JPH0628665A - 磁気記録媒体及びその製造方法 - Google Patents

磁気記録媒体及びその製造方法

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JPH0628665A
JPH0628665A JP20181092A JP20181092A JPH0628665A JP H0628665 A JPH0628665 A JP H0628665A JP 20181092 A JP20181092 A JP 20181092A JP 20181092 A JP20181092 A JP 20181092A JP H0628665 A JPH0628665 A JP H0628665A
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JP
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thin film
polar group
metal thin
pfpe
layer
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Application number
JP20181092A
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English (en)
Inventor
Kazuyuki Usuki
一幸 臼杵
Tadashi Yasunaga
正 安永
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 電磁変換特性を低下させることなく、走行耐
久性が改良され、特に摩擦係数が低く、スチル耐久性が
良好で、ヘッド目詰まりの少ない強磁性金属薄膜型磁気
記録媒体及びそれをより容易な手法かつ低コストな装置
で製造できる方法を提供すること。 【構成】 非磁性支持体上2に強磁性金属薄膜3を有す
る磁気記録媒体1において、該強磁性金属薄膜上に極性
基含有パーフルオロポリエーテル(PFPE)を含む潤
滑膜5と極性基不含PFPEを含む潤滑膜6とがこの順
で形成された潤滑層4が設けられ、常温における粘度
は、前記極性基含有PFPEが200〜1000cSt
であって、前記極性基含有PFPEが50cSt以下で
ある磁気記録媒体、及び該強磁性金属薄膜を相対湿度5
0〜80%、20℃以上の環境下に接触し、次いで前記
潤滑層4を順次塗布、乾燥する磁気記録媒体の製造方
法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電磁変換特性の優れた高
密度記録用の強磁性金属薄膜に関し、特に走行耐久性に
優れる磁気記録媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】非磁性支持体上に真空蒸着法、スパッタ
リング法、イオンプレーティング法等の真空成膜法によ
り強磁性金属薄膜の磁性層を形成したいわゆる強磁性金
属薄膜型磁気記録媒体は、磁性層が強磁性粉末と結合剤
樹脂を主体とする塗布型の磁気記録媒体に比較して、磁
性層に結合剤樹脂がないだけに優れた電磁変換特性を有
し、高密度記録用の磁気記録媒体として注目され、一部
実用化されている。
【0003】特に、真空蒸着法は、他の真空成膜法に比
し、乾式で処理できること、成膜速度が比較的大きいこ
と、製造工程が比較的簡易であること等の利点を有す
る。真空蒸着法による強磁性金属薄膜型磁気記録媒体の
改良に関しては、例えば、米国特許公報3342632
号、同3342633号等を始めとして古くから種々の
提案がなされている。
【0004】この強磁性金属薄膜型磁気記録媒体の実用
化上の大きな問題点として、走行性、耐久性の問題があ
る。磁気記録において信号の記録、再生及び消去の過程
において磁気記録媒体と磁気ヘッドとは互いに高速で摺
動しているが、その際、磁気記録媒体は、磁性層の摩耗
及び破壊があってはならないだけではなく、スムーズに
安定に走行することが要求される。
【0005】しかし、強磁性金属薄膜型の磁気記録テー
プは、塗布型に磁気記録テープに比べ、走行耐久性の確
保が難しい。これは、塗布型磁気記録媒体は磁性層中に
潤滑剤を有するために長時間にわたって表面潤滑が可能
であるのに対し、金属薄膜型磁気記録媒体では、その表
面に潤滑剤層を設けるために一度潤滑剤が剥離すると磁
性層がダメージを受けやすくなるためである。
【0006】この要求に対処するために、強磁性金属薄
膜型磁気記録媒体の磁性層の保護層もしくは潤滑層とし
て、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、脂肪酸、脂肪酸の金
属塩、脂肪酸エステル、アルキル燐酸エステルの層を磁
性層表面に形成する方法が、特開昭60−69824号
公報、特開昭60−85427号公報等に開示されてい
る。
【0007】また、フッ素含有化合物を保護層用素材と
して利用する方法も各種提案されている。例えば、特開
昭61−107528号公報には、分岐パーフルオロア
ルケニル基を有する化合物を耐久性の向上に利用した
り、米国特許3778308号には、パーフルオロアル
キルポリエーテル系の化合物を利用する方法が提案され
ている。
【0008】また、特公昭60−10368号公報に
