JPH06200322A - 球状黒鉛鋳鉄部材の製造方法 - Google Patents
球状黒鉛鋳鉄部材の製造方法Info
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- JPH06200322A JPH06200322A JP4360110A JP36011092A JPH06200322A JP H06200322 A JPH06200322 A JP H06200322A JP 4360110 A JP4360110 A JP 4360110A JP 36011092 A JP36011092 A JP 36011092A JP H06200322 A JPH06200322 A JP H06200322A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 球状黒鉛鋳鉄素材の靭性を比較的簡単な熱処
理により向上させ、もって高強度で低コストな自動車の
足回り部品用の球状黒鉛鋳鉄部材を製造するに当たり、
上記熱処理時に生じる酸化膜の除去に伴う表面部の加工
硬化を、酸化膜や大きな熱歪み変形を生じさせることな
く除去できるようにし、もって該球状黒鉛鋳鉄部材の強
靭性が十分に発現されるようにする。 【構成】 第1工程の熱処理により鋳放し品の球状黒鉛
鋳鉄素材の内部にフェライト及びパーライトの混在組織
を生成し、かつ表面部に所定深さのフェライト脱炭層の
形成し、その表面に上記熱処理に伴って生じた酸化膜を
第2工程のショットブラスト処理で除去した後、上記シ
ョットブラスト処理にて生じた表面部の加工硬化を第3
工程の低温での焼なましにより除去する。
理により向上させ、もって高強度で低コストな自動車の
足回り部品用の球状黒鉛鋳鉄部材を製造するに当たり、
上記熱処理時に生じる酸化膜の除去に伴う表面部の加工
硬化を、酸化膜や大きな熱歪み変形を生じさせることな
く除去できるようにし、もって該球状黒鉛鋳鉄部材の強
靭性が十分に発現されるようにする。 【構成】 第1工程の熱処理により鋳放し品の球状黒鉛
鋳鉄素材の内部にフェライト及びパーライトの混在組織
を生成し、かつ表面部に所定深さのフェライト脱炭層の
形成し、その表面に上記熱処理に伴って生じた酸化膜を
第2工程のショットブラスト処理で除去した後、上記シ
ョットブラスト処理にて生じた表面部の加工硬化を第3
工程の低温での焼なましにより除去する。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、球状黒鉛鋳鉄部材の製
造方法に関し、特に低コストで靭性を向上させる対策に
関する。
造方法に関し、特に低コストで靭性を向上させる対策に
関する。
【0002】
【従来の技術】例えば、自動車においては、ステアリン
グナックルやスピンドルサポート等の足回り部品とし
て、鋳鉄の鋳造品やスチール鍛造品等が一般に用いられ
ている。しかし、前者は強度に難点があり、また後者に
ついては高強度ではあるもののコストが高いという難点
がある。したがって、比較的高強度であり、かつ低コス
トで得られる足回り部品用の部材に対するニーズには大
きなものがある。
グナックルやスピンドルサポート等の足回り部品とし
て、鋳鉄の鋳造品やスチール鍛造品等が一般に用いられ
ている。しかし、前者は強度に難点があり、また後者に
ついては高強度ではあるもののコストが高いという難点
がある。したがって、比較的高強度であり、かつ低コス
トで得られる足回り部品用の部材に対するニーズには大
きなものがある。
【0003】一方、鋳鉄のうちでも強靭な球状黒鉛鋳鉄
に着目し、その特性を改善するようにしたものとして、
例えば特開昭60−187621号公報に開示されてい
るものが知られている。これは、球状黒鉛鋳鉄素材をオ
ーステナイト処理した後にオーステンパ処理することに
より、残留オーステナイト組織の一部若しくは全部をマ
ルテンサイト組織とするもので、これにより、靭性及び
耐摩耗性の向上とともに被削性の改善が図れるようにな
されている。が、難点としては、オーステンパ処理のよ
うな高温液体処理を伴うため、やはりコストが高くつ
く。また、機械加工仕上げの後に、高温での熱処理(3
50〜600℃)を行うことから、大きな熱歪み変形が
