JPH06240467A - 耐糸錆性に優れたアルミニウム板 - Google Patents

耐糸錆性に優れたアルミニウム板

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JPH06240467A
JPH06240467A JP20870891A JP20870891A JPH06240467A JP H06240467 A JPH06240467 A JP H06240467A JP 20870891 A JP20870891 A JP 20870891A JP 20870891 A JP20870891 A JP 20870891A JP H06240467 A JPH06240467 A JP H06240467A
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JP
Japan
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bath
aluminum
phosphate
cathode
acid
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JP20870891A
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English (en)
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Tatsuya Kanamaru
辰也 金丸
Katsutoshi Arai
勝利 新井
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、耐糸錆性に優れたアルミニウム板
に関するものである。 【構成】 アルミニウム板表面に0.5g/m2以上の
エッチングを施す。又は該エッチング表面にFe,N
i,Cu,Cr,Mnの中1種又は2種以上からなる金
属を離散的に析出する。 【効果】 アルミニウム板の耐糸錆性を向上し、塗装耐
食性等を向上する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】自動車,運輸材料,建築材料,家
庭用電気機器材料などにアルミニウムおよびその合金が
塗装して使用される場合が多いが、本発明は塗装用途、
特に塗装の前処理としてリン酸塩処理を施して使用され
る分野において、糸状腐食の発生を抑制できるアルミニ
ウムおよびその合金の表面処理に関するものである。な
お、アルミニウムおよびその合金とは、例えば上記産業
分野に一般に使用されている。JIS Z 3263展伸
用アルミニウム合金に規定されている化学成分を有する
か、あるいはそれに近似の化学成分をもつアルミニウム
合金である。
【0002】
【従来の技術とその課題】アルミニウムまたはその合金
(以下単にアルミニウムという)は中性の一般使用環境
において耐食性が優れていることが特徴の一つである
が、塗装して使用される場合には塗膜下で糸状腐食を起
こしやすく、塗装外観を損ねることが欠点となってい
る。糸状腐食を抑制するには塗装前処理の寄与が大きい
ことが知られており、クロム酸クロメートやリン酸クロ
メート皮膜を形成させる方法が比較的良好な性能を示
し、実施されている。しかしながら、例えば自動車ボデ
ィの塗装ラインのように、アルミニウム系材料と鉄鋼材
料を組み立てて塗装前処理を行う場合には、クロメート
系の処理は鉄鋼材料には適用できず、リン酸塩処理のみ
が両材料に皮膜形成できる前処理方法である。しかる
に、リン酸塩処理されたアルミニウムの耐糸錆性は十分
な性能が得られず、鉄鋼材料より劣ることが問題であっ