は、パーフルオロアルキルポリエーテル分子鎖の一端ま
たは両端をカルボキシル基などの極性基で修飾した末端
変性タイプのパーフルオロアルキルポリエーテルを保護
層用化合物として利用する方法が提案されている。さら
に、ディスク状の強磁性金属薄膜型磁気記録媒体用の潤
滑剤として、複数のアミノ基を有する化合物とパーフル
オロアルキルポリエーテル鎖を持つカルボン酸を脱水縮
合して得られる多鎖型パーフルオロアルキルポリエーテ
ルアミドを利用した研究も報告されている(杉山等:日
本潤滑学会第34回全国大会、B・28;予稿集、42
5頁)。
【0009】また、特開昭64−33713号公報、特
開平1−112516号公報、特開平3−102614
号公報、特開平1−112528号公報、特開昭62−
192029号公報には、イソシアネート、オキソ酸等
の極性基を持つ化合物が走行耐久性を改善することが開
示されている。更に、特開平3−207021号公報に
は、金属薄膜上に極性基含有潤滑層を蒸着で形成した上
にそれよりも極性が弱い液体潤滑剤を形成することによ
り、スチル耐久性を向上させる方法が開示されている。
【0010】また、特開昭63−237216号公報
は、磁性層に保護膜を形成した後、親水基含有弗化化合
物の塗布膜上にパーフルオロポリエーテルを塗布するこ
とにより、磁気ディスクの磁気ヘッドに対する主として
メッキ膜磁性層の耐久性を向上させると記載している。
また、特開昭61−113126号公報は、極性基含有
パーフルオロポリエーテルと極性基不含パーフルオロポ
リエーテルを磁性層表面に混在して設けることにより、
走行時の鳴きの現象や磁気ヘッド目詰まりを解消した金
属薄膜型磁気記録媒体を提案している。
【0011】また、特開平4−76816号公報では、
粘度が30cSt以下の潤滑剤と30cSt以上の潤滑
剤を併用することにより、金属薄膜型磁気記録媒体の走
行性、耐久性を改善することを開示している。以上の従
来技術を総括すると、極性の弱いパーフルオロポリエー
テルのみを使用した磁気記録媒体は、走行時に潤滑剤が
簡単に剥離してしまう欠点があり、また、極性基含有パ
ーフルオロポリエーテルを使用した媒体では、流体潤滑
性が少ないためにスチル耐久性が不十分であったり、未
吸着の潤滑剤が原因と思われる目詰まりが多発するた
め、実際には極性基含有パーフルオロポリエーテルと極
性基の少ないパーフルオロポリエーテルを使用すること
によりこれら欠点を解消しようとする場合が多い。
【0012】即ち、特開昭63−23716号公報や特
開平3−207021号公報の開示する技術は、現在の
潤滑技術としては走行耐久性の改善に関し、かなり理想
的な系を提供していると考えられる。しかし、前者は、
保護膜上に限定されており、また塗布条件を適切に選ば
ないとその効力が十分でない場合があるという問題があ
り、後者は真空蒸着工程が必要なため工程が複雑にな
り、また特に非磁性支持体を広幅に拡張したときの蒸着
膜厚の制御が困難であるという問題がある。
【0013】また、強磁性金属薄膜上に上記潤滑剤を塗
布する方法は、その走行耐久性は吸着量および吸着状態
の良否に影響され、それらはまた強磁性金属薄膜の表面
状態とも関係する。従って、強磁性金属薄膜の表面を改
善するために種々の表面処理方法が行われてきた。例え
ば、特開昭57−138053号公報や特開昭59−2
231号公報では、磁性層形成後、水と接触処理するこ
とにより磁性層表面に酸化層を形成する方法を開示して
いる。また、特開昭59−229620号公報では、水
/有機溶剤の混合溶液で表面処理する方法を開示してい
る。
【0014】しかし、前者の方法では、磁性層の強度が
劣化して脆くなり、耐久性を悪化させる場合があるとい
う問題があり、後者では、処理した有機溶剤が磁性層表
面に吸着し、潤滑剤の磁性層への吸着を阻害するため、
目詰まり特性が悪化することがあった。そして、未だ上
記問題を解決する有効な手段は見出せないでいた。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技
術の問題点に鑑みなされたものであり、電磁変換特性を
低下させることなく、走行耐久性が改良され、特に摩擦
係数が低く、スチル耐久性が良好で、ヘッド目詰まりの
少ない強磁性金属薄膜型磁気記録媒体及びそれをより容
易な手法かつ低コストな装置で製造できる方法を提供す
ることを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】前記本発明の目的は、非
磁性支持体上に強磁性金属薄膜を有する磁気記録媒体に
おいて、該強磁性金属薄膜上に極性基含有パーフルオロ
ポリエーテルの層と極性基不含パーフルオロポリエーテ
ルの層とがこの順で形成された潤滑層が設けられ、前記
極性基含有パーフルオロポリエーテルの常温における粘
度は200〜1000cStであって、前記極性基含有
パーフルオロポリエーテルの常温における粘度は、50
cSt以下であることを特徴とする磁気記録媒体、およ
び非磁性支持体上に真空成膜法により、強磁性金属薄膜
を形成した後に、該強磁性金属薄膜を相対湿度50〜8
0%、20℃以上の環境下に接触し、次いで前記強磁性
金属薄膜上に極性基含有パーフルオロポリエーテルを塗
布乾燥後、その上に極性基不含パーフルオロポリエーテ
ルを塗布、乾燥することを特徴とする磁気記録媒体の製
造方法により達成できる。