生じ易い。
に着目し、その特性を改善するようにしたものとして、
例えば特開昭60−187621号公報に開示されてい
るものが知られている。これは、球状黒鉛鋳鉄素材をオ
ーステナイト処理した後にオーステンパ処理することに
より、残留オーステナイト組織の一部若しくは全部をマ
ルテンサイト組織とするもので、これにより、靭性及び
耐摩耗性の向上とともに被削性の改善が図れるようにな
されている。が、難点としては、オーステンパ処理のよ
うな高温液体処理を伴うため、やはりコストが高くつ
く。また、機械加工仕上げの後に、高温での熱処理(3
50〜600℃)を行うことから、大きな熱歪み変形が
生じ易い。
【0004】そこで、本発明者等は、軟らかいフェライ
トと比較的硬いパーライトとの混在組織を有する球状黒
鉛鋳鉄素材に着目し、その表面部にフェライト層を形成
することにより高強度で低コストな球状黒鉛鋳鉄部材が
得られる方法を研究した。これは、表面が軟らかいとク
ラックが入り難くなり、したがって、曲がった際にも折
れ難くなるという現象を利用するものである。
トと比較的硬いパーライトとの混在組織を有する球状黒
鉛鋳鉄素材に着目し、その表面部にフェライト層を形成
することにより高強度で低コストな球状黒鉛鋳鉄部材が
得られる方法を研究した。これは、表面が軟らかいとク
ラックが入り難くなり、したがって、曲がった際にも折
れ難くなるという現象を利用するものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、電気熱処理
炉やガス熱処理炉等を用い、球状黒鉛鋳鉄素材の表面に
熱処理を施して表面部にフェライト層を形成する際、上
記表面には同時に酸化膜が生じる。一般に、このような
酸化膜を除去するにはショットブラスト処理が行われ
る。
炉やガス熱処理炉等を用い、球状黒鉛鋳鉄素材の表面に
熱処理を施して表面部にフェライト層を形成する際、上
記表面には同時に酸化膜が生じる。一般に、このような
酸化膜を除去するにはショットブラスト処理が行われ
る。
【0006】しかしながら、上記ショットブラスト処理
を行うと、表面部が加工硬化し、このために強靭性が損
なわれるという問題が生じる。
を行うと、表面部が加工硬化し、このために強靭性が損
なわれるという問題が生じる。
【0007】上記加工硬化の除去自体は焼なましにより
容易に行われることであるが、焼なましの温度が高い
と、高温のために再び酸化膜が生じ、かつ大きな熱歪み
変形が生じる。これを嫌って低温なましすれば、酸化膜
や大きな熱歪み変形については確かに回避できるもの
の、今度は加工硬化が十分に除去されなくなる。
容易に行われることであるが、焼なましの温度が高い
と、高温のために再び酸化膜が生じ、かつ大きな熱歪み
変形が生じる。これを嫌って低温なましすれば、酸化膜
や大きな熱歪み変形については確かに回避できるもの
の、今度は加工硬化が十分に除去されなくなる。
【0008】本発明は斯かる諸点に鑑みてなされたもの
であり、その目的は、酸化膜の除去に伴って生じる加工
硬化を、酸化膜や大きな熱歪み変形を生じさせることな
く除去できるようにし、もって高強度で低コストな球状
黒鉛鋳鉄部材が実際に得られるようにすることにある。
であり、その目的は、酸化膜の除去に伴って生じる加工
硬化を、酸化膜や大きな熱歪み変形を生じさせることな
く除去できるようにし、もって高強度で低コストな球状
黒鉛鋳鉄部材が実際に得られるようにすることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、請求項1の発明では、酸化膜をショットブラスト処
理にて除去した後、フェライト層における加工硬化を低
温で焼なましすることにより除去するようにした。
め、請求項1の発明では、酸化膜をショットブラスト処
理にて除去した後、フェライト層における加工硬化を低
温で焼なましすることにより除去するようにした。
【0010】具体的には、この発明では、先ず、フェラ
イトとパーライトとの混在組織を有する球状黒鉛鋳鉄素
材の表面部に、熱処理により所定深さのフェライト層を
形成する。次いで、その表面にショットブラスト処理を
行う。その後、上記表面部を低温で焼なましをする。