た。アルミニウム上にはリン酸塩皮膜は完全に被覆し難
い。リン酸塩処理浴中でAlがエッチングされると、表
面にAlPO4が沈澱し、リン酸亜鉛結晶皮膜の形成を
阻害することが知られている。これを改善する方法とし
て、特開昭61−157693号公報にはアルミニウム
表面にZnまたはZn系めっき層を1〜5g/m2被覆
することが開示されている。該方法はリン酸塩皮膜が形
成し難いアルミニウム表面をリン酸塩皮膜が容易に形成
できるZn系めっき層で被覆することによって、アルミ
ニウム板表面にリン酸塩皮膜を全面均一に形成させる技
術である。しかしながら、リン酸塩皮膜が形成できて
も、耐糸錆性はそれほど改善されず、品質上大きな問題
となることがある。
【0003】
【課題を解決するための手段】本発明の特徴とするとこ
ろは、アルミニウム板表面エッチング量を0.5g/m
2以上とした、耐糸錆性に優れたアルミニウム板。及び
0.5g/m2以上のエッチングを施したアルミニウム
板表面にFe,Co,Cu,Cr,Mnの中1種又は2
種以上からなる金属を離散的に析出した、耐糸錆性に優
れたアルミニウム板に関するものである。
【0004】
【作用】糸状腐食は塗膜下の糸錆先端がアノード、その
後方がカソードとなる酸素濃淡電池作用で進行する腐食
であり、糸錆の成長は糸錆尾部のポーラスな錆層を通る
2の拡散速度に支配されると考えられている。Alの
場合には錆層が鉄鋼の場合ほどポーラスではないため、
カソードの一部は糸錆先端周辺の未だ錆びない部分が受
け持ち、糸錆先端周辺部はカソードの酸素還元反応で生
成するOHイオンによってアルカリ性になることが観察
されている。このアルカリによってAl素地およびリン
酸塩皮膜が溶解し、また塗膜の化学結合が破壊され、塗
膜の密着性が劣化して糸錆の成長が促進されると考えら
れる。本発明者らは糸錆の成長を抑制するにはリン酸塩
皮膜の性状が最も重要であると考えた。すなわち、良好
な性状のリン酸塩皮膜であれば、酸素還元反応を抑制
し、かつアルカリに対して高い抵抗をもち得る。
【0005】Alの上のリン酸塩皮膜形成反応はフッ素
イオン添加処理浴といえども核生成が遅く、粗大結晶や
未反応部が生じやすく、そのため耐糸錆性が劣ったもの
と理解される。しかしながら、生成したリン酸亜鉛結晶
の中には粒状で緻密な結晶が存在し、この結晶形態はZ
nの上に生成する針状あるいは葉状のリン酸亜鉛結晶と
は明らかに異なる。後者は結晶間に空隙が多く、酸素還
元反応を抑制し得るバリアーとはなり得ない。本発明者
らはAl上に特有の粒状結晶の粒径を揃えたリン酸塩皮
膜を形成させれば、結晶間空隙の少ない緻密な皮膜が得
られると考え、本発明に到ったのである。
【0006】Alの表面は大気中では10μm程度の極
薄い酸化膜で覆われている。リン酸塩処理の前処理とし
ては通常アルカリ性の脱脂液で洗浄し、Alの酸化物を
溶解する。Mgなどの酸化物はアルカリ中では溶解しな
いので、場合によっては酸洗いも行われている。酸化膜
を溶解除去するにはアルカリ洗浄およびあるいは酸洗浄
で、0.05g/m2程度のエッチングを施せば十分で
あるが、Al上の酸化膜を溶解除去したのみではリン酸
塩皮膜の被覆は十分ではなく、未反応部の残存は防ぎ得
ない。また生成したリン酸塩結晶は粗大となりやすい。
本発明者らは、アルカリ洗浄と酸洗浄で過剰のエッチン
グを施すことにより、アルミニウムおよびその合金(以
下単にアルミニウムという。)のリン酸塩処理性が向上
することを見出した。この理由は定かではないが、次の
ように考えている。
【0007】アルミニウム表面は酸化膜の下もAl,M
g,Siなどの易酸化性の金属成分が濃縮しており、こ
れらの濃化層をエッチング除去すると、Cu,Feなど
の貴金属成分が始めて表面に露出するようになる。C
