JPH0621022B2 - β型炭化珪素の製造方法 - Google Patents

β型炭化珪素の製造方法

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JPH0621022B2
JPH0621022B2 JP60236948A JP23694885A JPH0621022B2 JP H0621022 B2 JPH0621022 B2 JP H0621022B2 JP 60236948 A JP60236948 A JP 60236948A JP 23694885 A JP23694885 A JP 23694885A JP H0621022 B2 JPH0621022 B2 JP H0621022B2
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【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明はβ型炭化珪素(以下β−SiCと記載する。)
の製造方法に係り、更に詳しくは、微細で易結晶性のβ
−SiC粉末の製造方法に関する。
[従来の技術] SiC結晶体は、硬度及び強度が共に大きく、耐熱性に
優れ、化学的に安定であることら、耐摩耗性機械部品、
構造用材料、耐熱性材料等に広く利用されている。Si
C粉末にはα、βの2つの結晶形があり、その製造方法
としては、従来、 SiOとCとの反応による方法、 SiとCとの反応による方法、 Si化合物と炭化水素とからの気合合成による方法、 が知られている。しかして、これらの方法のうち、工業
的には、原料が安価であり、反応操作が容易である等の
利点を有するの方法によりSiC粉末の製造が行なわ
れている。
前記の方法としては、アチソン炉による合成法が著名
であるが、この方法で得られる生成物のSiCは塊状で
あり、微粉化のためには長時間の粉砕が必要であるとい
う欠点を有している。そこで、近年、の方法の改良が
数多くなされ、連続生産によるβ−SiC微粉末の合成
方法も提案されている。この方法は高温における下記I
又はII式の反応によるものである(ただしI、II式にお
いて(g)はガス状物を表す。)。
従来、β−SiC微粉末の連続生産を行なうために、固
体の珪素質原料と炭素質原料とを混合して固型化する方
法の研究が行なわれてきた。例えば、特公昭58−18
325号公報には、ピッチ等の高温領域で炭化し得る結
合剤を用いて固型物を作り、400℃以上で熱処理を行
なうことにより珪素質原料と炭素質原料との混合固型物
同志が付着することなく連続生産が可能である旨が開示
されている。
また、特公昭58−18325号の方法を更に改良した
ものとして、特公昭58−34405号公報には、前記
II式の反応において生成するSiCの効率的利用を目的
として、炭素質原料を大過剰に用いる方法が提案されて
いる。
しかして、SiCの製造時の反応温度に関しては、従来
の熱力学的考察から、一般に1400〜2000℃の反
応温度が開示され、SiOとCとの反応機構に関する
考察からは、1400〜1600℃の温度領域が好まし
いとされている。この好適な反応温度の下限は、SiC
化の反応の進行速度より決定され、上限は結晶粒子の成
長速度から決定されたものであるが、特に高温側に関し
ては、微粉化を達成する目的には、1600℃以上の高
温での反応は、好ましくないとされてきた。
一方、SiOを還元し、SiCを製造するための反応
装置は、高温度で原料を焼成する必要性から、単純形状
で設備の製造あるいはメンテナンスの面で有利で、しか
も、連続生産も可能な装置として竪型プレッシャー炉が
用いられている。
[発明が解決しようとする問題点] しかしながら、上記従来の方法はいずれも、微細で易焼
結性のSiC粉末を工業的有利に製造することはできな
かった。
例えば、特公昭58−18325号公報及び同58−3
