JPH06228185A - D329物質とその誘導体,その製造法及び用途 - Google Patents

D329物質とその誘導体,その製造法及び用途

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JPH06228185A
JPH06228185A JP28729193A JP28729193A JPH06228185A JP H06228185 A JPH06228185 A JP H06228185A JP 28729193 A JP28729193 A JP 28729193A JP 28729193 A JP28729193 A JP 28729193A JP H06228185 A JPH06228185 A JP H06228185A
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JP28729193A
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English (en)
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Nobuyasu Enoki
伸康 榎
Yasuichi Nakakita
保一 中北
Naoki Abe
尚樹 阿部
Takehiko Nakamura
武彦 中村
Masanobu Munakata
正信 棟方
Yoshihiro Okamoto
能弘 岡本
Hideaki Uchida
秀明 内田
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Sapporo Breweries Ltd
Original Assignee
Sapporo Breweries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 抗腫瘍活性を有する新規物質並びに当該物質
の効率的な製造法を確立すること。 【構成】 次式(I): 【化1】 で表されるD329物質またはその誘導体あるいはその
医薬的に許容される塩、ストレプトミセス属に属し、上
記式(I)で表されるD329物質を生産する能力を有
する微生物を培地に培養し、培養物から当該物質を採取
することを特徴とするD329物質またはその医薬的に
許容される塩の製造法、次式(II) : 【化2 】 で表されるD329S物質、該D329S物質に前記式
(I)における置換基R1 およびR2 を導入することを
特徴とするD329物質またはその誘導体の製造法並び
に前記式(I)で表されるD329物質またはその誘導
体あるいはその医薬的に許容される塩を有効成分として
含有する抗腫瘍剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は請求項1記載の一般式
(I)で表される新規抗腫瘍性D329物質またはその
誘導体あるいはその医薬的に許容される塩,その製造法
及び当該D329物質を有効成分として含有する抗腫瘍
剤に関する。
【0002】
【従来の技術】チャートリューシン(Chartreusin) が優
れた抗腫瘍活性を有することは既に知られている〔プロ
グレス・イン・メディシナル・ケミストリー (Progress
in Medicinal Chemistry)19巻、247 頁、1982年〕。
しかし、チャートリューシンは極めて水溶性が低いため
に臨床的に使用されるには至っていない。また、チャー
トリューシンのデメチル体であるデメチルチャートリュ
ーシンが優れた抗腫瘍活性を有することも知られている
(特開平2−59596号)。チャートリューシンにつ
いては化学合成的手法により種々の誘導体が合成されて
おり、それらの中にはチャートリューシンより優れた抗
腫瘍活性を有する化合物も知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】抗腫瘍物質はこれまで
に数多くのものが臨床的に用いられているが、その抗腫
瘍活性は化学構造と強い相関関係があることから、新規
化学構造を有する抗腫瘍物質の開発が常に求め続けられ
ている。
【0004】本発明は、公知の抗腫瘍物質よりも有効な
医薬となりうる新規抗腫瘍物質を提供すると共に、その
製造法を確立することにより上記課題を解決しようとす
るものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決すべく検討を重ね、土壌より分離したチャートリュ
ーシン生産菌にニトロソグアニジン処理を施して得た変
異株の生産物を多数分析したところ、D329−185
株がD329C物質を生産することを見出し、先に特許
出願した(特開平4−290892)。本発明者らは、
さらに抗腫瘍性D329C物質生産菌の培養物を検索し
たところ、本菌株は優れた抗腫瘍活性を有する一般式
(I)で表される新規なD329物質を生産することを
見出し、その物理化学的性質を明らかにすることにより
本発明を完成した。
【0006】すなわち、本発明は次式(I):
【0007】
【化12】
【0008】(式中、R1
【0009】
【化13】
【0010】
【化14】
【0011】または
【0012】
【化15】
【0013】を示し、R2
【0014】
【化16】
【0015】または
【0016】
【化17】
【0017】を示す。)で表されるD329物質、具体
的にはD329P物質,D329Q物質,D329R物
質およびそれらの誘導体またはそれらの医薬的に許容さ
れる塩を提供すると共に、ストレプトミセス属に属する
D329物質を生産する能力を有する微生物を培地に培
養し、その培養物から上記式(I)で表されるD329
物質を採取することを特徴とするD329物質またはそ
の医薬的に許容される塩の製造法並びに当該D329物
質またはその誘導体あるいはその医薬的に許容される塩
を有効成分として含有する抗腫瘍剤を提供するものであ
る。
【0018】本発明のD329物質を生産する能力を有
する微生物は、ストレプトミセス(Streptomyces)属に
属する菌種である。その一例として、チャートリューシ
ンを生産する能力を有するストレプトミセス・チャート
リューシス(Streptomyces chartreusis) D329株
(以下、D329株と称する。)をニトロソグアニジン
(NTG)処理することにより得た変異株D329−1
85株〔生工研条寄第3269号,(FERM BP-3269) 〕を
挙げることができる。
【0019】D329株は、本発明者らにより埼玉県大
宮市において採集された土壌より分離されたもので、そ
の菌学的性質は以下の通りである。 (1)形態的特徴 栄養菌糸は各種培地上でよく発達し、分断は起こさな
い。分枝した栄養菌糸から形成される気菌糸はブルー系
あるいはグレー系の色調を呈し、10〜50個あるいは
それ以上の胞子の連鎖が認められ、ラセン状をしてい
る。胞子表面はとげ状で、その大きさは0.7×0.9〜1.