u,Feなどはリン酸塩反応においてカソードとなり、
アノードからのAlの溶解を促進する。処理浴中のフッ
素イオンは水和AlイオンのHイオン離脱を抑え、素地
界面のPH上昇に補助的に働く。かくして界面のPHは
急上昇して、AlPO4生成域を通り越してリン酸亜鉛
結晶が析出する。アノードに析出するリン酸亜鉛結晶は
エッチングされたAl面とのエピタクシー関係で粒状結
晶になるものと推察される。アノードに生成した結晶核
は成長してカソードを被い尽くし、粒径が5μm程度に
揃った結晶間空隙の少ない緻密な結晶が得られる。C
u,Feなどの有効カソードがない場合には、リン酸塩
処理浴中でのAlの溶解速度は十分ではなく、素地界面
のPH上昇速度が遅い局部にはAlPO4が生成してリ
ン酸亜鉛結晶の析出が阻害される。核生成のサイトが少
ないまま結晶成長段階に入るので粗大結晶化し、カソー
ド部では耐食性の劣る針状のリン酸亜鉛の二次結晶が生
成するのである。
【0008】アルカリおよび酸中でのアルミニウムのエ
ッチング量は0.5g/m2以上が好ましい。それ以下
のエッチング量では効果が不十分である。上限は板厚に
より異なるが3.0g/m2で十分である。アルミニウ
ム板の表面成分を均一にするには、アルカリ洗浄と酸洗
浄を併用することが好ましい。アルカリ洗浄と酸洗浄の
順序は問わない。また、アルカリ洗浄→酸洗浄→アルカ
リ洗浄→酸洗浄のように複数の前処理工程をとることも
可能であるが、要はアルカリ洗浄と酸洗浄のエッチング
全量が0.5g/m2以上であれば良い。酸洗浄浴とし
ては5〜40%の硫酸,硝酸,塩酸などの強酸が使用で
き、浴温度を常温から60℃程度まで高めることも有効
である。アルカリ洗浄浴としては5〜20%のNaOH
水溶液のような強アルカリからNa2CO3やNa3PO4
のような弱アルカリの使用も可能である。このようなエ
ッチング表面にFe,Co,Ni,Cu,Cr,Mn等
の1種又は2種以上析出することにより、一層リン酸処
理性を向上し、耐糸錆性等を向上することができる。
【0009】Fe,Co,Ni,Cu,Cr,Mnなど
がAlのリン酸塩反応に対する有効なカソードになるの
は、腐食電位がAlに対して貴であるばかりではなく、
カソードのH2発生反応に対する触媒作用の効果が寄与
しているものと推察される。Fe,Co,Ni,Cu,
Cr,Mnなどは単独でAl上に析出してもよく、また
2種以上の合金で析出してもよい。更に、これら以外の
金属との合金で析出してもよい。Zn,B,P,Cなど
が上記金属との合金として用いることができる。本発明
はリン酸塩処理中のAl素地の溶解促進が基本であるか
ら、Al面が十分露出するように上記カソード金属を析
出させなければならない。またできるだけ均一に分散し
て析出させることが望ましい。カソード金属類の被覆率
は10〜90%が好ましい範囲である。付着量は平均す
れば0.1〜1g/m2が好ましい。このようにFe等
を析出する態様としては、アルミニウムをアルカリ洗浄
及び/又は酸洗洗浄した後、上記金属イオンを含む酸性
浴又はアルカリ性浴中に浸漬し、化学置換反応で析出さ
せるか又は上記浴中で陰極電解処理により析出すること
ができる。
【0010】次にアルミニウム板表面エッチング後のカ
ソード金属類(Fe,Co,Ni,Cu,Cr,Mn)
の離散的析出方法としては例えば、アルカリ浴でアルミ
ニウム表面を洗浄し、酸化膜を除去して、カソード金属
を析出する場合は、カソード金属イオンを含むPH3以
下の酸性浴又はPH12以上のアルカリ浴中で浸漬又は
電解によって確実に析出させることができるが、浸漬に
よる化学置換反応で析出する場合は、PH13以上又は
PH1以下にして、化学置換反応を早め工業的規模での
析出を容易にすることができる。
