JPH06195087A - 騒音キャンセル方式 - Google Patents

騒音キャンセル方式

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JPH06195087A
JPH06195087A JP4346223A JP34622392A JPH06195087A JP H06195087 A JPH06195087 A JP H06195087A JP 4346223 A JP4346223 A JP 4346223A JP 34622392 A JP34622392 A JP 34622392A JP H06195087 A JPH06195087 A JP H06195087A
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noise
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Shunichi Imanishi
俊一 今西
Nozomi Saito
望 斉藤
Hisashi Sano
久 佐野
Akira Sudo
晶 須藤
Hideji Sawada
秀司 沢田
Kunio Miyauchi
邦夫 宮内
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Alpine Electronics Inc
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  • Filters That Use Time-Delay Elements (AREA)
  • Cable Transmission Systems, Equalization Of Radio And Reduction Of Echo (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 信号処理用参照信号(フィルタードX信号)
を少ないタップ数で、かつ高精度に生成する。 【構成】 適応フィルタ31bとスピーカ321,322
間に所定の伝搬特性を備えた補助フィルタ341,342
を挿入し、該補助フィルタと各キャンセル音伝搬路との
合成特性 g1・C11,g1・C21,g2・C12,g1・C
22 を全て基本特性Cbと伝搬路特有の伝搬特性
11′,C21′,C12′,C22′に分け、各伝搬路対応
に設けられるフィルタ31c(フィルタードX信号作成
用フィルタ)を、基本特性を付与する共通の第1のフィ
ルタ35と伝搬路特有の伝搬特性を付与する第2のフィ
ルタ3611〜3622で構成し、共通の第1フィルタ部で
参照信号に基本特性を付与し、しかる後、第2フィルタ
部で伝搬路特有の特性を付与して信号処理用参照信号を
生成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は騒音キャンセル方式に係
わり、特にキャンセルしたい騒音に応じた参照信号に伝
搬路特有の特性を付与して信号処理用参照信号を生成す
るフィルタ処理を高速に行える騒音キャンセル方式に関
する。
【0002】
【従来の技術】騒音対策としては、従来より吸音材を用
いる方法(パッシブ制御)が知られている。しかし、吸
音材を用いる方法では、騒音が小さい静音エリアを形成
するのが面倒であると共に、低音を効果的に消せない問
題がある。特に、自動車の車室内の騒音を防止するに
は、自動車の重量が増大すると共に、騒音を効果的に消
せない問題がある。このため、騒音と逆位相の騒音キャ
ンセル音をスピ−カから放射して騒音を低減する方法
(アクティブ制御)が脚光を浴び、工場やオフィスなど
の室内空間の一部に実用化されつつある。又、自動車の
車室内においてもアクティブ制御により騒音を低減する
方式が提案されている。
【0003】図6は従来の騒音キャンセルを実現する装
置の構成図であり、11は騒音源であるエンジン、12
はエンジン回転数Rを検出する回転数センサ、13はエ
ンジン回転数Rに応じた周波数を有する一定振幅の正弦
波信号を参照信号xa1nとして発生する参照信号発生部
である。騒音源がエンジンの場合、エンジン回転により
発生するノイズは周期性を有し(周期性ノイズ)、その
周波数はエンジン回転数に依存する。例えば、4気筒エ
ンジンの場合、車室内に発生する周期性ノイズはエンジ
ン回転数の2次高調波が支配的であり、回転数が600
rpm(10rps)の時、車室内に発生するノイズの
周波数は20Hz、回転数が6000rpm(100r