【0017】本発明は、強磁性金属薄膜(以下、磁性層
ともいう)の上に常温における粘度が、200〜400
cStの極性基含有パーフルオロポリエーテル(以下、
極性基含有PFPEと略す場合もある。)の層を設け、
次いでその上に常温における粘度が50cSt以下の極
性基不含パーフルオロポリエーテル(以下、極性基不含
PFPEと略す場合もある。)を設けた2層構成の潤滑
層を形成したことを特徴とする。
【0018】また、本発明は、潤滑層を形成する前に強
磁性金属薄膜の表面を相対湿度50〜80%、20℃以
上の環境下に接触させる処理(以下、高湿度処理とい
う)を施すことを特徴とする磁気記録媒体の製造方法を
提供する。極性基含有PFPEは、粘度が高く極性基を
有するために金属との親和性が良好であることから、強
磁性金属薄膜表面に強固に結合して安定な保護層を形成
する。しかも、極性基を強磁性金属薄膜の方に向け、主
鎖あるいは非極性部位を外側に揃えて向けて配向するの
で、安定な境界潤滑膜を形成することができる。
【0019】一方、極性基不含PFPEは、強磁性金属
薄膜などに捕らわれることなくフリーな状態で挙動する
ので、極性基含有PFPEが分子配向による境界潤滑す
るのとは異なり、潤滑作用としては流体潤滑的に作用す
ることができる。また、潤滑層の下層および上層に基本
骨格のPFPEを使用しているので、親和力が働くため
か、極性基不含PFPEの付与量を増大させることがで
き、ひいては潤滑効果を向上することができる。
【0020】なお、本発明が、極性基含有PFPEと極
性基不含PFPEとを強磁性金属薄膜の上に混在して単
一潤滑層を設けた場合よりも効果が大きいのは、極性基
含有PFPEの磁性層に対する吸着を極性基不含PFP
Eが阻害することがないためと考えられる。また、本発
明は、高湿度処理を強磁性金属薄膜に施すことにより強
磁性金属薄膜表面を変性させて上記極性基含有PFPE
の該吸着作用を増進させる効果を有する。
【0021】また、本発明においては、極性基含有PF
PEは、粘度を前述の通り高く、極性基不含PFPEは
逆に粘度を低く設定しているために摩擦係数が小さく、
スチル耐久性に優れ、かつメカニズムの詳細は不明であ
るがヘッド目詰まりを効果的に低減するという効果が初
めて見出された。本発明では、極性基含有PFPEと極
性基不含PFPEとの潤滑層は、特に潤滑剤としての機
能を各々十分に発揮させていることになる。即ち、極性
基含有PFPEは磁性層の表面に強固に吸着して分子配
向することにより境界潤滑として作用し、そして極性基
不含PFPEは最上層に出て液体潤滑として作用し、更
に、極性基不含PFPEは、下層の極性基含有PFPE
と親和性を有するために単独で磁性層表面に存在するよ
りも表面から剥離されたり、揮散することが少なく、従
って液体潤滑剤としても有利な低粘度であってよく、ヘ
ッド目詰まりの点で大きな効果がある。
【0022】本発明に使用される極性基含有PFPEの
粘度は、常温で200〜1000cSt(センチストー
クス)、好ましくは、200〜600cSt、更に好ま
しくは200〜400cStの範囲であり、分子量とし
ては、特に規制されないが、Q1000〜5000、好
ましくは1000〜3000の範囲から選択されよう。
【0023】また、本発明に使用される極性基不含PF
PEの粘度は、常温で50cSt以下、好ましくは、3
0〜50cStの範囲であり、分子量としては、特に規
制されないが、1500〜5000、好ましくは150
0〜3000の範囲から選択されよう。ここで、cSt
は、東京計器(株)製 E型粘度計により測定できる。
【0024】本発明に使用される極性基不含PFPE
は、通常のパーフルオロポリエーテル(PFPE)の化
学構造であるものなら任意であり、また、ポリエーテル
構造のHの大部、通常、50%以上がFに置換されたも
のであってもよく、必ずしもその全部がFに置換されて
いなくればならない意味ではない。また、極性基含有P
FPEは、前記極性基不含PFPEの基本構造に極性基
を導入した構造であり、PFPEの意味は、前記極性基
不含PFPEと同様である。
【0025】極性基不含PFPEとしては、具体的に
は、パーフルオロn−プロピレンオキシド重合体〔(C
2 CF2 CF2 O)n ;n=4〜20〕、パーフルオ
ロイソプロピレンオキシド重合体〔(CF(CF3 )C
2 O)n ;n=4〜20〕、パーフルオロエチレンオ
キシド重合体〔(CF2 CF2 O)n ;n=4〜2
0〕、パーフルオロメチレンオキシド重合体〔(CF2
O)n ;n=8〜40〕及びこれらの共重合体等であ
る。
【0026】該共重合体としては、パーフルオロイソプ
ロピレンオキシド−パーフルオロメチレンオキシド共重
合体〔(CF(CF3 )CF2 O)n −(CF
2 O)m 〕、パーフルオロエチレンオキシド−パーフル
オロメチレンオキシド共重合体〔(CF2 CF2 O)n
−(CF2 O)m 〕等が例示される。極性基不含PFP
Eの分子末端は、トリフルオロメチル、ジフルオロメチ
ル、モノフルオロメチル、メチル基のいずれかで構成さ
れているものが好ましい。
【0027】極性基含有PFPEのPFPEの構造は、
上記極性基不含PFPEの構造のものが使用できる。本
発明における極性基含有PFPEの極性基は、特に限定
されるものではなく、例えば、オキソ酸基、スルホン
基、スルホキシド基、ジフェニルエーテル基、エポキシ
