JPH062712B2 - テレフタル酸の回収方法 - Google Patents

テレフタル酸の回収方法

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JPH062712B2
JPH062712B2 JP58053816A JP5381683A JPH062712B2 JP H062712 B2 JPH062712 B2 JP H062712B2 JP 58053816 A JP58053816 A JP 58053816A JP 5381683 A JP5381683 A JP 5381683A JP H062712 B2 JPH062712 B2 JP H062712B2
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達也 善田
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Description

【発明の詳細な説明】 発明の分野 本発明は、テレフタル酸のアルカリ金属塩水溶液からテ
レフタル酸を回収する方法に関する。
発明の背景 テレフタル酸のアルカリ金属塩水溶液よりテレフタル酸
を酸析反応により回収する方法においては、中和反応で
あるため極めて反応速度が速く、かつ生成するテレフタ
ル酸の溶解度が室温で約15ppm程度と非常に小さいた
め、生成するテレフタル酸の結晶は極めて微細で、通常
2〜5μ程度の粒子径しか得られない。このような微細
なテレフタル酸の結晶は反応液中に懸濁して容易に沈降
せず、かつ固液分離に際しても容易に脱水されず、15
0%程度の含水率しか得られない。このため洗浄も困難
であり、さらに乾燥工程の負荷が増大するので、テルフ
タル酸の回収を行なうにあたり大きな障害となってい
た。
発明の概要 本発明者等は、近年急速な発展をとげたポリエステル繊
維のアルカリ加水分解による風合改善処理方法(以下ポ
リエステル繊維の減量加工と称す)の排液よりテレフタ
ル酸を回収する方法を検討する中で、上記障害を改良す
べく鋭意研究の結果、本発明をなすに到ったものであ
る。
本発明によれば、即ち、テレフタル酸のアルカリ金属塩
水溶液よりテレフタル酸を回収するにあたり、酸解離定
数(pKa)が3.0〜5.0の弱酸を使用して酸析処理を
行ない、かつ、この酸析処理にあたり、酸析反応槽とし
て滞留時間20分以上となるような連続式反応槽を使用
し、テレフタル酸結晶の熟成を行なうことを特徴とする
テレフタル酸の回収方法が提供される。
発明の具体的説明 ポリエステル繊維の減量加工とは、アルカリ金属水酸化
物の水溶液を使用して、ポリエステル分子鎖を加水分解
して適度に脆化させることにより、ポリエステル繊維の
硬直なる風合を改善するもので、その排液中には高純度
のテレフタル酸がアルカリ金属塩の形で多量に含まれて
いる。ここではポリエステル繊維の減量加工排液よりテ
レフタル酸を回収する方法について述べたが、本発明は
あらゆるテレフタル酸のアルカリ金属塩水溶液に適用す
ることができ、何らポリエステル繊維の減量加工排液に
限定されるものではない。
本発明によれば、テレフタル酸の結晶の大きさは25μ
以上になり、その結果回収したテレフタル酸は、沈降分
離が可能で、脱水工程でも50%以下の含水率が容易に
得られ、したがって乾燥工程のエネルギーも大いに軽減
される。テレフタル酸の粒子が大きくなった結果は純度
面にもあらわれ、微細な結晶ではどうしても除去できな
かった塩の混入が解決し、本発明により回収されたテレ
フタル酸は特に精製することなく、再利用に供すること
が可能となる。
テレフタル酸のアルカリ金属塩水溶液よりテレフタル酸
を回収するには、酸によりアルカリ金属イオンと水素イ
オンとを置換することにより達成される。その過程を滴
定曲線としてあらわすと第1図のようになり、pH5.8よ
りテレフタル酸の白色沈殿が生成しはじめ、pH4.0に達
した段階で終了する。テレフタル酸は二塩基酸である
が、滴定曲線には唯一の肩が観察されるだけである。さ
らにテレフタル酸の酸解離定数はpKa1=3.54,pKa1=4.