【0011】以下具体的に詳述すると、アルミニウムを
アルカリ洗浄と酸洗浄して、Al,Mgなどの酸化膜を
除去した後、上記金属イオンを含むPH3以下の酸性浴
中に浸漬させ、化学置換反応により析出させる。浴の陰
イオンとしては硫酸,硝酸,塩酸が用いられ、反応を促
進するためフッ素イオンを添加することは効果がある。
陽イオンを安定化するため酢酸,クエン酸などの錯形成
剤を添加することもできる。リン酸塩反応の有効カソー
ドとなる金属以外に置換析出しやすいZnイオンなどを
浴中に添加して、合金として析出を促進することも有効
である。B,P,Cなども同様の作用がある。なお、P
H3を越えると浴は安定せず好ましくない。更に、上記
金属イオンを含むPH3以下の酸性浴中で陰極溶解する
ことにより、リン酸塩反応の有効カソードとなる金属を
析出させることもできる。電流密度は1〜100A/d
2が適当であり、被覆率および付着量はクーロン量で
制御できる。一般に電流効率は低いが、Znイオンなど
と合金電着させることによって電流効率を高めることが
できる。浴条件は化学置換法の場合と同様である。
【0012】又アルミニウムをアルカリ洗浄し、次いで
Fe,Co,Ni,Cu,Cr,Mnのうち少なくとも
1種を含む金属イオンを添加したPH1以下の酸性浴に
浸漬する方法でも、素地表面の一部に該金属を含む金属
あるいは合金を離散的に析出せしめることができる。P
H1を越えるとMg,Siなどの酸化物が残存するの
で、PH1以下の酸性浴が好ましい。浴の陰イオンとし
ては硫酸,硝酸,塩酸が用いられ、反応を促進するため
フッ素イオンを添加することは効果がある。更にアルミ
ニウムをアルカリ洗浄と酸洗浄した後、Fe,Co,N
i,Cu,Cr,Mnのうち少なくとも1種を含む金属
イオンを添加したPH12以上のアルカリ性浴中に浸漬
して、素地表面の一部に該金属を含む金属あるいは合金
を離散的に析出せしめることもできる。その作用機構は
酸性浴から析出する場合と同様であり、前記のごとくカ
ソード金属類の表面被覆率は10〜90%が好ましい範
囲であり、平均付着量は0.1〜1g/m2程度が好ま
しい。アルカリ性浴としてはNaOHなどのアルカリ水
溶液中にカソード金属類を塩化物などの形態で溶解し、
必要なら酒石酸塩、アルカノールアミンなどの錯化剤を
補助的に添加して浴安定性を図ることもできる。Znイ
オンなどを添加して、上記カソード金属類の析出を促進
させることも効果がある。
【0013】更に又上記金属イオンを含むpH12以上
のアルカリ性浴中で陰極電解することにより、リン酸塩
反応の有効カソードとなる金属を析出させることもでき
る。電流密度は1〜100A/dm2が適当であり、被
覆率および付着量はクーロン量で制御できる。一般に電
流効率は低いが、Znイオンなどと合金電着させること
によって電流効率を高めることができる。浴条件は化学
置換法の場合と同様である。アルミニウムを酸洗浄し、
次いでFe,Co,Ni,Cu,Cr,Mnのうち少な
くとも1種を含む金属イオンを添加したPH13以上の
アルカリ性浴に浸漬する方法でも、素地表面の一部に該
金属を含む金属あるいは合金を離散的に析出せしめるこ
とができる。PH13未満では化学置換反応が遅いの
で、工業的にはPH13以上が好ましい条件である。ア
ルカリ性浴は上述の化学置換浴などが適用できる。Zn
イオンなどを添加して、カソード金属類の析出を促進さ
せることもできる。
【0014】
【実施例】試験条件と結果について表1に示す。
【0015】
【表1A】
【0016】
【表1B】
【0017】注1:エッチング量の実施例1〜5は、ア
ルカリ水溶液と酸水溶液への浸漬によるエッチング量実
施例6〜20はアルカリ水溶液及び/又は酸水溶液への