1μm で円柱状である。菌核,胞子のう,遊走子は見出
されない。
【0020】(2)各種培地における性状 各種培地上における培養性状を第1表に示す。なお、色
調として( )内に示す番号はアイエスシーシー・エヌ
ビーエス・カラー・ネーム・チャ−ト(ISCC−NB
S Color−Name chart)に記載のもの
を用い、28℃、3週間目の各培地における観察の結果
である。
【0021】
【表1】
【0022】(3)生理的性状 生育温度範囲(酵母エキス・麦芽エキス寒天、14日
間培養):15〜45℃ ゼラチンの液化 : 陽性 デンプンの加水分解 : 陽性 脱脂牛乳の凝固 : 陽性 脱脂牛乳のペプトン化 : 陽性 硝酸塩の還元 : 陽性 セルロースの分解 : 陰性 炭素源の利用性(プリドハム・ゴトリーブ寒天、28
℃、14日間培養):利用する;L-アラビノース,D-キ
シロース,L-ラムノース,D-グルコース,D-ガラクトー
ス,D-フルクトース,D-マンニトール,サリシン,スク
ロース,ラフィノース,イノシトール (4)細胞壁組織 全菌体中のジアミノピメリン酸を分析した結果LL型で
あった。
【0023】以上、D329株の菌学的性状を要約する
と、LL−ジアミノピメリン酸を有し、気菌糸の形態は
ラセン状で、胞子の表面はとげ状である。気菌糸の色調
はブルーからグレー系を呈す。可溶性色素は、各種培地
でイエローからブラウンの色素を生産し、ペプトン・酵
母エキス寒天培地でメラニン様色素を生産する。これら
の諸性質からD329株はストレプトミセス(Streptom
yces)属に属する菌株と考えられ、「バージーズ・マニ
ュアル・オブ・デターミナティブ・バクテリオロジー
(Bergey's Manual of Determinative Bacteriology
)」第8版及びISP報告「インターナショナル・ジ
ャーナル・オブ・システマティック・バクテリオロジー
(International Journal of Systematic Bacteriolog
y)」第18巻、69頁、279頁(1968年)、同
19巻、391頁(1969年)、同22巻、265頁
(1972年)より検索した結果、ストレプトミセス・
チャートリューシスが近縁種として挙げられる。そこ
で、D329株とストレプトミセス・チャートリューシ
スJCM4570とを比較した結果をまとめると、第2
表及び第3表のようになる。
【0024】
【表2】
【0025】
【表3】
【0026】表から明らかなように、とげ状の胞子表面
を有し、その胞子鎖はラセン状である形態的特徴、気菌
糸の色調、ペプトン・酵母エキス寒天培地及びトリプト
ン・酵母エキス液体培地でメラニン様色素を生成する点
及び糖の資化性などで両者はよく一致する。なお、両者
は可溶性色素の生産の点で違いがみられるが、これはD
329株が多量のチャートリューシン(黄色〜オリーブ
色)を生産することに起因すると考えられる。従って、
D329株をストレプトミセス・チャートリューシス
(Streptomyceschartreusis)と同定した。
【0027】D329株をニトロソグアニジン処理して
得た変異株D329−185株はストレプトミセス・チ
ャートリューシス(Streptomyces chartreusis)D32
9−185として工業技術院生命工学工業技術研究所に
生工研条寄第3269号(FERM BP-3269)として寄託さ
れている。
【0028】本発明のD329物質は、上記微生物の培
養によって得られるが、類似化合物を原料として化学修
飾的に得ることも、また化学合成的手法を用いて全合成
的に得ることも可能である。微生物の培養による場合の
使用菌株としては、例えばD329−185株が挙げら
れる。D329−185株は、他の多くの放線菌に観察
されるように、その性状が変化しやすいことから、D3
29物質生産菌株としては上記D329−185株に加
え、自然変異株,人工変異株(紫外線照射,コバルト6
0照射,化学変異誘起剤添加等による)、さらには形質
接合体,遺伝子組換え体であっても、D329物質を生
産する能力を有するものは、すべて本発明に使用でき
る。D329物質は、D329−185株を適当な培地
で好気的に培養し、培養物から単離することにより製造
することができる。
【0029】ここで、培地としてはD329−185株
が利用できる任意の栄養源を含むものが用いられる。具
体例としては、例えば炭素源としてグルコース,フルク
トース,グリセリン,澱粉,デキストリン,糖蜜,動植
物油、さらには菌の資化性により炭化水素,アルコール
類等も単独または組み合わせて利用できる。一方、窒素
源としては、大豆粉,ペプトン,小麦胚芽,肉エキス,
酵母エキス,綿実粕,コーンスチープリカー,オートミ
ール,ファーマメディア(登録商標),硫酸アンモニウ
ム,硝酸ナトリウム,塩化アンモニウム,尿素,グルタ
ミン酸ナトリウム等の天然物あるいは有機・無機の窒素
化合物が単独または組み合わせて利用できる。また、必
要ならば塩化ナトリウム,炭酸カルシウム,硫酸銅,塩
化マンガンをはじめ、ナトリウム,カリウム,カルシウ
ム,マグネシウム,コバルト,塩素,硫酸,燐酸及びそ
の他のイオンを生成できる無機塩類を単独または組み合
わせて添加してもよい。さらに、培養中の発泡を抑える
ために、一般に用いられている消泡剤、例えばシリコー
ンKM73(登録商標),アデカノール(登録商標)等
を適宜添加することもできる。
【0030】培養方法は、一般的な抗生物質の生産方法
と同様に、好気的液体培養が最適である。培養条件は、
温度が25〜37℃、好ましくは28〜30℃で、かつ
好気的条件下で培養すればよい。この方法によるD32
9物質の生産量は通常、振とう培養で培養14〜20日
目に最高となる。培養物中のD329物質の蓄積量が最
高に達した時点で培養を停止し、培養物から目的物、主
にP,QまたはRを回収・精製する。
【0031】培養物よりD329物質を得るには、微生
物の培養物より抗生物質を精製・単離する際に通常用い
られる方法、特に後記実施例に示すように、本物質が脂
溶性であるという特性を考慮して実施することができ
る。すなわち、培養物から各種溶媒(アセトン,クロロ
ホルム,酢酸エチルなど)を用いて本物質の抽出を行
う。溶媒に移行したD329物質は以下のような各種手
法を用いて単離・精製することができる。すなわち、合
成吸着剤(ダイヤイオンHP−20/三菱化成社製、ア
ンバーライトXAD−2/ローム・アンド・ハース社製
など)、ゲル濾過剤(セファデックスLH−20/ファ
ルマシア社製、トヨパールHW−40/東ソー社製な
ど)、さらにシリカゲル,セルロース,アルミナ,化学