4405号公報に記載の方法では、結合剤を用いたこと
による利点は混合固型物同志の付着防止以上の意味を有
しておらず、この結果として、特公昭58−34405
号公報に実施例でも明らかなように、生成するSiCに
遊離炭素が20%以上も含まれ、SiCの合成後にこの
遊離炭素を除去することが問題となっている。
有利炭素を除去する方法として、一般には、低温度で炭
素を酸化雰囲気下にて燃焼して除去する方法が採られて
いるが、この際、主生成物であるβ−SiC粉末も一部
酸化され、不純物としてSiOを生成する。このよう
に、遊離SiOガスの処理あるいはSiOの反応の完
結性を目的として、炭素源を過剰に用いることは、焼結
に悪影響を及ぼすSiOの生成原因ともなっていた。
このため、このSiO除去を主目的とするフッ素と硝
酸との混酸による洗浄プロセスを、遊離炭素除去プロセ
スに引き続き設ける必要があった。
また、従来SiC製造の反応装置として用いられている
竪型プレッシャー炉では、 反応ゾーンが、竪型に直列に配列されるため、不純物
の殆どが反応ゾーンに滞留することになり、製品中に残
る。
COガス回収が困難である。
中間反応生成ガスのSiOが、反応容器の低温部で析
出し、運転条件の管理が難しい。
原料投入口と生成物取出口が竪に直列に配列されるた
めに、生成物中への原料の混入がおこりやすく、高純度
のSiC粉末を得ることが難しい等の欠点があった。
[問題を解決するための手段] 本発明は、上記従来の問題点を解決し、純度が高くかつ
結晶子の大きい易焼結性のβ型炭化珪素粉末の製造方法
を提供するものであって、 珪素質原料と炭素質原料との混合物から炭化珪素を製造
するに際し、該混合物を非酸化性雰囲気下、1000℃
まで昇温加熱して得られた処理物中の炭素原子と珪素原
子との原子比C/Siが2.1<C/Si<3.0であ
る混合物を、1750℃以上2100℃以下の高温に
て、副生ガスを系外に除去可能な装置で焼成し、500
Åより大きい結晶子を有するβ型高純度炭化珪素を得る
ことを特徴とするβ型炭化珪素の製造方法、 を要旨とするものである。
即ち、本発明者らは、β−SiCの合成について詳細に
検討した結果、 炭素原料と珪素原料との原子比C/Siを、次式 SiO+3C→SiC+2CO から、導かれる化学量論的当量C/Si=3よりも小さ
な、C/Si<3に設定することにより、反応後の遊離
炭素除去プロセスが不要となり、この結果有毒な強酸を
用いるSiO除去プロセスを省略することが可能とな
ること、 反応温度を1750℃以上という高温度に設定した結
果、生成物粉体の結晶子を大きくすることができ、焼結
助剤である硼素添加量が0.3重量%以下で十分に焼結
が可能な易焼結性β−SiC粉末を合成することが可能
であること、 の高温度と、副生ガスを系外に除去可能な装置との
組み合わせにより、生成物中への副生ガスの析出混入を
防止し、高純度β−SiC粉末を得ることができるこ
と、を見い出し、本発明を完成させたものである。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明で原料として用いられる珪素質原料としては、 珪石粉、アモルファスシリカ、石英砂などの化学式が
SiOで示される一群の固体化合物。
珪酸アルカリ水溶液を酸分解あるいは脱アルカリし
て得られたもの、例えば水ガラスの脱アルカリで得られ
た珪酸ポリマー、 加水分解性珪酸化合物をトリメチル化して得られる一
群のポリマー、 加水分解性酸化合物と有機化合物又は有機金属化合物
とのエステル、例えば四塩化珪素とエタノールとの反応
で合成されるエチルシリケート、及びそのポリマー、 加水分解性珪素化合物と有機化合物との反応生成物、 等の一群の液状化合物。
ととの混合物。
等を挙げることができる。これらのうち、高温での反応
性の面から、石英砂、珪石粉、エチルシリケート等が好
ましく、とりわけエチルシリケート及びそのポリマーが
好ましい。