46であるので、pH4.0で反応が終結しているかどうか疑
問に思われるかも知れない。しかしながら、pH4.0にお
いて沈殿を過乾燥してみると、98%の回収率でテレ
フタル酸が得られ、反応が完結していることは疑う余地
がない。このような現象は、テレフタル酸の溶解度が微
小であるということにより説明される。すなわち平衡理
論によれば、 ここで、テレフタル酸の溶解度を15ppm(9×10-5mol/
とすれば、2.0%(9.5×10-2mol/)のテレフタル酸
ナトリウム溶液を酸析する場合、pH5.5で沈殿ができは
じめることがわかる。ここでテレフタル酸水素イオンの
濃度は、 で与えられ、微小な値に規制されるため、滴定曲線には
二塩基酸を特徴づける2つの肩があらわれず、唯1つの
肩のみが観察されるわけである。ちなみにpH4.0におい
ては、テレフタル酸イオンの濃度は9×10-5mol/、
テレフタル酸水素イオンの濃度は2.6×10-4mol/と
なり、酸析反応が完了していることがわかる。
酸析反応に使用する酸としては、あらゆる種類を有機酸
および無機酸が使用できるがpH4.0以下に調整する能力
をもつことが必要である。
本発明者等は種々の酸を使用してテレフタル酸の酸析反
応を行なった結果、pKaの大きいすなわち比較的弱い酸
がテレフタル酸の沈殿を大きくする効果を持つことを見
出し、本発明を完成するにいたったものである。すなわ
ち、本発明は、pKaが3.0〜5.0の弱い酸を使用してテレ
フタル酸を酸析することを骨子としている。テレフタル
酸の酸析反応に対して弱い酸が有効である理由は、これ
らの酸が低いpH領域で解離度が小さいため、酸自体の濃
度と比較して、水素イオン濃度が低いからであると考え
られる。特に、テレフタル酸原液と酸とが初めて接触す
る混合の初期において、強酸を使用する場合には局部的
に高濃度の水素イオンと接触するのに対して、弱い酸を
使用する場合には局部的に見ても水素イオン濃度は小さ
く、その結果種晶の発生が抑制される効果が生まれてく
ると考えられる。この効果はpKaが大きいほど優れてい
るが、pKaの大きな酸を使用してpH4.0以下を実現するた
めには、分子状の酸を過剰に投入する必要があり、pKa
=5.0程度が上限となろう。ちなみに酢酸を使用する場
合には、テレフタル酸に対して酢酸を6.8当量使用しな
くてはならず、工業的に実施することは不利である。逆
にpKaが小さくなると強酸として挙動するようになるた
め、結晶が細かくなることを防止できなくなる。テレフ
タル酸の酸析を行なうに適した酸の範囲としては、pKa
=1.5〜5.0の範囲の酸が適当であり、これに該当する酸
としては種々の酸があるが、酢酸(pKa=4.76)シュウ
酸水素塩(シュウ酸の第二段pKa2=4.27)、蟻酸(pKa
=3.75)、リン酸(第一段pKa1=2.15)、硫酸水素塩
(硫酸の第二段pKa2=1.92)および亜硫酸(第一段pKa1
=1.78)等が代表的なものである。
本発明において、酸析剤として弱い酸を使用するため、
特にpKa=3.0以上の酸においては相当過剰に酸を使用し
ないとpH=4.0を実現できない欠点を有する。しかしな
がら、このことを逆に考えると極端に過剰の酸を添加し
てもpH=3.0以下にはなり難いということを意味してお
り、本発明の運転条件としては必然的にpH=3.0〜4.0が
選ばれることになり、pHコントロールは比較的容易であ
る。pKa=1.5〜3.0の酸においては、若干条件が厳しく
なり、pHのコントロールが比較的困難となる。
本発明により生成するテレフタル酸の結晶の性状を調査
するにあたり、厳密には顕微鏡写真等により評価する必
要があるが、本発明者等は生成する沈殿の沈降性指標
(以下SVIと記す)で粒子径を代表して評価した。沈殿
のSVIは活性汚泥法で用いられる管理パラメーターとし
てよく知られているが、ここでは次のように定義するも
のとする。
すなわちSVIとテレフタル酸濃度が1.0%のときの沈殿の
体積を示すものであって、結晶が細かくて軽いときはSV
Iが大きくなり、反対に結晶が大きいときはSVIが小さく
なる。あらかじめ種々の条件で生成するテレフタル酸の
SVIと粒子径(顕微鏡写真より求めた平均直径)を測定
したところ第2図を得た。第2図より明らかなように、
SVIと粒子径には高い相関関係が認められ、SVIをもって
粒子径を代表することが可能である。そこで後述する実
施例ではSVIを評価することにより本発明を説明する。
本発明に使用する反応装置は、連続式の反応装置でなけ