ps)の時、車室内に発生するノイズの周波数は200
Hzである。参照信号発生部13は、2次高調波の正弦
波データをROMに記憶しておき、そのデータを必要に
応じて読み出して出力することにより参照信号xa1n
生成する。尚、このデータの読み出し/出力タイミング
はエンジン回転数Rに応じてコントロールされ、これに
よりエンジン回転数Rに応じて発生する周期性ノイズの
周波数を有する参照信号が出力されるようになってい
る。
【0004】14は騒音キャンセルコントローラであ
り、参照信号発生部13から発生する参照信号xa1n
入力されると共に、車室内の騒音キャンセル位置(観測
点であり例えば運転者の耳元近傍)における騒音Sn1
キャンセル音Sc1の合成音信号をエラ−信号e1nとして
入力され、該エラ−信号が最小となるように適応信号処
理を行って騒音キャンセル信号ya1nを出力する。騒音
キャンセルコントローラ14は、適応信号処理部14a
と、デジタルフィルタ構成の適応フィルタ14bと、参
照信号xa1nにスピーカから騒音キャンセル点までのキ
ャンセル音伝搬系の伝搬特性(伝達関数)を畳み込んで
信号処理用参照信号を作成するフィルタ14cを有して
いる。15は適応フィルタ出力(騒音キャンセル信号y
a1n)をアナログの騒音キャンセル信号に変換するDA
コンバータ、16は騒音キャンセル信号を増幅するパワ
−アンプ、17は騒音キャンセル音Sc1を放射するキャ
ンセルスピ−カ、18は騒音キャンセル点に配置され、
騒音Sn1とキャンセル音Sc1の合成音を検出し、合成音
信号をエラ−信号e1nとして出力するエラ−マイク、1
9はエラー信号e1nを増幅するアンプ、20は周期性ノ
イズの帯域外の騒音信号を除去するローパスフィルタ、
20′はローパスフィルタ出力をデジタルに変換するA
Dコンバータである。
【0005】適応信号処理部14aは騒音キャンセル点
におけるエラー信号e1nとフィルタ14cを介して入力
される信号処理用参照信号R11を入力され、これら信号
を用いて騒音キャンセル点における騒音をキャンセルす
るように適応信号処理を行って適応フィルタ14bの係
数を決定する。例えば適応信号処理部14aは周知のL
MS(Least Mean Square)適応アルゴリズムに従って、
エラ−マイク18から入力されたエラ−信号e1nが最小
となるように適応フィルタ14bの係数を決定する。適
応フィルタ14bは適応信号処理部14aにより決定さ
れた係数に従って参照信号xa1nにデジタルフィルタ処
理を施して騒音キャンセル信号ya1nを出力する。尚、
参照信号xa1nは、消去したい騒音Sn1と相関の高い信
号でなくてはならず、参照信号と相関のない音は消去さ
れない。エンジン11が回転すると、その回転数Rは回
転数センサ12により検出され、参照信号発生部13は
エンジン回転数Rに応じた周波数の参照信号xa1n(図
7(a)参照)を発生し、騒音キャンセルコントローラ1
4に入力する。この時、エンジン11から発生した周期
性を有するエンジン音(周期性ノイズ)は、所定の伝達
関数を有する騒音伝搬系(一次音伝搬系)を有する空中を
伝播して騒音キャンセル点に至る。従って、該騒音キャ
ンセル点における騒音(エンジン音)Sn1はレベルが若
干弱まり、かつ若干遅延して図7(b)に示すようにな
る。
【0006】最初、騒音キャンセルコントローラ14は
例えば参照信号xa1nと位相が逆の騒音キャンセル信号
a1nを出力し、キャンセルスピ−カ16より図7(c)に
示すキャンセル音Sc1を出力する。しかし、騒音Sn1
レベルと位相がずれているため、キャンセル音Sc1によ
り騒音はキャンセルされず、エラ−信号e1nが発生す
る。騒音キャンセルコントローラ14は該エラ−信号e
1nが最小となるように適応信号処理を行って適応フィル
タ14bの係数を決定し、理想的な場合、最終的に図7
(d)に示すようにキャンセル音Sc1の位相を騒音Sn1
位相と逆相にし、かつレベルを一致させ騒音をキャンセ
ルする。
【0007】以上は説明を簡単にするために、騒音源を
1個、キャンセル音発生源(スピーカ)を1個、騒音キ
ャンセル点(観測点)を1箇所とした例である。しか
し、実際には騒音源は複数存在し、又、騒音をキャンセ
ルしたい地点(観測点)も複数存在し、このため1つの
スピーカでは各観測点の騒音をキャンセルできず、スピ
ーカも複数存在する。図8は騒音源がK個、スピーカが
M個、観測点がL箇所の場合における従来の騒音キャン
セル装置の構成図である。21は各観測点における騒音
をキャンセルするように動作するDSP(デジタル・シ