イトとパーライトとの混在組織を有する球状黒鉛鋳鉄素
材の表面部に、熱処理により所定深さのフェライト層を
形成する。次いで、その表面にショットブラスト処理を
行う。その後、上記表面部を低温で焼なましをする。
【0011】請求項2の発明では、上記請求項1の発明
において、混在組織を、フェライト及びオーステナイト
の共存温度域での熱処理により生成するようにし、上記
熱処理により、同時に所定深さのフェライト層を形成す
る。この熱処理に用いられる加熱手段としては、一般の
熱処理炉、或いは急速加熱の可能なソルト炉、高周波加
熱等が挙げられるが、2相温度域(フェライト及びオー
ステナイトの共存温度域)での熱処理が可能なものであ
ればよい。
において、混在組織を、フェライト及びオーステナイト
の共存温度域での熱処理により生成するようにし、上記
熱処理により、同時に所定深さのフェライト層を形成す
る。この熱処理に用いられる加熱手段としては、一般の
熱処理炉、或いは急速加熱の可能なソルト炉、高周波加
熱等が挙げられるが、2相温度域(フェライト及びオー
ステナイトの共存温度域)での熱処理が可能なものであ
ればよい。
【0012】請求項3の発明では、上記請求項1又は2
の発明において、フェライト層を、ショットブラスト処
理にて加工硬化を受ける表面部の深さよりも深く形成す
る。尚、一般に、ショットブラスト処理による加工硬化
の深さ寸法は表面から深さ方向に約0.1mm程度であ
るとされているので、その場合に低温で加工硬化を除去
するには、フェライト層を0.1mm以上の深さに形成
する必要がある。
の発明において、フェライト層を、ショットブラスト処
理にて加工硬化を受ける表面部の深さよりも深く形成す
る。尚、一般に、ショットブラスト処理による加工硬化
の深さ寸法は表面から深さ方向に約0.1mm程度であ
るとされているので、その場合に低温で加工硬化を除去
するには、フェライト層を0.1mm以上の深さに形成
する必要がある。
【0013】
【作用】以上の構成により、請求項1の発明では、フェ
ライトとパーライトとの混在組織を有する球状黒鉛鋳鉄
素材の表面部が熱処理されて、該表面部にフェライト層
が形成されるとき、上記表面には同時に酸化膜が生じる
が、この酸化膜はショットブラスト処理にて除去され
る。しかしながら、このショットブラスト処理を受けた
ことにより、上記表面部、すなわちフェライト層が加工
硬化する。そこで、該表面部が焼なましされることによ
り、フェライト層は上記加工硬化が除去されて再び軟化
する。このとき、上記焼なましは低温にて行われるの
で、この焼なましに伴って酸化膜や大きな熱歪み変形が
生じるという事態は回避される。
ライトとパーライトとの混在組織を有する球状黒鉛鋳鉄
素材の表面部が熱処理されて、該表面部にフェライト層
が形成されるとき、上記表面には同時に酸化膜が生じる
が、この酸化膜はショットブラスト処理にて除去され
る。しかしながら、このショットブラスト処理を受けた
ことにより、上記表面部、すなわちフェライト層が加工
硬化する。そこで、該表面部が焼なましされることによ
り、フェライト層は上記加工硬化が除去されて再び軟化
する。このとき、上記焼なましは低温にて行われるの
で、この焼なましに伴って酸化膜や大きな熱歪み変形が
生じるという事態は回避される。
【0014】請求項2の発明では、上記混在組織の生成
とフェライト層の形成とが1つの熱処理にて同時に行わ
れるので、鋳放しの球状黒鉛鋳鉄素材から本発明の球状
黒鉛鋳鉄部材が得られるまでの工程数を少なくすること
ができ、低コスト化をさらに図ることができる。
とフェライト層の形成とが1つの熱処理にて同時に行わ
れるので、鋳放しの球状黒鉛鋳鉄素材から本発明の球状
黒鉛鋳鉄部材が得られるまでの工程数を少なくすること
ができ、低コスト化をさらに図ることができる。
【0015】請求項3の発明では、フェライト層がショ
ットブラスト処理にて加工硬化を受ける表面部の深さよ
りも深く形成されることにより、2相組織のうちのパー
ライト地における加工硬化が防止されるので、低温なま
しによる加工硬化の除去が不十分となる虞れを回避する
ことができる。
ットブラスト処理にて加工硬化を受ける表面部の深さよ
りも深く形成されることにより、2相組織のうちのパー
