源10内へArガスを入れアノー
ドとカソード間に数100ボルトから数キロボルトの高
電圧を加えて放電を生起させるとともに、偏向電極11
に電圧を加えて、ビーム放出口、中性化機構を通つて引
きだされる全粒子中のほぼ100%が高速原子線となつ
ているArビーム中の極く一部の荷電粒子を除去する。こ
れにより完全に100%のアルゴンの高速原子が薄膜形
成用基板1上のホウ素スパッタ膜20上に照射されスパ
ッタ膜20と基板1の密着性,結晶性を制御して改善す
ることができる。
上述の方法で基板1上に被着したホウ素薄膜の電子回折
写真を、第6図に示す。第6図の(a)では、基板用高速
原子線源10から放射したアルゴン原子のエネルギーは
約1キロエレクトロンボルトであり、第6図の(b)では
基板用高速原子線源10から放射したアルゴン原子のエ
ネルギーを約1.5キロエレクトロンボルトとしたもの
である。第6図(a)では、スポツトパタンが観察され単
結晶ホウ素膜となつている。第6図(b)では、明瞭なリ
ングパタンが観察され、多結晶ホウ素膜である。
一方、ホウ素膜スパッタ蒸着時の条件(ホウ素ターゲツ
トを約3キロエレクトロンボルトのアルゴン高速原子で
照射)は、上述の第6図の場合と同じであるが、ホウ素
スパッタ膜被着時に基板用高速原子線源を動作させず、アル
ゴン高速原子線を基板14上のホウ素スパッタ膜20上
に照射しない場合に得られるホウ素薄膜の電子回折写真
を第7図に示す。非常に弱いリングパタンが見られ、一
部結晶化していると考えられるが大部分は無定形・非晶
質とホウ素膜が形成されていることがわかる。
<発明の効果> 以上の説明から明らかなように、この発明のホウ素薄膜
形成方法は、単に基板上にホウ素薄膜を被着させるだけ
の従来のホウ素薄膜形成方法と異なり、ホウ素ターゲツ
トを高速原子線で衝撃し、基板上面にホウ素のスパッタ
膜を形成させると共に、当該ホウ素スパッタ膜上に高速
原子線を照射するので、基板とホウ素薄膜の密着性を向
上させると共に、ホウ素の結晶性を改善できる。
さらに、ホウ素元素は半導体の一つであり、非常に硬度
が高く、高融点(2.000〜2.500℃)、高沸点(2.300
℃)で扱い難い素材のため、従来、殆んど利用されなか
つたが、この発明により、結晶性が容易に調節でき、基
板に対する密着性も向上できるようになつたため、半導
体部品や研磨工具の部品など多くの分野で利用すること
が可能となつた。
【図面の簡単な説明】
第1図はこの発明によるホウ素薄膜形成方法によるホウ
素薄膜形成機構説明のための模式図、第2図は実施例の
ホウ素薄膜形成に使用する装置のホウ素ターゲツト衝撃
用高速原子線源および基板面照射用高速原子線の概略構
成図、第3図は第2図に示す高速原子線源の構造を示す
拡大図、第4図は高速原子線源から引き出されるビーム
の中性化率測定装置の構成図、第5図は高速原子線源か
ら引き出されるビーム中性化のために加える偏向電圧対
コレクタ電流の関係を示す特性図、第6図(a)(b)はいず
れも実施例の方法により基板上に形成されたホウ素薄膜
の結晶構造を示す電子回折写真、第7図は基板面に高速
原子線を照射しないときに得られるホウ素薄膜の結晶構
造を示す電子回折写真である。 図 面 中、 1はホウ素薄膜形成用基板、 6はホウ素ターゲツト、 7はホウ素ターゲツト衝撃用高速原子線源、 10は基板面照射用高速原子線源、 14は高速原子線、 20はホウ素スパッタ膜。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ホウ素ターゲツトを高速原子線でスパツタ
    リングしながら、基板面にスパツタ物質を被着させると
    共に、被着スパツタ物質に高速原子線を照射することを
    特徴とするホウ素薄膜の形成方法。
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