グナル・プロセッサ)構成の騒音キャンセルコントロー
ラ、22は各騒音源(図示せず)から各観測点まで騒音
が伝搬する系を表現した一次音仮想伝搬系(騒音伝搬
系)、23はスピーカの特性を含め、各スピーカから各
観測点までのキャンセル音が伝搬する系を表現する二次
音伝搬系(キャンセル音伝搬系)、24は各観測点にお
けるマイクの機能を表現する信号合成部で、加算部24
1〜241′は第1観測点におけるマイクに相当し、加算
部242〜242′は第2観測点におけるマイクに相当
し、・・・加算部24L〜24L′は第L観測点における
マイクに相当する。dd1n〜ddLnは各観測点におけるキ
ャンセル対象でない外部雑音である。尚、DAコンバ−
タ、ADコンバータ等は省略している。
【0008】騒音キャンセルコントローラ21はDSP
で構成され、多入力−多出力適応フィルタ(以後単に適
応フィルタと言う)21aと、フィルタードX信号(信
号処理用参照信号)作成用のフィルタ21bと、適応信
号処理部21cとに分けられる。適応フィルタ21aは
参照信号発生部(図示せず)から入力された参照信号x
a1n〜xaKnに所定のフィルタリング処理を施して騒音キ
ャンセル信号ya1n〜yaMnを発生し、該騒音キャンセル
信号を各スピーカに入力する。フィルタードX信号作成
用フィルタ21bは参照信号xa1n〜xaKnに二次音伝搬
系23の伝達関数マトリックスの各要素(伝搬要素)を
畳み込んで信号処理用参照信号r111n〜rLMKnを出力す
る。適応信号処理部21cは各観測点におけるエラー信
号e1n〜eLnとフィルタ21bから出力されるフィルタ
ードX信号r111n〜rLMKnを入力され、これら信号を用
いて各観測点における騒音をキャンセルするように適応
信号処理を行って適応フィルタ21aの係数を決定す
る。
【0009】図9は一次音仮想伝搬系22の説明図であ
り、図9(a)に示すようにK個の各騒音源NG1〜NGK
から発生する騒音は所定の周波数・位相特性を有する一
次音伝搬系22を伝搬して各観測点に設けたマイク(M
IC1〜MICL)に到達する。従って、第i番目の騒音
源NGiからの騒音が第j番目のマイクMICjに到る伝
搬系の伝達特性をHjiとすると、一次音仮想伝搬系22
は図9(b)に示すように表現され、その伝達関数マトリ
ックス(H)は以下のようになる。
【0010】
【数1】
【0011】伝達関数マトリックス(H)の各要素Hij
図10に示すFIR型デジタルフィルタによりモデル化
される。すなわち、入力信号を順次1サンプリング時間
遅延する遅延要素DLと、各遅延要素出力に係数h0
1,h2,・・・を乗算する乗算部MLと、乗算部出力
を加算する加算部ADより成るデジタルフィルタでモデ
ル化される。図11は二次音伝搬系23の説明図であ
り、図11(a)に示すように各スピーカSP1〜SPM
ら発生する騒音キャンセル音は所定の周波数・位相特性
を有する二次音伝搬系23を伝搬して各観測点に設けた
マイクMIC1〜MICLに到達する。従って、第i番目
の騒音キャンセル信号yainに基づくキャンセル音が第
j番目のマイクMICjに到る二次音伝搬系の伝達特性
をCjiとすると、二次音伝搬系23は図11(b)に示す
ようにモデル化され、その伝達関数マトリックス(C)は
以下のようになる。
【0012】
【数2】
【0013】伝達関数マトリックス(C)の各要素は一次
音仮想伝搬系22の場合と同様に、図10に示すFIR
型デジタルフィルタによりモデル化される。すなわち、
入力信号を順次1サンプリング時間遅延する遅延要素D
Lと、各遅延要素出力に係数c0,c1,c2,・・・を
乗算する乗算部MLと、各乗算部出力を加算する加算部
ADより成るデジタルフィルタでモデル化される。図1
2は二次音伝搬系23の伝達関数マトリックス(C)の各
要素Cijを用いて作成したフィルタードX信号作成用フ
ィルタ21bの構成図である。適応信号処理部21cは
参照信号xa1n〜xaKnと、各観測点における騒音とキャ
ンセル音との合成信号(エラー信号)e1n〜eLnとに基
づいて適応信号処理を実行して適応フィルタの係数を更
新し、適応フィルタ21aは参照信号xa1n〜xaKnを入
力されて騒音キャンセル信号ya1n〜yaMnを発生してス
ピーカに入力し、各観測点の騒音をキャンセルする。
【0014】ところで、適応フィルタ21aから出力さ
れる騒音キャンセル信号ya1n〜ya Mnは観測点にそのま
ま到達するのでなく、二次音伝搬系23の周波数・位相
特性の影響を受けて到達する。このため、適応信号処理