基、アルコール水酸基、エステル基、シランカップリン
グ基、アルケン基、キレート基、ヘテロ環基等が挙げら
れる。
【0028】そのうち好ましい極性基としては、オキソ
酸基、スルホン基、スルホキシド基及びジフェニルエー
テル基等である。中でも特に好ましいのは、オキソ酸基
である。オキソ酸は、例えば理化学辞典(岩波書店発
行)によれば、中心原子に結合している原子がすべて酸
素であって酸素の一部または全部に水素が結合して水酸
基となりその水素が水溶液中で水素イオンを生じて、酸
の性質を示すものをいう。但し、カルボン酸やスルホン
酸などの中心原子に炭素原子が結合したものもこの誘導
体とする。
【0029】本発明でいうオキソ酸基とは、カルボキシ
ル基等のオキソ酸誘導体や硫酸エステル等のオキソ酸エ
ステル基までを含めている。パーフルオロポリエーテル
分子中における極性基の位置及び数は、特に限定される
ものではない。また、極性基と主鎖のパーフルオロポリ
エーテルとの結合は、アミド、ベンゼン、アルキレン等
の他の分子鎖を介しても構わない。
【0030】また、主鎖のパーフルオロポリエーテルの
大きさは炭素数が6以上150以下であることが望まし
く、特に、9以上50以下であることが望ましい。例え
ば、(CF2 CF2 CF2 O)n ;n=4〜20、(C
F(CF3 )CF2 O)n ;n=4〜20、(CF2
2 O)n ;n=4〜20、(CF2 O)n ;n=8〜
40、また、上記モノマー単位の組み合わせ、例えば、 (CF(CF3 )CF2 O)n −(CF2 O)m (CF2 CF2 O)n −(CF2 O)m 等が例示される。
【0031】炭素数が余り小さいと前記条件を満足でき
ず、走行性に問題を生じるようになり、逆に余り大きい
と分子のモビリティが大きい為塗布の際、分子同士が互
いに阻害し合って、吸着しにくくなる。塗布の際には短
時間で磁性層表面に付与する必要があるので余計に前記
モビリティーの影響が大きくなり易い。その結果、耐久
性が充分に付与できない可能性があるので望ましくな
い。
【0032】本発明においては、極性基含有PFPE
は、本発明の条件を満足するなら強磁性金属薄膜に十分
に吸着されるが、その吸着量としては、強磁性金属薄膜
の全表面を一分子層で覆う飽和吸着量で、4mg/m2
以上である。具体的測定法は、極性基含有PFPEを強
磁性金属薄膜に付与する際に使用するフッ素系溶剤(例
えば、モンテフルオス社製ZS100)を使用して25
℃の吸着等温線から求めることができる。
【0033】極性基含有PFPEの分子鎖は直鎖または
分岐があって良い。分岐した分子鎖が余り大きいと分子
の空間に占める体積が大きくなるため緻密な保護層がで
きないのと同時に分子の配向性も不規則になるので、上
層の極性基不含PFPE層を形成する上で望ましくな
い。極性基含有PFPEの具体例としては、例えば、化
1及び化2の化合物1〜化合物8が挙げられる。本発明
で極性基含有PFPEとして使用できる化合物がそれら
に限定されないのは言うまでもない。
【0034】
【化1】
【0035】
【化2】
【0036】化合物1から化合物3は、E.I.Du Pont de
Nemours & Company (Inc.) 、ダイキン工業(株)及び
モンテカチーニ社から市販されている。本発明の磁気記
録媒体の強磁性金属薄膜表面に付与する極性基含有PF
PEの量は、4.0mg/m2 〜30mg/m2 、好ま
しくは、10〜20mg/m2であり、(塗布量/飽和
吸着量)の重量比率は1〜3が好ましい。
【0037】ここでいう塗布量は、塗布後のサンプルを
蛍光X線分析装置(島津製作所製、SXF−1000)
で、磁気記録媒体の強磁性金属薄膜上のフッ素を定量し
て求めた値である。強磁性金属薄膜表面に付与される極
性基含有パーフルオロポリエーテルの量が少ないと、そ
の上に形成する極性基不含PFPEの量も少なくなり両
層の前記機能を十分に発揮させることができなくなるの
で好ましくない。
【0038】極性基含有PFPEの塗布量が上記範囲で
あるなら、極性基不含PFPEもその上に十分多量に保
持できるから、極性基不含PFPEの塗布量は、1.0
〜10mg/m2 、好ましくは2〜5mg/m2 の範囲
である。上記極性基含有PFPEまたは極性基不含PF
PEは、基本的には各層で単独で使用されるが、本発明
の目的、効果の範囲内で他の潤滑剤と混合し使用しても
良い。
【0039】ほかに混入できる潤滑剤としては、脂肪
酸、金属石鹸、脂肪酸アミド、脂肪酸エステル、高級脂
肪族アルコール、モノアルキルフォスフェート、ジアル
キルフォスフェート、トリアルキルフォスフェート、パ
ラフィン類、シリコーンオイル、動植物油、鉱油、高級
脂肪族アミン;グラファイト、シリカ、二硫化モリブデ
ン、二硫化タングステン等の無機微粉末;ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、エチレン−塩化
ビニル共重合体、ポリテトラフルオロエチレン等の樹脂
微粉末;αオレフィン重合物;常温で液体の不飽和脂肪
族炭化水素等が挙げられる。
【0040】また、本発明は、該潤滑層の形成を強磁性
金属薄膜を20℃以上、50〜80%RH(相対湿度)
の雰囲気に晒す処理、即ち、高湿度処理をした後に行う
ことが好ましい。本発明における高湿度処理の具体的方
法としては、磁性層成膜後、一定の湿度に保った装置内