ライト地における加工硬化が防止されるので、低温なま
しによる加工硬化の除去が不十分となる虞れを回避する
ことができる。
【0016】
【実施例】以下、本発明に係る実施例を図面に基づいて
説明する。この実施例では球状黒鉛鋳鉄素材として、F
CD 45(JIS G 5502)の鋳放し品が用い
られる。この鋳放し品の化学成分は、表1に示すよう
に、C成分が3.67%、Si成分が2.34%、Mn
成分が0.31%、P成分が0.048%、S成分が
0.009%、Mg成分が0.037%で、残部はFe
である。そして、図1に示すように、前工程の熱処理、
第1工程の熱処理、第2工程のショットブラスト処理及
び第3工程の熱処理に従って、球状黒鉛鋳鉄部材を製造
する。
説明する。この実施例では球状黒鉛鋳鉄素材として、F
CD 45(JIS G 5502)の鋳放し品が用い
られる。この鋳放し品の化学成分は、表1に示すよう
に、C成分が3.67%、Si成分が2.34%、Mn
成分が0.31%、P成分が0.048%、S成分が
0.009%、Mg成分が0.037%で、残部はFe
である。そして、図1に示すように、前工程の熱処理、
第1工程の熱処理、第2工程のショットブラスト処理及
び第3工程の熱処理に従って、球状黒鉛鋳鉄部材を製造
する。
【0017】先ず、前工程として、図2に示すように、
上記鋳放し品を920℃に加熱し、その温度に2時間に
わたって均熱保持した後、引き続き3時間にわたって7
30℃に均熱保持し、炉冷する。
上記鋳放し品を920℃に加熱し、その温度に2時間に
わたって均熱保持した後、引き続き3時間にわたって7
30℃に均熱保持し、炉冷する。
【0018】第1工程は、フェライト及びパーライトの
生成と表面部におけるフェライト層の形成とを、1つの
熱処理で同時に行うためのもので、この工程では、図3
に示すように、2相温度域(フェライト及びオーステナ
イトの共存温度域)である770〜850℃に加熱し、
加熱した温度に1時間にわたって均熱保持した後、空冷
する。
生成と表面部におけるフェライト層の形成とを、1つの
熱処理で同時に行うためのもので、この工程では、図3
に示すように、2相温度域(フェライト及びオーステナ
イトの共存温度域)である770〜850℃に加熱し、
加熱した温度に1時間にわたって均熱保持した後、空冷
する。
【0019】第2工程は、上記第1工程の熱処理で表面
に生じた酸化膜を除去するためのもので、この工程で
は、該表面にショットブラスト処理を施す。
に生じた酸化膜を除去するためのもので、この工程で
は、該表面にショットブラスト処理を施す。
【0020】第3工程は、上記第2工程のショットブラ
スト処理で表面部が受けた加工硬化を除去するためのも
ので、この工程では、図4に示すように、200〜30
0℃に加熱し、加熱した温度に1時間にわたって均熱保
持した後、空冷する。
スト処理で表面部が受けた加工硬化を除去するためのも
ので、この工程では、図4に示すように、200〜30
0℃に加熱し、加熱した温度に1時間にわたって均熱保
持した後、空冷する。
【0021】以上の工程によって得られた球状黒鉛鋳鉄
部材の金属組織を、図5及び図6の顕微鏡写真に示す。
尚、この球状黒鉛鋳鉄部材は、第1工程では820℃
で、また第3工程では300℃でそれぞれ熱処理したも
のである。上記球状黒鉛鋳鉄部材の表面部には、図5に
示すようにフェライト層(同図の左右方向に延びる白い
帯状部分)が、また内部には、図6に示すようにフェラ
イト(同図の白い部分)及びパーライト(同図の比較的
黒い部分)の混在組織がそれぞれ形成されているのが判
る。尚、図5及び図6において略円形状の黒い部分は黒
鉛である。また、該球状黒鉛鋳鉄部材の表面には、酸化
膜は見られなかった。
部材の金属組織を、図5及び図6の顕微鏡写真に示す。
尚、この球状黒鉛鋳鉄部材は、第1工程では820℃
で、また第3工程では300℃でそれぞれ熱処理したも
のである。上記球状黒鉛鋳鉄部材の表面部には、図5に
示すようにフェライト層(同図の左右方向に延びる白い
帯状部分)が、また内部には、図6に示すようにフェラ
イト(同図の白い部分)及びパーライト(同図の比較的
黒い部分)の混在組織がそれぞれ形成されているのが判
る。尚、図5及び図6において略円形状の黒い部分は黒