部21cは、参照信号xa1n〜xaKnをそのまま使用せ
ず、参照信号に二次音伝搬系23の特性を付加した信号
を用いるフィルタードX LMS(MEFX LMS)ア
ルゴリズムを採用し、より高度な騒音キャンセル制御を
行っている。すなわち、フィルタードX LMSアルゴ
リズムでは、参照信号xa1n〜xaKnをフィルタ21bに
よりフィルタリングした信号(フィルタードX信号)と
各観測点におけるエラー信号とを用いて適応フィルタ2
1aの係数更新を行う。
【0015】図12において、Cijは二次音伝搬系23
における伝達関数マトリックス(C)の各要素Cij(図
11参照)を実現するFIR型デジタルフィルタであ
る。フィルタ21bは各参照信号xa1n〜xaKnに全ての
伝搬要素の特性を畳み込んで(全ての伝搬要素に対応す
るフィルタを通過させて)フィルタードX信号r111n
LMKnを出力するようになっている。すなわち、参照信
号xa1nに第1番目のスピーカから全観測点までの伝搬
要素C11〜CL1を作用させてフィルタードX信号r111n
〜rL11nを出力し、参照信号xa1nに第2番目のスピー
カから全観測点までの伝搬要素C12〜CL2を作用させて
フィルタードX信号r121n〜rL21nを出力し、・・・参
照信号xa1nに第M番目のスピーカから全観測点までの
伝搬要素C1 M〜CLMを作用させてフィルタードX信号r
1M1n〜rLM1nを出力し、以下同様に、参照信号xa2n
aKnに全ての伝搬要素を作用させる。尚、 R11=(r111n,r211n,・・・rL11n) R21=(r121n,r221n,・・・rL21n) ・・・ RM1=(r1M1n,r2M1n,・・・rLM1n) ・・・ RMK=(r1MKn,r2MKn,・・・rLMKn) と表現する。
【0016】図13は多入力−多出力の適応フィルタ2
1aの構成図であり、一次音仮想伝搬系22や二次音伝
搬系23と同様の構造を有している。A11n〜AMKnはF
IR型デジタルフィルタで構成され、例えば、入力信号
を順次1サンプリング時間遅延する遅延要素DL1、D
L2・・と、各遅延要素出力に係数a0,a1,a2・・
を乗算する乗算部ML1,ML2,ML3・・と、各乗
算部出力を加算する加算部AD1,AD2・・で実現さ
れる。各参照信号xa1n〜xaKnをデジタルフィルタA
11n〜A1Knに入力して加算することにより第1番目のス
ピーカに入力する騒音キャンセル信号ya1nが得られ、
各参照信号xa1n〜xaKnをデジタルフィルタA21n〜A
2Knに入力して加算することにより第2番目のスピーカ
に入力する騒音キャンセル信号ya2nが得られ、・・・
・各参照信号xa1n〜xaKnをデジタルフィルタAM1n
MKnに入力して加算することにより第M番目のスピー
カに入力する騒音キャンセル信号yaMnが得られる。
【0017】適応フィルタ21aにおける各FIR型デ
ジタルフィルタA11n〜AMKnを3個の係数(2段遅延)
で構成する時、適応信号処理部21cは各FIR型デジ
タルフィルタA11n〜AMKnの3つの係数毎に適応信号処
理を行って係数値を決定する。すなわち、1つのFIR
型デジタルフィルタAijの係数a0,a1,a2について
以下に示す係数更新式の演算を行って係数a0,a1,a
2を決定する。
【0018】
【数3】
【0019】(1)式において、(n)は現サンプリング時刻
の値、(n-1)は1サンプリング時刻前の値、(n-2)は2サ
ンプリング時刻前の値、(n+1)は現時刻から次サンプリ
ング時刻までの値を意味している。従って、Rij(n-2)は
2サンプリング時刻前の参照信号に応じたフィルタ21
bの出力を意味し、Rij(n-1)は1サンプリング時刻前の
参照信号に応じたフィルタ出力であり、Rij(n)は現時刻
の参照信号に応じたフィルタ出力である。又、μは適応
フィルタの係数を更新するステップを決める1以下の定
数(ステップサイズパラメータ)であり、騒音キャンセ
ルシステムに応じて適当な値に設定される。尚、ステッ
プサイズパラメータμの値は大きい程適応フィルタの係
数が最適値に近づく速度が早くなり追従性が良くなる
が、近づいてからオーバシュートが発生して安定性が低
下する。又、ステップサイズパラメータμの値は小さい
程最適係数値に近づく速度が遅くなり追従性が悪くなる
が、最適値に近づいてからのオーバシュートが小さく安
定性が良好となる。enはL個の各観測点における騒音
とキャンセル音の合成音信号であり、Rij,enはそれ