に磁性層がさらされるように放置するか、ロール状に巻
かれたものであれば、巻き替えを行えばよい。
【0041】この時に表面は、例えば、水との接触角が
16°以下かつヨウ化メチレンとの接触角が25°以下
であるような表面である。本発明の高湿度処理を行うと
きの温度は、20℃以上、好ましくは20〜30℃、湿
度は50〜80%RHの範囲である。また、湿度は磁性
層表面に結露が生じない範囲が使用可能であり、特に6
0〜80%が好ましい。処理時間は、数秒あれば十分で
あり、時間が長い分には結露しない限り問題はない。処
理後に乾燥を行っても良いが、乾燥を行わなくても問題
はない。
【0042】本発明における高湿度処理の作用機構を簡
単に述べると、以下の通りである。金属薄膜磁性層が高
湿度処理において、水分子と接触することにより、強磁
性金属薄膜の表面に極性基含有PFPEの極性基に対し
て活性な、親和性が高い層が形成されるため、極性基含
有PFPEの吸着がより強固なものになるのではないか
と推定される。
【0043】本発明における高湿度処理は、従来に比較
して温度条件が著しく緩やかであるため高湿度処理され
た強磁性金属薄膜の表面は従来のように一定の厚みを有
する保護層が形成されることはなく、単に強磁性金属薄
膜の表面構造が変性されるものであり、極性基含有PF
PEとの相互作用が強化されるものである。水と酸素を
使用する従来の方法で形成される該一定厚みの保護層
は、本発明においては、むしろ膜質が劣化あるいは脆く
なって、耐久性が低下することが確認されている。
【0044】この高湿度処理に次いで極性基含有PFP
Eからなる潤滑層の下層の形成処理が行われる。従っ
て、本発明においては高湿度処理が、該潤滑層の形成の
直前に行われるのであれば、該高湿度処理の前に任意の
強磁性金属薄膜の処理工程を含んでもよい。例えば、こ
のような好ましい処理工程として以下の方法等がある。 方法1)防錆剤の形成処理:非磁性支持体上に酸素ガス
含有雰囲気中で金属、特にCoを主体とする金属蒸気流
を蒸着して強磁性金属薄膜を成膜した後に、公知の防錆
剤、例えば、ベンゾトリアゾール、ベンゾイミダゾール
等とその誘導体等を含有する溶液を該強磁性金属薄膜上
に塗布して防錆層を形成する工程。 方法2)強磁性金属薄膜の熱処理:非磁性支持体上に酸
素ガス含有雰囲気中で金属、特にCoを主体とする金属
蒸気流を蒸着して強磁性金属薄膜を成膜した後に、該強
磁性金属薄膜を80乃至180℃、1秒乃至60秒間保
持して熱処理する工程。及び 方法3)強磁性金属薄膜の不活性ガス処理:非磁性支持
体上に酸素ガス含有雰囲気中で金属、特にCoを主体と
する金属蒸気流を蒸着して強磁性金属薄膜を成膜した後
に、該強磁性金属薄膜を不活性ガス中に保持する処理を
施す工程。
【0045】磁性層を設けた後、上記工程を所望により
施した後、本発明の高湿度処理が行われ、次いで潤滑層
形成処理が施される。例えば、1)の工程を選択した場
合、この時強磁性金属薄膜上に形成された防錆層防錆剤
の極性部と極性基含有PFPEとが相互作用するので、
防錆層を設けないものに比べその吸着量が低減すること
は少ない。
【0046】本発明において、強磁性金属薄膜上に潤滑
層を形成する方法、すなわち強磁性金属薄膜上に極性基
含有PFPE層および極性基含有PFPE上に極性基不
含PFPE層を形成する方法としては、材料(極性基含
有PFPEまたは極性基不含PFPE)を有機溶剤に溶
解して基板(強磁性金属薄膜担持非磁性支持体または極
性基含有PFPE層形成体)に塗布あるいは噴霧したの
ち乾燥する方法、材料を含浸した物体を基板に摩擦して
塗着させる方法、有機溶剤に材料を溶解した溶液に基板
を浸漬して材料を基板表面に吸着させる方法、ラングミ
ュアーブロジェット法などにより基板表面に材料の単分
子膜を形成する方法等が挙げられる。
【0047】上記方法において、好ましくは潤滑層下層
はディップ法またはコイルバー法やグラビア法により、
塗布、乾燥して設けられる。吸着を促進するため乾燥後
好ましくは常温常圧で1時間以上、特に好ましくは5時
間以上経時させた後、極性基不含PFPEを溶解した溶
液を同様な手法で塗布、乾燥し潤滑層上層を得る。極性
基含有PFPEの溶剤は特に限定されない。また、極性
基不含PFPEの溶剤としては、フッ素系溶剤などの極
性基含有PFPEと極性基不含PFPEの両方を溶解で
きる溶剤が好ましい。これは上層塗布時の塗布むらを防
止すると同時に、上層塗布時に下層の余分な極性基含有
PFPEを除去するためである。
【0048】下層塗布から上層塗布までに通常、5時間
以上の経時を必要とする理由は、下層塗布直後の極性基
含有PFPEは溶媒との混合吸着等の理由により十分に
磁性層表面に吸着していないため、下層塗布直後に上層
を塗布すると本発明の効果が十分に得られないためであ
る。本発明では、以上のような製造方法により、磁性層
表面近傍に極性基含有PFPEを含む潤滑膜、その上に
極性基不含PFPEを含む潤滑膜を作製することができ
る。このため2種のPFPEを混合して塗布した場合に
比べ、極性基不含PFPEの立体障害を排除できるため
極性基含有PFPEの吸着量を増やすことができる。同
時に磁気記録媒体の最表面に存在する未吸着の極性基含
有PFPEの量を減らすことができるため、目詰まりの
発生率を低下させることができる。また、潤滑層の作製