修飾シリカゲルなどの担体を単独あるいは適宜組み合わ
せることによって有効に行われる。
【0032】上記の培養により得られるD329物質
は、前述の如く、一般式(I)で表される。この式で表
される化合物の具体例を示すと、前記式(a)で表され
るD329P物質、前記式(b)で表されるD329Q
物質、更には下記式
【0033】
【化18】
【0034】で示されるD329R物質(c)などがあ
る。
【0035】さらに、これらD329PおよびQの誘導
体は下記のようにして得られる。すなわち、これらの物
質に反応剤としてキサントヒドロール,塩化ベンジルオ
キシカルボニル等を作用させることにより、該誘導体を
得ることができる。さらに詳細には、D329Pまたは
Q物質に上述した反応剤を−10℃〜150℃、好まし
くは10〜80℃にて、要すれば酸または塩基の存在下
反応させることによりこれらの誘導体が得られる。ここ
で酸とは酢酸,塩酸,硫酸等が、塩基とは水酸化ナトリ
ウム,水酸化カリウム,炭酸水素ナトリウム等が挙げら
れる。
【0036】本発明のD329物質は、D329S物質
を原料として通常の化学修飾または化学合成法により製
造することができる。すなわち、化学反応によりD32
9S物質に前記一般式(I)の化合物における置換基R
1 及びR2 を導入することによって、目的とするD32
9物質を得ることができる。
【0037】本発明のD329物質の糖鎖は、すべての
立体配置をとり得る。また、D329物質の塩の具体例
としては、酸付加体として塩酸,硫酸,リン酸などとの
無機酸類、あるいは酢酸,乳酸,プロピオン酸,マレイ
ン酸,オレイン酸,パルミチン酸,クエン酸,コハク
酸,酒石酸,フマル酸,グルタミン酸,パントテン酸,
ラウリルスルホン酸などとの有機酸塩が挙げられる。
【0038】本発明のD329物質またはその誘導体あ
るいはその医薬的に許容される塩は、抗腫瘍活性を有し
ており、抗腫瘍剤としての利用が期待される。この化合
物は、経口的または非経口的に投与することができる。
経口投与剤としては、通常散剤,錠剤,乳剤,カプセル
剤,顆粒剤,液剤などの形態があり、内服剤の賦形剤の
具体例を挙げると、散剤,その他の内服用粉末剤におけ
る賦形剤としては、乳糖,澱粉,デキストリン,リン酸
カルシウム,炭酸カルシウム,合成及び天然ケイ酸アル
ミニウム,酸化マグネシウム,水酸化アルミニウム,ス
テアリン酸マグネシウム,重炭酸ナトリウムなどが挙げ
られ、液剤における賦形剤としては、水,グリセリン,
単シロップなどが挙げられる。
【0039】また、非経口投与剤としては、注射剤等の
形態があり、注射剤の場合は、無菌の水性または非水性
の溶液剤,懸濁剤,乳濁剤を包含する。水性の溶液剤,
懸濁剤としては、例えば注射用蒸留水及び生理食塩水が
含まれる。非水溶性の溶液剤,懸濁剤としては、例えば
プロピレングリコール,ポリエチレングリコール,オリ
ーブ油のような植物油,エタノールのようなアルコール
類,ポリソルベート80(登録商標)等がある。このよ
うな組成物は、さらに潤滑剤,乳化剤,分散剤のような
補助剤を含んでもよい。これらは、例えばバクテリア保
留フイルターによる濾過または照射によって無菌化され
る。これらはまた無菌の固体組成物を製造し、使用前に
無菌水または無菌の注射用溶媒に溶解して使用すること
もできる。
【0040】上記の各製剤は常法に従って調製すること
ができる。本発明化合物の投与量は、投与方法,患者の
年令,体重,状態および疾患の種類によっても異なる
が、通常、経口的には一日あたり1〜300mg、好ま
しくは10〜100mg、非経口的には一日あたり1〜
200mg、好ましくは5〜50mgであり、これを1
〜5回に分割して投与すればよい。
【0041】
【実施例】以下に本発明を実施例により詳細に説明する
が、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例お
よび試験例に制約されるものではない。 実施例1 乾燥酵母1.0%,リン酸水素二カリウム0.2%,硫酸マ
グネシウム0.1%,マンニトール0.5%,硫酸第一鉄1
0ppm ,塩化マンガン10ppm ,硫酸亜鉛10ppm ,硫
酸銅10ppm ,塩化コバルト10ppm から成る液体培地
をpH8.0に調整し、この培地100mlを分注した500
ml容三角フラスコを121℃で15分間滅菌した。次い
で、D329−185株(FERM BP-3269)を寒天斜面培
地上より上記三角フラスコに植菌した。
【0042】30℃で4日間振とう培養し、一次種培養
液を調製した。この一次種培養液を同じ培地組成を持つ
培地をそれぞれ600ml分注した17本の3リットル容
三角フラスコに4%ずつ植菌し、30℃で16日間振と
う培養した。培養終了後の培養液を遠心分離して菌体を
含むケーキと上澄とに分離した。得られた菌体を含むケ
ーキは80%アセトン1.7リットルに浸漬し、室温で5
時間攪拌した。菌体等は固形物を吸引濾過によって除去
し、アセトン抽出液を得た。
【0043】一方、遠心上澄は合成吸着剤HP−20
(三菱化成社製)270mlを充填したカラムに吸着さ
せ、次いでイオン交換水1リットルで洗った。さらに、
1リットルの80%アセトンで溶出し、アセトン溶液を
得た。前述の菌体からのアセトン抽出液と合わせて減圧
下に濃縮してアセトンを除去し、1リットルとした。こ
の濃縮液を0.5リットルのn−ブタノールで3回抽出を
行い、得られたn−ブタノール溶液を合わせて減圧下で
濃縮し、粗抽出物2.7gを得た。
【0044】このようにして得た粗抽出物をシリカゲル
(ワコーゲルFC−40、和光純薬工業社製)350g
を充填したカラムに吸着させ、ジクロロメタン−メタノ
ール混合液(9:1)で溶出した。D329P物質を含
むフラクションを集めて減圧下に濃縮乾固し、1.0gを
得た。引き続いて、シリカゲル(ワコーゲルFC−4
0、和光純薬工業社製)110gを充填したカラムに吸
着させ、ジクロロメタン−メタノール混合液(97:
3)で溶出した。D329P物質を含むフラクションを
集めて減圧下に濃縮乾固し、粗精製物0.2gを得た。こ
の粗精製物0.2gを高速液体クロマトグラフィー(カラ
ム ウォーターズ社製、NOVA−PAKHR C−1
8 φ25mm×100mm)にかけ、イオン交換水−アセ
トニトリル(75:25)の系で溶出した。D329P
物質画分を濃縮乾固し、純粋なD329P物質46mgを
得た。この物質の物理化学的性質を以下に示す。この物
質の細胞障害活性については後述する試験例に示す。
【0045】D329P物質 (イ)分子量及び分子式 651, C333313N (ロ)マススペクトル(FD-MS ) m/z 651(M+ ) (ハ)高速液体クロマトグラフィー カプセルパック C18カラム(φ4.6mm ×150mm 、資生