また、炭素質原料としては、各種のカーボンブラック、
天然黒鉛、石油コークス、石炭粉等を粉砕、高純度化処
理したものが好ましい。混合物を造粒して高温で反応さ
せる場合には、タールピッチ、熱改質石油ピッチ等も使
用可能である。
更に非酸化性雰囲気下1000℃以上で遊離炭素を生成
する物質、例えば、官能基を有し、加熱により炭素を生
成する液状有機化合物、特に残炭率が高く、触媒または
加熱により重合または架橋する有機化合物、具体的には
フェノール樹脂、フラン樹脂、ポリイミド、ポリウレタ
ン、ポリアクリロニトリル等の樹脂、その他セルロー
ス、しょ糖、ピッチ、タール等を加熱処理して得た炭化
物等も使用し得る。これらの有機化合物の中では、加熱
後の残炭率が大きいことから、フェノール樹脂、フラン
樹脂、ポリイミド、ポリウレタンが好ましく、特にフェ
ノール樹脂が最も好ましい。フェノール樹脂としては、
フェノールとホルムアルデヒドとの縮合物で、酸触媒又
は加熱により固化するレゾール型のフェノール樹脂、あ
るいはアルカリ触媒又は加熱により固化するノボラック
型のフェノール樹脂のいずれでもよい。
本発明においては、高純度、大結晶子のβ−SiCを得
るために、珪素質原料と炭素質原料とは均一に混合し、
SiC生成直前まで珪素質原料と炭素質原料とが均一か
つ密着状態にあるようにすることが重要である。
この均一混合を達成する一つの好ましい方法として、炭
素質原料として炭素の前駆体物質であるフェノール樹脂
等の液状有機化合物を用い、この中に予め珪素質原料を
均一に混合し、触媒の存在下でこれを重合又は架橋して
硬化させ、しかる後に加熱炭化して硬化物を得る方法が
ある。この場合、炭化は通常、不活性ガス雰囲気下で5
00〜1400℃の温度で行なうが、この処理は硬化物
を構成する成分に応じて、適宜施され、上記加熱処理に
限らず、その他の処理を行なうことも、またこのような
前処理を省略して、直接SiC合成のための加熱処理に
供することも勿論可能である。
本発明において、β−SiCを合成するための原料の構
成比は、これらを混合して調製された固型物を非酸化性
雰囲気中1000℃まで昇温加熱して得られた処理物の
SiとCとの原子比を基準として決定される。炭素質原
料及び珪素質原料は、炭素質原料と珪素質原料との混合
物を非酸化性雰囲気下、1000℃まで昇温加熱して得
られた処理物中のCとSiとの原子比(以下「C/Si
分析値」と称する場合がある。)が2.1<C/Si<
3.0、好ましくは2.4≦C/si≦2.8となるよ
うに、各々の混合割合を決定するのが好適である。
SiC合成における原子比C/Siの理論比は3である
が、C/Si分析値が3.0以上である場合には、生成
物であるSiC粉末中に1重量%以上の炭素が残り、常
圧焼結用に用いるためには、前述の如く、炭素の除去が
必要となる。一方、原子比C/Si分析値が2.1より
小さい場合には、SiC収率が著しく悪くなり、経済上
好ましくない。このため、本発明においては、C/Si
分析値は2.1<C/Si<3.0の範囲とするが、
2.4≦C/Si≦2.8とすることにより、高収率
で、かつ残留炭素をより低減し、高純度β−SiCを得
ることができ、極めて有利である。なお、前述の非酸化
性雰囲気中1000℃までの昇温加熱処理は、原子比の
決定のために行なうものであり、SiC合成のためには
必ずしも必要とするものではない。
本発明においては、前述のような原料混合物を1750
〜2100℃の高い反応温度で、副生ガスを系外に除去
可能な装置で焼成する。このような高温反応により、1
時間以内の短時間焼成が可能である。
反応温度は1750℃以下でも1時間以上の長時間反応
させれば、本発明の目的を達成することも可能である。
しかるに、例えば、原料として石英砂を用いた場合、原
料の石英砂の融点1713℃よりも反応温度が低く設定
されると、未反応の石英砂が残る可能性があり、好まし
くない。逆に反応温度2100℃を超えると、粒成長が
