JPH06173122A - 高伸度炭素繊維及びその製造方法 - Google Patents

高伸度炭素繊維及びその製造方法

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JPH06173122A
JPH06173122A JP34358692A JP34358692A JPH06173122A JP H06173122 A JPH06173122 A JP H06173122A JP 34358692 A JP34358692 A JP 34358692A JP 34358692 A JP34358692 A JP 34358692A JP H06173122 A JPH06173122 A JP H06173122A
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carbon fiber
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temperature
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Kenji Fukuda
憲二 福田
Yoichiro Hara
陽一郎 原
Hiroshi Kakebayashi
博史 掛林
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高い伸度を有し、しかも等方性の結晶構造を
有する炭素繊維及びその製造方法を提供する。 【構成】 伸度2.5〜4.0%、引張強度100〜4
00kg/mm2、弾性率3.5〜10.0ton/m
2の物性値を有し、かつX線回折測定により002回
折線を示さないX線的に非晶質である高伸度炭素繊維、
及び炭素繊維前駆体フィラメントの熱処理を2段階に分
け、それぞれの段階で適切な緊張力を付与して、延伸又
は収縮の抑制を行いながら熱処理することによる、前記
特性を有する高伸度炭素繊維の製造方法。 【効果】この炭素繊維は、各種複合材料の補強用繊維と
して優れた特性を有している繊維であり、その製造方法
によれば、熱処理に要する時間も短縮でき、プロセスの
簡略化ができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、各種複合材料の補強材
として好適な、非晶質構造を有する高伸度炭素繊維及び
その製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】炭素繊維は、高い強度と優れた耐蝕性、
耐薬品性に加えて、高い導電性や熱伝導性、自己潤滑性
など優れた特性を有する繊維であり、多種多様な分野で
広範囲に使用されている材料である。この炭素繊維を補
強材として使用したプラスチック、ゴム、セメント系材
料などの繊維強化複合材料は各種工業用材料として利用
価値が高く、大量に使用されている。これらの繊維強化
複合材料には、強度の信頼性を高めるため、ある程度以
上のじん性が要求されるので、複合材料の補強材として
用いる繊維としては、できるだけ高い伸度を有するもの
が好ましい。高い伸度を有する材料は吸収エネルギ−が
大きいことからバネ材等の緩衝材の補強用フィラ−とし
て有用である。また、製織時の繊維の屈曲に対に対する
抵抗力が強いので製織時の糸切れや毛羽の発生を抑制す
ることができる。
【0003】現在、市販されている炭素繊維は大部分ポ
リアクリロニトリル(PAN)あるいはピッチを原料と
するものであり、それぞれの使用目的に応じて多種多様
のグレ−ドのものが製造されている。これらの炭素繊維
には、大きく分けて引張強度100kg/mm2、弾性
率10ton/mm2程度の汎用グレ−ドと引張強度や
弾性率の高い高性能グレ−ドとがあり、高性能グレ−ド
は更に引張強度300〜800kg/mm2、弾性率2
5ton/mm2程度の高強度グレ−ドと引張強度30
0kg/mm2、弾性率35〜90ton/mm2程度の
高弾性率グレ−ドとに大別されている。各種複合材料を
製造しようとする場合には、これらの炭素繊維の中から
適当な物性値のものを選んで使用しているが、一般に炭
素繊維は、その優れた特性値に比較して伸度が小さいと
いう特徴を有している。
【0004】前記のように、複合材料の補強用繊維とし
ては、できるだけ高い伸度を有するものが好ましいの
で、伸度の高い炭素繊維を得る方法も試みられている。
炭素繊維の伸度を高める方法の一つは、紡糸原料の濾過
精度を高めて、不純物の混入を防ぎ、更に耐炎化炉や炭
化炉内での浮遊粉塵を除去することによって繊維中の欠
陥を少なくする方法であるが、一般に紡糸原料の濾過精