浸漬によるエッチング量と、金属析出時金属イオン含有
水溶液との接触によるエッチング量の合計。 注2:リン酸処理はフッ素イオン添加浴で処理。 注3:耐糸錆性は、カチオン電着塗装20μm、中塗
り、上塗りして合計塗膜厚80μとし、塗膜に素地アル
ミニウム板に達するナイフ傷を入れ、塩水噴霧1日、8
5%の40℃湿潤5日、室内放置1日からなるサイクル
条件で8週間試験後の最大糸錆長さを測定した。
【0018】
【発明の効果】本発明によれば、アルミニウム材の耐糸
錆性を向上し、塗装性、耐食性を確実に向上でき工業的
に大きな効果を奏するものである。
【手続補正書】
【提出日】平成3年10月21日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】削除 ─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成6年4月28日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 耐糸錆性に優れたアルミニウム板
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】自動車,運輸材料,建築材料,家
庭用電気機器材料などにアルミニウムおよびその合金が
塗装して使用される場合が多いが、本発明は塗装用途、
特に塗装の前処理としてリン酸塩処理を施して使用され
る分野において、糸状腐食の発生を抑制できるアルミニ
ウムおよびその合金の表面処理に関するものである。な
お、アルミニウムおよびその合金とは、例えば上記産業
分野に一般に使用されている。JIS Z 3263展
伸用アルミニウム合金に規定されている化学成分を有す
るか、あるいはそれに近似の化学成分をもつアルミニウ
ム合金である。
【0002】
【従来の技術とその課題】アルミニウムまたはその合金
(以下単にアルミニウムという)は中性の一般使用環境
において耐食性が優れていることが特徴の一つである
が、塗装して使用される場合には塗膜下で糸状腐食を起
こしやすく、塗装外観を損ねることが欠点となってい
る。糸状腐食を抑制するには塗装前処理の寄与が大きい
ことが知られており、クロム酸クロメートやリン酸クロ
メート皮膜を形成させる方法が比較的良好な性能を示
し、実施されている。しかしながら、例えば自動車ボデ
ィの塗装ラインのように、アルミニウム系材料と鉄鋼材
料を組み立てて塗装前処理を行う場合には、クロメート
系の処理は鉄鋼材料には適用できず、リン酸塩処理のみ
が両材料に皮膜形成できる前処理方法である。しかる
に、リン酸塩処理されたアルミニウムの耐糸錆性は十分
な性能が得られず、鉄鋼材料より劣ることが問題であっ
た。アルミニウム上にはリン酸塩皮膜は完全に被覆し難
い。リン酸塩処理浴中でAlがエッチングされると、表
面にAlPOが沈澱し、リン酸亜鉛結晶皮膜の形成を
阻害することが知られている。これを改善する方法とし
て、特開昭61−157693号公報にはアルミニウム
表面にZnまたはZn系めっき層を1〜5g/m被覆
することが開示されている。該方法はリン酸塩皮膜が形
成し難いアルミニウム表面をリン酸塩皮膜が容易に形成
できるZn系めっき層で被覆することによって、アルミ
ニウム板表面にリン酸塩皮膜を全面均一に形成させる技
術である。しかしながら、リン酸塩皮膜が形成できて
も、耐糸錆性はそれほど改善されず、品質上大きな問題
となることがある。
【0003】
【課題を解決するための手段】本発明の特徴とするとこ
ろは、0.5g/mのエッチングを施したアルミニウ
ム板表面にFe,Co,Cu,Cr,Mnの中1種又は
2種以上からなる金属を離散的に析出した、耐糸錆性に
優れたアルミニウム板に関するものである。
【0004】