著しくなり、粉砕処理に時間がかかり、経済上好ましく
ない。しかも、必要以上の高温度は、省エネルギーの観
点からも好ましくない。反応温度は特に1800〜20
00℃の範囲とするのが好適である。
副生ガスを除去可能な装置としては、 従来の横型プッシャー炉に1400℃以上で保持され
た副室を設け、副生するSiOガスを処理する機能、 及び 不活性ガスの流れる方向をの副室方向とし、生成物
中への副生物の混入を防止する機能、 を備えたものが好ましい。
即ち、従来の横型プッシャー炉においては、構造を簡単
にするために、折れ曲がりのない構造とされていたが、
本発明においては従来の炉を改良して下記〜のよう
な構造としたものを用いるのが好ましい。
反応合成室A及び冷却室Bを介して、原料投入口と同
一直線上に、また副室(副生ガス処理室)Cを反応合成
系Aの横に設けた装置(第1図)。
原料投入口D、反応合成室A及び副室Cを同一直線上
に、また冷却室Bを反応合成室Aの終端の横に扉を介し
て設けた設置(第2図)。
原料投入口D、反応合成室A及び副室Cを同一直線上
に設け、冷却室Bを反応合成室Aの終端部下部に段部を
形成して設けた装置(第3図(a)、(b))。
反応合成室A及び副室Cを同一直線上に設け、原料投
入口Dを反応合成室Aの先端部横に、冷却室Bを反応合
成室Aの終端部の原料投入口の対角位置に設けた装置
(第4図)。更にこれら〜の装置の構成を組み合わ
せた構成の装置も好適である。
上記〜の装置構成において、及びの反応合成室
Aと冷却室Bとの間は、副生ガスの流入防止と、反応系
の熱を逃がさない省エネルギーの役割を果たすことが可
能な区切り構造とされている。また、の副室Cを反応
合成室の終端に配置する構成は、副室Cの加熱エネルギ
ーの省資源に役立つ。またの冷却室Bを反応合成室A
の下部に位置させる構成は、SiOガスの冷却室への侵
入をより一層完璧に防ぐことができる。更に、の原料
投入口Dを横に設ける構成は、より大きな省エネルギー
効果を奏する。
このような改良横型プッシャー炉における反応雰囲気
は、真空又はフリウム、アルゴン、一酸化炭素等の非酸
化性雰囲気下とするのが好ましい。さらに好ましくは、
副生ガスの除去を効率よく促進するために非酸化性ガス
を、AからC及び/又はBからCへ向かって流す方式を
とると良い。
このように本発明に従って、炭素原子と珪素原子との原
子比C/Si分析値が2.1<C/Si<3.0である
混合物を、1750℃以上2100℃以下の高温にて、
副生ガスを系外に除去可能な装置で焼成することによ
り、500Åより大きい結晶子、多くの場合700Åよ
り大きい結晶子を有する高純度β炭化珪素を容易に得る
ことができる。
本発明は、高純度β−SiCの製造法についてのべたも
のであるが、本発明の応用として、意図的に異原子を固
溶させたβ−SiC粉末の製造も可能である。すなわ
ち、従来法によれば、異原子、例えば、B、Al等を含
む化合物を添加した場合、モル比がC/Si>3で、C
が過剰のために、固溶を目的として添加したB、Al等
が、Cとの化合物を生成する欠点を有していた。しか
し、本発明によれば、C/Si<3のモル比であるの
で、このような異原子の固溶の目的にも、副生物の生成
を少なくした製造法を提供できる。
以下に本発明で言う結晶子の測定の方法について説明す
る。
一般に粉末は多くの一次粒子で構成されている。この一
次粒子が完全であるほど、その系の自由エネルギーを小
さくすることができ、焼結が容易となる。一次粒子の大
きさを直径計測するには電子顕微鏡を用いることになる
が、簡便には、粉末X線回折法により測定される結晶子
の大きさで、一次粒子の大きさを予測することができ
る。
周知の如く、粉末X線回折法による測定で得られる吸収
の幅は、結晶の厚さが薄くなるほど増大する。この性質
を利用し、回折曲線から、結晶子の大きさが求められ
る。結晶子の大きさtを求めるには、Scherrer