堂社製)でイオン交換水/アセトニトリル=7/3の系
で流速1ml/ 分のとき、6.0分で溶出した。
【0046】(ニ)紫外部吸収スペクトル メタノール溶液中で測定したスペクトルは図1に示す通
りである。 (ホ)赤外部吸収スペクトル KBrディスク法で測定したスペクトルは図2に示す通
りである。 (ヘ)プロトン核磁気共鳴スペクトル 重ピリジン中50℃でテトラメチルシラン(TMS)を
基準として測定した400MHzプロトン核磁気共鳴ス
ペクトルは図3に示す通りである。
【0047】(ト)炭素13核磁気共鳴スペクトル 重ピリジン中でテトラメチルシラン(TMS)を基準と
して測定した100MHz炭素13核磁気共鳴スペクト
ルは以下に示す通りである。 δ:182.0(s), 178.8(s), 158.9(s), 156.1(s), 152.2
(s), 147.8(s), 145.9(s),134.9(s), 133.7(s), 133.4
(d), 132.2(d), 130.8(d), 125.3(d), 120.9(d), 119.8
(s), 119.1(d), 118.3(s), 106.8(s), 103.7(s), 101.8
(d), 100.9(d), 81.6(d), 80.2(d), 74.2(d), 72.7(d),
71.9(d), 69.4(d), 69.0(d), 67.4(d), 56.8(q), 24.1
(q), 17.2(q), 17.1(q)
【0048】(チ)溶解性 ジメチルスルフォキサイド,ピリジン,テトラヒドロフ
ランに可溶、メタノール,アセトン,クロロホルムに難
溶、ベンゼン,n−ヘキサンに不溶 (リ)酸性・中性・塩基性の区別 塩基性 (ヌ)外観 紫色粉末
【0049】実施例2 乾燥酵母1.0%,リン酸水素二カリウム0.2%,硫酸マ
グネシウム0.1%,マンニトール0.5%,硫酸第一鉄1
0ppm ,塩化マンガン10ppm ,硫酸亜鉛10ppm ,硫
酸銅10ppm ,塩化コバルト10ppm から成る液体培地
をpH8.0に調整し、この培地100mlを分注した500
ml容三角フラスコを121℃で15分間滅菌した。次い
で、D329−185株(FERM BP-3269)を寒天斜面培
地上より上記三角フラスコに植菌した。
【0050】30℃で4日間振とう培養し、一次種培養
液を調製した。この一次種培養液を同じ培地組成を持つ
培地をそれぞれ600ml分注した3本の3リットル容三
角フラスコに4%ずつ植菌し、30℃で14日間振とう
培養した。培養終了後の培養液を遠心分離して菌体を含
むケーキと上澄とに分離した。得られた菌体を含むケー
キは80%アセトン1.5リットルに浸漬し、室温で5時
間攪拌した。菌体等は固形物を吸引濾過によって除去
し、アセトン抽出液を得た。
【0051】一方、遠心上澄は合成吸着剤HP−20
(三菱化成社製)220mlを充填したカラムに吸着さ
せ、次いでイオン交換水0.6リットルで洗った。さら
に、0.8リットルの80%アセトンで溶出し、アセトン
溶液を得た。前述の菌体からのアセトン抽出液と合わせ
て減圧下に濃縮してアセトンを除去し、0.5リットルと
した。この濃縮液を0.3リットルのn−ブタノールで4
回抽出を行い、得られたn−ブタノール溶液を合わせて
減圧下で濃縮し、粗抽出物3.4gを得た。
【0052】得られた粗抽出物をシリカゲル(ワコーゲ
ルFC−40、和光純薬工業社製)350gを充填した
カラムに吸着させ、ジクロロメタン−メタノール混合液
(93:7)で溶出した。D329P物質を含むフラク
ションを集めて減圧下に濃縮乾固し、0.5gを得た。引
き続いて、シリカゲル(ワコーゲルFC−40、和光純
薬工業社製)110gを充填したカラムに吸着させ、ジ
クロロメタン−メタノール混合液(95:5)で溶出し
た。D329P物質を含むフラクションを集めて減圧下
に濃縮乾固し、粗精製物0.3gを得た。この粗精製物0.
3gを化学修飾シリカゲル(YMC ODS−AQ 1
20−S50,ワイエムシィ社製)130gを充填した
カラムに吸着させ、イオン交換水−アセトニトリル(7
5:25)の系で溶出した。D329P物質画分を濃縮
乾固し、純粋なD329P物質36mgを得た。この物質
の物理化学的性質および後述する細胞障害活性について
は実施例1で得られた物質と同じである。
【0053】実施例3 乾燥酵母1.0%,リン酸水素二カリウム0.2%,硫酸マ
グネシウム0.1%,マンニトール0.5%,硫酸第一鉄1
0ppm ,塩化マンガン10ppm ,硫酸亜鉛10ppm ,硫
酸銅10ppm ,塩化コバルト10ppm から成る液体培地
をpH8.0に調整し、この培地100mlを分注した500
ml容三角フラスコを121℃で15分間滅菌した。次い
で、D329−185株(FERM BP-3269)を寒天斜面培
地上より上記三角フラスコに植菌した。
【0054】30℃で4日間振とう培養し、一次種培養
液を調製した。この一次種培養液を同じ培地組成を持つ
培地をそれぞれ600ml分注した11本の3リットル容
三同じ培地組成を持つ培地をそれぞれ600ml分注した
11本の3リットル容三角フラスコに4%ずつ植菌し、
30℃で19日間振とう培養した。培養終了後の培養液
を遠心分離して菌体を含むケーキと上澄とに分離した。
得られた菌体を含むケーキは80%アセトン5.0リット
ルに浸漬し、室温で5時間攪拌した。菌体等の固形物を
吸引濾過によって除去し、アセトン抽出液を得た。
【0055】一方、遠心上澄は合成吸着剤HP−20
(三菱化成社製)600mlを充填したカラムに吸着さ
せ、次いでイオン交換水1.5リットルで洗った。さら
に、1.5リットルの80%アセトンで溶出し、アセトン
溶液を得た。前述の菌体からのアセトン抽出液と合わせ
て減圧下に濃縮してアセトンを除去し、2.5リットルと
した。この濃縮液を1.8リットルの酢酸エチルで3回抽
出を行い、得られた酢酸エチル溶液を合わせて減圧下で
濃縮し、酢酸エチル抽出物3.8gを得た。引き続いて、
水層を1.8リットルのn−ブタノールで3回抽出を行
い、得られたn−ブタノール溶液を合わせて減圧下で濃
縮し、n−ブタノール抽出物3.0gを得た。
【0056】得られたn−ブタノール抽出物をシリカゲ
ル(ワコーゲルC−200、和光純薬工業社製)350
gを充填したカラムに吸着させ、ジクロロメタン−メタ
ノール混合液(9:1→7:3→1:1)で順次溶出し
た。D329Q物質を含むフラクションを集めて減圧下
に濃縮乾固し、1.3gを得た。引き続いて、シリカゲル
(ワコーゲルFC−40、和光純薬工業社製)350g