も従来の一般的な塗布装置を流用できるため新たな設備
を導入する事なく、安定した生産が可能である。
【0049】また本発明において、潤滑層の下地金属薄
膜との密着を向上させるために、高湿度処理の前にUV
照射グロー、プラズマ等の方法で強磁性金属薄膜表面を
改質しておくこともできる。本発明における強磁性金属
薄膜の材料としては鉄、コバルト、ニッケルその他の強
磁性金属あるいはFe−Co,Fe−Ni,Co−N
i,Fe−Rh,Co−P,Co−B,Co−Y,Co
−La,Co−Ce,Co−Pt,Co−Sm,Co−
Mn,Co−Cr,Fe−Co−Ni,Co−Ni−
P,Co−Ni−B,Co−Ni−Ag,Co−Ni−
Nd,Co−Ni−Ce,Co−Ni−Zn,Co−N
i−Cu,Co−Ni−W,Co−Ni−Re等の強磁
性合金を蒸着の方法により形成せしめたもので、その膜
厚は0.02〜2μmの範囲であり、特に0.05〜
1.0μmの範囲が望ましい。
【0050】上記の強磁性金属薄膜は他にO,N,C
r,Ga,As,Sr,Zr,Nb,Mo,Rh,P
d,Sn,Sb,Te,Pm,Re,Os,Ir,A
u,Hg,Pb,Mg,Bi等を含んでいてもよい。本
発明の方法における磁気記録媒体の前記強磁性金属薄膜
は、真空蒸着法、スパッタリング法などの真空成膜法に
よって非磁性基体上に成膜される。強磁性金属薄膜中に
酸素を所定量含有させるために、成膜室内には、同時に
酸素が導入される。
【0051】強磁性金属薄膜中の酸素含有量は、AES
(オージェ電子分光法)深さ分析にて算出する。本発明
においては、強磁性金属薄膜中の酸素含有量は15at
%以上、望ましくは20at%以上であると効果的に発
明の目的を達成できる。即ち、15at%以上であると
極性基含有PFPEの飽和吸着量を大きくし、かつ吸着
を強固にするうえで好ましい。
【0052】また、酸素含有量が30at%を越えるよ
うになると非磁性成分が増大して強磁性金属薄膜の電磁
変換特性が高いという特徴が喪失されるので好ましくな
い。更に、強磁性金属薄膜中の酸素分布を、強磁性金属
薄膜の厚さ方向でみたとき、非磁性基体近傍ならびに磁
性層表面近傍における酸素含量の方が、中央部近傍より
も多い方が望ましい。
【0053】すなわち、AES(オージェ電子分光法)
深さ分析で強磁性金属薄膜の厚さ方向に5等分したと
き、表面から非磁性支持体の方向に向けて全厚の5分の
1迄の領域を表面近傍、非磁性支持体と強磁性金属薄膜
との界面から上方に向けて全厚の5分の1迄の領域を非
磁性支持体近傍としたときに、強磁性金属薄膜中におけ
る酸素は前記表面近傍及び前記非磁性支持体近傍以外の
領域の中央部の酸素含有量は、前記表面近傍の酸素含有
量もしくは前記非磁性支持体近傍の酸素含有量のいずれ
よりも少ないような酸素分布を有していることが望まし
い。
【0054】更に、強磁性金属薄膜の表面近傍の酸素含
有量及び非磁性支持体近傍の酸素含有量は5at%以
上、中央部の酸素含有量は3乃至4at%であることが
望ましい。本発明の強磁性金属薄膜の結晶構造として
は、六方晶結晶、斜方柱状結晶等が挙げられる。
【0055】この斜方柱状結晶とは、具体的に構造の特
徴を述べれば、まつかさ状に、結晶柱が鱗状に斜めに折
り重なって配列しているもの等が挙げられる。本発明の
磁性層は同一組成で互いに異なる結晶構造もしくは同一
結晶構造で互いに配向が異なるものおよび/または結晶
構造の如何を問わず互いに異なる組成からなる複層から
構成されていてもよい。例えば、磁性層を前記斜方柱状
結晶構造の傾きの方向を互いに逆向きに交差させた同一
組成・同一結晶構造の2層で構成すると、ヘッドの走行
方向による電磁変換特性及び耐久性の相違を軽減した
り、ノイズを低下させる上で好ましい。
【0056】本発明において、真空成膜法により磁性層
を斜方柱状結晶より構成する場合、具体的な方法を示せ
ば、蒸発加熱源として、30KeVの電子ビームを使用
し、成膜室の真空度を1×10-4Torr以下として酸素ガ
スを成膜室内の圧力を1×10-3Torr以下に保持しつつ
導入し、成膜室に置かれた非磁性支持体上に、強磁性金
属を入射角0〜50度の範囲で、斜め蒸着させることが
挙げられる。
【0057】前記強磁性金属薄膜の膜厚としては、通
常、500乃至3000Åの範囲にあることが望まし
い。又、前記強磁性金属薄膜の密着性を高めるために非
磁性基体と強磁性金属薄膜との間に下塗り層を設けるこ
ともできる。また、本発明においては、強磁性金属薄膜
に所望の特性を与えるために強磁性金属薄膜中および強
磁性金属薄膜と非磁性支持体の間の何れかまたは両方に
下塗り層とは別の機能を有する非磁性中間層を独立に設
けることもできる。例えば、この非磁性中間層に潤滑層
に使用する前記潤滑剤等を含有させて潤滑性の制御をよ
り確実にする、磁性層の力学特性を更に改善する等が挙
げられる。
【0058】該非磁性中間層は、金属または金属酸化物
から成る層、樹脂および/または無機または有機のフィ
ラー等から成る層等が例示される。非磁性中間層の厚さ
は、20〜500Å、好ましくは50〜200Åの範囲
である。本発明に用いられる非磁性支持体としてはポリ
エチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリアミド、ポ
リ塩化ビニル、三酢酸セルロース、ポリカーボネート、
ポリエチレンナフタレート、ポリフェニレンサルファイ
