JPH06248450A - 高耐食性表面改質TiまたはTi基合金部材 - Google Patents

高耐食性表面改質TiまたはTi基合金部材

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JPH06248450A
JPH06248450A JP3580693A JP3580693A JPH06248450A JP H06248450 A JPH06248450 A JP H06248450A JP 3580693 A JP3580693 A JP 3580693A JP 3580693 A JP3580693 A JP 3580693A JP H06248450 A JPH06248450 A JP H06248450A
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康昭 杉崎
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龍哉 安永
Kazuhisa Kawada
和久 河田
Takashi Yashiki
貴司 屋敷
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 機械加工性を損なうことなく、しかもTi素
地との密着性の問題を本質的に含まない表面処理層を簡
素な工程で形成することによって、高耐食性のTiまた
はTi基合金部材を実現する。 【構成】 TiまたはTi基合金部材の表面に、Pを5
×1016イオン/cm2の割合でイオン注入し、Tiま
たはTi基合金部材の表層部にPの濃度富化層を形成す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、耐食性の改善されたT
iまたはTi基合金部材に関し、特に非酸化性酸溶液や
高温高濃度塩化物溶液を使用する化学プラントや原子力
プラントの構成部材として利用できる様にしたTiまた
はTi基合金部材に関するものである。尚以下の説明で
はTiを代表的にとりあげるが、本発明で対象とする部
材はTiに限らず、例えばTi−6Al−4V,Ti−
15Mo−5Zr,Ti−15Mo−5Zr−3Al等
の種々のTi基合金に対して同様に適用することができ
る。
【0002】
【従来の技術】Tiは、高融点,軽量,高強度等の特長
を有すると共に耐腐食性にも優れており、一部の化学プ
ラントや原子力プラント等の分野において使用されてい
る。しかしながらTiの耐食性にも限界があり、腐食事
故例がこれまで数多く報告されている。その多くは、高
温高濃度塩化物中における隙間腐食事故である。またT
iは硝酸のような酸化性の環境においては卓越した耐食
性を示すと言われていたが、この様な環境下においても
応力腐食割れや粒界腐食による部材の損傷が報告されて
いる。更にTiの耐食性は不動態化皮膜の保護作用によ
って達成されるものであるから、塩酸や硫酸の様な非酸
化性環境においては活性腐食を起こし耐食性が著しく劣
化する。こうしたことから、Tiは極く限られた工業分
野においてしか適用されていないのが実情である。
【0003】そこでTiの耐食性を改善するという観点
から、Tiの合金化法や表面処理法が検討されてきた
が、いずれも十分なものとは言えなかった。まず合金化
法では、これまでにPdやNi等の元素を添加して耐食
性改善を図ってきたが、これらの合金の耐食性は純Ti
よりも改善されるとはいうものの、次の様な実用上の問
題を有している。 (1) コスト高であること。 (2) 高温での機械的強度が保たれる反面、機械加工性が
悪い。 (3) 上記(1),(2) の問題点を回避するためには、合金化
元素濃度の上限が制約され、十分な耐食性を発揮するに
は至らない。
【0004】一方表面処理法による耐食性改善として
は、表面酸化処理やパラジウム酸化皮膜の付与等が挙げ
られ、一部実用化されているが、耐食性能の改善には限
界があり、ごく限られた範囲内でしか適用されていな
い。これは次に挙げる様な事項に起因していると考えら
れる。
【0005】(1) 基本的に耐食性皮膜の密着性が悪く、
密着性を少しでも改善する為には前処理工程として酸洗
や脱脂等を十分に行なう必要があり、且つ汚れ防止のた
めに十分留意する必要がある。これによって工程が煩雑
になるが、それでも尚皮膜の剥離が起こりやすい。 (2) 形成された皮膜の均一性が悪く且つピンホール等の
欠陥が発生すること等によって、十分な耐食性能が得ら
れない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこうした事情
に着目してなされたものであって、その目的は、機械加
工性を損なうことなく、しかもTi素地との密着性の問
題を本質的に含まない表面処理層を形成することによっ
て、高耐食性のTiまたはTi基合金部材を提供しよう
とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成した本発
明のTi部材は、Ti(またはTi基合金)部材の表面
に、Pを5×1016イオン/cm2 以上の割合でイオン
注入し、前記TiまたはTi基合金部材の表層部にPの
濃度富化層を形成したものである点に要旨を有するもの
である。
【0008】
【作用】本発明で利用されるイオン注入の手法は、加速
された高エネルギーのイオンを目的深さまで打ち込んで
Ti部材の表面を改質するものであり、半導体分野にお
ける不純物ドーピング手段として利用されている他、鋼
を中心とする金属材料の表面改質にもその適用が進めら
れているが、半導体分野を除けばこれまでのところ実用
化はあまり進んでいない。
【0009】本発明に係るTi部材は、このようなイオ
ン注入の手法をTi部材の表面改質に利用したものであ
り、Ti部材表層部にはイオン注入によって非熱平衡物
質層が形成される。即ちこれまで行なわれてきた熱プロ
セスによる合金化や表面処理では、熱的平衡状態にある
合金層あるいは表面皮膜が形成され、該合金層は熱平衡
物質層であるが故にその物性改造にも自ずから限度があ
った。これに対し本発明では非熱平衡物質層を形成する
ことにより、従来からは予測できない特性を得ることが
できる。換言すればイオン注入される元素と同じ元素を
添加したTi合金を形成しても本発明のTi部材のよう