製は難しく、この方法で達成できる炭素繊維の伸度は、
PAN系の炭素繊維で3.0%、ピッチ系の炭素繊維で
は2.4%程度が限界とみられている。また、炭素繊維
の特性の一つにその結晶構造があるが、結晶の発達した
異方性のものに比較して、等方性のものの方が化学的に
安定であり、また圧縮強度も高い。更に製織時や繊維の
摩擦によるフィブリル化を抑制し、かつ繊維の圧縮強度
を高めるためにも等方性の結晶構造を有する繊維が好ま
しい場合がある。炭素繊維の結晶構造は、炭化時の加熱
処理温度によって変わるが、従来のPAN系あるいは高
弾性ピッチ系繊維の場合には、2000℃程度までの温
度でほとんどが異方性となってしまい、2000℃以上
の温度で熱処理してもX線的な等方性を維持している炭
素繊維は知られていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、前記
従来技術の問題点を解決し、従来の炭素繊維に比較して
著しく高い伸度を有し、しかも等方性の結晶構造を有す
る炭素繊維及びその製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の第1は、伸度
2.5〜4.0%、引張強度100〜400kg/mm
2、弾性率3.5〜10.0ton/mm2の物性値を有
し、かつX線回折測定により002回折線を示さないX
線的に非晶質であることを特徴とする高伸度炭素繊維で
ある。本発明の第2は、芳香族スルホン酸類又はそれら
の塩がメチレン型結合を介して結合した高分子化合物を
主成分とする原料組成物を紡糸して得られる炭素繊維前
駆体フィラメントを炭化するに際し、この炭素繊維前駆
体フィラメントを、フィラメントの延伸率が0〜100
%の範囲になるよう緊張力を付与して延伸させながら2
00〜500℃の温度範囲内で、最高温度380〜50
0℃となるような条件で熱処理し、更にこの延伸フィラ
メントを非酸化雰囲気下にフィラメントの収縮率が0〜
20%の範囲に収まるように緊張力を付与しつつ500
〜2400℃の温度範囲内で、最高温度800〜240
0℃となるような条件で熱処理することを特徴とする伸
度2.5〜4.0%、引張強度100〜400kg/m
2、弾性率3.5〜10.0ton/mm2の物性値を
有し、かつX線回折測定により002回折線を示さない
X線的に非晶質である高伸度炭素繊維の製造方法であ
る。
【0007】本発明の炭素繊維の最大の特徴は、引張強
度の値に比較して弾性率が小さく、従来公知の炭素繊維
に比較して著しく高い伸度を有することである。更に、
2400℃までの熱処理によっても、等方性の結晶構造
を維持しているという特徴も有している。本発明の炭素
繊維の好ましい製造方法の一つに芳香族スルホン酸類又
はそれらの塩がメチレン型結合を介して結合した高分子
化合物を原料とする方法がある。以下、芳香族スルホン
酸類又はそれらの塩がメチレン型結合を介して結合した
高分子化合物(以下、高分子化合物と略称する)を原料
とした本発明の炭素繊維の製造方法について、プロセス
に従って説明する。
【0008】本発明で使用する高分子化合物は、フェノ
−ルスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、アントラセン
スルホン酸、フェナントレンスルホン酸等の各種芳香族
スルホン酸化合物若しくはそれらの塩又はこれらの混合
物をメチレン型結合を介して結合させたものであって、
これらの芳香族スルホン酸類をホルマリン等のアルデヒ
ド化合物と縮合反応させるなど、それ自体公知の方法に
より製造することができる。この高分子化合物の好まし
い例としては、ナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合
物があげられる。これらの高分子化合物は、そのまま、
あるいは中和した形で水溶液として使用する。なお、必
要によりメタノ−ル等のアルコ−ル類などの水と容易に
混合する溶媒を添加し、水とこれらの溶媒を混合した水
系溶媒の溶液として使用してもよい。この水溶液の段階
で濾過することにより、紡糸及び炭化して得られる炭素
繊維の強度及び伸度の低下の原因となる繊維中の欠陥を
生じさせる不溶性の不純物を除去するのが好ましい。高
分子化合物は、アンモニウム塩又はナトリウム塩の形で
使用すると、安定で、しかも水やメタノ−ル等のアルコ
−ル系溶媒に容易に溶解し、濾過による不純物の除去が
容易であり、特に好ましい。この高分子化合物の水系溶
媒溶液に、必要により紡糸助剤として適量のポリビニル
アルコ−ル、ポリエチレングリコ−ル等の水溶性高分子
化合物を添加したのち、50℃における粘度が50〜2
000ポイズとなるように水分量を調整して紡糸原液と
する。