を充填したカラムに吸着させ、ジクロロメタン−メタノ
ール混合液(9:1→8:2)で溶出した。D329Q
物質を含むフラクションを集めて減圧下に濃縮乾固し、
粗精製物0.3gを得た。この粗精製物0.3gを化学修飾
シリカゲル(YMC ODS−AQ 120−S50,
ワイエムシィ社製)130gを充填したカラムに吸着さ
せ、イオン交換水−アセトニトリル(7:3)の系で溶
出した。D329Q物質画分を濃縮乾固し、純粋なD3
29Q物質5mgを得た。この物質の物理化学的性質を以
下に示す。この物質の細胞障害活性については後述する
試験例に示す。
【0057】D329Q物質 (イ)分子量及び分子式 637, C323113N (ロ)マススペクトル(FAB-MS, Pos.) m/z 638(M+H)+ (ハ)高速液体クロマトグラフィー カプセルパック C18カラム(φ4.6mm ×150mm 、資生
堂社製)でイオン交換水/アセトニトリル=7/3の系
で流速1ml/ 分のとき、4.9分で溶出した。
【0058】(ニ)紫外部吸収スペクトル メタノール溶液中で測定したスペクトルは図4に示す通
りである。 (ホ)赤外部吸収スペクトル KBrディスク法で測定したスペクトルは図5に示す通
りである。 (ヘ)プロトン核磁気共鳴スペクトル 重ピリジン中50℃でテトラメチルシラン(TMS)を
基準として測定した400MHzプロトン核磁気共鳴ス
ペクトルは図6に示す通りである。
【0059】(ト)炭素13核磁気共鳴スペクトル 重ピリジン中でテトラメチルシラン(TMS)を基準と
して測定した100MHz炭素13核磁気共鳴スペクト
ルは以下に示す通りである。 δ:182.2, 179.0, 159.0, 156.2, 152.2, 147.9, 146.
0, 134.9, 133.9, 133.4,132.1, 130.9, 125.4, 121.0,
119.8, 119.2, 118.4, 106.8, 103.8, 102.1, 101.0,
80.5, 74.1, 73.5, 72.6, 71.9, 71.9, 70.5, 67.6, 2
4.0, 17.2, 17.1
【0060】(チ)溶解性 ピリジンに可溶、ジメチルスルフォキサイド,メタノー
ルに難溶、テトラヒドロフラン,アセトン,クロロホル
ム,ベンゼン,n−ヘキサンに不溶 (リ)酸性・中性・塩基性の区別 塩基性 (ヌ)外観 紫色粉末
【0061】実施例4 乾燥酵母1.0%,リン酸水素二カリウム0.2%,硫酸マ
グネシウム0.1%,マンニトール2.0%,硫酸第一鉄1
0ppm ,塩化マンガン10ppm ,硫酸亜鉛10ppm ,硫
酸銅10ppm ,塩化コバルト10ppm から成る液体培地
をpH8.0に調整し、この培地100mlを分注した500
ml容三角フラスコを121℃で15分間滅菌した。次い
で、D329−185株(FERM BP-3269)を寒天斜面培
地上より上記三角フラスコに植菌した。
【0062】30℃で4日間振とう培養し、一次種培養
液を調製した。この一次種培養液を同じ培地組成を持つ
培地をそれぞれ600ml分注した16本の3リットル容
三角フラスコに4%ずつ植菌し、30℃で20日間振と
う培養した。培養終了後の培養液を遠心分離して菌体を
含むケーキと上澄とに分離した。得られた菌体を含むケ
ーキは80%アセトン5.0リットルに浸漬し、室温で一
晩静置した。菌体等の固形物を吸引濾過によって除去
し、アセトン抽出液を得た。
【0063】一方、遠心上澄は合成吸着剤HP−20
(三菱化成社製)1.4リットルを充填したカラムに吸着
させ、次いでイオン交換水3.0リットルで洗った。さら
に、3.0リットルの80%アセトンで溶出し、アセトン
溶液を得た。前述の菌体からのアセトン抽出液と合わせ
て減圧下に濃縮してアセトンを除去し、1.5リットルと
した。この濃縮液を1.0リットルの酢酸エチルで3回抽
出を行い、得られた酢酸エチル溶液を合わせて減圧下で
濃縮し、酢酸エチル抽出物4.2gを得た。引き続いて、
水層を1.0リットルのn−ブタノールで4回抽出を行
い、得られたn−ブタノール溶液を合わせて減圧下で濃
縮し、n−ブタノール抽出物3.1gを得た。
【0064】得られたn−ブタノール抽出物をシリカゲ
ル(ワコーゲルFC−40、和光純薬工業社製)350
gを充填したカラムに吸着させ、ジクロロメタン−メタ
ノール混合液(92:8→7:3→1:1)で溶出し
た。D329Q物質を含むフラクションを集めて減圧下
に濃縮乾固し、0.2gを得た。引き続いて、シリカゲル
(ワコーゲルFC−40、和光純薬工業社製)120g
を充填したカラムに吸着させ、ジクロロメタン−メタノ
ール混合液(95:5)で溶出した。D329Q物質を
含むフラクションを集めて減圧下に濃縮乾固し、粗精製
物20mgを得た。粗精製物20mgを高速液体クロマトグ
ラフィー(カラム ウォーターズ社製、NOVA−PA
K HR C−18 φ25mm×100mm)にかけ、イ
オン交換水−アセトニトリル(77:23)の系で溶出
した。D329Q物質画分を濃縮乾固し、純粋なD32
9Q物質12mgを得た。この物質の物理化学的性質及び
後述する細胞障害活性については実施例3で得られた物
質と同じである。
【0065】実施例5 乾燥酵母1.0%,リン酸水素二カリウム0.2%,硫酸マ
グネシウム0.1%,マンニトール2.0%,硫酸第一鉄1
0ppm ,塩化マンガン10ppm ,硫酸亜鉛10ppm ,硫
酸銅10ppm ,塩化コバルト10ppm から成る液体培地
をpH8.0に調整し、この培地100mlを分注した500
ml容三角フラスコを121℃で15分間滅菌した。次い
で、D329−185株(FERM BP-3269)を寒天斜面培
地上より上記三角フラスコに植菌した。
【0066】30℃で4日間振とう培養し、一次種培養
液を調製した。この一次種培養液を同じ培地組成を持つ
培地をそれぞれ600ml分注した11本の3リットル容
三角フラスコに4%ずつ植菌し、30℃で19日間振と
う培養した。培養終了後の培養液を遠心分離して菌体を
含むケーキと上澄とに分離した。得られた菌体を含むケ
ーキは80%アセトン5.0リットルに浸漬し、室温で5
時間攪拌した。菌体等の固形物を吸引濾過によって除去
し、アセトン抽出液を得た。
【0067】一方、遠心上澄は合成吸着剤HP−20
(三菱化成社製)600mlを充填したカラムに吸着さ
せ、次いでイオン交換水1.5リットルで洗った。さら
に、1.5リットルの80%アセトンで溶出し、アセトン
溶液を得た。前述の菌体からのアセトン抽出液と合わせ
て減圧下に濃縮してアセトンを除去し、2.5リットルと
した。この濃縮液を1.8リットルの酢酸エチルで3回抽