【作用】糸状腐食は塗膜下の糸錆先端がアノード、その
後方がカソードとなる酸素濃淡電池作用で進行する腐食
であり、糸錆の成長は糸錆尾部のポーラスな錆層を通る
の拡散速度に支配されると考えられている。Alの
場合には錆層が鉄鋼の場合ほどポーラスではないため、
カソードの一部は糸錆先端周辺の未だ錆びない部分が受
け持ち、糸錆先端周辺部はカソードの酸素還元反応で生
成するOHイオンによってアルカリ性になることが観察
されている。このアルカリによってAl素地およびリン
酸塩皮膜が溶解し、また塗膜の化学結合が破壊され、塗
膜の密着性が劣化して糸錆の成長が促進されると考えら
れる。本発明者らは糸錆の成長を抑制するにはリン酸塩
皮膜の性状が最も重要であると考えた。すなわち、良好
な性状のリン酸塩皮膜であれば、酸素還元反応を抑制
し、かつアルカリに対して高い抵抗をもち得る。
【0005】Alの上のリン酸塩皮膜形成反応はフッ素
イオン添加処理浴といえども核生成が遅く、粗大結晶や
未反応部が生じやすく、そのため耐糸錆性が劣ったもの
と理解される。しかしながら、生成したリン酸亜鉛結晶
の中には粒状で緻密な結晶が存在し、この結晶形態はZ
nの上に生成する針状あるいは葉状のリン酸亜鉛結晶と
は明らかに異なる。後者は結晶間に空隙が多く、酸素還
元反応を抑制し得るバリアーとはなり得ない。本発明者
らはAl上に特有の粒状結晶の粒径を揃えたリン酸塩皮
膜を形成させれば、結晶間空隙の少ない緻密な皮膜が得
られると考え、本発明に到ったのである。
【0006】Alの表面は大気中では10μm程度の極
薄い酸化膜で覆われている。リン酸塩処理の前処理とし
ては通常アルカリ性の脱脂液で洗浄し、Alの酸化物を
溶解する。Mgなどの酸化物はアルカリ中では溶解しな
いので、場合によっては酸洗いも行われている。酸化膜
を溶解除去するにはアルカリ洗浄およびあるいは酸洗浄
で、0.05g/m程度のエッチングを施せば十分で
あるが、Al上の酸化膜を溶解除去したのみではリン酸
塩皮膜の被覆は十分ではなく、未反応部の残存は防ぎ得
ない。また生成したリン酸塩結晶は粗大となりやすい。
本発明者らは、アルカリ洗浄と酸洗浄で過剰のエッチン
グを施すことにより、アルミニウムおよびその合金(以
下単にアルミニウムという。)のリン酸塩処理性が向上
することを見出した。この理由は定かではないが、次の
ように考えている。
【0007】アルミニウム表面は酸化膜の下もAl,M
g,Siなどの易酸化性の金属成分が濃縮しており、こ
れらの濃化層をエッチング除去すると、Cu,Feなど
の貴金属成分が始めて表面に露出するようになる。C
u,Feなどはリン酸塩反応においてカソードとなり、
アノードからのAlの溶解を促進する。処理浴中のフッ
素イオンは水和AlイオンのHイオン離脱を抑え、素地
界面のPH上昇に補助的に働く。かくして界面のPHは
急上昇して、AlPO生成域を通り越してリン酸亜鉛
結晶が析出する。アノードに析出するリン酸亜鉛結晶は
エッチングされたAl面とのエピタクシー関係で粒状結
晶になるものと推察される。アノードに生成した結晶核
は成長してカソードを被い尽くし、粒径が5μm程度に
揃った結晶間空隙の少ない緻密な結晶が得られる。C
u,Feなどの有効カソードがない場合には、リン酸塩
処理浴中でのAlの溶解速度は十分ではなく、素地界面
のPH上昇速度が遅い局部にはAlPOが生成してリ
ン酸亜鉛結晶の析出が阻害される。核生成のサイトが少
ないまま結晶成長段階に入るので粗大結晶化し、カソー
ド部では耐食性の劣る針状のリン酸亜鉛の二次結晶が生
成するのである。
【0008】アルカリおよび酸中でのアルミニウムのエ
ッチング量は0.5g/m以上が好ましい。それ以下
のエッチング量では効果が不十分である。上限は板厚に