の式として知れている次の(A)式を用いる。
(A)式において、Bは回折曲線の最大強度の半分の高
さにおける幅に、ラジアンで表わされる。λはX線の波
長であり、θは回折曲線の反射角(2θ)値の1/2
である。
ところで実際にはどうなX線ビームも厳密には単色では
ない。例えば、X線としてCu−Kα線を用いた場合、
Kα、Kαの2種の反射が観察される。従って、上
記(A)式のBを求めるには注意が必要である。即ち、
低角側の回折ピークでは、KαとKαの反射ピーク
の差が小さく、通常、吸収は1本観察される。しかし高
角側を測定すると、KαとKαの反射ピークが分離
して観察される。しかるに、結晶子の小さいβ−SiC
の場合は、この高角側でもKαとKαの反射ピーク
が分離しない場合がある。そこでBを求めるためには、
常にKαとKαの分離を行なった上で測定するのが
有利である。
発明者らは以下の方法を採用した。即ちβ−SiC粉末
の高角側の反射である(420)面の反射を、コンピュ
ータによる波形解析にかけ、Kα、Kαを分離し、
Bを測定した。θの測定には内部標準としてSiを用
いた。その一例を第5図に示す。
第5図はシリカ還元法により合成された、結晶子の大き
さが640Åのα−SiC粉末の例である。第5図に示
すように、KαとKαを分離した後、Bを測定す
る。第6図は一般に市販されているβ−SiCの(42
0)面の反射の例を示すものである。これら第5図及び
第6図の測定条件は、走査速度1/4゜/min、時定
数4、チャート送り速度20mm/minである。S/
N比の良好な条件で測定すれば結晶子の大きさは有効数
字2ケタで再現性良く求めることが可能となる。
このようにして測定された結晶子の大きさが500Åよ
り大きい粉体は、十分に微粉状であるが、焼結体として
の性能を向上させるために、更に粉砕処理して、平均粒
径を1μ以下にすることが好ましい。この場合、粉砕装
置といては、ボールミル、アトライター、ジェットミル
等を用いることができる。この粉砕に際し、粉砕された
直後のSiC粉末は、極めて活性で、酸素と反応して粉
体表面に酸化物を生成し易いことから、これを避けるた
めに、粉砕は窒素、アルゴン、一酸化炭素等の不活性ガ
ス雰囲気中で行なうのが好ましい。
このようにして得られたβ−SiC微粉末は、焼結助剤
として0.3重量%以下の硼素あるいは4重量%以下の
炭素の添加で、十分に焼結可能な、易焼結性粉末であ
る。
なお焼結助剤として用いる硼素源としては、硼素を含む
化合物であれば良く、特に、非酸化物系の硼素含有化合
物であるBC、BN、非晶質硼素が好ましい。また、
炭素源としては、カーボン粉末、炭材、ピッチ、ター
ル、フェノール樹脂に代表される残炭率の高い有機化合
物等が好適である。
[作用] 原料混合物中の炭素と珪素との原子比C/Si分析値を
2.1<C/Si<3.0とすることにより、反応後の
遊離炭素除去プロセスが不要となり、この結果有毒な強
酸を用いるSiO除去プロセスを省略することが可能
となる。
また、反応温度を1750〜2100℃という高温度に
設定した結果、反応時間を短縮し、また、生成物粉体の
結晶子を大きくすることができ、焼結助剤の少ない添加
量で十分な焼結を行なえる易焼結性β−SiC粉末を合
成することが可能である。
更に、1750〜2100℃という高反応温度と副生ガ
スを系外に除去可能な装置との組み合わせにより、生成
物中への副生ガスの析出混入を防止し、高純度SiC粉
末を得ることができる。
[実施例] 次に本発明を実施例及び比較例をあげて更に具体的に説
明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の
実施例に限定されるものではない。
実施例1 珪素質原料としてSiO分を41重量%含むエチルシ
リケートを100g、炭素質原料として加熱により炭素
を生成する有機化合物のフェノールレジン29.05g