出を行い、得られた酢酸エチル溶液を合わせて減圧下で
濃縮し、酢酸エチル抽出物3.8gを得た。引き続いて、
水層を1.8リットルのn−ブタノールで3回抽出を行
い、得られたn−ブタノール溶液を合わせて減圧下で濃
縮し、n−ブタノール抽出物3.0gを得た。
【0068】得られたn−ブタノール抽出物をシリカゲ
ル(ワコーゲルC−200、和光純薬工業社製)350
gを充填したカラムに吸着させ、ジクロロメタン−メタ
ノール混合液(9:1→7:3→1:1)で順次溶出し
た。D329R物質を含むフラクションを集めて減圧下
に濃縮乾固し、1.3gを得た。引き続いて、シリカゲル
(ワコーゲルFC−40、和光純薬工業社製)350g
を充填したカラムに吸着させ、ジクロロメタン−メタノ
ール混合液(9:1→8:2)で溶出した。D329R
物質を含むフラクションを集めて減圧下に濃縮乾固し、
0.2gを得た。
【0069】これを化学修飾シリカゲル(YMC OD
S−AQ 120−S50,ワイエムシィ社製)120
gを充填したカラムに吸着させ、イオン交換水−アセト
ニトリル(7:3)の系で溶出した。D329R物質を
含むフラクションを集めて減圧下に濃縮乾固し、粗精製
物16mgを得た。この粗精製物を高速液体クロマトグラ
フィー(カラム 資生堂社製、カプセルパック C18
φ6mm×250mm)にかけ、イオン交換水−アセト
ニトリル(1:1)の系で分取し、D329R物質画分
を濃縮乾固し、純粋なD329R物質0.5mgを得た。こ
の物質の物理化学的性質を以下に示す。
【0070】D329R物質 (イ)分子量及び分子式 797, C394317N (ロ)マススペクトル(FAB-MS, Pos.) m/z 820(M+Na)+ (ハ)高速液体クロマトグラフィー カプセルパック C18カラム(φ4.6mm ×150mm 、資生
堂社製)でイオン交換水/アセトニトリル=7/3の系
で流速1ml/ 分のとき、4.0分で溶出した。
【0071】(ニ)紫外部吸収スペクトル メタノール溶液中で測定したスペクトルは図7に示す通
りである。 (ホ)赤外部吸収スペクトル KBrディスク法で測定したスペクトルは図8に示す通
りである。 (ヘ)プロトン核磁気共鳴スペクトル 重ピリジン中テトラメチルシラン(TMS)を基準とし
て測定した400MHzプロトン核磁気共鳴スペクトル
は図9に示す通りである。
【0072】(ト)炭素13核磁気共鳴スペクトル 重ピリジン中でテトラメチルシラン(TMS)を基準と
して測定した100MHz炭素13核磁気共鳴スペクト
ルは以下に示す通りである。 δ:182.3, 179.3, 158.9, 155.2, 152.1, 147.9, 145.
9, 135.0, 134.3, 133.4,132.0, 130.7, 125.7, 121.4,
120.7, 120.2, 118.8, 107.2, 104.1, 100.5, 96.6, 9
6.3, 81.3, 77.9, 73.63, 73.56, 73.4, 72.9, 71.6, 6
9.9, 68.7, 68.6,67.1, 66.9, 56.5, 24.1, 17.2, 17.
0, 16.5
【0073】(チ)溶解性 ジメチルスルフォキサイド,ピリジン,テトラヒドロフ
ラン,メタノールに可溶、アセトンに難溶、クロロホル
ム,ベンゼン,n−ヘキサンに不溶 (リ)酸性・中性・塩基性の区別 塩基性 (ヌ)外観 紫色粉末
【0074】実施例6 乾燥酵母1.0%,リン酸水素二カリウム0.2%,硫酸マ
グネシウム0.1%,マンニトール2.0%,硫酸第一鉄1
0ppm ,塩化マンガン10ppm ,硫酸亜鉛10ppm ,硫
酸銅10ppm ,塩化コバルト10ppm から成る液体培地
をpH8.0に調整し、この培地100mlを分注した500
ml容三角フラスコを121℃で15分間滅菌した。次い
で、D329−185株(FERM BP-3269)を寒天斜面培
地上より上記三角フラスコに植菌した。
【0075】30℃で4日間振とう培養し、一次種培養
液を調製した。この一次種培養液を同じ培地組成を持つ
培地をそれぞれ600ml分注した16本の3リットル容
三角フラスコに4%ずつ植菌し、30℃で20日間振と
う培養した。培養終了後の培養液を遠心分離して菌体を
含むケーキと上澄とに分離した。得られた菌体を含むケ
ーキは80%アセトン5.0リットルに浸漬し、室温で一
晩静置した。菌体等の固形物を吸引濾過によって除去
し、アセトン抽出液を得た。
【0076】一方、遠心上澄は合成吸着剤HP−20
(三菱化成社製)1.4リットルを充填したカラムに吸着
させ、次いでイオン交換水3.0リットルで洗った。さら
に、3.0リットルの80%アセトンで溶出し、アセトン
溶液を得た。前述の菌体からのアセトン抽出液と合わせ
て減圧下に濃縮してアセトンを除去し、1.5リットルと
した。この濃縮液を1.0リットルの酢酸エチルで3回抽
出を行い、得られた酢酸エチル溶液を合わせて減圧下で
濃縮し、酢酸エチル抽出物4.2gを得た。引き続いて、
水層を1.0リットルのn−ブタノールで4回抽出を行
い、得られたn−ブタノール溶液を合わせて減圧下で濃
縮し、n−ブタノール抽出物3.1gを得た。
【0077】得られたn−ブタノール抽出物をシリカゲ
ル(ワコーゲルFC−40、和光純薬工業社製)350
gを充填したカラムに吸着させ、ジクロロメタン−メタ
ノール混合液(92:8→7:3→1:1)で順次溶出
した。D329R物質を含むフラクションを集めて減圧
下に濃縮乾固し、0.2gを得た。引き続いて、シリカゲ
ル(ワコーゲルFC−40、和光純薬工業社製)120
gを充填したカラムに吸着させ、ジクロロメタン−メタ
ノール混合液(95:5)で溶出した。D329R物質
を含むフラクションを集めて減圧下に濃縮乾固し、粗精
製物12mgを得た。この粗精製物を高速液体クロマト
グラフィー(カラム ワイエムシィ社製、R−SIL−
5 φ4.6mm×250mm)にかけ、ジクロロメタン
−メタノール(95:5)の系で溶出した。D329R
物質画分を濃縮乾固し、純粋なD329R物質1mgを得
た。この物質の物理化学的性質は実施例5で得られた物
質と同じである。
【0078】実施例7 D329S物質を原料として通常の化学修飾または化学
合成的手法により前述したD329P,Q及びR物質を
得た。なお、D329S物質は、下記の実施例8及び9
に示すように、D329P,Q及びR物質からも誘導す
ることができる。
【0079】実施例8 D329P物質5.0mgを1規定塩酸0.6mlと共に小
サンプル管に入れ、密栓し、100℃で3時間攪拌し
た。室温まで放冷後、生じた沈澱を吸引濾過し、少量の
イオン交換水で洗い、濾紙上に残ったD329S物質2.