より異なるが3.0g/mで十分である。アルミニウ
ム板の表面成分を均一にするには、アルカリ洗浄と酸洗
浄を併用することが好ましい。アルカリ洗浄と酸洗浄の
順序は問わない。また、アルカリ洗浄→酸洗浄→アルカ
リ洗浄→酸洗浄のように複数の前処理工程をとることも
可能であるが、要はアルカリ洗浄と酸洗浄のエッチング
全量が0.5g/m以上であれば良い。酸洗浄浴とし
ては5〜40%の硫酸,硝酸,塩酸などの強酸が使用で
き、浴温度を常温から60℃程度まで高めることも有効
である。アルカリ洗浄浴としては5〜20%のNaOH
水溶液のような強アルカリからNaCOやNa
のような弱アルカリの使用も可能である。このよう
なエッチング表面にFe,Co,Ni,Cu,Cr,M
n等の1種又は2種以上析出することにより、一層リン
酸処理性を向上し、耐糸錆性等を向上することができ
る。
【0009】Fe,Co,Ni,Cu,Cr,Mnなど
がAlのリン酸塩反応に対する有効なカソードになるの
は、腐食電位がAlに対して貴であるばかりではなく、
カソードのH発生反応に対する触媒作用の効果が寄与
しているものと推察される。Fe,Co,Ni,Cu,
Cr,Mnなどは単独でAl上に析出してもよく、また
2種以上の合金で析出してもよい。更に、これら以外の
金属との合金で析出してもよい。Zn,B,P,Cなど
が上記金属との合金として用いることができる。本発明
はリン酸塩処理中のAl素地の溶解促進が基本であるか
ら、Al面が十分露出するように上記カソード金属を析
出させなければならない。またできるだけ均一に分散し
て析出させることが望ましい。カソード金属類の被覆率
は10〜90%が好ましい範囲である。付着量は平均す
れば0.1〜1g/m好ましい。このようにFe等を
析出する態様としては、アルミニウムをアルカリ洗浄及
び/又は酸洗洗浄した後、上記金属イオンを含む酸性浴
又はアルカリ性浴中に浸漬し、化学置換反応で析出させ
るか又は上記浴中で陰極電解処理により析出することが
できる。
【0010】次にアルミニウム板表面エッチング後のカ
ソード金属類(Fe,Co,Ni,Cu,Cr,Mn)
の離散的析出方法としては例えば、アルカリ浴でアルミ
ニウム表面を洗浄し、酸化膜を除去して、カソード金属
を析出する場合は、カソード金属イオンを含むPH3以
下の酸性浴又はPH12以上のアルカリ浴中で浸漬又は
電解によって確実に析出させることができるが、浸漬に
よる化学置換反応で析出する場合は、PH13以上又は
PH1以下にして、化学置換反応を早め工業的規模での
析出を容易にすることができる。
【0011】以下具体的に詳述すると、アルミニウムを
アルカリ洗浄と酸洗浄して、Al,Mgなどの酸化膜を
除去した後、上記金属イオンを含むPH3以下の酸性浴
中に浸漬させ、化学置換反応により析出させる。浴の陰
イオンとしては硫酸,硝酸,塩酸が用いられ、反応を促
進するためフッ素イオンを添加することは効果がある。
陽イオンを安定化するため酢酸,クエン酸などの錯形成
剤を添加することもできる。リン酸塩反応の有効カソー
ドとなる金属以外に置換析出しやすいZnイオンなどを
浴中に添加して、合金として析出を促進することも有効
である。B,P,Cなども同様の作用がある。なお、P
H3を越えると浴は安定せず好ましくない。更に、上記
金属イオンを含むPH3以下の酸性浴中で陰極溶解する
ことにより、リン酸塩反応の有効カソードとなる金属を
析出させることもできる。電流密度は1〜100A/d
が適当であり、被覆率および付着量はクーロン量で
制御できる。一般に電流効率は低いが、Znイオンなど
と合金電着させることによって電流効率を高めることが
できる。浴条件は化学置換法の場合と同様である。
【0012】又アルミニウムをアルカリ洗浄し、次いで