ぞれ以下のように表現される。 Rij=(r1ijn,r2ijn,・・・rLijn) Rij(n) =(C1i,C2i,C3i,・・・,CLi)xajn
(n) Rij(n-1)=(C1i,C2i,C3i,・・・,CLi)xajn
(n-1) Rij(n-2)=(C1i,C2i,C3i,・・・,CLi)xajn
(n-2)
【0020】
【数4】
【0021】かかる騒音キャンセル装置によれば、適応
信号処理部21cはフィルタ21bの出力であるフィル
タードX信号r111n〜rLMKnと、各観測点における騒音
とキャンセル音との合成音信号(エラー信号)e1n〜e
Lnとに基づいて適応信号処理を実行して適応フィルタ2
1aを構成する各FIR型デジタルフィルタA11n〜A
MKnの係数を決定し、適応フィルタ21aは参照信号x
a1n〜xaKnを入力されて騒音キャンセル信号ya1n〜y
aMnを発生してスピーカSP1〜SPM(図11)に入力
し、各スピーカはキャンセル音を発生して各観測点の騒
音をキャンセルするように作用する。
【0022】図14は騒音源数K=1、スピーカ数M=
2、観測点数(マイク数)L=2の場合の具体的な騒音
キャンセル装置の構成図であり、例えば、自動車の前の
2つの座席(運転席と助手席)におけるエンジン音をキ
ャンセルするために用いられるものである。21aは2
つのFIR型デジタルフィルタA11n,A21nで構成され
た適応フィルタ、21bは二次音伝搬系の伝達関数マト
リックス(C)の各伝搬要素C11,C21,C12,C22
デジタルフィルタで構成したフィルタードX信号作成用
フィルタ、21c-1〜21c-2は適応信号処理部(MEFX
LMSアルゴリズム)、SP 1,SP2は各座席の下方に
設けたスピーカ、MC1,MC2は各観測点(搭乗者の耳
元近傍)に設置されたマイクである。各適応信号処理
部、適応フィルタ、フィルタードX信号作成用フィルタ
の演算は1つのDSP(デジタル・シグナル・プロセッ
サ)により実行される。
【0023】図15は騒音源数K=1、スピーカ数M=
4、観測点数(マイク数)L=4の場合の具体的な従来
の騒音キャンセル装置の構成図であり、自動車の前後左
右4座席におけるエンジン音をキャンセルするものであ
る。21aは4つのFIR型デジタルフィルタA11n
21n,A12n,A22nで構成された適応フィルタ、21
bは二次音伝搬系の伝達関数マトリックス(C)の各伝
搬要素C11〜C41,C12〜C42,C13〜C43,C14〜C
44をデジタルフィルタで構成したフィルタードX信号作
成用フィルタ、21c-1〜21c-4は適応信号処理部(MEF
X LMSアルゴリズム)、SP1,SP2,SP3,S
4はスピーカ、MC1,MC2,MC3,MC4は観測点
に設置されたマイクである。各適応信号処理部、適応フ
ィルタ、フィルタードX信号作成用フィルタの演算は1
つのDSP(デジタル・シグナル・プロセッサ)により
実行される。
【0024】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、騒音キ
ャンセルコントローラはDSPで構成され、DSP処理
により、信号処理用参照信号(フィルタードX信号)の
生成処理、(1)式による適応フィルタの係数決定処理
(適応信号処理)、適応フィルタによる騒音キャンセル
信号発生処理を行う。これら処理を行うための計算量は
非常に多く、しかも、所定のサンプリング周期毎にすべ
て実行する必要がある。ところで、信号処理用参照信号
(フィルタードX信号)を生成するためには、適応フィ
ルタ出力から全マイクまでのキャンセル音伝搬路のそれ
ぞれに対応してFIR型デジタルフィルタを設け、各F
IR型デジタルフィルタで参照信号に各伝搬路特有の特
性を付与して(畳み込んで)信号処理用参照信号を生成
している。しかし、伝搬路特性として周波数特性と遅延
特性の両方を考慮しなければならずFIR型デジタルフ
ィルタによる従来方法では、精度良く伝搬路特性Cij
畳み込むためには100タップ(図10における遅延要
素DLの数が100個)程度必要になり、計算量が非常
に多くなる。
【0025】このため、従来では高速処理可能な構成に
したり、あるいは、信号処理用参照信号生成用のフィル
タのタップ数や適応フィルタのタップ数を減らして対応
している。しかし、前者の方法ではコスト高となると共
に騒音キャンセルコントローラの構成が複雑になり、
又、後者の方法では高精度の信号処理用参照信号や騒音
キャンセル信号を発生できない問題があった。以上か
ら、本発明の目的は、信号処理用参照信号(フィルター