ればならない。なぜならば、テレフタル酸の溶解度が微
小であるために、回分式の反応装置を使用する場合には
反応の初期において爆発的に種晶が発生することを抑制
できないからである。その点連続式の反応装置では、テ
レフタル酸イオンとテレフタル酸水素イオンの濃度が小
さく、かつほぼ一定にコントロールされるため、結晶が
成長しやすい状況になる。ちなみにpH=4.0で運転する
場合、テレフタル酸イオンとテレフタル酸水素イオンの
合計濃度は3.5×10-4mol/(約50ppm)であり、水素
イオン濃度(10-4mol/)とのバランスがとれており、
結晶が成長しやすい状況になっていることがわかる。
次に連続式の反応装置を使用する場合、結晶が充分大き
く成長するだけの滞留時間を確保することが重要であ
る。テレフタル酸原液を流量を変化させることにより滞
留時間をかえ、SVIに対する影響を調査したところ、滞
留時間を20分以上とすればよいことが判明した。
以下、実施例により本発明を更に説明する。
実施例1 第4図に示す実験装置を使用して、1%のテレフタル酸
ナトリウム溶液の酸析を行なった。酸析剤としてpKa=
1.5〜5.0の範囲の弱い酸を用い、生成する沈殿とSVIを
調査した。結果を表1に示すが、これらの酸の解離定数
とSVIとの関係をプロットしたところ第3図が得られ
た。第3図によれば、酸の解離定数とSVIとの間には高
い相関関係が認められ、酸のpKaが大きいほどSVIが小さ
くなる。すなわち大きい結晶が得られることがわかる。
経験的には、SVIが18以下(粒子径25μ以上)で
あるのが有利な領域であると思われ、対応するpKa範囲
は1.5以上であることがわかる。しかし、pKaが3.
0より小さい酸を用いる場合には、pHのコントロールが
難しくなるので、操作上pKa範囲は3.0以上であるの
が有利である。
テレフタル酸ナトリウム溶液を使用し、反応の滞留時間
は20分(一定)であった。
比較例1 pKa=1.5以下の強い酸として硫酸と塩酸を選び、実施例
1の同じ方法及び条件で酸析反応を行なった。結果を表
2に示すが、塩酸を使用した場合の結晶が細かく、SVI
が高いことがわかる。硫酸を使用した場合のSVIは小さ
くなっているが、これは中間段階において硫酸水素イオ
ンが生成するので、硫酸水素イオンの反応に寄与するウ
エイトにより強酸としては例外的な挙動をとることによ
るものと思われる。
実施例2 連続式の反応装置における結晶の成長を促すため、滞留
時間の長短によるSVIへの影響を調査した。実施例1と
同じ方法で蟻酸を使用して酸析を行なった。結果を表3
に示す。表3から明らかなように、滞留時間が短かい場
合は結晶の成長が不充分であり、沈殿が微細なためSVI
が大きくなるが、20分以上の滞留時間を確保するとき
SVIはおおよそ14.3前後となり、ほぼ一定である。
このとき対応する粒子径は約40μであった。
テレフタル酸ナトリウム濃度は1.0%であり、酸析剤と
して硫酸水素ナトリウムを使用した。
【図面の簡単な説明】
第1図はテレフタル酸の滴定曲線、第2図はSVIと結晶
粒子径と関係、そして第3図は酸解離定数とSVIとの関
係を示すグラフである。第4図は本発明方法の実施に有
用な反応装置の一例を示す模式図である。 1:反応槽、2:沈殿槽、3:撹拌機、4:pH計、5:
酸析剤タンク、6:テレフタル酸アルカリ金属塩水溶液
供給タンク、7:酸析剤ポンプ、8:テレフタル酸アル
カリ金属塩水溶液供給ポンプ、9:排水。
フロントページの続き (72)発明者 林 豊 石川県能美郡根上町浜町ヌ167番地 小松 精練株式会社内 (56)参考文献 特開 昭57−212138(JP,A) 特公 昭47−19537(JP,B1)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】テレフタル酸のアルカリ金属塩水溶液より
    テレフタル酸を回収するにあたり、酸解離定数(pKa)が
    3.0〜5.0の弱酸を使用して酸析処理を行ない、か
    つ、この酸析処理にあたり、酸析反応槽として滞留時間
    20分以上となるような連続式反応槽を使用し、テレフ
    タル酸結晶の熟成を行なうことを特徴とするテレフタル
    酸の回収方法。
JP58053816A 1983-03-31 1983-03-31 テレフタル酸の回収方法 Expired - Lifetime JPH062712B2 (ja)

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