【0009】この紡糸原液を乾式紡糸し、炭素繊維前駆
体フィラメントを得る。紡糸は、通常、紡糸原液を複数
の紡糸孔を有する紡糸口金から押し出すことによって行
う。本発明の高分子化合物から得られる前駆体繊維フィ
ラメントは、熱溶融しないという特性を有しており、、
通常のPAN系やピッチ系の炭素繊維の製造においては
必須の工程である不融化処理工程を経ることなく、その
まま熱処理することにより炭素繊維を得ることができ
る。紡糸口金を出て、適度に乾燥された前駆体繊維フィ
ラメントは集束され、熱処理工程に処し、炭素繊維とす
る。
【0010】本発明の方法においては、この熱処理工程
を2段階に分けて行うことを特徴とする。先ず、適度に
乾燥され、紡糸工程を出た炭素繊維前駆体フィラメント
を、フィラメントの延伸率が0〜100%の範囲になる
よう緊張力を付与して延伸させながら200〜500℃
の温度範囲内で、最高温度380〜500℃となるよう
な条件で熱処理する。ここで延伸率とは、次の式で表さ
れる数値である。 (延伸処理糸長さ−延伸処理前糸長さ)/延伸処理前糸
長さ×100(%) 紡糸工程を出た炭素繊維前駆体フィラメントを、この温
度範囲内で緊張力を付与することなく熱処理するとフィ
ラメントは元の長さの70〜80%に収縮する。この第
1段の熱処理の温度は、高分子化合物中のスルホン酸基
が分解し、SO2の形で脱離する温度範囲であるため、
この温度範囲内で緊張力を付与することなく熱処理する
とフィラメント中に気泡等の欠陥が生じる原因となる。
そのため、この段階では繊維を延伸させることによりこ
れらの気泡の影響を防いでいるのである。熱処理時の最
高温度が380℃未満ではSO2の脱離が不十分であ
り、また十分な延伸を行うことができず、500℃を超
えると収縮が始まるので延伸率をコントロ−ルするのが
難しくなるので好ましくない。
【0011】SO2の脱離反応は吸熱反応であるため、
短時間で熱処理を行ってもフィラメントが融着する虞は
ない。従って、熱処理時間は5分以内、通常は2分以内
で十分である。延伸率が0%未満(収縮した状態)では
延伸による効果が小さく、また、100%を超えるとフ
ィラメントの破断や毛羽の発生が生じるので好ましくな
い。付与する緊張力の大きさと延伸率とは、ほぼ比例関
係にあり、延伸率を0〜100%の範囲とするために
は、フィラメント単位断面積当り28〜226g/mm
2の緊張力を付与すればよい。
【0012】また、延伸処理は一段で行ってもよいが、
この温度域において加熱ロ−ラ−等を用いて多段で行う
と一層効果的である。また、フィラメントに振動を与え
ながら延伸するのも効果がある。次にこの第1段の熱処
理を行った延伸フィラメントを、非酸化雰囲気下にフィ
ラメントの収縮率が0〜20%の範囲に収まるように緊
張力を付与しつつ500〜2400℃の温度範囲内で、
最高温度800〜2400℃となるような条件で第2段
の熱処理を行い炭化する。ここで収縮率とは、次の式で
表される数値である。
【0013】(延伸処理糸長さ−炭化処理糸長さ)/延
伸処理糸長さ×100(%) この熱処理は、繊維の酸化を防止するため、非酸化性雰
囲気下に行うことが必要である。 この第2段の熱処理
も1段で行ってもよいが、この温度域において炭化炉を
多段にし、中間に速度の異なるフィ−ドロ−ラ−を入れ
るなどの方法により、多段の収縮抑制処理を行いながら
炭化するのが効果的である。第1段の熱処理を行った延
伸フィラメントを、この温度範囲内で緊張力を付与する
ことなく熱処理するとフィラメントは延伸されたフィラ
メントの長さの60〜80%に収縮する。この第2段の
熱処理では、主として硫化水素、タ−ル、炭化水素及び
水素が揮散し、炭化が進行する。この段階では、繊維の
炭素化が一部進行しているため、もはや延伸させること
はできないが、緊張力を付与させながら熱処理すること
により収縮率を0〜20%の範囲に抑え、それにより延
伸と同様の効果を生じさせているのである。
【0014】熱処理時の最高温度が800℃未満では炭
化が不十分であり、2400℃を超えると異方性が発現
し、またこれ以上温度を上昇させても弾性率の大幅な増
加は認められないのでエネルギ−のロスとなるので好ま
しくない。熱処理時間は0.5〜5分とする。0.5分
未満では炭化が不十分となりやすく、また、5分の熱処
理で得られる炭素繊維の諸物性は上限値になり、より長
時間の熱処理を行ってもそれ以上の物性の向上は期待で
きない。このように短時間で熱処理を完了させるために
は繊維を開繊した状態で熱処理するのが望ましい。
【0015】収縮率を0%未満に抑えようとすると繊維
の破断を生じやすくなり、また、20%を超えると収縮
抑制の効果が小さくなり、強度が低くなるので好ましく