及び水で希釈した酸触媒17gを添加して激しく撹拌し
て均一に混合した。撹拌後15分程度静置すると混合物
は固化し固体が得られた。得られた固体を、非酸化性雰
囲気下10℃/minで1000℃まで昇温加熱した。
加熱処理後の固体(炭化前駆体という。)を、炭素分析
装置にて触媒を用いて炭素分析を行ない、CとSiの原
子比を測定したところ、C/Si分析値は2.18であ
った。
この炭化前駆体を第3図に示す構成の改良横型プッシャ
ー炉で非酸化性雰囲気下、1900℃で30分焼成した
ところ、下記性状のβ−SiC粉末が得られた。
この粉末を粉末X線解析法により測定した解析線図は、
第7図の如くであり、また、結晶子の大きさを測定する
ために、走査速度1/4℃/min、時定数4、チャート
送り速度20mm/minで測定した(420)面の解
析図をコンピュータで波形解析を行なった結果、第8図
の如き結果が得られた。結晶子の大きさを下記に併記す
る。β−SiC粉末の性状(実施例1) 真 比 重 3.19g/cm3 結 晶 形 β型 不 純 物 C 0 (重量%) A1 0.0035 Fe 0.0004 Na 0.0008 SiO 0.002 (420)面の 結晶子の大きさ 716Å 実施例2、比較例1〜3 原料の配合比を変え、第1表に示すC/Si原料比の炭
化前駆体を合成したこと以外は実施例1と同様にしてS
iC粉末の製造を行なった。
得られたSiC粉末の性状を第1表に示す。
なお、比較例1においては、得られたSiCの収率は3
5%と極めて低く、炉内にSiの析出がみられた。ま
た、比較例2においては、生成SiC中に原料の炭素が
一部不純物として残り、この炭素を除去する必要があっ
た。
さらに、比較例3においては、得られるSiCの結晶子
も小さく、濾過の炭素が不純物として残り好ましくな
い。
比較例4 原料の配合比を変え、C/Si分析値2.46の炭化前
駆体を合成し、1600℃で焼成したこと以外は実施例
1と同様にして、SiC粉末の製造を行なった。
得られたSiC粉末の性状を第1表に示す。
得られた粉体は、結晶子も小さく、また、未反応の炭素
が不純物として残り、好ましくなかった。
実施例3〜5、比較例5 原料の配合比を変え、C/Si分析値2.46の炭化前
駆体を合成し、第1表に示す温度で焼成したこと以外は
実施例1と同様にして、SiC粉末の製造を行なった。
得られたSiC粉末の性状を第1表に示す。
また、得られたSiC粉末をAr中にてジェットミル粉
砕を行ない、第1表に示す平均粒径の粒度分布の狭い粉
体を得、この粉体に焼結助剤として、炭素を2%、硼素
を0.2%添加して常圧焼結を行なった。得られた焼結
体の密度を第1表に示す。
実施例6 珪素質原料として珪石粉100g、炭素質原料としてカ
ーボブラック40g、及びレゾール型フェノールレジン
32g、酸触媒5gを水−メタノール溶液中にて混合し
た。このものを1時間程度ホットプレート上にて乾燥す
ると固化した。得られた固体を非酸化性雰囲気下10℃
/minで1000℃まで昇温加熱した。これにより得
られた炭化物を炭素分析したところ、CとSiの原子比
C/Si分析値は2.8であった。
この炭化物を非酸化性雰囲気下1900℃で30分焼成
したところ下記に示す性状のβ−SiC粉体が得られ
た。
真 比 重 3.19g/cm3 結 晶 形 β型 不 純 物 C 0 (重量%) SiC 0,04 (420)面の 結晶子の大きさ 705Å 実施例 7 珪素質原料として珪石粉100g、炭素質原料としてカ
ーボブラック56g、及びノボラック型フェノールレジ
ン4g,アルカリ触媒0.03gを混合した。1時間程
度ホットプレート上にて加圧すると固化した。得られた
固体を非酸化性雰囲気下10℃/minで1000℃ま
で昇温加熱した。この時得られた炭化物を炭素分析した
ところCとSiの原子比C/Si分析値2.9であっ
た。
この炭化物を非酸化性雰囲気下、1900℃で30分焼