4mgを得た。この物質の物理化学的性質を以下に示
す。
【0080】D329S物質 (イ)分子量及び分子式 345, C20115 N (ロ)マススペクトル(FD-MS) m/z 345(M+ ) (ハ)高速液体クロマトグラフィー カプセルパック C18カラム(φ4.6mm ×150mm 、資生
堂社製)でイオン交換水/アセトニトリル=1/1の系
で流速1ml/ 分のとき、8.3分で溶出した。
【0081】(ニ)赤外部吸収スペクトル KBrディスク法で測定したスペクトルは図10に示す
通りである。 (ホ)溶解性 ジメチルスルフォキサイド,ピリジン,テトラヒドロフ
ランに可溶、アセトン,クロロホルム,ベンゼンに難
溶、メタノール,n−ヘキサンに不溶 (ヘ)酸性・中性・塩基性の区別 塩基性 (ト)外観 紫色粉末
【0082】実施例9 D329Q物質3.0mgを1規定塩酸0.4mlと共に小
サンプル管に入れ、密栓し、100℃で3時間攪拌し
た。室温まで放冷後、生じた沈澱を吸引濾過し、少量の
イオン交換水で洗い、濾紙上に残ったD329S物質1.
5mgを得た。この物質の物理化学的性質は実施例8で
得られた物質と同じである。
【0083】以上のような方法によって得られたD32
9物質、特にD329P,Q,RおよびS物質の物理化
学的性質を実施例中に示したが、さらに構造研究を行な
った結果、これらのD329物質の化学構造を前記構造
式のように決定した。この物理化学的性質に一致する公
知の化合物は存在しないことより、D329物質は新規
な化合物であると認定される。
【0084】実施例10 キサンチルD329P物質 D329P物質30mgの酢酸溶液5mlに室温攪拌下
キサントヒドロール11mgを加え60℃にて3時間攪
拌した。反応液を氷水15mlに注ぎジクロルメタン2
0mlで2回抽出した。ジクロルメタン層を分離後15
mlの飽和重曹水で2回水洗し、15mlの飽和食塩水
で2回洗浄し、さらに無水硫酸ナトリウムで乾燥した。
無水硫酸ナトリウムを濾過して除き、得られたジクロル
メタン溶液を減圧下濃縮して、紫色の油状物質を得た。
これを減圧乾燥後シリカゲルプレートを用いた分取薄層
クロマトグラフィー(展開溶媒 ジクロルメタン:メタ
ノール=9:1)にて精製しキサンチル誘導体35.7m
gを得た。
【0085】(イ)マススペクトル(FD-MS) m/z 832(M+ +H) (ロ)紫外部吸収スペクトル(メタノール中):22
9,262,408,540,580 (ハ)赤外部吸収スペクトル KBrディスク法で測定した赤外線スペクトルは図11
に示す通りである。 (ニ)プロトン核磁気共鳴スペクトル 重クロロホルム(27℃)でテトラメチルシラン(TM
S)を基準として測定した400Mzプロトン核磁気共
鳴スペクトルは図12に示す通りである。 (ホ)炭素13核磁気共鳴スペクトル 重クロロホルム(27℃)でテトラメチルシラン(TM
S)を基準として測定した100MHz炭素13核磁気
共鳴スペクトルは図13に示す通りである。
【0086】ベンジルオキシカルボニルD329P物質 D329P物質20mgのテトラヒドロフラン溶液5m
lに室温攪拌下、塩化ベンジルオキシカルボニル0.01
ml及び炭酸水素ナトリウム0.1gを加え12時間攪拌
した。15mlの1N塩酸で酸性として20mlの酢酸
エチルで2回抽出した。酢酸エチル層を20mlの飽和
重曹水で2回洗浄し、20mlの飽和食塩水で2回洗浄
し、さらに無水硫酸ナトリウムで乾燥した。無水硫酸ナ
トリウムを濾過して除き、得られた酢酸エチル溶液を減
圧下濃縮して、紫色の油状物質を得た。これを減圧乾燥
後、シリカゲルプレートを用いた分取薄層クロマトグラ
フィー(展開溶媒 ジクロルメタン:メタノール=9:
1)にて精製しキサンチル誘導体35.7mgを得た。
【0087】(イ)マススペクトル(FD-MS) m/z 771 (ロ)紫外部吸収スペクトル(メタノール中):22
8,261,405,540,580
【0088】
【試験例】
(1)抗腫瘍活性 マウス繊維肉腫Meth A細胞をマウス1匹あたり
1×106 個腹腔内に移植したCDF1 マウスに対し
て、細胞移植後24時間後から1日1回、計4回ジメチ
ルスルフォキサイド10%水溶液に溶解したD329P
物質を腹腔内に投与したときの治療効果を延命効果で測
定し、結果を第4表に示した。なお、表中の延命効果
は、対照群の平均生存日数(C)に対する治療群の平均
生存日数(T)の比を百分率をもって表したものであ
る。
【0089】
【表4】
【0090】種々の培養細胞に対する細胞障害活性を
検討した。各細胞を96穴マイクロプレートに蒔き込
み、37℃で5%CO2 存在下に培養した。24時間後
に種々の濃度の被検物質を添加し、さらに96時間後、
MTT法(医学のあゆみ、141巻、533〜537ペ
ージ、1987年)に基づき、50%増殖阻害濃度(I
50)を算出した。各細胞に対するIC50値を第5表に
示した。
【0091】
【表5】
【0092】(2)急性毒性 BALB/cマウスを用いた急性毒性試験において腹腔
内投与でD329P物質、D329Q物質ともに100
mg/kgでも毒性を示さなかった。ここで、試験例は示さ
ないが、D329R物質も同様の効果及び低毒性を示し
た。
【0093】
【発明の効果】本発明のD329物質、すなわちD32
9P,QおよびR物質は、毒性が少なく優れた抗腫瘍作
用を示すことより、抗癌剤として有用であると考えら
れ、医療用の抗癌剤としての利用が期待される。また、
化学合成的手法によって誘導体を合成することにより、
活性のさらに向上することも期待され、合成中間体とし
ても高い価値を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 D329P物質のメタノール中で測定した紫
外部吸収スペクトル図である。
【図2】 D329P物質のKBrディスク法で測定し
た赤外部吸収スペクトル図である。
【図3】 D329P物質の重ピリジン中、50℃でテ
トラメチルシラン(TMS)を基準として測定したプロ
トン核磁気共鳴スペクトル図である。