ない。収縮率を前記範囲内に抑えるためには、フィラメ
ントの単位断面積当り110〜870g/mm2の緊張
力を付与しつつ熱処理を行えばよい。本炭素繊維の製造
方法においては、前記の延伸処理に必要な緊張力に比べ
収縮抑制に必要な緊張力の方が大であるので、延伸熱処
理工程と収縮制御熱処理工程とでは別々に緊張力を制御
する必要がある。延伸熱処理工程と収縮制御熱処理工程
を直結し、1段階で緊張力を付与して熱処理すると、延
伸用に十分な緊張力では収縮抑制に不十分となり、また
収縮抑制に十分な緊張力では延伸時にかかる張力が大き
すぎ糸切れを起しやすくなる。本発明の方法によれば、
フィラメントの径が20μm以下であれば、800℃で
の熱処理により100kg/mm2以上の強度の炭素繊
維が得られ、強度は熱処理温度の上昇に伴って増加し、
最高400kg/mm2程度の炭素繊維を得ることがで
きる。
【0016】本発明の方法によって得られる炭素繊維
は、熱処理温度を2400℃まで上げてもX線回折測定
による002回折線を示さないX線的に非晶質の炭素繊
維である。従って、熱処理温度が上昇しても弾性率が大
きくなる傾向は小さく、2400℃で熱処理して炭化し
たものでも弾性率は10ton/mm2以下である。
【0017】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に具体的に説
明する。
【0018】(実施例1)精製ナフタレン(純度99.
9wt%)10モルに98%硫酸10モルを加え、16
0℃で2時間反応させてスルホン化し、未反応ナフタレ
ン及び反応生成水を減圧下に留去した。次いでホルムア
ルデヒド10モル相当量の35%ホルマリン水溶液を加
え、105℃で5時間反応させ、ナフタレンスルホン酸
のメチレン型縮合物を得た。これをアンモニアで中和し
たのち、未溶解物を濾別し、濾液を濃縮して水分を34
重量%に調整して紡糸原液とした。この紡糸原液を直径
0.1mmの紡糸孔2000を有するステンレス製口金
を用いて紡糸し、2000本のフィラメントからなる原
糸(炭素繊維前駆体マルチフィラメント)を得た。この
原糸を入口温度200℃、出口温度450℃にセットし
た延伸用(第1段熱処理用)電気炉に連続的に送糸し、
空気雰囲気下に、所定の緊張力を付与して延伸を制御し
ながら炉内の滞留時間1分間の延伸熱処理(第1段熱処
理)を行った。第1段熱処理を受けた延伸糸を、続いて
入口温度500℃、出口温度1600℃にセットした収
縮制御用(第2段熱処理用)電気炉に送糸し、非酸化雰
囲気下に、緊張力を付与して収縮率が所定の値になるよ
う制御しながら炉内の滞留時間40秒で通過させて熱処
理(第2段熱処理)して炭化した。延伸率及び収縮率を
変化させ、得られた炭素繊維の物性を表1に示す。表1
の結果から、本発明の炭素繊維は、従来の炭素繊維には
見られない高い伸度を有する繊維であることが分かる。
【0019】
【表1】
【0020】更に表1の実験No.4−3の炭素繊維を
2000〜3000℃で30分間熱処理し、X線回折測
定を行った。図1に各温度で処理した炭素繊維につい
て、炭素002面のX線回折測定結果を示す。図1か
ら、本発明の炭素繊維は2400℃までは002回折線
は認められず、非晶質(等方性)の繊維であることが分
かる。
【0021】(実施例2)実施例1で使用したのと同じ
原糸を入口温度200℃、出口温度500℃にセットし
た延伸用(第1段熱処理用)電気炉に連続的に送糸し、
酸素濃度10%の窒素気流下で、延伸率が100%とな
るように緊張力を付与しながら炉内の滞留時間40秒で
延伸熱処理(第1段熱処理)を行った。第1段熱処理を
受けた延伸糸を、続いて入口温度500℃、出口温度7
00℃にセットした前段の収縮制御用(第2段熱処理
用)電気炉(低温側)に送糸し、非酸化雰囲気下に、収
縮率が0%となるように緊張力を付与しながら通過さ
せ、次いで入口温度700℃、出口温度1600℃にセ
ットした後段の収縮制御用(第2段熱処理用)電気炉
(高温側)に送糸し、非酸化雰囲気下に、収縮率が5%
となるように緊張力を付与しながら通過させるよう制御
しながら炉内の滞留時間40秒で通過させて熱処理(第
2段熱処理)して炭化した。得られた炭素繊維の繊維径
は8.6μm、伸度は4.2%、引張強度は393kg
/mm2、弾性率は9.36ton/mm2であり、繊維
束には毛羽は認められず良好な状態であった。
【0022】(比較例1)実施例1で使用したのと同じ
原糸を入口温度200℃、出口温度400℃にセットし
た電気炉に連続的に送糸し、非酸化性雰囲気下で、緊張
力を付与することなしに炉内の滞留時間1分間で熱処理
(第1段熱処理)した。この熱処理により原糸は27.