鉛である。また、該球状黒鉛鋳鉄部材の表面には、酸化
膜は見られなかった。
【0022】この実施例によれば、前工程により、球状
黒鉛鋳鉄素材の基地組織がオールフェライト化される。
また、黒鉛まわりにおける高濃度のSiが分散されてS
iの均一化が行われ、かつ鋳造時に生じたチル部の分解
も行われる。
黒鉛鋳鉄素材の基地組織がオールフェライト化される。
また、黒鉛まわりにおける高濃度のSiが分散されてS
iの均一化が行われ、かつ鋳造時に生じたチル部の分解
も行われる。
【0023】第1工程により、フェライト及びパーライ
トの混在組織が生成する。また、この熱処理を受けて表
面から酸化反応が進行し、このことで表面部が脱炭され
て該表面部にフェライト層が形成される。この工程で
は、上記混在組織の生成とフェライト層の形成とが1つ
の熱処理にて同時に行われるので、鋳放しの球状黒鉛鋳
鉄素材から本発明の球状黒鉛鋳鉄部材が得られるまでの
工程数を少なくすることができ、さらに低コスト化を図
ることができる。
トの混在組織が生成する。また、この熱処理を受けて表
面から酸化反応が進行し、このことで表面部が脱炭され
て該表面部にフェライト層が形成される。この工程で
は、上記混在組織の生成とフェライト層の形成とが1つ
の熱処理にて同時に行われるので、鋳放しの球状黒鉛鋳
鉄素材から本発明の球状黒鉛鋳鉄部材が得られるまでの
工程数を少なくすることができ、さらに低コスト化を図
ることができる。
【0024】また、上記第1工程の熱処理を受けたこと
により、上記表面には同時に酸化膜が生じるが、この酸
化膜は第2工程のショットブラスト処理にて除去され
る。しかしながら、このショットブラスト処理を受けた
ことにより、上記表面部、すなわちフェライト層が加工
硬化する。
により、上記表面には同時に酸化膜が生じるが、この酸
化膜は第2工程のショットブラスト処理にて除去され
る。しかしながら、このショットブラスト処理を受けた
ことにより、上記表面部、すなわちフェライト層が加工
硬化する。
【0025】そこで、第3工程において上記表面部が焼
なましされることにより、フェライト層は上記加工硬化
が除去されて再び軟化する。このとき、上記焼なましは
200〜300℃の低温にて行われるので、この焼なま
しに伴って上記表面に再び酸化膜が生じたり、大きな熱
歪み変形が生じるという事態は回避される。
なましされることにより、フェライト層は上記加工硬化
が除去されて再び軟化する。このとき、上記焼なましは
200〜300℃の低温にて行われるので、この焼なま
しに伴って上記表面に再び酸化膜が生じたり、大きな熱
歪み変形が生じるという事態は回避される。
【0026】また、上記第1工程において、フェライト
層が第2工程のショットブラスト処理にて加工硬化を受
ける表面部の深さよりも深く形成されることにより、2
相組織のうちのパーライト地における加工硬化が防止さ
れるので、第3工程の低温なましによる加工硬化の除去
が不十分となる虞れを回避することができる。尚、一般
に、ショットブラスト処理による加工硬化の深さ寸法は
表面から深さ方向に約0.1mm程度であるとされてい
るので、その場合に低温で加工硬化を除去するには、フ
ェライト層を0.1mm以上の深さに形成する必要があ
る。
層が第2工程のショットブラスト処理にて加工硬化を受
ける表面部の深さよりも深く形成されることにより、2
相組織のうちのパーライト地における加工硬化が防止さ
れるので、第3工程の低温なましによる加工硬化の除去
が不十分となる虞れを回避することができる。尚、一般
に、ショットブラスト処理による加工硬化の深さ寸法は
表面から深さ方向に約0.1mm程度であるとされてい
るので、その場合に低温で加工硬化を除去するには、フ
ェライト層を0.1mm以上の深さに形成する必要があ
る。
【0027】したがって、このようにして製造された球
状黒鉛鋳鉄部材は、内部に軟らかいフェライトと比較的
硬いパーライトとの混在組織を有し、その表面部にフェ
ライト層が形成されて高強度であり、かつ従来例のよう
な高温液体処理を伴わないので比較的低コストで得るこ
とができる。
状黒鉛鋳鉄部材は、内部に軟らかいフェライトと比較的
硬いパーライトとの混在組織を有し、その表面部にフェ