ドX信号)を少ないタップ数で、かつ高精度に生成でき
る騒音キャンセル方式を提供することである。
【0026】
【課題を解決するための手段】上記課題は本発明によれ
ば、適応フィルタとスピーカ間に挿入された補助フィル
タと各キャンセル音伝搬路との合成特性を全て基本特性
と伝搬路特有の伝搬特性に分け、基本特性を付与する共
通の第1のフィルタと伝搬路特有の伝搬特性を付与する
第2のフィルタにより、フィルタードX信号作成用フィ
ルタを構成することにより達成される。
【0027】
【作用】適応フィルタとスピーカ間に所定の伝搬特性を
備えた補助フィルタを挿入し、該補助フィルタと各キャ
ンセル音伝搬路との合成特性を全て基本特性と伝搬路特
有の伝搬特性に分け、各伝搬路対応に設けられるフィル
タ(フィルタードX信号作成用フィルタ)を、基本特性
を付与する共通の第1のフィルタと伝搬路特有の伝搬特
性を付与する第2のフィルタで構成し、共通の第1フィ
ルタ部で参照信号に基本特性を付与し、しかる後、第2
フィルタ部で伝搬路特有の特性を付与して信号処理用参
照信号を生成する。この時、第2フィルタ部のタップ数
を少なくできる。共通の第1フィルタの存在によって第
2フィルタ部の信号処理演算が少なくなり、結果的に信
号処理用参照信号を少ない演算量で生成できる。
【0028】
【実施例】図1は騒音源数が1、スピーカ数が2、エラ
ーマイク数が2の場合における本発明の実施例構成図で
ある。31a-1,31a-2は適応信号処理を行う適応信号処理
部、31bは適応フィルタ、31cはフィルタードX信
号作成用のフィルタ、321,322は騒音キャンセル音
を出力するスピーカ、331,332は騒音キャンセル点
における騒音とキャンセル音の合成音をエラー信号とし
て検出・出力するエラーマイク、341,342は所定の
伝搬特性を備え、それぞれ適応フィルタ31bとスピー
カ321,322間に設けられた補助フィルタである。適
応信号処理部31a-1,31a-2と適応フィルタ31bとフィ
ルタードX信号作成用フィルタ31cとで騒音キャンセ
ルコントローラが構成され、これらは各部の処理は1つ
のDSPにより実行される。
【0029】補助フィルタ341,342の特性は適応フ
ィルタ出力端から各観測点に到る全キャンセル音伝搬路
の伝搬特性が、共通の基本特性と伝搬路特有の伝搬
特性との合成特性となるように決定される。補助フィル
タ341,342の特性をg1,g2とすると、適応フィル
タ31bの出力端から各観測点に到る4つのキャンセル
音伝搬路の伝搬特性はそれぞれ g1・C11 1・C21 2・C12 2・C22 となる。従って、基本特性をCb、各伝搬路固有の特性
をC11′,C21′,C12′,C22′とすると、 g1・C11=Cb・C11′ (2) g1・C21=Cb・C21′ (3) g2・C12=Cb・C12′ (4) g2・C22=Cb・C22′ (5) となるように補助フィルタ341,342の特性g1,g2
を決定する。
【0030】フィルタードX信号作成用フィルタ31c
において、35は基本特性Cbを付与する第1フィルタ
部、3611〜3622はキャンセル音伝搬路特有の伝搬特
性C 11′,C21′,C12′,C22′を付与する第2のフ
ィルタ部である。第1フィルタ部35と第2フィルタ部
3611の直列結合により適応フィルタ31bの出力端か
ら第1のエラーマイク331までの伝搬路の伝搬特性g1
・C11が模擬される。又、第1フィルタ部35と第2フ
ィルタ部3621の直列結合により適応フィルタ31bの
出力端から第2のエラーマイク332までの伝搬路の伝
搬特性g1・C21が模擬される。更に、第1フィルタ部
35と第2フィルタ部361 2の直列結合により適応フィ
ルタ31bの出力端から第1のエラーマイク331まで
の伝搬路の伝搬特性g2・C12が模擬される。同様に、
第1フィルタ部35と第2フィルタ部3622の直列結合
により適応フィルタ31bの出力端から第2のエラーマ
イク332までの伝搬路の伝搬特性g2・C22が模擬され
る。
【0031】すなわち、(2)〜(5)式が近似的に成り立つ
ように、補助フィルタ341,342の特性g1,g2、第
1フィルタ部35の基本特性Cb及び第2フィルタ部3
11〜3622の特性C11′,C21′,C12′,C22′を
決定し、第1、フィルタ部と第2フィルタ部を直列に配
置する。適応フィルタ31bの出力から各観測点に到る
4つのキャンセル音伝搬路の伝搬特性 g1・C11,g1
・C21,g2・C12,g2・C22は図2(a),(b),(c)に示