成したところ下記に示す性状のβ−SiC粉体が得られ
た。
真 比 重 3.19g/cm3 結 晶 形 β型 不 純 物 C 0.8wt% SiO 0.08wt% (420)面の 結晶子の大きさ 690Å 上記実施例及び比較例の結果より、次のことが明らかで
ある。
β−SiC化に用いられる原料中のCとSiの原子比C
/Siには、最適条件が存在し、生成物であるSiC中
に不純物として炭素を残さないためには、C/Si分析
値<3とすることが必要である。また、製造を効率的に
行なうためには、C/Si分析値>2.1であることが
必要で、特に2.4≦C/Si分析値≦2.8の場合に
おいて良好な結果が得られる。
また、少ない焼結助剤添加量で、十分に高い密度を有す
る焼結体(密度3.0g/cm3以上)を得るためには、
SiC粉体の結晶化度の高いこと、即ち結晶子の大きさ
が大きいことが要求されるが、大結晶子を有する粉体を
合成するためには、SiC化の反応温度は1750℃以
上である必要がある。本発明の高温度条件で合成された
SiC粉末は、(420)面の結晶子の大きさはすべて
500Å以上の大結晶子を有し、この粉末から得られる
焼結体の密度は、すべて3.0g/cm3以上と極めて高
密度である。なお、反応温度は、2100℃を超えると
粒成長が著しく、後の粉砕プロセスに影響が生じ、経済
上好ましくない。
ところで、上記実施例において、横型プッシャー炉の副
生ガス処理室には、副生ガス処理装置の低温度部分にS
iOガスの析出物がみられたことから、副生ガス処理室
の存在により、副生ガスの生成β−SiC粉末への混入
が効果的に防止され、このため高純度β−SiC粉末が
得られることが確認された。
[発明の効果] 以上記述した通り、本発明のβ型炭化珪素の製造方法
は、C/Si分析値が2.1<C/Si<3.0の原料
混合物を1750〜2100℃で、副生ガスを系外に除
去可能な装置で焼成することにより、結晶子の大きさが
500Åより大きいβ−SiC粉末を得る新規合成法で
あり、短時間の反応で、極めて高純度で易焼結性のβ−
SiCを容易に得ることができる。しかして得られた粉
末は、焼結により極めて緻密な焼結体を得ることができ
る。しかも、この焼結に際しては、硼素等の焼結助剤の
必要添加量が極めて少なくて足り、このように焼結助剤
量が少ないことから、得られる焼結体の高温特性の改良
を図ることができる。本発明は、低コストで炭化珪素を
製造でき、経済的見地からも産業上極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
第1図ないし第4図は、各々、本発明の実施に好適な改
良横型プッシャー炉の平面構成を示す図である。第5図
は結晶子の大きさが640Åのβ−SiC粉末の粉末X
線回折及びその波形解析結果を示す図である。第6図
(a)、(b)は、各々、一般に市販されているβ−S
iCの粉末X線回折及びその波形解析結果を示す図であ
る。第7図及び第8図は、各々、実施例1で得られたβ
−SiC粉末の粉末X線回折線図及びその波形解析図で
ある。 A……反応合成室、B……冷却室、 C……副生ガス処理室、D……原料投入口。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】珪素質原料と炭素質原料との混合物から炭
    化珪素を製造するに際し、該混合物を非酸化性雰囲気
    下、1000℃まで昇温加熱して得られた処理物中の炭
    素原子と珪素原子との原子比C/Siが2.1<C/S
    i<3.0である混合物を、1750℃以上2100℃
    以下の高温にて、副生ガスを系外に除去可能な装置で焼
    成し、500Åより大きい結晶子を有する高純度β型炭
    化珪素粉末を得ることを特徴とする炭化珪素の製造方
    法。
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