ライト層が形成されて高強度であり、かつ従来例のよう
な高温液体処理を伴わないので比較的低コストで得るこ
とができる。
【0028】最後に、本実施例の製造方法により具体的
に球状黒鉛鋳鉄部材を製造した例について、本実施例に
用いた球状黒鉛鋳鉄素材の表面に前工程及び第1工程を
経ずに直接に第2工程のショットブラスト処理を行った
比較例と対比させながら説明する。
に球状黒鉛鋳鉄部材を製造した例について、本実施例に
用いた球状黒鉛鋳鉄素材の表面に前工程及び第1工程を
経ずに直接に第2工程のショットブラスト処理を行った
比較例と対比させながら説明する。
【0029】先ず、第2工程後の本発明例と、比較例と
について、表面からの各深さ部位における各々のビッカ
ース硬さ(HV)を、試験荷重FをF=200gfとし
て調べた。その結果を図7に示す。この結果から、本発
明例及び比較例は、共に表面部が硬くなっているのが判
る。尚、本発明例の表面部におけるビッカース硬さの値
が比較例よりも小さいのは、本発明例では表面部にフェ
ライト層が形成されていることによる。
について、表面からの各深さ部位における各々のビッカ
ース硬さ(HV)を、試験荷重FをF=200gfとし
て調べた。その結果を図7に示す。この結果から、本発
明例及び比較例は、共に表面部が硬くなっているのが判
る。尚、本発明例の表面部におけるビッカース硬さの値
が比較例よりも小さいのは、本発明例では表面部にフェ
ライト層が形成されていることによる。
【0030】次いで、上記本発明例及び比較例に第3工
程の低温なましを加え、各々のビッカース硬さ(HV)
を上記と同じ試験荷重Fで調べた。その結果を図8に示
す。この結果から、本発明例では加工硬化が除去され、
表面部が内部よりも軟らかくなっていることが判る。こ
れに対して、比較例では加工硬度は除去されておらず、
依然として表面部が内部よりも硬い状態にあることが判
る。
程の低温なましを加え、各々のビッカース硬さ(HV)
を上記と同じ試験荷重Fで調べた。その結果を図8に示
す。この結果から、本発明例では加工硬化が除去され、
表面部が内部よりも軟らかくなっていることが判る。こ
れに対して、比較例では加工硬度は除去されておらず、
依然として表面部が内部よりも硬い状態にあることが判
る。
【0031】さらに、第3工程後の本発明例及び比較例
について、各々の靭性を評価するために、各々について
直径が30mm、長さが400mmの棒状部材を用意
し、各棒状部材をスパンが300mmの2点支持台上に
横架した状態で中央部に荷重を加え、曲げ破断荷重及び
撓み量についての試験を行った。その結果を、図9に示
す。この結果から、略同じ曲げ破断荷重に対し、比較例
では撓み量が約30mmであるが、本発明例では撓み量
は約55mmと比較例の1.8倍に増大しており、本発
明例の球状黒鉛鋳鉄部材には靭性の著しい向上が見られ
る。
について、各々の靭性を評価するために、各々について
直径が30mm、長さが400mmの棒状部材を用意
し、各棒状部材をスパンが300mmの2点支持台上に
横架した状態で中央部に荷重を加え、曲げ破断荷重及び
撓み量についての試験を行った。その結果を、図9に示
す。この結果から、略同じ曲げ破断荷重に対し、比較例
では撓み量が約30mmであるが、本発明例では撓み量
は約55mmと比較例の1.8倍に増大しており、本発
明例の球状黒鉛鋳鉄部材には靭性の著しい向上が見られ
る。
【0032】尚、上記実施例では、フェライト層を脱炭
により形成するようにしているが、表面部のみをオース
テナイト化温度以上に加熱して徐冷することにより形成
するようにしてもよい。その場合には、例えば、球状黒
鉛鋳鉄素材の一面側を高周波コイルを用いてオーステナ
イト化温度以上に制御する一方、他面側を冷却ガスの吹
き付けにより徐冷するようにして温度勾配を設けた状態
で、加熱及び徐冷の位置を全面にわたって順次変えてい
くようにすれば、比較的容易に表面部に任意の深さでフ
ェライト層を形成することができる。
により形成するようにしているが、表面部のみをオース
テナイト化温度以上に加熱して徐冷することにより形成
するようにしてもよい。その場合には、例えば、球状黒
鉛鋳鉄素材の一面側を高周波コイルを用いてオーステナ