5%収縮した。この熱処理糸を入口温度500℃、出口
温度1200℃にセットした電気炉に送糸し、非酸化雰
囲気下に、緊張力を付与することなく炉内の滞留時間4
0秒で通過させて熱処理(第2段熱処理)して炭化し
た。炭化炉内での収縮率は13.5%であり、原糸から
炭素繊維までの収縮率は35.2%であった。得られた
炭素繊維は繊維径15.0μmで、伸度は2.1%、引
張強度は80kg/mm2、弾性率は3.8ton/m
2であり、いずれも低い値であった。
【0023】(比較例2)実施例1で使用したのと同じ
原糸を入口温度200℃、出口温度500℃にセットし
た空気雰囲気の電気炉Aと入口温度500℃、出口温度
2200℃にセットした不活性雰囲気の電気炉Bに連続
的に送糸し、電気炉Aの入口と電気炉Bの出口に設けた
フィ−ドロ−ラ−で原糸から炭素繊維までの全工程延伸
率を表1の実施例1の実験No.1−1と同じ−20%
とし、かつ電気炉A及び電気炉Bでの滞留時間を1分4
0秒間として炭素繊維の製造を試みたが、電気炉内での
糸切れが頻発し、良好な炭素繊維を得ることはできなか
った。
【0024】
【発明の効果】本発明の炭素繊維は、引張強度100〜
400kg/mm2、弾性率3.5〜10.0ton/
mm2と引張強度の割には弾性率が小さく、2.5〜
4.0%という従来の炭素繊維には見られなかった高い
伸度を有し、かつX線回折測定により002回折線を示
さないX線的に非晶質である高伸度炭素繊維であり、各
種複合材料の補強用繊維として極めて優れた特性を有し
ており、工業的に利用価値の大きい繊維である。
【0025】本発明の方法によれば、炭素繊維前駆体フ
ィラメントの熱処理を2段階に分け、それぞれの段階で
適切な緊張力を付与して、延伸又は収縮の抑制を行いな
がら熱処理することにより、欠陥の少ない繊維を得るこ
とができるようになり、前記特性を有する高伸度炭素繊
維の製造が可能となった。また、熱処理条件をこのよう
に管理することにより、熱処理に要する時間も短縮で
き、プロセスの簡略化ができる効果もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の炭素繊維を所定の温度で熱処理した
場合のX線回折線図である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 伸度2.5〜4.0%、引張強度100
    〜400kg/mm2、弾性率3.5〜10.0ton
    /mm2の物性値を有し、かつX線回折測定により00
    2回折線を示さないX線的に非晶質であることを特徴と
    する高伸度炭素繊維。
  2. 【請求項2】 芳香族スルホン酸類又はそれらの塩がメ
    チレン型結合を介して結合した高分子化合物を主成分と
    する原料組成物を紡糸して得られる炭素繊維前駆体フィ
    ラメントを炭化するに際し、この炭素繊維前駆体フィラ
    メントを、フィラメントの延伸率が0〜100%の範囲
    になるよう緊張力を付与して延伸させながら200〜5
    00℃の温度範囲内で、最高温度380〜500℃とな
    るような条件で熱処理し、更にこの延伸フィラメントを
    非酸化雰囲気下にフィラメントの収縮率が0〜20%の
    範囲に収まるように緊張力を付与しつつ500〜240
    0℃の温度範囲内で、最高温度800〜2400℃とな
    るような条件で熱処理することを特徴とする伸度2.5
    〜4.0%、引張強度100〜400kg/mm2、弾
    性率3.5〜10.0ton/mm2の物性値を有し、
    かつX線回折測定により002回折線を示さないX線的
    に非晶質である高伸度炭素繊維の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2015105019A1 (ja) 2014-01-08 2015-07-16 国立大学法人東京大学 Pan系炭素繊維およびその製造方法
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