Fe,Co,Ni,Cu,Cr,Mnのうち少なくとも
1種を含む金属イオンを添加したPH1以下の酸性浴に
浸漬する方法でも、素地表面の一部に該金属を含む金属
あるいは合金を離散的に析出せしめることができる。P
H1を越えるとMg,Siなどの酸化物が残存するの
で、PH1以下の酸性浴が好ましい。浴の陰イオンとし
ては硫酸,硝酸,塩酸が用いられ、反応を促進するため
フッ素イオンを添加することは効果がある。更にアルミ
ニウムをアルカリ洗浄と酸洗浄した後、Fe,Co,N
i,Cu,Cr,Mnのうち少なくとも1種を含む金属
イオンを添加したPH12以上のアルカリ性浴中に浸漬
して、素地表面の一部に該金属を含む金属あるいは合金
を離散的に析出せしめることもできる。その作用機構は
酸性浴から析出する場合と同様であり、前記のごとくカ
ソード金属類の表面被覆率は10〜90%が好ましい範
囲であり、平均付着量は0.1〜1g/m程度が好ま
しい。アルカリ性浴としてはNaOHなどのアルカリ水
溶液中にカソード金属類を塩化物などの形態で溶解し、
必要なら酒石酸塩、アルカノールアミンなどの錯化剤を
補助的に添加して浴安定性を図ることもできる。Znイ
オンなどを添加して、上記カソード金属類の析出を促進
させることも効果がある。
【0013】更に又上記金属イオンを含むpH12以上
のアルカリ性浴中で陰極電解することにより、リン酸塩
反応の有効カソードとなる金属を析出させることもでき
る。電流密度は1〜100A/dmが適当であり、被
覆率および付着量はクーロン量で制御できる。一般に電
流効率は低いが、Znイオンなどと合金電着させること
によって電流効率を高めることができる。浴条件は化学
置換法の場合と同様である。アルミニウムを酸洗浄し、
次いでFe,Co,Ni,Cu,Cr,Mnのうち少な
くとも1種を含む金属イオンを添加したPH13以上の
アルカリ性浴に浸漬する方法でも、素地表面の一部に該
金属を含む金属あるいは合金を離散的に析出せしめるこ
とができる。PH13未満では化学置換反応が遅いの
で、工業的にはPH13以上が好ましい条件である。ア
ルカリ性浴は上述の化学置換浴などが適用できる。Zn
イオンなどを添加して、カソード金属類の析出を促進さ
せることもできる。
【0014】
【実施例】試験条件と結果について表1に示す。
【0015】
【表1A】
【0016】
【表1B】
【0017】注1:エッチング量はアルカリ水溶液及び
/又は酸水溶液への浸漬によるエッチング量と、金属析
出時金属イオン含有水溶液との接触によるエッチング量
の合計。 注2:リン酸処理はフッ素イオン添加浴で処理。 注3:耐糸錆性は、カチオン電着塗装20μm、中塗
り、上塗りして合計塗膜厚80μとし、塗膜に素地アル
ミニウム板に達するナイフ傷を入れ、塩水噴霧1日、8
5%の40℃湿潤5日、室内放置1日からなるサイクル
条件で8週間試験後の最大糸錆長さを測定した。
【0018】
【発明の効果】本発明によれば、アルミニウム材の耐糸
錆性を向上し、塗装性、耐食性を確実に向上でき工業的
に大きな効果を奏するものである。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミニウム板表面に0.5g/m2
    上のエッチングを施したことを特徴とする耐糸錆性に優
    れたアルミニウム板。
  2. 【請求項2】 0.5g/m2以上のエッチングを施し
    たアルミニウム板表面にFe,Co,Ni,Cu,C
    r,Mnの中1種又は2種以上からなる金属を離散的に
    析出したことを特徴とする耐糸錆性に優れたアルミニウ
    ム板。
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