ドのようなプラスチックベース、又はAl、Ti、ステ
ンレス鋼などが使用できる。
【0059】走行耐久性を向上させるために、強磁性金
属薄膜を形成する前に非磁性支持体表面に微小突起を設
けておくことが結果的に磁性層表面に適度な凹凸を設け
ることになり効果的である。非磁性支持体表面の微小突
起の存在密度は2×106 〜2×108 個/mm2 であ
り、突起の高さは1〜50nmのものが好ましい。その
厚さとしては、用途によって相違するが、通常3〜50
μmである。
【0060】更に、本発明の磁気記録媒体の走行性を高
めるために、非磁性基体の強磁性金属薄膜がある面とは
反対の面にカーボンブラック等の微粉末と結合剤樹脂と
を主体とする塗膜より成るバックコート層を設けること
もできる。磁気記録媒体の形状は、テープ状、シート、
カード、ディスク等いずれでもよいが、特に好ましいの
はテープ状、ディスク状である。
【0061】次に本発明の好ましい態様を図を用いて説
明する。図1は、本発明の磁気記録媒体の断面を模式的
に描いた図である。1は、本発明の磁気記録媒体であ
り、2は非磁性支持体、3は強磁性金属薄膜、4は潤滑
層で、極性基含有PFPEを含む潤滑膜5及び極性基不
含PFPEを含む潤滑膜6からなり、7はバックコート
層である。
【0062】非磁性支持体2は、特に限定されないが、
膜厚が3〜12μmのポリエチレンテレフタレート、ポ
リエチレンナフタレート、ポリイミド、アラミド等のフ
ィルムが好ましい。また、その表面に磁性層の表面形状
を制御するための下塗り層を作製しても良い。強磁性金
属薄膜2は連続巻取り式蒸着機で酸素中で蒸着されたC
o−Ni−O、Co−O系の金属薄膜である。層構成
は、特に限定されず、単層、複数層の重層、非磁性層を
含む複数層の重層などが挙げられる。
【0063】極性基含有PFPEを含む潤滑膜5(下
層)を構成する極性基含有PFPEは、少なくとも一方
の分子末端に極性基を有しており、極性基としてはカル
ボキシル基、スルホン基等が好ましい。極性基不含PF
PEを含む潤滑膜6(上層)を構成する極性基不含PF
PEは、分子両末端に極性基を持たず、末端が、トリフ
ルオロメチル、ジフルオロメチル、モノフルオロメチ
ル、メチル基の何れかで構成されているものが好まし
い。また目詰まりの発生率を低下させるため、常温で液
体であり、その20℃における粘度が50cSt以下の
ものが好ましい。
【0064】バックコート層7は、通常使用されるもの
であり、特に限定されない。
【0065】
【実施例】本発明の新規な特徴を以下の実施例、比較例
によって更に具体的に説明する。 実施例1 みみず状突起と粒径250Å、密度9×106 個/mm
2 のシリカ粒子よりなる微小突起を有する厚さ10μm
のポリエチレンテレフタレート非磁性支持体上に、連続
巻取り式の真空蒸着機を用いて酸素ガスを導入しながら
Co−Ni(80−20)合金を膜厚が2000Åとな
るように斜め蒸着した。この磁性層上に20℃での粘度
が400cStである極性基含有PFPE(デュポン社
製KRYTOX 157FSL,極性基:カルボキシル
基)をフッ素系溶剤(FOMBLIN ZS100)に
0.44重量%溶解した溶液をコイルバーで塗布し、乾
燥して巻き取った。第1層の塗布6時間後、潤滑膜上に
20℃における粘度が40cStの極性基不含PFPE
(KRYTOX 143AZ、NMRによる数平均分子
量1850、構造式を下記化3に示す。)をフッ素系溶
剤(FOMBLINZS100)に0.11重量%溶解
した溶液をコイルバーで塗布し、乾燥した。さらに支持
体のバック面のバックコートを塗布して作製した後、原
反を8mmに裁断し、テープ化した。
【0066】
【化3】
【0067】比較例1 極性基含有PFPE(KRYTOX 157FSL,極
性基:カルボキシル基)と極性基不含PFPE(KRY
TOX 143AZ,化3)をフッ素系溶剤(FOMB
LIN ZS100)に混合後の濃度がそれぞれ0.4
4重量%、0.11重量%となるように溶解して塗布し
た以外は、実施例1と全く同様にテープを作製した。
【0068】比較例2 極性基含有PFPEをKRYTOX 157FSLと基
本構造が同じで20℃での粘度が1100cStである
もの(KRYTOX 157FSM,極性基:カルボキ
シル基)に変更した以外は、実施例1と全く同様にテー
プを作製した。 比較例3 実施例1において、極性基含有PFPEをKRYTOX
157FSLと基本構造が同じで20℃での粘度が1
800cStであるもの(KRYTOX 157FS
H,極性基:カルボキシル基)に変更した以外は、実施
例1と全く同様にテープを作製した。
【0069】比較例4 実施例1において、極性基不含PFPEをKRYTOX
143AZと基本構造が同じで20℃での粘度が15
0cStである極性基不含PFPE(KRYTOX 1
43AY)に変更した以外は、実施例1と全く同様にテ
ープを作製した。
【0070】実施例2 実施例1において、極性基含有PFPEを塗布する直前
に磁性層表面を30℃、80%RHの空気に5秒間さら
されるように高湿処理を施したこと以外は、実施例1と
全く同様にテープを作製した。以上、実施例、比較例の
ESCAで調べた潤滑剤の吸着量、ステンレスガイドポ
ールに対する摩擦係数、スチル耐久性、8mmVTRで
実際に走行させたときの完全目詰まりの発生パス数を表