すように、所定周波数においてノッチNT1,NT2や
オーバシュートOVS等を有する特性になる。かかる特
性は、図3に示すように、基本の周波数特性Cbとノッ
チ特性Cnt,Cnt′あるいはオーバシュート特性Covs
等に分解することができる。従って、各キャンセル音伝
搬路の伝搬特性g1・C11,g1・C21,g2・C12,g2
・C22は基本特性Cbと伝搬路特有の特性C11′,
21′,C12′,C22′に分解し、これらを直列に配置
する。図4(a)は伝搬路特性gk・Cijを基本特性Cbと
伝搬路特有の特性Cij′に分解する説明図であり、特性
ij′には伝搬路における信号遅延要素が含まれてい
る。
【0032】以上のように、伝搬路特性gk・Cijを基
本特性Cbと伝搬路特有の特性Cij′に分解すると、特
性Cij′を実現するフィルタのタップ数を伝搬路特性g
k・Ci jを実現する場合に比べて相当数少なくでき、演
算量を減少できる。又、これら基本特性Cbと伝搬路特
有の特性Cij′はFIR型デジタルフィルタにより構成
することもできるが、IIR型デジタルフィルタにより
構成することにより、より少ないタップ数で実現でき、
ますます演算量を減少できる。
【0033】実際には、伝搬路特有の特性Cij′は周波
数特性と遅延特性を直列に配置して構成する。すなわ
ち、伝搬路における位相特性(f−θ特性)は図5に示
すように略直線的な特性となっており、遅延時間は周波
数に関係なく略一定である。これは、ある周波数fにお
ける遅延時間tはその時の位相遅れをθとすると次式で t=θ/f で表現され、θ=kf(kは定数)の関係があるから遅
延時間が周波数に関係なく一定になるからである。従っ
て、各キャンセル音伝搬路の伝搬特性gk・Cijは図4
(b)に示すように基本特性Cbと伝搬路特有の周波数特性
ij″と伝搬路特有の遅延時間特性Cd′に分解でき、
これら各特性を直列に配置することにより伝搬路特性C
ijをモデル化できる。そして、基本特性Cbと伝搬路特
有の特性Ci j″をIIR型デジタルフィルタにより構成
することにより、FIR型デジタルフィルタで構成する
場合に比べてより少ないタップ数で実現でき、演算量を
減少できる。尚、特性Cij″のみIIR型デジタルフィ
ルタで構成することもできる。
【0034】全体の動作 エンジンが回転すると、その回転数Rは回転数センサに
より検出される。図示しない参照信号発生部はエンジン
回転数Rに応じた周波数の参照信号xa1nを発生し、フ
ィルタードX信号作成用フィルタ31cと適応フィルタ
31bに入力する。フィルタードX信号作成用フィルタ
31cの第1フィルタ部35は参照信号xa1nに基本特
性Cbを付与して第2フィルタ部3611〜3622に入力
し、各第2フィルタ部3611〜3622は基本特性を付与
された信号に各伝搬路特有の特性C 11′,C21′,
12′,C22′を付与して信号処理用参照信号r111n
211n,r121n,r221nを生成して適応信号処理部31a-
1,31a-2に入力する。
【0035】以上と並行して、騒音キャンセル点におけ
る騒音とキャンセル音の合成音(エラー信号)e1n,e
2nがエラーマイク331,332により検出され、図示し
ないアンプ、ローパスフィルタ、ADコンバータを介し
て適応信号処理部31a-1,31a-2に入力される。適応信号
処理部31a-1,31a-2はそれぞれエラー信号e1n,e2n
信号処理用参照信号r111n,r211n,r121n,r221n
用いて(1)式に従ってLMS適応信号処理を行い、適応
フィルタ31bのデジタルフィルタA11n,A21nの係数
を決定する。適応フィルタ31bは適応信号処理部31a-
1,31a-2により決定された係数に従って参照信号xa1n
デジタルフィルタ処理を施して騒音キャンセル信号ya
1n,ya2nを発生し、補助フィルタ341,342を介し
てスピーカ321,322に入力する。これにより、スピ
ーカ321,322から騒音キャンセル音が出力され、二
次音伝搬系を介して騒音キャンセル点に到り、騒音をキ
ャンセルするように作用する。以後、上記動作が繰り返
されて騒音は速やかにキャンセルされる。以上、本発明
を実施例により説明したが、本発明は請求の範囲に記載
した本発明の主旨に従い種々の変形が可能であり、本発
明はこれらを排除するものではない。
【0036】
【発明の効果】以上本発明によれば、適応フィルタとス
ピーカ間に所定の伝搬特性を備えた補助フィルタを挿入
し、該補助フィルタと各キャンセル音伝搬路との合成特