イト化温度以上に制御する一方、他面側を冷却ガスの吹
き付けにより徐冷するようにして温度勾配を設けた状態
で、加熱及び徐冷の位置を全面にわたって順次変えてい
くようにすれば、比較的容易に表面部に任意の深さでフ
ェライト層を形成することができる。
【0033】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1の発明に
よれば、フェライト及びパーライトの混在組織を有する
球状黒鉛鋳鉄素材の表面部にフェライト層を形成した
後、該フェライト層形成時の副産物である酸化膜の除去
に伴って生じる表面部の加工硬化を、上記フェライト層
を利用して低温で焼なましすることにより、酸化膜や大
きな熱歪み変形が生じることなしに除去することがで
き、従来例のような高温液体処理の伴わない比較的低コ
ストの熱処理で、靭性に優れた球状黒鉛鋳鉄部材を実際
に製造することができる。この結果、例えば自動車の分
野では、高強度で低コストな足回り部品用部材を得るこ
とができる。
よれば、フェライト及びパーライトの混在組織を有する
球状黒鉛鋳鉄素材の表面部にフェライト層を形成した
後、該フェライト層形成時の副産物である酸化膜の除去
に伴って生じる表面部の加工硬化を、上記フェライト層
を利用して低温で焼なましすることにより、酸化膜や大
きな熱歪み変形が生じることなしに除去することがで
き、従来例のような高温液体処理の伴わない比較的低コ
ストの熱処理で、靭性に優れた球状黒鉛鋳鉄部材を実際
に製造することができる。この結果、例えば自動車の分
野では、高強度で低コストな足回り部品用部材を得るこ
とができる。
【0034】請求項2の発明によれば、上記混在組織の
生成とフェライト層の形成とを1つの熱処理にて行うの
で、球状黒鉛鋳鉄の鋳放し品から本発明の球状黒鉛鋳鉄
部材が得られるまでの工程数を少なくすることができ、
さらに低コスト化を図ることができる。
生成とフェライト層の形成とを1つの熱処理にて行うの
で、球状黒鉛鋳鉄の鋳放し品から本発明の球状黒鉛鋳鉄
部材が得られるまでの工程数を少なくすることができ、
さらに低コスト化を図ることができる。
【0035】請求項3の発明によれば、フェライト層を
ショットブラスト処理にて加工硬化を受ける表面部の深
さよりも深く形成したことにより、内部組織のパーライ
ト地が上記ショットブラスト処理にて加工硬化するのを
防止できるので、表面部の加工硬化を十分に除去するこ
とができ、本発明の球状黒鉛鋳鉄部材が有する靭性を十
分に発現させることができる。
ショットブラスト処理にて加工硬化を受ける表面部の深
さよりも深く形成したことにより、内部組織のパーライ
ト地が上記ショットブラスト処理にて加工硬化するのを
防止できるので、表面部の加工硬化を十分に除去するこ
とができ、本発明の球状黒鉛鋳鉄部材が有する靭性を十
分に発現させることができる。
【図1】本発明の実施例に係る球状黒鉛鋳鉄部材の製造
方法を示す工程図である。
方法を示す工程図である。
【図2】前工程の熱処理線図である。
【図3】第1工程の熱処理線図である。
【図4】第3工程の熱処理線図である。
【図5】球状黒鉛鋳鉄部材の表面部における金属組織を
100倍に拡大して示す顕微鏡写真である。
100倍に拡大して示す顕微鏡写真である。
【図6】球状黒鉛鋳鉄部材の内部における金属組織を4
00倍に拡大して示す顕微鏡写真である。
00倍に拡大して示す顕微鏡写真である。
【図7】本発明例及び比較例のショットブラスト処理後
における表面部のビッカース硬さを示す図である。
における表面部のビッカース硬さを示す図である。
【図8】本発明例及び比較例の低温での焼なまし後にお
ける表面部のビッカース硬さを示す図である。
ける表面部のビッカース硬さを示す図である。
【図9】本発明例及び比較例における曲げ破断荷重と撓
み量との関係を示す図である。
み量との関係を示す図である。
【表1】
フロントページの続き (72)発明者 芝原 雅彦 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツダ 株式会社内
Claims (3)
- 【請求項1】 フェライトとパーライトとの混在組織を
有する球状黒鉛鋳鉄素材の表面部に、熱処理により所定