1にまとめた。
【0071】なお、潤滑剤の吸着量はテープ化後、ES
CAのFピークとバックグランド比(F/BG)で評価
した。F/BG比が吸着量の指標となるのは、ESCA
による測定が高真空下で行なわれるため、未吸着の余分
な潤滑剤が強磁性金属薄幕上から揮発するためである。
スチル耐久性は、8mmVTRを用い、20gの走行張
力で試験した。このときの環境は、23℃、10%RH
とした。画像再生時にポーズボタンを押し、画像が出な
くなるまでの時間を測定して評価した。
【0072】摩擦係数(μ)は、磁気テープサンプルの
磁性層面とステンレスポールとを50gの張力(T
1 )、巻つけ角180℃で接触させ、10mm/秒の一定
速度でテープを走行させるために必要な張力(T2 )を
測定し、この測定値より、下記式に基づき各摩擦係数μ
を計算した。 μ=(1/π)ln(T2 /T1 ) VTRの走行試験は、8mmVTRを用い、23℃、1
0%RH環境下、120分長を50回走行させて行っ
た。走行試験は1サンプルにつき2本のテープについて
行い、目詰まりを評価した。完全目詰まりは出力が6d
B低下した状態が1分以上継続したものとし、その完全
目詰まりが発生した時の走行パス数で評価した。また、
完全目詰まりを発生しなかった試料については、50パ
ス走行中に6dBの出力低下が0.05秒以上継続した
ものを瞬間目詰まりとし、1時間当たりの発生率で評価
した。
【0073】結果を表1に示す。
【0074】
【表1】
【0075】表1からも明らかなように本発明を適用し
た実施例は比較例に比べ同一の潤滑剤処方量で潤滑剤の
吸着量を増加させることができ、またこのため完全目詰
まりの発生を防止できることがわかる。本発明において
は、強磁性金属薄膜上に極性基含有PFPEを含む溶液
を塗布した後、6時間の経時後潤滑膜上にさらに極性基
不含PFPEを含む溶液を塗布することによって、潤滑
剤の吸着量を増加させることができる。本発明を適用し
た媒体は、走行性、耐久性に優れ、特に目詰まりの発生
を防止できるものである。
【0076】
【発明の効果】本発明は、強磁性金属薄膜の上に常温に
おける粘度が、200〜1000cStの極性基含有P
FPEの層を設け、次いでその上に常温における粘度が
50cSt以下の極性基不含PFPEを設けた2層構造
の潤滑層を形成したことにより、強磁性金属薄膜との界
面に安定な境界潤滑膜を形成することができる極性基含
有PFPE層と流体潤滑的に作用する極性基不含PFP
E層を機能分担させることができたため各潤滑剤の絶対
量が増加すると共に吸着力が向上したため潤滑効果が向
上し、良好な走行耐久性を提供できると共にヘッド目詰
まりを顕著に改善できる強磁性金属薄膜型磁気記録媒体
を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明磁気記録媒体の一例の断面を模式的に示
した図。
【符号の説明】
1 本発明の磁気記録媒体 2 非磁性支持体 3 強磁性金属薄膜 4 潤滑層 5 極性基含有PFPEを含む潤滑膜 6 極性基不含PFPEを含む潤滑膜 7 バックコート層

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性支持体上に強磁性金属薄膜を有す
    る磁気記録媒体において、該強磁性金属薄膜上に極性基
    含有パーフルオロポリエーテルの層と極性基不含パーフ
    ルオロポリエーテルの層とがこの順で形成された潤滑層
    が設けられ、前記極性基含有パーフルオロポリエーテル
    の常温における粘度は200〜1000cStであっ
    て、前記極性基不含パーフルオロポリエーテルの常温に
    おける粘度は、50cSt以下であることを特徴とする
    磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 前記強磁性金属薄膜は、非磁性支持体上
    に成膜された後、前記潤滑層がその上に形成される前
    に、相対湿度50〜80%、20℃以上の環境下に接触
    させる高湿度処理を施されたものである請求項1記載の
    磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 非磁性支持体上に真空成膜法により、強
    磁性金属薄膜を形成した後に、該強磁性金属薄膜を相対
    湿度50〜80%、20℃以上の環境下に接触し、次い
    で前記強磁性金属薄膜上に極性基含有パーフルオロポリ
    エーテルを塗布乾燥後、その上に極性基不含パーフルオ
    ロポリエーテルを塗布、乾燥することを特徴とする磁気
    記録媒体の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012009090A (ja) * 2010-06-22 2012-01-12 Wd Media (Singapore) Pte. Ltd 磁気ディスクの製造方法
US8920024B2 (en) 2008-03-31 2014-12-30 Jfe Steel Corporation Steel plate quality assurance system and equipment thereof

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