【図4】 D329Q物質のメタノール中で測定した紫
外部吸収スペクトル図である。
【図5】 D329Q物質のKBrディスク法で測定し
た赤外部吸収スペクトル図である。
【図6】 D329Q物質の重ピリジン中、50℃でテ
トラメチルシラン(TMS)を基準として測定したプロ
トン核磁気共鳴スペクトル図である。
【図7】 D329R物質のメタノール中で測定した紫
外部吸収スペクトル図である。
【図8】 D329R物質のKBrディスク法で測定し
た赤外部吸収スペクトル図である。
【図9】 D329R物質の重ピリジン中、室温でテト
ラメチルシラン(TMS)を基準として測定したプロト
ン核磁気共鳴スペクトル図である。
【図10】 D329S物質のKBrディスク法で測定
した赤外部吸収スペクトル図である。
【図11】 キサンチルD329P誘導体物質のKBr
ディスク法で測定した赤外部吸収スペクトル図である。
【図12】 キサンチルD329P誘導体物質の重クロ
ロホルム中、27℃でテトラメチルシラン(TMS)を
基準として測定したプロトン核磁気共鳴スペクトル図で
ある。
【図13】 キサンチルD329P誘導体物質の重クロ
ロホルム中、27℃でテトラメチルシラン(TMS)を
基準として測定した炭素13磁気共鳴スペクトル図であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12R 1:465) (72)発明者 中村 武彦 静岡県焼津市岡当目10番地 サッポロビー ル株式会社医薬開発研究所内 (72)発明者 棟方 正信 静岡県焼津市岡当目10番地 サッポロビー ル株式会社医薬開発研究所内 (72)発明者 岡本 能弘 静岡県焼津市岡当目10番地 サッポロビー ル株式会社医薬開発研究所内 (72)発明者 内田 秀明 愛知県名古屋市天白区植田山4−503 メ ゾンドポプラ202号

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次式(I): 【化1】 (式中、R1 は 【化2】 【化3】 または 【化4】 を示し、R2 は 【化5】 または 【化6】 を示す。)で表されるD329物質またはその誘導体、
    あるいはその医薬的に許容される塩。
  2. 【請求項2】 次式(a): 【化7】 で表されるD329P物質またはその医薬的に許容され
    る塩。
  3. 【請求項3】 次式(b): 【化8】 で表されるD329Q物質またはその医薬的に許容され
    る塩。
  4. 【請求項4】 次式 【化9】 で表される請求項2記載の化合物D329P物質の誘導
    体またはその医薬的に許容される塩。
  5. 【請求項5】 次式 【化10】 で表される請求項2記載の化合物D329P物質の誘導
    体またはその医薬的に許容される塩。
  6. 【請求項6】 次式(II): 【化11】 で表されるD329S物質。
  7. 【請求項7】 請求項6記載の式(II)で表されるD3
    29S物質に請求項1記載の置換基R1 およびR2 を導
    入することを特徴とする請求項1記載の式(I)で表さ
    れるD329物質またはその誘導体の製造法。
  8. 【請求項8】 ストレプトミセス属に属し、請求項1記
    載のD329物質を生産する能力を有する微生物を培地
    に培養し、その培養物から当該D329物質を採取する
    ことを特徴とするD329物質またはその医薬的に許容
    される塩の製造法。
  9. 【請求項9】 D329物質を生産する能力を有する微
    生物がストレプトミセス・チャートリューシスD329
    −185株〔Streptomyces chartreusis, 生工研条寄第
    3269号,(FERM BP-3269)〕である請求項8記載のD
    329物質またはその医薬的に許容される塩の製造法。
  10. 【請求項10】 ストレプトミセス属に属し、請求項2
    記載のD329P物質を生産する能力を有する微生物を
    培地に培養し、その培養物から当該D329P物質を採
    取することを特徴とするD329P物質またはその医薬
    的に許容される塩の製造法。
  11. 【請求項11】 D329P物質を生産する能力を有す
    る微生物がストレプトミセス・チャートリューシスD3
    29−185株〔Streptomyces chartreusis, 生工研条
    寄第3269号,(FERM BP-3269)〕である請求項10記
    載のD329P物質またはその医薬的に許容される塩の
    製造法。
  12. 【請求項12】 ストレプトミセス属に属し、請求項3
    記載のD329Q物質を生産する能力を有する微生物を
    培地に培養し、その培養物から当該D329Q物質を採
    取することを特徴とするD329Q物質またはその医薬
    的に許容される塩の製造法。
  13. 【請求項13】 D329Q物質を生産する能力を有す
    る微生物がストレプトミセス・チャートリューシスD3
    29−185株〔Streptomyces chartreusis, 生工研条
    寄第3269号,(FERM BP-3269)〕である請求項12記
    載のD329Q物質またはその医薬的に許容される塩の
    製造法。
  14. 【請求項14】 請求項1記載のD329物質またはそ
    の誘導体あるいはその医薬的に許容される塩を有効成分
    として含有する抗腫瘍剤。
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EP0711785A1 (en) * 1994-09-19 1996-05-15 Bristol-Myers Squibb Company Novel antitumor antibiotic compounds: hayumicins and analogs thereof

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