な耐摩耗性の発揮は期待することができないのである。
【0010】ところでTi部材の特性を改善するに当た
ってはTi部材にイオン注入を行ないさえすれば良いと
言うものではなく、改善しようとする特性に合せて特定
の元素イオンを選び、且つその注入量および注入エネル
ギーを適当に設定する必要がある。本発明においては、
種々の元素イオンについてイオン注入実験を重ねた結
果、Ti部材の耐食性を著しく改善する為には、Pをイ
オン注入する必要があることを知った。即ち、Pをイオ
ン注入することによって、その耐食性改善は飛躍的に達
成されたのである。
【0011】またイオン注入では高エネルギーイオンを
Ti部材の表層部に強制的に添加するが、表面層に別物
質層が形成される訳ではないので、注入層と基材層はマ
トリックス構造が同じである。従ってめっき等の表面処
理のように基材と異なる材質の皮膜を密着させる場合と
異なり、イオン注入表層部の基材層との一体性は極めて
良好であり、剥離の問題は生じない。
【0012】本発明に係るTi部材は上記作用効果を奏
するものであるが、これらの効果を得るには、Pを5×
1016イオン/cm2 以上の割合となる様にイオン注入する
ことが必要である。Ti部材へのPのイオン注入につい
ては、潤滑性および耐摩耗を改善するという観点から、
同一出願人によって先に出願しているが(特願平2−4
12218号)、本発明者らは耐食性特に耐隙間腐食性
について検討したところ、その効果を発揮させる為は、
Pのイオン注入量を特定の範囲に調整する必要のあるこ
とがわかった。即ち、潤滑性を改善し、且つ優れた耐食
性を呈するイオン注入量では、必ずしも耐食性特に耐隙
間腐食性の改善効果が得られる訳ではない。従って、こ
うした観点からして、本発明ではPのイオン注入量は5
×1016以上とした。尚Pのイオン注入量の上限につい
ては特に限定するものでわないが、イオン注入量をあま
り多くすると処理時間が長くなるので好ましくなく、こ
うした観点から、1×1017イオン/cm2 程度が適当
である。
【0013】また本発明の表面改質Ti部材は、従来T
i部材の耐食性劣化が著しいといわれていた塩酸や硫酸
等の非酸化性酸溶液中、および硝酸等の酸化性溶液中に
おいても優れた耐食性を発揮することが分かった。特
に、塩酸中での均一は腐食速度を低減させるPイオン注
入の効果は、非常に苛酷な環境下でTi部材が隙間腐食
を起こしてしまっても、その進行を著しく抑制すること
を示唆するもので有り、従来のTi部材にくらべて隙間
腐食による機器の破損に至る時間を飛躍的に延長するも
のである。
【0014】以下本発明を実施例によって更に詳細に説
明するが、下記実施例は本発明を限定する性質のもので
はなく、前・後記の趣旨に徴して設計変更することはい
ずれも本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【0015】
【実施例】
実験1 表1に示す各種イオン注入Ti部材について、耐隙間腐
食試験を行なったところ、表1に併記する結果が得られ
た。尚耐隙間腐食試験は、マルチクレブス法を用いた沸
騰42%塩化マグネシウム溶液中に、100時間浸漬し
た場合の隙間腐食発生確率によって評価し、この値が小
さいほど良好な耐食性を有していることを示している。
表1から明らかな様に、ある特定の注入量のPイオン注
入Ti部材が隙間腐食発生確率が最も小さく、著しい耐
隙間腐食性改善効果を示していることがわかる。
【0016】
【表1】
【0017】実験2 図1は、Pのイオン注入量を変化させた場合に、イオン
注入量と隙間腐食発生確率の関係を示したグラフであ
る。尚試験環境は、実験1の場合と同じである。図1か
ら明らかな様に、イオ柱入Ti部材の隙間腐食発生確率
は、イオン注入量が5×1016イオン/cm2 以上から
注入量と共に減少し始め、イオン注入量が1×1017
オン/cm2 程度では隙間腐食が全く発生しないことが
わかる。このことから、Ti部材の耐隙間腐食性を改善
する為には、Pのイオン注入量を上記した範囲に適切に
規定する必要のあることがわかる。
【0018】実験3 表2に示す各種イオン注入Ti部材について、沸騰5%
塩酸中における腐食試験を行ない、相対的均一腐食速度
を比較したところ、表2に併記する結果が得られた。尚
相対的均一腐食速度は、非注入材の値を1とした場合の
相対量で示した。
【0019】表2から明らかな様に、ある特定の注入量
のPイオン注入Ti部材が最も均一腐食速度が小さく、
著しい耐食性改善効果を示していることがわかる。また
イオン注入の際に、基板温度を高めることは耐食性改善
に極めて効果的であることが分かる。
【0020】
【表2】
【0021】
【発明の効果】本発明は以上のように構成されており、
機械加工性を損なうことなく、しかもTi素地との密着
性の問題を本質的に含まない表面処理層を簡単な工程で
形成することができ、この表面処理層の形成によって優
れた耐食性を示すTi(またはTi基合金)部材を得る
ことができた。かくして従来では使用が困難であった腐
食性環境下においても、好適に使用することができ、T
iおよびTi基合金部材の適用範囲が大きく拡がること
が期待される。
【図面の簡単な説明】
【図1】Pのイオン注入量と隙間腐食発生確率の関係を
示すグラフである。
フロントページの続き (72)発明者 河田 和久 兵庫県神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会社神戸製鋼所神戸総合技術研究所内 (72)発明者 屋敷 貴司 兵庫県神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会社神戸製鋼所神戸総合技術研究所内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 TiまたはTi基合金部材の表面に、P
    を5×1016イオン/cm2 以上の割合でイオン注入
    し、前記TiまたはTi基合金部材の表層部にPの濃度
    富化層を形成したものであることを特徴とする高耐食性
    表面改質TiまたはTi基合金部材。
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