性を基本特性と伝搬路特有の伝搬特性に分け、フィルタ
ードX信号作成用フィルタを基本特性を付与する共通の
第1のフィルタと伝搬路特有の伝搬特性を付与する第2
のフィルタで構成し、共通の第1フィルタ部で参照信号
に基本特性を付与し、しかる後、第2フィルタ部で伝搬
路特有の特性を付与して信号処理用参照信号を生成する
ようにしたから、第2のフィルタ部のタップ数を相当数
少なくでき、従って高精度の信号処理用参照信号を高速
に生成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例構成図である。
【図2】各伝搬路特性図である。
【図3】基本特性と伝搬路特有の特性説明図である。
【図4】伝搬路特性の実現法の説明図である。
【図5】伝搬路の位相特性説明図である。
【図6】従来の騒音キャンセル装置の構成図である。
【図7】騒音キャンセル動作説明用波形図である。
【図8】騒音源、スピーカ、観測点が複数存在する場合
の従来の騒音キャンセル装置の構成図である。
【図9】一次音仮想伝搬系の説明図である。
【図10】伝達関数マトリックスの各要素を実現するデ
ジタルフィルタの構成図である。
【図11】二次音伝搬系の説明図である。
【図12】フィルタードX信号作成用フィルタの構成図
である。
【図13】適応フィルタの構成図である。
【図14】騒音源が1個、スピーカ、マイクが2個存在
する場合の騒音キャンセル装置の構成図である。
【図15】騒音源が1個、、スピーカ、マイクが4個存
在する場合の騒音キャンセル装置の構成図である。
【符号の説明】
31a-1,31a-2・・適応信号処理部 31b・・適応フィルタ 31c・・フィルタードX信号作成用フィルタ 321,322・・スピーカ 331,332・・エラーマイク 341,342・・補助フィルタ 35・・第1のフィルタ部 3611〜3622・・第2のフィルタ部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐野 久 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会 社本田技術研究所内 (72)発明者 須藤 晶 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会 社本田技術研究所内 (72)発明者 沢田 秀司 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会 社本田技術研究所内 (72)発明者 宮内 邦夫 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会 社本田技術研究所内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 騒音キャンセル点における騒音をキャン
    セルするキャンセル音を出力するスピーカ、 騒音キャンセル点における騒音とキャンセル音の合成音
    を検出するマイク、 騒音源から発生する騒音に応じた参照信号を発生する参
    照信号発生部、 各スピーカから全マイクまでのキャンセル音伝搬路のそ
    れぞれに対応して設けられ、参照信号に伝搬路特有の特
    性を付与して信号処理用の参照信号を生成するフィルタ
    と、参照信号発生部から出力される参照信号に所定のフ
    ィルタリング処理を施して騒音キャンセル信号を発生し
    て各スピーカに入力する適応フィルタと、騒音キャンセ
    ル点における合成音信号と信号処理用参照信号を用いて
    騒音キャンセル点における騒音をキャンセルするように
    適応フィルタの係数を決定する適応信号処理部とを有す
    る騒音キャンセルコントローラ、を備えた騒音キャンセ
    ルシステムにおける騒音キャンセル方式において、 適応フィルタとスピーカ間に所定の伝搬特性を備えた補
    助フィルタを挿入し、 該補助フィルタと前記各伝搬路との合成特性を基本特性
    と伝搬路特有の伝搬特性に分け、 前記各伝搬路対応に設けられるフィルタを、基本特性を
    付与する共通の第1のフィルタと前記伝搬路特有の伝搬
    特性を付与する第2のフィルタで実現し、 共通の第1フィルタ部で参照信号に基本特性を付与し、
    しかる後、第2フィルタ部で伝搬路特有の特性を付与し
    て信号処理用参照信号を生成することを特徴とする騒音
    キャンセル方式。
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