深さのフェライト層を形成し、 次いで、素材表面にショットブラスト処理を行った後、 上記表面部を低温で焼なましすることを特徴とする球状
黒鉛鋳鉄部材の製造方法。 - 【請求項2】 請求項1記載の球状黒鉛鋳鉄部材の製造
方法において、 混在組織は、フェライト及びオーステナイトの共存温度
域での熱処理により生成されたものであり、 上記熱処理により、同時に所定深さのフェライト層を形
成することを特徴とする球状黒鉛鋳鉄部材の製造方法。 - 【請求項3】 請求項1又は2記載の球状黒鉛鋳鉄部材
の製造方法において、 フェライト層を、ショットブラスト処理にて加工硬化を
受ける表面部の深さよりも深く形成することを特徴とす
る球状黒鉛鋳鉄部材の製造方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP36011092A JP3301801B2 (ja) | 1992-12-28 | 1992-12-28 | 球状黒鉛鋳鉄部材の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP36011092A JP3301801B2 (ja) | 1992-12-28 | 1992-12-28 | 球状黒鉛鋳鉄部材の製造方法 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH06200322A true JPH06200322A (ja) | 1994-07-19 |
| JP3301801B2 JP3301801B2 (ja) | 2002-07-15 |
Family
ID=18467949
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP36011092A Expired - Fee Related JP3301801B2 (ja) | 1992-12-28 | 1992-12-28 | 球状黒鉛鋳鉄部材の製造方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP3301801B2 (ja) |
Cited By (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| US5876523A (en) * | 1996-04-29 | 1999-03-02 | Hitachi Metals, Ltd. | Method of producing spheroidal graphite cast iron article |
| JP2012115925A (ja) * | 2010-11-30 | 2012-06-21 | Ud Trucks Corp | 鋳鉄材料の疲労強度向上方法 |
-
1992
- 1992-12-28 JP JP36011092A patent/JP3301801B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (3)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| US5876523A (en) * | 1996-04-29 | 1999-03-02 | Hitachi Metals, Ltd. | Method of producing spheroidal graphite cast iron article |
| JP2012115925A (ja) * | 2010-11-30 | 2012-06-21 | Ud Trucks Corp | 鋳鉄材料の疲労強度向上方法 |
| US9340846B2 (en) | 2010-11-30 | 2016-05-17 | Ud Trucks Corporation | Method for improving fatigue strength of cast iron material |
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JP3301801B2 (ja) | 2002-07-15 |
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